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江田三郎君
大臣にお尋ねいたしますが、大体細かい点は
大臣にお尋ねするのは不適当でありますので、大きな筋だけをお尋ねいたします。
この
政府の
提案理由説明書に書いてある程度の大雑把な点でお伺いするのでありますが、先ず第一にこの
提案説明書を見ますというと、
政府買收の点と
委員会構成の変更の点とが出て来るのでありますが、
小作料値上げという問題については出ていないのであります。ところが
小作料が
値上げになるということになると
自然土地価が変
つて参りますし、又そういうことから
固定資産税等にも大きな
影響を及ぼして来るわけでありまして、若し
小作料が七倍
値上げにな
つて、それから今
審議されておりますところの
地方税法が
通り、その
固定資産税がかけられるということになると、
土地価としても、現在の闇の相場よりも尚高いものになる。
従つてそこから生れて来る
固定資産税というものは到底我々が常識で認め難い、大変苦しい、
家農の負担できない
ようなものになるのであります。そういう
ようなことで、非常に大きい
影響を及ぼすことを
政府の
提案理由の
説明書の中にお書きにな
つていないというのは一体どういうわけなのか、そういう点をそれ程大した問題でないとお
考えにな
つておるかどうかということであります。
それから第二にお伺いしたいのは、
政府買收を取止めまして、そうして
地主、
小作相互間で
農地委員会を中に置いて話をするといたしましても、どういたしましたところで
耕作するに適当なものというよりも
むしろ金を持
つておるものという方に流れ勝ちにな
つて来るのではないか、そういう点からして
土地の兼併という
ようなことが行われ易くなりまして、
農地改革の大きな
精神と変
つて来る
ようになる。
従つて昭和二十四年十月二十一日の
マツカーサー元帥の
書簡の
精神とは大変に変つたものになるわけでありまして、そういう点依然として
政府買收という線は残して置くことがこの
書簡の
精神に忠実な
ように思うのでありますが、その点をどうお
考えになるか。
それから第三に、
委員会構成の問題でありますが、ここでは
小作農及び中以下の
経営規模に属するもので
小作的と
考えられるものを一
号階層として五名、
耕作の業務を営むもので右に該当しないものを二
号階層として十名ということになりますが、これは
農地局長の
説明によりますというと、これを五名と十名とした場合でも実際にこういう
経営規模に属するものの数の、
全国的な総体の数からいうと、それでも尚
小作的と
考えられるものを優遇しておるという
ような
説明があつたわけでありますが、我々はそういうことでなしに、一方に
小作的と
考えられるもの、そうして他方に二
号階層として別なものを持
つて来るということになると、従来の
農地委員会の
運営から見まして、どうしても一
号階層と二
号階層と対立的な
気持になるのでありまして、その対立的な
気持になる場合には一
号階層に属する
小作的なものは五名であり、片方は十名ということになると、どうしても
小作の
立場にあるものの利益が護り得ない
ようなことになるのであります。これはただ統計的な
数字を以てどういう
階層の
農家が幾らあるからという
ような
議論でなしに、
農地委員会の実際の
運営に当
つて見るというと、そういう点が
はつきり分るのでありまして、この一
号階層、二
号階層に分けられたのは、
農地委員会と
農業調整委員会とを一本にするときの
考え方をそのまま持
つて来られたので、これを
はつきり切り離された場合には、この
考え方はお変えにな
つて、やはり
耕作を営まないものは別問題といたしましても、
耕作を営むものの中で純自作と
地主というものは分けまして、
地主的なものと
小作的なものの間にやはり緩衝地帶、
中立地帶として自作的なものを置く方が
農地委員会の公平な、公正な
運営かできるゆえんだと思うのでありまして、その点をどうお
考えにな
つておるかということであります。
それから次に、
従業農地改革の
予算というものにつきましては、甚だ
予算が足らないのでありまして、例えば私のおります岡山県あたりの例をみますというと、今度の
登記事務をいたしますのに、
予算の
範囲では賄い切れないで、結局耕地を新しく取得する人から
登記に必要な五十円とか百円とか、これは掛けてはならない金を掛けてやつとやり繰りをしておるということが多いのであります。そういう点かやはり今度も同じ
ようなことになると思うのでありまして、例えば今度の
維持資金或いは
土地の
取得資金についての
金融措置をやる、それに対しましてその
事務の
予算措置をやらなければならんのでありますが、そういう
予算措置なんかについてもこの際
考えられていない、
考えられてはおるんでありまし
ようけれども、今度の
予算には出ていないのでありまして、私は
大臣に一番期待しますことは、恐らく
大臣の大きな
政治的手腕を以て金をと
つて来られ、この
予算を大きく殖やすことであると思うのでありまして、そういう点については
一つ思い切つたことをやられる意思があるかどうかということであります。
そこでもう
一つ最後に金の問題について関連いたしまして申上げますというと、先般来問題にな
つておりましたところの
維持資金或いは
取得資金の問題でありますが、これも昨日
大蔵大臣に質問してみますというと
大蔵大臣は昨日の
答弁に、昨日、つまり今から言えば一昨日、初めてこの問題を聞かれたという
ようなことでありまして、こういう問題は、普通の場合であれば地方自治体を通じて金が出るのであるから、
関係方面の
承認は要らないけれども、併しこれは
法律に基いて行くのであ
つて、異例の場合になるからしてその点
はつまりどうなるか分らんが、大してむずかしくはないと言われましたが、我々は従来の経験から見まして
大蔵大臣が言明されたことだけでは安心できないのでありまして、例えば先般の
参議院の選挙に当りましても、
輸出金融公庫という
ようなものを
はつきりと
大蔵大臣が公約されておりましても、それがなかなか実現の運びに至らない、こういうことでありまして、もつと
はつきりと
大蔵省が
承認し、更に
関係方面、ESSなんかを加えた
関係方面の了解が
はつきりしておらなければならんと思うのでありますが、そういうことについては
大臣の方は
はつきりとした
確信を持
つておられるかどうか、これはただお上手な御
答弁ができると思うのでありますが、上手な
答弁だけではなしに
政治責任を負うた、
はつきりした確約かできるのかどうか、そういう点を先ずお尋ねしたいと思います。