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岩間正男君 私は
日本共産党を代表しまして、本
法案に不賛成の意を表するものであります。その理由としましては、先程の午前中の
質問の中にもいろいろ出たのでございますが、大体要約して次の二、三点を挙げたいと思います。先ず法は厳正なる実施が非常に望ましいと思う。
教育委員会法が一昨々年制定せられましてから、いろいろな訂正がなされました。又この
法案の実施面におきましても、午前中も
文部大臣に
質問したのでございますけれども、必らずしもこれが我が
国会の権威を高めるというような方向においては、実施されていなか
つた面があるのであります。然るにこの度国勢
調査ということを最大の理由としまして、この
法案に定められておりますところの
選挙期日を一ケ月延期するというようなことが言われておるのでありますが、成る程国勢
調査そのものも重要かと思うのでありますけれども、併し今までの
政府のやり来た
つたところから見まして、こういうような重複は、それ程これは実行面において故障を生ずべきものと
考えられない。
従つて政府の挙げておりますところの理由は極めて薄弱なものと言わなければならないのでありまして、こういうような
立場から、
法案がしよつちゆう変更されるということは望ましくない状態なのであります。これは同時に
教育委員会法の権威そのものに反する。この
法案そのものの権威に反するだけでなくて、実はこの
法案の実施によ
つてできる
教育委員会の権威そのものとも深い連関があるのでございます。御承知のように、今日の
教育委員会がどのような一体
日本の現状におきまして役割を果しておるかということは、これは
日本人民諸君の知
つておるところである。果してこれが敏速に
日本の教育振興のために最大限の自主性と、それから
責任を以て行われておるかどうかという点については、十分にこれは検討せなければならんところの現実であるのでありまして、これは法の厳正実施と非常に深い連関があるということを私は指摘せざるを得ないのでございます。このような点からしまして、これは私は根拠が薄弱であり、便宜的なものによ
つて、
法案の
一つの権威というものが左右されることにつきましては、根本的に先ず反対せざるを得ないのであります。
次に問題になりますのは、この
法案と連関しまして、
教員の
政治活動の
制限問題でございます。これは過般いろいろ
巷間に噂されているのでございまして、
参議院選挙が終
つた後におきまして、
教員の
政治活動はこれは非常に行過ぎじやないかとか、それからこれに対するところの
政府側の
調査、更に
文部省側の
調査、こういうものによ
つて教員の
政治活動そのものが非常に圧力を加えられておるというような情勢下にあるのであります。このこととこの本
法案の延期という
選挙日の延期というものは、全然無
関係とは
考えることができないのでありまして、来るべき
教育委員会選挙に当りまして、先ず一方において
教員の
政治活動の
制限をなした後に、このような
教育委員会の
選挙が行われる危險性も十分に
考えられることであります。然るに現状から見まして、このような
教員のこの
教育委員会に対する参加というものは、現状の
教育委員会の運営から見ますときに、非常に必要な面があるんじやないか。つまり教育の
実態を、
教育委員会の
実態を見ますときに、
教員からこのような参加がなされておち、そうして教育界の
意見が非常に反映されておることは、何と申しましても、現場における職員諸君が一番深い関心を持
つておる。こういう点から、
日本の教育を憂えるというこの気持が非常にこういう
選挙を通じまして浸透する、こういうことが現実的には必要だというふうに
はつきり考えられるのであります。ところが現状におきまして、非常に生活的に恵まれない、待遇の面においても恵まれないところの
教員の生活はそのままにされておりまして、
教員の
政治活動だけが
制限されるという形で、そのいろいろな教育に対するところの愛情或いは欲求或いはいろいろなこの教育に対する
希望條件というものが、本当に
一つの政治の形を通じまして表現される途が大きく
制約される点は、これは
日本の教育の今後の発展のために私は非常に憂うべき問題と
考えます。こういう
意味からしましてこの
法案で一方において延期し、そして事前において若しも
教員の
政治活動を
制約するというような方向を取られて、
教育委員会の
選挙が行われるという場合におきましては、形式的にはいろいろな議論もあるでありましようけれども、やはり甘木教育の現行状態から
考えまして私は望ましくない状態が招来されるということを
考えるのであります。こういう観念におきまして私はこの
法案そのものが先程の
官房長官の説明によ
つてはそういう
意図はないんだということが繰返されて話されたようでありますけれども、併し一方におきましては現在のいろいろな動向から
考えまして、我々は先程挙げました非常に根挙の薄弱なるところの法の
改正を今の段階において急速になすべき必要のないものである。こういう段階からして私は反対の意を表明するものであります。