○平田
政府委員 法律案は目下総司令部に
提出いたしまして、本日中に
国会に
提案の運びになるように努力いたしておるのでございますが、本日は要綱に基きまして、概要を御参考までに御
説明申し上げたいと存ずる次第であります。
税制改正につきましては、所得税の軽減に最大の重点を置いておるのでございます。所得税につきましては、本
年度の改正で従来に比較しますと、相当な改善をせられたのでございます。なお控除、税率等は、実情に即しないものがございましたので、今回さらに
基礎控除、扶養控除を引上げ、税率を若干上にずらせまして、全体としまして相当な軽減をはかる
考えであります。そうしまして、所得税の普通の改正は、二十六
年度の
予算とともに、本
国会に
提案するのが妥当と
考えられましたので、
臨時国会に
提案いたしまする分は所得税法
臨時特例法といたしまして、この一月から三月までの給與に対しまして、とりあえず勤労所得の源泉課税について、軽減をはかることにいたしておるのでございます。すなわち
基礎控除を現在年二万五千円を三万円、扶養控除を一万二千円を一万五千円、税率につきましては、現在は累進税率が下の方から小幅に刻んでございますのを、少し大幅に刻むことにいたしました。現在の階級刻みのうち、八万円を越える
金額と、十二万円を越える
金額との階級区分を廃止いたしました。しこういたしましてその反面、三十万円を越える
金額と、百万円を越える
金額との三つの階級を設けましてそれぞれ適用税率を各上位所得にずらすことにいたしたのでございます。しこういたしましてこういうことを前提にいたしまして、これによりまして現行税額に比べまして減る額を、一月から三月までの所得税の軽減額といたしまして、表を作成し、その軽減額を本来の所得税法で定めまする勤労所得の税額表から差引いた残りの税額が、この一月から三月までの勤労所得税となる、こういう
法律案にいたしまして
提案する見込みでございます。そのやり方は昨年の
臨時国会で行いましたのと同様なやり方でございます。その結果といたしまして、最後のところに表をつけてございますが、独身者の場合におきまして四、五千円のところでございますと三〇%、一八%
程度の軽減になります。中位のところになりますと一割弱のところもございます。家族の多い方はさらに軽減になりまして、夫婦、子供二人の場合でございますと、三割三分の軽減になりますが、標準世帯は一万二千円で、家族が夫婦、子三人というところで抑えておりますが、その辺のところでありますと、現行税額が一千七十円に対しまして、改正税額が七百九十円に相なり、二百八十円の軽減になりまして、二割六分の減税になるのであります。大体におきまして一割五分くらいから二割五分くらいまで減税になる人が、大部分のように見られます。もちろん所得の大きさなり、家族数のいかんによりまして、相当差が出て来るのは御承知の
通りでございます。
次にこの所得税につきましては、これは減税と
関係ございませんが、確定申告の期限を一箇月延長いたしまして、三月にすることにいたしてございます。これは一方におきましては、できる限り納税者の便宜をはかりまして、申告の成績をよくする。他方におきましては
政府の
調査期間を長くいたしまして、的確なる更正
決定を行う、こういう趣旨を加味しまして、一箇月延長することにいたしたのでございます。
それから酒税につきましては、従来非常に酒の税率が高過ぎ、
価格も高いという非難は、これは輿論だと
考えていたのでありますが、そういうことが災いいたしまして、最近非常に酒の売れ行きが不振になりまして、酒造界が混乱を来しておりましたことは、御承知の
通りでございます。今回酒類につきましては、自由販売酒の
価格を相当大幅に引下げることにいたしたのでございます。税率におきましては、総
平均いたしまして約二割八分の減になります。しこうして
価格におきまして最も重きを置きましたのは、清酒の三級酒と合成酒の二級、しようちゆうでございます。すなわち清酒の二級は六百四十五円から四百六十円
程度にする。しようちゆうは四百五十円を三百三十円
程度に引下げる。このような
価格になるように税率を定める予定で
法律案を作成し、
提案する見込みでございます。これによりまして酒税の收入は、大体年末から年始を控えて売れ行きが非常にいい時期でございますので、若干の増加を来すのではないかと見ておるのでございます。
次に物品税につきましては、税率は御承知の
通り現在百分の十から百分の七十に
なつておりますのを、百分の十から百分の五十に改めることにいたしました。その中でさらに若干のものにつきましては、百分の五の税率を設けて、例外的に課税することにいたしております。それから生活必需品と認められるようなものにつきましては、課税をでき得る限りやめる。それから
事務用品につきましても同様でございます。この課税廃止は課税品目表から削除することと、それからいま
一つは課税最低限を引上げるごとにいたしまして、実現をはかることにいたしておる次第でございます。物品税の内容につきましては、あるいは御要求がございますれば、
あとで詳しく
説明申し上げてもさしつかえないかと思いますが、大体そのようなことでございます。
なお揮発油税につきましても、従価百分の百という税率は高きに失しますし、最近揮発油の代用燃料であります木炭、まき等の値段が、現在の揮発油税の税率を定めたときに比べますと、値下りを来しております等の
関係を考慮いたしまして、従価大判五分
程度の税率になることを目途といたしまして、従量税に改めることにいたしたのでございます。
それから砂糖消費税につきましても、最近の
状況に顧みまして、税率を相当大幅に引下げることにいたしております。すなわち黒糖につきましては現在千八百円の税率でございますが、これを四百円
程度に引下げる。分蜜糖、これは普通の砂糖でございますが、これにつきましては現在二千円に
なつております税率を千円
程度に引下げる。その他それぞれ氷糖、糖蜜等につきましても、これらと均衡を得るように税率の引下げを行う
考えでございます。これも一月一日から実行の予定でございますが、現在
輸入砂糖には租税措置法で
臨時に免税をいたしておりますが、税率を引下げましたこの機会におきまして、
輸入砂糖にも来年の四月から課税する見込みでございます。この
関係の
法律案は次の通常
国会に
提案する見込みでございます。
以上は改正案の内容のほんの概略の
説明でございますが、御要望に応じましてさらに御
説明申し上げてもさしつかえないかと思います。