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浅井政府委員 人事院といたしまして、その点はこの席上においては申し述べることができると思うのであります。
第一は
俸給表の問題でございます。すなわち、きわめて通俗的な
言葉でございますけれ
ども、
人事院の案よりも
政府の方が下に薄く上に厚くな
つておるという点でございます。よく昔から下に厚く上に薄いということは――きわめて卑俗の
言葉で申しまするけれ
ども、これはまた一面非常に大きな真理を含んでおると思うのでございます。そこで私はこの
人事院の引きました
カーブ、つまり一番下のところを二級一号に押えておるという点、上を七倍あまりにしておるという点、つまり
最高額が最低限の約七倍にな
つておるという点、これは
人事院のとる
給與政策として大体それでよろしい、これが適切であろうと思
つております。しかるところ
政府の案におきましては、下の方はより薄く、上の方は約八倍にな
つておるという点でございます。つまり上の方を上げましても、
ベースは
もとより上りますけれ
ども、これは少し上の方が上
つておる。
もとより責任の重い者の
給與をよくするということは、これは当然のことではございますけれ
ども、
財源がこれだけしかないというのならば、すべての級の者がその犠牲を均等に受くべき
ものであ
つて、上の方の者だけがその犠牲を少く受けて八倍にまで達しておる。下の方の者が薄くな
つておるという点は、
人事院としては不満の第一点でございます。
第二点は、切りかえ表の問題でございますが、これにおきまして、
政府案においては
特別俸給表を受けております者の号級を若干切捨てまして、それから得た
財源でも
つて他の方を上げるという操作をなしておる。この
特別俸給表の適用を受けておりまする者その他は、すべてこれ理由のあることでございまして、職階制が完成しまして職務の内容及び責任が明確にわかれるようになりました場合は、これはいろいろその点がございましようが、現在そういうことをすることに対しましては、私は反対でございます。つまり特別
号俸を受ける者も上れば、両方とも正比例して上る。
政府の
見解では、この点はつまり勤務時間の相違から出て来るというような御
説明でございますけれ
ども、この
特別俸給表を受けておる者は、決して勤務時間が多いから受けておるのではない。危險な作業、困難な作業、その他いろいろのデーターがあるように
考えておりますから、この点は不満でございます。
第三点といたしましては、
人事院の
意見の申出の中にありました年末給一箇月という問題、すなわち
人事院といたしましては、十三箇月分の
俸給を拂
つてもらいたいというのが、主張でございます。この一箇月余分ということは、何から出て参りましたかというと、
人事院が民間の
給與を研究いたしまして取入れまする場合に、民間会社で出しますボーナスという
ものは、計算に入れていないのであります。もちろん中小企業等におきましては、ボーナスどころか給料の遅配欠配等もあるように存じまするからして、
国家公務員だけが年末
給與を受けるということは、いかがかという議論もあるようでございまするけれ
ども、大体給料の遅配欠配などはないのが当然でございまして、ある方が間違
つておるのでございますから、それは比較のデータにはなりませんし、また何十万という多くの
公務員を擁しておりまする
政府は、これは最大の使用主ともいうべき
ものでありますから、善良なる使用主として民間の比較的大きな事業の
給與と比較しなければならぬ、その場合、大体年末一箇月の特別のボーナスを計算に入れてこれを支給する、こういう
意味でございます。ところがこれが実現しませんので、それでこの
給與法からと
つてのけたわけでございます。大体その三点だと思います。