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参考人(小西要君) 我々の
競輪の問題につきまして本日御質問がございましたが、再開に至りまするまでのいろいろな
準備その他につきましては御
当局からいろいろ御
説明がありましたので、これらのことにつきましては今更この問題を私の方から御
説明申上げる必要はないと思います。
御趣意に
従つて日々
設備の
改善、或いは
選手の再
訓育、これは現在
訓練所を別に設けまして、十日毎に百二十名までの
選手を入れまして現在第三回の
訓練をや
つております。こういうふうにや
つておりますので、再開に対する
準備につきましては御指示のある
通りに協力一致してや
つております。
ただ
振興会連合会といたしましては従来のやり方につきまして非常に社会的な御批判がありまして、役員は今回一応辞任いたしまして改めて私がこの際連合会の理事長に推薦されたのであります。
内容もこの際人材を変えますと共に十分
充実いたしましていろいろな方面に盡したい、かように
考えているわけであります。
従いまして皆様に申上げたいことは、この
自転車競技法というものが提出されましたときの
一つの條件で、日本の
自転車産業と非常に密接な
関係があるのであります。それからもう
一つは何故
競輪がこんなに一挙に盛んに
なつたかという問題もあるのであります。それらも
一つ一応御理解を願
つた上で御判断を願いたいと思うのであります。とにかく日本の
自転車というものは
アメリカの自動車に拮抗するものであります。そうして産業といたしましては非常に有望な産業であり、又いかに日本が努力しましても自動車産業で
アメリカに対抗することはできないのであります。併し
自転車産業ならば
アメリカと戦
つて輸出する力があるのであります。悲しいかな戦争中に日本の
自転車産業というものは軍の圧迫によりまして虐げられて非常な衰亡を来たしたのであります。戦後業界が一生懸命努力しましてこの恢復に努めましたが、如何せん
資材の面におきましても又資金の面におきましても何らの保護がないのであります。政府は製鉄業であるとかいや肥料であるとかというような問題につきましては原始産業でありますから、非常に力を入れて保護の施策を取
つておられます。これはもう代々の政府がそういう方面に対しては非常に大きな保護をや
つておる。例えば砂糖業にした
つてそうです。製糖業にしても台湾を取ると同時に非常な政治力を以て台湾の砂糖業は発達した。曾て日本は
自転車産業に何ら心の補助をしたかというと最近までないのであります。
併し日本の
自転車産業はそれ自身の力で南方のアジアに対して大きな販路を獲得してお
つたのであります。アジアの人口何億に対しては
自転車はこれから幾らでも売れるのであります。併しこれだけの開拓をしました東南アジアの地盤もすでに今日では英国に全部奪われまして、昨年度輸出しました
自転車でも非常に御努力を政府もなす
つたし民間もやりましたが一万台ちよつとしか出ておりません。これはどうしても日本の
自転車産業を大きくしてそうして輸出産業の枢軸たらしめる、紡績に次ぐものにしたいというのが業者の念願であり、又政府もこれをお取上げになり議会もこれをお取上げに
なつたことが、この
競輪法の出ました
一つの御趣旨であり目的であると
考えるのであります。
それで一体この
振興策はどうな
つておるかということでありますが、昨年度頂きました
予算二億に対しましてはその後漸次
実施進行いたしまして、盛んに海外に対しましては市場調査隊を出しております。又今月末若しくは来月初には、曾て日本になか
つた立派な
自転車に関する世界的なカタログができます。これを海外市場に全部頒布するという手続にな
つております。又海外から来ましたいろいろな情報、これは海外からの
資料はどうであるか、外国の
自転車はどうや
つて作
つておるか、販売
方法はどうや
つておるか、
改善はどうや
つておるかというレポートを全部取りまして、この集計をしました本が現在毎月出まして
只今第四号まで出ております。現在初めて盲貿易から
自転車は救われたのであります。こういうふうなことはその外にいろいろや
つておられます。二億の金は現在順次有効に使われております。
これは
競輪から出ました政府の
国庫納金でや
つて頂いたのでありますが、最近の
状況から見ますれば昨年度出なか
つた自転車も本年は非常に明るい見通しであるのであります。価格も昨年は十六ドル、或いは悪いものになるとそれが一台十四ドルにまで下
つたのが現在二十五ドルまで上
つて来ております。これは世界市場の原料の価格が上
つたこともありますが日本の
自転車が順次認められて来たのであります。今ここでこの手を緩めたならば日本の
自転車は又国内に返
つてしまわなければならない、こういう状態であります。
又国内問題におきましては輸出ができますれば廉い
自転車を供給することができるのであります。戦前におきましては日本人は七人に一人の
自転車を持
つておりましたが現在では十二、三人に一台しか持
つておらないのであります。日本では
自転車は
一般国民大衆の日常に親表した非常に有効な交通機関であり揮搬機関であります。
アメリカ人が自動車を使うのと同じように
使つておるのであります。国民から
自転車を奪うことは殆んど国民生活を停止することになるのであります。こういうような
状況を
考えまするならば、
自転車というものは日本人に取
つては非常に大きな重大問題であります。
従つて国民はこれを非常に重要税しております。
一般大衆は
自転車というものに非常に親密な気持を持
つておる。これが今度の
競輪が思いの外早く発達した
一つの
原因なんであります。大体外の
競馬とかいろいろなものをやりましても馬というものは
一般の人には全部は知られておらん。
自転車に親しまない国民はおらん。これが
自転車の
競輪というものに非常に有効に働いておるのであります。
それで
自転車を日本内地に沢山乗せられ得るようにするのにはやはり価格を安くしなければならん。輸出ももつと量を殖やしたら安くなるだろう、かように
考えるのであります。これらの施策をやりますのにはどうしても国家が何かの保護を與えて貰いたいのであります。併し現在の国家の
財政から見ますと簡單にこの金が出されないということから、この
競輪法に対して業界も非常に力を注いで今日までや
つて来ております。而もこの重大な、日本の一大産業になり得る性質を持
つている
自転車業が発展すると同時に
地方財政も救われる。而も又国民も楽しくその日を一日過すことができるならば非常に結構だとかように
考え得るのであります。
以上のような
自転車産業の重要性は今までの代々の内閣におきまして十分認められておらないのであります。例えば
一つの会議をなさ
つても自動車の会議には大官が出て来るが
自転車の会議には大官が出て来られない。これが今までの
情勢であります。如何に日本国民が、努力いたして見ましても
アメリカの自動車の数には何桁も違うのでありますから追いつく見込みはありませんが、
アメリカにも
自転車を輸出しております。こういうことをお
考え願えれば
自転車問題は簡單に片付けられないと
考えます。こういう
意味におきまして
競輪のこの
方法を少しうまく
改善されまして続行さして頂きたいとかように願うのであります。
それから先程からいろいろ
皆さんがおつしやいましたので、業者の意思は分
つて頂いたと思いますが、連合会といたしましても今まで余り力を用いておりませなんだ
一般フアンの啓蒙開発、これを今度は是非やりたいと思います。勿論
一般の人に対する啓蒙開発というのは新聞とかそういうものを通じてよく理解を深められておると思いますが、この方面につきまして連合会の努力の足りなか
つたことをお詫びしなければならんと思います。今後の問題につきまして、再開については取敢ず従来の法の許す範囲内で
改善されると思いますが、荷先程大臣からお話がありまして
改正案が出るそうでありますが、
改正へ持
つて行きたいと我々が思う條項もあるのであります。未だ御
当局の
改正案を見ておりませんからどういう点を
改正して頂けるか分りませんが、我々の希望といたしましては最低限の希望といたしましても、現在のごとく会場が非常に混雑いたしましてまるで芋を洗うような状態ではやつぱり整理もしにくい。
従つて競輪場には一定の人員以上は入れないという定員制を布いて貰いたい。かように思うのであります。これは非常にむずかしいと思いますが、そういう
方法を取れるものなら取
つて貰いたいと思うのであります。
又現在では
競輪の外にオート・
レースとか又
競馬もありますが、将来はドツグ・
レースが予想せられる点もありますので、そういう問題についての政府としてのいわゆる
賭博に関する行政については現在ばらばらにな
つております。これを
一つにまとめてどこかで何かの官庁を設けて頂いてそうして一定の枠内で操作して頂きたい。どうせ敗戦日本の
現状を以ちましてはなかなか一等国にはなれない、どうせ博奕なんと言われてもこれはいたし方がないのであります。成るべく明朗な博奕にして頂きたい。我々としましても
競輪場に暗い気持を持たせるというのは非常に残念だと思いまして現在
競輪場を明い気持にしよう。政府の御趣旨で
競輪場に明るい色彩を入れようじやないか。又周囲の環境もよくしようじやないかということを命令されております。この
委員会におきましても
従つてそういうことも各
競技全部が一定の
方針でや
つて頂きたいと思います。
最後にもう
一つ皆さん方に私からお願いして置きたいと思いますのは、
自転車の
競技というものはプロ
競技は国際的にどこでもや
つておる、どこの国でもや
つておるのであります。殊に盛んなのはフランスでありますがこれは国際的な
自転車競技の世界本部であります。この世界本部に対しましては現在我々の連合会から加入を申込んであるのであります。これは日本の内地の
競輪というものはこうな
つておるというので国際
競技の本部に対して加入申込をしてある。そうしてこれを国際的にお互いに
選手のやり取りもいたしましてそうして親善を図りたい。この
意味におきまして是非現在の
状況をもう少し強化して……尤も現在の
競輪ではそういうことができないじやないかとおつしやるかも知れませんがこの線まで至急に持
つて行きたいと思います。そういう
意味におきまして今の
選手を改良しなければならん。又人格の陶冶をしなければならんというような点からしまして、
選手の資格とか或いは
訓育ということには絶大の力を用いたい。今までのごとく世間の非難を受けるようなものにしては
いかんというので、連合会といたしましては今回十分スポーツマンシツプを持
つた人を迎えましてそうして
選手に対する精神
訓育を極力やりたい。かように
考えておるのであります。
こういうふうに国際的な
競技もやりたいということまで我々の気持は行
つておるのでありますので是非悪いところはびしぴし直して頂いて、そうして今後の
競輪の発達につきまして御援助を頂くことを切望する次第であります。