○大久保(太)
政府委員 お答え申し上げます。三十五
年度の
予算におきましては、
外国為替特別会計の
資本の充実をはかるために、外国
貿易特別会計から五百億の
資本金の繰入れが予定されてあ
つたのでございますが、今回の
補正予算におきましては、これを二百六十億に限定する一方、
一般会計から百億の繰入れを予定することにな
つたのでございます。その
理由といたしまして数個の点を申し上げますと、まず前
年度の
昭和二十四
年度の外貨の蓄積の
状況は、予想外に多うございまして、二十四
年度においてすでに三百十億、外貨に換算いたしまして、八千六百万ドルの外貨の受取り超過に相な
つたのでございます。それで
昭和二十四年の十二月に、この
外国為替特別会計が発足いたしまして、同
年度の受払いの計画といたしましては、受取と
支払いとが一億七千三百万ドル予定いたしておりましたが、二十五年の一月から発足いたしました外貨の
予算制度、これが出発の当初におきましては、いろいろな事情でも
つて、かなり不円滑な事情がありました。詳しく申し上げますと、何分日本といたしましては、外貨
予算制度は初めてでございまして、一月から
実施いたしますのが、その
予算の
成立がかなり時期的にずれを生じまして、そして発表されましたのがたしか一月の下旬であ
つたと存じます。そういう点、それからまたかなり外貨の使用について慎重を期したせいもございますが、そうい
つた関係で、外貨の
支払いは見積りよりも減少いたしまして、一億三千二百万ドルであ
つたのでございます。一方
輸出の面におきまして、外貨の受取というものは予想以上にふえたのであります。これは昨年の十二月の初めから、従来
輸出についても、
政府の許可
制度にな
つておりましたのが、許可
制度がとりはずされまして自由に
なつたという
関係もございます。それでこれが受取の方は一億一千八百万ドルに
増加いたしました。そこでこのように私どもの
会計といたしましては、円の收入が
不足いたしまして、そしてそういう場合には、もともと
貿易特別会計から所要の資金を繰入れていただく、そういう予定であ
つたのでありますが、この円收入の
不足につきましては、差迫
つての処置といたしまして、
日本銀行の
借入金を——
年度越しの
借入金を百九十七億いたしました。それから一方
政府輸出の面で、
貿易特別会計に対して、私どもの方から支払わなければならぬのが百十三億、これを繰延べをいたしまして、そしてこの外貨の手持の
増加による
円資金の需要増を、調節することにいたしたわけであります。従
つて、合計いたしまして三百十億でございますか、これを二十五
年度における、後ほど申し上げます外貨の蓄積による
円資金の
不足というものを合せまして、そして
貿易特別会計から繰入れて行く、そういうことにいたしたわけであります。
第二点といたしまして、二十五
年度の外貨の蓄積の予想でございますが、これは非常にむずかしい計算に相なるのでありまして、外貨
予算上の貿易の経過、それから特需の動向その他を考慮に入れまして、一応正確だと思われます
予算を立てたのでございますが、外貨の受取は、
年度を通じまして、約十一億四千三百万ドル、それから外貨の
支払いの両におきまして九億五千五百万ドル、差引外貨の蓄積といたしまして、一億八千八百万ドルというものを予想いたしました。
第三点といたしまして、
外国為替特別会計の損益計算に多少の赤字を生じました。これは先ほど申しました
年度越し
借入金の
関係でございますが、利息等の予想しませんでした
支払いが
増加した
関係で、八億くらいございます。それからまた今後
輸出の
状況その他は、やはりただいまといたしましては、
年度全般を通じましてなかなか予測が困難でございますので、一応のリザーブをぜひとも必要とするというので、四十一億ばかりの
輸出入の誤差に対して予備をいたしました。
それから先ほど御質問の二百六十億を、
貿易特別会計から繰入れる
理由でございますが、これはむしろ
関係の通産省の方に御
説明願
つた方がいいのかとも存じますが、私から存じております点を申し上げますと、当初
予算で五百億の繰入れを予定したのでございますが、その五百億は、
貿易特別会計が清算の結果、およそ六百四億の余剰金が生ずる。その中で五百億を
外国為替特別会計に繰入れる、そういう予定であ
つたのでありますが、この六百四億と予定いたしました余剰金が減少いたしました。その
理由といたしましては、昨年の四月から十一月までの、
輸出入に伴います外貨の受取超過が
増加いたしましたのが百三十九億円、それから繊維品の
国内放出の收入の減少が百四十八億円、それから
輸入物資の処分が少し時期的にずれまして、收入の一部が来
年度にずれる。そういうものが四十三億円、その他の
理由が十四億円ございまして、三百四十四億円が減少いたしますので、これを差引きまして、さしむき繰入れの可能額といたしまして二百六十億予定したわけであります。なお
外国為替特別会計といたしましては、日銀の
ユーザンス制の
実施によりまして、日銀に外貨々売却いたしますその
関係で、日銀から円の收入が予定されておりますのが約六百七十六億円ございます。以上によりまして、
外国為替特別会計で期待いたします收入といたしましては、九百三十六億円であります。その差額收入の
不足分は百億ということに相なりますので、これを
一般会計から繰入れる。そういう必要を認めたわけであります。大体御質問の要旨はそれくらいであると思います。
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