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説明員(澤田達君) 安本の澤田
電力課長でございまするが、
只今お話のように
関係筋の折衝の時間の
関係がございまするので、この間さしはさんで頂きまして若干時間御
説明を申上げたいと思います。
電力の
割当制度の改正につきましては、七月以来第三四半期から実施いたすべく国内的にも愼重
審議を重ねつつ、且つその筋とも数次に亘
つて接触を保ちつつ交渉を進めて参
つていた次第でございまするが、いろいろ紆余曲折を経ましてあとで御披露申上げますが、国内的に漸く妥結しかかつた安本案によ
つて一時はまあ或る
程度まとまりかけたのでございまするが、その後
事情の変化がございまして、九月二日だつたと思いますが
一つの案が示されまして、それによりますると
電力割当制改正の大きな指示が明らかに
なつたわけでありますが、先ず第一に、従来の
割当制度の経験に徴しますると、
割当制度を單純にして安定させることができるということが分る。單純化、安定化すると二つの目的が達せられる。その二つというのは、官庁並びに
電気事業者の
割当事務の人員の節減、
従つてそれに伴う経費の節減が可能である。それから第二番目といたしましては、
産業経済に対しましては標準料金で
供給できる
電力量というものがはつきり
需要家に対して安定して通知されるので、
需要家側としては生産
計画も立つし企業の合理化もできますので、それによ
つて日本経済に寄與するところが大きい。この二つの目的が達せられる。こういうことが第一項であり、且つこの案の根本精神でございます。
それから二項におきまして然らばどういう
方法によるかと申しますと、料金
規定の種類によりまするとC1と申しますが大口
電燈、
業務用
電力C2、それから五十キロ以下の小口
電力D1、それからD2のところの三千キロ未満、三千キロ以上を除きましてD2の三千キロ未満の大口
電力、これに対しましては
需要家別、月別に標準料金で使用できるキロワット
アワーを
決定することによ
つて割当を安定することができる。この
割当制は然らばどういうふうに
決定するかと申しますると、本年の大月三十日までの過去一ケ年、つまり昨年七月から今年六月までの一ケ年間の月別、各
需要家当りの当初
割当、安本の基本
割当、つまり追加
割当を含まない当初
割当か、もう
一つは各
需要家の月別の
需要実績にある
一定の率を掛けたもの、そのいずれか大きいものをと
つて個々の
需要家、の各月の標準料金で使える
アワーを固定する、こういうことであります。この
一定率と申しまするものは、
会社別に豊水期は何%、
渇水期は何%、各地区の
水力発電比且
電気事業の收支から公正に決められた率であります。
そして三つ目に、
電気事業者は上記の計算をする必要な資料を持
つており、又
電気事業者は以上の計算をすべきであり又レコードを記録をすべきである、つまり
電気事業者に任かせるということでございます。
それから第四番目の新たな電気の
需要者、つまり六月以降新規
需要者に対してはどうするかと申しますると、新規
需要者に対しましては、同種類の既設の
需要家なみに扱う、こういうことであります。新規
需要者とはニューコンヅマーと
なつでおりますが、新しい
需要家は既設
需要家なみに扱う、こういうことであります。それから五番目にA1定額
電燈、A2メートル
電燈については変更する必要がない。それから三千キロ以上の大口
電力につきましては、従来
通りの
割当をするということでございます。
それから六番目に、この改正は十月一日から実施することとしその改正はできるだけ早く
需要家に周知徹底するようにする、こういう
趣旨であります。
本問題につきまして重要な点は、経済界の変動の激しい過去一ケ年間の各
需要家の非常に変動した
需要実績で、今後将来の生産活動を縛るということは
産業の実態に副わず、非常に重要な
影響を與えるということ、そのことにつきましてなお折衝中でございまするが、なかなかむずかしい次第でございます。右の案は冒頭に申上げました
通り割当制度の單純化と、安定化によりて人員の節減、それから各
需要家に安定した生産
計画なり、企業合理化ができるような処置を講ずべきである、この根本原則は何とかして実施したい、こういう意向が非常に強いようでございます。非常に
産業に
影響が重大でございまするので、本日御呼出しにより若干の時間を頂きまして速報いたした次第であります。
然らば
政府としては如何なる案を持
つているかというと、
電気事業者の牧支もある
程度はつきりし、電気
需要者も納得する線であるべきは勿論でありますが、
産業界、使用者側においても納得する案であり、且つ三四半期、四半期、
渇水期を控えた現在でございますので、余り急激な変化を起さないように漸進的な案で、でき得る限り
割当制の簡素化を図りたいという根本思想に基きまして、かねて
関係方面とも或る
程度話を進めて来た原案を更に
修正いたしましてなんとか案をまとめたいと考えております。その安本の当初案に基く具体的な案を簡單に申上げますると、C1大口
電燈とC2
業務用
電力、それからD1五十キロ未満の小口
電力、これにつきましては、前年同期の実績を基準に
割当をいたしておつたわけでありますが、これを次のような
方法で料金
規定の中に入れてしまう。その
方法といたしましてはC1大口
電燈につきましては、契約
電力一キロワット当り一ヶ月六十キロ時まで、冬は四十五キロまで、これまでは標準料金を適用してそれ以上は超過料金、それからC2
業務用
電力につきましては一キロ一ケ月当り百二十キロ時、冬は九十キロワット
アワー、これを標準料金を適用
段階といたします。それからD1五十キロ以下の中小
産業につきましては契約
電力一キロ一ケ月当り三十キロ時まで標準料金を適用いたしまして、それ以上の超過料金を適用する分につきまして若干の逓減を図りまして、三十キロ時超過して二百五十キロ時までの間の起過分に対しましては、普通ならば全額超過料金がかかるわけでありますが、夏は超過分の一割
程度の超過料金をかけて、冬は二割
程度の
アワーに対して超過料金を取る。但二百五十キロ時以上につきましては全額超過料金を適用する。超過料金の適用の幅に若干の制限を加える、かような処置を講じて個々
割当を廃止して
供給規程の中に織込んでしまう、こういう考え方でございます。これによ
つて現在発券いたしておりまする八十数万軒の
需要家のうち九七%
程度は発券が廃止されまして料金計算に移るわけでありますので、事務簡捷化は
相当程度達成せられる案でございます。それからいわゆる大口
電力につきましては如何ようにするかと申しますると、大口
電力のうち五百キロ以上のものにつきましては従来
通りの
割当をする、但現在いわゆる特定小口というように五百キロ以下でありながら大口なみの
需要家から個々申請を取りまして安本でアロケーシヨンしておつたものは、これはこの際廃止いたしまして純粋に五百キロ以上のもののみ約四千三百軒ほどでございますが、その約半分
程度に整理をしてしま
つて、従来安本が個々に発券いたしておりましたものの半分
程度に縮減してしまう、こういう案でございます。それから大口
電力の中の五十キロから五百キロまでのものにつきましては、前年同期の実績を基準にいたしておりましたのですが、一年前の使用実績でございまするので非常に実情に副わないで多々問題がございましたので、これを最近三ケ月例えば第三四半期の例で申上げますると、十月——十二月分につきましては、最近の五月——七月
程度の実績を元にして
一定式で
割当をするということに改善、いわゆる改善実績主義で行きたい、これは約一万七千軒ほどございまして、従来の切符を発券しておりました総数に対しまして、約二%でございます。五百キロ以上の安本
割当をいたしまするのは、従来C1C2を含めてアロケーシヨンしておりました総
需要家の〇・二%に当る約二千軒
程度の
需要家だけに安本
割当を存続する、こういう案でございます。誠に徹底し切らん案でございますが、諸般の情勢からこの
程度漸進して、更に実情を見つつ簡素化して、経済の情勢に合致しつつ
割当制を廃止して行きたいというのが安本の考え方でございます。
尚この案に対しまして問題点が二つあるわけでございますが、このC1・C2・D1についてアロケーシヨンを外して料金を
規定する場合の、例えば六〇キロ、四五キロというものにつきまして、或いはD1の二割、一割というものにつきまして
地域差をつける、各地区の
水力の
水力比によ
つて地域差をつけろという考えがあるわけでありまして、仮に安本案を採るとしましても、
地域差をつけるというわけでございます。要するにアロケーシヨンに
地域差をつけるというわけでございまして、このことは現在の料金そのものに
地域差がついておる上にアロケーシヨンに
地域差がつくわけでございますので、更に
地域差が激化するというわけでございまして、
政府といたしましては再
編成を目前に控えまして
地域差を激化するということはとるべきではないので、でき得れば一律で行くべきであるという考えを持
つております。仮に安本案を採るにしましてもその点についてやはり
一つの折衝問題が残
つておるわけでございます。
それからもう
一つ全般を通じまして
電気事業の收支にひどく
影響を與えるような案では
工合が悪いということが問題として残
つておるわけでございますが、我々の試算によりますと、安本案におきましては
電気事業の收支には決して
影響は與えないという推算をいたしておるわけでございますが、この点についても仮に安本案を採るにいたしましても問題が残されておる次第でございます。
それからもう
一つの問題は大口
電力の扱いにつきまして
只今純粋に五百キロ以上のもの、五百キロ以下で五百キロ以上の扱いをされたものは廃止するけれども、安本といたしましてはそれ以上大口
電力の範囲を縮少する考はありません。仮に安本案を採るにいたしましても三千キロ以上の大口工場だけ
割当をする。三千キロ以下のものは
割当を廃止するという線が出ておりますが、この点も問題として残
つておるわけでございます。以上かれこれ大きい問題それから細かい問題について話を進めつつある次第でございます。
以上簡單でございますが重大な問題でございますので、こちらから御連絡がありましたので早速伺いまして極く新しい
状況を御
説明申上げた次第でございます。尚資料は
ちよつとございませんので、明日でもでき次第お届けしたいとかように考えておりますので御了承願います。