○
国務大臣(
池田勇人君)
政府は
産業の
合理化をやる
意思があるか、然る場合に
資金をどうして出すかという御
質問の第一点でありまするが、我々は従来と同様今後におきましても、必要なる
産業の
合理化は極力進めて行きたいと考えておるのであります。このために
通産省におきましては各
事業別に
合理化委員会を拵えまして検討を加えておられるのであります。併し
合理化に要しまする
資金は従来も
日銀から
斡旋融資をいたしまして相当出ておるのであります。我々は今後
国内金融からいいましても、又このために外資を導入する等、あらゆる手を盡しまして
金融の便を図りたいと考えております。従いまして
只今お話の
合理化の金庫という特別の
金融機関を設けて行く考えはございません。尚、昨年
通産省で調べました
中小企業のために要する百五十億円の
資金でございまするが、これは精選の結果七十億円或いは百億円の
中小企業に対する
長期資金が必要であることを認めまして、この春以来
勧業銀行或いは
興業銀行、
北海道拓殖銀行等を通じまして、この
通産省において調査いたしましたるものを必要なる
業者に先ず優先的に
斡旋をいたしておる次第でございます。
次に
中小企業に対する
金融の
措置が非常に貧弱ではないかという
お話でございます。併し我々は農業と同様に
中小企業に対しましてはあらゆる
金融の
措置を講じて参
つております。私は
暫らく時間を借りまして、今我々のや
つておりますことについて申上げたいと存じます。
先ず第一は昨年来
日銀の
別枠融資、
中小企業に対しまする
別枠融資をいたしております。これは
只今は四十一億円の枠にな
つております。四十億円ばかり出ております。商工中金或いは
興業銀行が主でございます。この二行で三十億出しておる。勧銀その他の銀行で十億円ばかり出しております。この枠は必要に応じましてどんどん殖やして行
つているのでありますが、
只今四十一億のうち一億円ばかりまだ金が残
つておるのであります。要求がありますればこれをどんどん殖やして行きます。又見返
資金につきましても今年一月から月一億円ぐらいの計画で進んでおります。これは四半期ごとに三億円と
なつつております。一—三月或いは四—六月におきましては三億円全部出ております。七—九月の現在の四半期におきましては、この七月中に三億円のうち二億数千万円を出す予定で行
つておりまするが、二億円を超えると思います。従いましてこの八、九月におきましては、三ヶ月で三億円というのを五億円か或いはもつとそれ以上に出すように
只今折衝を進めておりまするが、多分最近のうちにできると思います。即ち見返
資金の中から出ます
中小企業の三億円の枠は相当拡げられると私は確信いたしておるのであります。次に
中小企業に対しましての専門店をこの四月から設けました。この状況を申上げますると、六大都市並びに福岡を入れます七大都市に大銀行が
中小企業専門の銀行を設けまして、
只今東京の二十五を初めとしまして、福岡の五行を入れて六十四できております。で、四月の二十日から六月までの申込は一万四百件でございまして、六千五百件貸出をいたしております。要求は三十九億円でございましたが十六億円
只今貸しておるのであります。六月一杯におきましても相当の貸出が行われておるということは、六月の状況を見ましても確かであるのであります。私はこういう
中小企業専門の銀行から月に十億或いは二十億くらい出て行くことを期待して勧奬をいたしておるのであります。
次に見返
資金並びに
預金部資金の
融資という
お話でございます。私も先般来これを考えまして折衝いたしておりまするが、見返
資金からの
融資は先程申上げました
通りでありまして、預金部の
融資につきましては御承知の
通り預金部資金は国債、地方債、これだけにしか使えないというスキヤピンが出ておるのであります。然るところ公団
関係に特別に
融資を認めよというので昨年来認められておるのであります。僅かに国債、地方債、公団への貸付金、これに限られております。これでは併し余り窮窟でありますので、昨年の暮百億円の
預金部資金を銀行或いは無盡会社、信用組合に預託いたしまして、この預託の場合におきましても、大銀行よりも無盡、信用組合、或いは地方の小銀行に百億円のうち沢山出るように処置いたしましてや
つておるのであります。この預金部からの百億円の
融資はこの六月に引上げることにな
つておつたのでありまするが、私は預金部の折角こういうような
融資でございますので、今引上げることを成るべく先に延ばそうというので、引上げることをしない、消極的に援助いたしておるのであります。併し預金部の金は御承知の
通り今年度相当殖えておりますので、これを預金部から直接出すことを懇請するか、或いはこの預金部の
資金で他の方の債券その他を引受ける、そうして余裕のあつた所から
中小企業に出して行くか、いろんな手で
只今工交渉いたしておるのであります。
その他商工中金、或いは勧銀等で御承知の長期
金融債を発行いたしまして、
中小企業金融に出て行くよう努力いたしておりまするが、尚これではやはり十分とは申上げられません。従いまして私は今後におきまして輸出の
中小企業金融には特に力を入れますことは勿論でありますが、輸出以外の
中小企業に対しましても保險制度を設けたらどうか、即ち貸付金に対しまして、国庫或いは一定の
機関が貸倒れの場合の保証の任に当る、こういう制度を作りまして、これは
只今関係方面と折衝をいたしまして大体了解を得たと私は心得ておるのであります。併し本国会に出すことができませんことは、補正予算に
関係がありますので、本国会にはむずかしいかと思いますが、次の国会には
中小企業金融に対しまする保險制度を是非共御
審議願うような運びにいたしたいと考えております。従来の各地方公共団体でや
つておりまする保証協会、これと私は一応は並行をして行くという考えでおるのであります。
又
国民金融公庫は、
中小企業のみならず、もつと下の庶民階級の
金融として非常に役立
つているのでありますので、今年は十二億の出資をいたしておりましたが、私は次の補正予算を組む機会がございましたならば、これに対しまして相当の出資をなすと同時に、これは
政府機関でありますので、預金部の金もここに使い得るように
国民金融公庫が借入ができるという制度を設けたい。こういう今後の
措置といたしましては従来のあらゆる
措置を強化拡充いたしますると同時に、
中小企業金融の保險制度、或いは
国民金融公庫の増資、借入金の設定等を考えたいと思うのであります。
最後に、
地方税法案が通過いたしますと八月から納期にな
つて参ります。国税が滞納があり、又国税の今年度の徴収と地方税が三、四ヶ月ずれて而も年度内に徴収するということになりますと、徴税はなかなか困難なものが加わ
つて来るのであります。これは徴税機構を十分督励いたしますと同時に、納税者におかれましてもできるだけ金のやりくりが付くように一般の
金融措置をや
つて見たいと思
つております。
只今のところ四—六の第一四半期は三百億の引上げ超過でございましたが、七月に至りまして私はこれを取返すべく撒布超過をしたい、
政府からどんどん引上げるよりも二百億円ばかりの撒布超過を計画いたしております。而して二百億円の撒布超過のために見返
資金から二百億は債務償還をしようと懇請したのでありますが、その後
政府の撒布超過は予想以上に出まして昨日現在では債務償還としなくても二百三十億の撒布超過にな
つているのであります。このために
金融もちよつと緩んで参
つております。八月におきましては申告納税の金が入
つて来ますから普通ならば相当の引上げ超過になるのでありますが、
政府の支拂を促進する等あらゆる
措置を講じまして、撒布超過をして、第一四半期の引上げ超過を緩和する、そうして納税に便利を與えようと考えておるのであります。地方税の納税につきまして特別の救済手段としてはございません。これは特別に救済手段として、国税と地方税の納期を調節するとか或いは税法上の
措置はとりますが、やはり
金融を付けて経済を潤おすということが救済の根本であると考えておるのであります。(
拍手)
〔
国務大臣横尾龍君
登壇、
拍手〕