○舟山
政府委員 この
日本輸出銀行法案につきましては、この春以来の懸案でございましたが、夏ごろにはその
業務を外国に対する
貸付業務のみに限定する
輸出金融公庫
法案、こういうような構想の時代もあ
つたのでございます。その後この公庫
法案につきましては、
国内的にいろいろ意見が出まして、第八
国会には
輸出金融金庫法案として、
国内業務を営む案として
提案しようという動きにな
つておりましたのでありますが、関係方面と十分の折衝の時間もございませんで、今日に至つたわけであるのであります。こういうふうに長期
輸出金融に関しまする特別の機関に関しまする
考え方が、再転、三転いたして参りましたために、本
国会の早々に
提案できませんでしたことは、はなはだ申訳ないことに思
つております。これから大体條を追いまして、
日本輸出銀行法案についし、その骨子を御説明申し上げたいと存じます。
第一章総則のうち、第一條は目的でございますが、「一般の
金融機関が行う
輸出金融を補完し、又は奨励する」という字句がございます。これによりましても明らかでありますように、本体この
法案はプラント物の
輸出を
中心といたしまする長期
輸出金融を営むのでありますが、それはこの
銀行が指導的立場に立
つてやるのではなく、あくまで一般の
金融機関の行う
輸出金融を、それだけにまかしておきましては十分に行かないところを、補
つて行くという
考え方に基いておるのであります。それから第二條、「
日本輸出銀行は、公法上の法人とする。」とありますが、これは全額
政府出資でもありますし、それから
総裁、監事の任命権も内閣総理
大臣にございます。それから
予算、決算についても
国会の
審議を受けるということにな
つておりますので、公法上の法人としたわけであります。それから
事務所は第三條、「主たる
事務所を東京都に置く。」ということだけを
規定しておりまして、その他従たる
事務所につきましては、今後この
銀行の
業務の
状況によりまして、適当な場所に従たる
事務所を置くことができる旨を
規定しておるのであります。次に資本金、これは今
年度の補正
予算、それから来
年度の
予算から
合計百五十億円を支出するのであります。
一般会計と
見返り資金から半々を
出資する旨をうた
つております。次に定款は大体定例の通りの
規定でございます。第六條の登記も特に申し上げることはございません。第七條は名称の使用の制限でございます。それから第八條、解散の
規定につきましては、そのしきに
法律で詳細を
規定するということにな
つております。第九條は、民法の準用
規定でございます。
第二章役員及び職員、その十條は、「
日本輸出銀行に、役員として、
総裁
一人、専務
理事一人、
理事三人以内、監事二人以内を置く。」とな
つております。第十一條の職務及び権限は、特にかわつた
規定はございません。それから第十二條の役員の任命は、先ほ
どもちよつと触れましたように、「
総裁及び監事は、内閣総理
大臣が任命する。」そうしてそのあと「専務
理事及び
理事は、
総裁が任命する。」ということで、
総裁の活動というものを可能ならしめておるのであります。役員の任期は、第十三條にございまするように四年でありまするこのうち
理事三人につきましては、これは附則にございますが、当初三人のうち二人が三年、監事二人のうち一人が二年、こう重なり合
つて行くように任期をきめる次第でございます。それから第十四條の代表権の制限につきましても、特に申し上げることはございません。第十五條代理人の
選任、第十大條職員の任命、第十七條役員及び職員の地位、この点につきましては本
銀行の
役職員は公務員とし、その地位及び俸給を国家公務員並とするという
考え方もあ
つたのでありますが、人材を集め、活動を活発ならしめますために、そういう
考えは捨てましてただ罰則、その他の適用について、法令により公務に従事する職員、みなしたにとどめたのであります。
第三章は、
業務の
規定でございまして、主たる
業務を三号にうた
つております。この第一号は
設備、この中には船舶及び車両を含みます。並びにその
部分品及び付属品で本邦で
生産されたもの、これを本邦から
輸出する。並びにこれに伴
つてなされる本邦法人及び本邦人からの技術の提供、物に件
つて参ります
機械のすえつけその他ということになりますが、それのための費用を
金融するということになるのであります。
金融の相手万は、本邦
輸出業者または本邦
輸出品製造業者であります。ただこの
貸付をなし得る場合は、但書にございますように、「
銀行が
日本輸出銀行とともにその
資金の
貸付を受けようとする者に対して
資金を融通する場合に」、いわゆるパーテイシぺーシヨン融資とい
つているものでございますが、この場合に限るのであり、かつその場合には、融資の申込みは
銀行を通じてして来ることを要件としております。直接この
銀行が申込みを受付けないのであります。第二号は、この同じような目的のために、
銀行が
銀行に対して本邦
輸出業者または本邦
輸出品製造業者のためにする手形の割引をすることを
規定してございますが、
銀行がそれらの業者に手形
貸付をして手形の割引をする場合に、それらの手形をこの
銀行が再割を下ることを
規定しておるのであります。それから第三号、これは例外的の場合になりますが、ここにございますように外国
政府、外国の
政府機関、外国の
地方公共団体等に対して円
資金の
貸付をするのであります。「但し、その
貸付を受ける者が、当該
貸付を受けることにより当該外国の法令の
規定に違背することとなる場合を除く。」主として向うの国におきまする為替管理法その他に違背しないということを、保障せしめようとするものであります、それから第四号は附帯
業務でございまして、これは融資後の管理、特に担保の管理とかあるいは
回収の義務を
考えておるのであります。それからこの
銀行の性格に照し合せまして、これは
市中銀行で普通の方法によりまして、普通の條件によりまして、
資金の供給を行うことが困難な場合におきまして、この
銀行が補完するという思想と、確実に
輸出契約ができておる場合であ
つて、その契約に基く債務の履行及び当該
貸付にかかる
資金の償還、またはその手形の
支拂いが確実であると認められるときに限るという
規定、すなわち見越し
生産とかいうもののために
金融してはならないということを、念のためにうた
つておるのであります。
それから十九條は、利率に関する
規定であります。これはこの
銀行の
貸付利率を不当に低くいたしますると、
輸出奨励金と見られたり、
輸出ダンピングと見られたりするおそれもございますので、一定の線を引きたい。但しそれを的確に表現することは非常に困難なわけでありまして、いわば間接にその趣旨を表現するのであ
つて、この
銀行の徴しまする金利は、この
銀行の
事務取扱費、
業務委託費その他の諸費用、資産の運用損失を償うに足る程度であ
つて、かつ市中の金利をも勘案して定めるということにな
つておるのであります。これは市中、利率と同率でなければならぬということをうたうのに比べまして、大分緩和された
規定であります。それからその次は、この
銀行の扱いが取引先によ
つて甲乙の差別があ
つてはならない、公平を期さなければならないという趣旨が、その次の項に書いてございます。それからこの
銀行の
貸付金の償還期限等でありますが、第二十條の第一項におきまして、大体六箇月を越え三年以内といたしたのでございます。六箇月以内のものは普通の
輸出貿易手形でまかなえる。これは長期の
輸出金融をつける
銀行であるという趣旨から、そういう制限を設けたのであります。それから長期の方は三年以内、これも不当に長いときには
回収上の懸念もあり、また取引先から悪い條件をしいられるおそれもありますから、一応三年以内といたしましたが、第二項におきまして、それではどうしてもぐあいが悪いときには、五年以内というまでの例外的の取扱いができるという
規定を設けたのであります。それから第二十一條には、この
銀行の貸出し
業務を行います期間を、設立の日から一応五年といたしまして、このままですと、その後は
回収事務だけを担当するのでありますが、それはまたそのときの
情勢によ
つて、きめて行くという
考え方であります。第二十二條
業務方法書、ここに書いてありますようなことを記載するのでありますが、通例ならば、
業務方法書のごとき基礎書類は、主管
大臣の認可ということになるのでございますが、この
輸出銀行につきましては、他の部分にもすでに出て参りましたように、許認可事項は一切排除しております。二十三條は、この
銀行が
業務の委託を他の
銀行にすることができる。その場合の
役職員の地位の
規定であります。それからなお二十四條に、「第一條に掲げる目的にかんがみ、
輸出金融について、
銀行その他の
金融機関と競争してはならない。」という趣旨を念のためにうた
つております。
第四章は
会計でありますが、二十五條は
事業年度、二十六條は収支の
予算を、
大蔵大臣を経由いたしまして、
国会に
提出する趣旨をうたつたものでございます。この点につきましても、たとえば国民
金融公庫等におきましては、現在のところ収支の
予算のみならず、
事業予算も
国会に
提出しなければならないことにな
つておりまするが、これは収支
予算だけにとどめまして、活動を拘束しないようにしたのであります。それから二十七條には予備費の
規定がございます。一十八條は、
国会の議決に関する
規定であります。二十九條は特に御説明の要はないかと存じます。三十條は、追加
予算及び
予算の修正に関する
規定でございまして、大体国庫の
予算の
制度とあまりかわりはない、こう
考えます。三十一條は、
予算が成立しない場合の暫定
予算の
規定であります。それから三十二條は
予算の
執行、三十三條は、流用は
大蔵大臣の承認を受けなければならぬ旨を
規定しております。三十四條は予備費の使い方であります。三十五條は、
事業年度は年一回でありますが、財産目録及び貸借対照表につきましては、一年を二期にわけまして、損益計算はこの半期と、
事業年度ごとに作成するという趣旨をうた
つたのであります。三十六條は決算の
規定であります。三十八條は、
審議の経過においていろいろかわつた
規定でありますが、結局これにおちつきまして、毎
事業年度の損益計算上利益金を生じたときは、準備金として
銀行内に積み立てるということになるのであります。なお第二項に、前項の準備金は損失の補填に充てる場合を除いては、とりくずしてはならないということであります。これに対しまして、一時この剰余金は全部国庫に納付するという
考え方はどうであろうかと、検討したこともありましたが、こういうふうにおちついた次第であります。次に三十九條は、
輸出銀行は
資金の借入れをしてはならない。日本
銀行、
市中銀行、預金部等から一切
資金の借入れをしてはならないということにな
つております。四十條は、余裕金の運用
規定でありまして、運用の方法をここに掲げてありますものに限定しております。第四十一條は、
会計検査院の検査の
規定であります。
次に第五章は
監督の
規定でありまして、この
銀行は大蔵臣の
監督に服しまするが、ここに「この
法律の定めるところに従い」こな
つておりますように、いろいろこの
法律の中に
監督條項がある。その範囲では
監督を受けるという趣旨を明らかにしております。なお第二項は報告をとり、または検査の結果に基きましては、
業務に関し
監督上必要な命令をすることができることにな
つております。
監督規定も極度に最小限度にとどめておる次第であります。四十三條は役員の解任の場合を
規定しておるのであります。四十四條は、
大蔵大臣は報告を徴しまたは検査ができるという、一般
金融機関に対すると同様の権限を與えておる
規定であります。
第六章罰則につきましては、特に申し上げることはないと存じます。
附則中第二項は、この
銀行の設立のために、設立
委員を命じて、設立に関する
業務を処理させるということにな
つておりまして、他のこの種機関の設立の場合と同様かと存じます。附則のその他の部分につきましては、特に御説明することもないかと存じまするので、なおお尋ねによりまして、御説明申し上げることにいたします。