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1950-11-30 第9回国会 衆議院 人事委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月三十日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 田中伊三次君    理事 田中 重彌君 理事 藤枝 泉介君    理事 平川 篤雄君 理事 松澤 兼人君       小淵 光平君    加藤隆太郎君       藤井 平治君    中曽根康弘君       成田 知巳君    八百板 正君       今野 武雄君    岡田 春夫君  出席政府委員         内閣官房長官 菅野 義丸君         人事院総裁   浅井  清君         人  事  官 山下 興家君         地方自治政務次         官       小野  哲君         大蔵政務次官  西川甚五郎君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房審議室長事         務代理)    増子 正宏君         人事院事務官         (事務総局給與         次長)     慶徳 庄意君         大蔵事務官         (主計局給與課         長)      磯田 好祐君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      大坪 藤市君         專  門  員 安倍 三郎君 十一月三十日  理事今村長太郎君の補欠として、田中重彌君が  理事に当選した。     ――――――――――――― 十一月二十九日  公務員給與ベース改訂に関する陳情書  (第六一号)  同  (第七七号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  一般職職員給與に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一二号)  国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当支  給に関する法律の一部を改正する法律案起草に  関する件     ―――――――――――――
  2. 田中伊三次

    田中委員長 これより人事委員会を開会いたします。  まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。去る第八回国会の七月三十日に、理事であられた今村長太郎君が委員をやめられ、その後理事一名が欠員となつたままでありますので、この際理事補欠選挙を行いたいと存じます。これは先例によりまして、委員長において指名することに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。それでは田中重彌君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 田中伊三次

    田中委員長 それから当委員会参考人を選定いたしまして意見を聞くことに、前会決定をしたわけでございますが、参考人の指名は委員長に御一任になつておりましたので、委員長において選定いたしました参考人を御報告申し上げます。  公共企業体仲裁委員会委員            今井 一男君  官庁給與共同闘争委員会議長            佐藤 忠夫君  官公庁労働組合合協議会逓信従業員組合中央執行委員長            永岡 光治君  郵政省大臣官房人事部長            松井 一郎君  この四君を選定いたしましていずれも四君の同意を得ました。御報告申し上げます。     ―――――――――――――
  5. 田中伊三次

    田中委員長 ただいまより一般職職員給與に附する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。質疑は通告の順によつてこれを許します。
  6. 今野武雄

    今野委員 議事進行について――大体越年資金を十五日ごろ出すという話です。この給與の改善は一月からということで、十五日ごろに出す越年資金の方が急だと思うのですが、この方の提出あとにしたのはどういうわけですか。
  7. 菅野義丸

    菅野政府委員 法律案全体の提出がとかく遅れがちで、その点につきましては昨日官房長官からおわび申し上げましたように、まことに残念に思つておりますが、極力急ぐようにいたしております。  ただいまの御質問の、給與ベース改訂は一月からであるにかかわらず、本年中に支給しなければならない年末手当法律あとになつているのはどういうわけかということにつきましては、これはまつた手続上の問題でございまして、大体予算案がきまりましたので、われわれといたしましては、同時か、あるいは時期の関係上年末手当の方を先に出す考えでもつて準備をいたしたのでありますが、現在まだ手続が完了いたしませんで遅れているような次第であります。しかしこれもそう長くはなく、両日中には必ず提出できる見込みで、ただいませつかく準備中でございますので、しばらくお待ち願いたいと思います。
  8. 今野武雄

    今野委員 それは手続が遅れたというのですけれど、もしこれが出されて来た場合には、やはり委員会の方としてこれを早急に取上げないと、どうにも問題にならぬと思うのです。十五日という約束だつたのですからそれをどうなさるか、その点考慮願いたい。  それからもう一つ議事進行関係があることですから、人事院総裁にお伺いしたいのですけれども人事院勧告は八月の六日でした。それは第八国会の直後なんです。どうして第八国会に出さなかつたか、これは重大問題だと思うのです。第八国会に出そうと思えば、間に合つたのではなかつたか、どうして直後に出したか、これは重大問題だと思います。
  9. 浅井清

    浅井政府委員 その点につきましては、その節当委員会及び本会議においても申し上げた通りでございまして、ここに繰返す必要はないと思つております。
  10. 田中伊三次

    田中委員長 今野君の今の御発言の、年末給與に即する法律案を急げよという御発言はごもつともと存じますから、当委員会に付託あり次第、可及的すみやかに審議に入ることにいたします。  それでは質疑に入ることにいたしまして、まず平川篤雄君。
  11. 平川篤雄

    平川委員 昨日の官房長官提案理由説明につきまして、二、三の点をお伺いいたしたいと思います。  この提案理由の御説明の中には、しきりに人事院勧告を尊重する建前もとにとか、あるいは人事院勧告の趣旨を尊重するとか、人事院勧告に従いとか、人事院勧告通りとか、実に頻繁に人事院勧告を尊重しておるように載つておるのでありますが、私自身の見解から申せば、本質的には勧告従つておるのではないのであつてむしろ末梢において、極端に申せば予算上の都合によつて、そのつじつまを合せるために、人事院勧告を借りて来ておるというふうにしか考えられないのであります。そこで二、三の点でお伺いしてみたいのであります。  ます第一番に成年男子給與は、大体二級一号であろうと思うのでありますが、人事院勧告では三千三百四十円となつておりますものを、三千三百五十円と算定いたしておりますが、その根拠をはつきり聞かしていただきたい。
  12. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。政府案人事院勧告と違いますところは、俸給表の点とそれから現在の特別俸給表、あるいは調整号俸等々、一般俸給表の格差を若干縮めたという点だけであります。それからもう一つ人事院勧告には、検察官の俸給表と一緒にするようにという勧告がございましたが、これはいろいろの事情でもつて、別の法律でやりました。大体大きいところは三点でございまして、あとは拔術的なことは、ほとんど人事院勧告通りにやつたつもりでおります。しかしながら俸給表の点につきましては、本質的な問題でありますので、單に三点と申しましても、相当大きな点がかわつておるというのは御指摘の通りであります。ただいまの御質問人事院勧告の三千三百四十円というのが、人事院勧告におきましては、俸給表の二級一号になつておりますが、政府案の方は二級一号が三千三百五十円になつておるのはどういうわけかというお尋ねでございますが、この点につきまして政府の案では三千三百四十円の数字をそのままとりまして、ただ基準に、おく号数人事院は二級一号、すなわち通し番号で三号のところにおいておるのでございますか、政府の方の案は二級の四号でございますが、通し番号で六号というところにおいておるのでございます。ただラウンドナンバーにするために三千三百五十円となつておりますが、この三千三百五十円を基準にいたしまして俸給表を作成いたしたのであります。なぜ二級の一号から二級の四号にいたしたかという点につきましては、この二級というクラスにおります者が、大体平均十八歳でございます。ところがその年齢構成を見ますと、十六歳から十九歳までの者でありまして、平均十八歳ということになつておりますので、その級の一番初めの二級一号におきますよりか、二級は七号ございますので、そのまん中の四号というところに基準をおきまして、三千三百四十円を整理した三千三百五十円をそのままとりまして基準においたのであります。
  13. 平川篤雄

    平川委員 そういたしますと、元の号俸によつて号俸を得ておつた者は、このたびは当然六号へあてはめて昇給させるということに相なるのでありますか。
  14. 菅野義丸

    菅野政府委員 そういうことにはならないのでございまして、二級一号、すなわち通し番号の三号俸を得た者は、今度もやはり二級の一号の三号俸を受けることになるわけであります。
  15. 平川篤雄

    平川委員 私今のところは別といたしまして、この六号俸を三千三百五十円をはじき出された、その元になる数字は、すべてこの人事院提出した資料に基き、かつその方法もその通りにやつてあるわけでありますか。
  16. 菅野義丸

    菅野政府委員 さようでございます。
  17. 平川篤雄

    平川委員 人事院はこの八月に提出をいたしました資料従つてその数字は最もおそいものでも本年の五月、六月の候のものでありますから、それ以降の資料は何ら提出していないという言明をしばしばされておる。そういたしますと、その後におきますいわゆる特需景気朝鮮動乱などの影響を見込んだ物価変動は、全然加味していないといというふうに考えてよろしゆございますか。
  18. 菅野義丸

    菅野政府委員 人事院勧告は五月のCPS基準にしておりますので、その後の変化はあるいは考えなければいけたかつたのかもしれませすが、人事院数字をそのままとるということが、何かにつけて権威づけられていいと思いましたのと、それからその後の変化は一時的のものでもつて、いずれは安定するであろうというような見通しも立てまして、一応勧告通り数字を、ただラウンドナンバーのために十円増して、三千三百五十円にいたしまして、計算いたしましたのでございます。
  19. 平川篤雄

    平川委員 次に地域給を同じく人事院勧告を尊重せられまして、五分づつ引下げられたのでありますが、私どもはすこぶる機械的なやり方以外の何ものでもないと思わざるを得ないのであります。われわれもただいまこの地域給の元になります各地の物価が、だんだんと差を縮めて来ておるということはわかりますけれども、ただいまの、持地、甲地乙地というものは三割、二割、一割から、そのまま五分を引きまして、二割五分、一割五分、五分というような開きにするということが、はたして妥当なのかどうかということは疑わざるを得ないのです。暫定的にという言葉でお逃げになるかもしれませんが、ここのところのはつきりした根拠はやはり考えておられるものと思うのでありますが、ひとつその点を明らかにしていただきたいと思います。
  20. 菅野義丸

    菅野政府委員 最高が二五%であるということにつきましては、人事院の出しました資料に非常に詳細に書かれてありますので、この点は人事院勧告通りでありますが、問題は甲地の一五%、乙地の五%という点にあると思いますが、人事院と同じような計算でもつて甲地乙地の昨年の十一月の特別CPS調査数字を計算いたして参りますと、甲地が一一四・九という数字になるわけであります。それから乙地が一〇三・七、こういう数字になるのでございます。そこでこれを整理いたしまして、甲地を一一五、乙地を一〇五といたしたのでございます。この数字はそういう意味におきまして、やや乙地に有利のように見えますが、五%以下の数字をつけるのもどうかと思いまして乙地は五%ということにいたしたのでございますが、たまたまこれが最高一二五%ということに比べますと、この差は前と同じように一〇%ずつということになりましたが、これを出しました根拠は、ただいま申し上げましたような数字からでございます。
  21. 平川篤雄

    平川委員 ちよつと聞き漏らしたのかもしれませんが、今の甲地の一一四・九、乙地の一〇三・七というのは、いつの指数でありますか。
  22. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは二十四年の十一月の特別消賃者価格調査特別CPS数字でございます。なおもう少上詳しいことは大蔵省の方からでも御返事申し上げます。
  23. 平川篤雄

    平川委員 二十四年の十一月のSCPSは最近非常に大きな変動が来ておることは、これは私申し上げなくても大蔵省当局もよく御存じだろうと思います。ことにSCPSの最近のやつは発表せられたかと考えるのでありますが、さようなものはわからないにいたしましても、CPSだけとつてみても、相当な違いが来ておる。それに六月のものによらないで、昨年の十一月のものによるということは、これは非常に間違つた根拠になつておると思います。もしそれが都合が悪い、そういうものを取上げることができなかつたということになれば、私はこれは怠慢だと思わざるを得ないのであります。ただいまのこの俸給全体の資料は五月のCPSによつておるし、それから地域給は昨年の十一月のSCPSによつておるということは、何といつてもこれは納得ができないと思いますが、その点新しい資料を考慮せられる余地はなかつたのでありますか。
  24. 菅野義丸

    菅野政府委員 たるべく新しい資料によるのがほんとうでございますが、最近のSCPS数字によつてせつかく今人事院根本的な検討を加えられておりますので、これはほんとうの暫定的な、それでの一時的なものであるからというので、人事院でも御採用になつておりますところの十一月の数字をそのままとつたわけでございます。
  25. 平川篤雄

    平川委員 このような点につきましては、あとからまた人事院総裁の御意見を伺いたいのでありますが、なお官房長官にお尋ねいたします。  上級職員下級職員に比較して高率昇給をなしておるということは、これは一目瞭然なのでありますが、この上級職員が非常に困つており、これにかなりな額の昇給を認めなければならないということは、私も実は同感なんです。同感なのでありますが、ただいま明らかにせられましたように、物価がただいまよりか非常にまだ安く、しかも昨年の貸料に基いたり、あるいは本年の五月の資料に基いたりしておるような実情であります。かつこの成年男子の二級俸をかように低いところに押えているというような現状をもとにいたしまして、上級職員高率昇給考えることは時期でない。そのこと自体は悪いことではありませんけれども、しかしながらそれよりも、一般の何と申しますか、生活をまず考えまして、少くとも人事院の八千五十八円のベースにまで持つて上げて考えるならばともかくも、わずかに千円だけ上げまして、そして上級職員だけ高率に上げる、しかも人事院勧告よりも一属それを高いものにしているということは、私は時期でないと考えるのでありますが、官房当局ではどういうふうにお考えでありますか。
  26. 菅野義丸

    菅野政府委員 私どもの方で調査いたした数字によりますと、昨年の三月、すなわち六三ベースが完全に実施いたされましたときと比較いたしますと、現在は国家公務員税込額実質貸金におきまして、その当時を一〇〇といたしますと、一三八・二という数字になるわけであります。それから税引額で言いますと、その当時を一〇〇といたしますと、一四二・三というふうに、三〇%、四〇%も実質賃金は上つているというような状態でありまして、やや経済界の安定が反映していると思うのであります。従いまして、この際能率給的な考えを入れるということは最も適当な時期ではないかというふうに考えたのでございます。と同時に、人事院の先般の勧告に比べまして上級がややよくなつておりますというのは、通し番号十七号俸が、人事院勧告は二万三千円になつておるのでありますが、政府案は二万五千円になつておる点から、そういう違いが起つて来るだろうと思いますが、これは人事院のお出しになりました民間給與資料をそのままとつたのでございまして、人事院勧告はどういうわけかこの資料と違いまして、二万二千九百十六円というのは六十六号に相当する数字でございますが、それを七十号といたしております。そこで七十号の数字に対応する数字を見ますと、二万五千六百三十二円という数字になつておりますので、その百位以下を切り捨てまして二万五千といたしまして、七十号の金額をきめたのでございます。基準になりますのは、三千三百五十円として六号俸に入れて、その間を結んで等比級数にしたわけであります。
  27. 平川篤雄

    平川委員 それではただいまの点につきまして、人事院総裁の御意見を聞きたいのであります。まず最初にこの八千五十八円の勧告と、そしてこのたびの給與法案との間の根本的な違いというものについて人事院総裁の御意見をお聞きしたいと思うのであります。
  28. 浅井清

    浅井政府委員 お答えに入る前に申し上げたいことは、かつて七千八百七十七円の勧告をいたします前から政府ベースは上げない、給與は上げないという態度で臨まれておりましたことは御承知通りでございます。しかるに今回はともかく人事院勧告を尊重するという建前で、ここに給與法改正案が出ましたことは、私は非常にうれしいことだと思つておる次第でございます。そこでお話の点でございまするが、さいぜん菅野さんも申されました通りに、ベースということに関しまして、私は根本的な違いがあるのじやないかと思つております。かつて千九百円ベースでございまするとか、二千何百円ベースでございまするとか申しておりましたときのベースというのは、これは実は出発点になつております。すなわち給與に振り向けられる総額、従つてその一人当り幾らというベースがまずきまつて、その範囲内において俸給表というものが操作されたのでございます。しかしながら人事院ベースというのは、結果であつて出発点ではないのでございます。すなわち政府が非常に大きな使用者として、善良な使出者として、あるべき給與政策から出発してきめた俸給表を適用いたしますれば、その結果がおよそこれくらいのベースになるというのが人事院建前でございまするからして、同じベースという言葉でございましても、結論と出発点と非常に違つておるのでございます。そこで政府のおつしやいましたように、金額におきましては、なるほど人事院勧告ベースと違いはそう大してないものであろうと思いまするけれども俸給表の内容その他におきましては、非常に違つた考えでできておる、こういう点でございます。ただいま平川さんの御質疑でもお触れになりましたが、上の方に厚くて下の方に薄い、つまりカーブ人事院カーブと違つておる。これはもの考え方でございまするが、人事院といたしましては、人事院カーブ一つ給與政策根本としてできておる。そういう意味からいつて政府のお考えと少し違つておる、こういうふうに考えております。
  29. 平川篤雄

    平川委員 ただいま菅野さんにお伺いしました三つの点につきましての御見解を、順次披瀝していただきたいと思うのでありますが、まず成年男子の今の三千五十円の点が、つまり二級一号、三号俸というもの平均ではない。むしろ六号俸基準にする方が妥当であるということについて、人事院ではいかに考えられますか。
  30. 浅井清

    浅井政府委員 それはもののとり方でございまするけれども人事院といたしましては、なるべく、公務員を保護し、優遇するという立場を離れることはできないのでございまするからして、三級の総平均が十八歳、そうして労働基準法によりますれば、十八歳は成年男子と同じように取扱われてれるのでございまするからして、いやしくも二級である者が、成年男子としての三千五百四十円を受けるということは少しもさしつかえないし、またその方がいいというので、これを二級一号に当てておる次第でございます。
  31. 平川篤雄

    平川委員 地域給に関する比率を二割五分というふうにきめまして、そして順次五%ずつ引いて来たのでありますが、これは人事院の二割五分というものは八千五十八円というもの基準にしての二割五分であつて、このたび千円引上げるということにおける二割五分ではない、だからその率だけはなるほど二割五分というのは間違いなく同じでありましようけれども、実質的には非常に大きな違いが出て来ておると思うのが一点であります。  その次にただいま菅野さんのお話になりましたような資料を持つて来ては、これは安当でない。人事院ではなぜこういうところについて、もう少し新しい資料によるべく強い勧告をなされなかつたかということを疑うのでありますが、その点について伺いたいと思います。
  32. 浅井清

    浅井政府委員 地域給根本考え方についてはすでに申したこともございまするからここに繰返しませんが、要するに人事院調査いたしましたところによりますれば、物はどこもここも高くなつて参つた。すなわち物価地域差というものは漸次減少しておる。そうすると地域給で操作し得べき範囲は、とうてい三割はないのであつて、むしろ本俸を上げることが正しいのではないかという建前から、本俸相当引上げるという意味におきまして、三割を二割五分、以下五分刻みというもの人事院考え方でございます。従いまして、ただいまお示しのように、八千五十八円までベースを上げるということを前提といたしまして、三割を二割五分、以下五分刻みに落すということはご了解の通りでございます。そこで政府の方はそれと違つているという、わずか千円上げて違つているというようなお話でございまするけれども、私はその金額の点におきましては、政府ベース人事院ベースとはあまり違わないと思つております。ただ問題は、この政府案の附則にありますように、現行の三等分と支給地域を現在のままにいたしておきまして、單に五分ずつ下げておる、この点だろうと思つております。もつともこれは人事院がもつと早く勧告しないからこうなつたというようなお考えがあるかもしれませんが、人事院といたしましては、この支給地域勧告というのは非常な重大問題でありまして御承知のごとく各地方実情に関しましていろいろ調査もいたす必要上、まだ完成をいたしておりません。そこでそれまでの暫定措置といたしましては、何かの方法が必要となつて来る、これが政府のお考えであろうと思つております。
  33. 平川篤雄

    平川委員 ただいま人事院総裁から、根本政府の案との違い、なおそのこまかい点についての意見の御発表をいただいたのでありますが、これによつて私はまずこの給與案根本の思想が、政府案におきましては、結局現在の財源というものに押えられてしまつて、そこでまず公務員に頭割をして、それをもとにして、うまくかつこうをつけたというふうに考えられる。それから次に地域給の方におきましては、本俸引上げることが目的というのではなしに、やはり五分ずつ引くことによつてその乏しい財源を糊塗する、こういうような考え方であつて公務員を保護優遇するという精神ももちろんあることに間違いがないのでありますけれども、それよりもむしろ財政的な考慮ということがなされたのであるというふうに考えざるを得ない。ことに人事院資料の要求ということにつきましては、どうも官房長官に聞きましても、また副長官にお聞きしましても、十分の努力を拂われておるようには思われないのであります。内閣審議室が十分にやつておると言われるのでありますが、先日も私が申しましたように、ここではわすかな職員がやつておられて、そうした精密な作業が行われておる様子は全然ない。官房長官は、各省に給與のエキスパートがおるから、決して私の心配するようなことはないと言われるのでありますが、これではまるで人事院の厖大な組織というものを無視しておるにひとしい言い方であつて、こういうふうなことを考えますと、人事院は一応うまく勧告を利用せられて、あとは財政的な見地で、官房において適当に大蔵省数字をもつてやられでおるというようにしか考えることができない。そもそも人事院ができますときは、いわゆる大蔵官僚が、給與の点において国家公務員の上に暴威を振うということを制限をする。そうしてどこまでも合理的にこの給與の政策を遂行して行くために人事院ができたと私は了解をいたしておるのでありますが、その考え方というもの根本的に踏みにじられておるようなふうに私は感ぜざるを得ないのであります。この点につきまして、まず人事院総裁の御見解を伺い、その次に官房長官の御見解を伺いたいと思います。
  34. 浅井清

    浅井政府委員 国会議員の政治上の御意見政府委員が批判いたしますることは御遠慮申し上げたいと思います。ただ国家公務員法の解釈を申し上げるほかないのでございまするが、国家公務員法によりまして、人事院給與政策の面を担当いたしましたる理由は、人事院という何がしかの独立性を持つた機関が、何が適切なる給與であるかということをきめる。その給與政策を專掌する機関として生れて参つたということは、これは動かすべからざる理由であると思つておるのでございます。この見地から考えますれば、給與政策は、これは人事院におまかせを願いたいと思うのでございます。もとより財政面等につきましては、これは内閣なり、国会なりにおまかせをいたしたいのでございますけれども、かりに千円のものが八百円しかないということが確定いたしましたならば、この八百円の範囲内においての給與政策というものは、やはり人事院において考えるべきではなかろうか、かように考えております。
  35. 菅野義丸

    菅野政府委員 私からもお答え申し上げます。まず初めの点の、財源の制約があつて勧告と違つたようになつたのではないかというお尋ねでございます。これは繰返し御説明申し上げております通り人事院の出しました資料をそのままとりまして、人事院のやつた方法をそのままとつてつたのでありますが、ただ遺憾ながら人事院の方と基準になる点の見解が違つたり、あるいは資料通り人事院勧告がなつておらなかつたので、それを直しました結果、こういうことになるのでございまして、決して財源で縛られて、こういう方法を逆に考えたということではないのでございます。その点ははつきりお答え申し上げておきます。  それから人事院政府関係につきましては、私も公務員法の解釈よりか言えないのでございまするが、公務員法におきましては、人事院はもちろん給與のことにつきましては、非常な科学的な方法でもつていろいろ調査をなさいますし、研究もされるのでございますが、これは要するに政府に対して勧告をするだけでございます。従いまして政府といたしましては、その勧告を受取りまして、その内容を検討するということは、これは自由であると私の方では考えております。そのために多少のスタツフも必要でありましようし、また独自の数字も必要でありましようが、しかしながら現在の人事院が持つております非常に完備した調査機関というものでつくりました数字は、これは尊重すべきでありますので、私どもの方でかつてにとつた数字はなるべく使わないで、極力人事院の出しました資料数字をとつておるのでございまして、この点につきましては、人事院の権威ある調査をそのままとる方針でおります。しかしながらもしかりに人事院勧告をそのまま実行しなければならぬというのでございましたならば、おそらく法律提出人事院でするということになるのでありましようが、現在の国家公務員法の立場からいいますならば、勧告をいたしまして、政府が財政その他いろいろな方面から検討いたしまして、これを法律案として国会提出するという建前になつております以上は、やはり独自の考えでもつて特別の調査もいたしましようし、また勧告の内容を検討するという自由は政府に残されておる、かように考えております。
  36. 平川篤雄

    平川委員 官房長官提案理由説明の中に「目下の財政事情その他を総合的に勘案いたしますと、遺憾ながら人事院案の全体をそのまま実施することは困難であるとの結論に到達いたしたのであります。」またその後にある「財政の許す範囲内において、努めて人事院勧告を尊重する建前もとに」ということをただいま官房長官お話になつたのだろうと思うのでありますが、やはり私はさような気分のもとに財政に制約せられたというふうに感ぜざるを得ないのであります。これは見解の相違でありますので、これ以上申し上げませんが、ただここで特に考えたいと思いますることは、話がほかの例になりますけれども、先般アメリカ教育に関する使節団が来まして、学校のいろいろな費用について日本が足りないということ、それを指摘する根拠に、教育というものは大きな投資であるということを言つておるのにひどく心を打たれたのであります。ややもすると、何か国家の義務であるとか、あるいは国家の理想であるとかいうような観念的な考え方でそういうものを律するのであります。国家公務員などにつきましても、国家に対する忠誠とか義務とかいうことがとかく表に立つて来る。結局それは物質的な犠牲を学校教育やあるいは公務員に強いるというような結果に従来の日本ではなつて来たのであります。この間副長官にお尋ねをいたしますと、現在国の行政をやつて行きます上に、国家公務員の数は必要にして十分なる程度であるということを申され、これが余つているとか仕事が食い足りないとかいうことは何らないような御見解であつた。しかもこの公務員の任務というものは非常に大切である。このことが十分に政府によつて考えられず、この給與なんかも非常にみじめな状態であるから有能な士が集まらず、かついろいろな不詳事が起つて来るのだと国民は感情的にそういうふうに考えておるのであります。こういうようなことを考えますと、国の行政をほんとうに公僕として運用させるためには、第一に――現在の国立大学の卒業生の大部分が、政治、法律学科の学生の大部分が公務員を志願をする者がほんとうにわずかになつてしまつた。実業界の方に逃げ出して行つておるというような事実を考えますと、これはゆゆしい問題であると思います。こういう点について、財政的な考慮というものはもちろん必要ではありましようけれども、現在減税をする余地があるそうであります。また見返り資金なんかの運用につきましても、いろいろな論議が繰返されておる。かようなものをほんの一部分この方にさくことによつて、行政を本道に戻すことができると私は思うのであります。さような点をないがしろにいたしまして、この程度の給與案提出せられておるということは、私は政府は行政に対する熱意を失つておる、国民に対する誠意を持つていないではないかというふうに考えざるを得ないのであります。こうした点について、前にもちよつと御意見の御開陳を願つたのでありますけれども、あらためてこの際官房当局の御意見をお聞きしたと思います。
  37. 菅野義丸

    菅野政府委員 お話の点につきましては、ごもつともでございまするが、何分にも現在国民の税負担というものは決して軽くないのでございまして、国民の負担を軽減するということは、この内閣の一貫した方針としてとつておるところでございます。それと現在の財政が耐え得る給與改訂の限度というものもまた総合的に考えてきまつて来るのでありまして、それを越えて無制限に給與を上げるということは、とうていできないことでございます。そこで政府といたしましては、人事院のやり方なり数字をそのままとりまして、そうして民間給與に少しでも近づけようという努力で、今回の給與改訂案をつくつたのでありまして、この点に関しましては、現在の国家公務員給與は決して十分であるとは言えないのでございまするが、せめて民間平均給與までは近づけて行きたいというのでもつて数字その他もとつたような次第でございます。
  38. 田中伊三次

    田中委員長 平川君、御要求の林野庁の林政部長が来ております。
  39. 成田知巳

    ○成田委員 関連して……。給與改正に関する法律案が出たのですけれども法律案建前としては別個かもわかりませんが実質的には給與の一環をなしております年末手当に関する法案がまだ出ないのでありますが、どういう理由で遅れておるのか。当然同時に審議すべきだと思うのでありますが、別個にお出しになる理由をお伺いいたします。
  40. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほどもお答え申し上げました通り、この点についてはまことに残念に思つております。この法律と同時に準備を開始いたしまして、提出を急いだのでございますが、手続上多少遅延になりまして、まだ提出に至らないということは非常に申訳なく思つています。しかし必ず一両日中には出る見込みでございますので、しばらく御猶予願いたいと思います。
  41. 成田知巳

    ○成田委員 手続上の問題で遅延されたというのですが、その内容はどういう問題でありますか。私たちの想像するところでは、国鉄裁定との兼ね合いの問題で遅れておるのではないかというふうにも聞いておりますが、その点はいかがですか。
  42. 菅野義丸

    菅野政府委員 御承知通り国鉄は公共企業体でございますので、この年末手当法律が出ましても、それとは全然関係ないのでございます。国鉄裁定がきまらないから遅れたということは絶対にございません。
  43. 成田知巳

    ○成田委員 淺井さんに伺いたいのですが、先ほど平川さんの御質問に対してお答えがあつたのですが、ベースというのは最初は出発点であつたけれども、現在は性質がかわつて結果になつておる、こういうお話で、現在政府が大体千円の給與引上げをやれば八千五十八円近くなるので、これを是認するかのような御答弁があつたのですが、私の誤解かもわかりませんが、私たちの解釈では、ベースというものはあくまでも出発点でなければいけない。たとえば八千五十八円の勧告をなさつたときは、当時の状況としてこれから八千五十八円で出発するのだ、こういう解釈をすべきだと思うのです。政府は大体年末において、給與平均額が七千円と考えたから、それに千円加えれば八千円近くになるのだということを言つておりますが、給與平均額とベースというものは全然観念が違う、こういうふうに私たちは解釈したい。たとえば八千五十八円の勧告をなさいました八月に、その平均給與は幾らになつてつたか知りませんが、たとえばこれを六千五百円としまして、その後政府の言うように、年末において七千円近くなつておるとしましても、それはたとえば昇給があつた、あるいは勤続年数がふえた、扶養家族もふえて扶養手当も多くなつた、あるいは最近のレツド・パージに関連して若い者が首になつた、こういうことで平均給與は上つておるので、決してベースが上つたとは解釈すべきでない。そういう関係で上るのは当然なりと思う。いわゆる八千五十八円を勧告された当時を基準にして当時の平均給與は六千三百七円ベースであつたのですけれども、六千三百七円に対して八千五十八円の勧告をされた、その割合だけ上げるのがほんとうだと私たちは考えるのですが、どうでしようか。
  44. 浅井清

    浅井政府委員 それは出発点と結論という言葉の問題になつて来ると思うのでございますが、さいぜん私が申しましたのは、人事院勧告におきましては、この勧告の別表にあります俸給表を履行してくださいますれば、その総平均がこれこれのベースになる。すなわち八千五十八円になる。この勧告を履行するときにおいてさようになるという点を申せば、お示しのように出発点になるのでございます。しかし考え方といたしましては、俸給表が主になつておるのであつて、それから導き出された結論がベースになるのだ、こういうことを申し上げただけでございますから、これは出発点とか結論とかいう言葉の使い方の問題になろうかと存じております。もちろんベースというものが総平均であることは給與法にも書いてございますから、どちらでも私はけつこうでございます。ベースと申しましても、総平均と申しましても私はけつこうでございますが、それは要するに総平均でございますから、極端に申しますれば、一人死にましても、数学的には何がしかのベースの違いが出て来る、そういう性質のものではないかと思つております。従いまして、私は出発とか結論とかいうことは言葉の使い方であると思う。人事院が主張いたしておりますのは勧告のあの俸給表を履行していただきたい。これを履行しますれば、その履行のときにおいてベースは八千五十八円の総平均になる、こういう考え方でございます。
  45. 平川篤雄

    平川委員 今の成田さんの質問にまた関連するようでありますが、ベースという言葉がどうもはつきりしない、誤解を招きやすいのです。人事院総裁はこのベースという言葉の本家でございますので、ただいまの政府給與案は実質的には八千円ベースだということを政府は言つているのですが、人事院のやつた作業のようにして、はたして何千何百円ベースになるのか。はつきりしたことを知らせてもらうと非常にこれは困らないと思うのですが、その点について何か御調査なつものがありますか。
  46. 浅井清

    浅井政府委員 私はベースの本家本元でも何でもたいのです。ベースとは何ぞやということは、この給與法の第一條に書いてあるのでございますから、それによつてどもはやつておるのでございます。政府俸給表を適用いたしました場合に、人事院方式によるいわゆるこのベースがどれほどになるかということは、人事院としては精密に計算はいたしておりません。しかしながら大体七千九百数十円と八千円の間であろうかと推定いたしております。
  47. 平川篤雄

    平川委員 政府並びに人事院側にお尋ねすることは残つているのでありますが、林野庁からお見えになつているというのでそれに関係したことを少しお尋ねしたいと思います。  営林局署の労務省の石炭寒冷地手当並びに年末賞與の問題に関連をしてお尋ねをしたいのでありますが、その前に大蔵省給與課長がお見えになつておりますので、それに一言お伺いをしておきたいのであります。大蔵省では総理府令によりまして、本年の八月十九日付、一年以上勤務した者あるいは月に二十二日以上労務についた者は無條件に石炭寒冷地手当を支給せられるというものを出されたということを聞くのでありますが、それは間違いございませんか。
  48. 磯田好祐

    ○磯田説明員 本年度の石炭手当の取扱いにつきましては、石炭手当を支給いたしますのは、あくまでも常勤職員ということに、法律上の制限があります。ただいま問題になりましたものは、いわゆる非常勤の職員の取扱いの問題だと思うのであります。この非常勤の職員におきましても、いわゆる日日雇い入れられる職員とかあるいは二十日以上の期限を定めて雇い入れられる労務者というような種類もあります。さらにまたその中におきまして、非常勤の中にあつて、常勤だと事実上認められるような職員があるのでございます。しかもこの非常勤で常勤労務者と認められる者の中におきましても、たとえば事実上日給を受けながらさらに一年以上継続して勤務しておる者、そういう者につきましては常勤労務者とみなすべきではないかということを考えまして、本年度の石炭手当寒冷地手当の支給の際におきまして、事実上継続一年以上の勤務をいたしており、しかも日給を受けるものにつきましては、これを石炭手当及び寒冷地手当の支給の対象とするということにいたしておるのでございます。他方一年以上継続して勤務しておる者の中におきましても、いわゆる請負制度によります出来高拂いというのもあるのでございます。かかる出来高拂いの労務者につきましては、これは性格がまつたく違うのではないか、すなわちその給與体系も違いますし、出来高が多ければ、当然それだけの報酬を受けることになりますので、これはかりに継続して一年以上労務に服しておる者でありましても、これは常勤労務者としないということにしております。  なお先ほど私の答弁の中で、継続して一年以上勤務するものにつきましては、石炭手当を支給するということを申し上げましたけれども、石炭手当あるいは寒冷地手当を支給するということではなしに、事実上、賃金の中から割増しとして石炭手当及び寒冷地手当に相当するものを支給する取扱いにいたしておるというわけでございます。表面上、形式上石炭不当あるいは寒冷地手当を支給するということは、法律上できない、かように考えております。
  49. 平川篤雄

    平川委員 それでは林政部長にお伺いいたしたいと思うのでありますが、林野庁では、ただいま磯田さんのおつしやつた、出来高労務者以外には石炭、寒冷地手当はどういうふうにお支拂いになつておりますか、その点をお伺いしたいと思います。
  50. 大坪藤市

    ○大坪説明員 出来高制の労務者に対しましては、寒冷地手当の分あるいは石炭手当に相当する分は、出来高の方の請負金額の中に加わつておるという前提をとつておりますので、日雇い労務者のうち、出来高制によりますものだけを、ただいま大蔵省から出されましたように、その分につきましては支拂つておりません。しかしそれ以外の労務者と申しますか、賃金によつて支拂われます労務者につきましては、石炭手当及び寒冷地手当に相当する分を交付することになつておるわけでございます。
  51. 平川篤雄

    平川委員 もう一ぺん念を押すようでありますが、出来高労務者には石炭手当寒冷地手当としては出していないが、賃金の割増しとして、実質的には拂つておる、こういう意味ですか。
  52. 大坪藤市

    ○大坪説明員 実質的に支拂つておるというわけではありませんが、單価の計算の中に東北、北海道、そういう寒いところの賃金の單価の中には、それに相当するような石炭手当あるいは寒冷地手当に相当するようなものは、賃金の單価の中に加わつているという前提をとつているせいか、そういう労務者には拂わない、こういうようなかつこうになつております。
  53. 平川篤雄

    平川委員 加わつているという前提のもとにということを、もう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  54. 大坪藤市

    ○大坪説明員 伐木いたし、あるいは造材をいたしまして、たとえば一石生産をすれば何ほという賃金の支拂い方をやつておるわけであります。東北、北海道のような地方は、主として冬仕事をいたします関係上、その賃金は当然他の地方よりも少し高いというような計算になつております。
  55. 平川篤雄

    平川委員 私が聞いておるところによりますと、請負制度の出来高拂いということにつきましても、その賃金と申しますものは、要するに一番根本は、普通の日給労務者の賃金を二十二で除しましたものを基礎にいたしましてやつておるのであつて、いわゆる普通の請負出来高拂いでどんどん能率を上げれば、それだけ時価に相当したものを得られるというものではなく、どこまでも日給労務者と同じものを基礎にして計算をせられておるというふうに聞いたのでありますが、そうでありますか。
  56. 大坪藤市

    ○大坪説明員 当該地方の生活程度と申しますか、大体そういうようなもの基準として單価を計算いたしますので、私どもといたしましては、少くとも最低の生活は保障し得るような單価を、その地方々々の実情によりまして、構成して行くというような態度をとつておるわけであります。
  57. 平川篤雄

    平川委員 生活を支えることのできるようなということは、ただいま問題になつております公務員給與法などで言つております意味における生活を支えるのであつて、林野庁の特別会計が利益をどんどん上げて行くという、何と申しますか商業的な見地からでなしに、やはり公務員給與として考えておいでになるのでおろうと思いますが、そこは間違いありませんか。
  58. 大坪藤市

    ○大坪説明員 その通り考えております。
  59. 平川篤雄

    平川委員 ところがこういう出来高制の労務者は、伐木等に要する一切の資材というものは自分で負担をしなければならぬ。そのためにまた最近のように一般の日雇い労務者と同じような、日給労務者と同じような賃金を基礎にして計算するのでありますから、そう極端な仕事ができるわけではない。従つて大きな開きのたい給與もとにおいて、さような資材を自弁でやるというのは、非常に不都合であるというので多少不満の声が起つて来て、できれば月給制、日給制にしてくれという声があるのであろうと思うのであります。その点どうでございますか。
  60. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ただいまお話がありました通り、労務者の方からは、たとえば作業用ののこぎりでありますとか、なたでありますとか、そういう作業用の物資は官給してほしいという声は非常に強いのであります。私どもといたしきても、それについていろいろ検討いたしたのでありますが、何せ山奥におきまして個々ばらばらに作業をする場合が多いのでありまして、もしそういう資材を官給するということになりますと、それの取扱い方と申しますか、整理と申しますか、非常にその管理が困難であるのであります。しかも非常に乱雑な取扱い方になるというようなことがあるのでありまして、これについて責任をもつて、官給したものの管理ができないというのが、現地当局の意向であるのでありまして、従つて従来からそういう必要な資材の分も公定賃金の中に考慮をして行くということで、官給はしないという方針をとつておるのであります。
  61. 平川篤雄

    平川委員 最近できました営林局署労務者取扱規程というもの、これにやはり出来高拂い制の労務者は服しており、かつその給與は日給を受けておりまするところの労務者とそんなに違わない、しかも資材なんかの官給もやられていないということになりますと、ほとんど、何と申しますか、一年以上勤務し、かつ月二十二日以上、二百六十数日以上働いておる者はこの日給労務者の常勤労務者とまつたく同一に考えていい條件にあるのではないでしようか、私そう考えざるを得ぬのでありますが、林政部長の御意見をひとつ伺いたいのであります。
  62. 大坪藤市

    ○大坪説明員 工程拂いのものもそうじやないものも、ただいまの御意見通り一年中国の労務に従事し、かつそれを主たる生活の資金にいたしておりますので、私どもといたしましては、出来高のものも、そうじやないものもまつたく同一に取扱いたい、かようには考えております。ただこれを月給制に切りかえるということになりますると、山の中で個々ばらばらに仕事をいたしまする関係上、労務の管理が非常にむずかしいのでありますが、この点につきましても、物資の官給で申し上げましたと同じように、労務者の作業形態の管理が、とうてい日給拂いに完全に切りかえることはできないような実情にありますので、できるだけ処遇を改善するという方向に持つて参りまして、出来高拂いそのものは存続して参りたい、かようなつもりで現在は進めておるのであります。
  63. 平川篤雄

    平川委員 ただいま同一に取扱いたいという言葉を聞きまして、たいへん私は満足をいたすのであります。さてそれでは、同一に取扱いたいが、それがなかなか同一に取扱われない根拠はどこにあるのでありますか、ひとつその点を明らかにしていただきたいと思います。
  64. 大坪藤市

    ○大坪説明員 扶養手当の問題でありますとか、寒冷地手当の問題でありますとか、あるいは休暇の問題、そういう問題につきまして出来高制をとつて行きますと、その出来高によつての数量に応じて賃金を拂つて行きます関係上、まつたく同一に、なかなか実際問題としては取扱いにくい、こういうようなかつこうになつておるのでございます。
  65. 平川篤雄

    平川委員 法律とか政令とかいうものについて、あるいは取扱規程というようなものに、何らかの改善を加えるというような御努力は、今までなかつたのでしようか。
  66. 大坪藤市

    ○大坪説明員 その点につきましては、常時労務者関係の担当官の会議をいたしまして、いろいろと検討をいたしておるわけであるのであります。
  67. 成田知巳

    ○成田委員 関連して……。林政部長のお話では、常勤的なものはたとい出来高拂いのものでも、定額制と同じように取扱いたいという言葉があつたのでありますが、先ほど給與課長の説明では、出来高拂いは常勤と見なさない、こういう解釈をされておるのでありますが、この点は給與課長はどのようにお考えになつておられるか。
  68. 磯田好祐

    ○磯田説明員 大蔵省といたしましては、今後もその点につきましては同じように考えております。
  69. 成田知巳

    ○成田委員 そうしますと、一年以上常勤で勤務して、一月に二十二日以上働いたものは常勤者と見なしておる。但し出来高拂いのものは常勤と見なさない、今後もそういう御方針だと言われるのでありますが、出来高拂いというものは給料の支抑い形態であつて、決して雇用形態ではないと思う。常勤と非常勤とを区別するものじやないと思う。定額給とか出来高拂いというものは、ただ給與の支拂い方法というものが異なつておるにすきないのであつて、むしろ林政部長の言われるように、常勤と見なされるのがほんとうだと思う。それに対する御見解はいかがでありますか。
  70. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいまお話のように、常勤か非常勤かという問題の前に、まずその賃金の支拂い形態が違うという問題についてお話したいと思うのでございますが、先ほど大坪林政部長からもお話がありましたように、いわゆる出来高拂いの労務者と申しますのは、その出来高に応じて賃金が支拂われるという形になつておるわけでございます。御承知のように現在の公務員法によりますと、いわゆる一般の公共事業労務者も日雇い労働者も、それから営林署の労務者も、全部国家公務員ということに相なつております。しかしながらその中におきまする公務員と申しましても、いろいろな形態のものがあるのでございまして、その給與の支拂い方法につきましても、たとえば出来高拂いのものにつきましては、一般公務員並に本俸に扶養手当、勤務地手当というような形において支給するわけには行かないという結果に相なるわけでございます。その出来高に応じまして、それに対応するところの賃金が支給されるという形になるわけでございます。従いましてその結果といたしまして、たとえば石炭手当等の取扱いにおきまして、それに対して石炭手当あるいは寒冷地手当を支給すべきかすべきでないかという問題を考えます場合におきましては、これはその勤務形態に相応したところの、その給與の形に相応したところによつてもの考えるべきでありまして、従いまして出来高によりまして、その賃金の支拂いをなされるものにつきましては、いわゆる一般の常勤労務者として事実上石炭手当寒冷地手当を支給いたしますところの他の常勤的日雇い労務者と性質が違う、さように考えておるわけでございまして、その点につきましては今後におきましても政府としての意見はかわりはありません。
  71. 大坪藤市

    ○大坪説明員 ただいま申し上げましたのは、待遇の結果が、日雇い労務省も常勤労務者と同じようになるようなふうにできるだけ持つて行きたい、かような趣旨で申上げたのでありますから、その点は誤解のないようにお願いいたします。
  72. 成田知巳

    ○成田委員 待遇の結果が常勤も日雇いも同じような結果に持つて行きたい、そういう御希望で、また請負單価にも前提として寒冷地手当が入つておるのだということを言われましたが、事実はそうではないということははつきりしております。その問題の前に、給與課長にこの点はつきりさせていただきたいと思います。先ほど申しましたように、出来高に応じて給料を支拂うというのは給料の支拂い形態である、定額給を支給するか、あるいは出来高給を支給するかということは給料の支拂い形態であつて、雇用関係とは全然別個なんです。一応雇用関係というものがあつて、このような作業をするものに対しては、出来高拂いにした方がいいか、あるいは定額給にした方がいいかということは、作業の性質によつてつて来るだけであつて、雇用関係としては、出来高給であろうと定額給であろうと同じことなんです。従つて出来高給であるから常勤と見なさないという解釈は妥当じやない、こういうように私は考えるのでありますが、その点についてその御見解を承りたい。
  73. 磯田好祐

    ○磯田説明員 本来の筋合いから申しますと、いわゆる常勤の公務員と申しますのは、私どもの解釈で申し上げますならば、いわゆる定員法上の定員、あるいは予算定員としての公務員、そういうものであるように私ども考えるのであります。従いまして、現在日雇い労務者につきまして、そのうちの常勤的なものにつきまして、事実上賃金の割増しによりまして、石炭手当に相当するものを支給しておるということ自身が、ある意味では例外的な取扱いでございます。それは事実上そういうふうに一般の常勤の公務員と同じような勤務をいたしておるから、事実上そういう取扱いを例外的にするということでございまして、この点は日雇いの場合とそれから請負の場合とでは給與形態も違いますし、日雇い労務者に入つておりますところの、事実上継続勤務いたしております者も、私ども考え方といたしましては、本来ならば石炭手当なり寒冷地手当なりを支給すべきものではないと考えるのであります。ただ事実上一般公務員と同じような勤務形態をしておるから、事実問題として賃金の割増しによつてこれを支給しておるということなんでございます。
  74. 成田知巳

    ○成田委員 日雇いの人も、事実上一般公務員と同じく継続勤務をしておるから例外として認めるのだ。例外を認めなければいけない理由を認められたのですか。そうしますと、たとい出来高拂いでありましても、事実上一年以上勤務し、一月に二十二日以上勤務すれば、細則の支拂い形態は別でありますか、勤務の状態としては何ら一般公務員と違わないのでありますから、これは例外として当然寒冷地手当なり年末賞與なりを、年末賞與はあとで言いたいと思いますが、寒冷地手当を支給すべきだと思うのです。今勤務の状態を問題にしているのです。給與の支拂い形態ではない。勤務の状態として、一年以上勤務し、二十二日以上一月に勤務しておれば、これは一般公務員と同様に取扱うのが当然なんです。支拂い形態が違うからといつて、これを別個に取扱うということは趣旨が一貫したいと思うのですが……。
  75. 磯田好祐

    ○磯田説明員 なお補足して御説明申し上げますと、いわゆる出来高拂いの労務者につきましては、現在の人事院の取扱いにおきましても、非常勤の職員ということに相なつております。それからなお出来高拂いのものにつきましては、はたして常勤しておるものであるかどうかということを決定すべき基準がないと思うのでございます。たとい短期間でありましても、非常に能率を上げて出来高が多ければ賃金を支拂うということでありますが、それはともかくといたしまして、はたして常勤しているかどうかということを決定すべき基準が見出せない。さような理由等におきまして、現在までのところ出来高拂いの日雇い労務者につきましては、かりに継続的に勤務いたしておりましても、これを石炭手当等の対象にいたしたくない、そういうことでございます。
  76. 平川篤雄

    平川委員 ただいま林政部長は結果において同率に取扱いたいと言われたのでありますが、この日雇い労務者、今の出来高拂いの労務者に対しては、給與はやはり国有林野の特別会計の方から支出をせられておるのでありますか。
  77. 大坪藤市

    ○大坪説明員 もちろん特別会計の中から……。
  78. 平川篤雄

    平川委員 それでは当然年末手当なんかも、私ども考えでは一般公務員並というよりも、今までの建前から申せば民間事業の年末手当を標準にしてお出しになるのが至当だと思うのでありますが、少くとも公務員並に年末手当なんかは、常識としてお支拂いになるのが当然だと思うのでありますが、その可能性はあるのでありますか、どうですか。
  79. 大坪藤市

    ○大坪説明員 年末手当の問題につきましては、公務員一般の年末手当はどういうふうにきまるか今のところ未定でありますので、それがきまりまする場合におきましては、私どもといたしましては人事院大蔵省並びに会計検査院、それから各方面と連絡をとりまして、かつ内部の経理状態をにらみ合せまして決定いたす、かように存じます。
  80. 平川篤雄

    平川委員 最近は特需関係で非常にふところのぐあいがいいと聞いておるのであります。今度補正予算の御要求も何もないようで、私は十分その余地があるように思うのでありますが、そのお見通しをもし話してもらえれば話していただきたいと思います。
  81. 大坪藤市

    ○大坪説明員 これは非常に全国の地域にまたがつておりますし、各地方の收支の状態もよくにらみ合せ、かつそれを調整いたしまして、その上で決定をいたしたい、かように存じておる次第であります。
  82. 平川篤雄

    平川委員 人事院総裁にお伺いいたしますが、ただいま議論をしておりましたその対象になる出来高拂いの労務者、それにつきましていわゆる非常勤職員の中に当然これは入ると思うのでありますが、ただいまの林政部長のお話のように、実質的にはまつたく常勤者と違いないものについてどういうふうに今後お取扱いになろうと考えられておるか、御見解を承りたい。
  83. 浅井清

    浅井政府委員 さいぜんからお話を承つてつたのでございますけれども、たとえば年末手当、そのようなところから出発しましたために大蔵省の方からお答えになりましたが、これは少し筋道が違うように思つております。あれは一般職に属する公務員のように考えておりますから、これは人事院の方からお答えをすべき性質のものがあると思つております。給與局次長からお答えをいたさせます。
  84. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 人事院といたしましては、たとい労務者でありましても一般職に属する職員でありまして、片方においては常勤職員と同じように団結権なり団体交渉権なりが排除されておりますので、基本的な線といたしましては、形式は別といたしましても、実質的には一般公務員とまつたく同等の待遇を與うべきであろうと考えております。従いまして一般公務員につきましてベース改訂等が行われましたような場合におきましては、原則としてその線に沿いましてやはり待遇改善をなすべきであろうと考えております。ただこの問題につきましては二つ問題があろうかと考えます。先ほどから議論がありましたごとく、常勤職員というものに対する定義の問題であります。一つには国家定員法におきまして、常勤職員というものに対するはつきりした定義が下されておるのでありますが、定員法によりますところの常勤職員というものになりますと、遺憾ながら営利会社、請負拂いの者も含めまして、法律でいうところの常勤職員にはなり得ないということにならざるを得ないのではないかと考えます。ただしかしながら実質的には常勤である、常勤の者が相当多数おるという事実は否定することのできない事実であろうと考えております。従いましてこの問題は本質的にいいますと、定員法自体を改正いたしまして、その後に文字通り形式、実質ともに常勤職員というふうに改訂いたしまして、今提案されておりますところの給與法が全面的に適用されるというようなふうになることが最も理想的であり、望ましいことであろうと考えます。ただ現在の段階といたしましては、実質上の條件かならずしも法律上の條件に合つておりませんのと、特に問題になつておりますところの請負業の者につきましては、勤務時間であるとか、あるいは休暇の問題であるとか、いろいろな点につきまして、また制度そのものが完備しておらないという段階からいたしまして、基本的には一般常勤とまつたく同等の待遇をなすべきであろうと考えますけれども、諸般の情勢がそこまで行つていない部分がございますので、目下検討中でございます。
  85. 平川篤雄

    平川委員 非常に問題がはつきりいたして参りまして、しかも各関係の方面の意見も聞かれて満足をいたしておるのでありますが、定員法の改正ということに持つて行くのがやはり一番根本であるという点では私も同感でありますが、官房当局の御意見をひとつ承りたい。
  86. 菅野義丸

    菅野政府委員 行政機関定員法をその点について改正するという運びにはまだ至つておらないのでありますが、それはただいま人事院の方からお答え申し上げました通り、いろいろな休暇、勤務時間その他の点がはつきりきまりませんと、これを定員法上にいう定員院にいたしまするのはいかがかと思いますので、そういう点がはつきりいたしましたならば、定員法を改正してもけつこうだと思います。
  87. 平川篤雄

    平川委員 ただいま林野庁でできておる労務者取扱規程というものではつきりしていないのでありますか、どうでしよう。
  88. 菅野義丸

    菅野政府委員 もちろん問題になつておりますのは、出来高拂いの賃金支拂いの形態をとつておるものでございますが、こういう人たちにつきましては、勤務時間も何もきめてありませんし、一定の仕事の量も與えておりませんし、ある仕事を二日でやつても半日でやつてもかまわないという形態になつておりますので、それを普通の公務員と同様に定員法にいう公務員とすることはまだ少し早いようでございます。そういうようなことがはつきりといたしますれば、定員法に書くということはさしつかえないと思いますが、ただ御承知通り、定員法に書かれる職員というのは常時雇うものでございまして、雇用する期間等につきまして仕事の量に応じた臨時的な雇用というようなことは定員法ではないのであります。従いまして、そういうふうな点をかれこれ勘案しまして、一般公務員と少しもかわりがないという点のものが出て参りますれば、それは定員法に書くということは少しもさしつかえないと、かように考えております。
  89. 平川篤雄

    平川委員 ただいま副長官がおつしやつたのでありますが、この労務者取扱規程と申しますものは、出来高拂いの労務者にもそのまま適用せられておりまして、一日につき八時間の勤務時間がきめてあります。休憩時間等の定め方まではつきりいたしておる。これは思い違いであろうかと思いますので、御研究をお願いしたいと思う。それから今のように一年に二百六十四日、一日につき八時間の労働をいたしておりますものは、これはもう当然日雇いにしなければならないと思うのです。ただそれができておらないのは林野庁当局のいろいろな、やはり財政的な考慮からであろうと思うのでありますが、本人――と申しますと出来高拂いの労務者自身は、しきりにそういうはつきりした制度のもとへ入れてもらいたいことを要求しておる者が多々あろうかと思います。こういうものをやはり救い上げるとすれば、どうしても定員法を改正するよりほかないのでありますが、これはできるだけ早い機会に御考慮をお願いいたしたいと思います。これを各方面からの御意見によりまして、林野庁の特別会計の予算が許しますれば、十分に年末手当等も支給をせられる見込みがあるということを私は信じたのでありますが、さような点につきましては十分の御努力を林野当局にお願いをいたしたいと思います。それでは林野関係質問は打切ります。  次に二、三の点につきまして、この法案についてお伺いをして、一応私の質問を打切ろうと思います。  まず給與法案の第二條第三号に「国会及び内閣に」の次に「同時に」という言葉を挿入せられたのでありますが、この意図はどこにあるのでありますか。
  90. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは御承知通り先般の人事院勧告によりまして勧告通りにいたしたのでございますが、これはおそらく人事院の方からお聞きいただけばわかると思いますが、公務員法とかその他の法律とのつり合い上、ここに拔けておりましたのを入れるように勧告があつたのであろう、こういうふうに考えております。
  91. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 これはまつたく字句的な問題でございまして、国家公務員法並びにこの給與法の他の部門につきましても同じような條項がございまして、ここの部分だけがこの字句が脱落しておりましたので、改正の機会に字句の整理をいたしたいというような軽い気分で勧告案に書いただけでございます。
  92. 平川篤雄

    平川委員 この前の国会のときに勧告案が出たのでありますが、ちようど国会が終了したあとになつたのであります。われわれとしてはまことに妥当なものであるから、人事院案をあのまま議員提出の法案にすりかえまして出したいというふうに考えておつた。必ずあのような措置のとれるようなことを望めば、方法についてはどういうふうに人事院としては考えておられるでしようか、つまり内閣だけ提案をしなければどうにもならないという状態のもとに出されるということははなはだ困る、われわれ野党側としても、人事院の案が妥当だと思えば、それをできればわれわれの案として出すこともはなはだけつこうなのじやないかと思うのでありますが……。
  93. 浅井清

    浅井政府委員 それがつまり同時ということの働きだろうと思つております。一体国家公務員法で内閣国会とが同時に働き得るようなふうに人事院勧告をいたすべきことを至当と認めました際は、国会及び内閣に同時に勧告しなければならない。この同時という字が入れてございますのは、その意味であります。ただここに入れましたのは慶徳君から申し上げましたように、字句を修正しただけの意味でございますけれども意味はそういうことでございます。
  94. 平川篤雄

    平川委員 それから第十條の第三項に教育職員特別俸給表というものを研究し、かつそれを国会及び内閣に早く出さなければならないということになつておるのであります。いつも国会にはこの議論がむし返されるのでありますが、このたび教育職員給與について特別な表を御決定になつたというのでありますが、それの内容の概略とそれについてのとられた措置というものをお伺いしたい。
  95. 浅井清

    浅井政府委員 その御質疑を承りまして、まことに恐縮に存ずるのでございますが、これは給與法改正いたしましたときに、たしか衆議院の方の修正で入つた文句でございまして、私は国会の御意思として非常に尊重いたしたいと思いまして、鋭意研究を続けて今日に至つておるのでございますが、職階法との関係その他いろいろな点につきましてまだ研究を盡さないものがあるために今日に至つておる、但しこれがために決して教員の優遇の点ということを怠つておるわけではございませんで、現行法でやり得ることだけだんだん片づけて行きたいと思いまして、そのうち一、二すでに実現をいたしております。第一は十四級の定員をふやしましたこと、第二には級別推定表の全面的な改革を最近行いましたこと等でございます。それについての内容についてお尋ねがございますれば、給與局長から詳しく申し上げたいと思いますが、その次の問題がこれに該当するわけでございます。
  96. 平川篤雄

    平川委員 総別推定表を出されたのでありますが、各地方実情を聞いてみまするに、ほとんど予算的な措置がないばかりに、ただ教育委員会に対して文部省が指令をしたにすぎないというような状態になつておるのですが、こういうものが実施せられておるかどうかということについて、監督とか勧告ということは人事院の権限ではないのでありますか。
  97. 浅井清

    浅井政府委員 地方公務員の方につきましては、直接それができないのでございます。一体ここで申し上げたい点は、この教員の問題につきまして人事院として非常に苦心いたしまする点は、国家公務員である教員の内容と、地方公務員である教員の内容は非常に異なつているという点でございます。国家公務員としての教員は、大学教授が大部分でございまして、それ以外の学校の教員は非常に少数であります。ところが地方公務員たる教員の内容は、その反対のものが数十万を占めておる、こういう状態でありまするので、その点は非常に事情が違つておるように思つておりまするが、国家公務員給與の支拂いがいかに行われておるかということについては、国家公務員法に、これを人事院調査し監査するところの権限を與えられておりまするが、地方公務員に対しましてはそのような権限が直接人事院に認められておらないということだけは御承知を願いたいと思います。
  98. 平川篤雄

    平川委員 大学の職員でありますが、大学の教授が非常に食えないということは、この間の自殺事件などが起つて承知通りでありますけれども、なお非常に困る問題は、ことにこれは教育学部なんかの問題でありますけれども、付属学校があるのです。高等学校、中学校、小学校ですね。そこの職員地方におりながら、やはり国家公務員並に給與を受けております。全体から見まして非常に低位に置かれておる。地方の教育職員の方が給料がいいというのは、これは昔からそうなのであります。このような点につきまして調整をせられることははなはだ困難であろうと思いますけれども、しかし地方の実態と常ににらみ合せてやつていただきませんと、人事の交流などについて非常に困つて来る問題ができて来る。ひとつこの教育職員――国家公務員である教育職員俸給につきましては、一応これは実際について御検討をお願いしたいと思います。  また地方自治庁関係に平衡交付金等の問題に関連して聞きたいことがあるのでありますが、一応ここで私の質問は打切りたいと思います。
  99. 田中伊三次

    田中委員長 それでは休憩して、正一時から再開いたします。     午後零時十五分休憩      ――――◇―――――    午後一時十九分開議
  100. 田中伊三次

    田中委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案の起算の件を議題といたします。  本件につきましては、去る二十五日当委員会において法律案の起草について委員長に御一任を願つたのでありまするが、案が一応でき上りましたので、ただいまお手元に配付を申し上げた次第でございます。この案につきまして何か御発言はございませんか。――それではこの案についてお諮りをいたします。本案は当委員会の一応の成案としてここに仮決定をいたしまして、所要の手続をとりたいと存じますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつてそうすることに決定をいたします。なお関係方面等の所要の手続が終了いたしました際には、多少の字句の訂正等があることかと存じます。また内容において変更のない場合には、この案を正式の成案として決定があつたものとして、当委員会提出法律案として、委員長より提出手続をとることにいたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 田中伊三次

    田中委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決定をいたします。     ―――――――――――――
  103. 田中伊三次

    田中委員長 ただいまより一般職職員給與に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一二号を議題といたしまして、午前に引続き質疑を継続いたします。
  104. 成田知巳

    ○成田委員 淺井人事院総裁が来られる前に、小野政務次官に地方公務員、教職員を含んだ地方一般公務員の待遇について御質問申し上げてみたいと思います。この前二十六日の委員会においても、私この点を政務次官に御質問いたしたのでありますが、地財委の意見書が出たから、これを内閣を通して国会にかける、その上で研究したい、こういう御答弁であつたのであります。すでに国会にもこの意見書が出されまして、昨日の地方行政委員会ではこの地財委の委員長意見書を満場一致で採択いたしまして、これに必要な財源措置を講じなければいけないという議決があつたように聞いておりますが、この意見書によりますと、地方公務員給與ベースと年末手当の支給、これに必要な財源として八十八億、その他を入れまして、百二十三億、そのうち四十億を節減可能といたしまして八十三億の地方財政平衡交付金の増額を要求いたしておるのでありますが、地方行政委員会でも満場一致採択が議決されたのであります、これに対して政府はどういう方針でお臨みになるのかそれを承りたい。
  105. 小野哲

    ○小野政府委員 お答え申し上げます。先般当委員会において地方公務員給與関係につきまして御質問がございました際に、私から御答弁申し上げまして、大体の御説明はいたしたのでありますが、その後地方財政委員会から内閣を通じて国会に対して意見書が出て参つた。それで昨日の衆議院の地方行政委員会におきましてこの問題を取上げて審議せられたわけでおります。ただいまお話になりましたように、昭和二十五年度の補正予算と関連いたしまして、地方財政平衡交付金の増額、言いかえれば昭和二十五年度において新たに発生いたしました財政需要等と見合つて財源措潰を講ずる、こういう観点から地方財政委員会といたしましては、たとえば給與ベース引上げであるとか、あるいは年末給與関係等において八十八億の財源が必要である。これは当初年末給與が一箇月分ということで、一応予算の要求をいたしておつたのでありますが、その後半箇月分ということに相なりましたために、国家公務員と見合つて半箇月分を支給いたしました場合においては、ただいま申し上げましたような財源措置が講ぜられなければなるまい、こういうことに相なつた次第であります。なお地方財政委員会において諸般の資料によりましてまとめましたのが意見書の内容でありますので、すでに御承知通りでございまするが、この点につきましては一面財源措置を講ずる場合において、積極的にはあとう限りの平衡交付金の増額の方法によらなければなりませんし、消極的には地方公共団体の可能な限度においての節約をすることによりまして財源を捻出する、積極、消極両面からの方法によりまして、できるだけのことをいたしたいというので努力をして参つてつたわけでございます。私ども地方自治庁といたしましても、地方財政委員会資料並びに意見を尊重いたしまして、予算関係当局との折衝をして参つたのでございまするが、政府といたしましては国家財政の各般の事情から勘案いたしまして、二十五年度補正予算といたしましては平衡交付金の増額として三十五億を計上することに決定いたしたのであります。これに基きまして、すでに国会において予算の御審議を煩わしているわけでございます。従いまして政府としては決定いたしました二十五年度予算案によつて審議をお願いをいたすことになつておるのでございまするが、これに対して地方財政委員会といたしましては、所要の財源措置としては平衡交付金において約八十三億が必要である、こういう意見書が出て参つておるのであります。従いましてただいまお話がございました政府においてどういうふうな措置を現在とつているかということにつきましては、政府予算案がすでに決定いたして国会に御審議を仰いでおる段階でございまするので、従つて私の考えといたしましては、地方財政委員会から内閣を通じて出て参りました意見書によりまして、国会がこれに対し、いかなる判断を下すことになるかということが、今日の段階ではないかと、かように考えるわけでございます。  以上経過なりあるいは地方財政委員会意見書と、内閣並びに国会との関連につきましては一応御説明を申し上げた次第でございます。
  106. 成田知巳

    ○成田委員 ただいまの御答弁、意見書が出されました際に私が質問いたしました二十六日の当時の御答弁と全然同じでありますが、きよう私が申し上げているのは、すでに意見書につきまして地方行政委員会で満場一致これを採択いたしておるのであります。国会の意思というものはある程度判明したわけであります。国会といたしまして独自の立場で予算の修正をやることも可能でありましようが、委員会の採択によつて大体国会の意思が判明いたした以上、政府としては補正予算のさらに補正をいたしまして、平衡交付金の増額についての予算を御提出になる御意思があるかどうかということをお伺いいたします。
  107. 小野哲

    ○小野政府委員 この点につきましては、私の担当しておる立場から申し上げますると、従来から予算措置に対しまして種々要望をして参つておるのでございますが、今回の予算審議に当りまして、さらに政府予算案を修正して出すか、どうかということにつきましては、所管大臣から御答弁を申し上げた方がよいかと思うのでございます。
  108. 成田知巳

    ○成田委員 所管大臣から答弁するのが筋だというお話でありますが、自治庁といたしましてはこの際関係当局と交渉の上、さらに予算の補正を出すというような御折衝をやるつもりであるかどうか、これをお伺いいたしたい。
  109. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいまの段階におきましては、自治庁といたしましてはまださような手続はとつておりません。
  110. 成田知巳

    ○成田委員 現在とつておらないのでしようが、昨日の地方行政委員会審議の経過から行きましても、とる御意思があるか、どうかということをお伺いする。
  111. 小野哲

    ○小野政府委員 ただいまのところはまだとを意思を決定はいたしておりません。
  112. 成田知巳

    ○成田委員 非常に答弁が含みのある答弁と申しますか、そこをもう一つ押したいのでおります。意思を決定をしてないと言われるのでありますが、現在のところ決定の段階には行つていないでしようが、地方行政委員会の採択の趣旨を尊重いたしまして、自治庁として補正予算を当局に交渉する御意思を今持つているかどうか、決定という段階にまで行かなくも、そういう心構えがあるかどうかこれを承りたい。
  113. 小野哲

    ○小野政府委員 本年度の予算案国会政府案として提案される以前におきまして、地方自治庁といたしましては、できるだけの努力はして参つたつもりでございます。しかしなから今日の段階におきましては、すでに予算案国会に提案されて審議の途上にあるわけでございまするので、自治庁といたしましての考え方にはかわりございませんけれども、今日のところは国会における御審議にまつほかはないであろう、かように考えておる次第でございます。
  114. 成田知巳

    ○成田委員 と言われることは、二十五年度補正予算に対して、さらに地財委の意見書を尊重してこの修正を関係当局に要望する、そういう御意思は持つていない、こう解釈してよろしゆうございますか。
  115. 小野哲

    ○小野政府委員 大蔵省当局等とは緊密な連絡をとつておる次第ではございますが、ただいまのところでは、まだ予算の修正案を出すかどうかというところまでは結論を得ておらないわけでございます。
  116. 成田知巳

    ○成田委員 最後に確かめておきたいのですが、大蔵当局と緊密な連絡をとつていらつしやるというのは、現在とつておるだろうと思いますが、これは平衡交付金の増額について、補正予算の問題に関連して緊密な連絡をおとりになつておる、こう解釈してよろしゆうございますか。
  117. 小野哲

    ○小野政府委員 繰返し申し上げますが、本年度の補正予算案政府の決定、言いかえれば閣議において決定されたものとして成立しておりますので、やはり地方自治庁も政府部内の一機関でございますから、これに対して修正意見を出すかどうかということについて、地方自治庁の一存によつて決定さるべきものではないと考えております。もし必要があるとすれば、政府は閣議においてこれを取上げて決定することに相なるであろう、かように思うのでございます。
  118. 成田知巳

    ○成田委員 閣議で決定されるのは当然なんですが、それに行く段階といたしまして、現在政務次官も言われましたが、大蔵当局と緊密な連絡をとつて交渉しているというその意味は、閣議に補正予算をさらに修正を加えるように交渉しているのだ、こういうように了解すべきではないかと思うが、その点を明確にしていただきたいと思います。
  119. 小野哲

    ○小野政府委員 そこまでの具体的な内容を持つているわけではございません。
  120. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 前にも大体伺つていることでありますが、もり一度確かめておきたいのです。三十五億円では足りないということははつきりお認めになるのだろうと思いますが、その点はいかがですか。
  121. 小野哲

    ○小野政府委員 地方財政委員会におきましては、先ほど申しましたような程度の財源措置は必要である、かように考え意見書を出したわけでございまするが、何分地方に対して交付いたしまする平衡交付金の額につきましても、国家予算との関連において考えなければならない点もあるわけでございまするので、これが運用にあたりましては、地方公共団体におきましても、ある程度創意くふうをいたしまして、財源の捻出に当つてもらわなければならない、かように考えております。
  122. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 三十五億円のこの総額は、大体今度の地方公務員ベース・アツプ、あるいは年末手当の分だけに充当されるお考えですか、いかがですか。
  123. 小野哲

    ○小野政府委員 平衡交付金の運用にあたりましては、この法律に規定がありますように、費途を制限したりあるいは條件をつけてはならないということになつておりますので、三十五億を給與ベース改訂のためにこれを使えというふうな指示はいたさない考えを持つているわけでございます。これは平衡交付金自体の本質からさように相なつておるのでございまするが、算出をいたしまする場合におきましては、新しい財政需要といたしまして、給與ベース改訂というものが起つて参りましたので、それらを考慮いたしまして、所要の財源措置を講じなければならないということになつたわけで、平衡交付金の運用の問題と、それから財源措置のために考慮いたしました問題とは、必ずしも当然に一致をいたさないことと私どもは解釈いたしておる次第でございます。平衡交付金は財源措置によりまして増額されました場合におきましては、これを総合的に勘案し、また地方財政委員会におきまして配分をいたしました上で、地方公共団体の自主的な責任においてこれを運用する、こういうことになる建前になつておる次第でございます。
  124. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 地方自治庁で算定をされた点で伺いたいのでありますが、地方公務員の千円のベース・アツプ、あるいは年末手当に要すべき予算総額は大体どれくらいでありますか。
  125. 小野哲

    ○小野政府委員 先ほど申し上げましたように、大体八十八億の新規の財源が必要であろう、かように考えた次第でございます。
  126. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そういたしますと、先ほどの地方平衡交付金の内訳については、地方自治庁としては何らの指示を與えない。しかもその額が全体として三十五億なのでありますが、その半面において給與関係予算だけでも八十八億円というような額に上つておるとするならば、その残余の分については地方自治庁としては具体的にどの程度の成案、あるいは地方自治体としての捻出の財源、そういう点について何らかのお見通しをお聞かせ願いたい。
  127. 小野哲

    ○小野政府委員 先ほども申し上げましたように、積極、消極、両面からの財源措置が必要であるというふうな考え方から、一面地方公共団体に対しまして、できるだけ物件費等の節約をはかつてもらう意味におきまして、約四十億程度を捻出をしてもらう。それからまた給與ベース改訂なり、あるいは新規の法令の制定もしくは改廃等に伴いまして、地方団体において負担すべき負担増の点等をも勘案いたしますと、二十五年度において新規に財政需要としてこの程度のものができて来る。従つてこれをまかなつて行くためには地方税の増徴をするということは、とうてい二十五年度におきましては困難な状態にございますので、従つて財政調整の意味合いにおいて、地方財政平衡交付金の増額でこれを処理するようにいたしたい、こういうような考え方を持つて参つたわけであります。
  128. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今の御説明によりましても明らかなように、物件費その他の節約によりましても、地方自治体として捻出し得る額というものは全体として大体四十億であります。そうすると平衡交付金で三十五億とするならば、この平衡交付金の三十五億がこのまま全部給與ベース関係に使われたとしても、しかもまだ十三億ばかり足りない。そういうふうになつて参りますと、地方自治庁としては、これ以上の給與ベースに対する財源はもちろん不可能である。先ほど新たなる折衝をするお考えもないということでありましたが、こういうことであるとするならば、地方公務員給與ベース国家公務員法の規定による国家公務員ベースより下つてもやむを得ないというお考えですか、どうですか。
  129. 小野哲

    ○小野政府委員 それにつきまして先ほども申し上げましたように、国家財政という関係から三十五億の平衡交付金の増額を認めざるを得ないような事態に立ち至つたことは、まことに遺憾な次第でございますが、給與ベースの改定は国家公務員との均衡上、地方公共団体といたしましてもやらなければならないことでございますので、従つて今の足りない分につきましては、それぞれの地方公共団体におきまして、徴税の点につきましてさらに積極的にこれを行うとか、あるいは節約をさらに高度に行いますとかいうような方法によつて財源の捻出に一段と努力を期待いたさなければなるまいかと考えておる次第であります。
  130. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかしそういうお話ですけれども地方財政委員会として希望しておる額が約百三十億なんですが、ベース関係以外の経費としても厖大な財源が必要である。そうなつて参りますと給與財源については、これ以上節約をしても、実際問題として捻出の方法がないというのが、おそらく地方自治体の現状であろうと考えるのであります。そこでこの際地方自治庁としては、どうしても再度平衡交付金の増額を要求するというようになつてもらわない限りは、地方自治庁の役目が果されないと思う。予算の増額なしで、特に地方財政委員会国会に対する意見書を見てみましても、残額八十数億円の予算が新たに計上されない限りにおいては、地方財政は運営の上において重大なる影響が現われるであろう、重大なる支障が現われるであろうという、そこまで強い意見書が提出をされているのにもかかわらず、ただいまの御答弁によると、今後国家財政の見地から見て、これ以上補正予算を要求するお考えがないというような程度であるならば、これはもうあなたも地方自治庁もおやめになつた方がよろしいじやないか。こういう点から行きましても、国家財政の全体の見地という今だけの御答弁、その場のがれの御答弁では、私たち承服ができないのであります。もし今度の補正予算でわずかに三十五億しか財源が出されておらない、しかも節約額としては四十億円しか捻出ができる見通しがないとするならば、今後地方財政の運営において重大なる支障が起つて参りますことは火を見るよりも明らかでありますが、この点についての責任をお伺いいたしたいと思います。
  131. 小野哲

    ○小野政府委員 申すまでもなく私ども地方公共団体と政府との連絡の衝にあたりまして、いわば地方公共団体の立場を擁護する意味での活動をいたして参つておるのであります。従いまして私も今後においてもできるだけの努力をいたす決意を持つておることは申すまでもないのであります。ただいまお話がございましたような御趣旨まことにごもつともと思いますので、一面地方自治庁並びに地方財政委員会といたしましても、なお将来この努力は継続することといたしておることは言うまでもないのでございますが、同時に地方財政委員会から意見書も国会提出されております今日の事情から考えまして、国会におかれましても、この点につきまして適正な御判断をいただかなければならないのではないか、かように思つておる次第であります。
  132. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 しかしそれでは責任の痛感にならないのでありまして、あたた御自身金ができるかできないかの問題で、この金ができるための努力というのは、地方自治庁としては何としても再度交付金の増額を要求する努力が私は必要なのであろうと思うのであります。しかもその努力についても、先ほど成田君の答弁にありました通りに、現在のところはそのようなことを考えておらない、かようなお話であるとするならば、それ以外の努力は一体どういう形でおやりになるのでございますか。
  133. 小野哲

    ○小野政府委員 私が先ほど成田さんに申し上げましたのは、努力をしないという意味でないので、具体的に今日ここで申し上げる結論には至つておらない、こういう意味でありますので、誤解のないように願いたいと思います。なお財源措置の問題に伴いまして、今後の給與ベースの問題等につきましても、もちろんさらに努力を継続することは申し上げるまでもないのでございます。この点は御了承を願つておきたいと思います。
  134. 今野武雄

    今野委員 今までのことで大体明らかになつておろと思うのですけれども、私最後にちよつと聞いておきたいことがある。そうすると今年末の年末手当、それから来年の初めからのベース・アツプ、こういうことは地方自治体の公務員に対してはもうできなくてもしようがないということですね。
  135. 小野哲

    ○小野政府委員 できなくてもしようがないというふうには私どもはあきらめておりませんので、なおできるだけの努力をいたして参るわけでございます。同時に地方公共団体におきましても、給與ベース改訂をしないというわけには参らぬわけでございますので、地方公務員のために給與ベース改訂はやつてもらいたいということは、もちろん私どもも望んでおるところでございます。従いましてこれについての財源措置をどういうふうにするかということにつきましては、地方公共団体にれきましても、いろいろの方法を考案して、あとう限りの財源捻出にこの際努めてもらうということが、一面に必要となつて参つておるということを先ほどから申し上げておる次第であります。
  136. 今野武雄

    今野委員 昨日、地方行政委員会でも決議がなされておるわけです。それでことしだつてもう幾らもないのです。一月しかない。このさし迫つたときに、そういう漠然たることを言つていたのでは、実際上できぬということを意味すると思うのですが、きのうの地方行政委員会の決議に対して、政府としては何にも手を打たぬということですか。さつき言つたように、地方自治庁にそういうことを要請するという以外には手は何にも打たぬということですか。
  137. 小野哲

    ○小野政府委員 地方財政委員会におきましても、ただいまのような状況になつております関係、何らかの手を打つて行かなければたらたいというので、この点につきましては、財政委員会においても種々研究をいたしておるのでございます。
  138. 今野武雄

    今野委員 先ほど国会でやつてもらわなければしようがないということを言つておる。国会地方行政委員会はきのうとにかくああいう決議をしているのです。これはよく御承知通りです。国会としては相当なことをやつておるわけです。それに対して実際に実行するのは政府です。国会がいくらやるといつたつて国会は執行機関ではない。またここでやつてもらいたいということを繰返してもどうにもしようがない。その点をお伺いしているわけです。
  139. 小野哲

    ○小野政府委員 もちろん国会においては地方財政委員会から提出いたしました意見書と、それから政府原案とを比較検討されまして御判断を願いたい、こういうことを申しておるのでありまして、国会御自体が御執行を願うということではもちろんないのであります。これにつきまして政府としていかなる手を打つかということについて、地方財政委員会が具体的に大蔵省等と協議の上でやつて行かなければならない、かように私は考えております。
  140. 成田知巳

    ○成田委員 では淺井人事院総裁並びに菅野内閣官房長官にお伺いしたいのですが、最初に給與法改正法律案について御質問する前に一、二お尋ねしたい。二十六日の委員会でも岡崎官房長官にお尋ねしたのですが、今問題になつております裁判官の給與引上げの問題であります。当日は岡崎官房長官から善処する、研究中だ、こういう御答弁があつたのですが、日も相当経過しましたし、善処せられたのかどうか知りませんが、問題はさらに紛糾しているような状態でありますが、この経過並びに現在政府はどうお考えになつておるか、これについてまずお尋ねしておきます。
  141. 菅野義丸

    菅野政府委員 裁判官、検察官の報酬、給與につきましての法律案は、この一般職とは別に出すつもりでありますが、まだ現在におきましては成案を得ておりません。しかし何分相当遅くなつておりますので、急いで決するつもりで毎日やつておりますが、現在のところではまだ成案を得ていないような状況であります。
  142. 成田知巳

    ○成田委員 最後の成案はまだ得ておられないらしいのでありますか、裁判官の報酬等に関する法律の第十條でございますが、一般公務員給與が増額された場合には、裁判官も一般公務員の例に準じて給與引上げる、こういうことになつておりますが、例に準じての解釈が相当問題になつておるわけであります。現在政府は例に準じているということを一般公務員よりも引上げが少くてもいいのだ、こういうような御解釈を大蔵当局では持つておるらしいのでありますが、これについての官房長官のお考えはどうでありますか。
  143. 菅野義丸

    菅野政府委員 その解釈が結局問題になつておるのでありまして、それがまだはつきりいたしませんので、成案を得られないのであります。
  144. 田中伊三次

    田中委員長 ちよつと成田君に御相談ですが、これは成案も得ておらず、かりに成案を得ておつても、法務委員会において所管事項として審査をすることでもありますから、適当にどうか……。
  145. 成田知巳

    ○成田委員 もう最後であります。結局問題になつておるのは、裁判所から出しました歳出見積り額が減少されるというところで問題になつておるのだろうと思いますが、そうしますと、財政法の十九條で「内閣は、国会、裁判所及び会計検査院の歳出見積を減額した場合においては、国会、裁判所又は会計検査院の送付に係る歳出見積について、その詳細を歳入歳出予算に附記する」ことを要する。こういう規定があるのでありますが、事実上裁判所から出されました歳出見積りというものが現在減額されるという段階になつておられるのですが、もし減額されるということになると、詳細な説明書をお出しにならなければいけないと思いますが、その点についてはどうですか。
  146. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは結局報酬に関する法律案がきまりまして、それによつて見積りがきまるのでございますが、現在のところではその成案が得られませんので、はたしてそういうような削減になるか、あるいは同じものになるかということは何とも申し上げられません。
  147. 成田知巳

    ○成田委員 それからもう一点お伺いしたいのでありますが、もしそういうことになりました場合、十九條の後段でありますが、「国会が、国会、裁判所又は会計検査院に係る歳出額を修正する場合における必要な財源についても明記しなければならない。」この修正づる場合というのは、最初減額したのですから、その修正ということは増額だと思うのですが、増額に必要な財源を明記しなければいけない。こういう意味に解釈すべきだと思うりですが、そう解釈してよろしゆうございますか。
  148. 菅野義丸

    菅野政府委員 その遮りであります。
  149. 成田知巳

    ○成田委員 官房長官にお尋ねしたいのですが、今度の給與法改正によりますと、約一千円ばかりのベース・アツプになるわけであります。来年一月から米の消費値段は上り、さらに最近の特需景気だとか、世界的なインフレーシヨンの気構えを受けまして、こういう條件を織り込んで、大体千円の給與引上げにせられたのか、もし織り込んでおられないとすれば、別途給與引上げについてお考えにならなければいけないと思いますが、この点についてどうお考えになりますか。
  150. 磯田好祐

    ○磯田説明員 来年から今伝えられておりますような米価の改訂があると仮定いたしました場合におきまする生計費に及ぼす影響でございますが、先日の委員会におきましても答弁したと思うのでございますが、私どもの計算によりますると、大体一人当りの食糧貫といたしましての増額は、十五円というような形になる計算になつております。でこれに対しまして、特地、すなわち東京等におきまして、今度の新税法が施行される場合におきまするところのいわゆる減税が、どの程度になるかという問題でございますが、現在上程になつておりますところの所得税法等がそのまま実行されるということに仮定するならば、大体百二十六、七円程度の減額になる予定でございます。従いまして、食糧費だけの問題を取上げて考えまするならば、すなわちこの新所得税法等の改正税法によりまして、十分吸收されるという計算に相なるのでございます。なお最近におきまするところの特需景気に基きまして、一般的な物価の騰貴があるのじやないかという問題でございますが、この物価の騰貴を見込みましたところの来年の一月におきます民間賃金の推定というものと、公務員改訂ベースとを比較いたしまして、しかもなお六、三ベースが実質的に施行されました昨年の三月におきます官民の給與の比較以上に、今度の改訂によりまして公務員給與引上げられるという計算になることになつております。
  151. 松澤兼人

    ○松澤委員 ただいま磯田給與課長からいろいろと数字をあげて御説明になつたのでありますが、もしそういう計算があるならば、ひとつ委員会に出していただきたい。先ほど来いろいろいただいた書類があるのでありますが、そういう数字根拠というもの一つもない。人事院勧告を出されれば、こういう厖大ないろいろの書類を出していただく、ところが、ただいま御説明を聞いておりましても、ちよつとわれわれのみ込めないのです。至急にそれを出すようにおとりはからいを願いたいと思います。
  152. 田中伊三次

    田中委員長 これは内閣官房と大蔵当局からその根拠となるべき数字について詳細なものが用意できますね。
  153. 菅野義丸

    菅野政府委員 よろしゆうございます。
  154. 田中伊三次

    田中委員長 それでは可及的すみやかにそれをお出しを願います。
  155. 菅野義丸

    菅野政府委員 そういうことにいたします。
  156. 成田知巳

    ○成田委員 ただいまの説明によりますと、食糧費の値上りは、来年一月一日から一人当り約六十五円、現在の税制改革案が施介されたならば一人当り約百二、三十円の減税になるので、これを償つてあまりある、こういうような御答弁でありますが、これはいわゆる税法上の減税でありまして、実質的には一般勤労者というものは決して減税になつていない。現に政府予算説明書を見ましても、所得税の中に申告所得税の方は大幅に減收になつておりますが、源泉の方は当初予算が九百八十三億、現行法による税收見込みが千三百三十九億円、これほどはね上つておる。今度の税制改革によりまして約五十六億の減税になるのですが、それにしましても、補正予算額の源泉徴收予定は千百八十三億になつております。そういたしますと、当初予算に比較いたしまして約百九十九億、二百億の増税なんです。結局それだけ実質的には税金をたくさん納めているのであつて、決して政府説明のように一人当り百二十円の減税になるということは言えない。あくまでも税法上の減税であつて、実質的な減税ではない。こう考えますと、米価の値上りその他を今度の給與ベース引上げによつて償うことは絶対にできないと考えるのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。
  157. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいま大蔵省から御答弁申し上げましたのは、所得税の問題でありまして、これは税法上も実質上もないのでありまして、所得税の問題だけを取上げてお答え申し上げたのであります。
  158. 成田知巳

    ○成田委員 ちよつと御答弁の意味がわからないのですが、私が申し上げましたのは、所得税の中でも源泉の一般公務員給與引上げなんで、源泉所得税が問題だと思う。源泉所得税においては、減税どころかむしろ実質的には約二百億の増税になつている。にもかかわらず、百二、三十円の減税があるのだから、六十五円の米価の引上げは償つて余りある、こういう御答弁は納得が行かない、こう申し上げているのであります。
  159. 磯田好祐

    ○磯田説明員 私もただいま御質問されました点については、税関係の担当者から答弁するのが筋合いだと思いますので、はつきりしたことは申し上げられないのですが、おそらくは従来いわゆる源泉徴收の部面におきましても、十分把握できなかつた面があるとかいうような面、それから今度のベース改訂によりまして、いわゆるはね返りというようなものも当然起つて参ります。そういう関係があるいは見込んであるのではないか、これは私はそういうふうに解釈しております。従いまして、この新税法がそのまま適用されるというふうに仮定するならば、当然今まで納むべかりしものを納めておつた人に対しては、これだけの減税になるということを申し上げておるわけであります。
  160. 成田知巳

    ○成田委員 はね返りと言われましたが、この予算説明書では、すでに予算にはね返りを考慮してこの金額を出してあると思う。だから、はね返りの問題は起きないのじやないかと思います。  それから捕捉できなかつたものかあるからというお話でありますが、その点は申告所得税の方でも相当捕捉できないものがあると思います。徴收不能というような形で約三百三十億の域を見込んでおるわけです。源泉課税においてこれだけの増税が実質的には見込まれているわけです。改正税法によりますと、五十六億なんですが、これは税法上の減額なんで、実際勤労者が納める税金というものは、当初予算よりはむしろ二百億ふえておるわけです。こういうことを考えますと、六十五円の米価の引上げがあつても、実質的には減税でカバーして余りあるという御答弁は、どうも納得が行かないのであります。
  161. 磯田好祐

    ○磯田説明員 ただいまの点につきましては、なおよく主税当局に確かめまして、その上で御答弁いたしたいと思います。
  162. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、もし税金でカバーして余りあるという御答弁が間違つてつたということになりましたならば、現在の千円の給與引上げでは、来年以降の米価の引上げ、あるいは特需、あるいは世界的な軍拡気構えによるインフレに対しては考慮していないという結論に達すると思いますか、そう考えてよろしゆうございますか。
  163. 磯田好祐

    ○磯田説明員 先ほど私の説明いたしました特地におきまして百二十六円程度の減税となるということは、税法をそのまま適用すればそういうふうな減税になるということは間違いありません。
  164. 田中伊三次

    田中委員長 成田君、今大蔵省主税局長か税制課長に連絡をつけてよこすようにいたしました。次を継続願います。
  165. 成田知巳

    ○成田委員 それでは淺井人事院総裁にお尋ねいたしますか、午前中に平川氏の質問に関連してお尋ねしたいのですが、結局ベースの解釈の問題であります。淺井さんの御答弁によりますと、給料表の内訳をいかに配分するかが問題であつて、それを平均したところで人事院勧告はそれを八千五十八円とふんでいる。ところが、政府の今度の案によれば、約七十九百円、八千円近くになるというお話がありましたが、人事院が八千五十八円ベース勧告された当時の実際の平均給ですか、これは大体幾らであつたか、お尋ねいたします。
  166. 浅井清

    浅井政府委員 これはまだ実は正確な数字人事院としては出ておりません。これはどういうわけかと申しますると、ベースの算定と異なりまして、下から一つ一つ積み上げて非常に大勢の者の給與を調べなければなりませんので、私はそう簡單に出る方がふしぎだと思つております。今調査をいたしておりまするが、相当上つているんじやないかと思つております。
  167. 成田知巳

    ○成田委員 その点が非常に問題だと思うのですが、相当上つていると言われるのは、八千五十八円ベース勧告された八月当時の平均給與よりも、現在が相当上つておる、こういう御趣旨でございますか。
  168. 浅井清

    浅井政府委員 それも漸次に上つておると思つております。
  169. 成田知巳

    ○成田委員 この平均給與、算定することは非常に困難だと言われたのですが、政府の方では大体十二月末で七千円近くになる、こういう数字を発表しているらしいのですが、現在の浅井さんの御答弁から言いますと、その数字にあまり信頼性を置くことはできないと思うのですが、人事院の方はどう考えておられますか。
  170. 浅井清

    浅井政府委員 信頼性を置くことができないというような意味で私はお答えを申し上げなかつたつもりでございます。大体政府の申しておりますことと、大差はないのじやないかという推定をいたしております。
  171. 成田知巳

    ○成田委員 八千五十八円の勧告をなされた当時の平均給與よりも相当上つているということなんですが、それは午前中にも申し上げましたように、レツド・パージに便乗して若い独身の者をたくさん首を切つたり、あるいは定期の昇給によつてつたと思うのですが、それ以外に上つた理由はありましようか。
  172. 浅井清

    浅井政府委員 大体昇給制度というものが一番大きな原因であろうと思つております。
  173. 成田知巳

    ○成田委員 昇給によつてつたといたしますと、これはベース改訂でも何でもないと思うのです。半年なり一年なり勤務して成績がよかつたために上つたので、ベース改訂ということになりますと、八千五十八円を勧告されたときの平均給與に対しまして、六千三百七円ベースと八千五十八円の差額を増加さす、ベース・アツプさすというのが人事院勧告の御趣旨だと思うのですが、どうでございましようか。
  174. 浅井清

    浅井政府委員 それはこのベースというものをあまり嚴格にお考えになり過ぎていやしないかと思つております。もちろん人事院といたしましては、公務員給與が上るということは賛成でございまするが、私どもベースと申しておりますのは、午前中にも申しましたように、結果として出て来る総平均でございますから、その間の昇給昇格というようなものは、これは利益に対してそのままリザーブする、そしてそのほかにこれだけベースを上げろ、そういう意味ではないのであります。
  175. 成田知巳

    ○成田委員 これは嚴格に解釈しなければいけない問題だと思うのです。嚴格な意味に解釈しませんと、たとえば来年一月一日から実施する場合には十二月末には七千円に上つている。もしあと年年延ばした場合、政府人事院勧告を無視して六千三百七円、七八ベースといろいろ勧告をずつとずらして来たのですが、また半年延ばすと、職員の当然の勤務によつて昇給制度によつてつてつて、ちようど来年の六月ころには八千三十八円になつているから人事院勧告を尊重したのだ、こういうことになるのですが、そういう当然の勤務による昇給というものベースの観念から省いて、これだけはいわゆるリザーブして、それ以外のものについてベース・アツプを考えなければ、人事院勧告というものは何ら権威がなくなつてしまうと私は考えます。
  176. 浅井清

    浅井政府委員 当然の勤務で昇給するということでありますが、給與はすべて当然の勤務に対して考慮せられるのでありますから、昇給しました分だけをのけて、あとなお上げる、こういうことには人事院考えていないのであります。政府が千円ベース・アツプというようなことを申しましたが、これは実はそうじやないのじやないかと思つております。でありますから、千円しか給與に充てる財源がないということを表明しているのだろうと思います。ですから、政府が八千円、人事院が八十五十八円でございましようと何でございましようと、ともかく人事院勧告されましたこの俸給表を適用いたしますれば、八千五十八円になる、それでよろしいのじやないかと思つております。
  177. 成田知巳

    ○成田委員 そうしますと、時の経過というものを全然お考えになつていないということになるのです。政府説明によりますと、人事院勧告を尊重したということになつておりますが、政府人事院勧告を尊重したのじやなしに、時の経過を尊重しているのではないかという解釈ができる。半年とか一年半引延ばして行けば、当然給與昇給制度によりまして給與の昇格がある。そうしますと、八千五十八円のベースというものあと一箇月、二箇月、三箇月すればそこに来る。あるいはさらに期間を延ばしますと、八千五十八円以上になるということでは、人事院勧告を尊重した趣旨にならないと考えますが、これはどうお考えになりますか。
  178. 浅井清

    浅井政府委員 政府人事院勧告を尊重していないという点については後に述べますが、私はただいま仰せられましたその昇給分を別に保存しておいて、あとなおベースを上げなければ、人事院勧告を尊重したことにはならぬ、そういうふうには考えていないので、何でもよろしいのですから、ともかく今現在のこの俸給表を採用していただけば、その総平均が八千五十八円になる、こういうことを人事院としては言つているだけでございます。
  179. 成田知巳

    ○成田委員 何でもいいから、現在今この俸給表を採用してもらいたいということですが、勧告の趣旨から行きましたら、たとえば七八ベース勧告されをした昨年ですか、そのときに、当然俸給表も採用しなければならない。八千五十八円ベースについても、八月当然採用すべきである、こういう意味人事院勧告だと思いますが、それが七八ベースにつきましてもずつと今まで見送りになつた、八千五十八円のベース勧告についても現在まで見送りになつておるということになりましたから、その間の期間の当然のベース・アツプというものを無視された、こう考えるべきだと思いますが、どうでございましよう。
  180. 浅井清

    浅井政府委員 そういたしますれば、結局遡及してベース・アツプを認めないと趣旨がちつとも徹底しない、こういうことになるのでありますが、しかしながら遡及してベースを上げるということは、とうてい不可能でございます。私どもといたしましては、将来に向つてだけの問題を出している、そういうことであります。
  181. 成田知巳

    ○成田委員 嚴格に行きましたら、人事院勧告の精神から行きましたら、バツク・ペイをやるのは当然だと思いますが、困難か不可能かという問題は別として、勧告の精神は少くともそこにあつたと思います。そうじやなしに、ただずるずるべつたりに時をかせがれて、給與昇給によつて八千五十八円に近いものになつているのだから、これは八千五十八円ベースと大体同じようなものだという御解釈をしたならば、人事院勧告というものは全然意味がないと思いますが、この点についてはどうですか。
  182. 浅井清

    浅井政府委員 問題が非常に明確になつたのですが、結局成田さんの御趣旨は、後へ遡及して上るべかりしだけ損をしている、それを取返すだけベースを上げろ、こういう御趣旨だろうと思つております。
  183. 成田知巳

    ○成田委員 それだけではありません。
  184. 浅井清

    浅井政府委員 結局そこに帰するのではないかと思つておりますが、この遡及して上げるということは、これはりくつは別にいたしまして、とうてい不可能でございます。それで人事院といたしましては、将来に向つての問題を取扱つている。但し遡及してこのベースが上りますことには、決して不賛成ではございません。ゆえに人事院勧告で、いつから実施していただきたいという、その実施の期日については、何ら触れていないということを御了承願いたいと思います。
  185. 成田知巳

    ○成田委員 実施の期日には触れておらないということになりますと、大体期限付ではないわけですが、先ほどからも申しておりますように、八千五十八円ベース勧告をされまして、政府が半年なり一年これを引延ばし、その間に昇給があつて、ある時期まで来ると八千五十八円の平均給與までなつたとする、そのときから人事院勧告を実施したというように政府がとつても、人事院としては御異存かないわけですか。
  186. 浅井清

    浅井政府委員 その時期におきまして、成年男子一人の生計費が幾らになつているか、民間の給與が幾らになつておるか、ここに問題があろうかと思います。ただその間人事院がずるずるべつたりに、手を空しゆうして待つておるのではございませんので、その間一年経ちますれば経ちましたで、その間に絶えずいろいろなデーターを調べまして、新しい勧告をやるべき時期が参りますればするのでございますから、決して一度出した勧告に、人事院としては拘束される理由はないと思つております。
  187. 成田知巳

    ○成田委員 そうしますと、政府の方で、人事院勧告がありまして、極端な場合一年間経過して、そしてベース引上げをやる、今度の場合も大体似ておりますが――、そうすれば、やはり大体人事院ベース勧告と同じ線まで昇給その他で行つてつたということになると、これによつて人事院勧告というものは満たされたのだと、こういう場合が起きるわけですね。
  188. 浅井清

    浅井政府委員 それはそうではないのであります。つまり人事院といたしましては、その一年前にやつた勧告を、なお一年後において、それでよろしいと見るか見ないかという問題は、これは全然別個だと思つております。
  189. 成田知巳

    ○成田委員 そうしますと、給與の改改正法律案の問題になりますが、勤務地手当ての問題あるいは配分の問題についていろいろ異議があると思うのでありますが、大体今度の政府の千円の引上げで――ベースという言葉意味でありますが、八千円ベースが実現されたとお考えでありますか。
  190. 浅井清

    浅井政府委員 正確な数字をここに出すことはできませんが、八千円より若干下まわつておるのではないか、七千九百数十円程度になるのではないかと推定いたしております。
  191. 成田知巳

    ○成田委員 それをベース考えてよろしゆうございますか。
  192. 浅井清

    浅井政府委員 そうでございます。
  193. 成田知巳

    ○成田委員 その点につきまして、私たちが最初から申しましたように、非常に異論があるのであります。当然の昇給は除いてベース・アツプというもの考えなければならぬ、こう考えておるわけであります。  次に淺井さんにお尋ねいたしますが、現在の政府の案に対しまして不満な点――勤務地手当の問題その他あると思うのですが、それをひとつ述べていただきたいと思います。
  194. 浅井清

    浅井政府委員 人事院といたしまして、その点はこの席上においては申し述べることができると思うのであります。  第一は俸給表の問題でございます。すなわち、きわめて通俗的な言葉でございますけれども人事院の案よりも政府の方が下に薄く上に厚くなつておるという点でございます。よく昔から下に厚く上に薄いということは――きわめて卑俗の言葉で申しまするけれども、これはまた一面非常に大きな真理を含んでおると思うのでございます。そこで私はこの人事院の引きましたカーブ、つまり一番下のところを二級一号に押えておるという点、上を七倍あまりにしておるという点、つまり最高額が最低限の約七倍になつておるという点、これは人事院のとる給與政策として大体それでよろしい、これが適切であろうと思つております。しかるところ政府の案におきましては、下の方はより薄く、上の方は約八倍になつておるという点でございます。つまり上の方を上げましても、ベースもとより上りますけれども、これは少し上の方が上つておる。もとより責任の重い者の給與をよくするということは、これは当然のことではございますけれども財源がこれだけしかないというのならば、すべての級の者がその犠牲を均等に受くべきものであつて、上の方の者だけがその犠牲を少く受けて八倍にまで達しておる。下の方の者が薄くなつておるという点は、人事院としては不満の第一点でございます。  第二点は、切りかえ表の問題でございますが、これにおきまして、政府案においては特別俸給表を受けております者の号級を若干切捨てまして、それから得た財源でもつて他の方を上げるという操作をなしておる。この特別俸給表の適用を受けておりまする者その他は、すべてこれ理由のあることでございまして、職階制が完成しまして職務の内容及び責任が明確にわかれるようになりました場合は、これはいろいろその点がございましようが、現在そういうことをすることに対しましては、私は反対でございます。つまり特別号俸を受ける者も上れば、両方とも正比例して上る。政府見解では、この点はつまり勤務時間の相違から出て来るというような御説明でございますけれども、この特別俸給表を受けておる者は、決して勤務時間が多いから受けておるのではない。危險な作業、困難な作業、その他いろいろのデーターがあるように考えておりますから、この点は不満でございます。  第三点といたしましては、人事院意見の申出の中にありました年末給一箇月という問題、すなわち人事院といたしましては、十三箇月分の俸給を拂つてもらいたいというのが、主張でございます。この一箇月余分ということは、何から出て参りましたかというと、人事院が民間の給與を研究いたしまして取入れまする場合に、民間会社で出しますボーナスというものは、計算に入れていないのであります。もちろん中小企業等におきましては、ボーナスどころか給料の遅配欠配等もあるように存じまするからして、国家公務員だけが年末給與を受けるということは、いかがかという議論もあるようでございまするけれども、大体給料の遅配欠配などはないのが当然でございまして、ある方が間違つておるのでございますから、それは比較のデータにはなりませんし、また何十万という多くの公務員を擁しておりまする政府は、これは最大の使用主ともいうべきものでありますから、善良なる使用主として民間の比較的大きな事業の給與と比較しなければならぬ、その場合、大体年末一箇月の特別のボーナスを計算に入れてこれを支給する、こういう意味でございます。ところがこれが実現しませんので、それでこの給與法からとつてのけたわけでございます。大体その三点だと思います。
  195. 成田知巳

    ○成田委員 三点について人事院として政府案に対して不満な点を指摘されたのですが、私たちさらに勤務地手当の問題があると思うのです。勤務地手当の問題は、政府は一律に現在の区分によつて、三段階によつて五%の切下げをやつておるのですが、これは人事院勧告されました最高三割を二割五分にすると同時に、五段階にわけて、最高二五%、二〇%、一五%、一〇%、五%、こういうような区分にするという勧告、これが実施されて初めて五%の引下げがあつてしかるべきだと思うのです。合理的なCPSなり、特別CPSに基いた地域区分というものの指定がないにもかかわらず、五%引下げる点だけは人事院勧告を尊重しまして、現段階の三段階において一律に五%引下げたということは、非常に不合理だ、こういうふうに私たちは解釈するのですが、総裁はどうお考えですか。
  196. 浅井清

    浅井政府委員 その点でございますが、これはただいま私が申し上げましたいわゆる不満の中には入れませんでした。なぜかと申しますと、人事院勧告は、この給與法改正案では、本文に採用いたしておるのでございまして、ただ今すぐにそれをやることができないための暫定措置として、附則の方でもつて、ただいま成田さんのお示しの案が一時的に行われる、そういうわけでございまするから、人事院はできるだけすみやかに五段階のための別表の勧告をいたす、そういう意味で、これは不満の程度は少し違うように思いますから、ただいま申し上げなかつたわけでございます。
  197. 成田知巳

    ○成田委員 法律改正案には取入れておるけれども、実際今のところは実施されていないわけですが、人事院勧告かあればすぐやるという見通しのもとに、不満の程度が少いということで、これは不満の点であり得なかつたというわけですが、現在の問題として三段階で一律に五%に引下げが行われるわけです。それだけの公務員の被害というもの考えますと、これをできるだけ少くするためには、人事院勧告が可及的すみやかに行われなければいかぬと思いますが、大体いつごろこの地域給の区分の指定をお出しになりますか。
  198. 浅井清

    浅井政府委員 この臨時国会提出することは少しく不可能なことではないかと思つております。それは何分にも全国にわたることであり、またこれに対しまして、各地方から非常に多くの陳情が人事院へ殺到しておりますることは、これは成田さんのよく御存じのことであろうと思います。そこで人事院といたしましては、それらの陳情等を一つずつ調査いたしまして、できるだけ合理的なもの国会に出したい。もとよりおきめになるのは国会でございますけれども人事院としてはなるべく国会のお手数を省くために完全な案を出したいと思うので、この臨時国会には間に合いませんが、通常国会には必ずお出しできるような運びになると思つております。
  199. 成田知巳

    ○成田委員 この臨時国会へは勧告は出せないというような御答弁だつたのですが、そういたしますと、法案の形式を逆にしまして、一応人事が五%引下げる勧告をなされたのは、合理的な五段階というもの考え勧告なさつておるのです。その前提が行われない以上、五%引下げというものは、その前提が満たされぬものとみなすのがほんとうだと思うのですが、いかがでしようか。
  200. 浅井清

    浅井政府委員 ちよつと御質疑の趣旨がわかりかねましたが、人事院の五%引下げいたしました意味は、結局八千五十八円までベースが上るということを基準としてやつておるということは当然のことでございます。
  201. 成田知巳

    ○成田委員 といたしますと、八千五十八円までベースは上つていないわけなんですね。
  202. 浅井清

    浅井政府委員 いや、それはちよつと話が違うのでありまして、八千五十八円までなつていないということは、ただいまの政府案が約八千円弱になつているということと比較して、わずか数十月の差であるにもかかわらず、八千五十八円にはなつていない、こういう意味ならば、それだけくらいの差では勧告を出さぬと言つておるのではないのでございます。それは技術的にこの臨時国会へ出すのが間に合わないということを言つておるわけなのでございます。
  203. 成田知巳

    ○成田委員 その点におきましては、五段階の勧告というものは出ていませんから、人事院勧告はこの法案で認められていないわけですね。人事院が五%をお下げになる一つの操作といたしまして、人事院CPSなり、特別CPSに基いて合理的な五段階の地域給の指定をやるという前提で、五%引下げをお考えになつておると思うのですが、その前提が満たされていない以上、本文と附則を逆にしまして、その前提が満たされるまでは、一応現行の最高三割を支給するという條文を残すのがほんとうじやないかと思うのですが……。
  204. 浅井清

    浅井政府委員 それで御質疑意味が非常によくわかつたのでありまするが、お示しのごとく、人事院といたしましては、まだ勧告をいたしておりませんから、そこでどこに二割五分を出し、どこに一割五分を出すということは、明確な資料はまだ現われていないと思つております。
  205. 田中伊三次

    田中委員長 それでは平田主税局長が来ておりますから、その方を先に……。
  206. 成田知巳

    ○成田委員 それでは主税局長にお尋ねいたします。先ほど大蔵省の方にお尋ねいたしたのでありますが、今度の千円の給與引上げで、はたして来年一月以降の米価の値上げ、あるいは特需景気、世界的な軍拡気構え、こういうような物価高の気構えに対処できるかどうかということを質問申し上げましたら、米価の引上げというものは、一人当り月六十五円になるだろう。一方今度の減税措置によつて百二、三十円の減税になるのだから、減税で当然カバーできる。こういう御答弁があつたわけですが、予算書の説明を見ましても、源泉課税におきましては、相当大幅な増税になつておる。本予算よりも約二百億近く源泉所得税は増徴になつております。税法上から行きましたならば、五十六億の減税でありましようが、実質的には勤労者は税金をたくさん支拂わなければならない。こういう結果になるわけで、政府の御答弁のように、減税によつて物価の値上りをカバーすることができるということは、当らないのじやないか、こう考えるのですが、それについて御答弁願いたい。
  207. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 おそらく他の政府委員から御説明があつたかと思いますが、少し詳細に申し上げますと、たとえば月一万二千五百円の收入で、奥さんとお子さん二人の世帶、これは一種の標準的な世帶として計算の基礎にいたしておるのでございますが、この世帶の場合におきまして、税金と米価の関係がどうなるかということを計算いたしております。それを御参考までに最初に申し上げますと、現在は勤労所得税を千百五十五円負担しております。それが改正案によりますと、二百八十円ほどの軽減になりまして、今までの收入から勤労所得税を差引きました手取りに対しまして、二・四七%の手取りの増加になります。これに対しまして、米の公定価格が八・八%上るということを前提にいたしまして、家計費にどう響くかということを調べてみますと、今の世帶におきまして一・三七%だけ引上けになるようであります。家計の賃担がそれだけふえる。従いまして勤労所得税だけで一・一五%余裕があるわけでございますが、そのほかに税制といたしましては物品税の廃止または引下げ、それから酒税の引下げ――酒は全部家庭が飲むわけではございませんから、ごく平均的なものになりますが、それの負担の軽減を考慮に入れますと、税金と米価の関係だけでございますと、もう少し実質家計費はよくなる。こういう計算が出るようでありまして、私ども今回の勤労所得税の軽減と税制の改正によりまして、普通の世帶はおおむね米価の引上げによる家計の負担を全部吸收できる、このように考えております。ただ免税点以下のクラス、これは御趣旨の通りそういうわけには参りません。何となれば人まで税金を拂つておりませんので……。それから生活保護法の適用を受けているクラスもそういうわけには行きませんが、この方は政府の支出金を米価と対応して調整することになつておりますので、解決できる。今日はほとんど勤労所得者も、およそ職業ある人の九十パーセント以上が所得税の納税者になつております。役所の場合におきましても、給仕の諸君も税金を納めておるような状態でございますので、大体はこの改正によりまして、米価の引上げは十分吸收できるのじやないか、このように見ておるわけであります。  それから今のお話の、給料がふえたために税金がふえるのじやないか。これは当然でございまして、最近勤労所得税がふえておりますのは、もつばら給與が前年に比べまして最近ふえているからであります。昨年の九月の民間の一般水準と、最近の水準と比較しますと、やはり一割強ふえております。予算は昨年の九月の水準をもとにしまして、今年の当初予算を見積つてつたわけでございます。ところが最近の実績がいずれも予算の見積りを越えております。従いましてこの最近の実績に基きまして予算の見積りがえをいたしたわけでございまして、これこそ私どもほんとうの自然増收というように考えておるわけであります。従いまして勤労所得税の税收入がふえますのは、給與所得の増加によりまする自然増收でございまして、増税とは私ども全然考えておりません。今回一般の財政計画等にも余裕財源が出て参りましたので、全体として各般の事情を考慮しまして減税――基礎控除を上げる、扶養控除も引上げる、税率も若干ずらす、こういう改正案を提案いたしておる次第でございます。
  208. 成田知巳

    ○成田委員 給與の自然増があつたから税金がそれだけふえたと言われますが、給與の自然増というのは、実質的には税金関係で、手取りは自然増になつていない。その上に米価の引上げがあるのだから、今度の千円の給與引上げだけでは完全にカバーできない、こう考えるのですが、その点いかがですか。
  209. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 この給與引上げなつた分全部をもしも税金でとつてしまうということになります、これはお話のようなことになろうかとと思いますが、御承知通り最低は税率二〇%、順次累進いたしておりまするが、今申し上げました一般の大衆に関係深いものは、大体におきまして二〇%から二五%、高くても三〇%程度ふえるクラスでございます。従いまして所得が増加になつた部分に対しましては、その程度の税金がふえるということは、これは一般の賃金が上つた場合におきましても、当然そのようなことになるわけでございます。その点は一般的に見まして当然しごくのことではなかろうか、このように考えております。
  210. 成田知巳

    ○成田委員 千円ベース・アツプするとしますと、上積の方ですとそれだけ税金が高くなる。千円のベース・アツプの上積みの方の税金の関係と米価との関係、それをどういうふうに計算なさつておりますか。
  211. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 所得税の場合におきましては、大体総所得金額が幾らになるか、それに対しまして各種の控除がございます。控除を引いた残りを課税所得と称しておりますが、その課税所得が幾らになるか、それを計算しまして、それに対してそれぞれ税率を適用しまして、給與引上げにならない場合、あるいは前の予算で見込みました給與との差額、その差額に対する收入額を増收額として計上いたしておるわけでございます。従いまして個人的にもこれはいろいろ計算できると思いますが、全体としましてはそのような結果といたしまして、勤労所得では増收になつておる、こういう関係に相なるかと思います。
  212. 成田知巳

    ○成田委員 引続いて官房長官にお尋ねいたしますが、先ほど淺井人事院総裁が、今度の政府案に不満な理由といたしまして、特別俸給表の適用を受ける警察官吏と税務官吏を言われたのですが、政府説明書を見ますと、最近の事情に基き調整いたした、こう言つているのですが、最近の事情というのはどういう事情でありますか。
  213. 菅野義丸

    菅野政府委員 特別俸給表または調整号俸の者と一般俸給者との格差を縮めるいとにつきましては、必ずしもこういう格差をつけておる原因が勤務時間だけからではないのでございまして、先ほど総裁から話がありましたようにいろいろな事情が入つておるのですが、勤務時間の点につきましても、一般公務員がこの特別俸給表調整号俸等を設定いたしました二千九百円ベースの時代に比べますと、相当上つておりますので、従つて勤務時間の差というものは極度に縮められております。それからその他の要件といいますと、たとえば危險であるとか仕事がむずかしいとかいう点でございますが、当時の事情に比べますと、治安も非常によくなつておりますし、また食糧事情その他も当時に比べまずと非常によくなつておりますので、仕事の難易という点も相当緩和されておるわけでございます。従いましてそういうような原因になつておることが相当減つておりますので、今回おおむね半分程度に差を縮めたのでございます。
  214. 成田知巳

    ○成田委員 治安もよくなつたと言われたのですが、それたらば警察予備隊はいらないような気がする。  それで思いつきましたが、警察予備隊の問題で一つお尋ねいたします。聞くところによりますと、最近警察予備隊員を採用いたしまして、健康診断を二回やつて、約三箇月ばかり訓練しまして、その後突如としてレントゲン検査をやつて、肺疾患があるというようなことで、何らの手当も支給しないで相当大量の解雇をやつた、こういう事情を聞くのでありますが、この点長官はお聞きになつているかどうか伺いたい。
  215. 菅野義丸

    菅野政府委員 警察予備隊の警察官の採用は、仮採用をまずやりまして、そしてある一定の訓練をいたしました後に身体検査あるいはその当時の成績等によつて本採用になるわけでありまして、おそらくそういうことによつて退職を命ぜられた者があるだろう、こういうふうに想像いたします。
  216. 成田知巳

    ○成田委員 二回の健康診断をやつて、しかも三簡月以上訓練しておつて、最近レントンゲン検査をやつて解雇しているのです。そういうのがはたして仮採用と言えるかどうか。仮採用というのはどういう内容になつておるか。御答願いたいと思います。
  217. 菅野義丸

    菅野政府委員 詳細の点につきましては私聞いておりませんので、予備隊の方からでも……。
  218. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今の予備隊の関係ですが、任用はポ政令にもあるように、これは日本国が当然国警予備隊を採用するのだと思う。この点は間違いないと思うのですが、任免の点に関してちよつと伺いたい。
  219. 菅野義丸

    菅野政府委員 その通りでございます。日本国が採用するのであります。
  220. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 馘首の場合も当然日本政府の責任だと思うのでありますが、いかがですか。
  221. 菅野義丸

    菅野政府委員 そうであります。
  222. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の聞いておるのは、ただいま成田君の質問にもありましたが、首を切られておる者は日本政府から解雇の命を受けておらぬ。外国の関係から解雇の通知を受けた。増原国警長官は、それでいいのだということを言つておるのだそうでありますが、この点についてもしそういう事実があつたとすれば、政府としてはいかにお考えになりますか。
  223. 菅野義丸

    菅野政府委員 そういう事実はないと信じますが、かりにありましても、それは全部増原長官の責任です。増原長官の意思に基く解雇であります。
  224. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 増原長官の責任によつて行われたのだとおつしやるのですか、その点は。
  225. 菅野義丸

    菅野政府委員 そうであります。
  226. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それからもう一つ、これで最後ですが、先はど仮採用だからやむを得ないであろうというお話がありましたが、すでに採用されて半歳近くの者で解雇をされておる実例があるのであります。そういう場合に解雇された人の退職金といいますか、その者の補償的な措置については、どのようなことが政府として考えられておりますか。
  227. 菅野義丸

    菅野政府委員 退職金等の点につきましては、予備隊の規則としていろいろこまかい定めかしてあります。今覚えておりませんが、たとえば一年勤めた者はどうというような規則がありまして、それによつてつておるのです。それから御承知通り予備隊の警察官は特別職でありまして、何年たつても一定の理由によりまして解雇ができることになつております。
  228. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ただいま申し上げたように、増原国警長官は外国の罷免によつて、日本政府としては罷免する必要がない。外品の解雇通知によつてそれにかわるのであると言われておるのだそうであるが、しかも罷免された約三十二名の者は退職について一銭ももらつておらないそうであります。こういうような事実をわれわれの方で調べておるのでありますが、この点について政府としても緊急に御調べを願いたいと思います。
  229. 田中伊三次

    田中委員長 ちよつと今野君に御相談しますが、この警察予備隊の件は、これに要する経費は国会と無関係、その法制も国会と無関係たから、この程度でどうです。ちよつと一言やりますか。
  230. 今野武雄

    今野委員 ただいま二人の委員から質問があつたのですが、さつき成田君の言つたように、身体検査をやつて身体に障害ないということを見きわめた上で、仮採用と言われるけれども採用された。それで三箇月間猛烈な訓練をやつたそうである。その結果悪くなつた、そうすると、その責任は当然国家にあると思うのですが、その点どうなんですか。二回も綿密な検査をやつて採用した。そうして三箇月たつて胸部疾患が認められる。こういうことだと、当然国家にその責任があるように感ずるわけですけれども、しかも少しの退職手当もなくして、着てる服まで腕がせておつぽり出す。こういうことをやつております。これではあまりに非人道的だと思うのです。しかもその人は今まで勤めておつたのを今度こつちになる、片一方にかわるというのでやめた、それを今度おつぼり出されて何の補償もない。その点政府としては責任を感じてないのかどうか、ちよつと聞きたい。
  231. 菅野義丸

    菅野政府委員 具体的の一例を握つておりませんので、予備隊を通じまして、事例を調査いたしまして、お答えいたします。
  232. 田中伊三次

    田中委員長 成田君、御継続を願います。成田君いいのですか。
  233. 成田知巳

    ○成田委員 淺井人事院総裁にお尋ねしたいのですが、先ほど不満な点として三つあげまして、勤務地手当の問題を申しますと、やや不満足だけれども大したことは、こういう御答弁です。どうもベース改訂にいたしましても、最近人事院は非常に軟化されておるのではないかという気がするのです。最初人事院が発足された当時は非常に勢いがよかつたのですが、最近どうやらその勢いがそがれたような気がいたします。初めは脱兎のごとく終りは処女のごとしというような感じを受けるのですが、私どもから見ますと、不満の点が多々あるのです。淺井人事院総裁の言われた三つ以外にさらに一、二お尋ねしたいのですが、今度の給與法によりますと、第五條でございますが、現物給與関係で、今まで法令または予算によつて認められた現物給與、たとえば警察官の服なんかそれにあたると思いますが、これは給與の中に入つておらない。今度はこれが改正せられまして、全部給與として調整されるというような規定になつておるらしいのです。ただ給與の中に入らないのは、「国役宿舎に関する法律に定める公邸及び無料宿舎については行わない。」こう書いておりますが、旧法に比較いたしまして、その他のものは全部現物給與として給與の中に合算されておる。これは非常に大きな変革だと思いますが、これについて総裁はどうお考えになりますか。
  234. 浅井清

    浅井政府委員 ただいまのようなお考えで私の答弁をお聞きになりますと、非常に軟化したように仰せられますけれども、決して軟化したわけではございません。その点はここにるる申し述べることを控差えますが、現物給與の点は法制上かようにいたしてはつきりさせたいという意味だけのものでございますが、その点については給與局次長から詳細申し述べさせることにいたします。     〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕
  235. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 法文を改正しておりますが、現行の法文はきわめてあいまいになつておりまして、端的に言いますたらば、何が何だかわからないというような誤解のある法文になつておりますので、また一方国設宿舎に関する法律がすでに公布、施行されておりますので、これらの調整もあわせて考えまして、むしろ條文の合理化をはかつたという考え方でございます。従いまして、従前の法律と比較いたしまして、実質的には大してかわりがないと考えておるのでありまして、従前の法律におきましても、法律をもつて別に定めるという前提のもと給與の一部として、しかも原則として給與から控除する、差引きするということのみをむしろ本文において前提として書いてあるのでありますが、これまた矛盾がありますので、これを調整するというような語呂にかえた次第でありまして、要は現物給與に関する新たな法律が制定されるときの一種の看板的な規定でございまして、実質的には従前とかわらないであろうというふうに考えております。
  236. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、従来予算上または法令の規定に基いて支給された現物給與、具体的に申しますと、警察官の服装なんかは今後といえども別の法律給與の一部とはみなさない、こういう方針をおとりになるれつもりですか。
  237. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 観念的には給與の一部とみなすという観念になると存じます。ただ従来の法律といい、予算といい、きわめて條文があまいであります。あの当時におきましても、実質的な考え方としましては、別に法律を定めるときに合理化するという意味合いで、当時はきわめて内容自体があいまいでありましたために、但書が入つてつたというようないきさつになつておりますので、実質的にはまつたく従前と同様というふうに考えております。
  238. 成田知巳

    ○成田委員 どうもわからないのですが、観念的には給與の一部とみなすというのは、実際上も一部とみなすというお考えでしようか。
  239. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 結局現物給與に関する法律ができませんと、観念的な規定になつておりますので、現行も今回の改正案も同様に具体的にはわからないことになろうかと思いますが、一にかかりまして、現物給與に関する法律の制定されますときの問題であろうかと考えております。
  240. 成田知巳

    ○成田委員 先ほども国鉄公社の例をひつぱつて言われたのですが、国鉄公社におきましても、予算上認められた給與と申しますか、現物支給、たとえば服装何かはこれは給與の中に入れてないわけであります。そういたしますと、まだ法律が出ていたいから観念的だという御答弁になつたと言われますが、そういう趣旨から行きますならば、予算上または法令の規定に基いて当然支給される現物給與というもの給與と見なさない、こう将来の法律でおきめになる御方針だと解釈してよろしゆうございますか。
  241. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 その点はただいまの法律の解釈の問題に実は行こうかと思うのであります。ただいま御指摘になりました法律の但書、なかんずく予算に認められている云々、これ自身が法律解釈としましてきわめて疑問のある條項でございまして、成田委員のおつしやいましたものと必ずしも一致するかどうかという点については、後の法律をつくりますときに若干問題が残る場合もあり得るのではなかろうかというふうに考えます。
  242. 成田知巳

    ○成田委員 「予算又は法令の規定に基いて支給される場合は、この限りでない。」というのは、何ら疑問の余地はないと思うのですが、どこに疑問があるのですか、疑問の余地があるとすれば、その疑問の点を御指摘願いたいと思います。
  243. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 どうもこの問題は率直に申し上げまして、大体御指摘になりました警察官であるとか、警務官であるとかいうものは現在でも勅令によつて定められておりますので、これは比較的明確にわかるのでありますが、たとえば守衞であるとか、小使であるとか、掃除夫であるとか、いろいろなものが山ほどたくさんあります。問題は、われわれといたしまして現物給與の実態をまだ把握いたしておりませんので、その実態を把握いたしました上において、被服に対してきわめて合理的な給與制度をつくりたいということがほんとうの意図でございます。
  244. 成田知巳

    ○成田委員 そういたしますと、法令で認められました警察官だとはその他の現物給與、これは当然将来單行法をおつくりになるときでも、現物給與として給與の一部には入れない、こう解釈してよろしゆうございますか。
  245. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 大体においてそういうことになろうかと思います。
  246. 成田知巳

    ○成田委員 その問題は大体においてこの程度にいたしておきます。  次に二十三條だつたと思いますが、政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律云々、「一般職種別賃金の適用を受ける職員には、この法律の規定にかかわらず、同法に基いて給與を支給する。」こういう規定が定められているのでありますが、これは進駐軍関係の労務者なんかはこれに該当すると思うのであります。一般公務員給與支拂いじやなしに、その特殊性に応じて今まで支拂つてつたと思うのでありますが、なぜこれを削除されたのか、その理由を、お伺いいたします。
  247. 菅野義丸

    菅野政府委員 この二十三條の規定は進駐軍方面の問題ではないのでございます。特別職でございまして、この法律の適用外でございます。それからこれは全部削除いたしましたのは、これによるものが、一般職といたしましてはほとんどございませんので、必要がないということで削除をいたしました。
  248. 成田知巳

    ○成田委員 進駐軍関係ではないですか。
  249. 菅野義丸

    菅野政府委員 ただいま私全然ないと申し上げましたが、進駐軍関係でも公共事業の関係ものはございます。ございますが、この政府に対する不正手段による支拂い請求の防止等に関する法律によりまして実際支拂つておるのでございますが、この法律によりまして、現在の実態はどうかと申しますると、労働大臣の職種別賃金の告示というものはなかなか実情と合わないのでございまして、実際におきましては、各地方における職種別賃金によつておるわけでございます。従いまして、そういうのは一切この二十二條の二項に入れまして、常勤の職員給與等の変更を考慮して、予算範囲内で給與を支給するというようにいたしまして、これでカバーして行くという方が、むしろ法律の運用面から行くと実情に適することになりますので、そういうふうに改正いたしたのでございます。
  250. 成田知巳

    ○成田委員 ちよつと今の御答弁はわかりかねるのですが、二十二條でございますか。
  251. 菅野義丸

    菅野政府委員 さようでございます。
  252. 成田知巳

    ○成田委員 非常勤職員給與ですが、それと権衡を保ちながらおやりになるというのですか。
  253. 菅野義丸

    菅野政府委員 この二十三條の適用を受ける者が非常勤職員になつておりますので、それに二項に新しく改正を加えまして、二項を挿入いたしまして法律上の根拠をこれに與えたりであります。
  254. 成田知巳

    ○成田委員 二十三條の適用を受けますこの進駐軍関係の公共事業雇用労務者は非常勤だという御答弁でありますが、非常勤でないものが相当あると思うのです。そういたしますと、非常勤であるかといつて二十二條の適用を受けさすというのはむりじやないかと思うのですが、いかがですか。
  255. 増子正宏

    ○増子説明員 ただいまの御質問に対してお答えいいします。旧法の二十三條に引用いたしておりますこの法律第百七十一号につきましては、いわゆる進駐軍労務者とそれから公共事業に雇用される者、この二つについて適用される法律でございますが、二十三條で引用しました実際的効果といたしましては、ただいまの二つの範疇のうち進駐軍労務者は特別職でございますので、一般職給與に関する法律の外にあるわけであります。従いまして、残りました公共事業に雇われる職員の分についてこの二十三條が意味を持つているわけであります。しかしながらこれは人事院から御説明申し上げるのがあるいは適当かと思いますが、公共事業に雇われる職員国家公務員として一般職に入つております。一般職に入つておりますその国家公務員たる公共事業等の職員に、この法律百七十一号の適用を受けさすのは不適当ではないかということで、人事院といたしましても改正意見を出されたのでございます。その改正意見政府といたしましても検討いたしました結果、この改正案におきましては、第二十二條の二項のところに入れまして、一般的な法的根拠をここで規定いたしました。その結果現在の二十三條が不要であるということで削除いたしたわけであります。
  256. 成田知巳

    ○成田委員 この二十三條の一般職というのは、一般職種別賃金というのと混同されているのじやないですか。進駐軍労務者は特別職でありますが、一般職種別賃金の適用を受けているのであります。特別職であるから一般職関係のこの法律の適用を受けさすのは不適当だと言われるのは、一般職種別賃金というものの解釈を間違えているのじやないかと思いますが、どうですか。
  257. 増子正宏

    ○増子説明員 そういう誤解は私ども絶対にいたしておりません。この法律一般職給與に関する法律として規定する必要のあるのは、現実には公共事業の職員についてでございます。二十三條はその限りにおいてここに取入れられたのであると思います。特別職であるものにつきましは、もちろんその特別職の給與に関する法律によつて支給されるわけでございますから、ここで特に二十三條が必要であるゆえは、公共事業等に雇われる職員についてであるということを申し上げたわけでございます。
  258. 成田知巳

    ○成田委員 私の御質問いたした趣旨は、進駐軍労務者は一般職種別賃金の適用を受けているために相当保護しておる。これがさらに発展しますと、最低賃金制度の問題にまで行くのです。一般職種別賃金の適用を受ける職員には同法の規定に基いて支給する、この規定をなくしてしまいまして、一般の適用を、進駐軍労務者についても非常勤として受けさすということになりますと、問題が起きるのではないかと思います。
  259. 菅野義丸

    菅野政府委員 そういう御心配は全然ないのでございまして、この法律は進駐軍労務者には適用がないのでございます。
  260. 成田知巳

    ○成田委員 そうすると、一般職種別賃金の……。
  261. 菅野義丸

    菅野政府委員 これはまつたく別問題でありまして、二十三條に書いてある條文は、進駐軍労務者には適用がないのであります。なぜかならば、一般職給與に関する法律でありますから、特別職たる進駐軍労務者には適用がないのであります。
  262. 成田知巳

    ○成田委員 今後とも進駐軍労務者については一般職種別賃金の適用を受ける、こう考えてよろしいわけですね。
  263. 菅野義丸

    菅野政府委員 さようでございます。
  264. 成田知巳

    ○成田委員 そうすると、この二十三條が廃止されますと、一般職種別賃金の適用を受けるということになりますと、別個の法律が必要だと思いますが、その法律関係はどうなつておりますか。
  265. 菅野義丸

    菅野政府委員 繰返して申し上げますように、進駐軍労務者は特別職でございますので、現在の特別職の給與に関する法律の附則に書いてあるのでございまして、ここではずしたからどうということは全然影響がないのでございます。
  266. 成田知巳

    ○成田委員 これは政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律というものがなくなりまして、この関係からフリーべーリング・ウエージの問題が起きているのですが、その関係はどうなつておりますか。
  267. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは法律で第百七十一号がなくなりましたために、附則におきましてこの点の條文だけは残つておるはずでございます。
  268. 成田知巳

    ○成田委員 それからこの給與法の問題に関連しまして、淺井さんに承りたいのですが、どうも国家公務員法に基く人事院勧告というもの政府に無視されがちで、腰だめ式な給與法というものがいつも制定されているという感じを受けるのですが、給與の問題におきましてもそういう腰だめ式の規定が行われておりますが、給與の面でなしに、将来恩給制度あるいは公務員の公務災害による補償の問題、これは国家公務員法でも人事院がすみやかにこういうものを立案しなければいけないということを規定されておるのですが、給與の面で非常に大きな取扱いを受けており、一方公務員の恩給制度あるいは公務災害補償などについても何ら成案を得ていない。従来のままのやり方でやられているのですが、恩給制度の改正あるいは公務災害によるところの補償の問題、これに対して人事院は最近何らかの立法手段をおとりになる御意思があるかどうか。
  269. 浅井清

    浅井政府委員 その意思は十分ございます。災害補償法につきましてはすでに成案を得でおりますが、この国会には会期の関係提出いたしませんが、次の通常国会には出すつもりでかかつております。恩給制度につきましては、ここ数日中に御報告申し上げるようなことが起るだろうと思つております。
  270. 成田知巳

    ○成田委員 公務傷病に対する補償制度は通常国会に法案としてお出しになる、恩給制度については数日中に報告するような事態が起きるというのは、大体どういうことでございましようか。
  271. 浅井清

    浅井政府委員 恩給制度につきましては、国家公務員法の規定に基きまして、人事院としても怠らずに研究を進めて参つた次第でございます。この点に関しましては、特に司令部においても非常に好意を示されまして、特にアメリカの国会專属のアクチユアリーを短期間ではありまするけれども、日本の恩給制度の調査及び助言のために派遣してもらうことができました。そこで鋭意研究を進めまして、おそらく来月の十日までにはおよそその基本線とも言うべきもの提出できるのじやないか、こういうふうに考えております。
  272. 成田知巳

    ○成田委員 基本の線を提出されるというのは、人事院としてアメリカの勧告と申しますか、サゼスチヨンに基いて人事院として恩給法の基本的な構想を発表なさる、こういう意味に解釈してよろしゆうございますか。
  273. 藤枝泉介

    ○藤枝委員長代理 ちよつと速記をとめて。     〔速記中止〕
  274. 藤枝泉介

    ○藤枝委員長代理 速記を始めて。
  275. 成田知巳

    ○成田委員 そうすると、数日中にGHQの方から通知がありました場合に、従来とても御連絡の内容は相当御存じらしいのでありますから、それに基いて成案をお進めになつていると思うのでありますが、大体国会に恩給制度の改革について勧告なさるのはいつごろのお見通しでございますか。
  276. 浅井清

    浅井政府委員 その点はしかとわからないのでございますが。     〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕 そのアメリカ側の勧告に基いて初めて仕事をしているわけでは決してないのであります。従来からずつと継給して来ましたいわば仕上げがそこのところになつているのでありますが、なおこれは社会保障制度審議会の答申等の関係で大分重要な問題もあるようでありまして、いつ法案の形で提出されまするか。人事院といたしましては、あの国家公務員法の成果の提出ということは勧告考えるのでありますが、国会及び内閣に対して勧告する、こういう形になるかと思つておりますが、その時期はまだちよつと明確にここで申し上げることはできません。
  277. 成田知巳

    ○成田委員 大体のところは通常国会ぐらいには御勧告なさるお見通しでございますか。
  278. 浅井清

    浅井政府委員 なるべく早くやりたいとは思つておりますが、これは新旧制度の根本的な移りかわりの一つでありますから、もう少しいろいろ研究をさせていただきたい、こういうふうに思います。
  279. 成田知巳

    ○成田委員 よろしゆうございます。
  280. 田中伊三次

    田中委員長 では次に今野君。
  281. 今野武雄

    今野委員 先ほどもこの問題に移る前にまず最初にこういうことをお伺いしたのです。さつき年末手当の問題は事務上の点で何か遅れているということですが、あれだけでは納得できないのです。それはどういうふうにして遅れているか、もつと詳細に言つてもらいたい。まるで子供の使いに対する答えみたいであります。どうして遅れているか、大分長い間懸案になつておりますが……。
  282. 菅野義丸

    菅野政府委員 もちろんこの法律案につきましては、政府の手は離れて、関係方面と今折衝中でありますが、その許可がまだないということであります。
  283. 今野武雄

    今野委員 まだないとすれば、三日くらいにはというお話つたのですけれども、それもあぶないということですか。
  284. 菅野義丸

    菅野政府委員 先方でいろいろ打合せをしておりますので、その様子から見まして、一両日中には間違いなく来るという信念をもつてつております。
  285. 今野武雄

    今野委員 その点はそれくらいにしまして、まず給與ベース・アツプの点でありますが、さきに大蔵大臣が財政演説の中で、何か今度の予算には朝鮮事変の影響を十分に取入れたというふうに言つております。ところが人事院勧告があつたのは八月の六日でありますし、その勧告根本になつたのは、四、五月ごろの資料によるものだと思います。そうすると、そこには朝鮮事変の影響はないわけです。その後起つた朝鮮事変の影響というものを、この中にどういうふうに取入れてやるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
  286. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほど御説明申し上げました通り政府人事院勧告数字をそのままとつておりますので、この俸給表に関する限りにおきましては、朝鮮事変の影響は入れてございません。
  287. 今野武雄

    今野委員 その後に起つたいろいろな特需景気といいますか、それによる物価の値上り、あるいは輸送が非常に困難になつた来たために、たとえば東京や大阪では米がほとんど来ない。パン券が盛んに出ているわけです。そのために勤労者の家庭では非常に金がかかつている。毎日の食事にも金がよけいかかつているというような事情も出ている。また電気料金も今度は大分値上りになつている実情です。それから米も値上りになつている。こういうような事情はすべて考えていない、こういうふうに考えてよろしいわけですか。
  288. 菅野義丸

    菅野政府委員 そういうような事情を考えてこの案をつくつてはおりませんが、この案でもつてそういう点は全部カバーできるというように考えております。
  289. 今野武雄

    今野委員 カバーでき得るとすれば、そのカバーできる根拠をはつきり示してもらいたいと思います。さつき松澤さんからもそういう話がありましたが、どうもその点納得できないのです。特に勤務地手当など、生産地と消費地との連絡が悪いために、現実には非常に差が大きくなつているようです。これは貨車のやり繰りなどを見てもよくわかるのです。そういう点から見て、今あれを五%下げるというのは、まつたくそういう影響を考えない。むしろ逆行だ、そういうふうに考えざるを得ないわけです。その点詳細にひとつ資料を出して納得させていただかないと、こういうことをやつたからよくなるという保証は一つもないわけで、その点ひとつお願いしたいと思います。
  290. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、俸給表のことについてでございまして、勤務地手当につきましては、確かにおつしやる通り、その後の物価差というものは、必ずしも影響ないということは言えないと思います。ただ勤務地手当地域差の問題につきましては、根本的に今人事院で研究しておられまして、近く勧告があるということを聞いておりますので、そのときまでの暫定措置といたしまして、一応最近の数字をとつて、現行のパーセントをかえただけでございます。
  291. 今野武雄

    今野委員 勤務地手当のことについてはまたあとにしますが、さつき申した貸料をいただけるかどうか、それを先に答えていただきたいと思います。
  292. 菅野義丸

    菅野政府委員 最近の、こちらで参考にいたしました数字的の資料は、御満足が行くかどうかわかりませんが、出すつもりでおります。
  293. 今野武雄

    今野委員 それでは資料か出てからにいたします。  次に、先ほどのお答えの中にこういうのがあつたのです。その後の特需景気とかなんとかは一時的なものでございますから、だから考えない、こういう言葉があつたのです。これはやはりお言葉通り考えていいのですか。
  294. 菅野義丸

    菅野政府委員 最近の総合物価指数等を見ますと、ずつと安定しておりまして、これがどんどんと上つて行くとか、あるいはインフレのおそれがあるということはないので、これは一時的のものである、こういうふうに考えているわけであります。
  295. 今野武雄

    今野委員 それは言葉が矛盾していると思うりです。安定しているから、だから一時的だというのは、どういうことですか。
  296. 菅野義丸

    菅野政府委員 上昇傾向よりか、むしろ横ばいのような状態になつておりますので、これを考慮に入れて、さらに将来の上昇傾向に合わせるようにする必要はない、こういう意味です。
  297. 今野武雄

    今野委員 そうすると、朝鮮事変以後の物価高の傾向というのはないとおつしやるのですか。
  298. 菅野義丸

    菅野政府委員 朝鮮事変以来の物価高はございます。ございますが、それがどんどんとしり上りに行くという傾向にございませんので、その点をこの給與案に取入れるということはしなかつた、こういうことであります。
  299. 今野武雄

    今野委員 たとい上昇傾向云々がないとしても、その上つた傾向については、安定をしたと言つているけれども、その上つた差については、これは考慮する必要があると思うのですが、その点どうなのですか。
  300. 菅野義丸

    菅野政府委員 それは確かに人事院勧告をなされた当時考慮されておらなかつたものは、同様に考慮されておりませんので、その点は、この案が当時の状況よりか実情に合わない、こういうことは言えると思います。
  301. 今野武雄

    今野委員 その点政府として、副官房長官にお答えできるかどうか知りませんが、おかしいと思うのです。一般には朝鮮事変の影響を十分に取入れた、こういうことを言つているわけです。そうして現に取入れていないわけです。どうも政府は二枚舌を使つているような気がするのですが、その点どうですか。
  302. 菅野義丸

    菅野政府委員 この給與法に関する限りのことを私は申し上げたのでありまして、そのほかの点については全然触れておりません。
  303. 今野武雄

    今野委員 そうすると、朝鮮事変のために、いろいろ日本としても金がかかる。それで国民の支出負担はどんどん大きくなる。物価高その他で負担が大きくなる。けれども勤労者のことはかまわぬ、こういうふうに考えてよいのですか。
  304. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府人事院勧告を取入れまして、この給與改正をいたすことを決心した要素の中には、十分そういうことは考慮に入れてあると思います。
  305. 今野武雄

    今野委員 その点はそのくらいにいたしまして、次に移りたいと思うのですが、先ほどからのベースの問題について、大分議論があつたと思うのです。淺井人事院総裁自身、ベース考え方は違つて来た、こういうことを言つている。これは非常に大きなごまかしではないかと思うのです。さつき成田君からも盛んに質問があつたのでありますが、現に昨年の行政整理がありましたそのあとで、国鉄の労働者の賃金などを比べてみると、非常に違いがあるのです。整理前は平均が六千五百円、それから整理直後は七千円というふうにずつと違つているのです。ということは、安い者を切つたために、それだけ上つている。そうすると、それがベース・アツプになつたのだという考え方ですね。それからその後やはり定時昇給によつて若干昇給している。あるいはまた子供が生れたり何かして、家族手当がふえている。こういう給與をみんな平均してしまつて、やはりアツプしている、こう言つたら、こういう数字はまつたく勤労者の生活には関係がないと思うのです。勤労者はたとえば子供がふえたら、四百円くらいもらつたつて、ミルク代にもならない。だからこれはかえつて生活が困難するわけです。だから上つていて、今七千円くらいだと言うけれども、生活の困難という点からいえば、ずつとひどくなつている。それを政府はごまかして、今七千円くらいになつている、それで今度千円くらい上げるのだから、それで人事院勧告に近いものになつて来る、こういうようなことを言うのは、ずいぶんおかしいと思うのです。その点人事院はそれでよろしいのかどうか。はたしてこれでもつて公務員の生活を擁護していると言えるかどうか。もう一ぺん納得の行くお答えをしてもらいたいと思います。
  306. 浅井清

    浅井政府委員 要するに問題は、ベースということにあまりこだわり過ぎるのではないかと私は思うのであります。人事院といたしましては、ベースというのは結果であつて、例の勧告におきましても、むしろきわめて軽く取扱つている。勧告の最後に、以上のような改正を行えば、大体のベースはこのへんになるだろうということだけでございますから、人事院といたしましては、この俸給表の実現を期しておる、こういうことなんでございます。つまりベースというのは、お示しのように総平均でございますから、これは今おつしやつたようないろいろな事情で高くもなり、低くもなる、こういうことであろうと思つております。
  307. 今野武雄

    今野委員 私は別にベースにこだわつているわけではないのです。むしろ公務員の生活ということが問題なんです。そうすると、人事院俸給表にこだわつて公務員の生活はどうでもいい、こういうふうに聞えるわけですか、その点はどうなんですか。たとえば子供一人ふえれば、それだけで四百円ふえる。それで公務員全体の子供がどのくらいふえているかわかりませんが、それだけでも上つているわけです。そうすると、上つたというようなことになるけれども、それでもやはり生活の方はそのためにかえつて苦しくなつているのだということなんです。
  308. 浅井清

    浅井政府委員 でありますからして、人事院勧告では、いわゆる一人の生計費ということを基本として問題を進めて、それが出発点になつておるのだろうと思つております。一人の生計費は、今お示しのようないろいろなデータでかわつて行くものだから、それでいいと私は考えております。
  309. 今野武雄

    今野委員 そうすると、人事院が一人の生計費でやつて行くということになりますと、六千三百円ベース、これが実行された当初よりも、悪い生活を基準にするということを考えておられるわけですな。
  310. 浅井清

    浅井政府委員 それは少しく違つていやしないかと思います。そういうことは私ども夢にも思つていないのであります。むしろ反対に、六千三百七円のときよりも、ただいまめ方が、成年男子一人の生計費を高く考えておるということでございます。ことに成年男子一人の生計費の基礎になつておりますカロリー計算というものは、六千三百七円のときよりも上まわつてつてあるのでございますから、そういうことにはなるまいと思つております。
  311. 今野武雄

    今野委員 上まわつて来るということでありますか、それではもう一ぺんお伺いしたいのですが、わかつたようでもありますけれども、念のために最後にお伺いしたい。大体六千九百七十三円くらいになつておる、こういうのですが、しかしたとえば今一人の新規採用をするとすれば、やはり六千三百七円ベースのときの新規採用と同じ俸給でとるわけですね。
  312. 浅井清

    浅井政府委員 その通りであります。
  313. 今野武雄

    今野委員 そうすると、今まで、ずつと長い間給與が問題になつていた。そのときの言葉の慣例からいえば、つまり六千三百七円ベースに今度平均千円を加えたということになるわけですね。それはこの要綱にこう書いてあるのです。昭和二十六年一月以降における一般職職員平均給與月額を千円引上げておおむね八千円とすると書いてあるのです。これが世間では、何か今の状態が大体七千円ベースだ、それに千円引上げたから大体八千円ベースくらいになるのだ、というふうに伝えられておるわけです。それでお伺いしたい点は、今まで七千円ということを盛んに強調されるけれども、しかしこれは六千三百七円ベースというものは少くともかわつていない。そしてその上に平均千円くらいふやすのだ、こういうことになるわけだと思うのですけれども……。
  314. 浅井清

    浅井政府委員 政府の要綱に関して私から説明するのは、ちよつとおかしいのでございます。ですからその点は副長官から答えていただくことにいたしたいと思います。それに対して人事院見解をお求めでございますれば、申し述べます。
  315. 菅野義丸

    菅野政府委員 ベースという言葉は、非常にいろいろな意味に解釈されて誤解を招きますので、今度はベースという言葉を全然使わないで、一人当りの平均給が七千円近くになつておりますので、それに千円を加えて平均給を八千円とする、こういうふうに書いたつもりであります。
  316. 今野武雄

    今野委員 そうすると、もし引上げを片われる前の建前から継続していえば、私の言つたように、今までは六千三百七円ベースであつた。それに対して今度はそういう建前をやめて、そして平均千円これに上げることにした、こういうふうになるわけだと思うのですけれども、どうですか。
  317. 菅野義丸

    菅野政府委員 六千三百七円というものを、そういうふうにベースとしてお考えになれば、まさにそうでございますが、しかしそうだからといつて、それに千円増して七千三百七円にしたという意味ではないと思います。六千三百七円というのは、やはり平均給でございまして、ただそれの平均給にするような俸給表が六千三百七円ベースというふうに言われていると、私は解釈しております。従いまして六千三百七円のときの六千三百七円という数字、あるいは今度の八千円という数字は、いつでも平均給でございます。ただ俸給表が違うということは言われますけれども平均給以外の点において、そういう数字を使つていることはないと思います。
  318. 今野武雄

    今野委員 それから今度の人事院勧告には、たしか超過勤務手当とか、寒冷地手当とか、石炭手当というものが含まれていないと思うのですけれども、今度のにはやはり含まれてないわけですか。
  319. 菅野義丸

    菅野政府委員 それはどこに含まれていないというのですか。
  320. 今野武雄

    今野委員 つまり平均千円上げるとか言つていますね。そういう中に……。
  321. 菅野義丸

    菅野政府委員 いわゆる平均給の中には、本給、それから勤務地手当、扶養手当、特別勤務手当、その四つしか入つていないのでございます。しかしこの法律はその他のこともきめてございますので、第一條でいろいろ手当が書いてございますが、いわゆる平均給の中には入つておりません。
  322. 今野武雄

    今野委員 私さつきの点もう一ぺん伺いたいのですが、今まで六千三百七円ベース俸給表によつてつていた人たちが、大体平均千円上るわけですね。それで先ほど触れられたわけでありますが、私どもも勘定してみましたら、大体最低と、最高とはいわなくても大体局長級との給料の差、倍率、これは今までは大体七倍くらい、それから人事院勧告では七・二八倍ぐらいになつておる。それから政府案では八・三三倍というふうにえらく大きくなつているのですが、こういう点については、政府は何か矛盾をお感じにならなかつたか、聞きたい。
  323. 菅野義丸

    菅野政府委員 その上下の差の点につきましては、御説の通り八・三三倍になつております。それからいわゆる人事院勧告に比べると、中等から上の方が多少上まわつておりますし、下の方は多少下まわつておりますが、これはそういう点のよしあしというよりか、むしろ人事院勧告数字を使い、それから資料数字を使いまして、同じ方法でやつた結果がそういうことになつたのでありまして、ただ違うところは、基準にとつた号数が違うのと、最高のところの民間給與数字資料に合せたということで、その結果八・三三倍になつたのであります。
  324. 今野武雄

    今野委員 人事院勧告政府案を比べてみましたところ、大体係長級くらいで一致しているのです。それからあとは片方がずつと高く、片方は低くなつておる。そこで人数を大体比べてみると、これは六月一日の実態調査があるわけですけれども、これによると六級以下の人たちが全公務員の七七%を占めておる。八割近くがそういう六級以下の人です。そういう八割以上の人たちを犠牲にして、上の方の少数の人を上げたという結果になるわけです。そのことについては訂正する必要があると思うのです。政府はただ数字を操作したにすぎない。問題は数字ではなくてやはり生活だと思う。そこでこの大多数を占める六級以下の人たちの生活が、上の人の生活よりも苦しくないというのかどうか、その点政府のはつきりした答えを聞きたいと思う。
  325. 菅野義丸

    菅野政府委員 先はどから申し上げました通りに、基準になる三千三百四十円――政府では五十円と言つておりますが、これは国民の基準になる平均の生活費でございます。それは人事院勧告通りでございます。それをとつておりまして、人事院と同じ方法でやつておるのでございますから、特に下を薄くするというような恣意的なものではないというふうに考えております。
  326. 今野武雄

    今野委員 しかし実際から言えば、下が薄く上が厚いということに、数字の上でどうあろうと、結果においてなつているわけです。それを一体どうするのか。政府はそういう数字の上で言うばかりでなく、もつと国民の生活を考える政治がなければならないと思うが、その点は一体どうなのですか。
  327. 菅野義丸

    菅野政府委員 人事院勧告との違いができましたのは、先ほどから申し上げました通り、三千三百四十円を二級一号に置くか、二級四号に置くかという点でこう違いが出て来るのであつて、問題はそこにあると思いますが、私ども考えは、先ほど申し上げました通り、二級の平均の年齢が十八歳であるから、その平均のところに置くのがいい、こう考えておりますが、人事院では平均年齢が十八歳だから二級の一番初めの一号のところに基準を置くのがいい、こういうふうな見解勧告を出されたのでありますが、その点でかわつているのでおりますから、問題は二級の一号がいいか四号がいいかという点に帰するのではないかと思います。
  328. 浅井清

    浅井政府委員 ちよつと私から関連して御答弁をさせていただきたいと思います。ただいま政府の方では人事院数字によつたというお言葉でありまして、私たいへん嬉しく感ずるのでありまするが、人事院が三千三百四十円を二級の一号に置きましたのに、政府はこれを真中のところへ遣いておられる。これは人事院といたしましては、下の者をなるべく厚くするというので二級の一番先に置いておるわけなのであります。もし政府がそこのところを真中のところへお合せになるならば、一番馬いところも真中のところへお合せになつてしかるべし。しかるところ高い方では人事院の一番高いところへお合せになつておる。そこのところがこのカーブが違つて出て来る点で、先ほど申し上げました人事院の不満の存するところ、こういうふうに考えております。
  329. 今野武雄

    今野委員 ただいまの人事院総裁の答弁で大分問題がはつきりして来ると思います。政府はなぜ十八歳という一番小さい、生活的にもあまり責任のない、人数から言つても大して多くない、そういうところに基準を置かれるのか。今までベースとかなんとかいう場合に、基準に置いておいたのは一体どのくらいのところを基準に置いたのですか、これを淺井さんから伺いたい。
  330. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 六千三百七円ベースのときの当初の人事院勧告は、同じようにマーケツト・バスケツトによつて計算した二千四百七十円という全額であつたのでありますが、これは四級一号と置いてございました。それを国会修正の結果一級二号というふうに修正されまして、四級一号二千四百七十円が一級二号に持つて行かれまして、これが決定版ということになつたのであります。その後七八ベース、今回のベースといろいろ検討いたしました結果、二級一号に持つて行くことが適当であろうという結論になつたわけであります。
  331. 今野武雄

    今野委員 その点で政府はなぜその低いところへ基準を持つてつたか、その理由をはつきり示していただきたい。これは操作を真中のところへ持つて行けばどうなる、また淺井さんのおつしやつたように、上の方へ持つて行けば俸給表はどうなる、こういう数字は幾らでも製造できるわけすで。人事院の趣旨に沿いながら、その観点においては幾らでもできるわけなのです。それをなぜ一番下のところだけをとつたか。
  332. 菅野義丸

    菅野政府委員 御承知通り三千三百四十円という数字は、年齢十八歳の独立の生計を憎む独身の男子の生計費でございますので、それがちようど当るところに置くべきがほんとうであると思うのであります。ところが二級の一号から七号の俸給を受けておる人たちの全体の平均年齢が十八歳でございまして、その中には十六歳から十九歳までの人たちが入つておるのであります。従いまして二級の一号というところに基準を置くということは、実際には十八歳に満たない人のところに十八歳の生計費を置くということになりますので、政府はその中かげんの七号のうちのちようど真中の四号というところに置いた、こういうことであります。
  333. 今野武雄

    今野委員 そうすると、たとえば公務員として一番当通なのはどうなのかということがいろいろ問題ですが、生活的にもいろいろ問題だというのは、前に聞いておるところでは、大体中学校を卒業して年齢が満二十七、八歳、そして家族が一、二名というようなところだというふうにも聞いておりますし、そういうような人たちの生活というものはまつたく考慮してないということに、結果においてなることになると思いますが、その点どうですか。これは家族手当とかいろいろなものほんとう実情に即したものならそれはいいですよ。しかしさつき言つたように、子供が一人ふえたつて、ミルク代にもならない四百円しかもらえぬという実情では、やはり実際問題として家族手当というようなものではなかなかこの問題は済むものではない。そこで基準の置き方ということは実に重大問題になると思う。これを出れさるには、やはりそこの基準の置き方がこうでなければならないという理由がはつきりしなければならないと思う。なぜもつと上の方に基準を置かないか、これをもう少しはつきりさせてもらいたいと思う。
  334. 菅野義丸

    菅野政府委員 上の方に置けば置くほど下は薄くなるのでございまして、そのちようど中かげんに置いたということが、平均年齢十八歳という條件を満足するゆえんではないか、こういうふうに考えております。
  335. 今野武雄

    今野委員 どうもその点については、もう少し資料も出していただきたいとは思うのですけれども、いろいろな計算があるそうですが、要するに問題は一般公務員の生活が問題であつて数字をどう合せたか、合せないかが問題じやないと私は思う。そういう見地に政府が立つておられるかどうかということが問題だと思う。数字の操作というのは、そのための技術的な問題にすぎない。この結果を見ますと、まさに人事院勧告の方が、その生のままの方がはるかにいいようにわれわれには感じられる。そうしてみると、この結果から見れば、これは少しでも予算を減らすということのために、こういう操作をやつた。結果においてはそうしか見えぬわけです。その点はそうじやないのだ、人事院勧告の線にあくまで沿いながらやつたのだという点を明らかにする、そうして公務員の生活を確保しようという考えならば、人事院勧告そのままをとつた方がわれわれとしてはいいじやないか、こういうふうに考えられる。政府ははたして公務員の生活というようなことを基準にして数字の操作を行つたかどうか、その辺をもう一ぺんお聞きしたいと思います。
  336. 菅野義丸

    菅野政府委員 問題はたまたま人事院勧告の線に比べて低いという結果になりましたので、いろいろ議論があるのでございますが、現在の給額に比べれば、もちろん上つております。それで人事院俸給表のつくり方というものは、政府も全面的に賛成し、尊重しているのでありまして、ただ基準になるところが十六歳から十九歳までの、その一番初めに置くのがいいか。その平均年齢が十八歳であるから、その十八歳の平均のところに置くのがいいかということによつて、こういう結果になつて来たのでありまして、その方法でもつて私たちは公務員の生活も確保されるというふうに人事院とともに考えておるわけであります。
  337. 今野武雄

    今野委員 政府はそういうふうに考えているのたら、それはしかたがない。次に今度の法律改正でもつて昇給制度が法律化されたわけでありまするが、私、このごろ政府のやり方を見ていると、今度の電力の問題もポ政令をもつて出す。それからこの前の警察予備隊というような重要問題、あるいはその財源措置というようなことについてまでポ政令をもつて出す。こういうようにポ政令を盛んに使つている。なぜこの問題だけ政令を法律に直すのか、これは大いに国会を尊重し、憲法を尊重するというかもしれないが、今の政府の行き方から見れば納得ができぬわけです、なぜ政令を濫用しておる政府が、ここのところだけ法律にしようとしているのか、それをもう少しお伺いしたい。
  338. 菅野義丸

    菅野政府委員 昇給の基本的なことは、これは給與の実際の改善に非常に大きな影響がございますので、これは当然法律事項であるというふうに考えまして、従来の政令四百一号の重要な事項だけここに盛つたのでございますが、これはポ政令とは全然関係のないものであります。
  339. 浅井清

    浅井政府委員 私、きようの政府の言を裏書するわけではありませんけれども、これまでこれが法律にならなかつたのがふしぎなほどでございますから、これは当然のことのように思つております。決してお疑いにならないようにお願いいたしておきます。
  340. 今野武雄

    今野委員 別に大したことはないと思うのですけれども、ただ私が思うのは、今まで官公庁に勤めておる人も労働組合をつくつてつているわけです。そうして政府といろいろ折衝したり何かして、そうして終戰後はインフレでもつて落ちて行く生活を少しでも維持するために闘つて来たわけです。ところがこういうふうに法律できめて、そうしてその責任を国会に押しつけて来る。そうすると、この官公庁の職員諸君は、組合運動や何かやつても、一体どこへ何を言つていいのかわからない。政府ではこれは法律できまつているのだからしかたがない。国会にその責任を問うて来る。ところが国会では事務上の関係だとか、何だとかいつて、そうして給與法つて、きのう出して来たばかりである。二月間の審議でもつてこれをあげなきやならぬといつて追い込んでいる。こういうような状態では、とてもこの重大な給與の問題を国会でも扱うことはできぬと思うのです。それであるのに、こういう国会に押しつけるというところに私は疑いを持つている。だからこの点について、たとえばさつき年末手当の問題でもありましたけれども国会に対してもつと責任を持つた行動を政府はできるかどうか。これは聞くのがおかしいかもしれませんけれども、もつと責任をもつた行動をしてもらいたいというその点で、今までの行動は責任を持つた行動と言えるかどうか、私は疑わしいと思うのです。その点についての所見をお聞きしたいと思う。
  341. 菅野義丸

    菅野政府委員 御心配の点は、これを法律化することによつて決して起らないと思います。法律に書きましたことは、政府の自由にできないような重要な事項だけでありまして、しかも政令四百一号よりか非常に幅のある、むしろ対組合等の交渉等におきましては、非常に組合の方に有利なような條文になつておるのでありまして、その点はちつとも心配がないのじやないかというふうに考えております。
  342. 今野武雄

    今野委員 そこで昇給についてでありまするが、今昇給は政令四百一号によつてつている。それは四百一号の規定通り昇給が行われているかどうか、その点を伺いたいと思います。今までですね。
  343. 菅野義丸

    菅野政府委員 もちろんこれは予算とも関係がございますので、必ずしもその年限が来たら例外なくというようなことはできないかもしれませんが、おおむねあの政令によつて昇給をやつております。
  344. 今野武雄

    今野委員 その点については、実はここで資料がほしいのです。こういうことを法律化するのに何も資料がないわけです。そのことについて法律化されても、実際に行われない法律なら、これは役に立たないわけです。それで実際の今までの実績はどうであるか、私の方でも若干はわかつておりますが、たとえば国鉄の東京のある職場で調べたところによると、昇給予算が五三%しがなかつた。それで結局半分しか昇給していないのです。もしこういうことになると、ここでこういうことを法律化して、そうして二号俸以上も上げる、それも成績によつて上げるというようなことになつたら、一体どうなるか、今までだつて何べんも昇給できなかつた人がいる。そうすると、今度こそはこれは上げるための法律化じやなくて、かえつてこれによつて昇給させられない人ができるということになるわけです。予算を與えられなければ当然そうなるわけです。この法律をきめるにあたつて、そういう万全の予算措置を政府としてはしてはしているのかどうか、その点をもつとはつきりさせてもらいたいと思う。
  345. 菅野義丸

    菅野政府委員 国鉄はこの法律の適用はないのでございますが、実例としてお話になつたのだろうと思いますが、政府の中にも、それに似たような例は、予算関係上ございますが、現在の政令四百一号によりますと、期限が来ますと、当然昇給するというのではなくて、その中の成績のいいものを上げるという建前になつております。今度の法律の條文は、原則的には、期限が来ますと、昇給するというふうな條文になつておりまして、その点も非常に職員に対しては有利になつておるわけでおります。なお政令四百一号の実施状況はもちろんのこと、今回の法律通りますれば、この実施につきましては、全面的に人事院が責任をもつて監視することになつておりますので、不公平とか、そういうふうなことは政府は決して自由にならないわけであります。
  346. 今野武雄

    今野委員 それではその点についてはやはり人事院も監視するでありましようが、政府並びに人事院で――人事院は監視した結果、やはり報告を寄せられたいと思うのです。そうしないと今の説明だけではちよつと納得できないわけです。それから予算措置としても、はたしてどのくらい考え、そしてどのくらいこれがはたして実施できるかどうか、実施できるだけの予算措置を実際政府考えておるかどうか。これも私どもはわからないわけですから、その点についてはつきりした書類でも何でも出していただきたいと存じます。その点どうですか、出せますか。
  347. 浅井清

    浅井政府委員 お示しの御趣旨に従つて善処いたしたいと存じます。ただ一言つけ加えたいと存じまするが、この昇給の問題は、予算できめられております級別定員というような制度と、密接の関係があるように存ずるわけであります。
  348. 今野武雄

    今野委員 政府はどうなのでしようか、これは給與に関する法律なんです。実施できなければ何にもならない法律なんです。実施できるだけの予算を二十六年度計上しておるかどうか、その点です。
  349. 菅野義丸

    菅野政府委員 もちろんこれをつくりましても、ただ予算の点でもつて非常に大きな制限を受けるというのでは意味がございませんので、二十六年度の本予算はもちろん補正予算におきましても、昇給資金というのは十分見込んでおると考えております。
  350. 今野武雄

    今野委員 そうすると、念のためにお聞きしますが、これはこの法律通り実行できる、今度の補正予算と二十六年度の予算で実行できる、こういうお答えなのですね、
  351. 菅野義丸

    菅野政府委員 そうでございます。法律に掲げてある條件は、もちろん満たさなければならないのであります。
  352. 今野武雄

    今野委員 満たさなければならないのですけれども、それは予算の上でできるのですか、できないのですか。
  353. 菅野義丸

    菅野政府委員 法律上の條件が満たされれば、できると思うのであります。できる予算を組んであるのであります。
  354. 今野武雄

    今野委員 それからもう一つ、さつき地域給の問題についてちよつと触れたのでありますが、もう一ぺんお伺いしたいのです。それはさつき成田君も盛んに聞いていたのですが、政府もさつき私の言つたことをお認めになつた。つまり朝鮮事変の影響その他によつて、ことに輸送難とかいろいろなことによつて、都会地とそれから食糧生産地との間の物価の均衡というものがずつと破れておる。そういうような際に、たとえば特地を三割から二割五分に減すというように、みんな五分だけ引いている。こういうやり方はまさに時代に逆行するようなやり方のように考えられるわけです。人事院勧告は八月の六日になされたわけなので、従つてこういうことはあまり考慮していないと思うのです。暫定的な処置というものが現実の状況に、ちようど正反対のことをやつておるように考えられるわけです。その点は一体どうなのか、政府はどういう根拠で引いたのか、もう一ぺん明らかにしてもらいたい。
  355. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほども申し上げましたように、朝鮮事変による変化は、数字がございませんので用いませんが、人事院勧告のときに用いました特別CPSによりまして計算いたしますと、特地が一一五という生計費の地域差指数になつております。甲地が一一四・九、乙地が一〇三・七、この数字を整理いたしまして、一二五、一一五、一〇五というふうにいたしたのでございます。もしこれをかりに従来通り甲地に一三〇というパーセンテージの地域給をやることになりますと、地域給を全然もらわないところとの比較が権衡がとれないのであります。従いまして二五%、一五%、五%というふうにきめたのでございます。もちろんその後の状況の変化はございますので、先ほど申し上げました通り人事院がこの点については全面的に検討いたしておりますので、その勧告を待つておるような次第であります。
  356. 今野武雄

    今野委員 そうすると、その勧告を待つておるが、暫定的には不均衡がはなはだしいから三割もふやしたのでは、これではあまり不公平になるがらそれで減した、こういうわけですね。さつきCPSのことを言われたのですが、これはいつのCPSですか。
  357. 菅野義丸

    菅野政府委員 これは人事院勧告の貸料でございまして、二十四年十一月の特別CPSでございます。
  358. 今野武雄

    今野委員 一年も前のものでもつて、そして現在こういうふうな状態になつておる際に、しかも昨日出して来たこの案にこれが盛られていない。現在の実情が盛られていない。こういうのでは、一生懸命になつて骨を折つて来たというのだけれども、一体日本の官庁というものは何をしていたかということをみな考えるだろうと思います。一年前の数字根拠にして、そしてこういう手当の割出しをやつておる。それで国会にも間に合わない――間に合つたには間に合つたけれども、ともかくもぎりぎりのところでこれを出して来た。これでは一体日本の官庁というものは何をしておるか、こういうことになると思います。それではあまりにも国民から離れ過ぎていはしまいかと思います。もつとそういうことは、わからないなら今のままにしておくというのが、普通の常識的な考え方であります。その点はどうなのですか。積極的に直すからには、もつと強い考えがあるだろうと思います。さつき言われた点だけでは、どうも納得ができない。もつとはつきりした、あざやかな理由をひとつ示していただきたいと思います。
  359. 菅野義丸

    菅野政府委員 先ほど申し上げた以外には、別に理由はございません。
  360. 今野武雄

    今野委員 言わないならしようがないです。  それではその次に超過勤務手当についてお伺いしたいのですけれども、超過勤務手当というものが、ここには入つていないわけですが、今までどういうふうに支拂われておるのでしようか、その実情をひとつ御報告願いたいと思います。
  361. 菅野義丸

    菅野政府委員 超過勤務手当は成規の勤務時間を越えて勤務を命じた場合に、その超過勤務に対して支拂う手当であることはもちろんでありますが、予算の制約を受けておりますので、原則的には予算り許す限度において超過勤務を命ずるというふうにいたしておるのでございます。しかるところ実際におきましては、上司の命のあるとないとにかかわらず、責任感から自発的に居残り等をやつて仕事をしておる者がありまして、こういう人たちに対しましては、まことにお気の毒でございますが、予算関係上、超過勤務手当を支拂えない実情があるということも、確かに承知いたしております。
  362. 今野武雄

    今野委員 ただいまお伺いすると、責任上自発的にやつておる者には拂わないというのですけれども、責任上自発的にやつているということは、非常にいいことなんで、それに対しては拂わない。しかたなくいやいややつていれば拂う、これではよくわからないと思うのです。その点はもつとはつきりさせてもらいたいと思うのです。予算関係上出ていないということはよく承知しておりますけれども、その実情を私ははつきりと知りたい。
  363. 菅野義丸

    菅野政府委員 予算の制約がございますので、超過勤務を命ずる場合は、予算範囲内でまかなえるように命令をすることにしております。
  364. 今野武雄

    今野委員 それは建前であつて実情じやないのです。ですから、支拂つておる状態が全体としてどういうふうになつておるかということを出してもらいたいのです。どのくらいの超過勤務があつて、それに対してどのくらい拂つているかということを出してもらいたい。こういうことなんです。それはどうですか。
  365. 菅野義丸

    菅野政府委員 ちよつと私その数字を持つておりませんので即答ができませんが、実際に居残つておりましても、予算関係上、そういう人たちには命令はいたしておらないというのが建前でございます。
  366. 今野武雄

    今野委員 最近、特に朝鮮事変以来、社会全体がそうでありまするが、官公庁においてもやはり勤務が非常にひどくなつて来ている。しかもこれは今言つたように自発的にとか何とかいうなまやさいものではなく、そうしなければ首があぶないというような状況のもとに、非常に強制的な超過勤務をやらせられておるところがたくさんある。しかもそれでその手当が拂われないというような話なんですが、その実情を私どもははつきりと政府からも知りたいわけです。いろいろな例は私どもつておりますけれども政府としてはどれだけキヤツチしているかということを知りたいわけです。この点はひとつぜひ出してもらいたいと思う。これは給與全体に関係するのです。それと同時に、今後超過勤務はますますはげしくなるとわれわれは考えています。国際情勢からいつても、国内の状態から考えても、ますますはげしくなるんじやないかと思います。それに対して政府はどういう用意をしておるか、そのこともお伺いいたしたい。
  367. 菅野義丸

    菅野政府委員 この法律の第二條の規定によりまして、この法律の実施につきましては人事院が麦作を持つておるわけであります。政府と言いまするよりか、人事院がむしろ独立的な立場から監視を続けておるわけであります。
  368. 浅井清

    浅井政府委員 人事院が独立の立場から見ますと、超過勤務手当については非常に遺憾な事実を申し上げなければならぬと思うのであります。つまり給與法によりますると、超過勤務をすれば超過勤務手当が支拂われなければならぬ、しかも罰則の設けがございまして、支拂うべき給與を支拂わなかつたものにも罰則の適用があるということは、この給與法に書いてあるのでございます。ところが実際超過勤務がなされていながら実は拂われていない事実は、人事院の知る限りにおいては非常に多いのでございます。これは何も最近ではなくて、大分前から多いのでございます。ところが、さて官庁について調べてみますと、帳簿の面におきましては、命じました勤務だけは超過勤務が拂われてある。そうして命ぜられないでやつておる超過勤務、つまり超過勤務ならざる超過勤務が数多く存在しているという事実を人事院は発見しておりますことは、非常に遺憾であります。場合によりましては、人事院関係大臣に勧告をいたしまして、超過勤務の支拂いを命じておるようなことさえもあるのでございます。なお御指摘の点は今後も十分注意いたしまするが、大体超過勤務というようなことはなくて済むのが本筋だろうと思つておりますが、人員の関係、職務の輻湊等でやむを得ない超泄勤務がある、こういう事実でございます。
  369. 今野武雄

    今野委員 ただいまの淺井さんの説明で大分わかりかけて来たのですけれども、これは重大問題だと思うのです。ことに超過勤務のために身体を悪くする人が相当多いということも私ども調べてわかつております。そういう点からも非常に重大問題だと思うのですが、さつき大臣に勧告した例もあるというようなお話ですが、いつころの例で、またどういう場合であつたか、もう少し具体的にお話を願いたい。
  370. 浅井清

    浅井政府委員 ちよつと今正確にわかりませんが、もしお望みでありましたならば資料をただちにお手元に出しますが、それはたしか厚生省に起りました事件で、厚生大臣に対して、昨年に起つた事件と記憶いたします。
  371. 今野武雄

    今野委員 私の知る限りでは、今人事院の管轄にありませんけれども、国鉄、それから郵政省、電通省などの現業官庁においては、特に最近ひどくなつておるということを、幾多の例で知つております。この点についてはお調べになつておるかどうか、そうしてどういう処置をしてれられるか、その点もお間かせ願いたい。
  372. 浅井清

    浅井政府委員 その点でありまするが、これは人事院といたしまして手の及ばないところが一つある。それはつまり予算上の問題でございます。つまり超過勤務手当最高額を予算で押えておるからでございます。従いまして、各官庁においては、拂いたくも拂えない実情が存在しておるのでありまして、これはむしろ国会におきまして、その予算の方を十分御考慮願うことが一番よい方法だと思つております。
  373. 今野武雄

    今野委員 予算の問題もありますけれども、その前に、先ほど淺井さんもおつしやつたように、こういう超過勤務をさせること自身が問題だ、これは私もそうだと思う。からだのことからいつても、事務能率の上からいつても、そうだと思う。それでこういう超過勤務をなぜなさなければならないかというと、先ほど人員の関係もいろいろある、こういうことを申されましたが、人事院としては、今の官庁の人員というものが非常に不足であると考えておられますか。
  374. 浅井清

    浅井政府委員 その点は、行政整理になぜ人事院が口を出さなかつたかというときのお答えがそのまま当るのでありますか、元来今の官庁で人員が余つておるか、不足しておるかということは、ほんとうに科学的にわかつておりません。それは要するに職階制というものを嚴密に適用いたしまして、一人一人の担当しておる職務というものを明確にして、それから定員を積み上げませんければ、ほんとうはわからないのでございます。私は無用の公務員は一人でも少くなることを欲するものでございますけれども、現在それが不足であるか、あるいは超過しておるかということは、人事院の所管にもなつておりませんし、私はちよつとお答え申し上げかねるのでございます。
  375. 今野武雄

    今野委員 あまり逃げられないでもいいと思うのですが、超過勤務をたくさんしておる、しかも予算外の超過勤務をたくさんしなければならない、こういう実情はお認めになつておるわけですが、そのことはすなわち結果において、人員が不足である、必要なところに人員が足りないということを意味しておるのだろうと思うのですけれども、それはどうですか。
  376. 浅井清

    浅井政府委員 そういう結論にはなりかねると思うのであります。もちろん、そういうことも一部にはございましようけれども、もし現状におきまして一切超過勤務を認めないといたしまするならば、非常に大勢の人がいるのではないか、こういうことになります。さしつかえない程度の超過勤務はあつてもよいのではないか。私は現状におきましては、むしろやつた超過勤務には正しく手当が拂われるということが筋だろうと思つております。
  377. 今野武雄

    今野委員 そうすると、今度は政府にお伺いしたいのですけれども、今淺井さんがおつしやられたような状態なわけです。これはでこぼこがずいぶんありますけれども、非常にひどいところもあります。超過勤務に対する要求もずいぶん出ておりますし、人員をふやせという要求もずいぶん出ております。これに対して政府としては、一体みんな自発的な超過勤務だというふうに片づけるつもりか、それともこれをなくすための予算措置を、今度の補正予算や、あるいは来年度予算でとつてあるかどうか、この点をお答え願いたいと思います。
  378. 菅野義丸

    菅野政府委員 超過勤務につきましては、先ほどから申し上げました通り予算の制約がございますが、その限度において超過勤務を命ずるように、従つていやしくも命じた以上は超過勤務手当は正しく支拂うように、こういうふうに指導いたしております。
  379. 今野武雄

    今野委員 そうすると淺井さん自身、まさしく支拂われておると言つているのです。命じたものは支拂う。だけれども実は帳簿に載つていない、つまり命じたことになつていないで実は命じてある。そういうような超過勤務がたくさんあるということが問題なんです。それをさつきの答えでは、みんな自発的にとおつしやつておるけれども、これからもそういう自発的にということでやつて行くつもりかどうかということを私は聞いておる。
  380. 菅野義丸

    菅野政府委員 もちろん自発的ということは、政府として望むべきことでございませんので、なるべくそういうことが少いように指導はいたしますし、また予算もでき得る限り多くとろうというふうに考えております。しかしながらこの超過勤務というものは、あらかじめ正確に予想することができるものではないのでございます。結局予想できなかつた仕事が突発した場合に起ることが多いのでございまして、予算できめましても、それが現実の状態にぴしやりと合うというふうにはなかなか行かないと思いますが、いろいろ過去の実績等から見まして、できるだけ予算も多く盛り、そうでない場合におきましては超過勤務は命じないというふうにして行きたいと思うのであります。
  381. 今野武雄

    今野委員 過去の実績によつて予算を盛ると言うのですが、さつき言つたように、実績そのものがごまかしの実績である。処罰されてもしかたがないような法律違反の事実がたくさんあるわけです。そういうような実績であれば、この通りつてつたら、やはり同じことが起るわけです。だから今までのいわゆる自発的な超過勤務はどれくらいあるか、それについてはお調べになつておるのですか。
  382. 菅野義丸

    菅野政府委員 もちろん実績という意味は、実際に支拂われた実績という意味ではございません。いろいろそういうふうな自発的な意味の超過勤務のことも考慮に入れまして、各局各課の実情を考慮したものでございます。
  383. 今野武雄

    今野委員 その点は今度の補正予算や何かはどうなつておりますか。
  384. 菅野義丸

    菅野政府委員 ちよつと大蔵省の者がおりませんので、数字的にはお答えしかねますが、後からでも……。
  385. 今野武雄

    今野委員 ただいまの政府側のお答えによると、命じたものはしなければいけない、そうしてそれによつて超過勤務手当を支拂うということになるのです。そうすると、そういう支拂いを受けない超過勤務があつた場合、本人の意思じやないということがはつきりした場合、それはどうなるかということです。もう一つは、従来かりに半分ぐらいしか支拂つておられないという実績があつた場合に、超過勤務を命じた場合に、一々帳面につけるかつけないかを聞いてから超過勤務に従つていいかどうか。もつと簡單に言えば、不法な超過勤務を拒否するのは当然だろうと思うのですが、そういうことは政府として認めておるのかどうか。
  386. 菅野義丸

    菅野政府委員 この決伴の旧法及び改正法、いずれも十六條でございますが、この十六條にもございますように、「正視の勤務時間をこえて勤務することを命ぜられた職員には」云々とありますので、命ぜられない職員に対しましては支拂う必要はない、こういうふうに考えております。
  387. 今野武雄

    今野委員 人事院総裁にお伺いします。その点についてですけれども、とにかく命じた場合にはいいのです。しかし実際に命じておきながら、命じなかつたというふうに、帳面に書いてない場合がある。そういうことを知つて勤めておる者が、超過勤務はいやだということを言つた場合に、これは公務員の義務に反するとか何とか、そういうことになるのかならないのか、その点お伺いしたい。
  388. 浅井清

    浅井政府委員 問題が抽象的で、ちよつとお答えがしかねるのであります。このお答えを軽率にやりますと、次の御質疑が非常に險悪になつて参ります。私といたしましては、ただいま副長官から申しましたように、政府としては超過勤務を命じた者に対しては拂つておる、そうでない者には命じない、そこには超過勤務というものはないんだ、こういう方針であると御承知おきを願いたいと思います。ただ人事院が述べました過去における実績において遺憾な点がございましたので、厚生大臣に勧告をして支拂わせたというような実例もございます。そこでこの問題につきましては、人事院は今後ともよく気をつけて、そのような不利益が職員にないようにいたしたいつもりでございます。
  389. 今野武雄

    今野委員 どうもよくわからないのです。実際にはしろと言つておいても、あるいはこれだけいついつまでに片づけなければいかぬ、こういうことでしかたなくやつている。こういう仕事をやつているという場合でも、はつきりと超過勤務を命じたという形になつているかどうかということは実際問題としては非常に疑わしいのです。だから帳面についていない。そうすると超勤手当は拂わないということになるのです。そこで超過勤務を命じたという何かしるしがあるのですか。超過勤務を命ずるぞという――普通の辞令じやないけれども、辞令のようにものものしくなくても、何かしるしを出しているかどうか。
  390. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 超過勤務命令簿というものがございまして、超過勤務命令簿によつて命令を受けた者に限りまして、適正な給與をするということにいたしております。
  391. 今野武雄

    今野委員 そうすると、命令簿を本人に提示するわけですね。そうしてその者が超過勤務を受けたということでやるわけですね。現実にはそうなつていますか。
  392. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 さようでございます。
  393. 今野武雄

    今野委員 それは重大な点ですから……。そうすると命令簿というのは一定のものがあるわけですか。
  394. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 通牒によりまして、各庁統一されたものによりまして、はつきりしたひな型をつくり、それによつて実行することにいたしております。
  395. 今野武雄

    今野委員 そうすると、その命令簿の提示を受けなかつた場合には、超過勤務しなくてもいいということですね。
  396. 慶徳庄意

    ○慶徳説明員 命令のない者ば、当然超過勤務の必要がないと思います。
  397. 今野武雄

    今野委員 人事院見解は今伺いましたが、その点政府見解もお伺いしたい。
  398. 菅野義丸

    菅野政府委員 人事院と同じでございます。その通りでございます。
  399. 今野武雄

    今野委員 重ねてはつきりさせたいのですが、今までの結論として、要するに超過勤務手当が支拂われない場合には、超過勤務を拒否してもいいということになるわけですね。その点確めておきたい。
  400. 菅野義丸

    菅野政府委員 政府といたしましては、法律の條文通り、命ぜられた者には拂う、抑えないときには命じない、こういうことでやつております。
  401. 今野武雄

    今野委員 イエスかノーか、もつとはつきり答えていただきたい。
  402. 田中伊三次

    田中委員長 今野君、これは御相談ですが、大分はつきりしておるようですが、まだやりますか。
  403. 今野武雄

    今野委員 問題をそらしてしまうので……。
  404. 田中伊三次

    田中委員長 それでは、はつきりしないところをはつきり質問してください。
  405. 今野武雄

    今野委員 つまり支拂われない場合には、超過勤務を拒否していいかどうかということです。その点だけ、そうだとかそうでないとか、イエスかノーか答えてもらいたい。
  406. 菅野義丸

    菅野政府委員 命令をする場合には、支拂われるか支拂われないかわからないと思います。命令をした後に、実際の超過勤務の事実がありまして、その実績によつて支拂うのでございますから、その命令をする場合に拒否とか何とかいう問題は起らないと思います。
  407. 今野武雄

    今野委員 それはりくつですよ。実際は毎日々々仕事をしておりますから、月のしまいになつて給料袋をもらつてみたら拂われていない。それではこれから超過勤務はできぬということになるわけです。そのことを聞いているのです。
  408. 菅野義丸

    菅野政府委員 命令をした者には拂います。
  409. 今野武雄

    今野委員 現に命令されて超過勤務をやつておる。ところが給料袋をもらつてみると、その通りに拂われていない。そうしたら、これからのものについても拂われないだろうということが言えるわけです。そうしたら拒否してもよいか、それを聞いておるのです。
  410. 菅野義丸

    菅野政府委員 実際命令をいたしましたものに対して、支拂つておらないという問題は、これは人事院の監理の対象になるものでありますが、それと命令の拒否ということは、まつたく別だと思つております。
  411. 今野武雄

    今野委員 人事院総裁自身そういう事態があつたということを言つておるのです。そうして実際職場に行つても、そういう事態があるのです。それは予算が足りない、だから実際はなかなかできない、だから自発的ということを政府は言つておる。こういうものを総合してみれば、明らかに命令したけれども、その分は拂つていないということになるのです。実際毎月々々そうなんです。命令しておきながら、実際に拂つていないという事実があるのです。それをあなたは否定するのだ。けれども事実はあるのだ。その場合に、当然これは超過勤務じやない、そういうものを命令したのじやないということをあとで言われる。それなら働いている者としては当然、そういうことをまたあとで言われるのじややりきれない。それじや前もつて、超過勤務じやないのだから、拒否しようという気持になつてもしかたがないと思う。その点をお伺いしているのです。
  412. 菅野義丸

    菅野政府委員 超過勤務の命令があつたとかないということは、先はど人事院の方で申し上げた通り、書類面で帳簿に載つておるのでありまして、あとから取消すということはできないのであります。従つてそれに対して、支拂わないという事実があつたならば、これは人事院の方で御監督なさる問題であります。それと命令の拒否とは何ら関係のないものでありまして、別個のものであります。
  413. 今野武雄

    今野委員 そうすると、人事院ではそうしておるはずだとおつしやるのでありますけれども、必ず命令簿を本人に提示してやつておるのですか、どうですか。
  414. 菅野義丸

    菅野政府委員 もちろん命令した場合には、提示して認めをとつておると思います。
  415. 今野武雄

    今野委員 それじやそういうものを提示して、本人は承諾していない、本人の判も押さないという場合には、やらなくてもいいのですね。つまり命令書を必ず提示しておるのですね。それがなければ、働いている者はやらぬでいいわけですね。口頭命令は拒否していいわけですね。
  416. 菅野義丸

    菅野政府委員 口頭命令でやつた場合にも、実際に命令した場合には、必ずそれと同時に、命令簿に書いておくことにしております。
  417. 今野武雄

    今野委員 それが実情と違うのですよ。その点はきようここでこれ以上追究しなくても、あとでやりますから、この程度にしておきます。このくあいにして、加藤君がやりたいと言つているので明日加藤君にやらせてもらいたいと思います。
  418. 田中伊三次

    田中委員長 加藤君は委員じやありませんよ、しかしせつかくですから、今野君の御質疑の残部があれば、明日御交代になれば、加藤君にお許しいたしましよう、他に御質疑はございませんか。――それでは本日はこの程度にしておままして、明日は定刻午前十時十分前理事会、午前十時委員会を開き、参考人四人の諸君から意見を聽取することにいたしまして、その意見の聽取が終りましてから、参考人意見に関連し、また本日の質問漏れのところを継続して質問することにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十八分散会