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説明員(森誓夫君) 車輌部長でございます。お手許に配付いたしました
資料につきまして、競輪の概況を御
説明いたします。施行者の数は、都道府県十九、市町村で指定を受けたものが八十三、計百二ということにな
つております。競輪場の数は既設で運営している者が五十、目下建設中が十一、計六十一であります。選手の数は、男子が五千四百五十三、女子が六百七十、計六千百二十三、車券の売上高は二十四年度が百三十五億円であります。二十五年が八月末までが百七十三億でありまして、二十五年度全体の予想としては四百十億円と考えております。国庫納付金の納入済額が二十四年度分が三億九千九百万、二十五年度分八月までのものが二億九千九百万、二十五年度の予想といたしましては十八億円余りと考えております。入場の人員が、二十四年度延べで六百七十万人余りであります。二十五年度は八月まで八百六十万人ということにな
つております。次に二十四年の四月以降の各地の主な事故の状況が記載されておりますが、その年月日と、場所と原因というのが書かれております。下のほうに結果というところがありますが、これはどういう
措置をと
つたか、まあどういうことで鳧がついたかということであります。大体大観いたして見まして、事故の原因は選手の敢闘精神が発揮ざれなか
つたためにフアンの不満を招いたということ、延いてはこれが八百長の疑いを受けたということであります。ただ審判員の不注意のために鐘を打ち忘れた、そのために試合が狂
つたというようなことがありますが、大勢は選手の敢闘精神の問題であります。最近の宇都宮の競輪の事故が二頁目の
最後のところに出ておりますが、これは発走線の十米を過ぎて選手のクリツプバンドがはずれたのに対して発走員が故障を告げ、放送員が発走せりの放送をしたので監視員が誤認して旗を半分振
つたということで試合が本格的に行われたのか行われなか
つたのかということが審判
関係職員の不注意のために徹底しなか
つたということが事故の原因でございます。尚その他の事故の原因としてはここには選手の敢闘精神の問題として現われておりますが、更に奥を探りますと、村山競輪場のごときはボスと競輪の施行者と絶縁するということを余り潔癖にやり過ぎたために、ボスの復讐を受けたということが考えられるのであります。川崎
事件が起らました後にと
つた措置といたしましては、違法の拂戻しを行
なつた施行者に対しましては、一定期間勝車投票券の発売停止を命ずることにしたことでありますが、事故騒擾を起しておるために拂戻しを、試合が適法に成立しなか
つたから拂戻せという要求を出された場合にそれを施行者がそれに応じて拂戻しをするということは絶対に今後やらせないという方針を明確にいたしたのであります。 大体事故を起すものはそれによ
つて後で何らかの金を貰えるというふうなとを目当にしているのが多いのでありまして、如何に騒いでも金は絶対に拂戻しはして貰えないんだ、或いはその他の何らかの名義を以てする手当はして貰えないんだということを明確にすることが、事故防止のために非常に妥当な
方法であると考えまして、こういう方針を明確にいたしましたが、これは国営競馬におきまして早くからこういう方針をと
つて事故を殆んど絶滅の
状態に導いておるのでありますが、それに倣
つたわけであります。一定期間というのはまあ大体従来の例から一月ということにいたしております。但しその事態によりましては一月以上経過することがあると考えます。選手の登録要件の引上げを行いまして、粗雑な選手の登録を抑制するということが次に書かれております。第三は競輪の明朗な運営を阻害するようなボス等の不当勢力の排除を強行させるということであります。次が公認審判員制の確立のために全国各審判要員に科学的適応審査を
実施したのでありますが、事故の原因が審判員の無能力による場合もありますので審判員に一斉に能力検査を科学的に行いました。そして不適格のものは審判員たらしめないということにいたしたのであります。この方針に基きまして、本年六月に労働科学心理学研究所の新らしい試験
方法によりまして、全国の審判員を試験いたしました。この結果に基きまして本年末までにその不合格の審判員を取換えるということにいたしております。宇都宮
事件の後に打ちました
措置といたしましては、施行者の非違
行為に対しまつしてはそれが違法でなくとも結果の重大なものにつきましては、一定期間の開催の辞退とか、或いは責任者の更迭等の勧告を行うということを大臣通牒を以て明確にいたしました。又振興会の非違
行為に対しては解散、役職員の退職等の厳重な
措置を講ずることを明記したのであります。宇都宮
事件につきましては栃木県の振興会の設立認可の取消を行な
つたのであります。現在の競輪法は
取締の面で非常に不備でございまして、振興会に対して法律上なし得ることは、設立認可の取消以外にないのであります。こういう点は今後もう少し詳細な監督
規定を法律に設けまして、法律に基く監督を強硬に
実施して行かなければならないと考えております。第三に、競輪をして單なる賭博に堕することなく、国民の健全なる娯楽として発達せしめるために競輪運営、競輪場の施設等についての明朗化の
対策を推進することにいたしております。具体的な
措置といたしましては場内の予想屋の営業を禁止することを決めました。その外競輪上の施設の明朗化されておる
程度によりまして段階をつけましてよい競輪場に対しては選手の配分上特典を與えるというようなことを行なうことにいたしました。第四として、
日本サイクリスト・センター、略称N・C・C、これは選手の養成及び再訓練の機関でありまして、振興会の連合会が二千万円以上の金を注ぎ込みまして設立をいたしたものであります。その建設状況は大体今日までで殆んど完成いたしました。九月十五日に開所できる見込であります。その訓練
計画は、本年度は既登録選手の再検定と訓練を主として行いまして、その他必要に応じて登録選手候補者の検定及び訓練、振興会の專門技術員、競争用自転車の研究を行うことにな
つております。入所訓練の予定人員及び入所期間は既登録選手を一回に百二十名ずつ入所せしめまして、概ね十日間訓練いたします。本年度中に約二千五百名を入所させることにな
つております。
検査と訓練の項目としては、身体の精密検査であります、訓練項目としては技術と学力と品性、この三つの訓練を行うことにな
つております。尚この訓練によりまして非常に不適性を発見された者につきましては登録の取消をすることにいたしております。
次に現在まで競輪が地方財政と自転車産業の振興に貢献した状況について書かれてあります。昭和二十三年十一月競輪が開始されてから二十五年八月末日まで開催の延日数は三百九十回、車券売上総額三百十一億円でありまして、地方財政の純益は約二十七億円、純益の使途については目下
調査中でありますが、大体において各主催者共に庶民住宅建設、学校建設等の戰災復旧費が主要なものでありまして、この詳細は
最後の頁のところに附けられております。
次に昭和二十四年九月「愛の競輪運動」を通産省、振興会連合会共同でやりまして、その実績は次の通りであります。車券の売上額が九億七千九百万円、主催者收益が九千四百万円、これは概ね庶民住宅の建設、小学校、中学校の建設及び大衆浴場の建設等に充当いたしました。「愛の競輪運動」と申しますのは、この競輪の收益を大衆の、利益に還元いたしまして、競輪を愛されるものにして行こうというのであります。
次が自転車産業に対する貢献でありますが、昭和二十四年度におきまして、国庫納付金から自転車産業の振興のため支出されたものが機械試験所百万円、自転車検査協会一百万円、計三百万円であります。これは発足の年でありまして納付金が非常に少か
つたためであります。二十五年度からやや本格的に
動き始めましたので、国庫納付金合計二億円の予算を国庫納付金から貰
つたわけでありまして、
通商機械局分としては
海外現地
調査派遣費、
海外現地情報
調査費、
海外宣伝用自転車頒布費、
海外宣伝用カタログ製作費、競輪選手訓練所設置費の補助、自転車検査施設、及び性能検査費、その他機械局の人件費事務費、計七千九百万円が機械局分として計上されております。地方の
通商産業局分として極く少量計上されておりますが、外に機械器具検査所の
関係、それから中小企業庁の
関係、この中小企業庁の
関係では自転車産業共同施設費補助として七千万円、能率診断及び企業合理化の指導費として一千万円合計八千万円が計上されております。工業技術庁の
関係では、自転車工業研究助成費、自転車工業の標準化、それから機械試験所自体の研究費
設備費、計三千万円であります。特許庁の
関係では、自転車発明
実施化試験費補助四百万円、合計二億円ということになるのでありますが、機械試験所において今日までに研究された項目がずつと書かれております。尚自転車振興会連合会におきまして、競走車の研究について專門委員を委嘱しまして補助金を出して競走車の研究を進めております。尚現在、昭和二十六年度分の予算が大蔵省で検討されて近く正式
決定を見ますが、本日まで判明しました第一次査定の結果では、自転車産業振興の
関係が四億二千万円計上されております。大体項目はここに掲げられましたようなものでありまして、金額がそれぞれの項目について殖えておるということでありますが、新らしい項目といたしましては、商工中金にこの金を一部入れまして、それから中小企業の金融に廻すというのであります。査定が大体二億円以上にな
つておりまして、我々はこれを三億円以上要求いたしておるのであります。尚又本年度の国庫納付金は我々の計算では十八億円見当、少く見ても十五億円であると考えておりまして、自転車産学振興
関係に五億円
程度使
つて、残りの十億円は
一般日本の機械産業の
設備の近代化に補助金として使うということを
只今要求しておるのであります。
次に競輪が
一般の社会政策的にどういう効果を示しておるかということでありますが、いろいろな失業救済的な
意味として大体四万六千の人が考えられるということであります。
最後に
自転車競技法の改正要綱が書かれておりますが、現在の
自転車競技法は、競輪が極めて円滑に運営されるということを前提にいたしまして、競輪には聊かの悪も附随しないものであるということにな
つておりますので、今日の実情から見ますと、
規定上その不備が少なからずあるのであります。これを改正するために機械局としましてはこういうここに掲げられたような項目を是非法文化いたしたいというふうに考えております。これはいずれ議員提出の形で次の国会に上程されることになろうと思いますが、機械局の試案につきまして一応御
説明申上げます。競輪場の設置を制限する
規定を加える。現行法では競輪場は自由に作られるという
建前にな
つておりますが、事実上通産大臣が認可を與えてや
つておるのでありますけれども、非常に厳密に申しますると、実は法律上の
根拠がないわけであります。その
根拠を與えるということでありまして競輪場の濫設を防ごうというのであります。第二は開催回数を制限する
規定でありますが、これは現在の競輪場の所有者又は管理者が、自分だけが競輪場を独占しようとするためにどうしても他の自治体が自分のところでも競輪場を作らなければ済まないということになるのでありまして、競輪場の数を現在
程度に抑え、その利用をもう少し広く宣伝させようというためには、競輪場の所有者又は管理者の開催回数を
相当制限いたしまして、残
つたものを他の自治体に開放させるということであります。大体のプランとしましては施行者なり管理者は年六回くらいを使い、後の六回は他の希望者に使わせる。他の希望者の使うのは先ず二回、
一つの自治体が二回というふうに考えております。次は審判員の登録の
規定でありますが、これは審判員を試験いたしまして、その合格者を登録いたしまして、その者でなければ審判に従事できないということにする趣旨でございます。これによ
つて競輪の運営の公正化明朗化を図りたいと思
つております。
第四が振興会に対する交付金及び国庫納付金に関する従来の
規定を簡易化するということでありますが、特にこの国庫納付金につきましては、現在收益の中から必要な経費を差引いた残額の三分の一を国庫に納付せよということにな
つておりますが、必要な経費の範囲の認定につきまして非常に手数がかかるのでありまして、この改正によりまして車券売上額の何%を国庫に納付するというような
簡單な
方法をとることにいたしたいと思うのであります。この比率につきましては最終的なものがまだ決
つておりませんのですが、大体四%内外の、実績から見まして四%内外のものになるものと考えております。
次は競輪
関係者その他特定の者に対して車券の購入を禁止する
規定であります。競輪
関係者として現行法は施行者、選手、施行者の職員等が車券の購入はできないという
簡單な
規定でありますが、この改正によりまして
一般競輪に
関係する
政府職員等につきましても車券の購入を禁止したいと思
つております。それから特定の者と申しますのは、未成年者、学生でございます。
次が自転車振興会及び同連合会に関する監督を強化する
規定を設ける。現行法はこの監督に関する
規定は全然ないのでございまして、單に設立認可の取消の
規定があるだけでございます。その他は役員の解任とか、或いは業務の停止とか、いろいろな
措置をとるべきであると考えまするが、この次の改正によりましてそういう
規定を盛込みたいと思
つております。
競輪に関する秩序を維持するための
規定を設ける。これも現行法では全然
規定がないのでありますが、先ず施行者なり、振興会は、競輪の公正を期するために、その場内の秩序を維持するために必要な
措置をとらなければならないということであります。それから必要な場合には主務官庁にもそういう
措置について命令ができる、こういう
二つの條文を入れたいと思うのであります。それに反した場合には振興会なり施行者に対しまして制裁が加えられることにいたす考えであります。
それから選手の談合を禁止する旨の罰則を附加する。選手が收賄をして八百長をつや
つた場合の罰則はありますが、金品の遺り取りなしに、單に談合して八百長をした場合の罰則かないのであります。それを加えたいと思います。その他罰則を従来よりも
一般に強化するということを考えております。大体以上が改正いたしたいと思う要点でございます。
次に別紙として、競輪の收益は各地方自治体にどういう用途に使われたかということが書かれてあります。その大体重要なものに……。