○高橋進太郎君 一問総理
大臣にお伺いいたしたいと存じます。私は地方、中央を通じまして二十幾年間の勤務体験を
基礎にいたしまして、地方の実態の一端を申上げまして、地方の自治権立に邁進せられる総理の御所見の程をお伺いいたしたいと存ずる次第であります。
今回
地方税法が
提案せられまして、地方財政の歳入の面におきまして、從来と比較にならない程新らしい第一歩を踏出したということは、誠に喜ばしい次第でありまするが、まだまだ地方財政の確立のためには国並びに地方の財政並びに税制を通ずる
調整を必要といたしますが、これは暫く措くといたしまして、私は次の三点から最も改善を要せられると考える点を申上げて御所見を伺いたいと存ずる次第であります。
第一点は、地方財政の歳出の再検討でございます。現在地方団体の歳出を見ますると、その大半は教育費によ
つて占められ、その残余も教員費又は法令に基くところの義務費、或いは中央よりの補助金の埋め草というような、当然計上しなければならん費用を計上いたしますれば、その残余は三%乃至五%という極めて僅かな殆んど独自性のないところの地方の予算の実態でございます。而も例えば法令に基く費用といたしまして、生活保護法の
規定によりまして地方はおのおの一割づつを負担しておるのであります。ところが或る村のごときは、たまたまその地形が疎開に適するからとい
つて、多数の、その村に縁故のない者まで疎開し、ためにそれが生活に困窮して生活保護法の
規定によ
つて費用を負担しているために、村が非常な困難を来たしておるような実態もあるのであります。要するに現在の地方団体の歳出につきましては、根本的にそういう面において再検討を加える必要があるのではないか。言い換えれば教育費の或いは全額国庫負担の問題であるとか、或いは国の補助率の問題であるとか、その他相当歳出面におきまして、今回歳入においてとられたと同じような再検討及び再研究を加えられまして、速かに地方における自主的な、幅のあるきころの地方々々における政策、或いは施策がとり得るような
措置をお考え願いたいという点であります。
第二の点は、先程総理も
お話になりました行政の簡素化による地方自治の改善という問題であります。先日も岩木委員から最近地方団体は或いは食糧費、或いは旅費、交際費等のそういう費用が非常に増額にな
つて、放漫なる財政を行な
つておるのではないかという
お話があ
つたのであります。この点につきましては、地方団体としても深く反省をいたすべき点であると存ずるのでございまするが、併しながら、何故一体これらの費用が増額になるかと考えて見ますれば、要するにその根本となすものは、現在の行政のやり方が余りに中央集権であるということであります。旨い換えるならば、物事が中央に参らなければ殆んど解決がつかんという実態であります。これは総理
大臣が毎日陳情者にお会いにな
つて、この点は痛感せられると存ずるのでありまするが、言い換えるならば、今の
日本の行政が余りに中央集権であり、物事が中央でなければ決まらんというこの仕組を直すべきであり、且つ又中央における組織も非常に複雑でありまして、例えば地方の起債の問題でも自治庁において仮に通
つたといたしましても、それが同時に大蔵省においてひつかかれば、大蔵省に陳情せねばならんというような実情でございますので、こういう、即ち中央における行政の簡素化によりましてこれらの問題の解決が肝要と存ずるのであります。同時に地方の国の出先機関でありますが、これ又総理
大臣が先程
お話のように誠に複雑多岐でありまして、仮に農林省の出先機関において或る権限を委せてあ
つたといたしましても、その問題がたまたま通産省の通産局の共管
関係にな
つておりますれば、通産局の方では中央が権限を委していないというときには、やはり中央に来て問題の解決を図らなければならん。言い換えるならば国の地方における出先機関の責任体制というものがなんら確立されないために、殆んど中央に出て来なければ話が付かぬというような地方の実情でございます。これらを速かに簡素化するということが、同時にこれらの地方財政に今いろいろな点においてかさ高にな
つているところの、又重圧にな
つているところのいろいろな費用をその歳出面において軽減するゆえんであると考えるものであります。
その第三点は、国と地方との事務の分配がはつきりしていない。例えば供米の問題でありますが、これも国の事務であるか、地方の事務であるか。ところが費用の面から申しますれば殆んど国からも補助金は来ていない。從
つてたまたま或る村なり、或る県なりが供米供出量が非常に多い場合においては、それらの費用というものが非常にかさ高にな
つているという、実情であります。或いは進駐軍労務者の問題でありますが、これは元来特別調達庁においてこれらのサービスをやるべきでありまするが、一片の依頼状によ
つてそれを府県が担当しておる。成る程その費用は来ておりまするが、これに伴うところのいろいろな折衝の費用なり何なりというものは府県の負担になるという実情であり、又府県と町村との
関係におきましても同じような問題が沢山あるのであります。要するに国と地方との事務の分配がはつきりしないために、いろいろな点において折角今回歳入につきまして面倒見て頂き、或いは将来歳出についても面倒見て頂いたといたしましても、これらの事務の分配がはつきりいたしませんければ、いつでも県は国の下積みになり、村や町村は又県なり国の下積みになるというので、問題の解決にはならんと考えるものであります。從
つてどうぞ総理
大臣は今回地方財政としては本当に輝かしい第一歩である
地方税法の審議を
基礎といたしまして、日頃総理の提唱せられるところの行政の簡素化を徹底せられ、それによ
つて地方自治の確立に御努力せられる総理の御所見をお伺いいたしたいと存ずる次第であります。