○溝口三郎君 私は
食糧増産と
土地改良問題についてお伺いいたしたいのであります。
先程
大臣の御
説明でも
食糧の国内の自給化を図りたい。それには
土地改良を第一に
考えるという誠に結構な
お話でありますが、これにつきましては前
国会でも総理の施政演説にも国内の
食糧の自給化と農地の改良保全をやりたいというようなことでごさいましたが、本年度等の事情を見ますと、美は
土地改良、
土地改良ということか非常に言われておりますが、
土地改良の
予算は僅かに本年度あたりは三十億くらいしかないのであります。それで増産の目標はいくらかといいますと、二十九万石であります。今輸入
食糧が三百万トン入
つているときに、
食糧の国内の自給化を図るために三十億くらいしか現在はないような実情であります。これは
地方においても非常に要望があるのでございますが、殆んど手を束ねて待
つているような
状態であるのであります。自由党あたりでも
土地改良の十年
計画とか、又来年度は四百億を出すとかいうような噂も
地方では広が
つておりまして、非常にこれを期待しておるのでありますが、この点については積極的に
一つおやりになる目標と、或いは
計画等が
政府におありかどうかを
一つお伺いいたしたいと思います。
その次にお伺いいたしたいのは、先程
大臣の御
説明の中に、
土地改良をや
つて行くその種類でありますが、
用排水の改良とか、
畑地灌漑等を是非や
つて行くというようなことを先程御
説明があ
つたのですが、畑地灌漑というのはこれは非常に有効な施設だと思います。今まで殆んどなか
つたのでございますが、これから新しくお取り上げになる反当収量も畑地の二倍にもなるので非常に結構だと思いますが、ただ
用排水というと、今までの
考え方から行きますと、これは大体
農林省のおやりにな
つておるのは非常に大規模なものだけをや
つておられる。畑地灌漑というものもその性質上から言いまして、一団地の
ところへ灌漑の施設をやるというようなことで、いずれも
考えますと抽象的にどうも大団地の
ところを改良をや
つて行くという御趣旨のように取られるのであります。
地方におきましても無論こういうものも要望はしておるのでございますが、この点も是非積極的にや
つて頂きたいのでございます。
もう
一つ地方の山間僻地も、
土地改良を是非やりたいというような
ところは、そういう大きな団地は実はないのであります。いずれも小団地であ
つて、而もそのやることの必要は非常に多いのであります。こういうものは去年今年あたりは殆んど全部
予算がないのであります。是非ともこういう小団地までも普及できるように畑地灌漑、
用排水というようなことの御
説明が実はないのでありますが、客土とか暗渠排水というふうなものも、これは昨年あたりから全然や
つていないのであります。暗渠排水とか客土というのは、御
承知のように
食糧増産という面から見れば非常に効果の多い仕事です。実は
土地改良というのは初めて十八年にいたしたのでありますが、十八年当時一冬に二億七十万くらいの
予算を出した。今で
考えますと一冬三百億くらいの経費を出しているのであります。十八年も、十九年も、二十年は混乱しておりましたが、二十一年も二十二年も大体三百億くらいの
土地改良費でや
つたのであります。そうして客土とか暗渠排水というようなことで六割五分から八割ぐらいまで
食糧増産をや
つたことがあるのであります。
ところがそういう非常に効果の多いようなことになると、
政府は先程
大臣の
お話にありましたように、そんなに効果の多いものならば補助金は要らんじやないかというふうなことで、大蔵省なり経安本部で蹴られるとそれきりにな
つてしま
つて、今年あたりは殆んどや
つていない。こういう十八年、十九年にや
つたようなものは、丁度更新期も来ておりますし、これは
地方でも非常に要望があるのでありまして、先程の御
説明の中には、今年も同じように暗渠排水、客土とい
つたようなものについては、
予算に余り積極的に載せないのではないかというような印象を私は受けましたので、是非ともこういう点については
考えて頂きたいと思います。ただ
地方で言うておりますのは、大きな
ところばかり取上げて、小さなものは殆んど見ない、そういうような
考え方を
農林省は持
つているのかというようなことを聽かれますが、この点についても明確に
一つ御
答弁願いたいと思います。
もう
一つお伺いしたいのは、農地の保全ということでありますが、これは農地の改良保全ということを一口に言われておりますが、無論水害は今年も大分出ておりますし、水害復旧の促進は是非ともお願いいたしたいと思います。水害防止のために
治山治水というようなことは先程
お話もあ
つたのでありますが、私共
農業土木上から
考えまして、防水溜池とか温水溜池というふうな施設が僅かにあるのでありますが、私は
日本の水田の灌漑水温というものは、三百万町歩の水田殆んど全部が冷水の害を受けている。これは少し温度を上げれば、僅かの施設でもすれば、
食糧の増産になるので、今年のうちに是非水温の上昇施設というものをや
つて頂きたいと思います。これは二、三年前に
農林省もや
つたのですが、そんなに効果があるならば補助金は出さないというようなことで、皆大蔵省あたりで切
つてしま
つたというようなことがある。是非こういうことについては
大臣の
政治力で
予算をうんと取
つて頂きたい。
もう
一つ防水溜池というのがある。これは水害の防止のために私は非常に有効な施設だと思うのです。御
承知の、
中央線の與瀬にダムがあります。あれは昭和十年に実は
農林省で
計画を拵えて、最近でき上りましたが、あのダムは発電と上水道、灌漑用水と洪水防禦、その四つの目的を持
つたダムでありますが、あれと同じ構想を持
つた、もつと小規模のものを私は山間渓谷に分散配置すればいい。例えば
日本で十万ヶ所くらいの小さな小堰堤を拵えますれば、與瀬のダムは六十ケ所に匹敵すると思います。それが若しできれば三百万町歩くらいの水害の防上は完全にできると
思つております。こういうものについても殆んど現在二、三年前には金額国費でや
つたのでございましたが、十ケ所くらいや
つた、今は
予算関係で殆んど出ていないようでありますが、農地の保全ということも
一つおやりになるならば、そういう
方面に積極的にや
つて頂きたいと、こういうことについて
大臣の御
意見を承わりたいと思います。