○
平田政府委員 最近お手元に
補正予算の説明としまして、相当詳細な説明を実はお配りいたしておるわけでございます。これを一々御説明すればわかるわけでございますが、そのうちおもな点だけを申し上げたいと思います。
大体この前も申し上げましたように、当初
予算は昨年の九月水準、実は九月の賃金物価等の水準を予定しまして編成いたしわけでございます。その後いろいろな情勢の変化等もございましたので、今回の見込みは最近の状況をもとにしまして計算をいたしております。しこうしてふえるものはふやす、減るものは減らす。それで
勤労所得税、法人税は相当増収にな
つておりまするが、
申告所得税は三百三十億の減収を立てており、再評価税等の実績が明らかになりましたので、減る分は減らすということで、この分も九十七億
程度減を立てております。そうして全体といたしまして、彼此比べますと六十八億円
程度の自然増収が出て来る、こういう計算にいたしたのでございます。そうしまして増収を出している問題は、
勤労所得税と法人税でございますが、これは
予算説明にも説明いたしておりますように、すべて最近までの
課税実績をもとにして計算いたしておるのであります。つまり
勤労所得税でございますと、本年の四月から十月までの収入実績が、すでに六百二十三億一千百万円ほど国庫に
現実に入
つて来ております。今後どういうふうに入
つて来るかを少し見込んだわけでありまして、その見込み方といたしまして、これはなるべく最近の実績をもとにした方がいいだろうというので、まず一月分の収入額を幾らに見るかという計算をしてみました。その際に大体やはり八月から十月までの平均額をとつた方がいいのじやないかというので、その月平均額が百一億六千七百万円にな
つておるのであります。これを、あと五箇月ございますので、五を乘じまして五百八億三千五百万円をまず見る。そのほかに——八月から十月までは賞与のない月でございますから、年末の賞与の分を加算する。その額を一月分の四七・四%、これは前年の実績等に応じまして見積ります。すなわち四十八億千九百万円、それからいつもございますように、翌
年度になりましてから、前年の分が整理期間中に入
つて来る収入がございます。会計
年度が四月まででございますので、四月に入
つて来る分を二十五億四千二百万円、これをプラスしました。さらに今度公務員の給与ベースの
改正で増がございます。その増、年末給与の分が二十億九千三百万、給与の引上げ分が来年の一月から三月までの分としまして十三億四千万円、合せまして三十四億三千三百万円、この数字をさらにプラスいたしました。そうして出て来ました数字が千二百三十九億四千七百万円でございます。さようにいたしまして、増收の見方は、私
どもしごく最近までの事実に基きまして見積
つておるわけでございまして、これは当然のことでございます。参考までに申し上げますが、昨年の九月に比べまして、ことしの九月の全産業の名目賃金は一割七分増加いたしております。裏から申し上げますと、そのような賃金、給与の増加がこのような実績の増とな
つて現われて来ているのじやないかと見ているわけでございますが、今回は
年度の途中でもございますので、最近までの実績をもとにしまして、できる限り見積りの的確を期するために、このような計算方法を採用したようなわけでございます。それに対しまして、今回の
所得税法の
改正案を当てはめますと、二・二五箇月分であります。
一般給与二箇月分、すなわち一月及び二月分、歳入は三月分は翌
年度に
影響しますので、民間
企業の分は二箇月分、役所の方は俸給支払い後ただちに納めることにな
つておりまして、三箇月分に響くわけであります。それを平均しまして、二・二五箇月分と見ておりますのが、先般申し上げました年減
税額三百億の二・二五箇月分でありまして、それが五十六億三千百万円となり、これの減税による額を見込んで、差引
補正予算に計上したわけであります。従いまして給与
所得税に関する限りは、相当確実であるということを確信いたしております。
それから法人税につきましては、最初当初
予算では三百八十六億円見込んでいたのでありますが、それも最近までの実績に基きまして、百八十六億円の増収を出しまして、五百七十二億七千八百万円と見込んでおります。これもすべて最近までの実績を基本にいたしております。すなわちことしの四月から十月までの実績が二百九十九億七千四百万円ほどすでに入
つており、この実績に基いて今後幾ら入るだろうということを見たわけであります。法人税は月によ
つていろいろ異動がありますので、毎月の平均を最近の状況で出すわけには参りませんから、前一箇年に入つた法人税の総収入に対しまして、四月から十月までに入つた額は、前
年度の何割であつたかという数字を押えたわけであります。その数字を押えますと、昨年の法人税の全体の収入に対しまして、昨年の十月までに入りました分が四一・七%にな
つております。従いまして十一月以後に入
つて来る分は、一〇〇から四一・七を差引いた五八・三%下期に入るという計算になるわけでございますが、ただ最近非常に申告の成績がよくな
つております。また昨年は下期に大分更正決定でふえた分等がございますので、その分は若干下期に入る分を割引した方がいいのではないかというので、それを一割一分差引きまして下期に入
つて来る分が五三・七%と抑えたのであります。すなわち昨年に比べまして、その額を出ますと、三百四十六億七千七百万円入
つて来ることになります。それを單純に合計しますと、六百四十六億円ぐらいになるのであります。これに
税法改正の
関係を織り込みましたわけでありまして、すなわち、ことしの上期には起務
所得税はまだ相当入
つておりますので、その分を約一〇%と見込みまして、三十四億円を見込みました。さらに再評価をやりまして、減価償却費がふえ、それで減る分がございます。その分も上期にはほとんど
影響がなく、下期でございますので、その分を三十九億円差引きまして、それで出て来ました数字が五百七十二億七千八百万円という数字でございます。従いまして法人税の収入見込も相当確実で、むしろ最近の九月の決算状況等を見ますと、私
どもとしては自信たつぷりでございまして、法人税は大丈夫だと
考えております。
それから問題は
申告所得税でありますが、これは当初
予算千五百三億五千百万円に対しまして、三百三十二億円の減収を見ております。これは幸いにしまして、本
年度から予定申告は前年の実績基準で申告するようになりましたので、予定申告で前年実績で申告すべき額というものは比較的はつきりしたものが出て参つたわけであります。それをもとにしまして計算いたしたのであります。昨年をもとにしますと、今
年度については
税法の大改革がありますので、いろいろ推定が入
つて来ますので、
改正後の
税法を当てはめました。昨年の実績を基準にした本年の予定申告の実績額については、十一月の農業の分は若干の見積りをしておりますが、大体実績に基きまして、その額をスタートにして計算したのであります。こうして計算しました場合に、農業におきましては生産が前
年度二%、物価が、マル公の引上げによ
つて一六・六%、米の公定価格は二割強上る見込みでございます。また野菜等の値下り等の
関係もございまして、平均いたしまして一六・六%、それを合せたものが一八・九%、これだけが前年実績をもとにしましたのに対して、今年の農業
所得はふえることになるという計算をいたしたわけでございます。それから営業
所得については、生産が最近の状況にかんがみまして、前年に比べまして一五・四%ふえます。それから物価は、これは
消費者物価指数等は御
承知の
通り昨年に比べましてあまり上
つておりません。しかし生産財物価指数が上
つておりますので、両者を加えまして〇・四、大体前年平均と同じでございます。今年一年の物価平均から見て、
営業者の
所得については一割五分九厘の増になるのであります。
税法改正によ
つて申告成績も大分よくなり、役所の能率もふえますし、御
承知の
通り営業
所得におきまして、捕捉に不十分な点がございましたことは御
指摘の
通りでございまして、そういう点を八%見込みまして、二割五分二厘の増加を
営業者については見ております。その他のものについてもそれぞれ
考慮いたしまして、申告
所得は全体として二割一分一厘の
所得の増となり、それで計算して当てはめてみますと、千百九十四億円の税金額が今年の賦課見込みとなるのであります。それに対しまして本
年度中に入
つて来る分を七五%と押えまして、本
年度の
申告所得税は従いまして八百九十五億五千二百万円、このように見込んでおるわけでございます。それに過
年度分の滯納から入るものが二百七十五億五千六百万円、これは当初
予算の見込みと同額でございます。それを合せたものが千百七十一億八百万円、こういう数字になるのであります。当初
予算と違いますのは、先般も申しましたように、今度は
税務署で誤謬訂正をした後の前年実績が、予定申告に表われておるわけであります。従いまして正味のところを押えたわけであります。今までは当初決定をもとにして、それに
所得の増等を適用いたしまして、それでこの当
年度に幾ら入
つて来るか。徴収歩合でその辺のところをしんしやくする目安にしておいたのでありますが、今回ははつきりした
所得がありますので、それをもとにして計算したものであり、その辺のところが当初
予算の見積りに比べまして、かわ
つて来ておる大きな理由であります。その原因は
税法の
改正に際しまして、いろいろこまかく見込んだわけでありますが、合算等の廃止による
影響が、私
どもの見方よりも農業、小
営業者等において大きかつた点もあるようでございます。でありますけれ
ども、いずれもそういう点は予定申告をもとにしましたが、全部今度の
改正を織り込んだものを基本にしています。そういう
意味で今までよりもスタートがより確実なものを基礎にしておるという
意味で、今回の方が今までよりも確実な見積りになるのではないかと、このように存じております。問題は決定見込額の七五%が入
つて来るか来ないかという問題であります。最近の経済情勢は若干好転を示しておりますので、私
どもとしてはこの
程度の収入を
申告所得税から期待しますのは、妥当ではないかというように
考えておる次第でございます。