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1950-11-29 第9回国会 衆議院 大蔵委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十九日(水曜日)     午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 夏堀源三郎君    理事 奧村又十郎君 理事 小山 長規君    理事 西村 直己君 理事 田中織之進君       淺香 忠雄君    有田 二郎君       大上  司君    川野 芳滿君       島村 一郎君    高間 松吉君       三宅 則義君    内藤 友明君       宮腰 喜助君    川島 金次君       米原  昶君    竹村奈良一君  出席公述人         日本橋税務署長 梅津 勘藏君         全日本金属労働         組合常任中央執         行委員     渡邊三知夫君         日本国有鉄道労         働組合中央執行         委員      西  高雄君         慶応大学教授租        税研究協会理事  高木 壽一君         中小企業連盟常         務理事     稻川 宮雄君  委員外出席者         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の公聽会意見を聞いた案件  所得税法臨時特例法案について     —————————————
  2. 小山長規

    小山委員長代理 これより大蔵委員会公聽会を開会いたします。  本日意見を聞く問題は、目下本委員会におきまして審査中の税制改正案の中、所得税法臨時特例法案についてであります。但し公述人方々公述の便宜上、本案に関連する範囲内におきましての税制改正に関する御意見は、これを許可することといたす方針であります。  本日御出席公述人方々は、お手元に配付いたしてあります印刷物通り大名であります。公述人におかれましては、本案に関しまして忌憚のない御意見発表をお願いすることといたしまして、とれより御意見を拝聽することといたします。公述時間はお一人大体二十分以内でお願いいたします。発言順位につきましては、委員長に御一任願うことといたしましてまず日本橋税務署長梅津勘藏君にお願いいたします。梅津勘藏君。
  3. 梅津勘藏

    梅津公述人 ただいま御紹介にあずかりました日本橋税務署長梅津であります。  本日の大蔵委員会公述の問題は、ただいま言われました二十五年度の補正予算に伴う税制改正のうち、所得税臨時特例法案に関する意見ということでございますが、私税務署長といたしまして、所得税の機構については一番頭を悩ましたのでございまして、この執行の適正につきましては、全力をあげて私は努力をいたしておるのであります。それでありますから所得税改正につきましては、深甚なる注意を拙つておるのでございますが、まず第一に私ども常に考えておりまするのは、所得税税率が現在の国民生活にとりまして重いということを、痛感しておるものでございます。それで税率引下げ方につきましては、常に機会あるごとに意見を述べておるような状態でございます。しかしながら皆様も御承知のごとく、シヤウプ第二次勧告の趣旨におきましても、これはなかなか困難であるということは、あらためて私から御説明申し上げるまでもないことと思うのでございまするが、今回この特例法の内容におきまして、私は率直に申し上げまして、よくもこの減税ができた、よくも今日の情勢下におきまして、この大減税ができたということにつきまして非常に尊敬を拂つたのでございます。税務署長でありますから、大蔵省の案に対して全面的に賛成するという気持でなく、国民の一人といたしましてもよくもこの案ができた。でありますから総括的に申し上げまして、この案に対しましては私は非常な敬意を拂うものでございます。ただ私といたしましては隴を得て蜀を望むという気持から、この案よりも最初政府におきましてつくりました原案、あの案の方がいいのではないかということを考えておるのでございます。今度の案は税率で申し上げますと、五万以下二十%から始まりまして、十五万円超を設けたのでございます。当初の政府案は十五万超がないのであります。そうして七十万超に五十%を置き、百万超に五十五。今度の案は十五万超を設けまして七十万超を削つたということになるのでございますが、それは私はむしろ当初案の方がよかつたのではないか、こういうふうに考えております。税率に関する意見は、この案に対しましては、さように私は申し上げます。  さらに、これはなかなか容易ではないと思うのでございますが、五万以下の二〇%から始まるのは、これは高いのではないか。財政事情が許すならば、これは一五%から出発して百万円超五十五にしたいという意見を持つております。それから順序が転倒いたしましたが、基礎控除三万円、扶養控除一万五千円、これも現状から見たならば妥当であろう。欲を申し上げたならば、もつもつ財政事情がよろしければ、基礎控除の点をもう少し上げてもらいたいと思うのでありますが、現状下ならばこの辺が妥当ではないか、こう考えております。  それから二項の農業者以外の納税者に対する確定申告書提出期限、及び確定申告書提出による納付期限を一箇月延長いたしまして二月末とする。これはまことに適当な案と思います。私ども常にこれを主張しておつたような次第でございましてこれが実現いたしましたことはまことに欣快にたえません。以上この案に対しましてはさよう意見を申し述べます。  この機会におきまして、税務署長といたしましてさらに申し上げたいのは、申告納税制度理想達成の問題でございまするが、申告納税制度は御承知のように納税者自主的責任におきまして自己所得を正しく申告して納税する。いわゆる自主納税と申しますか、これが二十二年から施行せられまして、まだまだ芳ばしい成績をあげていないことは、すでに皆様承知通りであります。私といたしましては、これを完成させるにはいろいろの面があるのでございまするが、これはなかなか容易でありません。でありまするから、日本国民納税に関しまする教養が高まり、納税意識が昂揚し、かつ自己所得計算につきまして正確なる帳簿を備え、税法の所期する正確な所得を計算して納税するというような段階に達するまでの過渡的手段といたしまして、民間協力態勢を確立するということが、今日の税務行政において最も実情に適したものではないかと思うのであります。これは私が長年税務行政に従事いたしまして得た結論であります。昨今の情勢からいたしましても、どうしてもこれは民間の有力なる会社、有識階級という方々納税に対しまして協力態勢を確立して、税務署に対しまして協力をする。納税者に対しまして申告納税制度租税につきまして啓蒙して、そうして漸次納税者方々ひとり歩きができるようにというような制度が望ましいのではないか。旧所得税法については同業組合諮問団体という規定がございました。あれが税務行政につきまして非常に貢献したのでございまするが、物事は全部いいというわけには行きませんので、中には組合諮問団体の答申によると、幹部がいいことをするとか、あるいは幹部だけ安くして、一般組合員を犠牲にしたというような理由がないではありませんが、これは大局から申しまして、非常にうまく行つているのであります。日本実情から申しますると、やはり一つ組織がありまして、そうして幹部指導して行く。もちろんそれが目的ではないのでありまして、各納税者ひとり歩きができるまでの過渡的手段として、かような一つ組合というようなものがあつて税務署諮問に応ずる。そうして申告納税制度を、正しくひとり歩きができるように啓蒙していただく。要はこれは方法論でありまして、税務署あるいは国税庁国税局また国民一般指導方法によると思うのでありまして、何事も組合が悪いのだと全面的に排斥するのは間違いではないか、こう私は考えておるのであります。これからの税務執行は、納税者税務署お互いに双方に信頼し合いまして、そうして腹から打明けて納得ずくで行かなければ、とうてい円滿税務行政というものはできるものではない。私は常にかような考え方のもとにおきまして署員も指導し、また納税者に対しても訴えておるのであります。でありますから、やはり制度上におきましても、かような協力態勢というものを確立しまして、お互い申告納税制度理想を達成するための手段として努力し合う、啓蒙し合うということが必要じやないかと考えております。  簡單でありますが、これだけ申し上げます。
  4. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ただいまの御公述に対して御質問があればこれを許します。
  5. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいま日本橋税務署長からこの法律案に対する御意見だけでなしに、特にわれわれとして興味ある御意見を賜わつたその中に、民間協力態勢というものがぜひ必要である。従来の同業組合などを利用した諮問団体はぜひ必要である。これは納税者がもう少し自主的に納税できるような素質を持つに至るまでの過渡的な手段としてぜひ必要である。これは非常にけつこうな御意見と思うのでありまして、われわれも何とかただいまの御意見法律上に実施いたしたいと考えるのでありますが、その点について一つお尋ねをいたしたいと思うのであります。大阪国税局管内の方面では民間協力態勢一つ方法として、ただいま税務署管内ごと納税協会なるものをつくつているのであります。これは業種別でなしに、大体商工会議所あたりが主体になつて、一税務署管内業者、これは業界の区別なしに、納税者が全部一致して納税協会というものをつくつてつているのでありますが、どうもわれわれ考えてみると、やはり業種別にこの同業組合諮問団体の方が効果があるというように考えているのであります。それで具体的に民間協力態勢をつくるということについて、公述人の方はどういうふうに考えておられるか。やはり同業組合主体として諮問団体をつくつた方がいいと考えておられるか。これをどの程度まで法的に認めんとするか。單に税法を啓蒙指導する面だけとするか。あるいは実際に納税貯蓄組合などをつくる場合の母体としてそれを活用するか。あるいは税務署調査決定に対してもある程度これを関與させるか。その点の度合いをひとつお伺いしたいと思います。
  6. 梅津勘藏

    梅津公述人 まことにごもつともな御質問でございます。私といたしましては、やはりこれは同業組合母体としてやるべきだと考えております。それから関與の問題でございまするが、主として私といたしましては啓蒙運動に重点を置きまするが、やはり各組合員営業状況順位程度のごときものは御答申願う。ただ調査決定関與いたしますると、いろいろ弊害を生じまするから、調査決定範囲までは問題であると思うのであります。ただ税務署長諮問に応じまして、各組合員実情はこうであるという程度のお答えを得たい、かように考えております。
  7. 奧村又十郎

    奧村委員 その場合に従来一番困つておるのは、ややもすれば同業組合幹部が特にみづからの所得を低く見積つて税務署申告して、幹部でないものが迷惑をするということが全国的に非難の的であつた。そのことは署長も今お話になつたわけですが、これに対していかなる対策をお持ちか。ただいまのお言葉では、單に同業組合からは所得順位程度税務署申告させて、それの調査決定はあくまでも税務署が自主的にやるのだ。それだけで特に幹部の横暴をきわめることを防げるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  8. 梅津勘藏

    梅津公述人 お答えいたします。それは先ほど私意見を先に申し述べた際に申し上げましたが、方法論の問題でありまして、幹部だけに一任いたしまするからさようなことになりますが、これはやはり幹部でない平組合員からも、税務署に対するそういう順位をつくる場合に参與させまして、民主的なやり方によつてつたらどうか、こう思うのであります。従来幹部だけにまかせたという傾向がありましたために、そういうようないろいろな問題が起きたのでございまするが、私が税務署長をやつておりました際には、さようなことのないように、平組合員からも委員を選出させまして審議させましたので、ほとんど問題はございませんでした。
  9. 奧村又十郎

    奧村委員 そういたしますと、同業組合諮問団体をつくる。しかしその団体税務署に対しての申告をする場合に、特に所得順位などをきめる場合は、その同業組合の役員を認めるのじやなしに、また税務署所得に対する申告申告案をつくる場合は、全然別途に何か委員会制度同業組合の中につくる、こういう御意見のように承ります。  それからいま一つお尋ねしたいのは非常に申告納税滯納が多い。これの一つ対策として貯蓄組合制度もつと強化したらどうか。この場合に同業組合貯蓄組合母体として利用したら非常に効果がある、こう考えるのですが、この点に対する御答弁を得たいと思います。
  10. 梅津勘藏

    梅津公述人 先ほど実は意見の際にそのことに触れるつもりでございましたが、時間の関係で省略したのでありまするが、納税組合はぜひ結成いたしたいと思つております。その納税組合地域別というようなああいう戰時中のやり方でなく、やはりこれは同業組合母体としてやつた方がいいのではないか。実は日本橋税納署におきましては、申告納税成績の悪いものにつきましては、そういう納税準備のないためのものが多いのでありますから、われわれ勤労者階級は苦しいながらもほとんど完納しておる。というのは、結局、大引きされておる結果である、かように考えまするので、普通の納税者といえども、平素から納税準備をいたしまするならば、おそらく滯納を防げるであろう、こう考えて、どうしても納税組合というような組織を持たなければならぬと考えまして、日本橋税務署におきましては同業組合を全部結成するということになつております。
  11. 宮腰喜助

    宮腰委員 ちよつと梅津さんにお尋ねしますが、これは所得税特例と関連のある点でございますが、現在各税務署法人会というものがあります。この法人会なるものは、おそらく法の規定によつて生れたものでなく、便宜上つくつた団体かと考えるのでありますが、ごく最近法人会事務担当者経理税務代理士と同様な仕事をする。そうして税務署内の吏員と結託しまして、いかがわしい問題が起きているということをたびたび聞きますが、今後この法人会税務署のうちに置いてやるのか、税務署のそとに置いた方がいいか、その点について一応伺いたいと思います。
  12. 梅津勘藏

    梅津公述人 法人会の問題になつたのでございますが、最近法人会が各地に生れたのでございますが、その法人会の生れた趣旨は私はかように解しておるのでございます。御承知のように法人申告納税制度でございます。しかるに法人申告納税制度施行以来その成績が、先ほど所得税の場合において申し上げましたと同様に、やはり芳ばしくない。ところが、その後税務署調査によりまして、更正決定を受けまして多額の追徴税あるいは加算税というものを、附加的にとられるということが多々ありますので、これを是正するにはどうしても正しい申告をしてもらう。それには組織の力によつて啓蒙して行かなくてはならぬということから、法人会というものが生れたものだと私は解しているのでございます。さような見地から、日本橋におきましては、先ほどの御質問にあつたような税務署吏員と結託してやるというような問題は全然ないのでございまして、正しく申告してもらうということにして、あくまでその線に沿つて指導しているのでございます。もしそういう実例がありましたならば、それは軌道はずれでございまして、われわれは断固として処分するつもりでございますが、さようなことはないと思います。
  13. 宮腰喜助

    宮腰委員 新しい税法がたびたび出て参りまして、税務署員もその解釈に非常にごくろうな勉強をしなければならぬと思うのでありますが、私は税務署の実際の実務を見てみますと、ほんとうにその税法教育を受けた人が、税法に関することについて納税者質疑行つても、自体法律を知らないために、一刀両断におどかしながら帰してしまうという例が非常に多いようです。そういう意味で、私は前の委員会でも、国税局の中に税務に対する教育班というものをつくりまして、各税務署を巡回して教育してほしい。現場の係長なり課長なりはとうていその指導に当れない。そういう意味で、税法教育をもう少し徹底させてほしい、また大衆にもう少し親切にしてほしいという希望があります。それにはどうしても税務署内に会議室なり適当な講演する場所をつくらなければいけませんが、この問題についてこれを国税局に再三お願いしておる次第でございますが、こういう点について署長さんはどういうお考えを持つておられますか。この税法教育が不十分なために、大衆に大分迷惑をかけておる事実がありますので、現場署長さんはこの点について特別なお考えがあると思いますが、その点について一点伺いたいと思います。
  14. 梅津勘藏

    梅津公述人 お答えいたします。まことにごもつともな御質問でございます。私ども税務官吏の、ことに若い経験のない税務官吏指導に対しましては、常に苦心いたしまして注意いたしておりますが、国税庁国税局におきましても、税務官吏素質向上につきましては非常な努力をいたされまして、時々講習会あるいは通信教育長期講習、また監督官制度がございまして、監督官が参りまして指導鞭撻をするということになつておるのでございまして、この点につきましては御質問者趣旨に合うように現在なりつつあるのではないか、かように考えております。
  15. 竹村奈良一

    竹村委員 先ほどから各業者別団体等をこしらえて、正直に申告するところの制度、しかもそういうことを国民に徹底させたい。これはごもつともだと思います。そこで私は徴收される側に立つておる立場から、ひとつお開きしたいのでございますが、もちろん国民税金を納めます場合において申告を正直にやりたい。これは初めからうそを言つてやろうというのは一部にはあるかもしれませんけれども、全体としてはそうではない。ところが正直に現在の税法に基いて詳しく申告いたしまして、そうして課税するとするならば、生活ができ得ないような部面がある。たとえば現在出されておりまするところの改正案にいたしましても、扶養控除の例では年に一万五千円、こうなつておる。これは前は一万二千円であつたのでありますけれども、三千円の増額になつております。扶養控除を一人当り一万五千円、これによつて一年間生活できるとは考えられない。従つてまず問題は、もちろんそういういろいろな団体等によつて啓蒙することも必要でありますけれども、根本的な問題はやはり正しく申告いたしましても、働いておつて税金拂つて生活が十分できる、最低生活が維持できる、この制度税制の面からやることが根本的な問題だと思いますが、徴收にあたつてそういう点について納税する人の面をつぶさに見ておられる署長さんは、一体どういうふうにお考えになつておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  16. 梅津勘藏

    梅津公述人 ただいまの問題は税法の問題のように思います。御趣旨は、正しく申告すれば生活ができないという御趣旨のようでございまするが、しかし私ども勤労者階級は、全面的に税法の定めるところに従いまして納めておるのでございます。勤労階級は正しく申告し、そうでない者は正しく申告しないということは、これははなはだよろしくないと思うのでございまして、もしそういう部面があるならば、これは税法上の問題であると思うのでございます。現在の税法下におきまして、勤労階級はいかに生活が苦しくとも完納しておる。しからば他の申告者におきましても、勤労所得階級のことをお思いくださいまして、やはり正しく申告するということにつきまして御努力願いたい、さように私はお答えしたいと思います。
  17. 竹村奈良一

    竹村委員 御説の通りです。しかし問題は、勤労者は全部完納しておる、こういうふうにおつしやいますが、やはり源泉課税の方におきましては、これは生活ができぬでも先にとられるからしかたがないので納めておる。得心して納めておるのではない。生活ができないけれどもしようがない。従つて問題のしわ寄せはどこへ行くかと申しますと、地方税に出ておる。地方税徴收成績を見ましても、はつきりしておる。一応の額は上つておると申しましても、そうではない。源泉課税においてはとられるから納めておりますが、地方税その他全般から見ますと拂えない。たとえば扶養控除一年間一万五千円ときめられた。これでは生活はできないと私は思うのでございますが、この点についてどういうお考えですか。
  18. 梅津勘藏

    梅津公述人 どうも税務署長としてのお答えする範囲ではないように思います。
  19. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ちよつと委員方々にお諮りいたしますが、公述人方々もせつかく御出席になつていろいろ御意見があると思います。あとで委員諸君質問を十分に許したいと存じますので、まず公述人の方の御意見発表を先にいたしたいと存じますが、さようとりはからうに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 御異議なしと認めます。それでは渡邊三知夫君
  21. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 まず第一に申し上げたいのは、公述人仕事は非常に重要な仕事だと思いますが、実は通知をいただいたのがきのうでありまして、きようすぐこのような重要なことについて、組織責任者と申しますか、労働者階級を代表して十二分に申し上げるという点から見ますと、今後通知してすぐ翌日というようなことは避けていただきたい。十分研究し、大衆の声を公述人として遺漏なくお伝えできるようにしていただきたいということを、まず最初にお願いしておきます。そのような事情でありまして、資料は非常にたくさんあるのでありますが、何分にも時間がありませんので、非常に雑駁なものにならざるを得ない。この点われわれとしては非常に残念に思いますが、一応與えられました時間内で意見を申し上げてみたいと思います。  まず第一に、昨日いただきました昭和二十五年度補正予算に伴う税制改革に関する要綱、昭和二十五年十一月、大蔵省主税局というこの印刷物を見ますと、ただいまも質疑応答ですでにおわかりのように、一応基礎控除あるいは扶養控除は若干増額といいますか、額が上つておりますが、大衆生活を見ますと、ほとんど問題にならないということがわれわれの率直な意見であります。法律によりまして減税するということは、われわれとしては非常に望ましいのでありますが、実態は生活から見まして、ほとんど問題にならないというような状態であります。まず物価でありますが、朝鮮事変後におきましても、すでに一般に三十数パーセント物価が上つておるといわれております。あるものは二倍というようなところまで上つておるものもあります。一例をあげますと、昨日調べてみましたが、七月の十八日に横浜で炭を一俵買つたところが二百六十円した。ところが十一月の二十日に同じ炭を買つたところが三百六十円した。すでに七月十八日から十一月二十日の間に四〇%上つておる。さらに現在一般大衆の中で言われておるが、炭が一俵四百円越えるというのが一般の声であります。炭のある正月をというのが、今の大衆の声になつて来ております。あるいは値上りしている、していないにかかわらず、必需品として買いたいけれども買えないという物がいろいろあるのであります。たとえばどこの親にしましても、子供に寒い目はさせたくないと思います。一例を子供用メリヤスのシヤツ一つ見ましても三百円以上、あるいは子供のたびが百四十円、おとなのたびが百六十円、これは一例でありますが、こういうような状態でありまして、この寒空にこの委員会室ではスチームが通つてぬくぬくとしておりますが、現在の一般大衆生活は、子供にたびをはかせることもできない、あるいはメリヤスのシヤツ一枚買つてやることもできないというのが現在の実情だと思います。米もあるいは新聞のようなものも、調べてみますと毎月々々上つておる。こういうように何もかもどんどん上つておる。しかもここでストツプするというのなら、まだ年を越すのに少しは気が楽になりますが、そうでもない。たとえば四百円以上もするというその炭が、山元では六十円くらいでたたいて買われている。つまり輸送がされていない。米も遅配が起きて来るだろうというようなことまで言われておる。こういうように非常に必要なものが輸送されないというようなことからしても、物価はどんどん上つて来ている。こういう状態から見ますと、今度出されました税というものは、大衆から見て非常に不満そのものであると言わざるを得ないのであります。それで一般の労働者は、どのような状態で働いているかということを一応申し上げてみたいと思います。     〔委員長退席、小山委員長代理着席〕  まず第一に、労働時間の問題でありますが、朝鮮戰争前からすでに戰争準備というようなかつこうで、どんどん労働が強化されて来ている。しかもこの労働の強化というのは、ただ單に労働時間が延長されているというだけでなくて、労働の密度そのものが非常に強化されて来ている。職業、徹夜、それから早出というように、特に最近の特需といわれる仕事をやつておるところにおいては、非常にひどいものであります。後ほど国鉄の代表も公述されると思いますが、たとえば国鉄の状態一つつてみましても、鶴見の操作場では戰時中でも一日五十分の入れかえであつた。ところが最近では、六十分ないし六十五分入れかえる、そうして一日の問に十里以上をかけ足でそういうことをやつているというように、われわれは報告を受けおります。あるいは製鉄所におきましても、あるいは造船関係におきましても、労働強化のために非常に多くの病人が出て来る。あるいは休む者が出て来る。そのためにヒロポンを打つて、何とかやつて行くというような悲惨な状態が出て来て、しかも会社側が、そういうようなことをこつそりやらしているというようなところすらも、報告に上つて来ております。このような状態で、非常にはげしい労働強化で、今までの食物ではとうていからだが維持できない。国鉄だけではなくて、今申し上げました鉄鋼関係あるいは造船関係、機械器具関係その他におきまして、呼吸器の患者が非常にふえるとか、あるいは目方が非常に減つて来ているというような報告は非常に多く出ております。それからそのような労働強化を受けて、身をすり減らして働いておりますから、必然に災害が非常にふえて参るわけであります。たとえばこの朝鮮戰争前におきましても、すでに八幡製鉄所におきましては、本年の一月から四月にかけての災害は、昨年の一年間にひとしいということが報告されております。最近の災害状況というものはものすごいものであつて、八幡製鉄創業以来のレコードができるというように言われている。これは一例でありますが、その他造船関係におきましても、もし時間があつて、あとで質問でもありましたら詳しく申し上げますが、それはそれはひどいものでありまして、中には発狂者が出るというような状態のところまで、われわれは報告を受けております。このように非常にひどい災害まで出して、昨年の数倍というような災害まで出して労働者が働いておる。しからば、その労働者にどれだけの待遇がされておるかと申しますと、これは実に驚くべきものであります。それは大体賃金でわかるのでありますが、たとえば自治労連関係、公務員関係の賃金を見ますと、最低は三千円、最高は三万二千円、それから国鉄関係でも、聞くところによりますと、最低四千円、最高二万五千円というように話を聞いております。最近は非常に傾斜がひどくなつて来ておる。上に非常に厚く、下に非常に薄い。それで平均貸金は、しからば、どのくらいかと申しますと、公務員の市関係の人たちで平均六千七百円から六千八百円、町村関係では五千円くらいだと言われております。ですから町村の最低というものはちよつと想像ができません。それから全官公関係、いわゆる官庁関係の平均でありますが、これはいわゆる六千三百円ベースであります。ところが、これは賃金の総額を総人員で割つたものでありまして、実態は、官庁では、聞くところによりますと、人件費という名目でなければ必要な物が買えない、そういうようなことで、人件費の名目でいろいろ買つてしまう。だから実際に支給されておる額は、六千三百円ベースと言つていながら、実際には平均五千八百円くらいきり支給されていないということが報告されております。それから五月八日、五千五百五十五名の首切りを出しました……。
  22. 小山長規

    小山委員長代理 渡邊君にちよつと申し上げますが、本論を進めていただきたいと思います。
  23. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 今、実態を話して行くわけですから……。
  24. 小山長規

    小山委員長代理 二十分しかありませんから……。
  25. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 日立で五千五百五十五名の首切りが出まして、現在どういうようになつて来ておるかと申しますと、賃金は七千四百円を九千四百円に値上げをすると、非常にありがたいことを会社が言つておるわけですが、あけてびつくりです。どういうようになるかというと、二割がよくて、八割の人たちはマイナス一四%になつておる。現在より一四%も減つてしまう。しかもその給料というのは、厚生資金や何かを給料の方にまわして来ますから、実費賃金はどんと減つてしまう。こういうような賃金というものが労働者に與えられ、しかも能率給あるいは請負制度というように、身をすり減らすような労働を押しつけておきながら、しかも生産が上つて来ると、その能率給をストツプしてしまつて、その平均で押えてしまうというようなことが、これはそこら中に出ておりますが、東芝にも出て来ておる。このような次第で、働けば働くほどひどい状態になるというのが、現在の労働者の状態であります。このようなひどい労働をどういうようなことで押しつけておるかというと、有名な国連協力、あるいは国連支持ということ、あるいは戰争景気で、ここでもうけなければいけないということで、労働者に押しつけて来ておりますが、資本家はこの戰争景気を利用して非常に尨大にもうけるけれども、労働者は今言つたように、ものすごい奴隷的な植民地的な状態に陥れられるような状態に来ております。でありますからわれわれとしましては、このような政府並びに資本家の連中のやつております——日本の人民の犠牲において、労働者、農民、中小企業者一般の人の犠牲において戰争を推進することによつて、戰争景気で自分たちはもうけて、非常に奴隷的、植民地的なものを一般の人たちに押しつける。あるいはもう民族の独立もない、植民地そのものである、このような政策の一環として出て来ておりますこのたびの税制改革に対しましては、われわれとしては断固とし反対せざるを得ない、こういうふうにわれわれは考えております。——時間がありますか。
  26. 小山長規

    小山委員長代理 よろしゆうございますけれども、本論に入つてください。     〔「かんじんな税金の話をしない」と呼ぶ者あり〕
  27. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 かんじんなことを申し上げたわけです。かんじんなことを言わないと言われるけれども、かんじんなことがそこにあるわけです。一面安くなつたというように宣伝はされるでしようけれども、われわれの生活は全然よくならない。惡くなつている。われわれは生活がよくなることを望んでいる。安心して働けるということを望んでおる。しかるに安心して働けない。戰争に持つて行かれるというような状態で、身をすり減らされるような、そういうような政策の一環として出されて来るこの税制というものに対しては、われわれは断固として反対せざるを得ないというのが本論であります。これが一番重要な本論であります。質問がありましたら、もつと詳しく細部にわたつてお答えしたいと思います。(拍手)
  28. 小山長規

    小山委員長代理 拍手は禁止します。  質問はあとで一括してお願いすることにいたしまして、続いて慶応大学教授、租税研究協会理事高木壽一君に御公述をお願いいたします。高木君。
  29. 高木壽一

    ○高木公述人 きようの委員会で、所得税を中心にして意見を述べよというお話でございまして、まかり出た次第であります。資料といたしましては、二十五年度補正予算に伴う税制改革に関する要綱という資料を頂戴いたしたわけであります。所得税を中心に、ことに給與所得の軽減ということが中心になつておるのでありますが、御承知通り、国税收入のうちの半分が所得税でありますし、さらにその半分が源泉課税の部分であります。そしてこのたびの財政演説にも、現状従つて国民の租税負担の軽減を行うということが、第一の項目にあげられております。またこの基礎控除の改訂及び扶養控除の改訂は、勤労所得のみならず、他の所得に対しても適用されるこの改正税法が、明年度から続いて行われるもりと存じまするので、この税法上の軽減が、実際に納税者にとつてどういう軽減になるかということを、概要考えたいと存じます。  国民租税負担の軽減をはかるということでございますれば、ことに納税者のうちで最も所得税の負担の重い人々の租税負担の軽減を、当然考えなければならぬかと思います。その税法改正に関する要綱の最後のページにございまする表を見ますると——このたびの給與所得税法改正につきましての所得税負担の軽減額の表でございまするが、標準家族のことを考えますと、月額一万円の所得者で、夫婦及び子供二人、現行の源泉徴收税額と、このたびの改正によります徴收税額というものとの差額が、二百三十円に相なつております。それから夫婦及び子供三人の場合は二百八十円の減税になつております、私は税法改正による軽減が、この小所得者に対しまする減税の限界効果考えます場合には、減税額を考えるべきだと思います。これは減税差額のすぐその次に軽減のパーセンテージが書いてあります。それは三三・六%と五七・九%と率が書いてありますが、この率は問題ではなくして、減る金額が問題であると考えなければならないと思います。金額におきましては二百八十円で、一万円の所得でありますから二・八%であります。これが、大蔵大臣も言われるように、主食に対する影響は一・四%であるとはつきりおつしやつている。そういたしますと、二・八%の中で一・四%すなわち半分は、当然主食の値上りで消えてしまう。もし生計費の中で主食の占める部分が六〇%といたしますと、他の部分の値上りは、先ほどもお話が出ましたけれども、一・四%どころではございませんから、二百八十円という減税の金額は、これで当然消えてしまいます。その点からいいまして、少くともこの改正所得税法案によりまして、標準価格として最低の部分を占めます所得層につきましては、これは税法上の軽減が実際上には消えてしまうということも考えられるのであります。  なおここで、これは皆様がお聞きの上で、学校の教師のへりくつではないかと思われる点があるかとも思いますが、その次のところをごらんいただくと、夫婦及び子供四人——日本の標準家族の構成は四・八人でありますが、夫婦及び子供四人の場合になりますと、減税差額が二百八十円。子供が三人の場合には二百八十円で、子供が四八であれば二号八十三円であります。税法上の改正におきましては、扶養控除は一人につき年額一万二千円から一万五千円まで引上げる、年額にして三千円引上げるという考慮が拂われているにもかかわらず、実際上の軽減は、子供一人ふえました場合には三円であります。今日の貨幣価値において、扶養家族一人ふえることによつて三円の軽減ということは、これは風味がないと思います。これは、税法上の軽減を考えておられることはもちろんでありますが、それが実際上には現われて来ないということを申し上げるのでありまして、扶養家族の増額をするということにおいては、もちろん賛成であることは申し上げるまでもありませんけれども、結果において、ここに三円しか現われて来ないということであります。そう申し上げますと、皆さんのうちには、それでもこれまで二百八十三円拂つて来たのが二百八十三円拂わなくなつたのだから、軽減じやないかとおつしやる方があるかもしれません。しかし私が申し上げますのは、扶養家族一人について三千円増額ざれるという考慮が税法上拂われておるにもかかわらず、実際上には、結果として扶養家族が一人ふえるごとによつて三円しか現われて来ない。年額三十六円しか現われて来ないということを申し上げたいと思うのであります。たいへんくどいようでありますが、念のために申し上げておきます。そういう次第で、この改正税法によりまして、最低の生計の一番苦しい人々の負担が軽くならないということを申し上げます。  さらに私どもの年齢——それほどの年ではありませんが、私どもの年齢といたしまして、現在の貨幣の金額の呼び声によりまして、実質上の判断が知らず知らずのうちにあいまいになつて来ることがありますが、月額一万円と申すと、戰前の購買力と比較いたしまして、かりに内輪に二百倍と考えましても五十円でございます。月額五十円足らずで、夫婦、子供が四人で生計を立てて、その上でもつて所得税を舞えというのはむりではないか。どうも今の金頭の呼び声によつてとかく判断があいまいにさせられるということとはあり得ることであります。五十円足らずで夫婦、子供四人を養つて、その上でもつて所得税の負担能力が少しでもあるという考え方は、考え直していただきたい。しからばどうするのか。お願いできれば今度の税法改正によりまして、扶養控除を一万二千円から一万五千円に引上げられましたが、これを一万八千円まで引上げていただきたい。これは大してむりをお願いするのではないと思うのであります。税收の必要ということが必ず言われますが、この問題は次に触れます。もしそれが行いにくいような事情がございまするならば、第二段のお願いとしては、この税法改正によりますと、いろいろな控除を差引きました後の課税所得五万円以下に対しては、現行の税率と同じく二〇%に相なつておりますが、これを一八%にしていただきたいと思います。最低税率を二%下げていただきたい。これも決して困難な——困難と申しますか、できないことではないと思います。それによつて最低課税所得者層の負担を、現在の生計費の実情に応じて少しでも軽くする。最低課税所得暦の課税所得五万円以下の者に対して二〇%という現行税率が、改正税法においてもそのまま二〇%になつておりますから、これを一八%にしていただきたいと思います。     〔小山委員長代理退席、委員長着席〕 しかしさようなことをいたしますと、税收入に影響を與え、所得税の收入の減收となるから、それは行いにくいというお話が必ず出るに違いありません。従つて税收入関係について申し上げます。これから私が長い数字を申し上げるのは、かえつて御迷惑でありましようが、若干の数字を申します。この数字は大蔵省で出されております二十五年度国の予算という、御承知のりつぱな研究書がございますが、その書物の四百六十二ページに出ておりまする数字を基礎にいたしまして申し上げます。これは私がかつてに申し上げる数字ではないのであります。大蔵省の刊行物に明記されておる数字でございます。それによりますると、御承知通り給與所得額の計算をいたしまして、九百八十三億というのが給與所得による所得税の收入として、二十五年度の予算に計上されておるわけであります。それでどういう計算を基礎としておる基礎数字かは、今申し上げました書物のその場所に出ております。この要綱によりますと、源泉課税による当初予算は九百八十三億でありますが、現行税法による場合の收入見込額は千二百三十九億余りになつております。この差額がこの要綱には出ておりませんが、簡單な計算をやつてみますと、自然増收による部分が二百五十大徳になります。もちろん差額でありますから、二百五十六億だけが、当初予算よりも現行税法のままでふえる見込額、すなわち自然増收であります。これを考えてみますと同時に、先ほど申しました昭和二十五年度の当初予算における給與所得に対する所得税收入は、課税所得額の九・九%、大体これは一人当りの所得金額に対する割合でありますが、それを考えまして、大体二百五十六億の自然増收があると、はつきりこの要綱で認めているのであります。それが一、二、三の三箇月間、これを仮に一年に延ばして考えると、それによつて大体日本国民所得の計算の方の数字を安本の調べによつて申しますと、暦年で勤労所得が一兆三千億と計算されておる。会計1度にいたしまして、一兆三千六百九十億円と計算されておる。現行税法昭和二十五年度の予算を編成しました当時の基礎数字に、このたびの改正基礎控除の二万五千円から三万円になつたこと、扶養控除の一万二千円から一万五千円になつたということを加味して計算いたしますと七千五百七億円、大体七千五百億円の給與所得額の増加になる。二十五年度の予算の基礎数字の勤労給與所得の総額は一兆六百八十二億円、それは先ほど申しました国の予算のうちの数字であります。その給與額に対しまして、かりにごく内輪に考えまして、給與所得が五千億円から六千億円増加する。それは先ほど申しましたように、この改正要綱によります数字から逆算した話であります。そう考えてみますと、もし納税人員にかわりがないといたしますれば、今度の改正税法による諸控除を差引いた課税所得額は八千億円増加いたします。しかしもし勤労所得がふえれば納税人員がふえますから、そのまま課税所得がふえるということにはなりませんしそれは基礎控除や勤労控除を受ける人が多くなりますから、課税所得の八千億円そのままふえません。ですから内輪に考えてみまして、六千億円ないし六千五百億円の給與所得の増加になる。その結果どうなるか。けさほど新聞で拝見したのですが、昨日この席でもつて平田主税局長が、明年度においては源泉所得税は三百億減税するというお見込みの御報告があつたわけです。私の考えますところでは、平田主税局長は内輪に見られたものだと思います。私は給與所得に対する課税所得が、ただいま申しましたような数字でもつて増加いたすと計算いたしますから、従つて明年度において源泉課税減税し得る分は三百億円を相当越えると思います。私は四百億は源泉課税は軽減し得ると思います。主税局長の御報告は、私は大事をとつて内輪に言つておると拝見いたします。そこでただいま申しましたように、たとえば扶養控除を今度の改正税法で一万五千円を一万八千円に引上げた。しかし五万円以下のものに対して現行二〇%というのは改正税法でも現行通りである。それでは私の申した軽減ができないという議論が出るかもしれません。そういう議論の出るのも十分理由があります。なぜならば、昭和二十五年度当初予算の編成の基礎数字を見ますと、課税所得の金額の総計は四千二百六十五億ありまして、五万円以下の分が千四百十三億でございますから、五万円以下の分が日本の課税所得構成の上においては、かなり大きな部分を占めておる。従つてこの部分を軽減しなければできないとおつしやる。しかし今申し上げたように、明年度においては現在よりも給與所得総額が増加し、従つて課税所得総額が増加する。そういたしますれば、ただいま申した給與所得について三百億の減税ができるという御報告は、内輪な堅実なお話だと思います。しかし私の計算では、三百億円以上に軽減ができる一判断いたします。その数字の基礎は私のかつてな数字でございませんで、大蔵省の刊行物に明記されておる数字であります。従つてその三百億円よりも多くなり得る余裕は、これはただいま申し上げましたように、最低の課税所得者暦の軽油に充て得る財源となすべきものである。従つて、私が先ほど申しました所得税の税收入の減退を来しては、全体の租税收入計画が立たないから、五万円以下の所得の分に対して、二〇%を一八%に税率を軽減することができないとか、あるいはまた扶養家族の控除額をさらに増額することはできないという御意見は、もしそれが税收入に大きく響くからという御意見ならば、それは私は成立たないと思います。しかも税收入に影響がたいならば、そうして国民の租税負担の軽減を行いたいという御趣旨ならば、たとえば大体夫婦、子供三人、四人、しかも戰前に比べれば五十円にしかならないような状態で、それだけの妻子を養つている。それだけの人に対しての租税の軽減額をもつと大きくして、そうして一番苦しんでいる人の負担を一番先に軽減するという方法をとるのが、税法上の軽減の本来の趣旨に沿うものだと私は思います。しかしまた次にそのようなことをすると、消費インフレを増加するじやないか、こういうお話があります。あるいは資本の蓄積の妨げになるじやないかというお話もおそらく出て参ります。しかしただいま申しましたように、最低の課税所得者、もつとその下に所得税の課税所得者暦に入らないで、物価の値上りだけによつて非常に苦しむ人が大勢あることはもちろんでありますが、ここで所得税だけの問題を限つて申しますれば、課税所得者層の最低の部分、先ほど申しました税法上の軽減も実際上の軽減にならないのでありますから、これについての軽減を御考慮いただきたいと思います。しかしこれらの課税所得者層はもう生活が一ぱいでありますから、もちろん少しでも楽になれば、子供にたといあめの一つでもあるいは牛乳の一ぱいでも飲ましたい。それを飲ませるようにするのが、税法上の改正の御趣旨であります。もしそれによつて消費インフレが増加するというならば、他の部分をお押えになればよろしいのだと私は思います。  それから資本の蓄積の関係のことでございます。これは日本の経済再建のために必要な産業資金は、原則として任意自発的貯蓄にまつというのが、明年度予算編成の閣議決定方針の中に明示されております。自発的貯蓄をどこに求むべきかと申しますれば、これは一般金融機関における貯蓄の増加であります。それから郵便貯金の増加による——ちよつと申し落しましたが、今度経済再建のために必要な産業資金は、原則として自発的貯蓄であります。しかしそれでも足らない場合には、見返り資金と預金部資金の効率的作用をはかるということが明記されている。御承知通り預金部資金の三分の二は郵便貯金であります。郵便貯金の大部分は小所得者層から出ている。そうすると郵便貯金はこれを自発的貯蓄による。しかも申し上げるまでもなく妻子をかかえていて、もちろん生計が一ぱいであるけれども、少しでも生計にくふうがつけば、これは少しでも妻子のことを考えるごくりちぎの人であるならば、これは当然少しずつでも郵便貯金の増加の方に加わつて行くものと思う。すなわち任意貯蓄の増加となり得るものと思う。荘から私は最低課税所得者層に対する税法上の軽減が、実質上の軽減になり得る措置をとることになるというのは、これはそれらの課税所得者層の人々の生活に、少しでも苦しさを除くと同時に、また自発的貯蓄の増加にも貢献し得るものと思う。さらに当然日本経済の自立というところへ、少しでも一歩でも進めようとするならば、これは現在の財政資金を通して行われる強制貯蓄によるよりも、少しずつでも自発的貯蓄の方へ道を進めなければならないということは、これは認めざるを得ないと思う。いつまでも現在のように財政資金を通して、たとえば最近できます輸出銀行、これは財政資金から供給される。御承知通り財政資金の八五%は租税及び租税に準ずる收入でありまして、一般会計の收入の八五%以上八五・六%が、租税及び租税に準ずる收入であります。この租税を通しての財政資金でありますから、これは強制貯蓄であります。また見返り資金におきましては三八%は輸入補給金でありまして、輸入補給金は一般会計から繰込まれるのでありますから、これは租税を財源とする一般会計の財政資金から繰込まれる。すなわち強制貯蓄のルートを通しての資金でありますから、これは現在の状態は産業資金の大部分が財政資金を通して、強制貯蓄の形を通して行われる。しかし日本経済の再建を少しでも進めようとするならば、これは自発的貯蓄の方へ向けなければならない。自発的貯蓄へ向けるとならば、これは一般金融機関の蓄積か、あるいは郵便貯金を通しての預金部資金にまたざるを得ないことになる。ことに今後対日援助が少くなるに従つて、見返り資金が減少するとなれば、一般金融機関の蓄積と預金部資金、ことに郵便貯金の増加にまたざるを得ない。そうすると小所得者層の課税、最低の者に対する減税は、郵便貯金の増加にも貢献することにもなり、生活の極度のきゆくつさを少しでも緩和することになる。その二つの点からも、小所得者層の最低の者に対する減税をお願い上ているわけであります。同時にまた今度の改正税法によりまして、税率において最高五十万円を越えるものに対して、五五%という最高税率が、百万円を越える金額に対して百分の五五と改正されました。この大所得者層に対する税率の軽減の唯一の根拠は、この五十万円を越える所得者層に対する部分から自発的貯蓄が必ず求められるという保証が與えられなければ納得できないと思う。御承知通りシヤウプ第二次勧告は、五十万円を越える所得者層に対して国税の所得税の最高税率が五五%、住民税が加わつて六四・九%になる、しかしこの限界税率効果、ことに投資意欲及び経営者としての地位を改善しようという意欲に対する効果考えておりますが、これは経営者としての地位を高めようとするその機会があるという人々にとつて、この課税の限界税率が妨害的な効果があるということはないと考えられますが、従つてあとに残る問題は投資に対する限界効果である。しかしシヤウプ・ミツシヨンは投資意欲を抑圧するような妨害的な圧力は、現在の日本においては強いとは思われないと、シヤウプ第二次報告に書いてある。シヤウプ第二次勧告は現在最高税率五五%、五十万円を越える者に対しての最高税率と地方住民税が加わつて六四・九%になつても投資意欲は阻害しない。従つてその課税所得者層における投資意欲は阻害しない。従つて任意自発的の貯蓄は阻害されない。こうシヤウプ第二次勧告は判断している。しかし今度の改正税法においては、そのシヤウプ第二次勧告の判断とは異なつて、五十万円を越える所得に対して五五%という税率を五〇%に軽減した。そして百万円を越える者に対して五五%、そこでその五五%を五〇%に軽減したその唯一の論拠は。その課税所得者層から自発的貯蓄を求め、従つてそれが産業資金となつて日本経済の再建に役立ち得るということが唯一の論拠である。もしその論拠がないとすれば、五十万円を越える所得がある人に対して、何もこの日本の現在の場合において、よけいぜいたくをしてもらうというそんな改正税法はありつこないのでありますから、唯一の論拠は自発的貯蓄をここに求めるという論拠になると思うのであります。しかしこの五十万円を越える課税所得というものが、先ほど申しました資料によりますと幾らあるかと申しますと、課税所得としては五十万円を越える部分は六十二億円しかないのでありまして、これはずいぶん少い見積りがしてあります。実際にはもつと多くなりましようし、今後の特需以来の状態においておそらくもつと多くなりましよう。その大きくなつた部分から当然産業資金の源泉となり得る自発的貯蓄をまたなければならぬ。もしこの自発的貯蓄が産業資金となるという保証がなければ、五十万円を越える部分に対する課税の軽減を承認する国民的理由はないと、私は考えておる次第でございます。  大分数字などを間にはさみましたので、さぞお聞き苦しかつたかと存じますが、これをもつて私の公述を終ります。
  30. 奧村又十郎

    奧村委員 ささいなことですが、先ほどの表に夫婦及び子供三人、この場合と、夫婦及び子供四人の場合、片一方は二百八十円の軽減、片一方は二百八十三円、わずかに子供一人の場合に三円しか軽減の率がかわらぬ、こういうことを言われましたが、これは当然すなわち一人子供がふえれば、一人に対して扶養控除が一万二千円から一万五千円になるのですから一三千円ふえる。従つて最低の税率として二割ですから三千円に対して年に六百円、これは当然六百円、夫婦子供四人の場合は軽減率がふえる。ところがこの夫婦子供四人の場合は税がゼロになるから、特にこれは三円しか出ておらぬので、実際はもつと多くの税がゼロになるのを比較なさるからこういう妙なことになるので、これは税金を国家からつけてやればともかくも、こういう例をおとりになつたのでは、これは多少不合理ではないか。これはどうですか。
  31. 高木壽一

    ○高木公述人 だたいまのお話の点、私率直に申します。そこに数字の魔術と申しますか、数字上の混乱が起る。これは零になるからと申しましても、零になつたのは二百八十三円零になつたのでございます。零にならずに一円残りましても十円残りましても、減つたものが問題なんであります。税法上は御趣旨通りであります。
  32. 奧村又十郎

    奧村委員 今度は政府から拂わねばならぬことになる。
  33. 高木壽一

    ○高木公述人 そうです。そういうことはできませんでしよう。だから少くなるのはこれだけ、従つて税法上の改正にはちやんと趣旨が現われている。御趣旨通り。実際上の結果においてはこうなります。ゼロになる。ゼロになる。あとにかりに十円残りましても減つたものが問題である。そういう趣旨でありますから、どうぞ御了解を願います。
  34. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次は西高雄君。
  35. 西高雄

    ○西公述人 国鉄労働組合の西でございます。先ほど金属の組合代表の方が申されましたが、やはり組合代表となると、先ほどの方が申されたように一応前段を申し上げざるを得ないと思います。そうして同じように言われましたが、この公述に出ろと言われたのはやはり私も俄然でありまして研究は足りません。しかしながらやはり直接関係のあるところの、利害関係者を招いて聞くということはけつこうでありますが、ただこうして聞いたという事実たけによつて、実際は大衆の軍を反映するに十分でないので、こうした形によつて開いたというのでなく、やはり事前的にもう少し研究のできるような機会を與えていただきたいと思います。  やはり実際に税金の納入に困るという実情は、地方税法の改正後非常に税金が納められなく、まつた生活に窮しているのがほとんどの現在の給料者であります。実質賃金の向上ということがよく言われておりますが、実質賃金を向上さすということは、やはり一般的に物品税その他税金を下げるということにあると思います。今高木先年が申されたように、基礎控除にしても扶養控除にしても、下げられるということはけつこうでありますが、この率にいたしましても先ほど扶養家族については一万八千円と言われましたが、五〇%として六千円の増と見て、それだけのことは適当ではなかろうかというふうに考えられます。基礎控除につきましては三〇%と見て三万二千五百円、この程度やはり増額をされなければならないのじやないかというふうに考えられます。そうして税率の問題について、現在八千円ベースにはまだなりませんけれども、八千円ベースを平均といたしましても、やはり十万円程度のところがまあ標準となると思う。やはりこれらの押え方が上になつたようで、一〇%ほどしか下つていないので、これらについても下の方がもう少し下げられていいんではないか、こういうふうに考えられます。物品税についても削除されているようにこの提案理由に説明されておりますが、これらについてはやはりもつ生活必需品という範囲を拡大して、生活必需品には一瞬課税しないのだという原則で行かれることがいいのではなかろうかと思います。あるいは砂糖、揮発油、酒類についても同じように言われますが、ただ所得税が一月から三月までと暫定的に言われておるので、これは四月以降になつたらほんとうにこういうふうになされて行くか、これが四月にはある程度改正されて行くという趣旨か、よくわかりませんが、これに限つて一月から三月までというふうに限定されておることは、どうも私どもは納得が行かないので、これをやはり一般と同じように恒久的な改正した制度をもつて行くべきだ。さらに四月に新しく改正されるという趣旨ならけつこうだと思います。  それから私たち国鉄代表でございまして、羽衣の労働強化について先ほど言われましたが、朝鮮事変の勃発に伴いまして、單に国鉄の例をとつてみましても、相当列車の増発があり、進駐軍輸送に労働強化が伴つております。しかしながらこれに伴う給與というものは、給與財源がわからないので一向にふえておりません。そうした場合に、実質的には労働賃金というものは時間單価にして相当低下されているという事実であります。その点について最近裁定の問題がよく起つておりまして、大蔵委員の諸先生方は十分討議をなされていると思いますけれども、今回の公務員のベース改訂にいたしましても、あるいは公共企業体のベース改訂にいたしましても、人事院の勧告があつても、それか單なる勧告に終つて、何ら実を結んでいないという実情であります。さらに国鉄におきましては、国鉄の裁定がはつきり出されておるにもかかわらず、これらが審議はされておるけれども、一向に結論を見ないで、いつも継続審議、継続審議でやられるという事態は、あまりにも直接利害関係のある国鉄あたりの職員にとつては、苦しい実情であります。ことに今回の一箇月分の年末一時金にいたしましても、公務員についての年末一時金は一箇月分が半箇月になりましたが、これに伴つて国鉄も半箇月分だということを言われております。しかし国鉄の年末一時金は年末一時金という形でなくて、当然裁定からして今年の四月から八千二百円ベースにべ一スが改訂されるべきだと言われておるわけであります。それがただそのように形がかわつたというのであつて、余分にもらうものではない。こういう点についても十分諸先生方の御理解を願いたいと思います。  次に所得税の対象となる退職金、あるいは共済組合恩給の給付の問題に対して、課税をされているという事実であります。退職金とか共済組合あるいは厚生年金その他の社会保險からする給付に対する課税がなされております。しかしながら私たちはこの社会保險が強制加入であること、あるいはこれに国家負担が伴うということから、これらの社会保險的なものに対して課税をすることはあり得ないと思う。その中でほとんどは課税がなくなつておりますけれども、たとえば退職給付とか、あるいは休業手当金とか、こうしたものに対して依然として課税されております。このように強制的に義務的に加入する社会保險から受ける給付が、退職金あるいは休業手当金に限つて依然として課税の対象になつておることは、どうも矛盾であると考えます。そして近く社会保障制度の勧告も出、これに対して先生方の御討議がなされることでありましようけれども、現在の国民生活の実質賃金の向上というものも、やはり現在の国民生活を社会的に国並びに社会が連帯の責任を持つてその生活を保障してやるんだ、こうした立場において社会保障の勧告がなされておるのであります。これらについてもやはり国民の実質賃金の向上は、この面に対して相当強力に行われなければならないと思います。その意味でぜひともこれらに伴つて改正の点にもう一歩進めて、社会保險的な給付に対しては一切の課税をしない。つまり貯蓄的な、自分が納入しておるというものに対してかけられておる一あるいは一つの理由には国庫の負担金があるから、これに対して課税しているのだというりくつもありましよう。しかしながら一般の任意加入と違つて強制加入であるので、この点は自分の貯蓄とみなして、この点に対しては課税をされないしいう原則で行かなければならないと思います。簡單でございますが、以上で終ります。
  36. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 次は稻川宮雄
  37. 稻川宮雄

    ○稻川公述人 日本中小企業連盟の稲川でございます。今般の補正予算に伴う税制改正に関しまして、中小企業の立場から意見並びに希望を申し述べたいと存じます。問題になつております税法の中で、揮発油税並びに砂糖消費税につきましてはその税率が低くなり、従つて価格もそれだけ安くなるという点において、きわめてけつこうであると賛成を申し上げる以外に、特に申し上げるべきこともございませんので、その他の点につきまして申し述べたいと存じます。  第一に所得税関係でございますが、今回の改正の案によりますと、まず第一に基礎控除が現行二万五千円から年二万円に増額するということは、もちろん控除の増額でございますからけつこうでございます。しかしながら中小企業の立場から考えますと、これではなお低きに過ぎると考えますので、将来ぜひともこれを引上げていただきたいという希望を持つております。この前の税制改正のときにも私公聽会出席させていただきまして、意見を申し述べたのでございますが、そのときも申し上げましたように、戰前昭和初期におきまして、その当時の基礎控除は年千二百円でございました。その当時は対米為替が一ドル一円の当時でありました。最近において一ドル三百六十円といたしますと、当時の基礎控除は二十一万六千円ということになるわけでございます。かりに物価が当時から二百倍に上つておると仮定いたしますと、その当時の基礎控除は、今日から考えますと二十四万円の基礎控除ということになるわけであります。諸般の情勢から考えまして、その当時と同じような基礎控除考えることができないことは当然であろうと思いますが、それにいたしましても、基礎控除は低きに過ぎますので、私どもの連盟におきましては、最低年六万円程度まで基礎控除を引上げていただきたいという要望を持つておるのでございます。  次に扶養控除につきましても同様でございまして、扶養控除が引上げられることは非常にけつこうでございますが、なおこれを引上げていただきたいという希望を持つております。少くとも年額にいたしまして二万円から二万五千円程度まで引上げていただきたいというふうに考えております。  次に税率改正でございますが、税率が若干引下げられるということ、並びに最高が従来の五十万円超が五五%というのを、百万円超五五%になつているようでございますが、これは従来から私どもの主張して参りました点てございまして、この点につきましても賛意を表しますが、やはり将来におきましては税率を引下げていただきたいということを考えております。最高の点につきましては大体この程度でよろしいかと考えておりますが、低い方につきましては、もつと大幅な税率の引下げをお願いいたしたいというように考えておるわけでございます。それから所得税申告納税に関し、確定申告書提出期限及び納付期限を、一月延弱いたしまして二月末日にしたということは、これもまことに実情に沿う改正案であるというように考えております。  以上は所得税に関しまする今般の改正案についての意見でございますが、なおこの機会にこれに関連いたしまして、所得税一般についての他の希望を申し述べるお許しをいただきたいと存じます。  その第一は先般のシヤウプ第二次勧告にございましたように、農民及び漁民が、純所得の一割の勤労控除を與えられるべきことを勧告する、こういうことがございます。私どもは従来勤労者に対しまして一割五分の控除があり、また今般農漁民に対しまして、一割の勤労控除を勧告されたということにつきまして一別段の異議を持つものではございません。しかしながらなぜ中小企業のみがそういう特典にあずかれないのかということにつきまして、非常なる疑問を持つておるわけでございます。申し上げるまでもなく、中小企業は別に大きな資本を持つて、その利潤によつて生活するというものではなしに、朝早くから夜おそくまで働きまして、その得る收入というものはほとんど勤労からなつておるものでございます。それは労働者が工場に行つて働く場合とほとんど違わない。零細な企業につきましては、たとえば大工にいたしましても、左官にいたしましても、あるいは修繕業にいたしましても、ほとんどその勤労から收入を得ておる。中には極端な例で申しますならば、てんびん棒一つを資本にいたしまして、朝暗いうちから夜暗くなるまで働いて、その收入によつて生活をしておるという者に対しまして、何らの勤労控除も認められていないのであります。自家用車を乗りまわしておる者でも、それが給與所得でありますならば勤労控除があるにかかわらず、中小企業なるがゆえに、商工業なるがゆえに、そういう特別の控除が認められないということは、きわめて不公平であるという考えを持つておるのであります。なぜ今回のシヤウプ勧告において、特に中小企業に触れておられないかということについて推測しますのに、給與所得でありますと、源泉徴收でありますからはつきりいたしておりますが、中小商工業の場合には申告納税でありまして、その申告成績が非常に惡い。また滞納が相当に多いということが、その原因ではないかと考えるのでございます。遺憾ながら申告成績が惡く、滞納が多いということは事実でございます。しかしながらなぜ申告が惡いか、なぜ滞納が多いかということは、一面から考えますならば税率が高いからであります。中小企業はいろいろな面において非常に不利な課税を受けておるということが、その一つの理由でございます。また一面一まじめに納税をしておる者から考えますれば、自分はまじめに申告をし、まじめに納税をしておるにかかわらず、一般申告成績が惡いからというので、勤労控除の特典を受けられないということの説明にはならないのであります。一体この中小企業は地方税の関係においてもそうでございますが、事業税、将来の附加価値税というようなものについて考えましても、農林畜産業についてはこれがかかつて参りませんが、商工業にのみこれがかかつて来る。府県税のほとんど大部分は商工業者が負担しなければならないという現状になつておるのであります。住民税の関係について申し上げましても、中小の企業者には非常に住民税が重くなつて来る。十億円の会社でもあるいは十九万五千円の会社でも、その住民税は同じ均等割であるというようなことにもなつて来るのであります。私どもは中小企業であるから特別優遇しなければならぬという考えは持つておりませんけれども、中小企業でありましても、他の産業者と同じやうなな課税をもつて臨まれるのが至当ではないか、こういうやうに考えておるわけでございます。中小企業がわが国の産業の発展の上において、いかに重要な地位を占めておるか、その生産額において、貿易額において、また民生の安定の上においてどのような地位を占めておるかということは、ここで私から申し上げる必要はないと存じます。幸いに最近におきましては中小企業の振興とか発展とかいうことが、各方面において非常に論議されておりますことは、まことに喜ばしいことだと考えておりますが、しかしながら口で中小企業にありがたいことを言つてもらいましても、現実の面では金融でも、ただいまの課税の面でも、非常な差別待遇を受けておる。こういう感じを抱かざるを得ないのであります。どうかそういう意味におきまして、中小企業なるがゆえに特別の補助育成ということではなしに、公平なるお取扱いをお願いいたしたいと考えるのでございます。  次に所得税の関係につきまして、現在は権利が発生したときにそれに対して課税されるということになつておりますが、代金の未回收であるものに対しましても課税されます。それが将来企業といたしまして損失になるものにさえも課税されるということになりますので、これは発生主義でなしに、現金主義に直していただくことが必要ではないかと考えております。月賦販売などが今後行われますと、やはりこういうことが問題になつて行くのではないと思つております。  次に所得税の関係につきまして特にお願い申し上げたいと存じますのは、青色申告制度に関する事柄でありまして、青色申告は中小企業の税問題を解決する上において、きわめて適当なる制度であると考えておるにかかわらず、その成績はきわめて不良でありまして、個人においてわずかに七%、法人において四七%の申告にすぎないのであります。なぜこんなに成績が惡かつたかということにつきましては、第一に帳簿組織がきわめて複雑であるということであります。ある業者は、こんなむずかしい帳簿ならば、複式簿記の方がやさしいということを言つておるのでありまして、非常にむずかしい。中小企業者はなかなか帳簿がつけられませんので、できれば今度のシヤウプ勧告にもありますように、伝票等の原始記録あるいは簡單な様式の帳簿を認めて行くことが、第一に必要ではないかと思います。  第二には、国税庁とか国税局ではそうではございませんが、末端の——末端と申しますと語弊があるかもしれませんが、第一線の税務当局におきまして非常に無理解なところがある。全部が全部とは申しませんが、非常に無理解なところがありまして、青色申告の相談に参りましても、それはやらない方がためであるというようなことで一蹴される。それでやらないということが一般の例でありまして、そういうようなことのないように指導していただきたいと考えるのであります。  第三点といたしまして、青色申告をいたしました者には消極的な特典が與えられております。たとえば帳簿を見なければ更正決定ができないというような特典がございます。さらにこの黄色申告制度を伸ばしますために、もつと積極的な特典が考えられないかと思うのでございます。きわめてとつぴな意見のようでございますが、私どもは青色申告をいたしましてまじめに納税した者に対しては、報奨制度として一割か二割の天引き課税をしてもいいのではないか、そういうふうにいたしましても、決して全体の税收入というものは減るものではない。また税務行政の簡素化によりまして、相当の経費がこれによつて節減されるというふうに考えられますので、そういつた報奨制度を青色申告にとつていただくということが、青色申告を伸ばし、従つてまた中小企業の納税を、きわめて適切明朗にするものではないかというように考える次第でございます。  さらに所得税関係につきまして最後に一言申し上げたいと思いますることは、中小企業に関しましてはいかに税制改正されましても、それだけでは問題の最後の解決にはならないということでございます。と申しますのは、第一線の税務当局の主観と申しますか、手心、査定というものが中小企業には相当に加わつて参ります。たとえば税率が下りましても、手心の加え方によつては決して楽にならないという面があるのであります。つまり税制改正していただきますると同時に、税務行政の面におきましても、税務官吏素質の向上でありますとか、あるいは中小企業に対する理解であるとか、そういうような面についての改革が必要ではないかと思つております。たとえば従来零細な業者は企業組合というものを結成いたしまして、自分の営業を廃止上て、全業組合によつて合同して、徹底的な経営の合理化を行おううといような風潮が見られておるのでありまするが、こういう企業組合に対しまして、税務署はこれを脱税組合として、非常に冷たい目をもつて見るという傾向が強いのであります。これにつきましては、最近国税庁からその課税方針が示されましたので、問題は解決したようでございますが、しかしながらその通達の解釈のしようによりましては、どういうふうにでも解釈ができるということになつて参りまして、問題は税制ではなしに、税務行政であるという感じを非常に強くいたしまするので、こういう点もあわせて今後の施策の上に、お考えをいただきたいと考えるのでございます。次に物品税の関係でございますが、物品税が提案されまするのかどうか、つまびらかにいたしませんが、ぜひともこの物品税というものは改正をしていただきたい。できるならば、われわれはその全廃を希望いたしております。それが大衆課税になるということ、また中小企業に対しましては、これを転嫁し得る性質のものでありますけれどもやはり大きな負担になつて来るということ、あるいは派生的な問題といたしまして、物品税があるために正直者がばかを見る。ことにその税率が現在のように高い場合には、脱税をする者と、まじめに納める者との差が非常にはなはだしくなつて参りまして、正直者がやつて行けないというような問題も生じて参りますので、できればこれを全廃していただきたい。しかしながら全廃が不可能でありまする場合には、漸次これを軽減し、将来撤廃に導いて行くということ、あるいは最高の税率はかりに撤廃はできなくても、三割程度にとどめるということが必要ではないかと考えております。それからこれを行う以上は、取締りは厳重公正に行わなければならないということであります。先ほども申し上げましたように、一方において物品税を脱税する者がありました場合には、とうてい公正な競争ができないことになつて参りまして、正直者がやつて行けないという結果を生じますので、これを行います以上は、取締りは公正厳重でなければならないというふうに考えております。  もう一点は、奢侈品とかぜいたく品につきまして税率が重いのでありまするが、これは奢侈品とかぜいたく品という戰時中の観念が、いまだに残つておるのではないかというように考えられる点であります。これは漸次修正されて来ておるようではございますが、なお整理を必要とする面があるのではないか。たとえば化粧品のごときは、戰争中は不急不要品であつたかもしれませんけれども、今日化粧品を使うなというようなことは、これは言う方がやぼな話でありまして、ほとんど生活必需品に入つて来ておるというふうにも見られるのでありますから、そういうような点で整理を必要とするのではないかと考えております。なお物品税につきましては、納期が最初庫出し後一箇月でありまして、その後二箇月に改正されましたが、庫出しをいたしましてから代金を回收するまでには、どうしても最低三箇月を要しますので、これは三箇月にしていただくということが必要だろうと思つております。  それから国債などの供託によつて、一箇月の延納が認められておるのでございますが、国債が最近においては非常に拂底いたしておりますので、従来の酒税あるいは今回の砂糖消費税あるいは揮発油税の改正にありまするように、地方債とか社債等をもつてそれに充てるというような方法に切りかえていただくことが、必要だろうと考えております。  それから酒税の関係でありますが、これにつきましては特に申し上げる意見はございませんが、ただ一点、私ども従来関係業者意見を総合いたしますると、さらに税率を下げた方が——今度も相当下つておりますけれども、さらに下げましても、税收入全体は決して減らない。むしろ密造を防ぐことによつて税收が上るという見解を持つておりまして、将来におきましてさらにその引下げを希望するものでございます。  以上きわめて大まかでございまするが、中小企業者といたしまして、税制につきましての意見を申し上げた次第でございます。
  38. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 質疑を許します。質疑を行う万は答弁なさる公述人を御指名願います。
  39. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それでは私は梅津署長に三点伺います。順次一点ずつ伺いますから簡單にお答えを願います。  ただいま第一線の税務行政の担当者として、日本橋税務署長がおいでになりましたが、私の持論として大蔵省にも聞いたことでありますが、今度は第一線の梅津さんの感想を承れればけつこうです。今国税局調査査察部というのがありまして、調査の方は、各税務署の管内でありましても、三百万円以上の大会社とか、あるいは百万円以上の所得者に対しては、やつておるのであります。そして調査と査察の両方ありまするが、これはむしろ査察部の方は廃止してしまつて調査部の方もその職員を税務署に配置した方がいいと思いまするが、署長はどういうふうに考えておりますか。第一線の実例から考えまして、思うことを率直に言つていただきたい。
  40. 梅津勘藏

    梅津公述人 私にとりましてはまことに重大な御質問でございまして、答弁に苦しむのであります。しかしせつかくの御質問でございまするから、私の感想を率直に申し上げます。  調査査察部ができましたのは、皆様承知のように司令部の覚書によつて日本税務機構の改革の一端として創設されたものと思うのでございます。終戰後納税者実情を見ますると、正しく申告する者も相当あるのでございまするが、いろいろのことによりまして相当な所得を獲得した者が——はなはだどうも申し上げにくいのでございまするが、いわゆる脱税行為が各方面に行われたという事情によりまして、正しき申告納税制度を発達させるため、また国家財政の現状より見ましても、これでは許されない。時あたかも第一線の税務当局の陣容が薄弱でございまして、これらの免れた所得者を追究する能力が乏しかつたということによりまして、これらの制度ができたのだろうと思うのでございます。その結果相当の脱税者を摘発して、相当の効果をあげたことは皆様承知通りだと思います。私といたしましては、これが日本実情から見まして永久的の制反かどうかということにつきましては、疑問を持つておるのでございます。日本実情から見まするならば、調査、査察のうち、調査課は先ほど御質問がございましたように。対象はただいまは個人新得は八十万以上、法人所得二百万以上というものを担当いたしておるのでございます。調査査察部はそういう限界はなく、脱税者に対しましてその端緒を得れば、調査査察部が活動いたしまして、これを摘発するという制度になつておるのでございますが、調査査察部は当分まだ存続する必要があるのじやないか。調査課は適当な機会におきましては税務署に配置して、税務署にまかせてもさしつかえないのではないか。その上に国税局の直税部、間税部、あるいは国税庁の直税部、間税部というその部におきまして監督したならば、むしろうまく行くのではないかということを考えておるのでございます。
  41. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 第二点は税務署を視察しますると——私ども東北地方も北海道地かもまわりましたが、やはり二十二、三歳の職員が中心になつてつております。これらの者が往々にいたしまして、間違つて決定した場合には行き過ぎ等がありますから、再調査もしくは審査請求等があつた場合には、極力早く片づけてもらいたいというために、日本橋署長は第一線に立つてこれを解決しておられるのでありますが、どうかむずかしい問題は署長、課長が直接第一線に立つてこれを解決するという線を強く出してもらいたいと思いまするが、署長の感想を承りたい。
  42. 梅津勘藏

    梅津公述人 はなはだごもつともな御質問でございます。私はそういう御質問のないようにやつておるつもりでございます。
  43. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の署長の言によりまして、みずから解決するという熱意を示されましてまことにけつこうです。どうか全署長がそういう気持を持つて解決に当られんことを希望いたします。  第三点、負担の公平を期するために税務署もよく調べまするとともに、地方税が書くなりましたからして、地方事務所といういわゆる地方の税務事務所ができまして、たとえば東京におきましてたくさんできたわけでありますが、国税を納めますところの事務所と、地方税をとります地方の税務事務所とが緊密なる連絡をとつて相互に遺憾のないようにしてもらいたいと思います。それにつきましては、最も移動等をはつきりさせるために、税籍簿を国税の方も地方税の方もびつたりと合うように設定いたしましてやつたならば、負担公正が期せられると思いますが、第一線の代表的税務署長梅津署長の感想を承りたい。
  44. 梅津勘藏

    梅津公述人 はなはだ恐縮に存じます。まことに適切な御質問でございます。納税は国税、地方税とも——もちろん私は国税を担当いたしておるのでございますが、納める方になれば国税も地方税もございません。出すふところは同じでございます。でありまするから、地方税におきましても、適正な納税をしていただくように私は念願しておるのでございます。そういう見地から甘木橋といたしましては、地方事務所と密接なる連絡をとりましてやつております。この間も懇談会を開きましてお互いに助け合い、協力し合うということでやつておるつもりでございます。
  45. 天野久

    ○天野(久)委員 私は第一番に稻川公述人にお尋ねいたしたい。中小企業者税率を下げられても、税務署のいわゆる査定と申しましようか、手かげんによつて何ら恩恵をこうむらない。これはまことにごもつともな話であります。この一般社会にあつて税の決定ということに対しては、中小企業者ほど不遇な立場のものはなく、またそこに何とも言われない混乱と申しましようか、税の基礎のつかみにくい商売をしております。そこで稻川君の言われる通り、中小企業者の課税に対して非常なむずかじさがある。これに対していかなる方法をとつたらよいかというん、何かほかに腹案がありましたら承りたいと思います。
  46. 稻川宮雄

    ○稻川公述人 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。私どもは中小企業の税金問題を解決いたしますためには、どうしても青色申告制度というものを普及することが、最も必要であろうというふうに考えております。同時にただいまガラス張り経営ということがとなえられておりますが、ガラス張りの経営をいたしまして全部内容を、税務署はもちろん他にも公開する。いわゆる公開経営の指導を今後政府におきましても相当積極的にやつていただくということが、必要ではないかというふうに考えております。
  47. 天野久

    ○天野(久)委員 そこで梅津署長にお伺いしたい。これは先ほど実は同僚宮腰委員質問で触れたと思いますが、非常に中小企業者にとつて関係の深いことでありますので、いま一つお尋ねしております。今申告制度と言われておりますが、中小企業者にはおそらく申告制度はあり得ないと思います。それはなぜかと申しますと、所得申告をいたしましても、おそらく税務署はそれを受入れない。更正決定によつてきめられる。こういうことが現実の問題であります。そこでこれはある地方に起つた昨年の問題でありますが、国税庁から参りまして二、三の人たちを調べて、そうして税務署に帰つて、ぼくらが行くとこれほど收入が発見されるではないか。お前たちは何をまごまごしておるのだということから、一躍倍、三倍という更正決定を出した。その結果は業者が総立ちとなつて、そういうことをされては困るということで、私が中に入つたことがありますが、その調査たるやまことにずさんきわまるものであつて医者のところに行つてカルテを二、三枚ひつくり返して、お前の收入はこんなにあるじやないか。またある書店、文房具店でありますが、その家に参りまして、全部の財産を出しても足らないような課税をした、こういう現実があります。そうして印税庁に参りましたが、国税庁の人と、それから調べられた人と、二人が対立して話を聞かなければ、どちらがほんとうであるかわからないというので、調べた人を出してくれといつたところが、とうとう出張中とか何とかで、お調べに行つた方は出なかつた。そこでいろいろ話をして、大体納得行くところまで下げてもらつたという現実なのであります。中小企業者の現実は、まことに苦しいものである。そこでつまり税務署吏員の査定の教育ということ、あるいはいま少し常識を高めていただくということに対して、何かいま少し積極的な突き進んだ方法をお考えであるかどうかということを、ひとつお尋ねいたしたいと思います。
  48. 梅津勘藏

    梅津公述人 第一線の税務署長として申し上げます。御質問はむしろ税務署長というよりも、国税庁あるいは国税に関する問題が多いと存じますが、税務署長の立場から申しますと、ただいまの御質問まことにごもつともでございます。先ほども申し上げましたように、税務官吏納税者との間に非常なトラブルが多いということは、いろいろあるのでございますが、税務署側におきましても、終戰後経験のない若い吏員を多数採用したということによりまして、納税者方々に御迷惑をかけたこともあるようでございますので、ただいまは極力さようなことのないように、よく納税者意見を聞き、納税者実情を十分把握するようになるように、私どもといたしましては常に指導訓練を怠つておらない。日本橋税務署といたしましては、最近いろいろの外部の情勢を聞くのでありますが、非常によくなつたということを開いておるのでございまして、さような御非難のないように、要は私ども職員といたしましては適正な課税をする、むりな課税をしない、正しい課税をすると同時に、納税者方々から正しく申告してもらうということにつきまして、納税者並びに税務吏員双方に対しまして、大努力をもちまして今盛んに教育している次第であります。
  49. 米原昶

    ○米原委員 私は全部の公述人の方にお伺いしたい点があるわけですが、それは先ほど竹村委員からも質問されました基本的な点であります。梅津署長さんはその点は署長さんの関係で御返答できないということでありましたから、その他の方にお伺いしたいわけですが、大体基礎控除が年三万円、扶養控除が年一万五千円、これで食えるか、この問題です。結局これが解決つかぬと、中小企業の方も正直に申告すればかえつて税金が重くなる。実際上税金が抑えないという現状になつている根本原因がそこにあると、われわれは考えているわけです。この点について、この程度の控除でほんとうに食えるのかどうか、この点を率直に、ひとつみなの御意見を聞きたいわけです。ひとつ一人ずつこの点について伺いたい。
  50. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 食えません。今の政府のやつているやり方は、戰争経済といいますか、軍需工業をやつて、やらずふんだくりというやり方をやつておるわけです。頭から控除上てしまうから控除できるわけですが、これをちやんと渡しておいて、そうして任意に納めろといつたら、おそらくほとんどゼロにひとしいような結果が出て来ると思うのです。おひざ元の東京都をとつてみましても、地方税の納入率は第一期分が三〇%だと言われておる。非常に税を納めることに関してはよく教育されて——まじめな日本人です。決して税をボイコツトしようというような考えはおそらくだれもないと思うのですが、さかさに振つても血も出ないような現実では、そういうように任意に納めるというようなことでは、やはり三〇%というような結果が出て来る、こういうような状態だと思います。たとえば米の配給所の様子でありますが、とにかく現在半月くらいは米、あとは紛あるいは麦という配給のところがあるわけですが、そういうようなところを調べて見ましてもとれない。配給日に米や粉や友の配給がとれない。それならぜいたくしておつて、とらなくても食つて行けるかというと、そうでなくて、配給をとらなければ食つて行けない。だから近所隣を歩いて米を借りる、あるいは金を借りてとりに行くかあるいは米を借りて、何とか給料が出るまで待つ、こういうような現状が今の労働者のほとんど全部の状態であります。でありますから、基礎控除三万円、扶養控除一万五千円、こういうような状態では決して食つて行けない、これではだめだというのが率直な現在の状況ではないかと、こう思うわけです。
  51. 米原昶

    ○米原委員 ではひとつ中小企業の稻川さんの御意見を伺います。
  52. 稻川宮雄

    ○稻川公述人 中小企業と申しましても範囲が広うございますので、一がいには申し上げられませんが、しかし零細な企業につきましては、この程度基礎控除なり扶養控除では生活が非常に困難でございます。従いまして先ほども申し上げましたように、少くとも基礎控除におきまして年六万円、扶養控除におきまして年二方四、五千円というような線まで引上げていただきたい、こういう希望を持つております。
  53. 米原昶

    ○米原委員 次の質問に移りますが、稻川さんにお伺いしたい。実は昨日この委員会で、主税局長が特需景気に関連して、来年度の所得は二〇%から二五%くらい大体増加するだろうというようなお話があつた。そういうふうに当局の方は見ておられるわけですが、この特需景気——先ほど渡邊さんからもお話がありましたが、軍需工業の方面では非常に利潤を上げておる。場所によつては戰後の三箇年の間の利益に対して、朝鮮事変つて以来三箇月の間に、その十倍くらいの利益を上げたという例などを聞いておりますが、そういうのと、一方ではそれを合せて沖均しで二〇%から二五%上つた。ところがこれに実際に税金をかけるということになつて来ますと、はたしてそういう特需景気でもうけておる軍需工業だけに税金がぐつとふえて行くよりは、それが平均して今までの中小企業にかかつて来るように思うのです。この点をわれわれ昨日の質問から非常に不安を感じておるわけですが、この事変後中小企業の方で、はたして現在の情勢から行つて来年二〇%から二五%も所得が上るというようなことが考えられるかどうか。実際の状態はどういうような状態になつておりますか。
  54. 稻川宮雄

    ○稻川公述人 お答え申し上げます。特需景気によりまして一部には非常な景気が出ておるようでございますが、これはいわゆる破行景気でございまして、中小企業方面には景気は出ておりません。従来非常に惡かつた機械、金属方面にやや潤つて来ておりますが、しかしこれも仕事が最近は出て来たという程度で、收入その他の面においてはそんなに増額になつておりません。それは親会社等の支拂いが非常に遅延しておるということ、原料高の製品安であるということ、徴税攻勢が非常に強いということ。中にはかえつて特需景気が出たために、つぶれる中小企業も相当にあります。たとえば木材関係などにはそういう関係が多いのであります。現金取引でないと仕入れができないために、遂に最近においては破産したというような例も相当にあるのでございます。そういうわけで、中小企業関係は一般的に申しまして、特需景気のために非常に潤つておるということはございません。むしろ逆に非常に金融が梗塞して来るというのが現実の姿でございます。しかしながら今後朝鮮事変の発展いかんによりましては、中小企業にももう少し全体的な潤いが来るのではないかということを期待いたしておりますが、従来の段階におきましては、中小企業は一般には潤つて来ていない現状でございます。
  55. 米原昶

    ○米原委員 梅津さんにお聞きします。この改正所得税申告納税確定申告書の期限が一箇月延長されておるわけであります。これは法的にはこうなつておりますが、実際にこれを実行される税務署当局のやり方が非常に問題になると思う。昨年の場合にも、この一箇月間に内示額を税務署の方から出して来て、これをのまないと更正決定するのだ、こういうふうなやり方でやられたために、非常に業者が苦しんだわけです。ことしもあのやり万でやられるのかどうか。ああいうやり方はことしは絶対になさらないということを私は言つてもらいたい。そうでないと、期限を一箇月延期したといつても、かえつて去年と同じような結果になるということを思つておるのでありますが、この点いかがでありますか。
  56. 梅津勘藏

    梅津公述人 はなはだ意外な御質問で驚いている次第でございます。さようなことは絶対にないと思います。私は今まで税務署長を五箇所やつて来ましたが、そういうことをやつた覚えはございません。今日の税務行政は、あくまでも正しく所得の実態を捕捉いたしまして、適正に納税してもらうという建前で行つておりまして、またそれがほんとうの姿でございます。われわれの職責といたしましても当然そうあるべきであります。でありますからこちらから額を出して来まして、のめということは、税務としてはあり得べからざることと私は確信いたしております。
  57. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は公述人の御意見まことにごもつともな点と十分承りました。実は各階層を代表して減税を主張されております。あるいは特に労働組合の関係の方々は、給與ベース、人事院の勧告、国鉄の裁定等に関心を持つておられまして、それぞれ減税を主張しておえるということは、われわれも身にしみて感じております。かつてはやみと警察が対立した。今日は税の苦しみと税務署が対立をし、これをいかにして打開して行くかということが、私ども国会議員として皆様から承りたい点であります。減税はもちろんわかつておりますが、問題は、いかにしてこの苦しみを取去るか。いわゆる共産党を中心にしたあの反税闘争において、昨年全国において四十四名の税務職員がけがをしておるのでございますが、そういう一面において、徴税官吏もまたこれは勤労層であると思うのであります。いたずらに税務署の職員をののしるばかりが、この税の問題の解決にはならぬと思います。そこで問題は、今日の公述人方々意見を伺いましても、減税の主張は非常に強烈でありましたが、特に私は高木さんにお伺いしたいのでありますが、主税局長の昨日の御説明によりましても、現在員千百億の滞納があるのでございます。單に一億とか一億とかの滞納ではありません。国税において一千百億の滞納があつて、なおしかもアメリカの莫大な援助を受けている日本の敗戰経済の実相をながめた場合に、おそらくドツジ氏の構想においても、もちろんこれは国民の負担の公平のもとにおいて、耐久生活を相当やつて行かなければ、日本の敗戰経済は救われない。この場合において、この滞納問題をいかにお考えになるか。二十四年度において七百三十七億の滞納があり、現在本年度において二百大十四億の滞納がある。なるほど税の制度が惡い、税務職員が惡いと一面において言つても、実態は敗戰経済から来るものだという実相をまず基本に置いて、この認識の上に国民が立つて、しかも負担の公平になるように、できるだけ前進する経済を立てなければならぬ。この基本問題についていかにお考えになるかという点をひとつ伺いたいのであります。
  58. 高木壽一

    ○高木公述人 私は本日の御指定が、今回の税制改革に関する給與所得の問題に限つて、御指定を受けましたものですから、給與所得に関する源泉所得税範囲内において申しました。給與所得に関する限りにおきましては、ただいまお話のような滞納はないと存じます。
  59. 西村直己

    ○西村(直)委員 それは確かにある程度の滞納はあるにしましても、源泉所得として給與所得は割合にとりやすい。従つて今回の住民税の基礎となる昨年度の所得税等におきましても、給與所得を基礎にしたものと、申告所得を基礎にしたいわゆる住民税等において、特に負担の公平が問題になつておる。この事実は、これを認めるにやぶさかでないのでありますが、問題は、税の問題を論ずる以上は、何と申しましても、敗戰経済の実態に基くところのいわゆる税制というものを論議して行かなければ、私はこれはあくまでぐるぐるまわる議論だと思うのでありまして、今日の御指定はあるいは給與所得というだけに、高木さんは御限定になつたかもしれませんが、私といたしましては、ひとつ公述人各位が税を論ずる場合においては、敗戰経済の実態から来るこの国家財政が、まさに破綻に瀕しようとしている。一千億の滞納がこのまま続くならば、国家歳入は赤字になる。国家歳入が赤字になれば、国家は破綻であります。そのもとにおいての給與ベースであり、そのもとにおいての減税であるという点を、ひとつ十分にお考え願うように私は希望申し上げます。
  60. 高木壽一

    ○高木公述人 ちよつとただいまのことで……。私は今御指定の範囲内でありますから、私の申し述べましたことは、その範囲に限つたのでありまして、ただいまのお話のことも平生十分考えさしていただいております。今のお話で、また先ほど来のお話で、申告納税の部分が非常に困難である。その申告納税の部分が困難だということにつきましては、これはもちろん非常に拂いにくい。たとえば地方税、住民税などにつきましても、私は先ほど申し述べませんでしたが、今後の改正におきましては、シヤウプ勧告にありますように、住民税を前年の所得の平均一八%ということでなくて、今年の所得と直接に結びつけて徴收していただければ、同じ金額でありましても、滞納のことは非常に避けられると思います。なお滞納が多いということは、申しあげるまでもなく今の税制から申しまして生計費をまかなうことができない。これは良心的なものについてでございますよ。脱税の意思ある者、あるいは意識的に滞納する者は別でございますが、生計の点から行きましても、抑えないという実情でございます。しかし今後においては、先ほど申し上げましたように、先だつて安本長官の御報告があつたそうでありますが、本年度の国民所得は二兆九千億予定されておつたのが、半年足らずの間に特需景気から三兆二千億程度になるだろう。大体一〇%の増加と相なります。そうなりますと、給與所得がこの国民所得の計算で行きますと、歴年で言いますと、本年度は一兆三千八十七億、会計年度で二十五年度は一兆三千六百九十億、これはもしお話のように、勤労所得も一割増加いたしたとしますれば——おそらく勤労所得もつとふえると思います。総体の国民所得の増加の割合の中で、勤労所得の増加額の占める割合は多くなると思いますが、同じ一割増加したと考えましても、一兆五千億になる。本年の当初予算を編成した当時の基礎数字は、給與所得の総額が先ほど申しましたように、一兆六百八十二億でございます。それが今度この半年の間の変化によりまして一兆五千億になる。それは過大の計算とおぼしめしでしようが、安本長官の御報告によりましても、明らかに二兆九千億から三兆二千億にふえるのですから、大体一〇%ふえている。それを計算いたしますと、一兆五千億という計算になるわけです。今年一兆三千六百九十億の給與所得、それが一割増せば一兆五千億になります。そこでさまざまな控除を差引きましても、先ほどお話いたしましたように、給與所得の課税所得額は八千億になる。それに対しては本年は課税所得額が四千二百大十五億円、かなり増加するわけでございます。しこうして先ほど申しましたように、給與所得額の増加に伴いまして、控除額として落ちて行くものがございますが、内輪に見積りましても、六千五百億の課税所得額がふえると、先ほど申しましたように、四千二百六十五億円の当初予算の課税所得額の算定数字に比べれば五割です。従つて給與所得に対する課税、ことに低所得者層の軽減が可能である。しかも祝收入の予定額に影響なくして、財政経済の上に影響なくして可能であるということを申し上げた次第なのであります。
  61. 小山長規

    小山委員 高木さんのただいまのは誤解があるようでありますし、またたくさんの傍聽人もおられますので、誤解のもとにおいて議論をされるのは心外でありますから、ちよつと申し上げておきます。今度の税制改正が、ここに所得税法臨時特例法案と出ておりますのは、これは給與所得だけの改正であります。給與所得だけの改正をなぜやつたかと申しますと、一月から三月までの分の改正をやつたのでありますが、それは源泉所得徴收する関係上これをやつたのであります。来年度の予算では、現在の所得税法改正にのつとりまして、中小企業者所得税その他の所得税改正するわけであります。でありますから、高木さんが御立論になりましたように、給與所得だけで行けばあるいはそういう議論が成立つかもしれない。たとえば今度の補正予算について申し上げますと、給與所得においては、最初の予算よりも二百五十六億円ふえることになつております。その反面において、中小企業者を含めた申告所得税は三百三十二億円減るという計算になつている。これは来年度においても同じようになるのでありまして、給與所得朝鮮事変その他によつて、たとえば雇用量が非常にふえるとか、あるいは六千三百円ベースか七千九百円ベースになるというようなことで所得がふえて参ります。そのふえて参りますところの推定は——今年度の実績に即して来年度の予算は組まれて行くわけであります。ことしの一月から十月までの実績をとつてみると、二百五十六億円というこのふえ方は妥当なる数字であるということは、大蔵委員会において検討済みであります。同時にまた三百三十二億円の申告所得税をとることができない。現在の国民所得のあり方において、これはとることができないということも、大蔵委員会において検討済みであります。われわれはこの点において納得いたしておるのであります。そのほかに本年度の補正予算で申しますと、法人税は百八十六億円当初予算よりも増加するという前提のもとに立つております。また減る方から申しますと、御承知のように最初予定しておりましたよりも秘評価の額が非常に減りましたので、この点において九十七億円減る見込みになつております。またふえる面を見ますと、揮発油税において十二億六千四百万円、あるいは酒税において十五億五千百万円ふえる見込みを立てている。收入印紙において十四億六千万円、その他自然増收において十一億五千六百万円というのもある。こういうふうなふえるもの減るものをわれわれが一々当りましてこの数字が間違いないかということで出て来たのが六十八億円の増收であります。来年度においてもこのような実績に基いて推定して、この数字が大体六百億円くらいの減税になつて現われるということでありますので、單に給與所得の問題から取上げて、それが所得税全般において政府が予定しているよりもさらにたくさんの余剰財源が出て来る、余剰であるということは必ずしも妥当ではないだろう、かように考えますが、その点私の方が間違つておりますか。
  62. 高木壽一

    ○高木公述人 それではただいまのお話に対しまして、私の考えておるところを申し上げますと、ここに書いてありますようにも補正予算におきまして、源泉課税の方はふえているが申告納税の方は減つている。そのことは私はこう考えまするがいかがでございましよう。この補正予算を編成あそばしておる今日におきましては、申告納税は減つておる。しかし私の考えますのは、先だつて主税局長からもお話がありましたが、営業所得の部分は二五%ふえ、同時に——私新聞記事を持つて参りませんでしたが、農業所得の部分も一五%ぐらいでしたかふえるということ。しかしそのふえるのは二十五年度内の予算にはまだ響いて現われて来ないし、一方特需景気の結果が農業所得や営業所得の部かに響いて来るまでの減り方と、響いて来てからのふえ方との差額が大きく響いて、結果としては申告納税は減つた。しかし今お話のように、特需景気の結果として営業所得が二五%ふえ、農業所得も一五%とかふえるということは、二十六年度の予算において現われて参ると思うのであります。ただ給與所得に関する限りは、すでに補正予算に現われているが、申告納税の万は特需景気の結果がまだ現われていないから、補正予算では減つている。しかし二十六年度になつてその結果が現われるのでなければ、営業所得が二五%ふえ、農業所得が一五%かえるという御報告は意味をなさぬと考える。従つて二十六年度からの申告納税の部分について、その結果が現われることになると私は了解しておつたのでございます。
  63. 小山長規

    小山委員 その点は確かに誤解があつたようであります。大体予算を組みますときの税收の見積りというものは、所得から割出すのではなくて、若干物価の値上りあるいは所得の増加ということが入つておりましようけれども、過去における税收が大体において問題になつている。補正予算においてもその通りの見方をしているのであります。来年度の税收見積りについてはまだ説明を受けておりませんので確信のあることは申し上げられませんが、方法としては同じことをやつて、増收と減收を見て行つて、全体の税收が幾らになるということを割出すのでありますから、給與所得がふえるからその分、は余剰財源になるということは言えないのであります。その点高木さんの誤解のようでありますから、御訂正を願います。  もう一つ、今度は渡邊さんにお伺いしてみたいと思います。あなたの代表されている方の方々の大体平均の所得、あるいは平均の扶養家族というのは、今あなたは税が高過ぎるということを言われましたが、一般に大多数の人たちの所得と、それから扶養家族の数というものは、どの程度のところを標準に置いてお話になりましたか。それをお聞かせ願いたいと思います。
  64. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 そういうような資料は先ほど一番最初に申し上げましたように、きのうのきようで非常に突然でありましたので、資料を整えてここへ持つて来ておりません。それで正確な点はちよつとはつきり申し上げかねるわけなんです。というのは、私の方の金属の労働組合の構成というのは、国鉄あるいは通信関係の労働組合等と違いまして、非常に多種多様の組合から構成されておる單産組織であります。つまり企業が東芝関係あり、あるいは日立関係がある。あるいは何々関係というように、非常に大企業もあるし、それから三人くらいの従業員でできているような、いわゆる零細企業まで含まれておるわけであります。そういうような関係上、收入の点にしましても多種多様であります。多種多様でありますが、大体において平均月七、八千円くらいに考えていただけばよろしい。扶養家族要一人、子一人という程度で、そのくらいのところであるというように考えていただいたら、そう間違いはないと思うのです。
  65. 小山長規

    小山委員 それでよくわかりましたが、七千円見当で妻一人、子一人ということになる場合には、現在の税法で行きますと、給與所得税は一月三百七十三円、そして今度は百九十三円になるわけであります。このことは国民経済の現状から総合的に考えますと、七千円という給與所得者と、かりに七千円という農業所得者の場合を考えてみた場合、七千円の農業所得の人は、どうしても——東京の近郊とか、大都会の近郊は別でありますが、一般の農家の場合には田畑合せて一町三反歩ないし一町五反歩なければ、それだけの所得はありません。そういうようにわが国においては農業者には低所得者が半数以上おるというような状態において、どこで一体線を切るかということを考えますときに、そういうような面も考えて行方なければならぬ、それから国鉄の方の御議論を聞いておりますときにも、私は少し観点が税の問題とは離れておるのではないかと考えたのは、税法の問題を論じますときには、税法の対象になる人が問題なのでありますが、この場合においては税法の対象にならない人のことや、物価が上るとか、あるいは超過労働があるとかいうようなことを御議論になつた。私の誤解かもしれませんけれども、そういうような感じがしておる。(発言する者あり)質問中でありますから……。
  66. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 静粛に願います。
  67. 小山長規

    小山委員 そこでこの七千円の場合を考えてみますと、夫婦及び子二人の場合はもはや無税なんです。それから一万円の場合を考えてみますと、夫婦及び子四人の場合は無税なのであります。そういうような面から考える場合には、国民全体の立場から考えますときには、どこで線を切るかということが、やはり一応の問題になつて来るであろう。そこでわれわれも、もとより税法において基礎控除が高からんことを望む、あるいは扶養控除が高からんことを望みますけれども、この最低の税を負担する人の限度を救い上げて行きたい、こういう趣旨から申しているわけであります。そういう意味においてただいま仰せられました夫婦と子一人で七千円の場合には、この程度の負担は国民経済上どうもいたしかたないのではないかと思うのでありますが、御意見を伺いたい。
  68. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 先ほど言われましたような、日本の農民、百姓の方の生活が非常に低いということも、われわれはよく考えております。われわれとしましては、われわれだけではなくて、百姓の人たち、農民の人たちの生活もぜひよくしたい、こういうふうに考えております。ところがうんともうけている例を申し上げてみたい。四つばかり申し上げます。私の方の調査に入つた例でありますが、東邦レーヨンというのがあります。資本命一億二千万円でありますが、最近の月間の利潤は約一億、年間にして二十四億の利潤を上げている。年率にして大体資本金の二〇〇〇%というような、驚くべき利潤を上げているところがあります。また旭化成でありますが、これは資本金が七億、この九月期の利潤が七億六百万円だといわれております。年率にしまして約資本金の二〇〇%の利潤を上げている。次に業種をかえまして古河鉱業、ここは銅その他をやつているところでありますが、資本金二億円で、九月期の利潤から予想して年間三億三千六百万円、年率にして資本金の一六○ないし一七〇%くらいの利益を上げている。それから金属に時に関係の深い、最も中心になる工場の八幡製鉄でありますが、資本金八億円、九月期の予想から年率二〇〇%、配当は一割くらいの見当だというように言われております。こういうように厖大な利潤を上げているところがこの日本にはあるわけです。こういうような連中がたくさんまだまだあるわけです。今四例をあげましたが、こういうような実状であります。こういうようなやり方を助成して、しかも戰争という、われわれが最も恐れるもの、しかも全面講和をして、新中国や何かとも貿易をし、講和後に進駐軍も全部帰つていただくというようなことができれば、幾らでも利益を上げて行く。しかも先ほどの七千円で妻一人子一人なら、このくらいの税金はまあやむを得ないだろうと言われますけれども、しかし若い人たち、戰争でも始まればすぐ動員されてしまう若い人、またその被害を一番受ける若い女の人たち、こういうような人たちから基礎控除三万円というようなことでふんだくる。どんどんやられるわけです。こういうようなことをわれわれとしては断じて默つて見ているわけに行かぬ。しかも妻一人、子一人では税金が安いからいいじやないか。とんでもないことです。これだけしぼりとるようなやり方の税金でもとれないくらいの、徹底したルンペン的な生活を今の政府はやらしているじやないですか。そういうようなことをわれわれは……。
  69. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 ちよつと注意します。あまり意見にわたらないように、質問に対する答弁を願います。
  70. 渡邊三知夫

    渡邊公述人 はい。こういうようなことですから、妻一人、子一人七千円なら非常にけつこうじやないか、お前どう思うかということに対しては、われわれは絶対に納得できないし、またそれよりももつと惡い百姓の人がたくさんおるという、こういうようなことはましてやわれわれとして納得できない。そういうような今の政治のやり方に対しては、絶対闘うというのがわれわれの考えであります。
  71. 小山長規

    小山委員 私の申し上げているのは、われわれは税法の御意見を聞いておるのであります。税法の御意見を聞いておるのでありまして、あなた方の主義主張をこの場において宣伝してもらうために聞いておるのではありません。私どもが問題にしているのは、この税法がどの点において欠点があるかどうかということを聞いておる。私が申し上げるのは、農民の場合にはこの税法にひつかかる人は、ほとんどないじやありませんかということを聞いておる。そして従つてどこのところまでを税法上の網にかけて行くことが妥当であるか、どうかということを論じているのであつて、これは同時に国家財政全般の問題に来るのであります。国家財政全般が減税を可能とするならば、進んでこれを減税の方に持つて行くことは、われわれはこれにやぶさかでない。そのために今度去年も今年も所得税減税をやつておる。そういうことでありますからして、この税法上どのような点を、あるいは現在の国家財政のもとにおいて、アメリカの対日援助を受けている現状において、そして日本のこの敗戰の現状において、いかにしたらこの税法をさらによりよきものにできるかということについて、御意見も伺つているのです。われわれは国家全般の財政状態という一つのわくの範囲内において、このことを聞いておるのであります。これを全部ひつくり返してやれということの御意見を聞いておるのではありません。その点は誤解のないように願いたい。
  72. 西高雄

    ○西公述人 先ほど国鉄の話に関係がないということを言われましたが、あるいはやはり国鉄職員の中で、こういう特需輸送をやつておるために列車が増発される、あるいはよけいに列車が夜間通るために踏切りがよけい出なくちやならぬ、あるいは線路警戒のために出なくちやならぬ、こういうふうに超過勤務がどんどんふえる、こういうふうになつておるわけです。職員の中でそういうことをやつておるので、やはり給與財源が限定されると、それに対する支拂にも相当困つて来る。そうなると時間單位に計算されると、一時間の労働單価というものは安くなつて来る。こういうふうに非常に労働強化になるということを申し上げたわけであります。そして農業に比較すると、君たちは有利じやないかというふうなお話のようでしたが、そういうふうに言われると、何でもどこに基準をとるかという問題で、農業がそういうふうだつたらそれつきりをとつたら、そうしたらあなたの論法でいつたら、たとえば上野の浮浪者はああいう地下道に住んでいるではないか、あれに比べたらどうだ、そういう論法になる。しかしそういうことではいけないと思う。そういう点はわれわれは憲法二十五條に規定されているところの、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む、この憲法の趣旨に立つて国会議員はお考え願いたいと思います。
  73. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 高木君より発言を求められております。これを許します。
  74. 高木壽一

    ○高木公述人 先ほどのお尋ねにつきまして、申告納税の部分につき私の申し足りないところがございましたので、また私の方からいろいろ誤解を招いたことがあると存じますから申し上げます。先ほど明年度の予算で申告納税分についての見積りは前年度の実積を考える……。
  75. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 明年度は出てないのです。二十五年度の補正予算だけです。
  76. 高木壽一

    ○高木公述人 さようでございます。従つていろいろ御注意を受けましたので私それを考えておりますが、その結果として私は二十六年度においては、昨日主税局長のお話の申告納税分三百億減税可能というよりも多くの余裕ができる。従つて私は特需景気以来の景気の立直りあるいは上昇期の過程においては、前年度の見積りを基礎として、そこにある何ものかを考えて見積りを明年度に立てますれば、当然のことそこに自然増收ができるのがあたりまえなんです。本年度においてはこの補正予算に現われておりますように、申告納税分がいろいろ滞納とか払えないことでもつてつた、だからこれが明年度に続くということにつきましては、先ほど申し上げましたが、そういうことは私はないと思います。農業所得の一五%、営業所得の二五%の増加がこれから現われて来る。申告納税分についてこれから現われて来る。従つて前年度の二十五年度の見積りを基礎として、二十六年度の申告納税分を計算すれば、そこに当然景気の立直り期あるいは上昇期においては自然増收が起る。またそういうふうな従来のお見積りになることは、これは、堅実な方法として当然のことであります。また従つて当然の見積りでありますから、当然自然増收がそこに出ます。従つて私は申告納税分につきましても余裕ができる。あるいは給與、源泉課税の分について余裕が出るばかりでなく、申告納税分についても余裕が出るべきものである。健全に考えれば考えるほど出るべきものである。そういうふうな意味で先ほど来申し上げたわけであります。どうぞ御了承を願いたい。
  77. 川島金次

    ○川島委員 大分時間が詰まりましたので簡單に申し上げたいと思います。本日御多忙のところを公述人の方が五人わざわざ出席されまして、それぞれ貴重な御意見を陳述されましたことに感謝をいたします。先ほど来承つておりますと、梅津日本橋税務署長さんを除きました他の公述人は、それぞれ期せずして政府今回の提案の税制改正に対しましては深甚な不満を表明している。ことに日本橋税務署長梅津さんにおいてさえも控除問題については同感だが、税率についてはやはり政府と意見を異にする旨が表明されました。この一連の御意見を承つておりますと、本日御出席公述人方々は各界代表、しかも專門家、行政家の代表者の方もおられるが、一律一体にこの税制改正に対しましては、むしろ積極的な反対の意見を表明されている。いかに政府の税制改正国民の要求するところと、はなはだしく疎隔するかということの何より証拠だと、私は感じられた次第であります。  そこでまず私は高木さんに一点お伺いをいたしたい。と申しますのは、先ほど私の同僚として常に尊敬いたしおります西村君から、日本の敗戰の現実の姿として、ことに昭和二十五年におきましては、過年度の滞納額と合せますと、その滞納全額は実に驚くなかれ一千億を越す。この一千億に達するという重大な事態でも、これは西村さんのお話によれば、敗戰の正直な姿だ、重大な姿だ、まことに同感であります。しかしこの巨額に達する滞納額を見るに至つたということの根本的な原因を、われわれはつぶさに分析して考える必要がある、こう私は思うわけです。第一に私ども考え方によれば、政府の税制の立て方というものは、非常に国民経済に適合しておらない。これが第一であります。第二には税務行政においていまだに欠くるところが多多あるのじやないかということが第二点。第三点はこの巨額の滞納額というものは 実は敗戰後五箇年間の歴代内閣において、最も大きい滞納額である。ことにこの問題について高木先生にお伺いしたいことは、先生は、承るところによると租税研究協会の重要なメンバーであります。租税の問題についておよそ滞納が蓄積されるということには、いろいろの原因が今のようにある。さらにまたそういう税制上の問題、経済上の問題のほかに、私は国民の、言いかえれば納税者側の政府に対する心理的な現象というような問題も、この納税の上に影響するところが相当あるのじやないかと私は想像し、考えられる。端的にこれを申し上げますれば、吉田内閣は、その内閣をつくりました当初から、国民にきわめて大幅な減税を公約して今日まで内閣をとつておられます。政権を担当しておられます。にもかかわらず、この実質的な税制政策というものは、この席上で表明されたように、端的に現わされた国民の意向とはほど遠い現実の税制を立てておる。こういう形の政権担当者に対する一般国民の信頼の度合いというものが影響することによつて、やはり滞納が今日のような巨額に達したという一つの原因じやないか。こういうように私は思う。そこで高木先生はこういう租税の問題について非常に蘊蓄のおありの方でございますし、平素この租税の問題について研究されておりますので、学問的に見ましても、実際的に見た上で、滞納額が大きくなる原因、そういうことはどういうことによつて積み重なつて来るかということについて、さだめし御研究がおありであろうと思いますので、この機会にその御意見を承りたいと思います。
  78. 高木壽一

    ○高木公述人 ただいまの私にどうかという話でございますが、いかがでございますか、ただいまの御質問趣旨から政令的の部分を省かせていただけませんでしようか。どうぞ本日のところは政治的なことにつきましてはごかんべんいただきたい。経済的な方面だけでごかんべんを願います。  それでどうして滞納が多いかということは、従来の租税制度が完全無欠なものでないことはもちろんでございます。でございますからこそ、いろいろ御改正努力なすつていらつしやるのでしようから……。それは税制において改めていただきたいところが多々あるのはもちろんでございますが、滞納の問題につきましては、税制の欠くるところがあることはもちろんといたしましても、根本的な原因といたしましては一税金の滞納を生じておりますのは、これは税金に響いて来ておることの結果なのでありまして、租税制度そのものから根本的に出て来ておる滞納だとは私は考えません。税制にもちろん欠陷はあるといたしましても、税制そのものに根本的原因があつて、滞納がこれほど大きく出ておるのではなくて、そのほかの結果がこの滞納に現われておるのであると私は思う。しからばその結果はどこにあるかと申しますれば、これは学究的に申しますれば、もちろん現在、昨年から本年にかけての財政は、超均衡財政でございますから、超均衡財政のデフレ効果、そのデフレ効果が——たとえば昨年末におきましては、政府資金が一千億円吸上げ超過でございました。この政府資金においての引上げ超過は一千億円である。その波及作用と申しますか、ちよつと書生的に申しますれば、波及作用の結果のマイナス乗数効果の測定を誤つてつた。——というよりは、幅を狭く考えたのではないか。逆に申しますれば、日本経済の底が浅い。大きな池でありますれば、そこへ石をどぼんとおつことしても、波が波及して行つて、岸まで行く間にいろいろ調節されますが、池が狭くて水が浅うございますから、その一つの超均衡財政という効果がぼちやんと與えられると、それがすぐ岸べヘじやぽんと響く。日本経済の深さが浅い。わくが狭い。それはたとえば最近でも特需景気が起れば、ストツクがたちまちなくなつてしまつたというような部門もあるそうであります。それだけ日本経済の深さが浅い。わくが狭い。そのことのために超均衡財政のデフレ効果の波及作用、すなわちマイナス乗数効果の測定がこれほど多く響くとは思わなかつたというのが、率直に申しますれば、実際上の結果が現われるまではどなたでもそうであつたのではないか。その結果が滞納に現われた。滞納は税制にももちろん欠陥はあるとしても、税制そのものが根本的な原因ではなくして、滞納はその結果であります。超均衡財政のデフレ効果、すなわち波及作用のマイナス乗数効果の測定を、これほどとは考えておらなかつた。逆に申しますれば、日本経済がこんなに浅いものだ、水の少いものだ、余裕のないものだと、そこまでは思わない。それだけにまたインフレ收束の強行をする効果も強く現われるわけでありますから、従つてまたその強くきき過ぎたものを少くも税制の上では御改正願いたい。また超均衡財政のインフレ効果の強度を緩和することに御努力願いたい。もちろん若干御努力が現われていることは認めます。私はそういうふうに考えます。
  79. 川島金次

    ○川島委員 先生の御意見を承つて、率直に端的に言えば、政府の財政施策の失敗が滞納を招いておるということだと思います。  梅津署長さんにちよつとお伺いします。この機会に大切なことなので参考のために伺つておきますが、日本橋の管内ではもちろんでありましようが、全国的に今お話のように滞納がある。その滞納に対する対策として、督促はもちろんだが、差押え、さらに進んで公売こういう段階になりますが、その差押え、公売を受ける方は——あなたの管内だけでもよろしいのですが、具体的な数字の根拠に立てなくてもよろしい、勘でよろしいのですが、そういう差押え、公売を受ける階層は、概念的に見て上中下と納税義務者があるとすれば、そのどの中の階層が多いかということもちよつと聞かしてもらいたい。
  80. 梅津勘藏

    梅津公述人 その前にちよつと先ほどの川島さんの御質問の際に私の問題に触れましたので、誤解を解くために釈明をしておきたいと思います。今度の所得税法の臨時措置に関する案に対しましては、私はこういう情勢下において、よくもこれまでできたということについては、全面的に賛成であります。ただ希望といたしまして、財政事情が許すならば、五万円以下は一〇%百万円以上は五五%にしたらいいのではないか、こういうことを申し上げたのでありまして、反対はいたしませんから、誤解のないように願います。  それから今の滞納の差押えの階層の問題でございますが、資料を持ち合せておりませんので、的確なるお答えはできません。しかし勘でもよろしいというお話でございましたが、あなたの聞かんと欲するところを考えますと、小さいものが多いのではないかというような御意見だろうと思うのでございますが、日本橋状態は必ずしもそうではないのでございまして、大会社等においても差押えが相当ございます。大きな滞納者も相当押えておるのでございます。数にいたしましたらどういうことになりますか、あるいはこれは中堅というようなものが多いのではないかと思うのでございますが、私どものやり方といたしましては、小さいものよりも、むしろ大きな滞納者に対しまして、断固たる処分をして行くという方針でやつております。  それからむしろ私といたしましては、中小業者に対しましては、納税組合のようなものを結成いたしまして、勤労所得者と同様に、月掛なりあるいは月掛なりで納税の準備をさせまして、銀行を介在させまして、そうしてでき得る限り納税者の苦痛を緩和させるような措置をとつております。
  81. 川島金次

    ○川島委員 もう一点、日本橋のあなたの管内は有力な法人等が多いのですから、そういう結果にもなるのでしようが、ややもすれば差押え公売を受ける納税者というものは、全体的には中小企業に多いと私は推定しておる。また政府から資料を出さしてみれば、おそらく圧倒的に多いのは零細的な業者ではないかとさえ私は思う。ややもすれば権力というものが弱いところに深く食い込んで行くというのが、日本の政治の欠陥なのでありまして、そういうことがあるのではないかと私常に懸念をいたしているので、そういうことをお尋ねいたしたのですが、今署長さんのお話によれば、中小よりは大きいところの惡質な滞納者を断固としてやつておるというが、ぜひひとつあなたを中心として、有力な署長さんなんですから、東京の各税務署長の会議でもあつたときには——中小企業の弱いようなところにそう力こぶを入れなくてもいいのですから、惡質な大額の滞納者に対して断固としてあなたが立ち上つて、そして滞納整理を側面から促進してもらいたいと私は希望するわけであります。  そこでもう一つついでにお伺いしておきますが、零細業者の滞納が多いということは、非常に経済事情が惡い、金融が逼迫しておる。売れ行きが惡い、いろいろな意味でそういう形になるのですが、そういうことは、特需景気がかりにありましても、まだ日本の経済は当分続くのではなかろうかと思う。そこで法律にはまだできておりませんが、実務行政をやつておられるあなたの勘として、分割納税というものを法制化するという方法について、あなたの長い間の経験からいいまして、そういう点はどうですか。その点についての御所見を承りたいと思います。
  82. 梅津勘藏

    梅津公述人 現情勢下にかんがみましてまことに適切な御質問だと思います。申告納税が三期になつておるのでございますが、私見といたしましては、これを五期ぐらいに納期を細分したらよろしいのではないかというような考えは持つております。法人の問題におきましても、二回ぐらいに納めるという制度が適切ではないか、現在は一回で納めてもらつておるのでございますが、二回ぐらいにしてもいいのではないか、これは私見でございますが、かように考えております。
  83. 川島金次

    ○川島委員 最後に国鉄の西君にこの際ちよつと伺いたい。先ほどあなたから国鉄労組の総意として、この改正案に対する具体的な所信の表明があつたのですが、中でも退職所得等に対する課税はきわめて不合理千万だという御意見でありまして、われわれもその趣旨にはまことに同感したのであります。年来その実現に向つて努力をいたしておりますが、いまだにそれが実親に至りませんことは、かえすがえすも残念である。そこで私はもう一つ、こういうことを考えておるのですが、先ほど西さんのお話に触れておりませんでしたが、たとえば夜勤料、あるいは超過勤務手当、あるいは近くもらえるらしい越冬資金のごとき——夜勤手当なども、今度の改正で二階から目薬のような、実にお話にならぬような手当をあなた方は受けておる。支那そば一ぱい食えない。超過勤務手当におきましても、これまた実際の額からいえば問題にならぬ。そうして余分のエネルギーを使つて、そのエネルギーを補給するに足りない超過勤務手当をもらつておる状態である。越冬資金におきましてもこれは食えぬからもらう。そして家計は赤字に次ぐに赤字である。そうして越すに越されぬ年末をどうするかという必死の問題にぶつつかつて、初めて政府と囲いながら越冬資金をもらう。そのもらつたとたんにまた税金、しかもこれが零細の俸給に加算されて税をとられる。こういう税制というものは、私はまつたく勤労大衆生活の一大脅威であり、また不合理千万な税のかけ方だと思う。そうしてそういうやり方は、勤労者生活を食つて行く。税金生活を食つて行くという、実に恐るべきやり方だと考えます。そういう不合理性について組合などで取上げて、今日まで何らか具体的な運動をされたか、また今後どういう考え方でこういう問題に対処して行くかというようなことについて、御意見があるならば、先ほど触れておりませんから、この機会に国鉄労組の総意のあるところを表明しておいていただきたいと思う。
  84. 西高雄

    ○西公述人 所定の俸給外の、つまり夜勤加給とか、超過勤務手当、これは御指摘の通りでありまして、夜勤加給に例をとるならば、十三円くらい、十円そこそこ、これが今私たちが夜居残つてもらう給料なんであります。過去においては三十銭ぐらいもらつて、昔はうどんも食い、またお菓子も食えた。それが現在十三円、そうして私たちは今これを要求して、やつと二十円ぐらいで当局が予算措置を考えておる。しかし私どもとしては、もつもつともらいたい。最低五十円程度まで上げてもらいたい、こういうふうに言つたのですが、今二十円まで考えられておる、こういうような実情でございます。しかも特殊日勤等、国鉄はいろいろの勤務形態がありまして、一般の公務員その他と違つて、所定の時間から所定の時間まででなくて、夜超過的に勤務する。列車の関係で非常に勤務形態が長いのであります。こういう点に対しても、やはり基準等も相当酷な基準ができておりまして、これに対して基準は上つて来て増加料になるけれども、それに伴つて給與はちつともかわつていない。こういう現状であります。それら個々の夜勤加給その他についても、ちつともベースが改訂されて行かない、こういうふうな状態にあるのであります。この点は大会の決議であり、再三要求しておりますが、何ら実現を見ておりません。やはり何と言つても公共企業体の性格から、公共企業体というものは自主性がなければならないと思う。公共企業体というものは、やはり独算制の立場に立つて、ほんとうに経営も国鉄自体が考えてやつて行くところの自主性がなくちやならない。それはやはり一つの給與財源にしても、給與財源あるいは修繕費というように、個々にわかれている国鉄の予算の総わくの中で操作すること自体が許されていない。これはすべて承認を得なくちやならない。こういうようなことでは、独算制の立場から、やはりみなが働いて増收したならば、自主的にある程度の報酬があつてしかるべきである。特需輸送があつたために八時間勤務が九時間に延びた。この一時間に対して増收があるのだから、何か一応分配される、こういうような形が立つて、初めてそこに勤労意欲も増進して、輸送の業務に專心できると思う。こういう点ははなはだ遺憾な点であると思います。今問題になつているところの最低実施、この間は裁定が法規裁量であるという裁判所の決定を受けましたか、要するにこのようにして一般の勤労所得というものは、申告によつてなされるものはある程度欺瞞的な申告ができる。そうしてある程度緩和される方法がつくかもしれない。しかしながら私たち勤労者がきまつた給料から天引きされるとするならば、絶対に滞納というものはない。そうすると、私たちに出された勤労所得は百パーセント徴税されて行くが、その他一般申告のものについては、ある程度のがれられる点ができて来る。またさらに滞納というふうな事態が起つて来る。こういう場合にやはりそれらの調整がもう少し考えられなくちやならぬ。勤労者に対しては百パーセントとつて行くという形に対して、一方ではのがれている。こういうことが相当調整されて行かなくちやならない。たとえば公務員に対する人事院の勧告によつて、八千円なら八千円というわくが出されており、あるいは国鉄裁定が八千二百円と出されている。こういう場合に、私たちが金をもらつたら、とたんに税をとられる。こういうふうな形ではとても調整がとれないと思う。こういう点については、やはり勤労所得に対する緩和策がもつ考えられなくちやならないのじやなかろうか。こういうふうに私らは考えております。
  85. 夏堀源三郎

    夏堀委員長 以上をもちまして本日予定いたしておりました公述人方々の御公述は全部終了いたしました。  先刻公述人の方から、公述人の選定通知並びに資料を昨日受領して、十分研究の余地がなかつた旨の御発言がありましたが、これは本委員会といたしましてもまことに相済まぬと考える次第でありまして、ただ議案の提出が遅れ、公聽会開会手続上やむを得ない点のありましたことを御了承願願うともに、この席からおわびいたしておきます。  本日は公述人方々には御多忙中、惡天候にもかかわらず、わざわざ御出席くださつて、本委員会税法審査上、有益な御意見の開陳をしていただいたことを心から感謝いたしまして、本日の公聽会を閉じることといたします。ありがとうございました。     午後四時五十五分散会