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説明員(
近藤止文君) 私から最初に
綿花の
事情につきまして最近の
状態を極く簡單に御
説明申上げます。綿につきましては、本年の春以来逐次
増産の方向に進んで参
つておりまして、御
承知のように過般四百万錘の
紡績の枠が
撤廃になりまして、四百万錘以上の
生産設備を持つようにな
つておりますけれども、又先般来
司令部のほうからの
勧告もございまして、従来一週間六日の
操業をしておりましたのを、一週間七日の
操業をするというふうに逐次切替をいたしております。又同時に
操業時間につきましても休憩時間や人員の
増加によりまして一日十六時間の
フル稼働をするということで、できるだけ
綿糸の
生産を
増加するという
計画で、それを実行しつつあ
つたのでございますが、先般
米綿の本
年度における非常な不作の結果、
輸出につきましては
割当制を行うことになりまして
日本に対する
割当は現在のところでは、この八月から来年の三月までに五十五万俵、
予想によりますと来年四月以降七月までに三十三万俵、
合計八十八万俵という
数字が一応
予定されておるのでございますが、この問題につきましては
数次司令部関係とも
折衝をいたしております。
業界その他からもいろいろ要望がございますので、いろいろ
折衝中でございますが、最近の
情勢では、その他に大体十万俵の
増加をすることは可能ではないか。これは
朝鮮向け等の
特需の引当の
関係でございますが、十万俵ぐらいの
見込が確実であるという
お話でございまして、
合計九十八万俵という
数字が一応
見込まれておるわけであります。この
米綿の八月から来年七月までの
入荷見込の外に重要な問題は
米綿以外の
地域からどれだけの綿が買えるかという
見通しの問題でございます。これは非常に多くの
地域に亘
つておるのでございますが、
ポンド地域におきましては
パキスタンが一番
多量でございまして、これは先般の
協定で参りますと、三十万俵という
数字が
協定数量に上
つております。これは荷買い得れば五百万俵まで
買付けるという話合いにな
つておるのでありまするが、その
パキスタンの外に、インド或いはスタン、ウガンダ、トルコ、エジプト、こうい
つた地方から
相当量の
買付をする
見込を立
つております。それからもう
一つ大きな市場といたしましては
中南米諸国でございまして、これはブラジル、メキシコ、
アルゼンチンというものが主体でありまして、その外に多少ペルーから買うという
予定もいたしておるのでありまするが、これらの
地域を
合計いたしましてどれくらいの
綿花を
買付け得るかということが
相当大きな問題になるわけでございます。現在の
予想では、
業界側におきましては、大体約五十万俵という
数字を
予定いたしておるのでありますが、五十五万俵くらいは
買付け得るのではないかという
見通しもございまして、而も
米綿の
輸出割当以来、これらの
地域におきましての
綿花の
価格が非常に
乱高値と申しますよりか、むしろ非常に暴騰いたしておりまして、高い
地域におきましては、現在
ポンド七十セントの綿を買
つておるという例もございます。大体五十セントから六十セントくらいの間の
相場にな
つておるようでございます。
米綿にいたしましても、最近の
買付のものにおきましては、CIF・ジヤパンで四十三セントくらいの
計算になるのでございまして
先ほどお話がございましたが、二十六セント・
ペースの
綿花によりまして
公定価格をきめるというわけに参りませんので、近く
綿糸、
綿布につきましては
マル公は改訂される
予定にな
つておるのであります。そうい
つたように、非常に原綿の
価格が暴騰いたしております。そこで
只今申上げましたように、九十八万俵の
米綿を一年間に確保し、それから
アメリカ以外の
地域から五十万俵乃至五十五万俵くらいの
綿花を取
つて参りました場合に、現在
計画いたしております
綿糸の
増産計画が遂行できるかどうかという問題でございますが、これはいろいろ
関係方面その他とも協議をいたしておるのでございますが、
現状におきましては
増産の
計画はそのまま遂行するということにな
つておるのであります。そういう
増産を続けて参りました場合に一番問題になりますのは来年の
端境期における
綿花のキヤリ・オーバーがどのくらいになるかという問題でございまして、
相当多量のランニング・ストツクを
見込めば勿論この
数字では足らないということになりますが、或る
程度手持の綿を詰めて食
つて行くということで
考えて行きますれば、
只今申上げましたような
数字でも
増産計画を続けて行くということは可能でございます。それではどのくらいの
増産の
数字になるかということを御参考までに申上げますと、今年の十月におきまして、大体もう月は経過いたしておりますが、十二万二千俵くらいの
増産を上げる
予定でございまして、十二月に十三万二千俵、来年の十月になりますと、十六万俵という
計画をいたしておるのでありまして、この
計画が
予定通りに進行いたすということで現在進めております。これは来年の
端境期における持越しの
数字の
想定如何にもよりますが、同時に
米綿はこの
年度におきましては、やはり昨年と同じように千六百万俵の
生産計画を現に立てておりまして、来年の
新編は恐らくそのくらいの
数字になるであろうと思われるのであります。
従つて現在でも
期近の
米綿は非常に
相場が高いのでありますが、来年十月頃の
相場は
期近のものよりも約六セント低い
相場が出ておるような
状態でありまして、つまり先安の
見込にな
つておるのでございます。そこで一体来年の
新編がいつから
日本に入りまして作業できるかということでございますが、厳格に算術のような
計算をいたしますれば、十一月から新綿が使えるということになるのでございますが、
アメリカの
収穫予想は、大体六月に民間の
予想が出まして、七月の七日に
農務省の正式の
収穫予想が出るわけでございます。その場合に
相当の
米綿ができるということになりますれば、
従つて古い綿、新らしい綿が
相当売物に出て参るということから、一月分くらいは繰上げて綿を使い得るということも
考えられますので、
現状の
程度を以ていたしますれば、大体今
考えております来年十月には十六万梱を作るという
計画は、遂行上差支えがないのではないかというふうに
考えるのでございまして、そうなりますと、現在の
生産が大体十一万梱から十二万梱の間でございますので、四万
梱程度の
増産が来年の十月には可能になるというふうに
考えるのであります。そうい
つたことで現在進めております。
そこで現在の
輸出の
関係はどういう
状態にな
つておるかと申上げますと、来年の三月くらいまでのものにつきましては、殆んど
売約定ができておるのでありましてこの
売約定につきまして、
綿花の値上りによ
つてキャンセルをするかしないかという問題があるのでございますが、これは現在の
売約いたしておりまする
綿布の
価格は、
相当高い
価格で利潤が
相当多い取引にな
つておるのでありまして、七十セントくらいの綿を使いましても、現在の
売約をしております
契約を解約する必要は実はないのであります。丁度そのくらいで収支賄い得るどいう
程度になると思うのでございます。ただ
綿花事情が
アメリカの
輸出割当とか、その他の
事情がございましたので、四月以降の非常に先のものを
売約をすることを一時
紡績といたしましては差控えてお
つたのでありまするが、先般いろいろ
事情を検討の結果、
紡績協会といたしましても、従来
通りの
増産計画を遂行するというふうな決議をいたしまして、それによりまして最近では四月五月ものがぼつぼつ
売約されつつあるという
状態でございます。そういうことで安い時代に
契約いたしました
輸出契約というものをキャンセルするという問題は、綿に関しましては起らないと
考えております。今日の
事情は大体そういうふうなことでございまして、
相当新聞等で大きく扱われましたので、現在の
生産よりも減るのじやないかというふうな誤解をされている向きが非常に多いようでありますが、
相当制限されました
綿花事情におきましても、荷現在よりも
相当の
増産になるということは確実であると存じます。
それから次に
羊毛の問題でございますが、
先ほどお話の
数字と
ちよつと
食違いがあるように思うのでございますが、
羊毛は七月から来年六月までが
一つの
年度にな
つておりましてこの七―九におきましては
予定通り九万一千俵の
羊毛の
買付を完了いたしました。十月から十二月におきましてどれだけの
羊毛が買えるかという問題でございますが、これは前にもこの
委員会で申上げましたように、大体十五万俵を十先の期におきまして
買付をするということで、実は
為替資金等も
十分手当をしたのでございますが、
濠洲におきましてのオークシヨンが始まりましてその
相場を見ますると、実は
予想よりも非常に高くな
つております。大体四割から六劉ぐらいの
高値の
相場が出ておるのであります。
従つて、十五万俵の
為替を
予定いたしましたけれども、どうしても十万俵
程度しか買えないという
状態にな
つて参つたのであります。そこで一応十万俵
程度を
買付けるということで、
外貨資金につきましては決裁を得たのでございますが、その後に実は
新聞にもございましたように、
ポンド資金の不足という問題が起りまして、十月―十二月の期におきましては
ポンドが非常に欠乏するという
状態でございます。
従つて、
決済を来年の四月以降くらいに繰り延ばすならば
相当の
資金を
使つてもよろしいということになるわけでございますが、
羊毛の
買付は、
現状におきましては、大体積出し後十日間くらいで
決済をする。而もこれはロンドンで
決済するというかつこうにな
つておりますので、
期近の
ポンドがございませんと、非常に
買付はしにくいという問題にな
つたのでございます。そこでいろいろ
折衝をいたしまして、十万俵のうち或る軽度の
数字は、これは
アルゼンチンのほうに
振替をいたしまして、大体
アルゼンチンから二万俵乃至二万五千俵を
買付けるというふうに
ドルのほうに
振替をいたしました。それから一部分につきましては、四月以降に
決済のできるような先のものを
買付けるようなことを操作いたしまして、これは三万五千俵くらいの操作でございますが、そういうことにいたしました。尚
期近の
資金の足りませんものにつきましては、最近でございますが、
外国銀行のユーザンスを利用いたしまして、大体四ケ月の期限を認められることになりますので、十一月の平ばくらいから
買付をいたしますれば、その
決済が来年の四月以降になるというようなことで、現在極力十万俵の線は
買付をいたしたいというようなふうに
考えて努力いたしておるのであります。ただそうい
つたように非常にむずかしい
條件でございますので、或いは多少この
計画通りには参らないということになるかと存じておるわけであります。そこでその足らずまいをどうするかという問題でございますが、これは来年の一月から六月までの間にできるだけ
買付をするという方針でございますが、御
承知のように
濠洲の
羊毛はやはりこの十月から
クリスマスまでの間に
多量の
買付をいたしませんと、
クリスマス後におきましては出廻りが非常に減
つて参りますので、可なり困難をいたすのではないかというように
考えております。現在のところでは一時十先が十万俵の
羊毛の
買付を得ますような
状態におきましては、三十六万俵の
年間原毛の
輸入を
計画してお
つたのでございますが、
只今のところでは三十一万二千俵という線をどうしても買いたい。こう
考えておるのでございまして、そうしてそれをやりますためには、どうしても来年一月から六月までの間に十一万俵の
原毛を買わなければならんということになりますので、今年の
実績等から
考えましてそこまで行けるかどうかというような懸念を持
つておりますので、三十か一万二千俵という
数字が二万俵
程度は減少する虞れがあるのではないかというように
考えております。尚この
数字は本年の、つまり昨年の七月から今年の六月までの
入荷量は二十四万五千俵ということが
実績として出て参りました。これに比べますと、或る
程度の
増加量にな
つておりますが、同時に又
警察予備隊の
需要でありますとか、
朝鮮関係の
特需でありますとか、そういうものもぼるぼつ出て来ておりますので、実際のいわゆる
民需に対する
供給増ということは二〇%
程度にとどまるのではないかというように
考えております。それから尚
価格の問題でありますが、
先ほどお話もございましたように、昨年の
羊毛は非常に安か
つたのでありますが、最近の
買付羊毛は非常に高くな
つております。又
輸出価格につきましても先般
勧告価格というものが綿につきましては出されたのでございますが、その後
輸出の状況も多少変
つて来ておりますので、現在では
輸出価格というものを
基準価格ということにいたしまして人絹、スフなどと同じような取扱で進むということには大体
物価庁とも御相談をいたしております。この点につきましては
物価庁の第一
部長が御
出席でございますので、
物価庁のほうからも御
説明願いたい。概略そういう点でございます。