運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-11-30 第9回国会 衆議院 経済安定委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月三十日(木曜日)     午後二時二十一分開議  出席委員    委員長 圖司 安正君    理事 志田 義信君 理事 永井 英修君    理事 竹山祐太郎君 理事 勝間田清一君       岩川 與助君   小野瀬忠兵衞君       金光 義邦君    奈良 治二君       細田 榮藏君    宮原幸三郎君       村上 清治君    森山 欽司君  出席政府委員         経済安定政務次         官       小峯 柳多君  委員外出席者         経済安定事務官         (総裁官房経済         計画室長)   佐々木義武君         経済安定事務官 松田 壽郎君         専  門  員 圓地與四松君         専  門  員 菅田清治郎君     ――――――――――――― 十一月二十八日  民間経済調査機関拡充に関する請願(松澤兼人  君紹介)(第四八号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十九日  労務用物資価格設定に関する陳情書  (第四一  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  経済自立計画に関する件     ―――――――――――――
  2. 圖司安正

    圖司委員長 ただいまより会議を開きます。  経済自立計画に関する件を議題とし、質疑を行います。奈良治二君。
  3. 奈良治二

    奈良委員 農業自立計画のことを主にして二、三質問いたしたいと存じます。この前の御説明では、國土総合開発計画と今の自立経済計画との関連性について何ら触れられなかつたのでありますけれども、これはおのおの切り離しては考えられないことだと思うのであります。ことに電源開発という問題は農業水利の面、治水という面、おのおの密接な関連性もあるので、それを切り離しての電源開発となり、食糧増産というようなことは考えられない次第でありますから、この関連性について伺いたいと思います。
  4. 小峯柳多

    小峯政府委員 お説の通り國土総合開発自立経済との関連は、もとより当然あるわけでありますが、総合開発の方の仕事の進み方もありますので、具体的にこの目標の中では結びつきができておらないようであります。詳細は事務当局から説明いたさせます。
  5. 佐々木義武

    佐々木説明員 自立経済計画の方は、どちらかと申しますと対外的な面、貿易あるいは外資の援助の時期という面を主として取上げまして、それと國内の諸産業との関連等を主として見て参るのであります。もちろんこの自立経済の内容は、各部会——たとえますと鉱工農林建設、雇用、財政金融貿易という、各般の部会をもつてつて行くのでありますが、一番國土開発審議会との関連が深いのは、農林部会、あるいは建設部会、あるいは交通部会の一部でありまして、ただいまのところでは國土総合開発の方ではこちらの計画が進みまして、従いまして所要資金ないしは財政資金わく等、こちらから一応算定いたしまして、それを目標にして基準にするとかあるいは生産目標等をこちらで得たものを基準にするというふうに、こちらの結論の出るのを待つておるような次第であります。従いまして、こちらの方が結論が出ますと、それを一つ前提条件にして、向うではいろいろ地域的にそれをまとめまして、地域ごどの総合計画として、地域的、地方的な総合計画をつくるという関連状態になつております。それから時期の問題に関しましては、こちらは三箇年ぐらいと見ておりますけれども向うは三箇年というのでは問題になりませんので、十年あるいは十五年と、できるだけ長期計画を出しまして、その計画を時期的に、三回なら三回に分割いたしまして、自立経済の方の立てました計画との調整をはかつて行くというような関連性を持つて行くことになつております。  大体大きく関連性を申し上げますとそういう状態であります。仕事進渉状況に関しましてはただいま政務次官から話されましたように、向うは目下地方計画をつくるためのいろいろな調査資料、あるいは現状分析、あるいは地方から出てまいりました各資料を整理、なしいは優先順位をつけますための基準等を研究しておりまして、この計画目標なり、あるいは計画そのものをどういうふうにして実現方策まで持つて行くかというところまで、まだ具体的に入つておりませんので、こちらの方が若干先行いたしまして、できたものを向うに持つて行くということになるのであります。
  6. 奈良治二

    奈良委員 示されました資料によりますと、三箇年でもつて千二百万石の増産という目標になるのでありますが、千二百万石と申しますと相当大きな目標なので、これを予算的なものとにらみ合せた関連性といいますか、そういうことについて、はつきりした数字はもちろん期待しませんけれども、この千二百万石増産ということを前提とした予算的な計数をお伺いしたいと思います。
  7. 佐々木義武

    佐々木説明員 今お話がございました千二百万石を二十八年度までに増産するための所要資金は、財政資金と融資との両方にわかれるのでありますけれども、一番問題になるのは財政資金でありまして、財政資金は、この線によりますとまだ中間案でまとまつておりませんが、二十六年度百九十三億、二十七年度三百七十億、二十八年度四百二十一億という計算になつております。ところが一方財政金融部会の方でいろいろ検討しております財政わく、特にこの案での公共事業費わくというものは、現在から見ますと、それほど大きい飛躍したわくというものはなかなかできかねる状況になつておりますので、この農業部会から出されましたところの、大きいと申しますか、現状から申しますと相当しり上りに上つて参ります所要資金額との調整を、財政面でどうつけるかという問題が、まだこれからやる段取りになつておりますけれども、今のところまだ調整をとつておりませんので、何とも申し上げられぬ次第であります。一方この農業部会から出ました所要資金と、建設部会から出ましたところの、これに関連する治山治水等のものまで合せた公共事業費全般とをかみ合せますと、相当大きい公共事業費の要求になるのではないかと思いますので、その点との調整をどうするか。同時にまた産業資金との関連もありまして、こちらをふやしますと産業資金の方が減るという相互関係になつておるものでありますから、この間の順位等を、どう考えたらいいかというようなことも、相当今後デリケートな、むずかしい問題となると思います。ただいまのところでは、資金を全部そのまま調達して財政を維持して行くということは非常に困難ではなかろうかということを考えております。
  8. 奈良治二

    奈良委員 これはちよつとお伺いするのは当を失するようなきらいがないでもないと思うのですが、治水関係の所管はもちろん建設省でありまして、農林省としての治水と灌漑、排水という面におきまして、今までの関係から見まして、いろいろななり張り争いみたいなものができた場合に、今まででも経済安定本部から仲裁案みたいなものを出して、そこに何らかの調整をはかつていたはずなんでありますが、今後の場合においてこの経済安定本部自立経済というものと、国土開発計画との縄ばり争い的なことが起つた際における、安本としての発言権というか、そんなことについてお伺いしたいと思います。
  9. 小峯柳多

    小峯政府委員 御説のようなこともままありましたので、御承知のように、公共事業を一括して安定本部に入れておるわけであります。ただいまの自立経済総合国土開発との関係も、予算面では公共事業の費目に出て来るわけでありますから、その公共事業調整をけて参るつもりであります。具体的には国土開発審議会も発足しておりますし、地方計画などでも、私ども出先機関も中に加わりまして、かなり進んでおるような面もありますので、今御懸念のようなそういう面は、よほど少くなつておるのではないかと思います。なお公共事業と、建設事業と、農業土木関係でありますが、二十六年度予算を査定するにあたりましても、建設省の方の御意見ですと、河川の改修が中小河川の方が進み過ぎて本流河川の方の出水が早くなつておる。従つて單独河川はいいが、中小河川あまり手を入れぬようにしようじやないかという話も出たわけであります。しかし灌漑用水の問題になりますと、中小河川に一番関係がありますので、そんなような調整も私どもの手元で、建設省側河川治水だけの観点から出ました意見と、用水との問題を調整しまして、翌年度予算にも盛つておるようなりけであります。
  10. 奈良治二

    奈良委員 その際の予算の各分野における競合ということにつきましては、経済自立という面を大きな線として、安本調整して行くというお話でありますか。
  11. 小峯柳多

    小峯政府委員 御意見通りでありまして、公共事業経済的効果とやかましく言いますその経済的効果は、自立経済的効果というふうに御解釈願えれば、今の線に合つて来るだろうと思います。
  12. 奈良治二

    奈良委員 私はきようの委員会質問するには研究もまだ足らないのでありますが、国土総合開発というものと自立経済というものとの、具体的な関連事項については、後日ゆつくりお伺いしたいと思いますので、本日は私の質問をこれで終りたいと思います。
  13. 圖司安正

  14. 細田榮藏

    細田委員 二十六年度米国会計年度から以降の援助資金の今後の見通しは、基本政策としてここに提出してある資料にあるようなお見込みですかどうですか、ちよつとお伺いします。
  15. 小峯柳多

    小峯政府委員 その問題は、おそらく私どもの長官からもお話があつたと思いますが、私どもでは一応そういう想定でやつております。しかし公式な通知ではありませんが、先般来、あるいは新聞で御承知かと思いますが、グレイ報告というのが出まして、今の日本貿易伸び方から行くと、来年の七月以降——アメリカの新しい会計年度以降は、もう援助はいらぬのではないかというふうなことをいつておるようであります。まだ正式に日本政府に対する通知もいただいていないわけでありますが、その御意見ですと、今の日本貿易状態を非常によく見ておるようでありまして、その点で援助はもういらぬのではないかということをいつておりますから、私どもの方では表にありますような想定で進めておりますが、これは今後の経済動きや、あるいは国際情勢動きやなんかに関連して、多少変化があろうと思います。ただしはつきり申し上げられますことは、かりに援助資金という形のものがなくなりましても、私ども自立経済に必要な最小限度の金は、何がの形で考えていただくか、補つていただけるもんだという見通しを持つておるわけであります。
  16. 細田榮藏

    細田委員 そこでこの輸出入の問題でありますが、輸入の問題については、これは対日援助の分が加算されておるのでございますか。
  17. 佐々木義武

    佐々木説明員 この中では対日援助分は加算されておりません。
  18. 細田榮藏

    細田委員 そうすると輸出の方の面も、これは特需並びに貿易外收入というものは加算されてないのでございますか。
  19. 佐々木義武

    佐々木説明員 この前に差上げました自立経済基本的構想問題点の御説明つたと思いますが、あの質問だといたしますと、あの数字の中には特需は入つておりません。並びに貿易外收入も入つておりません。これは別であります。これは純輸出入分だけで計算しておりますから……、
  20. 細田榮藏

    細田委員 そういたしますと、そういうものが船舶などの増産によつて、今後運賃收入の形などによつて貿易外收入が相当見込まれてしかるべきものではないかというようなことは、これは当然のことだと思いますが、どうしてそういう計画がこの中に盛り込まれていないのでございましようか。
  21. 佐々木義武

    佐々木説明員 昭和二十八年度のこれをごらん願いますと、一例になると思いますが、輸入が十五億七千五百ドルから、十六億程度というふうに相定いたしまして、輸出の方は十四億ドルから十四億五千万ドルという程度想定しております。そして大体一億五千万ドル程度の残がございますが、この残の一億は貿易外收支でまかなつたらどうかというふうに考えております。あとの五千万ドルは、できますれば国内自給度というものを高めまして、その自給度によつである程度まかなえるというふうなねらいで施策を進めて行つたらどうかという、大体の目標筋でございますが、そういうふうに考えております。
  22. 細田榮藏

    細田委員 大体輸出状況ども、今後の東南アジアとか、中共というような方面に進展をする予想というものは入つておりますか、どうですか。
  23. 佐々木義武

    佐々木説明員 中共に関しては、この案では今のところそれほど輸出は延びるというふうには実は考えておりません。反対に東南アジアに関しては、相当アメリカから援助が出て購買力がつきまして、日本からある程度生産資材なり、消費材というものを買い得る。従つて購買力がふえるという想定で考えております。
  24. 細田榮藏

    細田委員 次にちよつと伺つてみたいことは現在の実情から見ると、国際物価の方がだんだんと高くなるにつれて、現在の日本国内的の輸出に関する限りにおいて、常に国際物価にさや寄せしつつ上つておるようでありますが、そういうような事柄と賃金との関係は、今の現状では、どういうふうにお考えになつておりますか。
  25. 佐々木義武

    佐々木説明員 これは自立経済の将来の問題でなく、現状に対する御質問だと思います。まだはつきりしたケースは出てないと思いますけれども朝鮮動乱以後、国際物価値上りにつれまして、国際物価も御承知通りつておるのであります。しかしこの物価値上り伴つて実質賃金の方は今まで上昇しておつたのでありますけれども、この上昇のカーブを若干ゆるめつつ、あるいは若干下まわる程度と申しますか、はつきりしたケースは忘れましたが、そうなつておるのではないかというふうに考えております。
  26. 細田榮藏

    細田委員 今後国内的な賃金が、物価関係から上るだろうとか、あるいはこのままでおるのであろうとか、あるいは実質賃金は高くならないといつたような形でおるのか、あるいはまた実際の現状から照して、将来の賃金というものは、どうしても高かるべき性質を持つておるかどうかというようなことは、将来の貿易上、生産に関する問題としては、かなり重要なことだと思います。またいろいろそういう観点から考えますと、今日のいわゆる賃金ベースの引上げその他の問題は、やがてどの程度まで行かなければならないものかというような問題として、かなりわれわれには関心が深く寄せられるのでありますけれども、そういう点について、たとえば長期資金なり、あるいはその他の資金をお出しになる上からいつて、出せば物価の方が高くなるのではないかというような観点から、それを引き延ばされておるのではないかという感じが非常に深いのであります。そういう点については、何か特別に国内的の物価を高くするために、また賃金を高くしなければならないから、そういういわゆる放出する政府資金なり何なりを、相当だんだんと時間的にずらしておるのではないか、こういうような点があるかどうかということを、ひとつ承つてみたいと思います。
  27. 小峯柳多

    小峯政府委員 非常に大きな問題で、先ほど来前の委員からお話もありましたが、私もざつくばらんに申し上げますし、また委員の方からもどうか質問していただきたいと思います。私は自立経済の問題について、今の問題は案は非常に大きな問題だと思つて悩んでいるのでありますが、御承知のように、日本安定計画は、今までの段階では、超均衡予算と超健全金融で、一応通貨面から安定の道に入つて来ておると思います。しかもその当時は、まだ日本経済は非常に封鎖的な性格が強かつたものでありますから、国内的な処理で、一応安定計画の第一歩は踏み出したと思うのであります。しかしその後、国際経済との関連が広まつて参りますと、今、御指摘のように、国際的な物価水準が、すぐ日本物価水準影響して来るのであります。ことに日本経済構造からいたしますと、海外への依存度が非常に大きいものでありますから、最近では国際物価影響日本物価高影響して参つております。そこで物価を押えつけて、通貨の面から経済安定の糸口をつかんでおります。その物価の安定という問題に実は海外からの影響で響きが来ておるわけであります。それで今度せつかく糸口をつかんだ通貨安定という問題を、どうしてまとめて行くかという問題になりますと、これは非常に違つた角度から問題が出て来るのだと思います。私は今日の段階では、もう国際的な物価高を遮断して、日本物価安定を守り続けるためには、為替に手をつけるか、あるいは思い切つて生産をふやすというような手を打つか、どつちかだと思います。むしろ今の段階では、ほんとう生産増加になるような金融なら、積極的に使わない限り物はふえない、物をふやさない限り、通貨安定、物価安定を守り続けることはできぬだろうと思うのであります。そういう意味金融の問題は、今までと違つた意味になつて来ておるのでございます。  少し話はもどりますが、日本の戦後の経済安定をはかります場合に、金融をゆるめ、生産をふやして経済安定をやるというやり方ドツジ方式でやります前までは、今までどの内閣もやつて参りました。その当時金を出しましても、経済条件があまりにも穴が明き過ぎておりましたから、金融をゆるめても決して生産はふえないで、かえつてインフレを増進したような形になりましたが、今日の段階では、それが正しい金融である限りは、積極的に持つて行く方が、物がふえて、今の通貨が安定するような形になるのではないかというふうに考えます。平たく言いますと、今までは通貨安定第一主義であつたが、今度は生産に力点を置かなければ、せつかく得た通貨安定も守つて行けない段階だろうと思うのであります。ですから今御指摘のような点は、むしろ金融を出す方が通貨安定になるような段階ではないかと思います。この金融やり方は、もちろん、正常金融といいますか、直接生産に響く輸入に関する金融だとか、あるいはコンマーシャルペースに乗つた金融というものを進めて行く方が私はむしろいいのではないかと思う。ここで金融を詰めて参りますと、かえつて生産に齟齬を来して、生産の縮小となる形になつて、むしろ逆に上げはせぬかという感じがするのであります。また自立経済の問題を考えましても、少くとも金融の問題、輸入の問題、電力の問題というような問題をしつかりつかまえて行きませんと、私どもの言うことが、から念仏になる心配が非常にございます。それでは金融をもつとゆるめたらいいじやないかという問題でありますが、金融に対する問題は、これはいろいろ見方の相違もありましようが、金融をゆるめると、逆にインフレの気構えになるというような気分がまだ一部にはあるわけであります。ことに世界政治情勢が、御承知のように朝鮮動乱を契機として非常に複雑になつておるものでありますから、先行きに対するいろいろな不安などもあり、もう一つ金融に対しては、今私が申し上げたような積極面が出て来ていないと思います。しかし少くとも今までに比べますと、預金部資金使い方、あるいは見返り資金使い方などは、今回おいでになつたドツジ氏の御意見でも、実は積極的になつておると思うのであります。そういう意味金融の問題はまだ本格的ではありませんが、今までに比べるとよほど順調になつたというふうに私どもは見ておるのでありまして、なおこの線を続けて、金融積極化ということに努力をして参るつもりであります。
  28. 細田榮藏

    細田委員 よくわかりました。これは現在の実情から大体推定しますと、今次官のお話のようにどうしても品物をふやすということが、急務中の急務であると思うのです。そこではたして輸入の問題がほんとうにうまく行つておるかどうかということは、ひとしく心配しておる問題でありますが、輸入面で特に苦しいものは何か。また普通の状態のものは、現在大体輸出をまかない、内需をまかなう程度まで入り得るお見込みが、完全にあるかどうかということを、ちよつと承つておきたいと思います。
  29. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘のように当面の経済問題は、私は輸入ができるか、できないかということにかかつておると思います。特需の問題も、あるいは輸出が非常に伸びておるという問題も、輸出の原材料が確保できませんと、ますます国内状態飢餓輸出状態に追い込むのであります。そこでどうしても輸入を確保しなければならぬし、輸入ができるかできないかが、自立経済を原則的に進めるわかれ道になるように思いまして、この問題では先般来政府も非常に努力はして来ております。しかし正直なところまだ十分な成果は上つておりません。外貨資金の割当のやり方ども、今までは非常に臆病でありましたが、この点も直しまして、自動承認制というような面をふやしてやつております。あるいは契約も、先物の契約が今までは外貨資金の管理上不可能であつたのでありますが、これもできるようになりました。またかりに輸入をいたしましても、なかなか今までは輸入に関しましてもブラインドでありまして、外国商社との連繋も十分ではありませんし、こちらの支店、出張所も、まだこれは形だけのものしかないようでありますから、これらの問題の改善も一生懸命やつておりますが、大体今のところ手薄で十分経済的な活動をしていないようであります。しかし今申しましたように一連の動きで、輸入条件はよほどよくなつて来ておることは間違いありません。ことにここ二箇月、三箇月の間は漸次輸入が伸びて参りまして、動乱の起りました当時、輸入々々と騒ぎましたが、なかなからちが明かなかつたのですが、ここ二、三箇月はよほど数字がよくなつて、私どもは先を楽しみにしておるわけであります。しかし考えますと根本的な理由といたしましては、もう世界市場が今のバイヤース・マーケットからセラーズ・マーケットにわつておりまして、売り手が強くなつておる。何といつてもこういう根本的な変化がありまして、一時からいいますと、輸入を促進する上において非常に障害となつております。そこで何とかしてこれを打開したい。同じ輸入マーケットを今までは代表的なマーケットばかりあさつていたような感じがいたしますが、もう少し奥地まで——言いかえればローカルな地域まで出て参りませんと、輸入物資が確保できない。そういう手かげんも最近は加えまして、とにかく輸入ができるかできないかが、日本自立経済の姿をきめるという角度から、あの手、この手を尽しております。世界の態勢は決して有利ではありませんが、輸入は引続いて伸びる見込みであります。
  30. 細田榮藏

    細田委員 そこで先般来の説明をお聞きいたしますと、大体計画を進めて参りますのに非常に資本蓄積が足りない、従つてその資本がはなはだ不十分であるということは、これはよく私どももわかるところであります。ことに今日までの私有財産という形のものにおいて一層資本蓄積が足りないということはなかなか現状ではおおい得ないということもよくわかります。そこでたとえば二十四年度においても、一般会計からも、また見返り資金の方からも、復金債の償還などをいたしまして、政府にはそういうふうな金が一応長期債資金なり、あるいは短期資金なりで貸し出されておるわけでありますが、そういうようなものについて、対日援助見返り資金特別会計という形のものでやつておる分と、そのほかのものとがあるわけだと思うのですが、それはどのくらいの量になつておりますか、一ぺんそれを承つてみたいと思うのです。
  31. 小峯柳多

    小峯政府委員 お答えいたします。資本蓄積の問題は少し余談になるかもしれませんが、これがまた自立経済展開一つの目安になりますので、ぜひこの点を委員の皆さんから、積極的御意見を承つて案を進めたいと思うのであります。それに関連して、ただいまの御質問に対してまとまりましたものだけ申し上げます。大体私ども産業資金課で調べました数字によりますと、本年度上半期、四月から九月までの半年でありますが、その産業資金のまかない方は、市中金融機関からの貸出金として千五百七十二億まかなつております。それから見返り資金からの私企業投資は非常に上半期中は進みませんで、三十九億円にしかなつておりません。それから社債の発行で約二百億円まかなつております。それから株式の発行で百四十六億円まかなつておりまして、これが実は上半期中の資金の総量になるのであります。この資金の用途別の内訳を申し上げますと、設備資金が四百六十二億円、運転資金が千四百九十五億円という数字になつております。
  32. 細田榮藏

    細田委員 そうしますとこの見返り資金の放出が少いという問題は、やがてインフレを助長するとか、いわゆる市場の通貨を操作するとかいう関係上少くなつておるのでございますか。
  33. 小峯柳多

    小峯政府委員 見返り資金のうち、債務償還はただいまのお話のありましたような観点から、実は少し、へどもとしておると思います。一般の私企業に対する産業資金の問題は、手続上の問題もありますし、中には御承知のように電力会社などの問題もありまして、はかばかしく行かなかつたという点もあります。しかし十月に入つてから割合に伸びておりまして、よほどその点は改善されておると考えます。
  34. 細田榮藏

    細田委員 それで今後先ほど申されたように、対日援助見返り資金が来るといたしますと、それらがともかく国債償還に振り向けられるものと、また産業資金などに振り向けられるものとは、やはり従来のような例によつて行くということにいたしましても、そのお見込みはどういうものでございますか。
  35. 小峯柳多

    小峯政府委員 先ほどもちよつと触れましたように、日本安定計画が超均衡予算で始まつて来たということは御承知通りであります。ところが通貨安定を確保するために超が必要だが、逆に通貨安定をもつと押し進めて、一般の経済安定まで持ち込むためには、超だけはとりたい。言いかえますと債務償還とインベントリー・フアイナンスが予算をウルトラ均衡にしておるところの理由でありますが、その超をとりたいというのが今度の予算編成にあたつてどもの考えたところであり、大蔵省も熱心にこれを主張したわけでありますが、傾向としては超がだんだん小さくなり、少くとも今年度からは、債務償還やインベントリー・フアイナンスをやらないという大体の方針で参りましたが、御承知通り朝鮮動乱もありますし、世界経済情勢の激動なども一応予想されますから、将来必要が起つた場合には、多少流用ができるような意味で、通常いわれるクッシヨンというような意味で、多少今後も計上されるような感じがいたします。また二十六年度見返り資金の問題も正式には決定しておりませんし、二十六年度の本予算も、正式には、きまつていないようでありますが、私どもが今までの折衝の結果承知しております段階では、今までほどではありませんが、多少その傾向が残つております。しかしその額は相当減らされて来ておるものと思います。
  36. 細田榮藏

    細田委員 従来公団の操作資金のようなものとか、今申されましたインベントリー・フアイナンスのような形のものが、将来どういうふうに形づくられて行くという見通しですか。
  37. 小峯柳多

    小峯政府委員 私はインベントリー・フアイナンスのようなものは、正常の財政からいえば、決して税金でまかなうべきものではなくて、金融でまかなうべきものだと思います。一方に資産がある限りは、その運転資金は一般の金融でまかなつてちよつともさしつかえないと思うのでありますが、ただ経済安定の計画上、それが便宜一般から徴収された税金をそのまま使わないで、リザーヴして、均衡予算を堅持するという建前がとられておりますので、今度は経済の安定が軌道に乗り次第、今言つたような債務償還であるとか、インベントリー・フアイナンスというものは、なくなつてしかるべきだと考えております。
  38. 細田榮藏

    細田委員 そういたしますと、それは政府財政蓄積と見てさしつかえないわけですか。
  39. 小峯柳多

    小峯政府委員 現在のところは、これは強制貯蓄の形になつておると思います。
  40. 細田榮藏

    細田委員 そういうぐあいにして貸し出されておるもので、将来特別会計なりにもどつて来る性質を持つておるもの、すなわちさつきもちよつと申し上げましたように、対日援助見返り資金のような形のものなり、そのほかのものというのは、およそ今までにどのくらいあるものかということをお伺いしたい。
  41. 小峯柳多

    小峯政府委員 詳細な数字承知しておりませんが、性格も多少違いまして、たとえば国鉄に出しましたように、全然利子のない、非常に性格の不明なものもあります。また純然たる金融の形でやつたものもあります。数字は後ほど集計いたしまして御報告いたしますが相当あるだろうと思います。
  42. 圖司安正

    圖司委員長 森山欽司君。
  43. 森山欽司

    ○森山委員 ごの自立経済計画の前に、経済安定本部が中心になりまして五箇年計画をつくられました。遺憾ながら吉田総理がその発表をさしとめられて、遂に公表されなかつたという前例があるのでありますが、自立経済計画をめぐる客観情勢なるものは、前回の五箇年計画よりはるかに複雑なる客観情勢に置かれておると考えます。一体経済安定本部は今後これらの計画につきまして発表されるつもりであるかどうか、在来のことがありますので、ひとつ念を押しておきたい。
  44. 小峯柳多

    小峯政府委員 さきに安定本部で五箇年計画の審議をやつておりましたことは御指摘通りであります。しかしその当時はまだ経済安定の計画がほとんど緒についておりませんで貨幣価値の問題にしましても、あるいはその他の問題にしましても、非常に不確定な要素が多かつたと思います。そういう意味もあつて、ことに激動期の経済を五年で見通すというようなことは、少し現実離れがするというようなこともあり、かたがた国際経済の中に正常に参加することがねらいであるにもかかわらず、その当時の印象が何か孤立的な経済に持つて行くような感じを与えやすいような懸念も多少ありまして、一応とりやめておりましたことも大体見当がつくだろうと思います。今三箇年計画をやつておりますが、客観的な条件におきましてやはり非常な不確定なものがございます。ただ経済安定計画自体といたしますと、よほどその当時より進んで参つておると思います。朝鮮動乱などを中心とする世界の政情の激動というものを考えますと、三箇年計画もなかなかたいへんであることは私どももよく承知しております。しかしむずかしいにもかかわらず、早急に作業をまとめて、この案で経済自立計画を進めなければならぬという政治的な要因は、御承知通り対日講和の接近の問題であります。対日講和ができますれば、援助資金は当然になくなるものでありまして、形は違いまして、純粋な経済的な援助、純然たるコンマーシャル・ベースは想像されましても、援助は打切られるわけであります。そういう問題が具体的に上つて来ておりますので、経済的な条件とましては、御指摘のように不安定な点もありますが、一応まとめてわれわれの努力目標をつくるということの方が、講和の受入れ態勢を海外に見ていただくゆえんにもなるし、また現実に講和ができましたときに、これが非常に役に立つというふうに考えますから今回は案のまとまり次第、小口から、国政にも反映いたしますし、また皆さんの御批判もいただくようにいたしたいと考えております。
  45. 森山欽司

    ○森山委員 私はよく存じませんが、自立経済計画の立案については援助資金の将来の方向を考慮して、関係方面から何か話がありましたか。
  46. 小峯柳多

    小峯政府委員 援助資金が毎年々々減額されて行くだろうということはきわめて明白なことでありますが来年がどうなるかとい今ことはまだ正式な御指示はいただいておりません。二十六年度予算折衝あるいは見返り資金の問題のときに、係官から大体こんな傾向になりはしないかという事務的なお話は非公式にありました。また御承知でもありましようが、先般グレー報告が出まして、日本実情からいうと、来年の七月一日から日本への援助はいらないだろうという意見アメリカにあるやに聞いております。しかしこれも日本政府に正式に通達されておるものではありませんが、傾向としてはだんだん減る傾向をとりながら、一応基本構想でお示ししましたような数字想定しておるようなわけであります。
  47. 森山欽司

    ○森山委員 もうひとつお伺いしたいのは、この計画が大体いつ頃完成されますか。特に私お伺いいたしたいのは、予算報告等もございますので、それに答える日本政府の具体的な一つの基本方策というものも、すみやかに出されなければ機を逸するのではないか、こう考えますので一応伺いたい。
  48. 小峯柳多

    小峯政府委員 十二月一ぱいには中間的な結論を出したいと思いますが、こまかいデータまで考慮しますればなお三月一ぱいくらいまで遅れると思います。
  49. 森山欽司

    ○森山委員 本計画の内容につきましては、まだ御審議の途中でもあり、いろいろ承りましても不確定な要素があまりにも多いわけでありますので、十分お答えになれないような面もあり、全般的な連関も納得できませんので、できるだけ早いときに、ある程度まとまりました中間報告をいただいて、その際あらためて質問いたします。
  50. 小峯柳多

    小峯政府委員 一言発言しておきたいと思います。お説の通り自立経済を扱つておりましても、今度現実の政治面とどう結びつけるかということは非常な問題があります。私先ほどからもざつくばらんに申し上げておるつもりでありますが、たとえば自立経済を三箇年でやり上げようとしますと、非常に尨大な資金がいるわけであります。その尨大な資金が一体日本現状で獲得できるかという問題になりますと、これはなかなか困難であろうと思います。そうしますと、自立経済を確立しますためには、思い切つて生活の水準を落すとか、あるいはまた期間をむりなくもつと先へ延ばすか、あるいは外資の導入でもなければ、なかなか思うように行かないのであります。きわめて率直に私ども申し上げますが、この業をやりながらも、実はそういう問題が非常にあるわけであります。でありますから私ども謙虚な気持でお話申し上げておるのですから、どうか委員の方々も、私どもむずかしい作業をやつている。しかし目標なしに日本経済安定計画を考えることは非常に危険だと思いますので、むずかしいことを承知しながらやつておりますので、どうか忌憚なく、どういう御意見でもお聞かせ願えますれば、私ども意見を参考にしまして、この計画をもつとよりよきものにするつもりでおりますから、委員長からも御注意願つて、ひとつざつくばらんに公式、非公式に、いろいろなお話をお願いいたしたいと思います。
  51. 圖司安正

    圖司委員長 志田義信君。
  52. 志田義信

    ○志田委員 経済自立計画基本構想の問題点を、よく論議かつ説明をしていただきました。そこで日本自立経済のためには、世界情勢の変化が大きな影響を及ぼしていることも、今政務次官から御説明があつたのを拝聴いたしまして、私もその通りだと思います。朝鮮動乱が、わが国の経済の自立の上に大きな役割を果すであろうということも考えられるのであります。先ほど輸入面の問題におきまして、安本当局も御努力なさつておるということでありますが、特に朝鮮に特需を向け土場合において、朝鮮に現在あるもので、日本の今日においては、どうしても必要とするものが多々あるのであります。これをバーターでこちらへとる方法があるかどうか。たとえば今日日本特需の買付けをやる場合においても、韓国人の大部分はすでに円資金の手持がなく、たとえドルを持つておりましても、これを処置することができませんので、その点で買付けにも非常に不自由を来しておるのであります。ところが、日本といたしましては、濠洲から必要な羊毛などをとつておるようでありますが、終戦当時釜山の倉庫に相当多量の羊毛があるということもわれわれ聞いておりますし、さらに現在日本で一番困難を来しておりますタングステン、あるいはスクラップ、こういうものが朝鮮にたくさんあることは、安本当局も御承知のことと思いますが輸入鉄鋼が非常に災いして、これらのものを日本に入れることができない。かえつて日本国内需給を困難ならしめるような状態が来るのじやないかというような、輸出だけが行われているという状態にあるのであります。これに関しまして、バーターで行くということを安本はスキャップその他に交渉しているかどうか、その点をお尋ね申し上げたいと思います。
  53. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘通り日本経済安定計画は、今回の特需の問題で、プラスになる面が強いのであります。しかしそれには条件がありまして、輸入原材料が確保できません限り、かえつてこれが飢餓輸出を強化するような形になりまして、非常に問題が残ると思います。そこで、朝鮮とのバーターの問題でありますが、輸入の問題を、努力はいたしております。しかし成果がなかなか急激に上つて来ないという見通しもありますものですから、ただ朝鮮だけのバータ治でなしに、特需に関する限りは、できるだけ原材料で補給して行こうじやないか、加工賃取得をやるような形で、原材料を流すような形を非公式に話は進めておりますが、しかしまだ実現するところまで至つておりません。今度特需の問題——今の朝鮮の戦況などとにらみ合せまして、ますますその必要が出て来ると思いますので、私どもといたしましても、十分研究いたしたいつもりであります。
  54. 志田義信

    ○志田委員 この点につきましては緊急を要することなのでありますから、ぜひともひとつ御善処をお願い申し上げておきたいと思います。  次に最近私は本委員会長期経済対策小委員長をいたしまして、韓国代表部との御交渉によりまして、朝鮮から来日いたしました前朝鮮外務大臣でありました張現国会副議長、あるいは購買団長として来ておりました金さん、その代表部の方々とお目にかかつて、いろいろお話を聞く機会を得たのでありますが、このときに、朝鮮側といたしましては、今回の動乱によりまして朝鮮の国土が非常に荒廃に帰しておる。従つて国土の整備をしない限りにおいては、とうてい朝鮮の百年の計を立てることはできないので、日本から衣類や食糧等の救出物資をおよこしくださることはまことにありがたいが、朝鮮百年の計を考えてくださいますならば、この際朝鮮の国土計画を朝鮮政府自身として立案して行きたいと思う。ついては朝鮮の今日の現状からいたしましては、とうてい技術と人とを得たり、あるいは機械を得ることは困難であるから、日本政府からその技術と人と機械とを招きたい。こういう要望がございまして、増田建設大臣並びに安本副長官まで、私もその旨の申入れをしておる事実がございます。ところがその話は、今から約三週間前の話でありましたが、その後ちようど大韓民国国民議会副議長が帰鮮されまして、その点のことについて話されたかどうかわかりませんが、今から二週間ほど前になりますか、二十五年十一月十二日の日本経済新聞に、日本は技術と資材をすでに供給しておるということを、UP特電十一月十二日発、ホープライト東京支局長からアメリカ新聞に載り、それが逆送されて日本経済新聞に出ております。朝鮮復興のために日本の技術と資材とで、すでに協力している事実があるかどうか、その点をお尋ね申し上げたいと思います。もし事案があるとするならばその内容についてお伺い申し上げたいと思います。
  55. 小峯柳多

    小峯政府委員 近代戦争は御承知のように、戦略的な物資と建設的な物資とが、平行して需要されるものだと考えますが、特需関係でも、やや建設的な資材に関するものもふえて行つておるような気がいたします。従つてそれに関する限り、今御指摘のようなことがあるのだと思います。全国的にこまかいことはまだ承知いたしておりません。
  56. 志田義信

    ○志田委員 安本政務次官のお話では、全国的にどの程度の技術者が行き、どの程度の資材が行つたかということは承知しておらないというようでありますが、これは日本自立計画の端緒になる朝鮮復興の問題でありますから、できるだけ早い機会にお調べくださいまして、当委員会にお示し願えるかどうか、その点をお尋ねいたします。
  57. 小峯柳多

    小峯政府委員 御希望の通りに、さつそく調べまして御報告いたしたいと思います。
  58. 志田義信

    ○志田委員 そこでお尋ねいたしますが、今後朝鮮の国土計画を樹立するという大韓民国政府からの要請によりまして、日本が朝鮮の国土計画、並びに自立計画を立案し、その施設を日本側が担当して、協力して朝鮮の復興をやるという招きが参りました場合におきましては、安本並びに政府といたしまして、これに対する受入れの態勢を整えられるごとき自信があるかどうか。もしありといたしますればその内容を承りたい。
  59. 小峯柳多

    小峯政府委員 もとより善隣友好の原則でおつきあいさせていただかなくてはならぬと思いますから、そういうことも当然考えられるわけでありますが、まだ御承知のような外交状態でありますから、今私どもが、ああだこうだとは申し上げられないと思います。
  60. 志田義信

    ○志田委員 実は日本の技術、資材が朝鮮に行つておるということについては、外電の示すごとく事実があると私は思つております。しかし私がこれから質問することにつきましては、まだ適当なお答えをいただく政府委員が見えておりません。たとえば吉田総理、あるいは官房長官、法務総裁が見えておりませんので、その点は後日御質問申し上げたい。  実は自立計画を拝承いたしまして御苦心のほどがよくわかるのでありますが、私は農業関係のことにつきまして、特に政務次官のお答えをいただきたいと思つておることがあります。食糧生産の確保につきまして、ここに二十八年における食糧生産目標を、米について六千八百万石、麦について二千七百万石、合計九千五百万石を予定せられておるようでありますが、このときの人口は一体どの程度に見ておつくりになつておられますか。
  61. 小峯柳多

    小峯政府委員 技術的なことにわたりますので、説明員からお答えさせます。
  62. 佐々木義武

    佐々木説明員 全体の人口の増加に関しましては、この前に差し上げました資料の二ページのところにございますので、それをごらん願いたいと思います。
  63. 志田義信

    ○志田委員 これは日本全国の人口統計であろうと思いますが、農業人口はどのくらいに見ておられるかお尋ねいたしたい。
  64. 佐々木義武

    佐々木説明員 ただいま資料を持つて参りませんので、この次にお答えいたします。
  65. 志田義信

    ○志田委員 資料がないそうでありますから、後ほど委員会にお届け願うことにいたしまして、それでは昭和二十八年における食糧生産目標には、干拓、開墾等の計画が加わつておるのかどうかその点をお尋ねいたしたいと思います。
  66. 佐々木義武

    佐々木説明員 この前にもその点若干触れたのでありますけれども増産には二つの種類が考えられます。耕種改良による米麦の増産、農地の拡張改良による増産計画と両方にわけまして、今御質問がありました農地の拡張改良による増産計画の中で、開墾の面からは二十八年度米麦合せまして、三五十万五千石の増収をはかりたいと思つております。干拓につきましては、米麦合せまして二十八年度に十一万六千石、それから公共事業及び見返り資金による土地改良につきましては、二十八年度に両方合せまして百九十一万八千石、融資による土地改良につきましては、三十三万三千石を増産いたしたいと考えております。
  67. 志田義信

    ○志田委員 実は農林省がわれわれ自由党の政務調査会に二十六年の予算を要求して参りましたときに、私も政調会副部長といたしましてこれに参画いたしたのでありますが、七百五十億を要求いたしましてこれによつてさしあたり三百五十三万石の増産ができる。それからさらに二百四万石の減産防止を考えておるというふうに説明を受けたのでありますが、一体二十八年度における食糧生産におきましては、農業人口の数をどの程度に見て、農業所得を国民所得の何パーセントに見ておるのか、その点をお尋ねします。
  68. 佐々木義武

    佐々木説明員 国民所得の中におきまする農民所得の面につきましては、ただいま二十四年度の計数が出ておりますけれども、手もとにございませんので、はつきりしたことを申し上げられませんが、大体二割から二割五分くらいの間じやなかろうかと思います。
  69. 志田義信

    ○志田委員 二十八年度農業人口はどのくらいに見ておられますか。
  70. 佐々木義武

    佐々木説明員 さつき申し上げましたように資料を持つて参りませんでしたので……。大体四割七、八分くらいだと記憶ししおります。
  71. 志田義信

    ○志田委員 農業人口のとり方は何によつてつておりますか。
  72. 佐々木義武

    佐々木説明員 農業センサスからとつております。
  73. 志田義信

    ○志田委員 それではお尋ね申し上げますが、国勢調査にあわせて検討しておられるのですか。
  74. 松田壽郎

    ○松田説明員 国勢調査とは日時が一致しておりませんから。直接には結びつかないのですが、大体そこから推測をして国勢調査のことを考えてよろしかろうと思います。
  75. 志田義信

    ○志田委員 今の説明で非常に不安なものを私は感ずるのであります。ややもすると、日本の統計というものは非常に杜撰であるという批判を、GHQから受けておるのでありますが、これに対する政務次官のお答えをいただきたい。
  76. 小峯柳多

    小峯政府委員 御指摘通り日本の統計全般の信用度が非常に少いということはしばしばいわれるところでありまして、そこで統計委員会をつくつてその整備にあたつているわけでございます。自立計画資料にいたしましても、そういう点がかなりありまして、使います場合には、適当な修正をしなければならない場合もあります。なおこの機会にひとつお断りしておきたい点は、私どもまだ自立経済計画の作業のまつ最中でありますために、全般的なものを一緒に見ているわけで、こまかい点で不備な点はありますが、資料の不備なものはあらかじめ御指摘いただきまして、整備してやるようにいたしたいと思います。行届まませんので、この点私から特にお詫び申し上げます。
  77. 志田義信

    ○志田委員 その点は正確な資料日本政府にできました場合に、またひとつ拝見いたします。開墾、干拓によつてこれだけの食糧増産をやるというも考えでありますが、開墾の問題について、ぜひ安本当局としてお考え願いたいことが一つあるのであります。政府の御援助によりまして、北海道に開拓者を多数送つております。ところが先日私は映画のニユースでも見ましたし、この夏北海道に国政調査の班長として参りましたときにおきましても、天北原野その他の状況等の話も、北海道副知事から承りましたが、落伍者が非常に多い。ことにこの開拓、開墾の落伍者というものは、何パーセントの落伍者などという程度にとどまらず、半数以上にもなるということを、私たち東北に生をうけました者として考えてみるときに、まことにこの開墾事業の困難を思わせると同時に、政府の施策では、必ずしもこれに必要とする援助を与えていないのではないかという声を多分に聞いたのでございます。そこでこういう落伍者が多いということは、開墾に不適格なものを開墾に向わせることが、私は非常な影響があるのではないかと思いますので、特にこの割当の厳選主義というものを考えていただきまして、これならば北海道に行つて苦労しても、開墾者としての実力を発揮できるというようなものを厳選して、各県に対する画一的な割当をこの際やめていただいて、適地適人の厳選をやつていただけるように願えないものかどうか。たとえば北海道と寒さの点におきましても、生活の点におきましても似ている山形県であるとか、新潟県であるとか、長野県であるとか、そういうようなところに対しましては、他府県よりも多くの割当をやるというお考えがあるかどうか。その点をお尋ね申し上げます。
  78. 小峯柳多

    小峯政府委員 開墾の問題が、御指摘のような面で必ずしも十分な成果をあげてないということは私ども承知いたしております。そこでただいま御指摘なつたように、入植者の質の問題も、あるいは取組む土地の性質の問題も、十分吟味いたさなければならぬと思います。そこで二十六年度公共事業で開墾の仕事をします場合も、私どもは従来の間口を広げたやり方から、間口を狭めて今までに始まつたものについては、なるべく早く結論づけるように、間口を狭める方針をとつたわけであります。なお今御指摘のようなことは、実情に応じて強力性のあるはからいを——これは直接農林当局がやつておりますが、方針といたしましては私どもも同感の点がありますので、よくその点を考えたいと思います。
  79. 志田義信

    ○志田委員 これだけ開墾、干拓その他によつて増産を期待しておられる安本当局の計画でありますから、その点については十分今後とも御検討くださることと思いますが、二十五年度の入植者は、最初一万戸のところが今度は六千五百戸くらいに切られております。そこでこの三箇年計画自立経済計画では、一体どのくらいの入植者をもつて開墾、干拓をやらせるお考えであるか、その点を伺いたいと思います。
  80. 松田壽郎

    ○松田説明員 この農業の開拓、土地改良、干拓というものの内訳の詳細はまだできておりませんが、現在一応考えられております開墾の計画については、二十六年度は現在の公共事業でほぼ内定しております数字をとりまして、二十七、八年度におきましては大約一万戸程度開拓に入れるという計画てなつております。
  81. 志田義信

    ○志田委員 ちよつと話が横にそれて来ておりますが、一体この計画をつくる場合におきまして、二十七年、二十八年度、二十九年度の国民所得の推計をどのくらいに考えておられますか。なおその前に、二十五年度の国民所得はどのくらいにお考えになつておるか承りたいと思います。
  82. 小峯柳多

    小峯政府委員 ちよつと中座いたしましたので話がずれるかもしれませんが、国民所得の問題だと承知して答弁してよろしうございますか——。御承知のように、私の方では国民所得の調査室を置きまして、過表の実績の集計に重点を置いてやつております。そうしてその過去の実績の集計を伸ばしまして、随時将来の計画等も立てておるわけであります。二十五年度数字は、今のところ大体三兆二千億円ないし三兆三千億円の見当に押えております。そうして同じ材料から二十六年度のものを引伸ばしますと、三兆六千億ないし三兆七千億という数字に押えております。
  83. 志田義信

    ○志田委員 せつかくそういう委員会をつくられて統計の完璧を期そうとするのでありますから、これは非常にけつこうだと思うのでありますが、聞くところによりますと、昭和二十四年の国民所得におきまして、安本当局つまり日本政府が出した書類についてGHQではこれをワシントン大学のヒユーバー博士に依頼して精密調査をやつた結果、その間に非常な誤差がある。二兆六千億と思いましたが、それに対して七千億からの誤差があるというふうに聞いております。それについて安本当局はいかがお考えになつておるか承りたいと思います。
  84. 小峯柳多

    小峯政府委員 御発言のありましたように、ワシントン大学のヒユーバー博士が、先般司令部の客員のような形で来ておりまして、直接安定本部にも見えられて、安定本部の所得作業の調査などもいたしておりました。その結果、これは歴年度でありましたが、歴年で約二兆九千億と私どもが押えているのに対して、約五千億過小の見積りをしているという指摘をして参つたのであります。その報告が司令部に参りまして、司令部から非公式の覚書で安定本部に対して、こういう申立があるから検討してみろという御指摘がありましたことは事実であります。ところが先ほど志田委員から御指摘がありましたように、私の方としても、まだ日本の統計材料というものが非常に不十分であり、またその集計技術なんかにつきましても研究中の点もありますので、きつぱりしたなまいきなことは言えませんが御指摘の業種別の数字を私どもで検討いたしますと、多少ヒューバー博士の方で思い違いをなさつている点もあるのではないかというふうな点もありまして、私どもの方の数字が、御指摘されたような過小の見積りになつていないのではないかという結論が出たのであります。従つてそういうようなことを——また繰返して申しますが、私の方としては不備な点があるからきつぱりしたことは申せませんが、私どもが精一ぱいやつたことで、それほど違いはないのではないかということを、これも非公式にお答えしております。
  85. 志田義信

    ○志田委員 この問題については、今お話を承るだけでも五千億からの数字の違いがあり、これは必ずしも小さい数字ではないと思うのでありますが、それだけの誤差を来した原因は、ヒユーバー博士に言わせれば、一体どこにあると安本に申し出て来ておるのか。その点をお尋ねいたしたいと思います。
  86. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは業種別に申しまして、商工業の個人業種所得であります。これが一番多いのであつて、二千億円と推計しております。法人所得で千二百五十億品、農業所得で八百億円、勤労所得で七冨五十億円、自由業所得で二百億であります。そのうち一番代表的なものにつきまして見解の相違する点を御説明申し上げますと、私の方は全国十五の地方都市を対象といたしまして、所得の実際の調査をやつておるのでありますが、その十五の都市の実際所得をそのまま伸ばして、この商工業の個人所得をきめるわけには参りませんので、その十五の都市の調査と、全日本的な業種所得との比率を一ぺんはじき出して、その数字で換算しなければ、正しい所得にはならないのではないかと考えているわけであります。そこでこの十五の都市とその十五都市を除いた他の地域の業種所得との比率をひつぱり出すということを考えました。これは必ずしも十分ではありませんし、満足をいたしておりませんが、税所得を比較して、十五の都市の税所得とその他の十五都市を除いた地域の税所得との割合を出したわけであります。そうしますと、十五都市の個人業所得の平均は、それを除いた全国の所得の数字に比べて、約二割五分ほど多いめであります。それで調べ上げました数字から二割五分ほど減さないと、全国の数字が出て来ないという方法を使つたのであります。この点はヒューバー博士が安本においでになつたときに、係の者から説明したのでありまして、そのときはその話を聞いてお帰りになられたのでありますが、その数字使い方に疑問がある。むしろその二割五分の修正をするというようなことは、少しおかしいのではないかと考えるというようなお言葉がありました。しかし私どもの考えでは、十五都市をピック・アップして抽出調査をしておりますから、その他との均衡というものは、数字については何かの修正をしなければ全国的な数字にならない。この点が問題になりまして、大体そういうようなもの、たとえば勤労所得については現物給与だとか、あるいは会社などの厚生施設なんかについての計算も落ちておるのではないかという御指摘であります。ですから、非常になまいきな話ですが、少し見方が違うだけでありまして、方法論といたしまして、私どもが非常にルーズなことをやつているということは、私ども事務当局といたしましても、そういう感じはしないわけであります。
  87. 志田義信

    ○志田委員 どうでしようか、ヒューバー博士はその筋の専門家であると思いますけれども安本にもそれぞれ専門家がおいでになりますが、日本安本の国民所得と国民生産の概念において、ヒユーバー博士と異なるところがあるのではないか。その点をひとつ承りたい。
  88. 小峯柳多

    小峯政府委員 相違のある点では——このごろは国際的に大体近寄つて参りましたから、そう大きな変化はないと思いますが、日本で利用する資料が少いという点で、利用の仕方で意見が違つたのではないかと思います。なおこの機会に申し上げますが、私の方から近く二、三名の人を、ヒューバー博士と一緒にあちらで研究していただくためにアメリカに派遣するつもりであります。そうしまして、統計というものは国際的に数字が出て参りませんと、自立経済の論議の場合さしつかえがあると思いまして、安本は全力をもつて日本経済を明るくさせるというので、今計画を進めております。
  89. 志田義信

    ○志田委員 今個人の所得が二千億と言われました。これはたとえば会社重役の俸給以外の收入というようなものにつきましても、たいへん関係するのだろうと思いますが、私の承りたいのは、その誤差の出たうちの三番目、農業関係の八百億というものは、農業の現金收入というものを落しておるというような考え方から、八百億を出しておるかどうか。これをひとつお尋ねいたしたいと思います。
  90. 小峯柳多

    小峯政府委員 御発言の通りであります。農業の現金支出というようなものは、自家消費の対象の分が落ちておつたという見方でありましたが、実はその後正確な農林省の統計が出て参りますと、これは非常におかしな言い方でありますが、私どもが間違つてつたとおつしやいますけれども、結果においては正しかつたのです。最初においては誤つてつたが、結局において正はしかつた。しかし方法論としては、この点私どもの方で見落しておつたということになります。
  91. 志田義信

    ○志田委員 そうしますと、たとえば東京に一日三千俵の米が入る、その米は付近の農民が生産したもので、その費用というものに、やみ米の問題が非常に出て来るということになるだろうと思うのですが、こういうふうな状態で、安本の推計とGHQの経済科学局の考え方と、三分の一程度の誤差があるということになりますと、これは誤差の分だけが徴税の対象になつていないという見方を向うでしておるのかどうか、その点をひとつ承りたい。
  92. 小峯柳多

    小峯政府委員 これは確かに税の方からは目こぼしになつておるものがあると思いますが、徴税技術にはやはり限度がありましよから、そういうことになるのだろうと思います。私ども政府の統計とマッチさせるものではなしに、私どもの方では私どもの方として結論を出したいと思つてつております。
  93. 志田義信

    ○志田委員 これはけがの功名で、最後の点では安本の方の数字にまた返つて来たという御説明があつたようでありますけれども、たとえば二毛作、三毛作できるような方の農業の所得と、われわれの方の東北八県の單作地帯とでは、所得の内容におきましても、自家消費の点におきましても、私は非常な相違を来しておると思う。現に東北では、ことに米どころの山形県におきましては、公定価格よりもやみ米の方が下まわつておるというような状態であります。今昭和二十五年の国民所得を推計されておられるようでありますが、二十五年の国民所得におきまして、こういう指摘を受けたから、農業関係の現金所得が多いだろうと思い、あるいは多くなると推計してみたりして、そうしてこれを税の対象にまでするようなお考えをされては、單作地帯の農民といたしましては非常に困難でありますから、それに対する安本当局のお考えを承りたい。
  94. 小峯柳多

    小峯政府委員 私どもでは、利用すべき資料をあらかじめきめておりまして、それの伸ばし方も、集計の仕方も、技術的にきめておりますから、政策的なあるいは特別な色めがねで数字をいじるようなことは絶対いたしません。その点はどうか御安心を願いたいと思います。
  95. 志田義信

    ○志田委員 それを聞いて安心いたしました。しかしヒューバー博士が皆さんの方に申し入れておる言葉は、なかなかそう簡單なものではないように私は聞いております。この推計は適当ではない、大部分は不完全な、不一致なものを来しておる、誤解でないとすれば、ある意味においては虚偽の推計に基いておるとまで極論しておるというお話でありますが、かようなことでは、日本政府の国際信用というものは、まことに脆弱なものといわなければなりません。従つてわれわれといたしましても——もちろん政府のそれらの推計にあたりましては、どういう抽出方法でもけつこうでありますが、どういう資料に基いてやるのであるかということを、当委員会においても、ぜひ私はつまびらかにいたして、われわれ自身もまた現実の政策の上にそれを取入れて、農民の現金所得の実際を調査いたしたいと思うのでありまするから、どうぞ安本当局におきましてもその点をおくみとりくださいまして、今日農業の危機を叫ばれておりまする日本現状におきまして、そういう点からも農業の人口の顯微鏡的な検出方法をぜひやつていただきたいと私は思う。そういうことをする考えがあるかどうかをお尋ねいたします。
  96. 小峯柳多

    小峯政府委員 統計に関するお話が志田委員から出まして、経済安定委員会で申されることは慶賀すべきことだと思いますが、私ども数字を基礎として物を考えたいと思います。安定本部数字に関する限り、日本で一番確実なものにする考えで、統計委員会とも緊密な連絡をとつて、統計の固め方に努力しております。  なお先ほど来申し上げますように、一朝一夕にして使う統計が整備されるわけではありませんで、にわかにどうのこうのと言うわけには参りませんが、必ずその方面に邁進するつもりであります。なおまた国民所得の算出の仕方などにつきましては、もし御希望とありますれば、専務担当者から詳細に説明をして、こういう数字をこういうふうに使つておるというところまでお話させてけつこうだと思いますが、御趣旨に従いまして、日本のぜひ統計を、私どもが中心になつて、りつぱなものに仕上げるつもりでありますから御了承願います。
  97. 志田義信

    ○志田委員 今政務次官の誠意のある御答弁をいただきまして、本員も大いに満足に思います。そこで経本の今まで使つておられる、これらの推計資料となつておるものな、勤労所得、毎月勤労統計、あるいは毎月労働月報、そういうものでやられておるのであると思いますが、これはいずれも他省が分担してやつておるものであります。この機会にこういう統計を確実なものにするためには、そういう各省の統計だけによらずに、安本自身の持つておる機能による統計を完備するお考えを、現在あるいは将来においてお持ちになつておるかどうかお伺いいたしたいと思います。
  98. 小峯柳多

    小峯政府委員 統計は、直接現業を担当しておる官庁が、一つの方向によつてやることは、費用の点からいたしましても、あるいはまた能率の上からいつても一番よいものだと私は思います。従つてどもが直接やるということになりますと、それだけでも、もう一つ安定本部をつくらなければならぬというような大仕掛なことになりますので、今お話のありましたような趣旨で、私どもから統計委員会の活動も十分御援助いたしまして、日本の統計を各所で使つておるものについても、漏れがあればこれを補うという方法に進みまして、直接安本がやるというよりも、全体の統計の正確度を期して行くという方向に、むしろ私どもは幹事役になつて進めて参る所存であります。
  99. 志田義信

    ○志田委員 それでは本問題につきましての私の質問はこれで終りまして、先ほど申し上げました韓国における日本人の主命の問題につきましての御質問は、後刻所管大臣がお見えになりましてから続行いたしたいと思います。
  100. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 私は明日質問をする前提として、政務次官にごく緊急の問題について一点だけ伺つておきます。それは今の朝鮮の戦局であります。われわれも自立経済をきわめて重要視いたしておりますが、今の朝鮮の戦局は国民ひとしく注視の的であります。われわれは不幸にしてこの正確なる情報を得られません。政務次官は政府部内においていろいろ特殊の情報をおとりになつておられろことと存じますが、この情報をわれわれにお聞かせをいただける程度のことがあれば伺いたい。というのは、私はあの段階いかんによつては、今御苦心をし、しきりに努力をされておる自立計画も、きわめて大きな変更をしなければならないのではないかと思うのであります。この間総理の施政方針のうち、また質疑を通じても、臨時国会における補正予算その他は、朝鮮事変の変化を織り込んでああいうことにきめたのだということでありますが、政府の織り込まれた朝鮮事変に対する見通しは、おそらくわれわれの想像するところ、今日の事態をどこまで認識をされてやられたかということは、非常に疑問だと思います。従つてそこいらは、情報等がおわかりになれば、ひとつ率直にお考えを伺つてわれわれがこの自立計画を検討するにあたつての、政府の現段階における心構えを一応伺つておきたいと思うのであります。
  101. 小峯柳多

    小峯政府委員 せつかくの御質問でありますが、私どもも実は正確な資料を持つておりません。ただ、今朝鮮動乱に対する政府の態度は、安定本部が幹事役になりまして、各省の事務次官、総務局長等を構成員とする情報連絡会を持つております。しかしこの情報連絡会も、外国から特に新しいニュースのソースが手に入るわけではなしに、特需に集まる数字的なものを持ち寄りまして、数字に現われた動乱動きというか、数字を通じて動乱を見ているだけであります。その自立経済の審議をなすにあたりましても、今御指摘のような問題が一番大きな問題になりまして、ある委員のごときは、むしろその問題の見通しがつかぬ限りは、自立経済の審議をしてもむだだと、今竹山委員の御指摘のような発言もあつたくらいであります。しかし今の日本政府といたしましては、外交機能も復活されておりませんので、十分なものを持つておりません。もちろんそういう見方にはなるのでありますが、そういうふうに激動が予想されればされるだけに、一応自立経済の軌道だけは敷設してへ激変する経済でその軌道がどういうふうにゆがむか、そのゆがみを見出すために、一応まつすぐな線をひつぱつておくということが必要ではないかというような意味で、自立経済の審議をやつているわけであります。もし今の御発言のようでありますと、自立経済意味が非常に薄くなるようでありますが、私どもは、世界情勢から来るゆがみを、しつかりつかむためにも、一応正常なコースで自立経済計画を立てておこうじやないか、かような心構えであります。しかし実際問題となりますと、御指摘のようにいろいろ激変もあろうと思いますので、予算の上ではそれらしい考慮も加えておるのだろうと思います。まだ二十六年度予算も正式に発表になつておらぬようでありますから、私どもからどうのこうのと申し上げる段階ではないと思いますが、全体として、予算の中にも超均衡的な面からするクッシヨンといいますか、一つのポケットはなくてもいい段階でありますが、予想されるいろいろの激変に備えて、依然としてクッシヨンらしいものが、見返り資金にも、あるいは二十六年度予算にも、多少残つていおように仄聞しております。今私の申し上げますのはこの程度の範囲で、まことに御質問の趣旨に沿いませんが、私どもは、激変する中にも、一応の軌道だけはつくつておきたいというつもりで、自立経済の審議を進めておるわけであります。
  102. 竹山祐太郎

    ○竹山委員 御事情はよくわかりますが、この問題は国家の運命に重大な影響がありますので、われわれも誠心誠意協力しますから、どうか明日の審議にあたつて、わかる範囲の情報をひとつ率直に述べていただくようお願いを申し上げて、本日の質問を打切ります。
  103. 金光義邦

    ○金光委員 ちよつとお伺いいたします。来年度見返り資金の配分について、公共事業費に対しては割当がないというようなことをちよつと聞きましたが、一体どういう理由でそういうことになつておるのか御説明を願います。
  104. 小峯柳多

    小峯政府委員 見返り資金も、二十六年度予算もまだ最後決定に至つておりません。非常に大詰めに近くはなつておりますが、決定に至つておりませんので、批評がましいことを申し上げることはどうかと思いますが、ただ一般の予算の方で金額がふえれば、見返り資金の方はしぼつてもよかろうではないかというお考えのようであります。しかしこのお考えは事務当局からのお考えでありまして、なお私どもの長官も、また建設大臣も、また政府全体としても、この見返り資金公共事業費に関する限り折衝を続けておりますから、もう二、三日お待ちを願いたいと思います。
  105. 圖司安正

    圖司委員長 他に御質疑がなければ本日はこれにて散会いたします。次会は明日午後一時より開会いたします。     午後三時五十八分散会