○
内藤(友)
委員 今
議題にな
つております
国民金融公庫の問題に関連しての事柄でありますが、実は少しさかのぼることでございますけれども、以前に
復興金融金庫というものがありまして、今もあるのでありますが、この増資の
法律案が出ましたたびごとに私は申し
上げておつたことなのであります。
大蔵大臣が御就任になりましてから以後も、これは私のばかの一つ覚えかもしれませんが、いつも申し
上げておることであります。ところがいつも
大臣はこれは十分
考えておるのだ、やるのだというふうなお話で、そのお言葉を聞きますると、非常に安心をいたしまして実現の日を待
つておるのでありますが、今度もお配りになられました二十五
年度補正予算の
説明、これを見てみましても、いつも私がばかの一つ覚えを申し
上げておる事柄が、ここに出て来ておらぬのであります。
そこでお尋ね申し
上げたい第一の点は、
大蔵大臣は農林金融に対してどういうお
考えをお持ちなのか。中小企
業者あるいは貿易
業者あるいはその他の産
業者に対して、ない中から非常な金を出していろいろとお
考えにな
つておるのであります。これはまあいいと思います。またやらなければならぬと思います。しかしそういうのを見ますると、農業の方に
関係を持
つております私どもは非常にさびしい気持を持つのであります。しかしそう申しましても、私どもは單に農業だけのことを
考えておるのではございませんので、
わが国産業
構造がどうあるべきか、自立経済をはかる基本的なことはどういうことかということを
考えてのことなのであります。御承知の
通り、戰後
日本経済は援助金とそれに補給金、いわゆる竹馬の足でささえられて来ました。ところが竹馬の足もだんだんと細く短かくなりまして、やがてこの足がなくなろうと思うのであります。こういうふうな今日の状態になりまして、資本蓄積という面を強く
考えてみますると、それは何と申しましても貿易というものが一番
考えられるのであります。ところが昨年の貿易状況を調べてみますると、輸出いたしましたのは五億一千万ドル、
輸入いたしましたのが九億ドル、差引三億九千万ドルというような
輸入超過にな
つております。この赤字の大
部分が実は食糧なのであります。私どもはほんとうに貿易を盛んにして、そうして
日本の資本蓄積を
考えるのならば、何もそれは食べて肉になり血になるのでありますから、何にもならぬとは申しませんけれども、そういうものよりもむしろ
日本の
工業の原材料を入れるということに向けなければ、ほんとうに資本蓄積にはならぬと
考えるのであります。でありますから、今日のこの貿易の現状をながめまして、私は食糧の
輸入ということをなるべく少くして、そうしてその
部分を
日本の
工業の原材料の
輸入に向けるということでなければ、正常な自立経済というものはどうしても
考えられない、こう思うのであります。そういう観点に立ちまして、私どもは農村の問題を
考えておるのでありまして、ただ單に農村だけの狭いことを申し
上げておるのではないのであります。これをほんとうにやらなければ私は
日本の国は立たぬと思う。そういう
意味で実は尋ねておるのであります。また一面農業人口は全人口の半分おります。
工業にと
つては有力な
国内市場であります。この農村の購買力の消長、そういうことをほう
つておいては、
日本の
工業というものは
考えられません。そういう
意味からも実は農村のいろいろな問題をお願い申し
上げておる。しかし
大蔵大臣は減税という問題を非常に強くお取扱いにな
つておりますので、その点は多といたすのでありますが、それが行き過ぎますると、その反面いろいろな産業が萎靡し、振わぬような状態にな
つて来ることも
考えなければならぬ。
従つて政治家はどこに線を引くかということか一番大事な問題であります。私ども申し
上げますことは、決してこれはごむりなことを申し
上げるのではないのであります。今日の
予算をながめてみましても、農村に対する金は少しも計上されておらない。救農臨時
国会を開いてもらいたいというお願いも、この
予算の上では出ておりませんし、廣川農林
大臣が、興農臨時
国会を開くのだと言われたのでありますけれども、その片鱗も現われておらない。こういう状態を見ますると、
日本の将来が実は心配でならぬのであります。そこで行政の面から農村のことを心配できないのならこれはしかたがないが、それがやがて融資の面にどうしても向けなければならぬということにな
つて来るのであります。これは感心したことではございません。借金をして農業のいろいろな
施設をするということは私は邪道だと思います。けれども今日の状態としましてはこれはしかたがない。ところがその融資の問題も今日はまつたく望みがない。いろいろ新聞では
大臣も
——これはいつでありますか、二十七日の
予算委員会でお話になられたことが新聞に出ておりまして、これを私どもは何かこうお宮でいただいたお守りのように持
つておるのであります。これが実現してくれればと思
つてその日の近いことを待
つておるのでありますが、はたしてこういうことはほんとうにおやりなさるつもりかどうか。そのほんとうの心をひとつまずお聞かせ願いまして、安心させていただきたいのであります。