○並木委員 それでは私は用意して来ました原稿を読みます。
私は対
日講和條約に関連して
質問いたします。先ほど政務
次官の御
報告の中にもありましたが、
アメリカの対
日講和條約案のいわゆる七原則には、
日本の軍備を禁止する
條項を含んでおらないようであります。さればとい
つて、軍備を持
つてもよいという積極的表示もないようであります。そこで私は現在禁止されている事項で、
講和條約の中に何ら触れられなかつた場合の効力などについて確かめておきたいと思うのであります。第一にまず原則論でありますが、
講和條約は原則的には
戰争状態を終結せしむる最終的かつすべてであると
考えられますが、この点いかがでございましようか。
第二に、
従つて対
日講和條約
締結とともに、既存の
ポツダム宣言、
カイロ宣言、降伏文書、指令第一号、二号、三号、降伏後における
米国の初期の対日
方針などは、
日本に関する限りその効力を失うものと了解していいかどうか、この点であります。
第三点は條約前に禁止され、または
制限されていた事項が、條約で積極的に許される場合は問題はないと思いますけれ
ども、條約で特に禁止もせず、さりとて解除もせず、全然これに触れなかつたときはどうなるか。この場合禁止または
制限の解除という解釈を下してよいかどうか。たとえば伝えられる七
項目について見ますと、
日本の再軍備を特に禁止する規定は置かないようでありますが、もし置かないとすれば、これは禁止の解除と見られるか、その場合は、もし
日本が正式の手続をも
つて再軍備を
希望し、再軍備をするという方法がとられるならばしてもよいということになるのかどうか。もちろんこの場合は国内的には憲法の改正問題などがありますけれ
ども、この問題は別として、
日本はそういう場合にや
つてもよいかどうかということであります。
もう
一つこれに関連してお尋ねしておきたいのは、民間航空についてはどういうことになるのでしようか、民間航空については、降伏後における
米国の初期の対日
方針の第三部政治という
項目の中に、「何らの民間航空をも保有することなし」、「及び民間航空機は引渡され」云々とあります。またその第四部の経済の
項目の中に、一切の形式の航空機を含む軍用器材の生産、または修理のための一切の專門的施設の禁止」云々という
條項がありますけれ
ども、このほかに特に制約しているところの規定があるかどうか。この右にいうところの、何らの民間航空を保有することなしというその保有という意味は、單に所有という意味であるか、あるいは他から借用して来てやる場合がこれに含まれるかどうか。たとえば
アメリカならば、
アメリカから飛行機を借りて民間航空輸送をするならば、必ずしも禁止しないということになるのかどうか。この
條項は、もし
講和條約に特別に規定がなければ、これまた解除されると見られるかどうか。近く開かれると聞いております民間航空には、
日本の資本が入り、
日本人が採用されると聞いておるけれ
ども、実際はどう
なつているか。もしそうだとすれば、これは少くとも右にいう解除の前提あるいは一部と見られると思うけれ
ども、それでよいか。ここまで許されるとしたならば、一歩進んで、
日本人が経営の主体になることもできるのではないかというふうに
考えられるのでありますけれ
ども、
政府の御所見を伺いたいと思います。民間航空というものがどういう
根拠に基いて来月開かれるように
なつたか、そういう
根拠とともに、これらの点についての
見解を教えていただきたいと思います。