○足羽
政府委員
朝鮮動乱の影響を受けまして、鉄道の滞貨が非常に論議の中心となり、鉄道
輸送が非常に注目されておるわけでございますが、後ほど申しますごとく、私鉄と国鉄との
関係におきまして、この問題の中心は、国鉄の
貨物輸送であると
考えますので、国鉄の
輸送局長が
ちようど参
つておりますので、国鉄については
あとで詳しくその現況もしくはそれらの対策につきまして
説明を御聽取願いたいと思います。その前に大体国鉄と私鉄の
貨物輸送の
内容と、それから私鉄の
貨物輸送につきまして、きわめて簡單ではございますが御
説明を申し上げたいと思います。
大体
貨物輸送につきましては、国鉄は一日に約二十八万五千キロの
貨物の列車キロを動かして
貨物を
輸送いたしております。私鉄はそれに対して一日の列車キロは約一万六千キロ、国鉄に比べまして非常に少い
数量でございます。国鉄の持
つておりまする貨車の
数量は、十万両に少し欠けるのですが、約十万両、私鉄の持
つております貨車の
数量は、約一万両でございまして、国鉄はこれによ
つて今
年度の
貨物の
数量を約一億三千万
トン余大体運べるであろうと、現在のところ
考えられておるようであります。私鉄におきましては、今
年度は約二千五百万
トン見当くらいの
輸送をするであろうと推定いたしている次第であります。以上申し上げましたような数字によ
つて大体御了解願えると思うのでございますが、現在の滞貨問題につきましては、国鉄の
貨物輸送が非常に重要なるウエイトを占める問題でございまして、私鉄につきましては、現在のところ特に問題となる点も、私たちとしては特に
承知しておらぬのでございます。
なおこれらの最近の概要について御
説明を申し上げたいと思います。私鉄の
貨物輸送につきましては、国鉄の
貨物輸送の姿と同様に、夏を過ぎて九月、十月の繁忙期に入
つて漸次
数量が増加して参
つております。その増加して参
つております姿は、大体前年と同様の割合くらいに増加しておりまして、本年の十月において、約二百三十六万
トンの
貨物を
輸送いたしております。前年は二百二十八万
トンでございます。大体の傾向を見ますと、今年の夏以降については、前年よりは少しずつ増加をいたしている、大体そういう数字でございますが、本
年度の上期全体を通計して比較いたしますと、昨年よりは少し減
つております。今年の四月から九月までの上期を比較いたしますと、本年は千二百十万
トン、昨年は千二百六十七万
トンで五十七万
トン減少いたしている、大体こういう姿でございます。しかしこの秋になりましてから、昨年よりは運んでいる
数量が少し多くな
つておる、こういう姿でございます。私鉄についてなぜこういう姿であるかということは、私鉄の
貨物輸送は、御
承知のように
輸送距離が非常に短かいものでございますから、ごく概括的に申しますと、自動車の
輸送に転嫁している、こういう影響が国鉄よりは強いのではないかというふうに
考えております。
なおこの際
ちよつと御
説明申し上げたいことは、私鉄と国鉄とは貨車の直通
輸送をや
つております。つまり私鉄の中で
貨物を発送いたします場合には、国鉄の連絡しております駅を介して、国鉄から国鉄の貨車を私鉄の社線内に注入いたします。要求に応じて回送して、国鉄の貨車を私鉄の中に入れるわけでございます。従いまして、
先ほど私鉄の貨車が一万両と申し上げたのでございますが、国鉄の貨車が
相当数量私鉄の中に入
つて私鉄の
貨物を運び、また私鉄の方に
貨物を運んでいる。運び入れ、運び出しをいたしておるという
状況でございます。
なお私鉄につきましては、実は滞貨の
状況をはつきりする数字を持ち合せておらぬのでございますが、昨
年度と今
年度の毎月の発送の要求あるいは発送をいたしておりまする実績の数字を対照いたして参ります場合に、この実績の数字は特に格段の相違がなく、
先ほどの
説明で御了解願えるように、年初はやや少く、最近に至
つて微増はいたしておりますが、大体においてあまりかわりはございません。要求の方の数字を見ますと、昨年よりやや上まわ
つている、こういう数字でございますが、その辺実はこの数字はもう少し検討を要するのではないかという感じがいたします。なおその要求と、それから使いました実績との割合でございますが、これは私鉄の
関係では昨年より少し落ちておりまして、大体昨
年度におきましては八月が要求の八一%、九月が七七%、十月が少し落ちまして五四%、今
年度の数字は八月が六六%、九月が六三%、十月が五二%でございますが、七月以前は七十七、八パーセントから八一%ぐらいの数字を示しております。なお昨年は、この数字よりは約二、三パーセントぐらい上まわ
つた使用割合の数字にな
つております。
以上きわめて概略でございますが、私鉄の
輸送の
現状なり、
輸送状況につきまして御
説明を申し上げまして、なお国鉄の
状況につきましては、
輸送局長から詳しく御聽取願います。