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1950-07-14 第8回国会 参議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十四日(金曜日)    午後二時八分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第二号   昭和二十五年七月十四日    午後二時開議  第一 国務大臣演説に関する件  第二 参議院規則の一部を改正する規則案竹下豐次君外六名発議)(委員会審査省略要求事件)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件。  内閣総理大臣より発言を求められております。これより発言を許します。吉田内閣総理大臣。    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  4. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 第八回国会開会に当りまして、ここに施政の方針を述べることを得ますることは、私の喜びとするところであります。  政府政策につきまして、一応当面の問題について所見を述べることといたします。  地方税改正法案の意図するところは、先に成立した国税関係の諸改正法律と共に、国税地方税を通ずる国民租税負担均衡及び軽減を図り、併せて地方財源強化拡充を通じて我が国民主化根幹たる地方自治及び財政の確立に裨益せんとするのであります。前国会において地方税法案は不成立に終りましたが、その結果は地方公共団体財政運営の上に甚だしく支障を来たしまして、政府としては各般の応急の措置によつて一応事態を糊塗いたしましたが、速かに地方税制を確立することを政府としては切望いたすのであります。政府種々事情を十分に考慮いたし、又その後における事情変化に即応し、又各方面の意見を尊重して、でき得る限り所要の修正を加え、し再び本国会に提出いたすのであります。もとより国民租税負担軽減は極めて重要のことでありまして、政府は引続きその軽減に努力いたしまするが、負担軽減国税地方税を通じて初めて可能なのであります。今回の改正案によつて地方自治強化を期し、且つは租税負担均衡を図らんとするものであります。地方税総額増加税種によつては若干負担増加いたしますが、国税及び地方税を通ずる国民負担総額においては軽減せらるるのであります。(「嘘だ」と呼ぶ者あり)地方財政自立の結果といたしまして、今後各地方において歳出を節減し地方民負担軽減すれば、それだけ地方民負担は軽くなる次第でありまして、私は地方財政中央財政と共に一層緊縮節約せられることを期待するものであります。  終戦以来占領下すで五ケ年を経過いたしまして、その間、国民独立心愛国心が幾分沮喪するに至つたのではないかと考えまして、私としては甚だ憂うべき事態であると考うるのであります。独立心愛国心のない国民国際間において尊重せらるる筈はないのであります。このためにも早期融和は必要なのであります。(「誤まれる愛国心ではないのだぞ」と呼ぶ者あり)早期講和は今や国民挙げてこれを希望するところであります。又早期講和を実現せんといたしまするならば、国民及び政党が挙げて一致協力、既往の行きがかりに囚わるることなく、小異を捨てて大同に就き、国家再建復興のために、先ず政治経済の安定に共に共に全力を盡すべきものであると考うるのであります。政府はこの全国民の要望を体し、講和に臨む国内体制を一段と整備いたしたいと考えて最善を尽しておるのであります。幸いにして最近殊に米英等連合国におきましては早期講和機運が強く擡頭いたして参つて、現に講和準備が進められておるということは、諸君におかれても外電によつて承知であると考えるのであります。  去る六月二十五日、突如として北鮮共産軍が三十八度線を越えて南鮮に侵入し、アジアの一角に紛争状態を現出いたしましたことは諸君承知通りであります。又国際連合において時を移さず加盟国大多数の同意を得て侵略者武力制裁を決定し、平和回復維持に極力努力いたしておることも、諸君承知通りであります。併しながら不幸にして只今南鮮においては混乱状態が現出いたしておるのであります。この突発事変は決してこれは対岸の火事ではないのであります。共産勢力の脅威が如何にすでに我が国周辺に迫つておるかを示すものであります。又赤色侵略者が如何にこの魔手を使うかということが又如実に我が目前において展開せられたのであります。即ち我が国自体がすでに危険にさらされておる、共産主義の危険にさらされておるのであります。この際、国際連合の諸国が敢然として多大の儀性をも顧みず被侵略者の救援に出動いたしましたことは、我々といたして誠に意を強うするものであります。万一大戦争が勃発した場合、我が国軍備撤廃の結果我が国安全保障がどうなるかということは、常に国民懸念中心であつたのであります。又この懸念より、この心配より、種々議論我が国においても現に又起りつつあるのでありますが、国際連台の今回の措置は我が国人心の安定に資すること非常に大である。朝鮮の問題によつて我が国において若し同じような場合が生じたならば、国際連合は決して坐視いたすものではないということは、我が国民は確信を得たものとしてこのたびの事変を重大視いたすものであります。我が国といたしましては、現在の状態において積極的に国際連合の行動に参加いたす立場ではありませんが、これに協力することは極めて当然のことであると確信いたします。かかる事態に直面いたしても尚いわゆる全面講和とか永世中立などという議論がありますが、これはたとえ真の愛国心から出たものであるとしても、これは全く現実から遊離した言論である。(「勝手を言うな」と呼ぶ者あり)のみならず、みずからを共産党の謀略に陥れる非常に危険なる思想であることを我々国民は悟るべきであります。(拍手我が国の安全は、我が国民自身が進んで平和を愛し、国際正義にくみするという、国民の精神・態度を中外に明らかにし、平和と秩序を愛する自由国家群と共に世界の平和に貢献せんとする国民の意思を中外に明瞭にいたすことにより、やがて自由主義国家の一員として我が国が迎えられ、又我が国の安全が保障せらるるものと私は確信いたします。(「独断だぞ」と呼ぶ者あり、拍手)  国民が一致して平和を確保し(「憲法を知つているか」と呼ぶ者あり)民主主義制度の樹立に努力すべき今日、一部国民の間に、過激な思想を鼓吹し、或いは紛議を挑発し、或いは他人を煽動し、或いは反米運動を使嗾し、更に国内治安を紊乱し、国家再建復興を阻害するのみならず、恰かも我が国においても共産主義が激化しつつあるかのごとく装い、早期識和機運を阻止せんとする者のあることは事実でありますが、(「国民の声だ」と呼ぶ者あり)これは私は誠に遺憾とするところであります。(拍手政府といたしましては、法の示すところに従つて、特に治安維持のために善処する所存であります。政府が先に日本共産党中央委員並びに同党機関紙アカハタ編集責任者に対し公職追放の手続をとりましたのも、又この興旨によるものであります。  政府はかねて治安維持警察制度につきまして深く留意研究をいたし来たつたのでありますが、去る八日我が国警察及び海上保安制度に関し、マツカーサー元帥より、最近の治安の状況に鑑がみ、更に我が国警察カ民主的諸国家の水準に達せしめるに足りるまでその数を増強することを許されるに至つたのであります。又海上保安庁も、我が国の長い海岸線を不法な入国や密貿易から守るために、更により多くの人員が必要であることは申すまでもないことであります。政府我が国治安に対し常に甚大なる関心を有せられる連台国最高司令官の好意を速かに具体化し、少数不法破壊的分子による民主制度の撹乱を防止し、密出入国の取締を嚴にするために、その與えられた権限に基き、警察予備員七万五千を組織し、且つ海上保安庁定員を八千名増加し、従来の国家地方警察及び自治体警察と相待つて我が国治安維持に万全を期さんとするものであります。  政府は先に本年度予算の編成に当り、前年度に引続き均衡財政の大方針を堅持すると共に、その実施に当つて財政金融との一体的な総合調整に意を用いておるのでありまするが、今や物価も賃金も一応安定を見、インフレの危険も去つたのであります。これは正に国民全体が誇るに足る安定政策の成功であるのであります。(「見当違いだ」と呼ぶ者あり)政府はこの安定を更に強固にし、復興再建への基盤を一層充実するために、先に財政経済の新政策を決定し、これが実現のため着々準備を進めておるのであります。  国民生活の向上については政府の常に意を用いて来たつたところでありまするが、なかんずく公務員の給與ベースにつきましては、財政の許す限り、又適当な時期において給與ベースの増額に努力いたさんと思うのであります。(「早くやつて呉れ」「はつりしろ」「いつだ、それは」と呼ぶ者あり)  今、貿易の推移を見まするに、昨昭和二十四年度における輸出入ともそれぞれ前年度に比し増加を示し、更に今年四月には戦後最高の実績を挙ぐる至つたのであります。併しながら未だ我が国経済自立への規模に達するまでには程遠いのであります。政府としては、貿易振興のため、協定貿易の促進、海外市場の拡大、殊に先に設置いたしました米国内在外事務所の効果に鑑みまして、更にスターリング地域及び東南アジア地域にも在外事務所を設置し、又輸出金融機関の設立に努力すると共に、従来の統制を大幅に撤廃いたしまして、世界市場への参加に資せんとするものであります。  失業対策政府も常に関心を有するところでありまするが、失業情勢は必ずしも楽観を許さないのであります。政府としては輸出産業中心とする民間産業振興を図る外都市及び農村を通じ、昨年度に倍する約一千億円の公共事業実施等による雇用量増加を、失業対策根幹といたしまして、失業情勢変化に即応して、本年度失業対策事業費残余額三十億円を一応繰上使用すること筆によりまして、応急対策機動的運用に資せんとするものであります。又失業保険法改正によりまして、失業者なかんずく日雇労務者の(「はつきり言え、はつきり」「耳があるんだから、聞えるようにやつて呉れ」と呼ぶ者あり)就職の確保と生活保護にでき得る限りの努力を傾ける考えであります。(「そういうようにしろ」と呼ぶ者あり)  以上、当面の施策の大要を一言申上げて、諸君の御了解を得たいと思います。(拍手
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 只今内閣総理大臣演説に対して質疑の通告がございますが、この質疑は明日に讓りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第二、参議院規則の一部を改正する規則案竹下豐次君外六名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。問、本案につきましては竹下豐次君外六名より委員会審査省略要求書が提出されております。発議者要求通り委員会審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明発言を許します。竹下豐次君。     —————————————    〔竹下豐次君登壇拍手
  9. 竹下豐次

    竹下豐次君 只今議題となりました参議院規則の一部を改正する規律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。  改正の第一点は委員会所管事項に関する問題であります。御承知通り第七国会におきまして地方財政委員会設置法及び電波監理委員会設置法が制定され、この二つの委員会が総理府の外局として識別されたのでありますが、只今規則の建前から申しますと、両委員会所管事項内閣委員会所管となるのであります。然るに実体的に考慮いたしますと、両委員会所管事項はそれぞれ地方行政委員会及び電気通信委員会所管とすることが適当と考えられますので、その趣旨改正を加えようとするものであります。  改正の第二点は、これも第七国会において制定されました公職選挙法によりまして、参議院全国選出議員選挙管理委員会が廃止されましたので、これに伴う所要の整理をしようとするものであります。  改正の第三点は、委員会議室における喫煙禁止の規定を削除しようとするものであります。  本案は概ね以上を内容とするものでありますが、事前に議院運営委員会におきまして慎重な協議の上作成いたし、各派委員共同提案として発議いたしたものであります。何とぞ速かに可決せられんことをお願い申上げる次第でございます。(拍手
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もかければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。六案に賛成の諸君起立を求めます。    〔総員起立
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつて本案全会一致を以て可決せられました。  本日はこれにて延会いたします。次会は明十五日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十九分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件  一、日程第二 参議院規則の一部を改正する法律案