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政府委員(鈴木俊一君) 非常に微妙な問題についてのお尋ねでございまして、私といたしましては、いささか御
答弁が非常にしにくいので恐縮いたしておりますが、結局
地方自治と行政というものとの調整というものをどの点に求めるかという
根本の問題に触れて来ることであろうと私は
考えておるのであります。結局シヤウプ博士の勧告の趣旨から申しますれば、できるだけ各
地方団体の行政の水準というものを引上げて、且つこれを均衡化して行くという
根本の狙いがあるわけでございまして、そういうところから平衡交付金制度というものが生れて来たわけでございます。その平衡交付金制度は、従
つて本来の狙いとしては、それぞれの
地方団体として、少くともやらなければならん、
教育でありまするとか、消防でありまするとか、警察という仕事も、これはどうしても或る水準以上に、これを維持する必要があると、それが理想であるという狙いを持
つておるのでありまして、その狙いをどういう形で実現をして行くかということにおいて、
方法上の点に問題がいろいろあるだろうと
考えております。平衡交付金法の現在の建前といたしましては、この中で
教育費として算定をいたしまするものは、これは飽くまでも
一つの
教育費の算定の基準でございまして、それを支出せよというようなことを平衡交付金自体としては、調整をいたしておらないわけでございますが、同時に又若しも
地方団体の行いますいろいろの種類の行政につきまして、国として全体的な
立場から、飽くまでもこういう種類の行政というものは必ずやらなければならん。而もその水準の
程度は、この
程度にしておかなければならんという必要がございますならば、それを
法律におきまして明確に調いまして、そうしてそれだけの義務付けを
地方団体に対して、国として要求するということを、平衡交付金法としては規定をしておるのではないのであります。そういうことを認めておりますが、又そういうことを前提といたしまして、それに対してという問題につきましては、それぞれの主務
大臣に対して勧告権というものを認めておるような次第であります。従いまして平衡交付金法の運用によりまして、実は相当
程度におきまして、
教育関係の
方々の御主張にな
つております線を実現できるのではないかというふうに、私共としては
考えておるのであります。例えば小
学校の施設等につきまして、児童一人について、〇・七坪と、こういう基準は
教育の水準を維持するために、どうしても必要であるというのでございますならば、これは
法律を以ちましてそういうことを規定し、それをやうない
地方団体に対しては勧告し、強要して行くと、こういうことが平衡交付金上も可能でありますし、そういう行き方と、平衡交信金法と矛盾していないのであります。ただ私共が柳か疑問に存じておりますのは、一定の金額を
教育費のために支出せよということが、国家として要求することが如何であろうか、
地方自治というものと、国の統制というものとの調整の問題として
考えまするというと、国としてはやはりこういう水準に行政を満せよという行政の質と量とを抑えるべきものであ
つて、金を支出せよという方向で抑えるのは、どうも国と自治庁との調整する
方法として適当ではないかというふうに、従来私共
考えて来ておるのでございますが、これは私共の見解でございまして、いろいろこれにつきましても御批判があろうと思いますので、政府全体の
立場といたしましても、先程
文部大臣も仰せになりましたような御主張も、政府部内にあるわけでございまして、まだ最終的に今後どういうふうにして行くかということについては決
つておらない。それぞれ所管のところにおきまして、目下研究中であるというのが
実情でございます。