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1950-07-24 第8回国会 参議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十四日(月曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  地方税法案を審議いたします。地方税法案は一昨日衆議院におきまして一部修正をして本院に送付をいたして参りました。今日から本審査をお願いすることにいたします。それで先ず衆議院修正意見に対しまして政府当局から説明を求めたいと思います。
  3. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今原案衆議院修正案との対照いたしましたものを印刷中でございましてもうおつつけお手許に差上げられると思いますが、一応この修正案の順序で簡單に修正趣旨を申上げたいと存じます。この目次のところの「二十五年度」の下に「及び二十六年度」を加えましたのは、事業税の「二十五年度において課する事業税及び特別所得税」というところに「二十六年度」というふうに一つ入れるわけでございます。それから七十條でございますが、これは附加価値税の適用の始期を書いた規定でありますが、これを二十七年の一月一日からということで、実施を更に一年延ばすということであります。それから七十一條でありますが、これは現在の原案附加価値税につきましての経過規定としての特例を書いておるわけであります。二十六年度の一月一日の属する事業年度分附加価値税算定方法を書いてあるわけでありますが、これを二十七年の一月一日の属する事業年度分附加価値税算定方法というふうに書き改めるわけであります。そこでこの原案に対しましては、「(電気供給業及びガス供給業に対する事業税算定については、当該年度開始の日から昭和二十五年八月三十一日までの間における收入金額)」という特例規定を七十一條の六行目のところに書入れておりますが、これを削るわけであります。この理由は要するに二十七年度から附加価値税を始めまするので、二十六年度につきましてはこのような事業税を継続して参りますもので、こういう特例規定が必要がなくなるわけであります。二十五年度分につきまして後で事業税の章のところにそれに相当する規定を入れるようにいたしております。七十一條はそういう関係修正でございます。それから七十一條の第三項も同様今申上げましたような趣旨電気供給業ガス供給業関係を削りますのと後は年度関係を変えるわけでございます。それから七十二條の修正でございますが、これもやはり附加価値税経過規定でございまして、二十六年の一月一日から同年三月三十一日までの間というのをそれぞれ二十七年というふうに直すわけであります。第二項も同様の趣旨訂正でございます。それから七十三條でありますが、七十三條は附加価値税の、個人の附加価値税特例に関する規定で、新たに事業を起した者の例によつて、「附加価値額に係る附加価値税を概算納付しなければならない。」これを二十六年度分というのを二十七年度分に切替えるだけの関係でございます。それから七十四條、これは附加価値税銀作業運送業倉庫業等に対する課税標準特例規定でございますが、これは二十六年度分についてでありますが、これを二十七年度分に改めるわけであります。それから後はずつと飛びまして、三百四十九條の修正でありますが、これは固定資産税標準税率を、一・七とありますのを一・六にするわけであります。これは将来のずつとの問題としてそういうふうに下げて行くわけであります。それから三百五十條の方は二十五年度税率でありますが、これは百分の一・七に、特に二十五年度固定税率を取るということになつておりますが、これを一・六にするという趣旨修正であります。それから三百五十條でありますが、第二項の仮税率の決定せられる他の方法原案のものをそのまま取りまして一・六にいたしましても尚五百二十億の收入は可能であるという衆議院修正の御意見であります。併しながら若しも五百二十億を上廻る、或いは下廻るという場合においては一・六という税率を更にこれを調整して変更する、こういう原則はそのまま残つているわけでございます。それから第六章の題目でありますが、これは目次のところで直したのと同様な趣旨事業税及び所得税は二十六年度も取るという意味であります。七百四十條の見出しのところは今の趣旨で同様な訂正であります。二十五年度分につきましては法人にあつては云々というそこの年度を二十五年度年度として捉えるかという規定でございますが、二十六年度につきましても同一趣旨法人事業年度の「(法人にあつて昭和二十六年一月一日の属する事業年度から昭和二十七年一月一日の属する事業年度の直前の事業年度までの間の事業年度分)」を更に附け加える、こういうだけの訂正であります。それから七百四十四條の第一項でございますが、これは先程附加価値税経過規定のときにちよつと申上げましたが、事業税課税標準でありますが、これを事業年度を二十五年度について抑えておりますが、二十六年度についても抑え方を同じ趣旨規定をいたしたわけであります。そういうこれは年度関係のものだけ両方について書きましたので少し複雑になつておりますが、内容は二十六年度関係だけを附加ただげでありまして、同條の第九項も所得計算方法を二十六年度につきましても同様に規定したわけであります。それから七百四十九條、そこが先程申上げました附加価値税経過規定部分がこちらの方に動いて来たわけでございまして、その主たる内容電気供給業及びガス供給業外形標準で取りまする收入金額算定方法をここに書いたわけであります。事業税中この電気供給業ガス供給業につきましては、本年度すでに高い税率で今日まで事業税を最つて来ております。即ち外形標準電気供給業ガス供給業につきましては收入金額の百分の二というのが基礎でございます。それに都市計画割関係の〇・四を加えました百分の二・四というものを電気料金ガス料金にプラスいたしまして、本年の一月一日からずつと取つて来ておるわけであります。そこで本年度といたしましては本年の一月一日から実は料金税率が下つただけ下げて行かなければならんわけでございますが、この計算といたしましては、一月一日から八月三十一日まで百分の二・四で取りますところの事業税税額と、本年一月一日から十二月三十一日までに下げましたところの百分の一・六の税率で取りますところの税額とありまして全く同様の額になるわけであります。言い換えれば百分の二・四で一月一日から八月三十一日までこの事業税を取りますというと、九月一日から十二月三十一日まではもう何も取らないでよろしい。八月三十一日までで下げた税率で本年度取るべき税額を皆取つてしまう、こういう数字上の計算になるのであります。そこで本年度電気供給業ガス供給業に対する事業税基礎になります收入金額算定方法としては、一月一日から八月三十一日までの收入金額基礎にいたしましてそれに百分の二・四という税率を掛けたもので計算をいたして行く、こういうふうにいたすのであります。そういう原案を持つてつたのでありますが、その趣旨はこれでも変つておりませんので、ただ新たに第二項を書加えまして分り易く、訂正年度関係の区分も出て参りますので、そこを分り易く書いただけであります。それが七百四十九條の第一項の中から今の点を割りまして、そうして新たに第二項として書加えるように修正された点であります。これをちよつと読んで見ますと「法人の行う電気供給業及びガス供給業に対する事業税のうち、昭和二十五年一月一日から同年十二月三十一日までの間の日の属する事業年度分については、前項の規定にかかわらず、その課税標準は、当該事業年度開始の日から同年八月三十一日までの間において收入すべき金額」、これが本年度の分です。それから来年度分につきましては「昭和二十六年一月一日から当該事業年度終了の日までの間において收入すべき金額合算額とし、その標準税率は、その課税標準額のうち当該事業年度の初日から昭和二十五年八月三十一日までの間において收入すべき金額に係るものにあつては百分の二・四、二十六年一月一日から当該事業年度終了の日までの間において收入すべき金額に係るものにあつては百分の一・六とする」ということであります。いま一度具体的に申上げますと、例えば今年の三月から来年の二月までが一つ事業年度の会社の例を考えてみますというと、今年の三月一日から八月三十一日までの收入金額というものにつきましては百分の二・四という税率事業税を掛けなければならん、そして九月一日から十二月三十一日までの收入金額に対しては、何も税がかからない、そうして来年の一月一日から二月二十八日までの分につきましては百分の一・六、これが平常年度外形標準事業に対する課率でございますが、これが動いている、こういう修正でございます。実体的には原案と少しも変つておりませんが、そういうふうに明確にした次第でございます。それから七百五十條でありますが、これは事業税納期の問題であります。二十五年は九月及び十二月でありまするが、二十六年は経過的の措置が必要でございませんので、從来の事業税納期同様に八月、十一月というように書加えるようにしております。それから七百七十七條でありますが、これは所得押え方で、二十五年度、六年度の分は二十五年度中の所得、前年度所得ということであります。それから第二項の方はやはり同様に業務を廃止した場合のことで、事業税の場合と同様であります。それから同條第三項でありますが、これも事業税の場合と同様に、特別所得税業務を廃止した場合の二十六年度の際の規定を書加えております。それから七百八十一條は、これは特別所得税納期でありまして、今これは事業税について申上げたと同じ趣旨であります。来年度原則通り八月、十二月というふうにいたしております。それから一番最後の附則の第一項でありますが、これは今の七百四十九條を直しましたので、その関係訂正であります。それから今の電気ガス関係事業において、その統制額が改訂されたときは、その改訂のときの属する事業年度分というのを二十五年だけでなく、二十六年も入つて参りましたので当該年度分というふうに五年、六年それぞれひつかかるようにしております。大体以上のような点の修正でございまして、要するに附加価値税を一年更に延期いたしまする関係修正と、固定資産税税率として標準税率を下すのと、それから二十五年度の仮税率をやはり百分の一・六にする。この三点が主要なる訂正の点であります。
  4. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の政府修正案に対する説明に対しまして、岡野国務大臣に伺いたいと思います。最初附加価値税を二ケ年延期するということでございますが、今後二ケ年も延期する法案をこういう地方税法案の中に置いておくということは、実に法案として体裁が惡いと思うのです。二ケ年後に実施するものならこの地方税法案に置いておく必要がないじやないか。これを一応外して置いた方がいいじやないか、こういうふうな意見も我々の会派にあるのですが、そういう点、たしかに二ケ年も後に実施するその條文を現在依然としてこの中に入れて置くということは、法文の建前からも妙なものじやないか、必要なときに改めてこれを出せばいいじやないかということですが、それに対してどうお考えになりますか。  次の点は今度の第二点として修正青れた点ですが、結局今回一・六になりましたが、そうすると前議会において最初提案された政府原案に対しまする比率から行くと、〇・一五軽減したことになる。併しながら最初から、一・七五の際から総額は五百二十億というふうに政府では見積つておるわけなんですが、その点今度下げても五百二十億前後になるということになりますと、政府総額の把握という点において、極めて大雑把な粗雑なものじやなかつたか、〇・一五下げても尚総額は把握できるということになると、随分その点が政府最初の見込というものは大雑把で、十分な資料に基いていないのじやないか。結局そういうふうなことになると思いますが、そういうふうな点に対する政府の責任をどういうふうに考えておられるかという点を伺いたいと思います。それから第三点として大臣に伺つて置きたいのは、例えば固定資産税倍率の問題とかその他諸点が前議会から国会の論議の的になつてつたのですが、そういうふうな点が現在両衆議院修正案以外にも大分重要な点が残つておるのですが、そういうふうな点に対して今後政府はどういうような態度を取つて行かれるのか、又この地方税法案のどういう点について、今後政府としては若しこれが通るならば、どういう点を十分地方財政委員会なんかで研究し、又近く来られるところのシヤウプ博士税法のどの点について重点的に交渉なざるのか、そういうふうな点を審議の参考上もう日もないので、段段結末に近付くのですが、そういうふうな点、政府はどういう点を今後十分研究し、調整すべきところは調整し、次の機会に修正するならば修正するというような点をどの点に置いて考えておられるか。シヤウプ博士についてはどういう点について重点的に交渉されるか。そういう点が非常にこれを賛成し反対する、どつちにとつてもこういうような点に、政府の考え方がどういうところにあるかということが非常に重要だと思います。又政府が今の点以外についてもどの程度の熱意を持つておられるかということが、我々がこれに対する賛否を決めます場合に非常な重要な点になるのですが、その点十分率直に意見を述べて頂きたい。
  5. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 西郷委員の御質問にお答え申上げます。一二三と三点ございますが、今伺つておりますというと、至極御尤もな御説でございまして、大いに肯繁に当る点があるのでございます。それにつきまして先ず第一点からお答えを申上げます。延期を事実上二ケ年延ばすことになるから、こういう税は体系上から除いて置いた方がいいのじやないか、こういうような御意見のように承わりました。御尤もな次第でございます。できるならば即刻やはり体系上実施したいと思いますのですが、提案理由で申上げましたように、準備期間というものが要るということも一つの案を出しましたときの理由でございます。その意味におきまして衆議院の方で修正が可決したのでございますが、衆議院の方の御意向としましても、いわゆる準備期間はもう少し長く置いた方がいいのじやないかと、この半年で急に準備して文意に取るというようなことも工合が惡いからということでお延ばしになつたようなことになつておるのでありまして、我々といたしましては、やはり附加価値税というものはンヤウプ勧告案の税制の主たる税の一つでございまして、あの体系を崩さずに行けというのが又勧告一つの狙いでございますから、お延ばしになつて下さることは至極結構でございますけれども、この際体系を崩さずにやつて行きたい。こう考えましてやはり残して置くことにいたしております。  それから第二点の一・六で、最初の一・七五から比べるというと〇・一五の税率の低下ということになるが、それに対して政府はそうしてもやはり五百二十億の数字が得られるのでは、大雑把な数字じやないかという御意見でございます。これも至極御尤もなお話でございます。ただ提案理由にも申述ベましたように、前国会以来この償却資産あたりに言まて、いろいろ評価方法で沢山取れるのじやないかというような御意見が多数にあつたように私伺つております。その意味におきましても、又も一つは遺憾ながら日本統計資料といたしましては、我々は最善の統計資料を採用して作つたのではございますけれども、その統計資料が十分的確に行くというわけに参りませんので、この前の議会でも御意見がありましたように、政府ではこのくらい取れるだろうと思つておりますけれどもやはり多過ぎる、沢山取れ過ぎるというような御意見があつたのであります。そして提案理由に申上げましたように、上廻つたときも予想しておるわけであります。今度の御修正は恐らく上廻るということが十分認められるから、それでそれなら初めから税率を一・六くらいにして置いた方がいいのじやないか、こういうような御意見で御修正になつたのであります。でございますから政府として成る程確信がないと仰せられますと、それに対しては言うことはございませんけれども、併し何分にも先程申上げましたように、統計資料が、日本において一番いい統計を全部收集しまして作りましたものが、皆様方の御意見によりますというと多過ぎるというような御意見でございますから、政府といたしましては初めから予定いたしておりましたように上廻るかも知れない。併し上廻つても大体この税率で上廻りますことをお認めになるならばやつて行く、こういうような勘定になつております。それからの他いろいろ倍率の点とか、今後重要な点が残つておるが、これをどうするかという仰せでございますが、これは内輪な話でございますが、先般村上さんが関係方面にお出ましになりまして、そういう点もいろいろ関係方面に対してお話になつてつたようであります。関係方面におきましても、それはそういうこともあるだろう、けれども今の段階としてはこれでやつて置いて、そうしてそういうようなことは十分專門家意見一つ国会なり政府で申出て、そうして将来においてそれを是正して行くというふうにして行つたらいいじやないか、こういうお話がございまして、村山さんもそれを喜んで御了承になつたようなことを私立会いまして伺つております。でございますから、これから実施しました上で倍率の点とかなんとか、もつと重要な点もございますが、それは将来の問題に残しまして、この際はこれでやつて行きたい。又政府が今後どういう態度で臨むかというような御質疑でございましたが、我々といたしましては只今の案としましては一応整つたと思つております。けれども重要な点がいろいろ御議論がございますから、この国会においても伺つておりますし、又将来研究の結果いろいろなことが出て来ると思いますが、それにつきましてはできるだけ多くの御意見を拜聴いたしまして、政府としてできるだけの努力をしてそうして国会の御意思に副うように将来改正を期するという方向に進んで行きたいと思つております。御了承願います。
  6. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この点はそれで分りますが、今度の修正におきまして、問題の税目のうち附加価値税は一応先に延ばされましたが、次には固定資産税の問題ですが、固定資産税の点も今度の修正修正されましたので、先般来連合委員会等におきましても固定資産税につきましては、倍率その他についていろいろ熱心なる質疑がありましたが、その点につきまして一つ伺いたいと思います。固定資産税のうち、償却資産というものに対する課税が非常に大きな問題として国民の視聴を集めておるのですが、今回の地方税において政府はその償却資産につきましては、仮に決定した額に対して一応納付させてその後正式に償却資産価額を決定した後それに調整を行うというような、非常に慎重な、又思いやりのある方策を採つておられますが、固定資産税のうち償却資産を除いた他の部分については、そういうふうな点がとられておりませんが、償却資産その他についてもそういうような償却資産に対してと同様なことがありますと非常に私はよいのではないか。高過ぎた場合には償却資産の場合と同じように還付するとか、いろいろの点がここにあるのですが、そういうふうな同様の措置償却資産以外にもなさると非常によいと思うのですが、そういう点がこれにはなされておりません。この点についてどう考えておられるかという点を重ねて伺いたいと思います。
  7. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。あれは償却資産ばかりでなくて、固定資産にもかかつておりまして、来年の一月中にいろいろ研究しまして、そうして調整をすることになつて起ります。詳しい手続のことについては事務官から申上げます。
  8. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 倍率の点でございますが、二十五年度におきましては九百倍の倍率をそのまま用いて、土地家屋につきましてはこれが確定的な課税の基準になるわけでございます。二十六年度につきましては一期二期三期までは一応土地家屋につきまして九百倍をいたしましたものを仮の課税標準といたしまして、税率を掛けて取りますが、最終の納期の際におきましては、来年の九月三十日までに土地家屋に対しましても地価を算定いたしまして究極的に価格を決定いたしまして、その客観的な価格基礎にいたしまして、税率を掛けまして清算する、こういう建前にいたしております。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の政府説明ですが、少し私の言うのを取違えておられると思うのだが、償却資産に対しては今倍率の点に重きを置いて言われた。倍率は分つているのですが、倍率でなくて償却資産に対する固定資産税償却資産価額を決定して納めさせるけれども、その後においてこれを正式に決定した後に税額を再計算してその差額を二十六年十二月中に納付させたり還付したり、或いは充当するということが書いてある、その点を伺つたので、倍率の点を伺つたのではない。その点はもう一度伺います。
  10. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 二十五年度分の償却資産につきましては只今お話のごとく一応非常に時期も遅れますので、簡便な価額の決定の方法を考えまして、この点は減価償却基礎になりまする帳簿価額なり、或いは再評価をしましたものの再評価額或いは再評価をやらない場合におきましては見積価額、こういうようなものを一応目途にいたしまして、若しもそういうようなものが、再評価限度額の七〇%以上でありまする場合におきましてはそういうものを一応とりまして、大体それによつて価額を決めるわけであります。併しこれが百分の七〇以下でございまするならば、限度額の百分の七〇というところで抑えて、償却資産価額を仮に決定するためこの百分の七〇という限度額基礎につきましては、陳腐化等関係も考慮いたしておりますが、更に百分の七〇で押えますことが、遊休未稼動資産等につきまして酷でありまする場合につきましては、これを緩和する途も開いておるわけでございます。いずれにいたしましてもこういうような或いは帳簿価額、或いは再評価額或いは見積価額というようなものが、百分の七〇以上でございますればそれを大体押えるというような簡便な方法を以て今年度価額を仮決定いたしまして、来年の九月三十日までに新たに時価を測定いたしまして、その時価によつて償却資産価額を最終的に決定いたすのであります。それが二十五年度の最終的な償却資産課税標準となるわけでございます。それに確定いたしました税率を掛けまして来年の十二月に清算をし、取過ぎであつたらば還付し、足らなければ更に徴收するというような建前にいたしておるわけであります。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その点はこの程度にいたしますが、更に倍率の点は、東京みたいな大都会と、九州の果ての小さな村の倍率とが同じであるということは非常に妙なことであつてシヤウプ博士が見えた際には、大臣もこういうふうに一律に九百倍とするということが如何に妥当性を欠いておるか。而も日本現状からいつて九州田舎東京と同じような倍率にするということは、ちよつと素人が考えてもおかしいのであつて、そういう点はもつとその間に段階をつけるとかいろいろのことを今後考えて頂くべきだと存じておるのですが、そういう点を改めて伺いたいのと、次に市町村民税について均等割最低四百円ということに今度なつておりますが、例えば小さい田舎に行きますと、非常に困窮者が多いので、最低五十円ぐらいを頭にしておるのが現状なんですが、今度最低四百円ということになりますと、非常に町村たんかでも納められない人が多いのに、四百円も取るということは事実上不可能で、誠に困ることができると思いますが、そういう点も併せて今後考えて頂きたい。現在そういうふうに抑えない人が四百円も取られるということは、甚だ現状を無視したような状態であるというように思いますが、この二点を伺つて置きます。
  12. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。倍率の点でございますが、あれはシヤウプ勧告に一千倍ということに勧告されておるのでございますが、政府といたしましては、只今西郷さんのおつしやつたようないろいろな御意見がございまして、最も低いのが五百倍ぐらいがいいのではないか、それから中間におきましても七百倍ぐらいがいいのではないか、こういうような御意見もありました。いろいろ御意見も出たのでございますが、同にいたせ最初これを実施に移しますスタートとしましては、やはりあの勧告趣旨に副うて一応それでやつていいじやないか、こういうようなことで実は九百倍という数字になつたのでありますが、併し将来シヤウプさんがおいでになりまして、又我々としましてもできるだけの研究をいたしまして、そういう方面の皆様の御議論のあるところを、できるだけ尊重いたしまして、そして御趣旨に副うように我々は努力いたしたい、こう存じております。  それから市町村民税でございますが、仰せの通り、今までの市町村民税と比ベますというと、相当高くなつておることは事実でございます。而もたびたび申上げますように、税を拂う点におきまして、やはり国税も地方税も拂う人は一人である。同じ懷から出るのであるから、国税の方において減税をしておりますから総計いたしますと、即ち国税と地方税を合すればこの欠陥が除ける、こういうような政府の見込でこの市町村民税をこういうふうにしたわけでございます。それからもう一点は、大きな方針といたしまして、地方自治体かこれから徴税をする。その納税が今までは一体自分の出しておる税金が何に使われておるか分らなかつたのでありますが、こういうような非常に廻りくどい方法で税金が取られて使われるようになつたのでございますけれども、今後は市町村民は市町村に、自分の出したものがどういうふうに使われて行くか、即ち身近に自分の出したものが、どういう点に使われて行くかというような興味を持たせると同時に、又本当に自分の出したものが自分達の共同生活に非常に役立つておるのだ、こういうふうなことを自覚させるという意味において、市町村民税なんというものは一番これはいいのじやないかというふうな気持を持つておりまして、只今のように考えております。でございますから先程仰せになりましたように、成る程市町村民税だけを旧法新法を比べますというと、相当高い税率になつておりますけれども、併し国税地方税を総合しました点におきましては、減税になつておる、こういう点で我々はまあ地方自治団体のためにはいいのじやないかと、こう考えております。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点お伺いしたいのは、国務大臣は、倍率の点はシヤウプ・ミッシヨンでは千倍であつたけれども、これが政府原案には九百倍だからというふうなことを非常に頭にこびりつけていろいろ言われますが、シヤウプ・ミッシヨンのこういう数字は、無論その点は考え方でしようけれども、私は賛成できないのです。というのは、我が国の長い戦争において非常に困つたのみならず、その後戰災、資金資産の凍結、その後のインフレということで例えば我々の九州田舎を考えましても、戰後今日の方が困窮者が実際に殖えておるのであります。こういうふうな事情があるので、これは都会においても言えると思いますが、そういう点を考えないからであります。第三に千倍にしたり、九百倍にしたりすることは如何に現実に不適当であるかということは何人もそれは分るのであつて、それは全般を一千倍にするがごときは実際に納められない人が続出するのです。これは市町村民税においても同じことが言えるので、私の今申上げたいのは、三つの点から戰前に比べて困窮者が殖えておるのですからそう思うので、そういう一律に倍率を掛けて見たり、それから五十円しか納められないものをいきなり四百円を課して見ても、取れないものを課するということは税率ということの本旨に反すると思うのです。そういうことはやはりシヤウプ・ミッシヨンも短期になさつたので非常に間違つたことからこういうふうな決定を出されたのかも知れない、で一度決めたからといつてそれに拘泥すべきものじやないと思います。ですからそういう点は予算的にこういうものを一律に千倍にしたり、九百倍にしたりすることが如何に不適正であるかということは分りつておるのですから、そういう点を過去にこだわることなく、今後の研究については大臣みずから九百倍なんかは成るべく段階をつけることがいいのですから、シヤウプ・ミッシヨンが千倍であるからといつてそういうふうなものを固執する必要は全然ないのであつて、今度来られるのもそういうような現状を研究されて、いろいろの点を直そうというふうな熱意を持つておられると思うんです。一千倍であつたからというふうなことはもうこの際捨てて頂いて、大臣みずから陣頭に立つてこれを一つ研究して頂きたい。市町村民税においても同様ですが、そういう点を岡野さんは民間にも長くおられてそういう点は非常に詳しいのであるから、大いに、熱を上げて今後研究して頂きたい、かように思います。
  14. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 西郷さんのお税至極御尤もでございまして、私もさように考えますから今後微力ではございますけれども、御趣旨に副いますように努力いたしたいと存じます。
  15. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 シヤウプの勧告に書いてあるところを見ますると、国税、地方税のこの勧告一つ体系をなしておるものである。從つて極く一部の部分修正というようなものは、これは改善にならずに改惡になる場合が極めて多いということを勧告しておるわけなんです。從つて我々といたしましては大部分修正をいたしますと、それに関連して起る附帶的な修正なしには十分にシヤウプの勧告趣旨にまあ副い得ないと思うわけなんです。そういう観点からいたしましてこの国税を見ますると、法人に対しまして、株主と法人とは租税主体が同一であるから二重課税をしてはいけないというような立場から、国税では非常に軽くしてある、それにも拘わらず今度政府提案されました原案修正されまして、附加価値税事業税に代りまして、国税において法人税が非常に軽くなつているにも拘わらず、更に地方税が極端に軽くなるということによつて、正に我我としましては、シヤウプの勧告通り改惡になつたものと、こういうふうに考えるわけでありますが、政府提案されました当初のように、依然として附加価値税が正しいものであるが、国会の決議であるから仕方がないというふうにおとりでありますか。この点についてお伺いいたしたいのであります。
  16. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今中田さんがシヤウプ税制報告書を御検討の結果による御意見伺つたのでございますが、お説のようにシヤウプ税制報告書の今回の税制体系は有機的な関連性を持ち、且つ国税との関係において立案されたものと承知いたしておるのであります。今回衆議院におきまして、更に附加価値税の一年延期を修正されまして可決を見たのでございますが、この点につきましては、我々としては附加価値税は依然として税体系といたしましては適当なものであるという考えには変りはないのであります。併しながら国会において御修正に相成りました限りにおいて、昭和二十七年度から附加価値税を実施するものとして、その間における暫定的な措置といたしましては、止むを得ざるものと考えておるのでありますが、政府として訂正を加えました点につきましては、かねて御承知の通りに附加価値税の考え方を或る程度その課税標準課税対象の点につきまして取入れて考えておることは御了承の通りでございます。以上のような関係で、政府といたしましては、将来附加価値税が実施されることを予想いたしまして、政府としての提案につきましては、意見を変えておりませんし、又国といたしましても、この考え方でこの法律案の中に附加価値税の條章をも織込んでおる、かように御了承を願いたいのであります。
  17. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 只今の御説明政府の方の御意図はよく分るわけでありますが、とにかく我々が勧告案から見まして、国税でまあ法人の方を軽くしてそうして事業税でもこれまでずつと軽かつたのを、附加価値税に改めて、不当に法人が擁護されて弱小中小企業が圧迫されるということをまあ是正しておつたわけでありますが、それができんようになつたことは、特に中小企業から成立ちますところの農山漁村や、中小企業を中心にいたしました小さい府県の財政を、相当圧迫すると思うわけでありますが、まあ客観情勢からいたしまして、衆議院を通つた案は、参議院で通過いたしまして、法として実施されると思うのでありますが、これにつきまして、シヤウプ博士も近くおいでになるということでありますが、それを実施いたしまして、中小企業が必要以上に圧迫されるというようなことから来るこの中小企業の危機を救うために、来る国会に何らかの準備をされるようなことは、まだ予想されないのですか。
  18. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今お話がございますように、中小企業と申しますか、法人と個人の税負担の均衡化の問題があろうかと思うのでありまして、從いまして政府のとりました事業税及び特別所得税の暫定措置におきましても、これらの点を或る程度許される限度において考慮いたしまして、農業林業はこれを非課税の対象にする。或いは又第二種事業におきましては、主として自家労力を用いて行いますような場合におきましても、能う限り非課税方法を考えておるようなわけであります。この法律案が成立いたしました以後において徴税の実情、或いは中小企業者の実態等に考え合せまして、更に是正すべき点が発見されますような場合におきましては、十分にこれらの点につきまして研究いたしまして、今後の処置を考えて参りたい、研究をいたしたいと考えております。
  19. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 平衡交付金との関係でありますが、先に申されたように政府で改正して参議院に送られた案が、参議院で通過して、それが実施される場合には、中小企業、特に個人企業から成つていますところは、政府から大体これくらいは徴税できると、まあ各府県に割当てられて、それでまあ平衡交付金の配付になる財政收入というものは大体予定されるわけでありますが、法人組織の少い、個人企業から成つておりますようなところにおきましては、現在の中小企業の危機の状態からいたしまして、到底これまでのような政府が各府県で予定されたような事業税收入というものは、なかなか入りにくいんではないかと思うわけであります。從つてそういう際には、財政需要と財政收入との関係から平衡交付金の配付について特別の考慮を拂つて頂かんと、この改正法案から来る弊害というものが是正されないと思うのですが、如何でありますか。
  20. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答えいたします。只今お話のございましたように、地方財政平衡交付金の運用の基本的な原則は、各地方団体における基準財政需要額と基準財政收入額との差額について勘案いたしまして、これに按分して交付する、こういう建前になつておるのは御承知の通りでございます。この点につきましては、地方財政平衡交付金の規定に基きまして、地方財政委員会は、全国における各地方団体から、財政需要の算定をいたします場合における基礎的な資料を收集いたしまして、これに基きまして算定をいたしますと同時に、これ又地方財政平衡交付金にあります規定に基きまして、地方財政基準税收額をも算定いたしまして、これを見合つての差額についての交付金の額を決定することに相成るのでございまするので、從いまして今後における地方財政の推移なり、或いは地方財政の需要の変更等と考え併せまして、地方財政平衡交付金の交付金額を決定する場合において、善処して参りたいと考えております。
  21. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 只今の御説明で分つたんですが、その財政收入の把握の際に、特に個人企業や弱小法人組織から成る場合には、特別な配慮をして頂かんと、まあ今度の改正法案から来る弊害が救えないではないかと、こういうことを申上げたのであります。
  22. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御指摘のように今回の税制改革によりまして、道府県と市町村とはそれぞれ独立の税目を與えられることになりますので、從来の税制に基く地方財政の運営にいろいろと変化を與えることと考えております。從いまして只今御指摘のように農村、山村の多い道府県等におきましての財政需要なり、或いは財政收入は、相当の変化があるものと考えておりますので、これに対処する地方財政平衡交付金の算定に当つて参りたいと考えております。
  23. 石川清一

    ○石川清一君 只今の質問私も同じように質問いたしたいと思うておりましたですが、今度の地方税法のこれを補強するのが平衡交付金制度であります。この十五條の中には、基準財政收入と基準財政需要額とを計算をしまして、その超過額に平衡交付金が支給される。その税率はこの法のここにあります率でありまして、この百分の七〇に該当しなければ平衡交付金を交付されない、こういうようになつておりますが、政府のとりました今度の固定資産の賦課率が前国会には一・七五であつて、今回は一・六になりましたが、こういうような政府のとつておりました数字に信頼しないというのが府県並びに町村だと思うのでありまして、こういうような形の中で中央政府のとつております資料を何と言いますか、信用しないというような府県、市町村の考えでは、恐らく政府と同じような形で今度の倍率、或いは客体の掴み方、比率というものが組まれるということが予想されるのでありまして、この場合に先程御質問ありましたような近代化された産業都市と、原始産業の町村、或いは原始産業の府県、こういうようなものを現在の附加価値税の大体賦課額でカバーして行くというのであれば、実際的に附加価値税を課したと変らんということになるのでありまして、こういうようなことを強行するのであれば、恐らく議会を解散をしてまでもこの附加価値税を通すべきではないか、こういうように考えておりますが、政府の真意は一体どこにあるのかお伺いいたします。
  24. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。政府といたしましては、御承知のごとく附加価値税が適当であるという考え方を持つておりますことは、先程来御説明申上げた通りでございます。今回の政府訂正によりまして特に固定資産税の運用に当りまして、七百五十條のような規定を入れましたゆえんは、償却資産收入見込というものは、土地や家屋程には、実は客観的には明確ではないのでございます。そういう意味合いにおきまして、五百二十億を基礎といたしまする弾力のある規定、形式を取るということにつきましては何ら変更はないのでございますので、この程度の見込違いは政府といたしましても了承はいたして参りたいという考えを持つておるのでございます。尚只今具体的に農村を主体とする道府県の税收額、或いは市町村におきましても種々地方財政平衡交付金の基準財政需要額を算定する場合に凸凹ができて来るのではないか、この場合においての調整の問題が起つて来ることは御指摘の通りであります。その場合において、地方財政平衡交付金法の第十五條によりまして、政府が考えております基準地方財政收入額を算定する基礎といたしましては、この法律案にもございますように、標準税率を目安といたすのでございますが、実際の算定に当りましては、その門に多少のゆとりを存することが地方財政の計画的な運営から申しましても必要であろうという見地から、基準税率というものを地方財政平衡交付金の中に設けまして、これがいわゆる七〇%に該当するわけでございますが、そういう方法を採ることによつて、その間に調整を図ることが適当である、こういう考え方から只今御指摘になりましたような方法を採ることになつたような次第でございまして、先程中田さんからの御質問にお答え申しましたように、各地方団体から提出いたしました資料に基いて算定をすることになりますので、客観的な算定の標準に基いて弾き出されました財政需要額と、又地方財政平衡交付金において定められました規定による地方の基準の財政收入額をお互いに見合つてやりますことが公平な措置ではないか、と同時に調整の目的も達し得るのではないかと考えております。
  25. 石川清一

    ○石川清一君 その場合には五百一十億、或いは一千九百八億四千七百万円という地方税收入は仮に曲げないとしても、賦課されるところの小企業、いわゆる自家労力を中心とする小企業と、近代産業に資本を投じているところの資本家との間の開きは、これを何を以てカバーすることができますか。町村の財政の面は一応カバーできますけれども、事業税附加価値税附加価値税の方が適当なんだという考えは、町村の財政或いは府県の財政の関係では了承できても、これを負担する、担税する国民の食違い、差額というものは、何をどの程度を以てカバーできるか、お尋ねいたします。
  26. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。只今の御意見は誠に御尤もでございまして、政府におきましても、この訂正を行います場合に種々検討を加えて参つたのであります。併しながら事業税並びに特別所得税を存置するものとして、暫定的な措置を講ずる場合におきましては、止むを得ない欠点ではなかろうかと思うのでございまして、これは尚将来この税法を実施いたしました以後において、これらの点は実績に徴して更に研究を加え、調節を図るような措置を考えて参りたいと考えております。
  27. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今の中田君以下の質問に関連してたつた一つお聴きしたい。来年はともかくとして、これが本年実施になつたとしても、市町村税において固定資産税の最終的な決定が来年の二月なら二月に越されて行く、そういうことになつて最終的に財政需要に鑑みて地方財政平衡交付金を決定して渡してしまう時期はいつになるのですか。
  28. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。御承知のように地方財政平衡交付金の交付の時期につきましては、地方財政平衡交付金法に規定されておりまして、道府県と市町村において大体似たような時期でございますが、幾分違えているところもあるのであります。今回は地方税法案の不成立に伴いまして、すでに四月は暫定措置法に基いて概算交付をいたし、その後第一・四半期並びに第二・四半期につきましては、それぞれ地方財政平衡交付金の規定に基きまして特別な事情があるものとして地方財政委員会において規則を設けてやつてつたのであります。第三・四半期以降におきましても只今申しましたように、地方財政平衡交付金において定められておりまする時期に応じてこれを交付して参るこういう考え方を持つている次第であります。
  29. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 その形式上のことは分るのですが、本年は飽くまでも第一年度のために暫定的な地方税收というものが、途中の四半期四半期ごとに行われて行くわけで、最終的な調整をして、取るものは取り、與えるものは與えるということで、始末のつくのはいつかということであります。
  30. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。地方財政平衡交付金の交付の時期につきましては、最終の時期は普通交付金につきましては、本年度につきましては本年の十二月でございます。
  31. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それで地方の新らしい税の徴收見込額というものとの間で、調整がそれで終つてしまうのですか。
  32. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 地方財政平衡交付金の運営につきましては、この平衡交付金の交付金は、普通交付金と特別交付金と二つに分れておりまして、私が今申しましたのは本年の十二月において普通交付金の交付が最終的に決定されるわけであります。特別交付金につきましては来年の二月に、その後の財政需要等と勘案いたしまして交付をする。その特別交付金の交付の時期が終りまして財政調整の最後的な措置が終ることになるわけであります。
  33. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 その最終的な年度のお終いになつて、地方の見込違いというような関係で歳入欠陥が出る、それを調整する。併しながら欠陥は欠陥でも国家の金を使つて行かなくちやならん、こういう場合においては、地方自治の市町村自体でそれを賄つて置けという恰好になるわけなんですか。
  34. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 御心配になりますこと誠に御尤もでございます。それで本年度はやはり経過的な措置をとらざるを得ないと考えておるのでありまして、原則的には各地方団体の交付金額は八月三十一日までに決定しなければならないことになつております。併しながらやはり本決定をその間にするということは非常に見込違いで誤差が生じて参るのであります。從つてやはり仮決定の方式を取りたい。更に十二月になりますと、償却資産でありますが、大体の再評価額、或いは再評価額限度額が出て参りますので、これをもう一遍報告を取りまして十二月に報告が集まるでありましようから一月中に正式に決定をしたい、こういう考え方を持つております。
  35. 石川清一

    ○石川清一君 只今説明を受けましたように、附加価値税の二ケ年延期というのは、究極において小企業者の負担に陥るという傾向が非常に強いのであります。この点はすでに前国会を通じまして論議されたところでありまして、附加価値税に反対をされた大きな原因は、附加価値の中の大半を雇用賃金にもつておる事業体、更に新聞事業、農業協同組合、或いは水産協同組合という一連の協同組合関係事業体が非課税を主張しておりました。この三つに私は盡きておるように聞いておりましたが、政府説明には何らそういうような点が含まれておらず、こういうような論議された点は、仮に今日只今の場合において、著しシヤウプ博士が来たときにこの点を十分論議をする、或いは折衝をするという片鱗が伺えなかつたのです外、これは全然お考えはないのですか、この点をお伺いいたします。
  36. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。事業税附加価値税との比較の問題につきましては、岡野大臣提案理由説明の際に申上げました次第でございまして、從いまして今御指摘になりましたような業種につきましては、附加価値税の実施によりまして相当負担が重くなる、併しながら我々の考え方といたしましては、現行の税法によりますと、個人と法人との負担割合は大体個人が九割ぐらい、法人が一割ぐらい、こういうふうな計算が出るわけでありまして、若し附加価値税を施行する場合におきましては法人が六割ぐらい、個人が四割ぐらいということで、只今御指摘になりましたような皺寄せは出て参りますけれども、結果におきましては法人、個人相互間の負担の均衡が取り得る、こういう見込を持つてつた次第でございます。從いまして今回の訂正並びに衆議院の御修正に基きまして事業税を更に存続いたしました場合におきましては、事業税における欠陥を直ちに完全にこれを除去するということは困難であろうかと思うのでありますが、先程から御説明いたしましたように農業、林業、その他自家労力によるものについては非課税にするという附加価値税の精神はこれを織込んで行くようにいたしまして、能う限りの調整は図るようにいたしておるような次第であります。併しながら将来の問題につきましては、御読の通りシヤゥプ博士もおいでになりますし、尚論議の機会もございますので、両その際に十分に御意見を拝承いたしまして研究をいたして参りたいと考えております。
  37. 石川清一

    ○石川清一君 大体お伺いしたので分るのですが、いろいろ論議は聽くけれども、究極において大衆課税に、いわゆる勤労者、或いは農民という階級に課税が最後的においては負担をするのが法の精神だという考え方でおられますかどうか、これをお伺いいたします。
  38. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。今回の税制の改革が国民負担の均衡化を図つて行くというところに狙いがございますことは御承知の通りでございまして、我々といたしましては、徒らに農民その他大衆課税趣旨を以てこの税制を改革しようという趣旨ではないのでございます。ただ暫定経過的なときにおきまして、只今御指摘になりましたような点が起り得るかと思うのでありますが、これは将来の研究に俟ちたいと考えております。
  39. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 他の委員からもお聴きして答弁があつたと思いますが、先程の一般平衡交付金の暫定拂いをして行つておるわけでありますが、これは地方財政が現在税收入ができないために、それを税收入の代りに補填をして行つておるという一つ方法として今暫定拙いをしておる。ところが最終調整をした後にその暫定佛いをしたものが交付超過した、例えば税が非常に多く取れるというような市町村においては平衡交付金が殆んど行かない。一般平衡交付金が交付されないというようなことがあり得るわけでありますけれども、現在のところは税を取ることができないために、その市町村は預金部資金は勿論でありましようが、この平衡交付金によつて一時凌いでいるという場合に、そういういわゆる平衡交付金を貰うところの資格のない町村に今やつておるのじやないかと思う。その際にその過拂分に対してはどういうふうな措置をとられるのか、それをお聽きしたい。
  40. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答え申上げます。鈴木さんがおつしやいましたように余計に取過ぎておる、或いは交付いたしておる、こういう場合は、暫定措置建前から行つて生ずることは想像に難くないのであります。從いましてさような場合におきましては、税收入額との関連において考えなければならん問題でありますので、取過ぎた地方団体からは返して貰う、こういう措置をとりたいと思つております。
  41. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 最終決定後において調整をした結果、平衡交付金を多く交付を受けているという市町村からは返して貰うという措置がとられることになるという答弁でありますが、その際には勿論利子の関係とか、それは何もないということになると思うのですが、一方において預金部資金を借りている場合においては、これは利子を拂わなければならん。これは当然国家が負担することになると思いますが、平衡交付金についてもそれに対する利子は借入れて行くという形でなくして返してやるということになると思うのですが、その点は……。
  42. 小野哲

    政府委員(小野哲君) お答言えいたします。短期融資につきましては御承知のように利息の負担の問題がございます。これにつきましてはすでに御説明申上げましたように、政府は何らか適当な財源の措置を講ずる考えでございます。地方財政平衡交付金につきましては、国の支出金でございますので利息の問題は起らないと考えております。
  43. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 国と府県市町村の会計年度の問題ですが、各府県とも或いは市町村とも平衡交付金に依存する度合が非常に多いわけであります。そしてその平衡交付金の総額が決まりますのは早くて三月の末日なんです。本年度のように四月に繰越される場合もある。ところが市町村にいたしましても、府県にいたしましても、やはりそのときに予算を編成するわけなんです。そこで各府県とも市町村とも平衡交付金に依存する度合が非常に多いわけでありますが、一体幾ら貰えるか分らない。大体前年度で推定もできるのですが、そういう意味で現在年度の初めにしつかりした一年の予算が組めない。本当の意味の予算になつていないわけです。一年間を予定して年度の初めに組むというのが予算なんですが、そういう点で会計年度を何とか調整するようなことをお考えにはなりませんか。国と府県の……。
  44. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今中田さんから言われましたように、根本的な問題として国と地方団体の会計年度を変えて調節をして行くということも一つ方法であろうと存ずるのでございますが、私共の考えておりまする措置といたしましては、新年度の初めにおきまして各地方団体が歳計現金に相当困難を生ずることが予想いたされますので、從いまして地方財政平衡交付金法の規定によつて、成規の手続によつてこれを交付する以前におきまして、大体において前拂の措置を講じまして歳計現金不足の場合の困難に対処するように地方財政平衡交付金法において考えておる次第でございます。
  45. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そのことは分るのですが、大体府県にいたしましても来年度の予算を今年度の十二月頃から一月頃にかけて編成するわけですが、そういたしますと、実際予定がつかんわけなんです。その問題ですが、予定がつかんからずつと年度の終いに本当の意味での追加々々で行くわけなんですが、その辺を何とかもう少し調整が……政府では、大体来年度はどのくらい平衡交付金をやるということを予算編成期に通達されるのですか。
  46. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 会計年度の問題につきましては、一応地方団体は国の会計年度と同じものを抑えているわけでございますが、地方自治の本当の建前から申しまするならば、会計年度を国と地方とが必ず一つにしなければならんという理屈はないわけであります。ただ現在の体制におきましては、国から各種の補助金或いは交付金等の交付がございまするから、国の予算なりその他が確定をいたしましてから地方予算の編成期に入るのが適当ではないかというような御論もあると存じまるが、やはりいろいろの会計年度が国の会計年度と一緒になつておりますることによる利益ということもあるわけでございまして、從来から会計年度を府県市町村一つにしておりまするので、政府としてはその案をそのまま踏襲しているような次第でございまするが、今後は更に研究を重ねて参りたいと考えております。
  47. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大体二十六年度の予算を編成するきには、これこれの補助金をやるということを、平衡交付金が出るだろうということを、今年度なり来年度の初めにいつ頃各府県には……。
  48. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 本年度は、例えば收入額の算定等につきましては、今の償却資産その他の面倒な問題がございましてなかなか把握が困難であり、從つて先程財政課長から申上げましたように、八月三十一日までに交付金の額を決定するという原則を若干変更いたしまして、今の償却資産なり或いは固定資産の確定率の改訂の時期等と睨み合せまして、来年の一月頃までに本決定をするということで、一応仮決定という段階を経るというふうにしたらどうかということを今財政委員会で研究中であります。これは本年度は平衡交付金法の中にそういうような時期について特に変更ができるという委任の規定がございまするから、そういうような趣旨で今研究中でございまするが、来年度以降の問題に関しましては、短期融資は本年度を経過いたしますれば大体はつきりいたして参りまするし、各單位の地方団体におきましても、需要額にいたしましても、收入額にいたしましても一応把握の目度がついて参る、かように考えております。
  49. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 先程の問題に関連しまして非常に心配の点がありますので、一応お聽きして置きたいと思いますが、短期融資につきましては、これは融資であるから市町村におきましては返さなければならんということを前提として借りておる。利子の問題は別としてそういう建前から借りておる。ところが一般平衡交付金は国から交付されるのだという建前のものであるからして、一度暫定的な前拂のようなことで交付されたとしましても、その分については返す必要はないのだ、或いは返したくない、或いは又返すということになると市町村民から、あの町村長はどうも政治性がないものだから返された、返さねばならんということになる。ところが隣りの町村は返す必要がなかつたというようなことになつたりして実際の実情は一度交付金という形において前拂という名前であつても、交付した限りにおいてはそれを取るということは困難だと私は思うのです。そこで現在の一般平衡交付金というものは短期融資のような性質のものであつて、これは暫定的や一時的な彌縫策なのであるからして、最終的に調整した場合には、これは当然返さなければならん部分があるということが一体全国の市町村に対して今徹底しておるか。どういうふうなことにして平衡交付金というものを、そういう趣旨を徹底しつつ現在仮交付しておるのかという点を念のためにお聽きして置きたいと思います。
  50. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 暫定交付いたしてあります平衡交付金の還付の問題でございまするが、これは只今のところといたしましては、どの程度一体該当の地方団体がありまするかちよつと見当が付きかねるのでございまするが、そう非常に多いものとは私共考えておりませんで、大体現在までには六割程度の交付でございまするから、多くは最終交付の際におきまして調整できるとは存ずるのでございまするが、只今御指摘のような地方団体がございました場合におきましては、これを返して貰うということが当然でもございまするし、例の暫定交付の中にはその趣旨規定が盛込んであるわけであります。まあその趣旨は地方財政委員会を通じまてそれぞれ府県なり市町村に出ておりまするし、又各地の担当課長の会合に際におきましてもそれぞれの連絡はいたしておりますので、或いはところによりましてはその趣旨が徹底していないところがあるかも存じませんけれども、一般といたしましてはその趣旨は徹底をしておるというふうに私共考えておりまするが、御注意の点がございまするので、今後もその点は更に徹底をするように努力いたしたいと存じます。
  51. 石川清一

    ○石川清一君 今の平衡交付金の暫定法についてですが、私も少し調べて見ましたが、先程次官にお尋ねしましたように、基準財政收入と基準財政需要の関係において百分の七〇の大体課率で以つて予算を組みました。その場合に今までよりと言いますか、文化施設に予定以上の金をかけた場合相当高額な平衡交付金が暫定渡しになつてつても返さないのじやないか、こういうように考えさせられますが、そういう場合のこの課率の限界をどこにお引きになるかお尋ねをいたします。
  52. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ちよつと恐縮でございますが、今一度……、御質問の点がはつきり……。
  53. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 今の暫定的に平衡交付金を仮渡しをしてありますが、この平衡交付金の方によりますと、基準財政收入と、基準財政需要を合しまして、超過額を財政委員会が勘案をして平衡交付金を渡す。こういうようになつておりますが、その場合の標準税率が七〇%としたら……七〇%大体課税をして置けば、それより上廻る分は平衡交付金を貰えるという解釈が成立つて参りますが、そういう形の中で、今まで懸案と言いますか、少し無理をして文化的な施設を組んだ場合には、相当残りの三〇%と更に文化的な施設を含めまして、拂戻しと言いますか、そういう超過の分をこちらの方の財政委員会の方に拂戻しを受けるという基本的な基準がなくなるので、そういうような場合にどういたしますかお尋ねいたします。
  54. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 御質問の趣旨ちよつと明確でございませんが、各地方団体におきまして、基準財政需要額をとるわけでございますが、これは地方団体としての、いわば最低限度のやらなければならない仕事の水準を維持するために必要な経費というものを補償するという建前でございまするから、そういうような見地から財政の需要額を抑えますると共に、それに対する経費の財源といたしましての基準財政收入額をとりまして、從つてそれに基いて今の百分の七〇というところで抑えておるわけであります。その差額を平衡交付金として交付するというのが建前でございまするが、仮に一般の市町村の場合よりも更に程度の高い、お話のような文化的な施設をやつて、そのために特別な経費を要したという場合におきましては、そうした経費までも平衡交付金でこれを補償するという建前ではないわけでございます。從いまして平衡交付金といたしましては、父百分の七〇にとりましたゆえんのものは、更にそこに余力を與えまして地方団体の自主性、相違性を活かしまして、今のお話のような施設が可能であるような財源の余力を別に考えておるのでありまして、枠の中に入れますので、最低限度だけのものは入れて考えておる。こういう趣旨でございまするから、今のそういう文化的な経費というようなものにつきましては、それをやるから平衡交付金を返さないで済むということにはいかん。やはり平衡交付金でありまする以上は、その地方団体の均等を目的とするわけでございまするから、同じ基準で收入も歳出も算定をすべきである、かように考えております。
  55. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それではこれで休憩をいたします。再開は一時十五分にいたします。    午後零時十四分休憩    —————・—————    午後一時二十九分開会
  56. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) これより休憩前に引続き委員会を再開いたします。
  57. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、先程論議になつておりました固定資産税修正案でありますが、私はやはり一・七というような税率は、やはり固定資産税の、税の性質から見て一・七というものが適当であり、且つ又いろいろな固定資産の負担能力、或いは收益、そういうようなあらゆる観点から一・七というふうにお決め頂いたものと思うのであります。從つてそれで算出いたしまして五百二十億という予算が、一応の見積りが出たと思うのでありますが、今回それが一・六と、こう修正せられたのは、やはり固定資産税がいろいろな観点から、非常に重荷であるとか、或いはいろいろな観点から修正れたのでありまして、從つて政府が一・七という見積りをされて、五百二十億というのは非常に正しい見積りであり、又適正なるものと考えるのであります。從つて今回一千六と修正せられたからにはその差額約二千億というものに対しては、当然これは平衡交付金の追加増額というような観点によつてこの補填をなすべきであると考えるのでありますが、この点につきましての大臣が更に大蔵大臣と折衝せられまして、それらの財源確保に当られる御所存であるかどうか、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  58. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 高橋委員の御質問にお答え申上げます。あれにはこの前の国会以来いろいろ論議がございまして、もつと沢山取れるのじやないかというような御意見が強かつたように伺つております。そのために提案理由にも申上げましたように何か政府に自信がないのじやないかというようなお叱りを蒙つたこともあるのでございますが、若し上廻るとか、又下廻るというようなときには調整して行こうと思います。今回の修正案が出ましたのは、御承知の通りに一・六が適当じやないかというお論ですが、その1・七から一・六に直しておいても、併し千九百八億の範囲は動かさないでやつて行けというような御趣旨のようであります。でありますから、結局我々の見ました、或いは多くなるかも知れんという点を御修正為すつたお方から見れば当然多いのだ、だからこれは税率を減らしてもいいのだ、こういう観点から一・六にお下げになつたのでありますから、外にその五百二十億を上げる意味において平衡交付金或いはその他の金融財政措置をしなければならんということは、私は只今のところ予想しておらないのでございます。
  59. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 午前の西郷委員からの御質問に対しまして、それは二十五年度固定資産税の問題に関してでありますが、政府委員の御答弁が瞬味な点がありましたから、この際もう一度はつきり答弁を要求いたしたいと思います。
  60. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 午前中の西郷さんのお尋ねの点につきまして、補足して御説明を申上げて置きたいと存じます。昭和二十五年度固定資産税のうち、土地、家屋に関しまするものにつきましては、課税の標準といたしましては、賃貸価格に九百倍をいたしましたものを、確定的なものとして取りまして、これに対して、八月、十二月につきましては今度の修正によりますと、百分の一・六の改正率で掛けたものを八月、十二月に取りまして、更に来年の二月におきましては、一月に税率調整いたしますので、その調整せられました新らしい二十五年度の確定的な税率によつて、第三回目は納めて貰います。又来年の十二月になりまして、これにつきましての清算をいたすことになるわけであります。それから償却資産につきましては、先程申上げましたような仮決定の方法を採りまして、それに対しまして百分の一・六を掛けまして十二月の第一回分は取ります。それから、二回分は二月に取りますが、この際は、新らしい五百二十億が取れるか取れないかということを基礎にした税率で二回分を取り、これを更に九月三十日までに差額を決定いたしまして、来年の十二月に清算をすることになつておるわけであります。そのうち、二十五年度の土地、家屋につきましての倍率の九百倍というのを確定的なものとしないで、一応九百倍で取つて置いて、あとは償却資産と同じように、更に新規課税額を決定して清算をするというふうにしたらよいではないかという御質問が併せてあつたのでありますが、この点につきましては、償却資産と同様に、一応の仮決定で九百倍というものを取つて置いて、あとで清算するということもたしかに一つの御案だと思いまするし、政府も研究の過程におきましては、そのような案を考えて見ましたこともあつたのでありまするが、慎重考慮の上、且つ関係方面と連絡いたしました末におきまして、結局今回提案いたしましたように、土地、家屋につきましては、九百倍の倍率を確定的に掛けて、それを課税標準に確定する、こういうような案にいたしました次第であります。
  61. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんですか。
  62. 安井謙

    ○安井謙君 お尋ねしますが、附加価値税を延期されまして、事業税がここ二年ばかり暫定的に行われるわけであります。そうなりますと、附加価値税の中に、第三庫事業税を……今度計上されております費目の中に、從来の第一種事業税というものが相当二、三種組入れられてあると思います。新聞事業その他で、これを事業税の暫定的な事項の中に、この附加価値税の精神を活かすという意味で、第二種にするなり、何なりという措置をおとりになるおつもりはありませんでしようか。
  63. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の御指摘の点は、政府といたしましてもいろいろ考えたのでございます。新聞事業でありまするとか、公衆浴場の関係でありまするとか、そういうものにつきましては、御指摘のごとく附加価値に関しましては、軽い方の税率を適用する案を提案いたしておるのでありますが、今回にはその点の調整は第二段にいたしまして、或いは特別法人に封土る修正等もそのままにいたしておりますので、その辺の建前は変更しないことにいたした次第であります。
  64. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 吉田総理大臣が御出席になりましたから、総理大臣に対する質疑をこれから行います。
  65. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 私は吉田総理大臣に対しまして、一点伺つて置きたいのでありますが、御承知のように自由党及び吉田内閣におきましては、前回の選挙の後半から、一千億来年度は減税を行うのであるということを強調しておられましたが、つきましては、その一千億の内容でありまするが、聞くところによると、このうち七百億を国税において減税し、三百億を地方税において、来年度の減税を行うというふうに承つておるのでありますが、こういたしますと、御承知の通り前国会以来、地方税の増税につきまして、非常に論議が行われたわけで、参議院において廃案となつたわけでありますが、現在衆議院から修正可決せられまして本委員会において番議の過程にあるのでありますが、そういたしますと、今回は地方税におきまして大幅の増税を行なつておりまするが、来年度只今申上げましたように地方、国を合せまして一千億の税を減税するということになりますと、本年度の増税、来年度の減税ということになりますと誠に辻棲が合わないように思うのであります。そういうようなお考えならば、今回二十五年度に限り大幅の増税をなすということが非常に異様に感ぜられるのでありますが、そういう点どういうふうにお考えでございましようかという点をお伺いしたいのであります。尚且つこれに関連いたしまして来年度の平衡交付金でありますが、一千億の減税ということになりますと、平衡交付金は本年は一千五十億でありますが、それでもなかなか不十分でございまして、来年度その点の増減は、どういうふうに平衡交付金においてお考えになつておるか、その点は現在の地方財政が非常に逼迫いたしております関係もあり、全国の地方公共団体においても非常に注目しておる点でありますから、只今の一千億の減税に関連いたしまして平衡交付金の来年度の問題についての総理の御所見を伺つて置きたいと思うのであります。
  66. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) お答合え申上げます。自由党の希望としては一千億でありますが、併し政府としては一千億とか確定したまだ何が立つておりません。今予算案を作つておる最中でありますから……併しながらそのために地方税を更に増徴するということは断じてないつもりであります。むしろ中央で国税を減税すると共に、更に地方税をも少くしたい。これは御承知のようにこの度の新税法によつて財政の自立を図つておるわけでありまして、国税を減税すれば負担がそれだけ軽くなるわけであります。同時に更に地方税を、地方の歳出を減ずるに非れば真の減税ということにはならないのみならず、中央においては一応合理化その他をしておりますが、地方においてはまだ十分でないと私は思つておるのであります。故に将来少くとも来年度においては地方の財政を更に緊縮を図らしめるという方向でありますから、決して地方税が増徴になるということは断じて許さないつもりであります。
  67. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 只今吉田総理から御所見を承わりましたが、もう二、三点お伺いしたいのは、地方の財政が非常に逼迫いたしておりますので、今回の地方税が非常に問題になりますのは、大幅増税になるというような点も論議の重要な部分をなしておりますので、地方自治の発達を期する上から言つても、その裏付けの財源が必要であることは論を俟たないのでありますが、なにせ地方の財政というものが発足して以来、非常に地方自治と併せてまだ数年でありますので、地方の財政の基礎というものがまだ不確定でありますから、そういう点を勘案されまして今日は大蔵大臣もお見えになつておりまするが、来年度の平衡交付金等につきましても十分御考慮を煩わしまして、できるならば本年の一千五十億より増額をいたして頂きたいと思うのであります。一方地方財政から参りますれば、地方の財政におきましても国に余り頼るということは感心いたしませんけれども、これは段々に育成するようにいたさないと非常に無理があると思いますので、そういう点も十分御勘案下さいまして、国の方において減税をなさるということは結構でありますけれども、私共の方におきましても今回は非常に大幅な増税にもなつておりまして、その徴收等につきましても幾多の問題があると思うのでありますから、そういう点を十分勘案して頂きまして、地方の自治の発達の裏付け財源たる地方の財政の基礎が十分できるまでは、やはり理論的には余り感心いたしませんけれども、地方の財政を育成して地方自治を促進するという意味からこういう点に十分の御考慮をお願いしたいためにこれに関連いたしておりますから、大蔵大臣等のこれにつきましての御所見を煩わしたいと思います。
  68. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話の点誠に御尤もでありまして、先般のシヤウプ勧告によりましても地方行政委員会或いは財政委員会等を以ちまして国と地方との仕事の配分又財政上の問題を検討することになつておるわけであります。從いまして今仰せになりました国で減税して、地方で増税するということはほんの経過的の問題であるのであります。今年両方の税制が確立すれば来年度においては両方とも一つ減税にいたしたい、こういうことを考えておるのであります。面してその間におきまする調整は財政平衡交付金で図つて行きたい。ただ今財政平衡交付金を殖やすか殖やさないかという問題でありますが、これは来年度税法の減税その他と見合つて考えなければならん問題と思うのであります。一応この財政平衡交付金というものは地方の自治が確立いたしますればできなくなるのが自然でありまして、併し過渡的にはやはり相当これに依存しなければならんのであります。この問題は地方財政にとりましては非常に重要な問題でありますので、関係機関を十分協力いたしまして適当な措置をとりたいと考えております。
  69. 石川清一

    ○石川清一君 本日回付されました議案を見ますと、衆議院修正案によりますと、附加価値税が二ケ年延長となりました。從つて事業税が二ケ年或る程度調整を加えられまして、施行されることになりましたが、その結果先程事務的に見ましても、最も負担のひどかつた課税であつた政府説明の中にありますいわゆる自家労力を中心にするところの中小企業者、この納税者に対する重税が何ら減額されていないという結果となりました。いつか新聞で問題になりました中小企業者の三人や五人が自殺するとか倒産するとかいうことは再建の前には問題でないということが最近二ケ年繰返されることになるわけであります。從いまして今度の法案が不幸にして通過いたしました場合には、そういう結果がはつきり表てに現われて来るわけであります。各府県並びに町村における財政の均衡は財政平衡交付金によりましてカバ一できますけれども、個々の納税者に対する負担の均衡ということがとれないことになつておるのでありますが、これに対してどういうお考えを持つておるかお伺いをいたします。
  70. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 代りましてお答え申上げます。只今御指摘のように、今回事業税並びに特別所得税を存置して、これを運用することに相成りましたために、事業税が持つておりまする欠陥をやはり現わして来るのではないか、その点はご尤もな御意見だと存じます。ただ政府の提出いたしました原案については、御覧のごとくに農業、林業等につきましては、或いは非課税或いは免税の措置をとつておるような次第でありますことと共に、その税率についても、若し現行の事業税並びに特別所得税税率を以て推移いたしまするならば、相当の予定收税額が見込まれるのでございますが、附加価値税の予定收税額程度に止める場合におきまして、その税率も引下つておるような事情に相成つておるのであります。併し御意見のところは十分に拝承いたしまして、尚今後できるだけ増税すベき点は増税いたすように検討を加えて参りたいと存じております。
  71. 石川清一

    ○石川清一君 只今事務当局者のお話では特に農業部門が上げられたようでございますけれども、農業部門におきましては、その経営が供出の割当、肥料の割当等、ガラス張りの中にありまして、今までこういう過重な課税所得税の面において賦課され、更にその実施の面における必要経費の標準の算定等に至りましては非常に大きな問題を投げかけておるのでありましてこの点が働く今度の改正に見られたのでありますけれども、シヤウプ勧告の点に明らかになつておりますように、日本課税が総体の課税客体の大体七〇%を押えれば目的額を徴收できると、いうような中で、農業部門のようにガラス張りの中におかれた原始産業は、更には今回の地方税の過重な面が主として農業部門の特に土地、家屋の税の関係固定資産にかかつて来るのでありまして、この点は附加価値税の面で免除されておるということと、そうした場合に、尚固定資産税の方が過重になるのではないかということは、今回の課税の中における反対の重要な原因であつたわけであります。農業改革が遂行されまして五年、再び土地を放棄しなければならん、土地の所有権を放棄しなければならん、更に辛うじて持ちましてもその経営の放棄、更に土地の所有の放棄等をしなければならんということが累増しておりまして、これが大きな治安維持のことに関連をして来るわけであります。今度の地方税の改正にいたしましても、納税者の協力、税務行政の民主化、運営の適正という三つの線が地方民の協力なくしてはできないのでありまして、この多くの矛盾と誤謬を孕んでおる地方税制をこのまま将来訂正をするという考えの上に立つて実施することは、今重大問題として取上げられておる警察予備隊の編成を繞る国内の治安の問題に大きな影響ありと私は考えておりますが、この点につきまして首相は影響なしと考えておるか、お伺いをいたします。
  72. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話の点のごとく事業税につきましては、或る程度の欠陥があるのでありますが、即ち所得税市町村民税、住民税と申しますか、これが概ね所得課税で、そこに事業税を持つて参りますと所得課税が余り強過ぎるのではないかという非難があつためであります。そこで附加価値税という形でありますが、附加指値税は、又案内の通りに、なかなか重要な問題もありますので、又経済の転換期でありますので、暫く施行を待つて検討したらどうかという修正案なつたわけであります。そこで附加価値税を止めて事業税なつた場合に農民の負担をどうするかという問題であるのでありますが、御承知の通り、国税におきましては農民の方々の負担は他の業種の方よりも相当減額になつておるのであります。前年に比べまして私は農民の方の所得が勿論減額になつたと考えておるのであります。不動産課税につきましてもこれは賃貸価格の九百倍、こういうふうなことで、可なり重くはなつて参りまするが、五百二十億円の不動産課税の中に、今まで課税しておりませんでした、償却し得べき資産に対する課税が相当入つておる。こう見ますると、この不動産課税というものは大企業に非常に有利であつて、小企業に有利でない。併し大企業はこれまで家屋税、地租は納めておつた。小企業がこれに代るに償却し得べき資産なり相当入つて参りますので、私は農民の方のみが相当負担が激増するというふうには考えておりません。ただ附加価値税の延期の場合におきまして、事業税におきまして何とか今後とるべき処置があるかどうかという問題につきましては検討を加えて参りますが、今年度地方税所得税をこういうふうに施行して行きましたならば、農民の負担が相当実業界に比べて軽くなることは、私は実証できると考えております。
  73. 石川清一

    ○石川清一君 今までの終戦後の情勢を、税務行政を見ましても、一応ぺパー・プランとしてはそういうことが言われるのでありますが、実際農業経営の面におきましては、すでに農村においては通貨の大流出、或いは農業手形の借入れ、その他を見ましてもはつきり農業経営が非常な困難な状態に入つておることは数字で明らかでありまして、この声がすでに政府の不信ということになつて現われておるのでありまして、この点は数字以上に深刻なことを首相がお認め願わなければ、この治安維持の問題なんという根本的なものは私は解決されんのではないかと、かように考えております。これにつきまして首相はどういう信念を持つて、どういう考えを持ちまして民主党の提案した修正案に賛成したか。尤も原案が真に正しく日本の地方財政を確立するという場合には信念的に解散をするとか、或いは総辞職をするとか、どちらか態度をはつきりすべきではないかと考えましたが、この点について首相の御意見承わりたいと思います。
  74. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 税の問題につきまして、国民の生活の安定を阻害することがあり得ることは歴史にも示すところであります。終戦後におきまして、誰が、どの階級が損気がよかつたかと申しますると、これは一時農業、或いは商業の方面は闇その他で相当よかつたと思います。併し統制が段段撤廃いたしましたにつきまして、最近お困りの状態であることは農業も或いは中小企業も同じである。又勤労階級もそうなんであつて、併しこれは経済が常道に乘つて来るという場合の困難さでありまして、これを乘切れれば私はそこに本当に経済の安定があると思うのであります。私はどの階級も皆お困りだと思うのでありますが、農家につきましては低米価の関係上お困りの度が強いのでありまして、私は税におきまして農業或いは中小企業、これに減税してこの危機を乘切ると同時に、米価その他につきましても相当の施策を講じたいと考えておるのであります。私は今増税によつて思想或いは国内の治安に影響する程の重税だ、或いは取立てがいかんという問題ではないと思います。併しできるだけの考慮を拂います。そしてこの安定自立経済の確立を図りたいと思つております。
  75. 石川清一

    ○石川清一君 米価その他につきましては非常に矛盾を指摘いたしたいのでございますが、そういう点も非常に関連を持つておりますが、見解の相違でございますので意見を保留して置きます。
  76. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私は三点についてお伺いしたいのですが、先ず総理大臣に最近の閣議において来年度の予算編成方針として一十五年度の地方の災害復旧費を全額国が見ておつたけれど、も、来年度から打切るという方針であるやに聞いておるのでありますが、先ずこの点事実であるかどうか、又このことが一千億円の減税という問題とどういう関連を持つて考えられておつたのであるかお伺いしたいと思います。
  77. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 予算編成方針の問題でありますので、便宜私からお答え申上げることにいたします。御承知の通りに、災害復旧費につきましては、從来災害の種類によりまして全額負担の場合もありますし、三分の二負担の場合もあります。又それ以下の負担の場合もあるのであります。この災害復旧につきまして国が全額負担をするか否やということが問題になつてつたのでありまするが、シヤウプ博士勧告案に全額負担というこを記しておられるのであります。この問題につきましてGHQ、或いは我々の方で検討いたしました結果これには相当疑問がある。少くともシヤウプ勧告案によつて二十五年度の予算を作つた関係上、二十五年度においては全額負担で行くけれども、二十六年度以降につきましてはやはり地方事務或いは国事務の関係を考慮し、必ずしも全額負担ということでなしにしよう、こういう考えの下に二十五年度の予算の説明におきましても二十五年度限り、全額負担の建前で行くということは先の国会におきましても申上げた通りであるのであります。関係方面との折衝が一応全額負担ということは二十六年度から止めたらどうかという話があり、我々としてもその方が事業分量を殖やす関係上、実情に副うのじやないかという考えを持つておりますために、先般の二十五年度予算編成方針に一応ああいうふうに掲げておるのであります。いずれ全額負担を提唱されているシヤウプ博士も近く来られるわけでありますが、今後できるだけ事業分量を殖やして早く災害を復旧したいという念に駆られておるのであります。併し又この災害復旧につきましては、概ね起債でやつておる関係上、私は只今のところ二十六年度からは全額負担という原則を緩和したらついいのじやないかという、こういう考えで進んでおります。これは併し飽くまで只今の方針でありますから状況によつて変更することがあるということを申上げて置きます。
  78. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、二十五年度において地方の都道府県、市町村が国に賄つてつておる部面が或いは地方の自治体自体で幾分か、或いは全額を来年度から賄わなければならないという事態が予想されるのでありますが、そうしますと千九百億の地方税を見込んでこの地方税法案修正か、或いは来年度において平衡交付金の方でそれを見てやる、こういうような措置のない限りはこの問題は一概に決定ができない問題であろうと思いますが、で、苦しも国において一部でも地方にこの災害復旧費を負担させようということになるならば、お見込としてはこの地方財政平衡交付金の方を増額する御意図であるのか、或いは地方税の増徴という方法で行くのか、或いは長期起債の枠を許してこの部面を賄つて行くとするのか、これに対する御意見を伺つて置きたいと思います。
  79. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 御視御尤もの点があるのであります。千九百億円の租税收入を見込みました場合におきましては、全額負担という建前で行つております。全額負担という建前にしても、例えば十五万円以下の分につきましては国は関係しない、こういうことにいたしておるのでありますが、その間のけじめが十五万円以下のものならば国は負担しない、十五万五千円になつたら国が全額負担をするということになりますと、なかなか実情にそぐわん点があると思います。やはりその土地の道路が壊れたり河川が決壊したというような場合におきましては状況によつて地方が或る程度負担をするということは実情に副うのではないか、こういう考えを持つております。面して本年度に入りまして、地方が或る程度の負担をするということになつたら、その財源をどこから求めるか、増税によるか、平衡交付金の増によるか、或いは起債によるか、或いは歳出の再検討或いは減少によつて賄い出すか、いろいろな問題が関係して来ると思いますが、併しこの問題は国と地方との事務の調整の問題、財源の問題、こういうことと一連の関係を持つものでありまして、私は只今のところ方針としてはやはり或る程度の負担を地方で見るようにする、そうしてそれが増税によるか、交付金の増によるか、或いは歳出の削減によるか、又起債ということによりましてやつて行くかということを考えたいと申上げるのであります。
  80. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 これは單に災害復旧費の問題だけではないのでありますが、一例としてこれを挙げたのですが、数百億の金がどうなるか、来年度以降分らんという事態において、一切のものに関連されて地方税法が審議されなければならない場合に、そういう前途不安な立場においてこの地方税というものを審議することは、容易でないことは明らかで、これは恒常的な災害復旧の部面についてはこうしなければならん、これでいけるのだという見込が立つてこそ初めて平衡交付金の問題等も、或いは地方税法の問題等も我我は審議ができるのじやないかと思う。そのことも明らかに確定的なものとしてお見込の答弁がなされなければ、我々としてはこれは本年限りの地方税法じやないのでありまして、恒久的なものであるが故に非常に問題だと思う。もう一度はつきり何でこの災害復旧というものを考えて行くかということを御答弁願いたいと思います。
  81. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 二十五年度においては予算の示すごとく、はつきり全額負担で参ります。併し二十六年度におきましては只今検討いたしておるのであります。それで全額負担でなしに、どの程度負担するかによつて考えが変つて来るわけでありますが、お話のように数百億円も地方が新規に地方税で賄わなければならんというような負担は当然考えられないと思います。今まではこの公共事業費の分につきましては殆んど全部起債によつておるわけであります。我々はこの際起債の枠を殖やしてそうして国と地方とで事業分量を多くして早く国土開発保全の計画を立てたいという考えから全額負担の問題について再検討を加えようといたしておるのであります。そこであなたのように数百億円はかかる、而もそれを皆地方で負担するということになりましたら大変ですが、今までの経験から申してこのようなことはないのであります。この地方税法の影響が非常な影響を及ぼすというふうな負担をかけようということは毛頭考えておりません。
  82. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 では最後に結論的にお伺いしますが、地方税の増徴ということでそれを見るのは本体とするではなくて、起債なり或いは中央において相当な財源というものを考えて、そうして調整をして行くのだ、こういうふうに考えてようございますか。
  83. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 大体そうでございますが、順序といたしましては私は起債でやつて行きたい。その次は、起債の利子等につきましては地方の歳出を極力減らして行く、で、総理も言つておられますように、地方税を増徴するというふうなことは私は初めから考えておりません。先ず起債でやつて行く、その利子分については歳出を減らして行く、それでも賄えぬ場合におきましては、先程答えましたように平衡交付金について検討を加える。そのために地方税を増徴する、いわゆる公共事業費の負担区分の関係から地方税を増徴することは只今のところ考えておりません。又地方税を増徴しなくてもやつて行けるという見通しを持つておるのであります。
  84. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それでは平衡交付金の方の問題でありますが、これは今年度一千五十億なのですが、来年度もこの地方税の問題、或いは地方税の問題からして平衡交付金というものについて恒常的な安定性といいますかを與えるような立法措置を以て、ただ国家財政の関係から大幅に減らしたりするというようなことのないように措置する、こういう邦画についてはどうお考えになつておられるか。
  85. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お説の通りでございまして、この地方財政平衡交付金というものは、地方に非常に困つている団体がある場合の調整作用をなすのが主であるのであります。私は地方の財政が独立いたしまして、理想としては平衡交付金の占める地位が低くなつて来ることが自治体確立の理想だと考えておるのであります。從つて今回の増税もその意味におきまして、国が減税し、地方が増税するという過渡的の措置をとつたのでありますが、将来はできるだけ地方の財政を独立させまして、平衡交付金に頼らなくても、全部が頼らんというわけには行きませんが、成るべくこれは少くなつて行くのが理想だという考えを持つているのであります。
  86. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 では第一点はそれだけにして置きまして、第二点は附加価値税が流通税であるということは、再三の御答弁で分り、このことは又物価の値上り、消費者階級である大衆の負担に重くかかつて来るという点も明らかである。而も住民へ税そのものの均等割その他で、一般勤労大衆の負担が他の者に比して不均衡に重くなり、或いは固定資産税の徴收による間接的な家賃、地代、或いは小作料の値上りになるということも再三衆議院において論議されておるのでありますが、こういうことになりますと一般勤労大衆の生活水準というものが非常に高いものにならなければならないように考えるのであります。然るに現在の給與ベースそのものでは、これら一切の負担に応じた場合に自分の生活水準を切下げなければならない。こういう事態になるのでありますが、幸いにして自由党がこの参議院選挙において公約した場合に、これらと睨み合せてべース・アツプの問題を取上げておるのでありますが、この税との関連において、べース・アップの問題を緊急に現在政府はどう考えておられるかお伺いしたいと思います。
  87. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 附加価値観の税制におきまする本質につきましては議論のあるところであります。或いは外形上営業税と見る人もありましようし、或いは流通税として転嫁を予想している税と見る場合もあるのでありますが、今回の税法ではそれは明らかに外形上の営業税ということよりも、先ず転嫁を予想した流通税ということになつておるようであります。かるが故に消費者に負担するという建前にしておるから、消費者の生活がそれだけ物価騰貴によつて苦しくなりはしないかというお話でございますが、これは全般として考えて頂かなければならん問題だと思うのでございます。例えば片一方において織物消費税等を止めております。いろいろな点から考えまして、今のところ御案内の通りG・P・Iも相当下つて来ておる。私は附加価値税が一般大衆の生活に非常な脅威を與えるというふうには考えていないのであります。税制全般といたしましては適当な方法だと考えております。併しこの内容につきまして、各業態に特殊な事情があるのでありますので、今暫く施行の方法、或いは経済界の推移を見て実施したいというので、一年延期を二年にしたのであるのであります。最近フランスにおきましてもこの附加価値税を施行いたしたのであります。そういう状況なんかを考えまして、今後附加価値税について善処いたしたいと思いまするが、税全体といたしましては、とにかく軽くなつたのでありまするから、私はそう生活に脅威を及ぼすものとも考えておりません。
  88. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それは附加価値税に対する見解なんです。私はその見解をとらないところでありますが、それを論議しても仕様がないので、これら一貫して地方税の負担というものが直接間接に勤労人衆の方に重くかかつて来ておるという現実から、この官公吏におけるベース・アツプの公約の問題を果すのが最もいい時期じやないかと考えるわけです。このことは平衡交付金にも決まりがあり、地方税の増徴の総額にももう限度があるのでありまして、尚この地方の都道府県、市町村におけるそこの住民の税負担の均衡を図るという建前から言つても、国自体がこうした部面において間接的に国の財政を流し込む、そして大衆の負担を均等にせしむるように努力すべきじやないか、こういう点で質問しておるのでありまして、その点お伺いしたいと思うのであります。
  89. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 地方税の負担が重くなつたから公務員の給與を上げるべきではないかという御議論てございまするが、私は地方税の負担と取上げて言うよりも、国税、地方税を通じましては、一応減税になつておる。併しこれは公務員のベースの問題につきにましては、これは経済の安定がその度を加えて来た。そうして財源にも余裕ができそうでありますので、できるだけ早い機会に上げたいという考えを持つておるのであります。本国会に間に合いそうには只今のところございませんが、我々といたしましては、できるだけ早い機会に公務員の給與を上げようといたしておるのでありまして、而して国家公務員の給與を上げた場合に、地方職員の給與についてはどうするかという問題が起つて来るのでありまするが、これは從来の例から申しますと、国で或る分を負担した場合もありますし、負担しない場合もあるのであります。今後の地方の財政状況を見、国の財政状況を見て考慮いたしたいと考えております。只今のところいつからどれだけ上げるということは遺憾ながら申上げる段階に至つておりません。
  90. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 再三政府は国が減税し、地方が増税して差引三百億の減税になるからそれでいいじやないかというふうに言いますが、この提案理由説明の中にもある通り、地方税負担の合理化、均衡化、公平化を図るという建前から言えば、小さな町村と言い、或いは大きな都市と言い、その中の住民自体の徴税の均衡が図られる必要があると思うのです。それは国全体ではそういうふうになつておるかも知れないけれども、一つ一つの行政区における住民の間における均衡がとれなければ、お互いにその税負担についての不公平或いは不満というものが起つて来るのでありまして、或いは総合的にこの均衡がとれているということであるならば、家賃、地代なり、或いは小作料金の値上り等も、それらも含んで、そうして勘案した場合に、総合的なこれは税負担なり或いは生活水準の維持ということが、政府として考えられるべきじやないかと思うのであります。そういう点になるというと、実際物価指数がどうである、こうであるという前に、飲食物等に大体の生活費を割いて、そうして織物消費税はなくなつたと言つても、それらを購入するだけの余裕のない一般大衆の税負担というものは比例的には大きい、何と言つても大きい。そういう点について別な部面から政府がこれをカバーして行くがためには、ベース・アップという公約、そのことが一つの妙薬じやないかということを我々は思うのでして、その観点に立つた場合に、もつとはつきりとこのことについて誠意のある御答弁をお願いしたいと思います。
  91. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 我々といたしましては、国全体、地方公共団体全体を見て施策を講じているのであります。これはお話の通り、地方税におきまして不動産取得税をなくした、そのため百三十億円の財源をなくなしましたが、從来不動産取得税を納めておつたような人につきましては、非常な減税でございましよう。併しそれをのけておくことが、税制全体としていいか惡いかという問題を判断してやられるのであります。だから税制を改正いたします場合におきましても、非常に得をする人もありますし、又得をしない人もある。極く少いケースは増税になる場合もありますが、これは全体を考えなければならんのであります。これは全部の人に減税になるようにしようということにするには、相当思い切つた施策を講じなければなりません。我々は全体というものを論じなければならないと思うのであります。そうして又地方の税率も概ね標準税率なつた場合が多いのでありまして、住民税の問題なんかにつきましても、固定資産税で相当取れれば、住民税も十八という標準で下げ得るのであります。こういう細かな問題につきましては地方議会で御審議願いたいと思うのであります。全体として地方税が重くなつたからベースを上げるのだという考え方でなしに、国の財政に余裕ができ、地方の財政に余裕ができた場合に、そうして経済の安定の度を見て、インフレへの危險が去つたときに早く上げたいというので研究しているのであります。
  92. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 小笠原君に申上げますが、総理大臣は四十分までで、あと三人残つておりますから……。大蔵大臣は残つて頂きます。
  93. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 大蔵大臣に聽くのでなくて、基本的に総理大臣にお答え願いたいのですが、沈黙を守つておられるから代理として聽いているのであります。最後に総理大臣に今の大蔵大臣の御答弁に関連してお伺いするのでありますが、これは第三点の質問であります。国税で減税をしようが何をしようが、地方税自体の均衡化を図るという部面から言うならば、今回の修正において、附加価値税が延期され事業税に変つた、或いは固定資産税税率が下つたが、併し税の徴收見込額は変らない、併しもうそれらは一貫した中にある住民税には手を着けておらない、こうなりますと、地方自体、住民自体の中に税負担の不均衡が起るということは、もう事実だと思うのであります。これらについて今回並びに将来において、地方自治体内における税の均衡という立場から、地方税一般に対しての改正の問題を御考慮になるお考えがあるかどうかという点についてお伺いしまして、私の質問を終ります。
  94. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 今回の衆議院の改正におきまして、私は原案よりも余程負担に影響があるというふうには考えておりません。固定資産税税率を一応〇・一%引下げた、或いはこれを延期いたしまして一年延期を二年にしたからといつて地方住民の間に負担の激減を原案よりも非常に来すというようなことは考えておりません。それで将来の問題といたしまして地方税の在り方、税率等につきましてはこれは直ぐに検討しなければならない重要問題であります。国税の問題と同様に地方税の問題につきましては、我々としては常に検討を加えておるのであります。
  95. 相馬助治

    ○相馬助治君 地方税法案の審議の過程における現段階において、私は自治警察の機構の問題について特に総理大臣にお尋ねしたい。御承知のように、「一千億減税」ということが自由党の本部のところに大きな看板が出て国民を喜ばせておりますが、これについて先程西郷委員の質問に対する総理大臣の答弁は、あれは自由党の方のことで政府自体としてはまだ数学的にそこまで行つていないというお話ですが、併しこれは現実の問題として絶対多数を持つておりまする自由党としては、その総裁である吉田さんが総理大臣なのですから、強力にこれは国政に反映されるべきが至当であると我々は了解いたしております。從つて参議院の大蔵、地方行政の連合委員会における総理大臣の答弁によつても、地方行政において工夫の仕方によつては節減できる面があろうという答弁がなされておりまするが、誠にその通りではあろうと思いまするが、今日地方の行政体で一番大きな経費の面から問題になつておりまするのは、教育財政の面とこの自治警察の財政の問題だと思う。そこでですね、総理大臣といたしましてはこの法案の成立に伴つて自治警察の現在の実情に照らして機構改革、その他についての構想がおありであろうかどうか、この点特に内閣総理大臣に対して一つお尋ねいたします。
  96. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) 地方自治警察の機構、或いは経費の問題については、種々の面からいろいろの意見も聽き、又政府としても今のような状態に置くことができないと思います。故に從来も研究は重ねておりましたが、併し何分警察のことでありまして広汎に亘る関係、地方が広汎に亘るものでありますからただ一片の理論、或いは又思い付きで以て改革するのもどうか、併しその現在の状態が甚だ不満足であるということは私も認めており、政府も認めております。故に近き将来においてこの自治警察、或いは日本警察全体の国家警察も含めてこの機構及びその経費、その他について十分の研究をいたしたいと思います。從つて成案を得ましたならば御相談をいたしたいと思いますが、只今決して等閑に附しておるわけではないのであります。
  97. 相馬助治

    ○相馬助治君 国家警察を含めて自治警察の機構改革については十分なる意思とその用意があるという力強い答弁を聽いて嬉しく思います。全くこの問題は地方で困つておるのです。早急に是非一つお願いいたします。第二には、今度のこの地方税法案を見ますというとその財源がです、具体的に申しましても鉱産税であるとか、木材引取税というようなものだけを見ても非常に偏在しておる傾向があるわけであります。そういうふうな面から一つ。  もう一つは、今まで国で訓練した税務官吏ですらなかなか取れなかつた税金というものが、今度は非常に弱体な組織しか持つていない地方行政体がその租税を集める重大な役割をいたしまするので、この二つの現実から今度は引つくり返してこういう現実の上に立つて政府としては地方行政の再分割、府県をどうするとか、或いは貧弱町村の区画をどうするというような行政機構の再分割、又は町村が自発的にそういう方向に行くような指導、そういうものを国策として政府只今の自治警察と同じような立場に立つてお持ちでありましようか、その点を内閣総理大臣に対してお尋ねいたします。
  98. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) 地方の行政機構については現在これは警察のみならず地方の官庁組織等について、現在は余りに複雑であり、又行政の簡素化を必要とする以上は今のままではいけないと考えております。從つて現に地方行政調査会議その他行政官庁において研究を進めております。又、これは軽々に申すことができないことでありますが、今日日本の行政区画は三府四十三県でありますが、アメリカと殆んど、アメリカの州と同じくらいまでに、アメリカは四十八州と二つのステートかと思いますが、関八州として、日本のこの狭い領土において三府四十三県の区分は、これは交通の発達しなかつたときには適当であつたか知れませんが、果して今日どうか、これ又行政簡素化の今日、問題になりはしないかと考えます。地方の関係もなかなか重大でありますから、簡単に府県の廃合等はできませんが、併し考うべき一つの問題であると、取上げて研究もさしております。それで、これは近く成案を得たいと思つております。
  99. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 総理大臣にお伺いいたしたいと思います。私初めて国会に出た者でありますが、占領下における国会は実につまらないものである。総司令部からオーダーを貰つて、それをただ議決するに過ぎない。こういうことを先輩各位から伺つていた次第であります。この度初めて我々が登院いたしまして審議に当りまして、この地方税法案を仔細に検討いたしましても、極めて翻訳調の強い、全く異国臭の歩々たるものであるわけでありますが、これは果して慣例のように総司令部から頂いて、日本政府が翻訳してここに出されたものであるか、或いは日本政府自体が大きな枠を頂いて、その範囲内で立案されて、ここに出されたものであるかということを、占領政策と財政との調整という問題に関連いたしましてお伺いいたしたいと思います。
  100. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 代つて御答弁申上げます。今度出しました地方税法案は、政府が立案いたしまして、皆様方の御審議を蒙つておる案でございます。併しながらこの税法ができます根源は、シヤウプ使節団が来まして、日本の地方財政が非常に乱れておるというのでありますか、完全でないように思われるので、日本の自治行政を完全にするためには、地方財政をこういうふうにやつてつたらどうか、こういうような勧告がありましたので、その勧告を尊重しまして、我々はその勧告趣旨によりまして我々が新らしく編み出したのでございます。併しながら政府は独自の立場から編み出して皆様に御審議を蒙つている案でありますことを御了承願いたいと思います。
  101. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 岡野国務大臣は、そういうふうに占領下における日本政府の大きな枠内における自主的な立場を申されましたが、我々がいろいろ信ずべき筋から仄聞したり、この内容を仔細に検討いたしましても、日本の官吏が立案したとはとれないような節が非常に多いと思うわけでありますが、総理から一つはつきりこの間の消息をお伺いいたしたいと思います。
  102. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) 只今岡野国務大臣から答弁した通りであります。併し從来の日本の財政、内政その他について時の経過と共に更に新らしい観点から検討して見るということが最も今日日本の事態に適応すると考えてシヤウプ或いはその他の人の意見政府は尊重して、そして法律案、財政案を作つたのであります。併し作つて出すその責任は政府にあつて政府が成る程と思つたからこそ出すのであります。即ち自主的に政府が発案するという形においては只今岡野君から言われた通りであります。
  103. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 シヤウプ博士勧告の序文を見ますると、勧告文に対する責任はシヤウプ自身が負うのであつて、総司令部も日本政府も何ら責任を負うものではない。完全なアドヴアイスである。そしてそれを日本政府なり、総司令部なりが適当にこなせばいいというふうに、そしてこれを契機として日本勧告文を中心として税財政に対する活発な批判が起ることを博士は非常に希望されているわけでありますが、我我が今回提出されました、そして第七国会に提出されました国家税制の改革を見ましても、殆んどあの勧告文の範囲から一歩といつてもいい程出ない程摸写のように伺いますが、そういたしますと、あの勧告文は勧告でなしに命令のように思うわけでありますが、この点は如何でありますか。
  104. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) シヤウプ勧告案の冒頭に書いております通りに、シヤウプ博士の言われた通りでございます。我々は勧告文の趣旨は尊重いたしまするが、実際面におきましてはあの勧告通りにはやつていないのであります。例えば国税におきましても勤労控除の一割というのを一割五分にしたり、基礎控除にしましても変更を加えておるのであります。税率におきましても最高三十万円超五十五万円というのを五十万円に訂正いたしておるのであります。地方税法案につきましてもその点は我々は向うのシヤウプの考え方に一応はなつておりますけれども、具体的の問題につきましては政府独自の見解を織込んでおるのであります。
  105. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 総理大臣にお伺いいたしたいと思います。この地方税法案が第七国会から第八国会提案される過程を見ましても、日本政府の自主的な立場の総司令部に対する主張が非常に弱いではないかということを国民も痛感しているような次第であります。昨年の春の総選挙におきまして自由党は三百八十六名、その後新らしく党籍を変えられた人もありますが、二百八十六名という日本の憲政史が初つて余り例のない程強力な内閣である。これに対する国民の要望の切なるものは、何とかして占領から一日も早く日本を自由にして欲しい、こういうことが吉田内閣に対する国民の非常な期待だと思うわけであります。ところがそういう国民の期待が十分折衝されていないではないか。殆んど総司令部の意のままにされているではないかというふうに考えるわけでありますが、我々といたしましては総司令部が誤りのない日本占領政策を展開される上におきましても、吉田内閣におかれましては相当日本の実情を訴えられまして、自主的な立場を強く推し進めて頂くことが必要だと思うわけでありますが、総司令部からいろいろ助言なり、オーダーなりを出される際に、それをこういうふうにされた方が日本の実情に適するであろうということを強力に主張することは占領政策の違反でありましようか。そういうことについてお伺いいたします。
  106. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) これは占領下において、日本の政策の大体の枠は占領といいますか、降伏條約によるわけでありまして、その命令の下にあるということは事実でありますが、併しGHQの方針としては、成るべく日本の自治に委せたい、成るべく干渉したくないという方針で今日まで来たのであつて、大幅に、例えば地方からして地方部員を引揚げるとか、その他東京における中央部におきましても從来まで平和統制その他についていろいろ指図がありましたが、月々日本に対する占領政策が緩和することに努め来つておるのであります。かるが故に命令とか何とかいうのではなくつて、今日までこうしたらどうかというデイレクテイヴが出る部面もあります。例えば追放のごときはデイレクテイヴによりますが、併し多くは日本政府の希望を尊重し、又協議によつて日本政府の主張があるならば異存はない、成るべく日本政府の自治といいますか、希望に副うように協力しているのが現在の事実であります。事実だけを申上げます。
  107. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういたしますと、現在の状態では、占領下において許される最高限度まで日本の立場が認められている段階と御判断されるでありましようか。その点……。
  108. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) そうであります。
  109. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 本日衆議院から議決されまして参議院に廻された議案というものは、当初吉田内閣において原案として第八国会提案されたものとは内容が変つております。先にも申上げましたように、吉田内閣は二百八十六名という日本憲政史初つて余り例のない、憲法でも改正のできる殆んど三分の二に近い強力な内閣であります。その内閣が立案されて提出されたものに対しまして、いろいろ審議の過程におきまして、六十七名ですか、民主党かう修正案が出されまして、そうしてそれに対しまして吉田内閣の基盤であるところの自由党がこれに賛成されまして修正案が可決されたわけであります。これは考えようによつては吉田内閣に対する不信任であるともとれるわけでありますが、憲法の六十九條でありますか、内閣は不信任決議が議決されてから十日以内に解散をするか、そうでなかつたら総辞職しなければならないとこういう規定があるわけであります。これは正式な不信任案ではありませんが、国家財政とその規模がやや等しい程大きな地方財政に関する相当量要なる部分が、吉田内閣の成立している基盤である自由党によつてこのように修正されたということにつきまして、議会政治は責任政治であると思いますが、どういうふうに御責任をおとりでありますかお伺いいたします。
  110. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) 議会政治は同時に互いに向上妥協の精神を以て協力して行くのが民主政治の精神であります。故にそれがたとえ反対党から出ても政党として正しいと考え、又国民のために利益であるという場合には、これに同調するのは普通当り前のことであると考えるのであります。直ちに解散若しくは総辞職という考えは念頭に毛頭持つておりません。
  111. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そういたしますると、政府が第七国会に揉みに揉まれまして、内閣の責任さえ問われて再び愼重な配慮の下に、そして総司令部との折衝で出されたものを與党によつて否決されることは、政治道徳の上から考えましても、相当考慮を要すべき問題である。特に自信のない案であるということを実証するのではないかと思いますが、どういうお考えですか。
  112. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) 不幸にして御意見とは違います。
  113. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 一問総理大臣にお伺いいたしたいと存じます。私は地方、中央を通じまして二十幾年間の勤務体験を基礎にいたしまして、地方の実態の一端を申上げまして、地方の自治権立に邁進せられる総理の御所見の程をお伺いいたしたいと存ずる次第であります。  今回地方税法が提案せられまして、地方財政の歳入の面におきまして、從来と比較にならない程新らしい第一歩を踏出したということは、誠に喜ばしい次第でありまするが、まだまだ地方財政の確立のためには国並びに地方の財政並びに税制を通ずる調整を必要といたしますが、これは暫く措くといたしまして、私は次の三点から最も改善を要せられると考える点を申上げて御所見を伺いたいと存ずる次第であります。  第一点は、地方財政の歳出の再検討でございます。現在地方団体の歳出を見ますると、その大半は教育費によつて占められ、その残余も教員費又は法令に基くところの義務費、或いは中央よりの補助金の埋め草というような、当然計上しなければならん費用を計上いたしますれば、その残余は三%乃至五%という極めて僅かな殆んど独自性のないところの地方の予算の実態でございます。而も例えば法令に基く費用といたしまして、生活保護法の規定によりまして地方はおのおの一割づつを負担しておるのであります。ところが或る村のごときは、たまたまその地形が疎開に適するからといつて、多数の、その村に縁故のない者まで疎開し、ためにそれが生活に困窮して生活保護法の規定によつて費用を負担しているために、村が非常な困難を来たしておるような実態もあるのであります。要するに現在の地方団体の歳出につきましては、根本的にそういう面において再検討を加える必要があるのではないか。言い換えれば教育費の或いは全額国庫負担の問題であるとか、或いは国の補助率の問題であるとか、その他相当歳出面におきまして、今回歳入においてとられたと同じような再検討及び再研究を加えられまして、速かに地方における自主的な、幅のあるきころの地方々々における政策、或いは施策がとり得るような措置をお考え願いたいという点であります。  第二の点は、先程総理もお話になりました行政の簡素化による地方自治の改善という問題であります。先日も岩木委員から最近地方団体は或いは食糧費、或いは旅費、交際費等のそういう費用が非常に増額になつて、放漫なる財政を行なつておるのではないかというお話があつたのであります。この点につきましては、地方団体としても深く反省をいたすべき点であると存ずるのでございまするが、併しながら、何故一体これらの費用が増額になるかと考えて見ますれば、要するにその根本となすものは、現在の行政のやり方が余りに中央集権であるということであります。旨い換えるならば、物事が中央に参らなければ殆んど解決がつかんという実態であります。これは総理大臣が毎日陳情者にお会いになつて、この点は痛感せられると存ずるのでありまするが、言い換えるならば、今の日本の行政が余りに中央集権であり、物事が中央でなければ決まらんというこの仕組を直すべきであり、且つ又中央における組織も非常に複雑でありまして、例えば地方の起債の問題でも自治庁において仮に通つたといたしましても、それが同時に大蔵省においてひつかかれば、大蔵省に陳情せねばならんというような実情でございますので、こういう、即ち中央における行政の簡素化によりましてこれらの問題の解決が肝要と存ずるのであります。同時に地方の国の出先機関でありますが、これ又総理大臣が先程お話のように誠に複雑多岐でありまして、仮に農林省の出先機関において或る権限を委せてあつたといたしましても、その問題がたまたま通産省の通産局の共管関係になつておりますれば、通産局の方では中央が権限を委していないというときには、やはり中央に来て問題の解決を図らなければならん。言い換えるならば国の地方における出先機関の責任体制というものがなんら確立されないために、殆んど中央に出て来なければ話が付かぬというような地方の実情でございます。これらを速かに簡素化するということが、同時にこれらの地方財政に今いろいろな点においてかさ高になつているところの、又重圧になつているところのいろいろな費用をその歳出面において軽減するゆえんであると考えるものであります。  その第三点は、国と地方との事務の分配がはつきりしていない。例えば供米の問題でありますが、これも国の事務であるか、地方の事務であるか。ところが費用の面から申しますれば殆んど国からも補助金は来ていない。從つてたまたま或る村なり、或る県なりが供米供出量が非常に多い場合においては、それらの費用というものが非常にかさ高になつているという、実情であります。或いは進駐軍労務者の問題でありますが、これは元来特別調達庁においてこれらのサービスをやるべきでありまするが、一片の依頼状によつてそれを府県が担当しておる。成る程その費用は来ておりまするが、これに伴うところのいろいろな折衝の費用なり何なりというものは府県の負担になるという実情であり、又府県と町村との関係におきましても同じような問題が沢山あるのであります。要するに国と地方との事務の分配がはつきりしないために、いろいろな点において折角今回歳入につきまして面倒見て頂き、或いは将来歳出についても面倒見て頂いたといたしましても、これらの事務の分配がはつきりいたしませんければ、いつでも県は国の下積みになり、村や町村は又県なり国の下積みになるというので、問題の解決にはならんと考えるものであります。從つてどうぞ総理大臣は今回地方財政としては本当に輝かしい第一歩である地方税法の審議を基礎といたしまして、日頃総理の提唱せられるところの行政の簡素化を徹底せられ、それによつて地方自治の確立に御努力せられる総理の御所見をお伺いいたしたいと存ずる次第であります。
  114. 吉田茂

    国務大臣(吉田茂君) 御質問の御趣意は誠に御尤もであります。私といたしても全然同感であります。これも先程ここで申しました通り、地方の行政機構なり、或いは各国との権限の分配といいますか、事務の分配、又財政面においても地方において教育、或いは厚生施設その他において政府の支出、現在中央から支出しておるものが不十分であるということも、殊に文部方面から教育費の問題については絶えず言われておりますが、これは一つは財政の状態にもよるのでありますが、同時に地方における教書はこうこうかくかくにいたすべきものであるという原則が確立せられることが教育につきましては必要であります。その原則を確立することにおきましては、新文部大臣は相当考えを持つておるように承知いたしております。又中央集権、これは積年の弊でありまして、殊に戦争直後において、中央集権の実がその戦争遂行の必要上相当に強化されたということは、これは事実であります。又統制を強化するというような必要から、一層或るものによりますというと戦争、時代よりも強化されたものもあるでありましよう。で政府としては昨年以来成るべく地方に移讓する、地方官庁に移讓する、例えば統制の問題にしましても、その他鉄道、いろいろな灘において地方に移讓を頻りに図つております。図つておりますが、未だ完成しないものは、たまたま中央から地方に移したというだけであつて、働きは十分でないということもあるでありましよう。故に今日の情勢が或いは中央集権、余りに中央集権に片寄り過ぎておるという事実も我々は認めます。更に地方分権を強化するということも大切なことと考えております。併しこれも先程申した通り、いろいろ今日での行きがかりがあり経過があり、一たん軽々しく移讓した結果が、又元に戻す方がいいというようなことになることは、現に供出などのこともありまして、この行政簡素化のために、從つて中央と地方との間の行政機構の関係とか、或いは又規模等については相当考慮を要するものがあるので、單に一時の思い付きとか、或いは一部の人の考えとかを採用することができませんので、地方行政委員会でありますか、これと行政監督庁との間において特に案を練り、且つ又これは私の主張でありますが、政党が真に本気になつてそして地方の行政の簡素化を図り、或いは地方と中央との間の関係なんというものを結び付けるというのには、やはり政党が政党の力を以てするのでないと積弊、と申せば少し言葉が強いのでありますが、今日の情勢としては多年の間のいろいろな原因が集積してここに至つたのでありまして、この現在の組織を破るのには政党の力にあらずんばできないと考える。又政党がその本分の上から言つて見て行政の簡素化を図り、国民なり地方民の利益のために考えるということは当然いたすべきことでありまして特に政党として、自由党として考えております。未だ、成案を得ませんが、併しながら成案を得次第議会にも報告して諸君の協力を得たいと考えております。
  115. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大蔵大臣にお尋ねいたしたい。
  116. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 総理大臣に対する御質疑は外にありませんか。——では中田君、大蔵大臣に対して質疑を。
  117. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは先般の地方行政、大蔵等の連合委員会でも財政経済の段階をどういうふうに御判断されるかという質問をしたわけでありますが、最近朝鮮事変が起きまして、これに対する国民の見方が二通りあると思うわけであります。これは非常に考えさせられる問題であると思うわけであります。その一つは━━━━━━━━大きな資本家その他の人は、この朝鮮事変が拡大することを望んでおるわけである。それは私先般大阪に参りまして、それぞれ有力な実業家に会つた際にも、そういうことを言つておるわけであります。それから社会党の基盤である勤労大衆その他は、もう戦争はこりごりである。これが拡大しないことを望んでいるわけであります。こういうふうになつたということは重大な問題でありまして、これは結局現在の経済政策は或る意味では成功であつたが、或る意味では不成功に終つた。それで最早その財政経済の政策を大きく転換せざるを得ない。即ち從来の消費を節約させて、インフレーシヨンを抑制して資本を蓄積するということによつて、或る程度増産はできたが、それが捌けない。何とかこの恐慌を打開するために新らしい需要の捌け品としまして、戦争をまあ望むというような、アメリカといたしましては極めて近いうちに、短日月の間に朝鮮事変を終熄しようというのにも拘わらず、経済恐慌の打開のために、それの拡大を欲するというような、極めて民主主義の陣営に立つ日本として、矛盾した立場に追いやられておるわけであります。そういう意味におきまして、從来のような直接投資によつて間接的な有効需要を喚起して、経済不況を打開するということは不可能でありまして、最早直接の方法によつて有効需要を喚起する。例えば米価を適当な水準に上げるとか、賃金ベースを改訂するとか、地方税を極めて軽くして有力な財源を與えることによつて、現在のストックに悩む経済界の不況を打開するという、こういう一環として、まあ私はこの地方財政の問題も取上げる必要があるではないか。特に今度の財政改革においては、むしろ国税の体系よりかも、地方税体系が非常に大きな改革であります。我々といたしましてもシヤウプの調つておられます趣旨については極めて賛成でありますので、この税務機構の弱い地方公共団体、特に市町村が馴れるまでは極めてこの税率を低くして、むしろ、平衡交付金を多くして、漸次新らしい機構に馴れるに從つて、平衡交付金を少くして行くというような方法が、この新らしい事態に地方団体が適応するにいいではないかというふうに考えますが、そういうことをお考えになりませんか。
  118. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 誠に失礼でございますが、御質問の要点は、地方団体の徴税機構が十分な経験がないから、当然困るのじやないかという御質問ですか。
  119. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 新らしい改革に適応するまでですが……。
  120. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は新らしい改革に適応するまでとおつしやいますが、もう地方財政にしましても、こういう税制で進んで行くべきではないかと思います。ただ私の懸念いたしましたのは、附加価値税の問題が、そう短期間に地方税の機構でこなし得るかということは疑問にいたしておりましたが、住民につきましては、所得割が増加するので、從来もその程度のことはしておつたのであります。金額が殖えたということだけで、大した支障はないと考えます。それから市町村の固定資産税でございますが、家屋税並びに地租は從来とつておりますし、これは賃貸価格の倍数でございますから、さしたる支障はないと考えます。ただ問題は除却し得べき資産につきまして、どう取扱うかというのが初めての事実であるのであります。從いまして、固定資産税の見積りにつきましていろいろな議論があつたのでありますが、我々これに対しましては、御承知の資産再評価を基準といたしまして、そうしてこれを各市町村にできるだけ早い機会に通報いたして、そうして市町村において適当な処置をとり得ると考えているのであります。これは経過的の処置としていたします。確定は来年の十月だつたと思いますので、それで行きますので、徴税について大した問題はないと思います。それから幸か不幸か、事業税も前の税法と余り変りはございません。税率が低くなつたということと、それから農業その他自家労力を主とする原始産業につきましては、免税をいたしました関係で、余程楽になつて来たと思うのであります。搗て加えて問題の附加価値税が二年延期になりましたならば、十分地方税をこなして行くことができると考えているのであります〇
  121. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は極めて事務的な具体的問題について二、三質問して見たいと思うのであります。その第一点は今回地方税法が不成立になりまして、新しく現在審議中になつておるわけでありますが、その間に地方財政の善後措置として地方財政平衡交付金を概算交付しておくという点に関しては別といたしまして、大蔵省の預金部資金を短期融資するというような措置をいたしておるわけであります。これに関しまして、先般我々地方行政委員が全国に派遣を命ぜられまして、各県市町村を調査いたしたのでありまするが、殆んど大部分の市町村におきましては、この手続が非常に煩雑である。從つてこのような煩雑な手続を以て短期融資するよりは、むしろ近くの銀行で借りた方がいいと思うぐらいに手続が煩雑である。而も市町村等におきましては、直接東京に出ましてそして大蔵省に折衝をしなければならないというような事情もあつたりいたしまして、煩瑣に堪えない。非常に煩瑣である。而も相当経費がかかる。これを借りるために相当多つくの経費もかかるというようなことになるという訴えがあつたのであります。これにつきまして、その手続をもつと簡素化して、そして実情に即したような措置を大蔵大臣に採つて頂きたいと考えるのであります。これについて具体的に御方針を先ず第一に承わりたいと思います〇
  122. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 方税法案不成立に伴いまする空白緩和のための預金部の貸出しに対して、私はできるだけの手を盡したと思うのであります。先般この問題が閣議に上りまして、その際に申しおきましたが、四月から六月までの四百億円の平衡交付金はこれはもう即座に出ました。面して二百億円の預金部の融資につきましては、適用が遅かつたのであります。六月の二十日頃でございましたが、二百億円の予定をしておるに拘らず、百四億か百六億円しか出ていない。半分余りしか出ていない。これは貸すのは非常に面倒だから、こういう非難があつたのでありますが、よく調べてみますと利子のつく金は後廻しにして、そうして利子のつかない平衡交付金を先に貸した、こういうのであります。こうして六月の二十日に百六億だつたと記憶いたしておりますが、その後におきまして、六月末の俸給の支拂いに対しまして、百八十九億円まで六月末までに出たのであります。その後回のものがありまするから、差引は百五十七億円であつたのでありますが、決してこの問題で町村の方々が上京されたり、或いは支障を来たしたものとは私は只今も考えておりません。問題は昨年頃やつておりました短期融資といたしまして、徴税の遅れた関係上、或るいは事業が予定の枠外であつた関係上、昨年から短期融資をやつておりましたが、これは一千万円を單位にしておつたのでありますが、この問題につきましてはこれは地方税法案のあれとは違いまして、特別の短期融資でありますから、相当の手数をかけたと思います。從いまして、後を貸りるというために、二百億円の予定が六月末に百八十九億、こういうのであつて、私は支障を来たしたとは考えておらんのであります。預金部におきましては、そういう非難のあつたことを考えまして、今公共事業費なんかも殆んど出ておりませんが、六月につきましては公共事業費の、各公共団体の枠が決まらない場合におきまして、四十億をすでに出しておる、そうして又七月におきましては前貸しとして又五十億、この短期融資の二百億以外が九十億円の前、貸しがある。向うから要求がなくても、こつちから進んで金を割振つたと、こういうふうなあらゆる施策を講じて、早く金の出るように努めておるのであります。若し具体的にどういう支障があつたということがありますれば、申出て頂きますれば事情を調べて今後そういうようなことのないようにいたしたいと考えております。
  123. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今大臣から懇切な御答弁を受けたのでありますが、老婆心ながら大臣におきましてはそうお考えになつておるでしようが、第一線の事務官等において、往々にしてそういう煩瑣な手続をやつているということもあり得るわけであります。そういう末端の第一線の方面も十分とり一つ御監督をお願いしたいと思います。第二はその預金部資金の短期融資の利子の問題でありますが、これにつきましては別途必要な財源措置を講ずるというように、五月十九日の閣議で決定しているように聞いておるわけであります。これにつきまして具体的にどういうような措置によつて別途利子の国庫負担ということを行なわれるのであるか、いわゆる追加予算によつてこれを組むのであるか、或いは予備金から支出するのであつるか、或いはこれを一千五十億の上に更に地方交付金を増額してやるのであるか。勿論この交付金を増額するという方法は、これは平衡交付金の性質上紐つきの交付が困難であるということであるからして、その方法は採り得ないと思うのでありますが、その具体的なやり方についてはつきりお答えをお願いしたいと思います。
  124. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) この問題は他の機会にも問題になつたのでありまするが、只今申上げましたように四六の間に百八十九億出ましたが、只今の六月末で百五十七億円の融資に相成つておるのであります。この七月にどれだけ出ますか、三百十八億り円の平衡交付金を出した関係上、預金り部からは予定の二百億円は上廻らなくても浩一むだろうという考えを持つております。面してたとえ七月末におきまして尚二百億になつた場合において八月、九月、十月、十一月、或いはこの地方税法の成立によります地方税收入の状況によりまして、この金額が減つて来ると思うのであります。どの程度の残が来年の三月まで残るか、各月の残が……、これによりまして地方の団体の実質負担が決まるわけでございまして、只今余り見当がつきません。而も又從来その税收入関係上この地方税が成立しない場合におきましても相当程度の融資はしておつたのであります。通常の年におきまするところの融資がどれだけ不成立によりまして、本当にネットの融資がどれだけかという計算に相当の幅があると思うのであります。私は四月には一つもない、五月には六、七十億あつたと思います。例えば先程申上げましたように、六月末が百五十七億円、七月が二百億、八月が二百億、九月が二百億、こう計算して段々十月から入つて来ることにいたしまして四月が一つもないのでありますが、これを月平均百二十億といたしますると、金利が大体八億円程度かかるんではないか。面して通常の年に四億円金利を差引いたならばまあ大体三、四億、或いは四、五億くらいになるのじやないか、こういう一応予定をいたしておるのであります。地方税收入によつて利子のつくものを先にお返しになつておればこれより低くなつて来るし、或いは三、四億、四、五億不成立によります特別の金利負担をどうやつて国が措置するかという御質問の点でございまするが、私は只今預金部から地方公共団体に融資いたしております長期資金は御承知の通りに九分—九分四厘であるのであります。この九分—九分四厘、平均九分二厘でございまするが、これが六分五厘、或いは計算によりまして、六分六厘程度、即ち国債よりも一分程度上の利子にすれば思い切つて利子を二分七、八厘下げる、こういうことによりますと、只今長期債としてでありますが、地方債が五百数十億円でございますので、これで七億円くらい出て来るのじやないかと思います。それから公共団体が地方の銀行その他から預金部以外の枠で借りておりますその金額は二十五億乃至三十億と思いますが、これは一割以上の金利を拂つておる。これを預金部で引受けまして六分五厘或いは六分二厘、まだはつきり決つておりませんが、六分五六厘にしたならばこれにより浮いて来る金が四千万円程度の利子負担が減るのであります。面して又三百億円ばかり短期融資をしておるのが、今七分二厘くらいでやつておりまするが、これをこれ又六分五厘乃至六分六厘程度にすれば、この三百億円を通じて八千九百万円、九千万円くらい出て来る。こういたしますると地方の財政は相当これによつて裕とりが出て来ることになるのであります。而も又これを金繰りの問題から申しますれば、別に昨年一昨年来長期債として七年の年賦償還、或いは十年の年賦償還の貸付けがございます。この七年を十四年にするとか、或いは十年を二十年の長期の年賦償還にしますというと、大体私の見込みでは本年度或いは来年度におきまして四億四、五千万円の財源が出て来る、これは利子が軽くなるというのではございません。財政上繰延べます関係上四億数千万円のものが出て来る、こういうようにいたしまして預金部が今まで高利貸のように九分とか九分四厘というのを六分五厘くらいに下げてしまつて、これは預金部運用委員会にかけてやらなければなりませんし、非常な手数を要しますので、ものによつては八月と九月になつておりますが、九月乃至八月一日から始まる分の金利は六分五厘、或いは六分二厘程度に引下げます。今の空白によりますところの地方自治財政の負担が軽くなつて来るのであります。そういう措置を採ろうといたしておるのであります。ただ貸付けの期限が條件がございますので、八月一日から始まるのと九月一日から始まるのとあるということを御了承願いたいと思います。
  125. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今の御答弁によりまするというと、預金部の利子をずつと下げる、そうして六分四厘程度まで下げてその点については地方団体は利子を支拂う必要はない、こういうことになるわけでありまするが、又長期債につきましては返還年度をずつと繰り下げる、そうして裕とりをとる、これも非常にいい方法だと思いまするけれども、それでもまだ六分四厘の利子を支拂わなければならないところの義務が残ると思います。このものに対して適当な必要な財政措置を講ずるというのは、もとより非常に少くなつても、更に尚支拂わなければならんところの利子が残るわけであります。地方団体が言うことによりますと、これは地方税が四月一日から実施することができなくてこうなつているというのは、これは政府の責任だとか、或いは参議院の責任だとか、国会の責任だとか、或いは政党の責任だとか、野党の責任だとかいうことが言われておるけれども、こういうことは問題ではない。責任を追及するのではない、ただ地方団体はこれがために四月一日からやり得るところの税をとることができないという現実が現れておるのであります。これは地方団体の責任ではないというわけであります。從つてこれだけの歳出増加を来すことになる。而もこれが新らしい地方税の下にそれだけの分は多く取れるというような特別の措置があるわけでもないのであるからして、この分については何とかして国費を以てこの利子を補給して貰うというような、解決の方法を必要とするということが言われておるのでありまするが、今の分につきましてはどうも解決していない。これは六分五厘の利子をどういうふうにされるのか、これをお聞きしたい。
  126. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 九分乃至九分四厘で貸していますものを六分五厘乃至六分六厘にいたしますと、先程申上げましたように七億程度のものがそれで出て来る。それから地方金融機関から借りている一割以上のものを預金部が六分五厘に肩代りする。それで三千九百万が出て来る。今までの昨年からやつております短起債の分をこれ又七分五厘を六分五六厘に下げる、こういうことによりまして相当の余裕が出て来るのであります。預金部はそれだけ利益が少くなるのでありますが、それによりまして空白の分の利子をうずめて尚余りあるから、これで地本全体としては我慢して頂けるのではないか。ただ問題は今回の短期融資を沢山借りている所と、或いは殆ど借りていない所、それをどう調整するかという問題になつて参りますと、平衡交付金の分け方で加減して行くべきじやないか、こういう考え方を持つておるのであります。只今はとれによりまして補正予算を組んだり或いは他の方法を講ずるよりも、これが一番根本に影響を及ぼさずに又スムーズに行き、又思い切つて金利を下げることによつて将来地方財政に裕りができるのではないか、こういう意味におきまして閣議決定といたしましては適当な措置を採る、こう私は言つておるのであります。
  127. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今の大蔵大臣の御答弁では了承しかねるのでありまして、この点については併し今直ちにどうということは考えられるわけでもありませんので、一応将来にその問題を残しまして、次の質問をいたしたいと思います。それは先程の質問の例にもありましたが、地方債の許可の問題でありますが、現在地方自治庁と大蔵省と両方でこれをやつておられる。そうして実際の府県、市町村側のやつているのを見ますと、地方自治庁で一応決定する、決定といいましても最後の決定じやありませんけれども、まあ一応の決定がある。そうすると今度又それを大蔵省でやり返す。そういうようなことで地方自治庁で決まりましても、大蔵省まで行つて又再陳情をする。或る市においては自治庁で一千万円ばかり削られたのが、大蔵省でそれが殖えた例もあるということを聞いております。そうするとどうも大蔵省があつた方がいいという多くの方面の主張でありますが、そんなことも言うておりましたけれども、併し或る所では自治庁に認められたけれども、大蔵省で創られた。その間において起債をうまくやるということのために、非常に頭とそれから費用と人と経費がかかる。それは端的に言えば御馳走をしたりお土産を持つてつたり、これが大変な仕事なんです。それで我々は実は起債の許可なんか要らないというようなことで、一定の法律を作るべきだということを主張するのです。又そういうことを将来考えているということを言うておりますが、併しながら起債をうまくやつたのとやらないのでは、その市長とか、町村長とかいうのは村民から彼奴はうまくやつたから来年も大丈夫だとか、あれはどらも起債がうまく行かないからあれは力がないということになつて、そのために非常に苦心を佛つておるというのであります。それが両方にやらなければならない実情であります。それで私はこの際にお聞きしたいのは、地方団体の費用の節約にもなることでもあるのだし、どつちか一本に窓口ができないか。そうしてその間お互い相談をすることが必要でありましようが、両方にいろいろ適用しなければならんというような制度は、何とかしてこれは両大臣がおられるから、この際に解決して貰いたい、こういう事務的な問題でありますが、こういうところから本当は政治が、私は改正されるのが本当だと、こう考えますので、一応両大臣一つ質問しておきたいと思います。
  128. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 初めの問題で誤解があるといけませんから、私は大蔵大臣といたしましては、できるだけ歳出を少くいたしまして、国の負担を少くして、国民の租税軽減に努力いたしておるのであります。お話のように別の国庫負担にして呉れなければ、預金部の金利の引下げとかどうとかということとは事柄が違うとおつしやいますが、御承知の通り一昨年におきましては、国庫は五十億の預金部の赤字を埋めておるのであります。又昨年におきましては、三十七億の赤字を一般会計で予算上は見ておる。併し決算におきましては、二十数億円で済んだのでありますが、預金部資金の運用につきましては、国庫も相当赤字を負担しておる、金利は九分何ぼに上げましても、そういう状態であつた。そこで預金部は国にこの資金の運用の益金を七、八億も返さなければならん、金利を下げずに返して、然る後に地方債で金利を下げるのが順序だと思うのでありますが、この際、こういう突発事件が起りましたので、とにかく将来のことを思い、地方の公共団体全体として金利負担が少くなる、債務の返還の期限が延びて来れば、こういう妥協案で行くのが本当だと思います。どうしても予算を組まなければならんというのならば、預金部の金利を下げるということが先になつて来ると思います。全体としては、預金部の金利をうんと下げて、地方の財政が楽になる、そうして楽になつ部分で十分賄い得るのだから、この程度措置でいいのじやないかという考えを持つておるのであります。  次に起債の問題につきまして、自治庁と大蔵省と二元になつておるから困るというお話がありました。これもよく陳情を聞いておりますが、大蔵省としては、零細な資金を預かりております関係上、どうしても貸出の先を見て、償還のことを考えなければ金を貸せるものじやない。役所だからといつて、銀行のようなことをせずに皆に貸してしまえ、こつちは知らんというわけには大蔵省は参りますまい。これは金を貸す場合に、古今を通じての原則である。そこで地方自治庁へ行き大蔵省へ行つて、何とかこういう点ならば一切陳情なしに、枠が決まつて、書類が出て来て、それを自治庁と大蔵省で判断してぴしやつとやつてしまえば何も要りません。みやげも要らんことになると思うのであります。大蔵省としてそうあるべきだと思います。これは地方の起債のみならず、公共事業費その他につきましても、我々の仕事は半分は陳情にあるということを考えますと、国、地方の経費を減らす上におきましても、余り陳情のないことを欲しておるのであります。從いまして、岡野国務大臣はどうお答えになりますか、私は大蔵大臣として、郵便貯金を預つておる以上は、貸出先の状況、貸出先の收益、收入、支拂の点を常に監視しておるということは預金部も銀行業と同じことであります。この点はここではつきり申上げておきます。併し繰返して申上げますように、自治庁と大蔵省で申請書は検討いたしまして、はつきりと決める、とにかく一切陳情ということを聞かんということになれば、これは簡單に行くのであります。これはそう改むべきが本当だという気持を持つております。
  129. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 今大蔵大臣は命を貸すのだということでありますが、借りる方は政府から借りる、でありますから大蔵省から借りるという気持じやない。從つて政府から借りるのであつて、これが借りる方から見れば、大蔵省であろうが、自治庁であろうが、どつちでもいい。これを一つにして貰いたいということであります。ここが行の政簡素化というよりか、セクシヨナリズムになつていて、機構が幾つも分れているわけであつて、これはどこの省である、これはどこの省である、これはどこの省であるからということで、五つも六つもの省に国民が行つて折衝しなければならんということが、これが官庁のセクシヨナリズムであるから、これは直して貰いたいというのが、国民側の声であります。從つて大蔵省がそれだけの命を持つておられるのだから、それならば大蔵省は自治を監督する、要するに自治庁に説明を聴いて、そうしてこれはいいか惡いか、こういうようなことにして、そうしていわゆる窓口は一つにするというような方法を、自分は金を持つているのだから自分でもやらなければならんというなら、私は自治庁をやめて大蔵省だけにした方がいいのじやないか、どつちでもいいのでありますが、何か官庁の内部のものは内部のものとしての話合いなり、決定なり、取決めなりをして、そうして借りる方は窓口を一本にするということがいいのではないか、それを又借りる方面がそれを非常に期待している、こういう実情を申上げるのであります。直接的に両方で貸す場合において、これがまじめな借り方であるかどうかということを大蔵省もやらなければならん、自治庁もやらなければならんというところに、どうもまだ私の納得できない点があるのであります。その点につきましてもう一度どつちでもよろしうございますが、説明をお聴きしたいと思います。
  130. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私は地方自治庁で枠を拵え、全体といたしましては、地方自治と私のところで枠を予算、賢慮の場合に決めるのであります。面して申請は自治庁が一応いたしまして、自治庁が與えられた枠の中で割り振りをされると思うのであります。自治庁が割振をされた場合におきまして、そうしてその貸出先を大蔵省が検討して、窓口は自治庁内にあつて、大蔵省が金を出すということになつておるのであります。借りる方が自治庁へ行つたり、大蔵省に行つたりするのをおやめになれば、先程申上げたようにはつきりいたします。ただ問題は仕事が行政的の立場と、金を貸す立場と、こういうことで我々も行政の簡素化は望んでおるところであるのでありますが、事柄自体によつては両方に跨がることも僕はあり得ると思うのであります。この点は自治庁と大蔵省と両方でそれをやつておりますけれども、事務の方法につきましても、今度十分検討して行きたいと思いますが、借りる方におきましても、余り上京なさらなでお手紙で十分間に合うと考えております。
  131. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 今大臣は窓口は一つと言われましたが、実際は大蔵省の官吏が各全国の借りる方面に出張されるのです。そうして現地に行つてそれを見られて、その後において大蔵省として決定されるということになつおるのも相当多いのであります。そうするとやはり大蔵省からも来ていろいろ見て貰わなければならんということになるので、必ずしも何も大蔵省に行かなければならんというわけでないのですが、やはり大蔵省の方々も現地に出張されるのだからこれはやはり一つの窓口だと思うのでありますが、その点は十分一つ今後御協議なさつて、地方の方面もそうだろうと思います。借りたいのですから、いろいろ熱心に両方に行くのだろうと思いますけれども、その点は別といたしまして、どうかこの点については何とかもつと簡便にやれる方法を御工夫をお願いしたい、こう考えるのであります。  それから次には寄附金でありますが、これは取らないというような法律になつておりますが、これはまあ一つの道義的な規定だろうと思うのであります。寄附金を取つたならば、その取つたところの地方団体を構成しておる官吏なり、吏員が処罰されるわけでもないのですので、從つてこれは非常に道義的なものであると思うのでありますが、実際においてこの国のいわゆる施設を地方にする場合に、臨時費としてやはり要求しておるというのは事実でありまして、今回地方税法が通りましても、特に臨時費等につきましてはやはり必要だというようなことになつて、相当やはりその点が多くなるのじやないか、殊にその地方団体はその官庁を誘致すれば、非常に名誉であるというようなお考え方もある。ところが最近の情勢は、三つぐらい候補舌を決めまして、そうして熱意のある所にそれを設置する、こういう方法をとり始めたのであります。その熱意というのは、その必要な施設をその地方が建てて、そうして或いは住宅をその職員なり、そういう局長とかに建ててやるとか、まあそういうようなことが最も有利にやれる所に、そういうものを設置するというようなやり方も非常にある。ところが三つも四つも競争でありますから、あそこに負けちやいかんというので大騒ぎになつて、何とか設置同盟会とかいうものを作つて、寄附を募つてやるのでありますが、その結果やはり国から見ると非常に有利に寄付等をとりまして、そこに設置されるというような傾向もあるのであります。こういう傾向に対して、これは何も大蔵省だけではありませんで、各省でありますが、こういう点は一つ閣議等において各省において、そういうようなことを今後やるのかやらないのかという点を一つ御検討をお願いしたいと思いますが、この国の施設に対する臨時的な寄付金、勿論経常的なものもありましようが、臨時的な寄付金等町についての御見解をお聽きしたい。
  132. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お話のような弊害はあるのであります。大蔵省におきましては、今まで出先官庁がございまするが、建物その他につきまして寄附金をとつた場合はありません。外の官庁ではあるようであります。私は昨年或る地方に出張いたしましたところ、大学設置につきまして問題があつたのでありますが、商工会議所から、大学設置をして貰うと、寄付金を貰わなければならないから、大蔵大臣止めて呉れ、こういう話を聞いて参りましたから、或る種の大学設置は断わりました。予算上認めないことにしました。そういうことは財政を棄すものでありますから、大蔵当局としては、地方税法改正案の一部に載つておりますように、器付を強制的にとるということは国民の負担がそれだけ曲げられるということで、原則を立てておる状況であるのであります。從つて今後いろいろな陳情がありましても、地方民が寄付を出さなきやいかんというふうな場合におきましては、予算の査定上十分注意をいたしたいと思います。
  133. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 もう一点お聽きしたいのですが、災害の全額国庫負担につきましては、先程お話があつたようでありますから、私は予定をいたしておりましたが、これは止めます。最近盛んに国民側から主張されておる問題の一点をお聴きしたいのです。それは国税、地方税を通じまして、税を納めるのは現金で納めるということになつておるのでありますが、最近小切手も認められているように聞いておりますけれども、それを約束手形、或いは固定資産税などにつきましては、自分はこういう大きい固定資産は持つているけれども、金は持つていないというのが非常に多いのでしで、むしろそれを納めるためにはその家を売らなければ納められない、而もこういう固定資産は自分の所では要らないから、税の代りにとつて貰いたいということが非常に多いのです。そうしてそれをとつてつて国が適当に処分して貰つた方が自分は税は納められる。ところがその固定資産をとらないで、金で取るものですから、その家は持つていても困るし、金はなしというような状態があるのでありまして、こういう物納制度というものをどういうふうにお考えになつておられるか、現在の法令、それから将来どういうふうにされんとするか。それからもう一つは、先程の、これは商工業者の負担するところの税でありますけれども、現在二ケ月か三ケ月の約束手形を持つている、ところが三ケ月後になれば必ずそれはできるのだ、併しながら最近銀行が相当緊めているためにそれを割引して呉れない、そういう関係事業も困るけれども、税を納めることが非常に困難だ、而もすでに期限が来ており、何とかしてその期限に約束手形納めることができれば、二ケ月の間はいわゆる強制的な競売にもならないで済むし、父その延滯利子もつかないで済むし、何か小切手と同じように約束手形の期間内におけるところのものを受領して、便宜それを税として納めさせて貰うという方法がないか、これは商工業者側の大会において実はいつも聞かれることであるのでありますが、これは一方的な考え方だと思うけれども、実際の情勢を見ると、なるほど尤もの点があるわけでありまして、この物納制と約束手形を税として取るという点についての、法律上の解釈、又将来の立法上の御見解等を一つお聽きしたい。
  134. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 国税について申上げまするか、国税の納付につきまして特殊の小切手を使いますことは、從来もやつております。これは十数年前から施行しておるのでありますが、約束手形を国税に当てるという議論は今まで聞いておりません。ただ問題は約束手形は納期その他の関係で、これは手数が非常にかかります。不渡りになるというようなことも考えられますので、私は制度上約束手形或いは為替手形を利用することは困難だと思いまする国債をもつて税の代りにやるとかという問題は、これは從来から非常にありますが、これは国債を整理するという性別会計の関係で相当厄介な問題もありますので、国債までも使つておりません。小切手は使つておるのであります。  次に物納の御説でありまするが、御承知の通りに、国税を物納する制度は、昭和十五六年に相続税について始められたと思うのであります。そうしてその次には財産税で物納の制度をやつたと思います。御承知の通りに、相続税とか、財産税というものは超過累進のかなりきついものであるのであります。昔でも相続税は五、六〇%の最高税率、財産税におきましても九五%、こういう超過累進の非常に強い税率の場合におきましては、物納という制度は税制上必要であると思うのでありまするが、税率の一・七%、一・六%程度のごく低率の税の場合に物納を認めるということは、制度上私は感心しないと思います。又認めてもそう大して効果はないと思うのであります。建物を物納すると申しましても、百万円の建物を物納して税金が一年に一万六千円、そのときに百万円のものを物納されたら大変なことであります。実際ごく低い税率におきまして物納というものを認める例はどこにもないと考えております。
  135. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 尚それに関連してお聴きしたいと思いますのは、税を実際納めようとしても現金がないというようなことは事実上あるわけであります。それは非常に多くなるわけですが、その際に税を納めるための金融をするというようなことが政府においても考えられておるというような話を聞いておるのですが、具体的にはどういうふうな措置をとられるのか、いわゆる税を納めるための金融というものをやつたらどうか、こういう点についての具体的なお考を承りたいと思います。  それから今の約束手形でありますが、小渡りになるかも分らんようなものを国が受取るということは将来非常にそれは煩雑であるということは、これはまあその通りだと思いまするが、それならそこに何か一つのプール的な外廓的な財団があつて法人のようなものがあつて、公団というと評判は惡いのですが、そういうようなものがあつて、そうして脇町的にそういうようなものを引受けて、それが肩替りに税を納める、そうしてその公団のようなものが今度は一手に約手なり或いは固定資産税というようなものの処理について事務をとるというような別途の外廓団体的な制度というものについての御見解を承りたい。
  136. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 税の増昇のときに約束手形を国が引受けるという問題でありまするが、公団とか或いは特殊の機関を設ける、こういうお話でありますが、これは私は原則として金融の問題であると思います。從いましてそういう場合は銀行が割引くべきものだ、銀行が割引かんものを政府が特殊な機関を設けてやるということは如何なものか。これはあく迄も金融の問題であると考えておるのであります。然らば税を納める場合に金融はどういうふうな方法で付けておるかという問題でありますが、資金融通準則によりまして、納税のための金融は成るべく差控えろというふうなことを昨年の春頃くらいまではやつておりましたが、その後税も相当重くなつて参りましたので、できるだけ税を納めるための金融も図つてくれるように、これは大蔵大臣としてそういうふうに各銀行に勧奨いたしております。併しこれは個々の問題で、相手の信用の問題でありますので、どういうふうな特別の方法を取つておるかということはこれはここではつきり申上げるわけには行きません。どういう税金であつて、そうして納税者がどういう状況であるか、こういうことにつきましては個々の問題で、全般的に特別の措置を取つておるわけではございません。
  137. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 よろしいです。
  138. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今の鈴木委員の第一の質問と第三の質問に関連して大蔵大臣の御答弁を願いたいのです。  第一のこの地方税法案の廃案後の暫定措置の短期融資に関する利子の問題ですが、これは少額なものであろうとも、先程の大蔵大臣の答弁においては、我々国会において地方自治団体に対して信頼を繋ぎ、又政府の責任の所在を明かにする点からいいましても、極めて不満なものがある。と申しますのは、先程鈴木委員も申される通り、このことが廃案になり、現行地方税法が廃止せられたのは、これは明らかにその後の措置においては政府の責任として処置すべきものであつて、これから生じた事態としての短期融資に関して地方がその利子までも負担するということは、これは誠に矛盾しておる問題であつて、あく迄も政府においてこれを措置して貰わなければならない筋合であろうと思うのであります。  然るに昨年度以来の短期融資、從来の短期融資等について、それを長期融資に書き換える、或いはその利子を軽減する等において、結局は今回の短期融資に関する利子支拂いも一挙にそれをしなくてもいいような総合的な調整ができておるから、地方において大した問題にならんであろう。だから政府においてはそれは見なくてもいいんだと、こういう考え方はどうしても我々としては反対なのであります。  第一点としてお伺いしたいのは、今回のことに関しての短期融資そのものも長期融資に書き換えて、そうして利子支拂い、或いは今後起るであろう徴税機構の不備その他に関して、予定通りの時期に予定額が徴收できない問題も勘案して、長期融資に書き換えて行く、そして利子支拂いも後の方に延ばす。最惡の場合でもその程度のお考えがあるかどうかお伺いしたいと思います。
  139. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 地方税法案成立の遅延に伴いまする短期融資は、あくまでこの空白を是正するためにやつておるのであります。原則として後年度に繰越すべきものではないのであります。ただ徴税その他が非常に不如意になり、財政上或る団体が賄いがつかんということにつきましては、地方税法案成立と別個に考えなければならん問題であると思います。昨年におきましても御承知の通り、昨年の四月から徴税その他を見込んで短期融資をいたしておるのであります。これはそういう範疇で検討すべきだと思うのであります。地方が最高一百億円くらいになると思うのでありますが、これは今年の税收で拂つていくのが原則であるのであります。又私は来年の三月までにはこれが支拂い得ると考えております。若し得なかつた場合につきましての措置については別途考慮しなければならん問題だと思います。
  140. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、二ケ月或いは三ケ月の短期融資のもので、九月十月に支拂い得ないという問題は、今年度中において支抑えばいいような措置を講ずる、この程度のことはなし得るというお考えですか。
  141. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは先程申上げましたように、大体從来の短期融資と併せて月平均百二十億円くらいになるのじやないか。その計算の根拠は、四月には一つもございません。五月に六・七十億、六月末に百五十七億、七月に二百億になり、八月二百億と続いて参りましても、九月頃から入つて参ります。そうすると十月には二百億減つてくる、十一月には又減つてくる、十三月、一月にはずつと減つて来て、三月末までには全部お返しになるとして、從来の短期融資と併せて百二十億くらいになるのじやないか、こういう考えを持つのであります。從いまして私は納期が始まつて八月九月から直ぐ二百億を先に拂え、こういうふうな気持は持つておりません。地方の財政状況を見まして、適当な額を適当な時期に拂つて頂くごとにしたいと思つております。
  142. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 続いて本題に戻つて政府は国の金で利子を見ることをしないで、結局は時期的には延びようとも、或いは国の融資したものについての利子引下げ等があろうとも、結論としては地方の自治団体に賄わせ、支拂わせるのだと、このことは政府の見解として変えられないということになるのか。又検討するならば検討の余地があるのか、はつきりお等え願つて置きたい。
  143. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 只今申上げました通り、地方の負担を少くすることによりまして、その点で今回の利子が賄えるように、十分賄えるようにする、尚余裕があるような措置を取りたいと考えております。
  144. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 だから端的に国が金を出すのではなくて、地方がそれを出すのだという見解になると思うのでありますが、その通りですか。
  145. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 地方が出すとも決まつておりません。地方の今までの負担を国が軽くして国が背負うという、実質的には結局国が背負うことになりましよう。
  146. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 では第三一の方の質問ですが、寄付金の問題です。先程大蔵大臣も大学の問題を申しましたが、私も一、二の例を申し上げたいのですが、現実に新制大学が六十いくつ作られて、各府県において或る県は二億円、或る県は五千万円県内において寄付金を出せ、県費ではいくら、市町村団体はいくら、個人の割当はいくら、それによつて校舎その他の設置費に充てる、こういうことを前提としてこの大学設置が認可せられて、地方においてこの財政的なやり繰りに非常に困つている。これが一つの例です。第二の例として挙げるならば、或る府県等においては從来高等学校なるもののない地域に、高等学校を当該町村が欲しいという場合には、県においては県費を半額出す。だからあとは当該関係の町村間において半額の寄付金を出せ。それによつて県立の高等学校を設置してやる、こういうことで本年度の予算においてもそういう決定を見ている県会があるのであります。又或いは第三の例として申しますならば、これは大きな問題ですが、新制中学の校舎建設の問題であります。大蔵大臣は先刻御承知のことと思うのですが、過年度来の十五ケ月予算で六十億円という金が出ている。そのうち戰災復旧なり、盲聾の義務教育の金が五億程度出ておつて、実際は四十数億の金が配分せられ、而も政府決定の方針に基く補助金としても、四十万坪くらいの計算違いが出て来ておつて、これに対する財政的な措置を緊急に講じて貰わなければならないという事態がある。而も運営ができるようにするがための校舎建築のためには、今においても市町村はやはり寄付金を以て賄うというようなことで四苦八苦しておるのが現状なのであります。文部関係の方の調査等で見ても百七億を欲しいと言い、或いは民間の団体の調査等で見ては三百二十億なければならんと、こういうようなことさえ言つておる今日において、この寄付金を取らないように国において措置し、又地方に措置せしむる意味において、この法案中において、強制寄付を取つてはならん、させてはならんという趣旨の立法をなさろうとしておるのであるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  147. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 從来の寄付金が幾らあるかということは、なかなか計算が困難でございまするが、シヤウプ博士は一応これを四百億程度と見積られたようであります。從いましてそれを埋める意味において、今回の地方税の増徴も行われるのであります。そればかりでは勿論ございません。そういう意味におきましても、地方税の増徴をしたのであります。私は趣旨といたしましては、寄付金の強制ということは許されないという考えを持ちまして、地方税法案の改正につきましても賛成の意を表した次第であります。
  148. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 じやもつと具体的に突込んでお伺いいたしますが、新制中学一校舎を標準町村で建てようとしても、満足なものを作るためには、四百億円か五百億円かかる、半額を起債で見て貰うということは、仮に許されても、私は、地方税で見積ると言いましても、そうした町村において一挙にそうした金を税金を以て賄うということは凡そ不可能ではないかと思います。こういう点について岡野自治庁長官に、今後そうしたことをさせないで、この地方税或いは起債等で賄わせるという言明がなされるかどうかお伺いをし、又予算編成の責任者である大蔵大臣に対しては、この六・三建築の予算のいろいろな技術的な基礎資料等の何といいますか、計算違いと申しますか、調査のずれと申しますか、そういうようなことから当然、本年度は建築費予算を追加予算を以て計上して頂きたいというのが、我々の希望なのですが、これらについて大蔵大臣は如何お考えになつておるか、もくろみを立てておられるか、六・三の建築費に関してのみ御答弁をお願いしたいと思います。
  149. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 六・三制を完全にやつて参りますためには不十分であるということは十分知つております。併し財政の事情から申しまして、お話の通りに今後四百億円も五百億円も直ちに今明年度、或いは再来年度において出すというような財政的な余裕は只今のところでございません。これはやはり国民の負担ということも考えなければなりません。いろいろな経済事情も頭に置いて考えなければならんのであります。我々はできるだけこれに努力いたしまして、お話の通りに十五ケ月予算で、昨年度十五億、今年四十五億、これが精一杯であつたのであります。併し事情は十分知つておりますので、財政の許す限りにおいては、六・三制の費用を十分に累年やつて行きたいという気持は持つておりまして、校舎の問題以外に教員の再教育の問題もあります。いろいろな問題があるのであります。で六・三制の問題は重要な問題でありますが、お話のように、本年度の追加予算で六・三建築予算を出すということは只今のところは考えておりません。来年度はどうするかという問題につきましては、これは検討を加えなければならんと思います。
  150. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  その点につきましては就任早々、文部大臣からお話がございました。大変困つておる、こういうことでございまして、事情を聞きますと成る程困つておるのは本当らしく、その意味におきまして国務大臣、大蔵大臣、私と協議して、そうして何とか考えて呉れないかとこういうようなお話がありましたが、この税法案に非常に忙がしうございまして、まだよく話合もついておりませんけれども、只今大蔵大臣が言明いたしておりましたように、大蔵省としては今年は出そうもないようでありますが、この辺のところは文部大臣の意向をもう一度聞きまして、私も、自治庁の長官としても又意見を作りまして、三者協同で考えたいと思います。
  151. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今の大蔵大臣の御答弁ですと、本年度追加予算を組む意思はないというお考えですから、それを裏返して習えば、地方において現実に寄付金を以てそうした部面を賄うこともこれは可能である、止むを得ないということになると思うのですが、そういう筋合でこの地方税法案の中に寄付行為の禁止をしておられるのかどうか、もう一度はつきりお答えを願いたいと思います。結局そういう具体的な事実に基く答弁を聞くというと、この法案中の寄付行為の禁止は、單なる室念仏であつて、何等それを実行しよう、又実行させようという意思がないのだということを露呈するものだと思うのです。まさかそうではないと思うので、私は誠意ある御答弁が欲しいと思うのです。
  152. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この地方の強制寄付に関する禁止規定地方税法の中に入れたために、今年度におきましては一切もうそういう強制寄付をやらないということになつておるにも拘わらず、何かその辺で財源の心配をしなければならん、実際問題として強制寄付が又起りはしないかという、こういう意味の御質問だと思うのでありますが、この点は今の今年度の地方財政全体の計画といたしまして四百億のうち三百億の強制寄付、いわば代税寄付のようなものは財源の中に取入れまして、予算の上でこれを考えることにいたしておりまするから、從つて強制寄付に相当する部分というものは、すでに千九百八億の地方税並びにその全体の枠であります四千八百億の枠の中に一部組入れて考えておるわけであります。從いまして私共といたしましてはこの地方税法案が通りますれば、本年度におきましては、そういう強制寄付ということは原則としてなくし得るもの、だとかように考えておる次第でございます。
  153. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それはどうもおかしいので、全国的に、一般に昨年の資料などによつて、そして寄付金というものを四百億見込んであるから、千九百億の地方税で賄えるのだということでありますが、三十五年度に新規事業として新制中学の校舎を作ることを何月の町村会であろうが議決する場合はあるのであります。それは何等評見込んではいない筈なんです。そういうものについてはどしどしそういうことが行われる。或いは過年度以来行われておるものについて、大口の寄付であるから、これは地方税或いはその他で見るのだと、只今の答弁をそういうふうに解釈、了解で、きるならいいのです。併しそれは又別なんだということならおかしいということになる。
  154. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の点でございますが、これは差上げてありまする地方予算の推計の表の中にも、寄付金の問題を考えておるわけでございまして、要するに寄付金の三百億というものを、一般の税その他の財源を以てこれに代えることを建前といたしておりまして、そういう見地から四百億のうち三百億の強制寄付というものは、本年度は解消できる、かように考えておるわけでありまして、具体的に強制寄付を以て賄なつて参りました從来のそういう費目を今年度どういう財源を以て当てるかということは、それはそれぞれの市町村の事情によると存じますが、私共の全体の財政計画の上におきましては、しばしば申上げましたように、三百億の強制寄付というものは、これは消し得ると、こういう考え方で立案をいたしておるのであります。
  155. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 どうもしつつこいようですが、鈴木政府委員のお福も形式上誠に整つた話でそれは文句はないのです。併しそのことによつてですね、現央の各町村におけるその寄付行為が消滅せらるるかというと消滅できない。消滅できるんたということであるなら、そういうふうに御答弁願いたい。
  156. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の三百億の寄付の外に、本当に自主的な意味の寄付金、これを約百億と考えておるわけでございますが、そういう種類の寄付者の、本当に善意によりますものは、これは当然残つて来るわけでございまして、そういうものがこれは若干残るでありましよう。一応百億と考えておりまするが、そういうもの以外の一般の寄付というものは、諄いようでございますけれども、私共といたしましては消すように考えておりますし、又これは府県市町村等におきましても、そういう建前で全体の財政の運営を考えて貫いたいのであります。かように考えております。
  157. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それでは端的にお伺いしますが、新制中学の校舎建築に関する寄付ですね、これは当主的な、誠に良心的な善意のある寄付であれば、それはお互いに寄付して学校を建てろ、地方税或いは国で見るというのは議論の外である。こういう具体的にはそういうものの範疇に入るのですが、新制中学の校舎建築に関する費用は……。
  158. 鈴木俊一

    ○石井政府委員鈴木俊一君) 寄付の形態いろいろあると存じます。例えば市町村民税の頭に被せましてかけて行くようなのが一番典型的な、これは強制寄付と申しますか、代税寄付の形態であると思いますが、そういうような形のものを政府としては解消したいと考えておるわけでありまして、真に自主的なものにつきましては、これを拒む必要もございませんし、又そういう寄付を受けることはむしろ地方自治のいい点でもあろうと思います。然らば具体的にどれが強制寄付であり、どれが任意的な寄付であるかということにつきましては、これはやはりそれぞれの市町村の実情に応じて考えなければならんのでありまして、そういう寄付を強制寄付と見るか、或いは任意的な寄付と見るかは、これはそれぞれの地方議会なり地方の市町村なりの運用の問題でございまするから、そういう運用の衝に直接当りますところの地方の議会なり、市町村長の人達が、果してこれはこういうことをやるべきか、やるべきでないかということを住民の批判に応えつつこれは処理して行くべき問題と思います。
  159. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それは鈴木政府委員お話は非常におかしい、私はもつての外だと言いたい。と申しますのは、新制中学の校舎、或いは教育、或いは経営というものは、国で決めておる義務教育なんです。義務教育に必要な設置費というものが、その住民の自然好意による寄付で賄われていいのだというお話はおかしいと思う。少くとも地方の市町村で賄えない、国も賄えない実体から、各市町村の住民が困り抜いた中から寄付をしておる現情なんです。これがやつぱり市町村会なりその他自治団体が合意の上で寄付徴收を決めれば、それも寄付の中に入つたつてかまわないというようなことは、政府の責任ある方として答弁ができるかという問題になつたら、私は問題があると思います〇一つは岡野大臣にこの新制中学の校舎の設置費について地方自治団体の寄付というようなものは地方財政法の中の寄付行為の禁止に牴触するか、しないかという点についてはつきり解釈上の疑義を拂拭するような御答弁を願いたい。
  160. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今鈴木政府委員お話によるというと、六・三制によるところの新制中学校の国の負担というものは、大体十五億、本年度は四十五億でもういいのだ、あと負担せないでいいのだ、その後はこの地方税法が通れば、平衡交付金の千五十億を含めてこの地方税法が通ればこれは自然財源を地方市町村に與えているのであるからして、それでやれるのた。從つてもうこの法案が通つた後は国が六・三制の臨時建築費を出す必要が財政的になくなるのだというふうに私共には聽えるような気がするのですが、そういうのでなくして、要するに六・三制に対するところの国が出す負担というものは、六十億については中学校においては一人いくら、小学校において一人についていくらという坪数を決めて一応その段階は済んだ形ちになつているのですけれども、併しながら実際の情勢を見ますと、六十億を支出しても、まだその標準に達していない実情である。從つてその点と更にもつとよく、もう少しよくしなければならん。最小限度に全国の六・三制の中学校には全国の平均をその程度までしようというプランで行つているのだ。順次着々とよりよき状態で国費でもつて更に取つて行くというふうに、私共は政府から聽いておりました。併しながらこの税法が通れば、もう六・三制に対する建築費予算というものは打切つても、地方団体でやつて行けるのだということでないと私はこう考えたのですが、その点はいかがですか。
  161. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先程の小笠原さんに対する答弁で、小笠原さんが私の答えました前提をちよつと別にお考えになつているようでございますから付け加えて申上げますが、私が申上げましたのは寄付金の一般原則論でございます。今御指摘になりました義務制の学校の建設費、こういうものはそれぞれ負担の区分がございますから、それに從つて市町村の負担すべきものはこれは負担しなければならない、国が負担すべき負担は国が負担する建前があるわけであります。そこで今の平衡交付金から申しまして、市町村なり府県なりが負担すべき必要の経費に対しましては、基準財政需要額の測定の差額がございましたら、それを国から平衡交付金で出す、こういうことになつております。それから鈴木さんの御質問の点もややこれに関連した問題と思いますが……。
  162. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私のはこの税法が通つてしまえば具体的な問題として、新制中学校に対する建築費の補助はもう国から貰う必要がないような内容を持つているのだというようにとれたがそうじやないだろう。これは少くとも六・三制に関する建築費は将来ずつと完成されるまで国が補助なり負担すべきで、公共事業費の中に組んで、そして継続さるべきものである。これとは別問題である。こういうふうに私は解釈しているのですがどうですか。
  163. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その点は正にその通りでありまして、それぞれの補助金なり、交付金なりで国から地方に交付せられますことになつておりますものは、地方の基準財政需要額と見合す場合におきましては、これを見込んでおりまするから、從つてもしもそういうものが消えてなくなる場合におきましては、全体の財政計画に穴があくわけであります。從つて年度といたしましては、今の四十五億という数字はこれを見込んでおりますから、そういう建前で平衡交付金の額もそれと見合つてできておりますから、来年以降におきましては、この点がどうなるかということに関連いたしまして、平衡交付金の額に増減が出て来ると思いまする
  164. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そうしますと来年度におきましては、平衡交付金が千五十億であつたとすれば、当然この四十五億……六十億というものは国費で同じように賄われるものである。この中に本年度は四十五億というものが、ちやんと含んで、それは国から貰うこととして、平衡交付金が百五十億出て来ることは決つておるのた、来年の千五十億ということにして行くならば、国からの文部省からの四十五億というものもやはりそこに当然継続される性質のものである。若し四十五億が継続されたとすれば、千五十億に、更に四十五億を殖した、平衡交付金になるのだ、こういうことになるのではないですか。
  165. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 来年度の地方財政の需要の測定につきましては、いろいろ問題がございますし、今の御指摘の小学校の関係の経費につきましても、勿論どういうような形になりますかこれから逐次やつて行かなければならんわけでございますが、全体の傾向といたしましては、今年よりはだんだんと減つて来るではありましようけれども、外のそれぞれの経費との関係におきまして、仮に総額が千五十億ということになりました場合におきましても、どういうふうに見込めるかということは、やはり今から予測いたし難いというふうに考えております。
  166. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 岡野大臣に簡單な答弁をお願いしておつたのですが、と申しますのは大臣立たれないから、もう一度申しましよう。大蔵大臣は本年度追加予算を以て、政府決定の標準教室を設置せしめるだけの補助金をも出す意思が、現在のところないということをおつしやつたのです。從つて地方財政の問題を賄う主管である大臣の方では、そうしますと、地方財政の中にある寄付行為の禁止の中には、この六・三の建築費の寄付というものは入らん、これは寄付でやつていいのである、こういうお考えであるかどうかということを簡単にお答え願いたい。
  167. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。先程から六・三制の建築費について縷々御質問がございましたようでございますが、これは国費で負担すべきものが本則であると私は考えております。その意味におきまして、文部大臣も非常に心配されて相談をかけられておるのであります。併し本年度は、今大蔵大臣が申上げましたように中央財政の方からは、今まで出した額より出すすべがないということになつております。そこで私は、先程申上げたようにできるだけ文部大臣と大蔵大臣と私とよく協議しまして、来年度はできるだけ大蔵省から出して頂きたいという協議をしようということを御答弁を申上げる次第であります。
  168. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと来年度から、その金を出して頂くものとして、本年寄付行為した者もその金を以て保償して頂けるかどうかお伺いしたいと思います。
  169. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 具体的の問題につきましては申上げられません。ただ問題は本年度におきまして、六・三制の建築資金を出すということは只今のところ考えておりません。来年度予算におきましては財政の状況によつて検討はいたしたいと思います。御質問の点は、この法案には強制的に寄付金を住民に割当てて強制的に徴收するようなことをしてはいかんという原則を謳つておるのであります。この原則は今御審議願つておるのでありますが、具体的の問題で、そのことが六三制であろうと道路の改築であろうと、今まで本年度において寄付をすることに決まつておる問題にこれは適用になるかどうか、こういうお話でございましよう。法律が施行になりましたら適用になるといつても、併しだからその六・三制であつても任意寄付ならば、この規定に牴触するわけではないのであります。
  170. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そこのところが私はおかしいのです。これは道義的な、精神的な立法であるということは鈴木政府委員からも前に伺つて、或る程度これは了解が行くのであります。併しこれを閣議決定して国会に出された責任ある大臣の答弁としてはおかしいと思うのです。そうした寄付を拂拭するためのこれは地方税法であり、或いは地方財政法の一部改正なのでありまして、これに対する裏付けを考えて頂けないで、任意であればそれで仕方ないのだというふうな御答弁は私はどうも聞き逃がせない。若しもそうであるならそうである、でもいいですが、もう一度何とかこの点はお答え願いたいし、大蔵大臣には特にその六・三の建築予算について、標準的な計算に基き、それでさえも賄い切れないでおる現状において、本年度追加予算が出せないということは、筋合い上言えないのじやないかということを私は主張したいのです。この二点についてもう一度しつこいようですけれどもはつきりお伺いしたいのです。
  171. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) これは地方税法の法案に書いてありますように、住民に割当て、強制的に寄付を徴收することはいかんということであるのであります。これが六・三制であろうと道路の建築であろうと堤防の改築であろうと事柄は同じであろうと思うのであります。  第二に今年度追加予算或いは補正予算を出して、これで標準の建築、標準の坪数の建築をすべきではないか、こういうお話でありますが、私は今年度はいたしません。只今のところしない考えでございます。
  172. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それでは技術的な部面で鈴木政府委員にお伺いしますが、先程から寄付のことを見ておるのだということでありまして、六・三制の建築費も大きな寄付行為でありますから、多分既定計画においてはこれは見ておつたものと了承するのであります。そうしますと、本年度の地方市町村における予算において、そうした建築費予算を盛込もうとするところに対しては全体的な予算の計上のし方、その他における十分なる指導を與えて、寄付等のことのないような措置を講ぜられるように御指導が願えるかどうか、この点をお伺いしたい。
  173. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この法の趣旨は、若しこの法案が通過いたしますれば、それぞれ地方財政委員会から地方団体に連絡をいたしまして、この地方財政法の一部改正の趣旨が徹底するようにいたすべきものと考えております。
  174. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 小笠原君に申上げますが、大蔵大臣……。
  175. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 もう終りなんですが、この問題は重要でありますので又保留して置いて再度質問を申上げます。
  176. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 大蔵大臣に質問といつても希望なんですが、具体的に例を申上げますと、どの県もそうだろうと思うんですが、鳥取県に例を取つて見ますと、新制大学を造りますのに、五ケ年計画で臨時費を一億円寄付をしなくてはならんということになつておるんです。経常費については文部省で負担するが、臨時の新制大学を整える施設については年次計画で地方で一つつて欲しい、こういうような状態で、鳥取県におきましては、昨年三千五百万円の寄付を大体調達したわけであります。ところがこれを町村に割当てるものでありますから、或る小さい郡のごときは、十七ケ町村のうち十ヶ町村の町村長は、新制大学の寄付が集まらんために責任を負つて全部退職しておる。先般も一人辞めてしまうというような状態で、そういうようなわけで新制大学の寄付が新たに加わりまして非常に困つておるわけでありますが、本年度も五ケ年計画の第二年目ということでありまして、二千五百万円くらい調達しなければならないということで、非常に困つておるところであります。ところが地方財政法によつて国の施設に対して府県が金を出すことはできんというので、県が新制大学の設備をいたしまして、国家に寄付をするというような脱法的な行為をやつて、その財政法の規定を免れながら、地方が非常に困つているわけであります。一つこの点、国家財政多難の折ではありましようが、一つ何とか、東京なんかの例えば旧の帝国大学、京都の帝国大学というようなものは、拡張するにしたつて、その附近の住民は何ら個人的な寄付をしなくても、国家場の文化機関の恩恵に興り得ますのに、地方の機関だけ、国家の大学であるにも拘わらす、そういうふうにしなくてはならんという点がありますので、何とか一つ新制大学の一応の整備ができるだけの、臨時費についても、特別の御配慮をお願いしたいと思うわけであります。
  177. 石川清一

    ○石川清一君 今朝程質問をいたしましたのに関連をいたすのでありますが、この平衡交付金の交付に当りまして、文化施設に対する云々と申しましたのは、このことを指しておるのでございまして、特に町村においては、その收入の主体が固定資産税市町村民税でございまして、市町村民税の大半が国民の所得に俟ちまするし、又固定費産税については、固定資産の主として土地と農地に注がれるという、特にこれは農村府県、農村の市町村においては、その農村の收入日本の平均反收以下の町村でありましたならば、負担力が本当にないということがはつきり分つて参りまして、これらの欠陷が今日まで相当累積されておるのであります。そのことが新制中学の設置について、各町村、各府県に大きな現在ハンデキヤツプをつけておるところでありまして、この一本の国税と、一本の体系の上に立つ地方税制が、若し不幸にして通過いたしましたならば、その今までの矛盾をカバーするのは、平衡交付金における文化的施設の面より残されていないと思うのでありますが、その基準におきましては、教育費の基準においては、平衡交付金の中に、これは人口比で割ることにはいたしておりまするが、面積を入れてないわけであります。從つて、純農村のように、広般な面積に人口を持つております、県、町村の教育費というものは、実に負担能力というか、その規模の中で困難というものが予想されるのでありまして、この点今朝程御質問いたしましたら、文化施設に対しても一様に機械的に取扱うのだという御答弁がありましたが、この際同じような形に町村が地方財政の上でスタートを切るといたしましたら、せめて平衡交付金の一〇%の面か、又は今日の臨時暫定的な支出の面で、何とかカバーして、同じようなスタートで、文化国家としての文化施設を市町村、府県が持つというような方に政治的な面を持たれてはどうかということを、今朝程もお尋ねしたわけでありますが、機械的な御答弁に終つたわけでありますが、重ねて大蔵大臣に、併せて国務大臣にお尋ね申上げます。
  178. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 前の御質問に対しましては、なかなか即答しかねるのであります。最近單科大学が各地に設けられましたが、これは全部国で賄うということはなかなか困難な問題であろうと思います。第二の御質問は、平衡交付金から特に文化的教育の方面へ特別の枠を出したらどうか、こういうお話ですが、これは私の所管外でございまして、今ここで申上げない方がよろしいと思います。
  179. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 大蔵大臣に対する御質疑はこれでよろしうございますか……それでは又お願いいたします。
  180. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 先程の御質問に関連して、石川さんにお答え申上げますが、面積の関係を平衡交付金の算定の上で見ていないということでございますが、これは補正係数と申しますか、一般の基準としてはそれぞれ実際の数値をとつて参りまするけれども、その数値を、例えば気候の寒冷度の関係でありますとか、或いは都市人口の占める割合でありますとか、或いは人口の密度でありまするとかいつたような、それぞれの地方の実態を反映するような係数をとつて参りまして、そうしてそれによつてそれぞれの具体的な費目が、より実情に即するように、把握できるような仕組を考えておるわけでありまして、そういうようなことによりまして、今の教育費関係につきましても、学校数なり、学級数なり、生徒数、兒童数というようなものを以て一応測定いたしましたものを、今申上げましたような、そういう補正係数によつて補正をいたしまして、そうして教育費を算定するわけであります。これはそれぞれの地方の実情の応ずるようにできるものと、かように考えておるわけであります。
  181. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 只今お話ですが、この前の委員会で、地方財政委員会の事務当局者に、その計算基礎資料を提出して貰いたいと思つてつたのですが、まだできないので、再度要求して置きたいと思います。それで関連した質問ですが、そういうやり方で平衡交付金を算定するという趣旨は、それだけの標準経費を都道府県、市町村において使つて、教育を賄い、或いは土木なら土木の方の金を賄つて欲しいという意図でやるのだと思いますが、そう考えてよろしうございますか。
  182. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この平衡交付金制度におきまして、基準財政需要額として測定をいたしておりまするそれぞれの費目の経費でありまするが、それはいわば最低限の二つの水準と考えまして、それを勿論上回つて各種の施設をやつて行くということは、これを望みこそすれ、これを抑制するという気持は全然ないわけであります。ただそういう最低限度の施設をするために必要な経費は、若しそれを賄うべき基準の收入が足りないならば、国から平衡交付金という形で出すと、こういう趣旨でありまするから、決してそれに限定をするという意味では毛頭ないわけであります。
  183. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その方は誠に結構なんですが、下回るというのは、即ち臨時的に土木事業の方に今年度金がかかる、そうして教育費の基準経費の方を切つてそつちに廻すというような、そういうようなやり方は望ましくないという趣旨の下に計算されて平衡交付金というものが賄われる、こう考えてよろしいかというのです。即ち、逆に裏返して言うならば、その計算基礎によつて渡されておる範囲の金額は、最小限度といえども地方において予算化するのが望ましいと、こういう趣旨で財政委員会が考えておられるか、こう考えてよいかというのです。
  184. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) そういう地方団体の経費支出につきましては、法律なり、或いはこれに基く政令等によりまして義務的な支出になつておりますものと、そうでないものとあろうと存じます。義務的の支出になつておるものにつきましては、これは地方団体としては当然にそれだけを出さなければなりませんが、そうでないものにつきましては、今の平衡交付金算定基礎になりました基準財政需要額というものは、必ずこれを出さなければならんというものではございませんけれども、先程来申上げまするように、平衡交付金の趣旨は、地方団体の行政の水準をできるだけ均等化し、均衡化しようというところに狙いがあるのでございますから、そういう程度の経費は、最小限度の経費として支出して貰うことが望ましいと、こういうわけであります。然らば、これを支出しなかつたときに、直ちにどうするかということはございません。その水準を維持するために、主管の、例えば教育費でございまするならば、或いは文部大臣から勧告をするとかいうような途はそれぞれの特別法なり、或いは平衡交付金という、そういう根拠の規定がございまするが、そういう勧告権を働かすことはできまするけれども、それを必ず支出しなければならんという法制上の建前ではないわけであります。
  185. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 文部大臣勧告するなどということはこれは法律的にはあるけれども地方自治団体からすれば屁の河童なのでありまして、自治庁自体から睨まれることの方が圧力を感じ震え上る。で自治庁自体でもその法の精神から見、或いは財政委員会の平衡交付金の交付の趣旨から鑑みて、そういう場合に何ら罰則やその他のことがないにしても、予算編成上の措置について指導をして、そういうようなことを少なからしめるということについては、積極的に努力をして頂けるものであるかどうかということをお伺いして置きたい。
  186. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この基準財政需要額に相当する経費を地方団体が出すことが望ましいということは先程も申上げた通りであります。それを正当な理由なくしてその関係の費目を全く出さないというようなことは、これは適当でないだろうと思いまするし、甚だしく減額するということも適当でないと思います。そういうことの具体的の指導は結局地方財政委員会と地方団体との関係になりますが、その基本の精神はやはり以上申上げましたような趣旨で指導すべきものであろうと思います。
  187. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それならば今後において地方自治庁においてはこの平衡交付金の交付の状況、その使用状況に鑑みて、その趣旨がもつともつと活かされるという最上の計画があれば立法化してもよろしいというような御用意なり、それだけの余裕を持つたお考えを持つておられるかどうかお伺いしたい。
  188. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それぞれの、例えば衞生費にしましても、厚生費にしましても或いは教育費にいたしましても、若しも国といたしまして、各地方団体が必ずこういう種類の施設をやらなければならない、こういう強い国家的統制を必要とするようなものがございまするならば、そういう特殊な施設の維持を義務付けるところの法律を作るべきであろうと思います。例えば学校教育のための施設基準法というようなものを作つて、教育施設の最低限度としてその義務付けをするということは必要の場合があろうかと存じます。これを厚生費につきましても、労働費につきましても、ものによつてはそういうものがあろうと思いますが、それまで強い国家的統制を加える必要のない経費もあろうと存ずるのであります。それからもう全然地方の任意に任していいものもあろうと思います。それぞれこれは経費の性格によつてつて来ると思います。
  189. 石川清一

    ○石川清一君 一応念のために御質問して置きますが、北海道の別海村という村を例にとりますと、四国より一ケ村がちよつと小さいくらいの村がありまして、そういうような町村においては、新制中学校を本校くらい持たなければいけないという状況にありまして、人口の非常に緻密な、而も近代的な産業を持つておる市町村は僅かに一校二校でよい、こういうような町村の比較をみました場合に、非常にその財政的な面、或いは面積等の関係で新制中学校の建築が非常に遅れておる。こういうような例が特に貧弱な農村の府県、市町村にあるわけでありまして、それを今度の平衡交付金、或いは特別交付金で何とかして追いつくことができるかどうかということをお尋ねしておるのであります。これを追いつくことができない、カバーできない、永久に今度の地方税法の中では、もう永久に追いつけないのだ、それは平衡交付金の教育費の中で人口というものは一応とり上げてありますが、この人口の分布しておるような面積というのがとり上げられてないのでありまして、面積がとり上げられてない限り、学校級、或いは学校の生徒数というものを見ましても、これはどこまでも人口によるのでありまして、これは今日恐らく今年度の平衡交付金で何とかカバーをしなければ永久に文化的な施設が、貧弱な農村の府県及び市町村においてはとり戻すことができない、永久に施設ができんであろうという杞憂を持つておるので、この際政治的にできるかどうかということをお聞きしておるようなわけであります。
  190. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 事務的に大体どういうやり方をしようとしているかということを申上げます。教育費のことをおつしやいましたので教育費のことを申上げますと、小学校、中学校、高等学校の経費につきましては、先程次長から話もありましたように、学校数と生徒数、兒童数を用いることにいたしております。その他の教育費につきましては人口を用いることになつております。小学校を例にとりますと、生徒数或いは学級数或いは学校数にどの程度の経費を割当てるかということが一つの問題でありますけれども、大体学校一校あたりの單位費用を抑えます場合は、單級学校に必要な程度の需要費を見たいと思つております。市町村では教員の給與は負担しませんで、需要費その他の経費を持つだけでありますので、別海村のような所でありますと、確か私は小学校が三十二あつたのではないかと思つておりますが、三十二校につきましてそれぞれ需要費が一応計算されることになりますので、こういう町村につきましては財政需要が從来よりも相当大巾に見込まれることになりまして、こういう町村の財政救済には非常に役立つであろうというようなことを考えておるわけであります。尚面積の問題がお話にございましたが、学校数と学級数を用いました場合には面積を用いませんでも、今私が申上げましたような方法を講ずることによつて、大体地方の財政需要が充たされる、かような考え方があるわけでありまして、併しその他の教育費につきましては例えば公民館を造らなければならないとか、いろいろ問題がございまして、こういうものは、人口だけで行きませんのでこれは人口密度でその人口数を補正して、人口の稀薄な所、言い換えれば面積の広い所はこの人口数を仮にもつと大きな人口で見まして計算をいたして参りたい、かような考え方をいたしておるわけであります。
  191. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 後になつてすみませんが、実は今の問題について先般北海道を三木治朗君と私が十二日間調査したのでありますが、その詳しい報告は別途資料として提出してありまするが、今のような問題その他北海道に関する特殊な事情が非常に多いのでして、その点については特に平衡交付金の数字を決める場合において、特に考慮してお願いしたいということをもう一度私からも附加えておきたいと思います。  次に私の疑問なんですが、寄付金のことなんですが、四百億を百億にしたという寄付金の内容でありますが、これは資料によつて見ますというと、この四百億の寄付金というのは府県市町村が府県市町村民から受入れたところの総額ではないだろうか。そうして三百億程度のものを今度の税法の一般交付金の中に織込んだために百億程度の寄付があればよろしいということになつたというのは、結局府県市町村が府県市町村民から受入れているところの寄付金だけを計算をして、そういうふうなことになつたのであつて、從つて地方財政法の中に、それ以上の寄付金は強制的に取るなという規定があるのは、どこまでも府県市町村という地方団体のことであつて、先程問題になつておりますところの新制大学の問題とか、或いは各官庁の出先機関その他の寄付等は、これは国が受入れるところの寄付であつて、府県市町村を経ないで、国に納める寄付であつて、大体四百億以外のものになつておるのではないであろうか。この点を一つお聞きしたい。即ちもう一度申しますと、四百億が百億になつたというのは国に寄付するのではなくて、府県市町村に寄付する、その意味における数字であつて、その他に莫大な寄付金というものが国の施設に取られつつある、その分についての解決が現在の税法なり、この法律ではまだ残つておるのではないかということを考えておるのでありますが、それについての解釈をお聞きしたい。
  192. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 鈴木さんからお話になりました点につきましては誠に御尤もなところでありまして、今回の地方財政法の一部改正案は、地方団体が主体として強制的な割当寄付を禁止することを定めておるのでありますが、一面国が国の施設を行なう場合において、地方団体がこれらの強制寄付を行わねばならないような事態も起つたことと考えるのであります。從いまして地方団体自体の強制割当寄付を取り止めるように、この法律案によつて規定いたしておりますのと相応じまして、国といたしましてもこの趣旨を尊重しつつ善処するように何らかの措置を講じて貰いたい、かように考えておる次第であります。
  193. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 遅いから後でもよいのですが、地方財政に関する参考計数資料の(2)の分なんですけれども、ここに寄付金に関するところの調査があるのであります。これを見ますと、これは八ページからのずつとあるのですけれども、これによるというと、どうも府県市町村自体の受入れている寄付に関しての調査のように見えるので、先程新制大学を設置するために一億をやる、これは一応府県が受入れ、或いは町村が受入れて、そうして国にそれを拂う、こういう場合にはこれに入るかも知れんけれども、国や市町村が全然受入れないで別途に寄付を一般の寄付金から取つて、そうしてそれを建物を建てて国に寄付するというのは、この四百億の中に入つておるかどうかということについて疑義を持つておるものなので、この寄付に関する四百億というものの基礎、これを説明して頂きたいと考えております。
  194. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ここに出しました数字只今鈴木さんも仰せになりましたごとく、四百億の寄付金と、大体の実例等を地方自治庁で調査いたしましたものや、農林省、文部省の調査等を総合いたしまして書きましたものでございまして、国が直接に受入れます寄付金というようなものは入つていないのであります。今回の財政法の一部を改正して強制寄付を禁止したいという趣旨も直接的にはそれを言つておるわけでありますが、その趣旨はやはり国のとりますところの強制寄付的なものにつきましても同様に考えなければならんと思つております。今国が、例えば税務署でありますとか、国家地方警察の警察署を作るというような場合に、経費を寄付に求めるという場合におきましては、それぞれ主管大臣の承認を得なければならんという政府一つの方針がございまして、その方針に從つて処置をいたしておるわけでございまするが、政府としましては更に今後この点をもつと明確にして強制寄付に当りますようなことについては、国の場合におきましてもなるべく避けるようにするようにいたしたい、かように考えております。
  195. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 そうしますと主管大臣が承認を受けるといいましても、これは強制的措置でありまして、これは大臣が例えば新制大学を作る場合にそれじや承認するというような形になるので、これは法律的な程度の効果がない、從つてこれはどこまでも法律でやらなければならん問題でありますけれども、先程の鳥取県の問題にしましても、これは熊本県もあります。新制大学を同じように分担してやるわけでありますけれども、そういうような場合に地方財政法の中で寄付金を取つてはいけないということを主張した場合に、国の部面について財政的な措置を国自体が取らなければならん、こういうことになる。この分については、地方団体の分については、形としてはそれは從来の四百億の寄付金の三百億程度のものは今度の税制改革の中の平衡交付金の中に含まれてあるのだからこれをやつてよいのだぞ。これで冗費を節約してやつて行きなさい。それ以上の寄付を取るな。こういう地方財政法の寄付の禁止も納得できるのでありますけれども、それ以外に国が直接取る寄付についても地方財政法でこれを禁止するということは、これは非常によいことであるが、併しながらこれは国自体がその程度の寄付金を国自体が取らないという財政的措置を別途に收らざる限りにおいては、新制大学の設置すら困難になると思うのです。そういう点について地方財政法の寄付の禁止、これは国に対する寄付も含まれておるとするならば、その法律を出す場合に別途にさつき小笠原君が言われたように、国自体が国自体の施設を作る場合に十分な予算的措置を取るということを何らかの形において上手にやらなければいけないのじやないか、理論的にこういうふうに思うのですが如何でしようか。
  196. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の御指摘の点でございますが、この地方財政の規定といたしましては、鈴木さんが御了解になつておりまする通りの考え方でございまして、地方団体がみずから、例えば新制大学の寄付金を出すということで、その寄付金を住民等に強制的に割当ててやるということにつきましては、正にこの規定にぶつつかるわけであります。国が何か直接的に特定の地方住民に対しての寄付を要望し、地方住民がこれに対して舟付をするということでありますならば、地方財政法の規定には直接的にはぶつつからんわけでございまするが、国の、要するに施設につきましての寄付の問題は、これは別個の立場で国自身において十分に抑制して行かなければならんものと、かように考えております。
  197. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の鈴木委員の質問に連関しておるのですが、今の鈴木政府委員の、国が別個に抑制するように考えて行くと申しておりまするが、主管大臣が承認する寄付の受入れはできるのであり、且つその寄付の性質上非常にややこしい内容を含んでおる。先程どなたかちよつと触れたが、地方ではこのいろいろ出先機関ようなものができることを、別な意味で、地方発展のために歓迎するのです。で具体的に一つ起きた例を見ますと、労働基準局ができたときにですね、国からまるつきり予算を持つて来ない。そこで労働基準局、労働監督署を作るのに誰が金を出したか。労働監督署というものは労働者の利益のため官庁なのだから労働者から金を取れない。そこでその土地にある大きな工場、資本家、金持ちから富村を仰いで労働監督署というものが、まあおかしな言葉を籍り言うならば、敵の金を使つてその建物を作つて出発した。こういう形が現実にできておるわけであります。それですから財政的な措置を、鈴木委員が言われたように本気になつて政府がやると同時に、それはやると言つてもなかなかやれないから、別途法的に国自身が地方税法案を出して、地方財政を豊かにしてやるという親心を如実に現わすために、この際岡野主管大臣は、別途地方財政を豊かにするために、政府みずから率先垂範するという意味の立法をお考えではないでしようか、それをお尋ねいたします。
  198. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。御説伺つてみますと成る程その通りでございますけれども、その段階にまだ立至つておりません。立至つておりませんから、御尤もと存じて御意見は尊重いたしまして、将来その方に遇推したいと思いますが、御了承を願いまする
  199. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 関連して……。本日は同僚委員には教育関係のあれだけ話して大変済まんですが、暫くお願いしたい。今の尊重するということ、或いは抑制しなければならないという国に対する寄付の問題で、一番やはり大きいものは、新制大学に関する寄付なんです。明らかにこれは三十五年度予算においても二億に足りない設置費予算であつて、今の教養、学部の学生を收容する普通教室を……、それも最小限度建築できるだけの予算しか通過しておらないのです。而もこの新制大学を作るに当つては、文部大臣の諮問機関である大学設置委員会が各地方の実状を調査の上に、地方がいくばく寄付金を出して、そうして大学の出発を計ることができるかという可能性を図つて、これを文部大臣に具申して、主管大臣がこの前提の下に立つて認可し、許可している大学なんです。從つて地方の自治団体はこれらに対して寄付しなければならない責任と約束があるがためにですね。年次計画で厖大な金を出さなくてはならん。その寄付についてもそれが主管大臣の認可で足りるということであるならば、先に契約書を取交している文部大臣同一人に対して番付の行為の認可を申請するのですから、文部大臣は富んで判を捺すだけのことになつてしまう。主管大臣がその関係大臣を指して言うのならばそうしたら今の鈴木委員の言う通り、これはもう愚の骨頂の法律なんです。尊重する、或いは抑制しなければならんということですから、その当時の地方自治団体と、文部大臣との契約なり、約束なりというものは地方の自主性に基いてこの法案通過の曉においては、破棄してしまつてもよろしいかどうかということについてお伺いしたい。
  200. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 それに関連して……。どうもさつきから質問を聽いて見まして、これはなかなか自治庁にお聞きになつても問題の解決にならないと思う。(「違う。違う。」と呼ぶ者あり)文部大臣にも御出席を願つて、そうしてやはり問題をきちつと決めたらどうかと思う。やはり私は、大体自治庁に質問してもこれは善処するということだけで、やはり文部大臣なり或いは大藏大臣の同席を求めて聽かれた方が問題は早いと思うのですがね。
  201. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私はそういう機会も求めたいと思つておるのですが、この地方の教育財政の問題は全然文部省の所管ではなくなつておる。これは地方自治庁の所管に二十五年度以後移つておる。從つて私は当事者の方にお伺いして置きたいと考えておるのであります。この新制大学の問題に関しては確かに文部省の所管でありますが、併し寄付の問題それ自体において論理的に発展せしむるならば、自治庁の見解としての表明を今日は頂いて置きたいと、こう思うのであります。
  202. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 地方財政の運営につきましては、地方財政法があるのでありますが、その中にも御承知のように、「国は地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行なつてはならない。」こういうふうな第二條第二項に明文があるわけであります。從いまして先程来いろいろ御指示がありまするが、国の施設なり、或いは具体的の例としては新制大学の設置等に際しまして、寄付の問題等があるのでありますが、地方財政を所管しておりまする地方自治なり、或いは地方財政委員会といたしましては、地方財政の運営はこの地方財政法の趣旨に則つてつて行きたい。從つてこれに合うような工合に国としてその財政面、或いは具体的には寄附等の問題についても処理してほしいということが望ましいということを考えておる次第でございますので、我々の気持は十分に御了承が頂けるのではないかと思うのであります。で、義務教育費の問題につきましても、義務教育費国庫負担法がございまして、国と地方団体との負担区分に応じた仕事がなされるわけであります。それは從来の方法としてあつたわけでありますが、それについてもその際におきましてもいろいろと問題がありまして、例えば定員定額制の問題等と関連しまして、いろいろ御議論があつたことも記憶に新たなるものでありまして、我々の立場といたしましては、この地方財政運営の基本原則に立脚してやつて参りたいということを、この際申上げて置きたいのであります。
  203. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それでは先程の高橋委員からの発言のありました点についても、私たちとしては賛成でありますので、機会を見て関係大臣の出席を頂いてこの問題の論議をしたいと思いますから保留いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それでは只今小笠原君から御発言のございましたように適当な時期に、つまり附則の細かい條文を検討いたしますときに、大蔵大臣並びに文部大臣に来て頂きまして検討することにいたしたいと思います。御了承願いたいと思います。
  205. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 これは先程中田委員の発言の中に、自由党は資本家を基盤にしておつて、而も資本家というのは戰さを好むものだ、社会党は勤労大衆を基盤にしておるというようなお話があつたのですが、恰も自由党というものが戰さを好む好戦的な政党であるかのごとき言辞は甚だ了解に苦しむのですが、委員長において速記録をお調べの上然るべく御訂正を瀬いたいと思います。
  206. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 只今回高橋君 か……。
  207. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 国会に出ておられる自由党だというわけではない、自由党を生んだ基盤であろうと推察される大阪その他の大きな工業資本家が拡大することを希望しておられる、それに熱狂的な拍手を邊つておられることは、あの株式市場を見ても否定できない事実なんであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  208. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 先程の中田委員の、そういうようなだろうという言葉ではない、断定的におつしやつたと思う。ですから、これは速記録をお調べの上不穏当な点については御訂正を願いたい、十分に御検討なさるようお願いいたします。
  209. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それでは只今高橋委員から要求がありましたように、速記録を調べまして、不穏当と思われる点がありますれば、理事の諸君と御相談いたします。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 御異議ないものと認めます。そういうふうに決定いたします。それから外に御質疑ございませんか。
  211. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 本日はこれを以て散会にして頂きたい。
  212. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それでは只今までで一応一般質問はこの程度といたしまして、明日から法案の各税目ごとに御審議を頂くことにいたしたいと存じます。その間に自然一般質問に触れられても結構でございます。明日からは各税目ごとに御審議願いたい、こういうふうに考えております。それは政府委員からその税目について御説明をして頂きまして御質問をして行く、その御質問について今まで陳情とか、請願とか、その他疑問の点は專門員から皆さんに御説明しまして、そうやつて行きたいと思います。この方法が一週間に最も有効的に審議を進める方法だと考えますので、皆様の御意見を伺いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 その考え方に賛成します。ただ或る場合には非常に愼重に重点的にやり、或るときには時間がなくなつたからで、はしよつて本会議だというようなことにならないようにですね。もう決つた予定のところですべてが、重点的に扱われるように委員長の特段の御努力をお願いしたい。とつさに本会議に持つて行く等というような強引なことをやる、とについては、我々としては承服できませんから、與党である自由党の方々も御同調願いたいと思います。
  214. 石川清一

    ○石川清一君 逐條審議に入るに当りまして、先程の首相の答弁を想像いたしまして、衆議院では前議会には通過いたしたのですが、今度は少数党の意見も汲んで、特に民主党とは言わなかつたが、少数党の意見も汲んで今度妥協して修正をした。それから想像しますと、前国会では参議院はこれを否決しておるので少数の意見をもつと汲むとしたら相当皆様の意見を汲んで、(「その通り」と呼ぶ者あり)大幅に修正ができろというような気持をにこにこ私はされておつたと思うがもここに共産党がいなかつたと私は想像いたしておるのでありまして、そのような気持で審議を続け、それぞれ公聴会の他の意見を参酌して結論を箇條毎に出して頂きたいと思います。そういう考え方の上に立つて私は逐條の審議に入りたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 これからの審議のやり方については、理事においてよく相談されまして日程をよくもう一度吟味されまして、そうして会期中に必ず結論に達する、どうであつても結論に達するというような一つ順序を立てられて、そうしてその間において十分審議を盡されるように理事会において一つ御協議を頂くということがいいのではないかと思うのですが、私は私見をただ申上げておきます。
  216. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 申上げます。第七国会においてこの法案を審議いたしましたときに社会党の吉川君から御発言がありまして、このフエヤプレーでやつて行こう、徒らに議事の引延しということはしない。そうして否決するなら否決する。修正するなら修正するとはつきりして、徒らに引延し作戦ということはやめようという御発言がありまして、そうして満場一致でこれは賛成いたしまして、そうしてフエヤプレーでやつてつたのであります。で、この審議を始めるに当りまして皆様方に御相談申上げましたように、若し否決になるといたしますれば、どうしても現行の地方税法、これを設けるように、つまり事業税、地租家屋税以下重要な地方税が徴收できるように、合理的措置をする努力をいたさなければならんと思います。この第七国会においてもその努力はしたのであります。不幸にして第六国会においてはその筋の承認を得るに至らなかつたのでありますが、それたけの努力はした。それにはどうしても一日の余裕が必要であります。それで三十日の、日曜日でありますけれども、午前にこの委員会で討論採決をお願いしまして、午後本会議を開いて本会議に上程をする。こういう運びにお願いいたしたいと思います。それで三十九日の日は十二時までやつて行く。夜中までやつて行く。それで足らなければその前日も夜中までやるということで、一般の審議は二十九日の十三時に終りたい。こういうふうに考えております。どうかそのつもりで御勉強をお願いいたしたいと思います。  それから第七国会で、各條の審議をいたしましたときに、順序を変えましてやつたので、割合にうまく行つたと思います。それは一番むずかしい附加価値税を一番後廻しにしまして、この総則は一番初めに勿論やりますが、それから都道府県の税におきましては、入場税から始めましてやる。それから今度は市町村税に移りまして、市町村民税固定資産税を後廻しにして、他の雑税をやつて行く。それを終りまして、今度市町村民税、固定費産税、それから最後に附加価値税、こういうふうにやつてつたのであります。割合審議がうまく行つたのですが、そういう方法で明日から選んでは如何でございましようか。御意見を承わります。
  217. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 大綱は先程から各委員から話があつたので、その細部においては理事会一任として、本委員会は散会したい。
  218. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それじや理事に御一任を願いまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それじやさように決定いたします。それでは今日はこれで散会いたします。明日は午前十時に開会をいたします。    午後五時七分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   国務大臣    内閣総理大臣  吉田  茂君    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君