○
説明員(
高橋衛君)
只今委員長からお話のありました最近におけるところの税の
徴收状況その他
税務行政に関するいろいろな問題につきまして、先般
米国で
視察して来ました
向うの
状態、又それを
日本に移しましてなし得ること等如何なることがあるかというような点につきまして、
簡單に御
説明申上げておきたいと思います。
御承知の通り今年の春二月に
申告所得税について大体全面的な
更正決定をいたしたのでありますが、その反響といたしまして
全国約五百余の
税務署のうち二百に近いところの
税務署が
納税義務者の不満から、又はその他の理由もあつたかと思うのでありますが、とに
かく税務署に大衆が押かけましていろいろな
紛争を大きな形において惹起したのであります。甚だしいところになりますと相当
税務署の器物をこわしましたり、
相当数の、四十人に近いところの
税務署員が負傷を受けたというふうな不祥事まで発生したのであります。
更正決定の
状況は昨年に比較いたしますると
相当数も少くな
つておりまするし、又内容についての
調査の
程度も二十三年度におきましては実際の
調査ができましたものが六〇%
程度でありましたのが、二十四年度におきましては
実績の報告によりますると大体
納税者に対して一八%は
調査ができた。その他の方につきましてもいわゆる
権衡調査という
言葉で呼んでおるのでありますが、いろいろな
体系標準等の
資料の
收集につきましても二十四年度は二十三年度に比較いたしまして相当な進歩を見せたのでありまするが、尚且つ約九百万に近いところの
納税義務者のうち四百万足らずの人に対して
更正決定をしたという
状況に相成
つておるのであります。私共といたしましては、
政府と
納税者との間の対立と申しますか
紛争が、
かくのごとく甚だしいことは非常に危險な
状態でありまして、
国民の
道徳という面から申しましても、又
税自体が個々の人の
所得を具体的にどう
決定するか、どう判定するかという具体的な問題であるのにそれが大衆的な押問答によ
つて、又は力の
関係によ
つて動かされる慮れがあるということは、これは今後の
日本の
税務行政にと
つて非常に重大な問題でありまするので、今後何とかしてこの種の事柄を絶滅していきたい、それにはどんなことがいいだろうかというと、このときからも私共反省をいたしましていろいろ
研究してお
つたのであります。
今回
アメリカに参りまして
向うの
税務行政につきましてもその点に最も
注意を集中いたしまして、いろいろ
税務署側も聞いて見ましたし、
納税者の方にもいろいろ聞いて見たのでありまするが、勿論
経済力の
程度又は
社会道徳の
程度というものが非常に違
つておりまするので、直ぐ様我々の参考にと申しますか、応用できるという部門はなかなか困難なのでありますが、大体の
向うの様子を申しますると、
日本の
制度は大体
アメリカの
制度に右ならえをしている
制度でありますから、大体税の
制度としては、税その他は変
つておりまするけれども殆んど同様であります。又
税負担の
程度も
国民所得百円
当り二十五、六円
程度でありまして大体
日本とおつつかつつな
程度であろうかと思うのであります。勿論この問題につきまして
生活程度自体が違いますが、いわゆる
食糧費等生活に必要な
最低限度の
経費を除いて残つたところの
所得がどれだけ残るかということを比較して見ますと、
日本の方が遥かに少いということはこれは当然なのでありまして、その点から申しますると非常に
日本の方が重いと申して
差支ないかと思うのでありますが、とに
かく国民所得百円
当りを見ますと大体おつつかつつであります。又第二次世界大戰の前であるところの約十年程前の
数字と比較して見ますると、
アメリカでも
租税の
総額が約十倍に上
つております。十倍を
ちよつと超えた
程度に上
つております。従いまして各税共相当急激に多くな
つておるのでありまして、社会的な問題といたしましても、
向うにおきましてもしよつちゆう
新聞に取上げられラジオでも取上げられる程でありまして、よく
新聞等では、空気以外に税のかからんものはないとしよつちゆう言
つておりまして、そういうような面もあるのであります。
日本と違いまして例えば
電話等につきましては相当高い税がかか
つております。
通行税も汽車に乗れば全部一割五分の税がかかる、ホテルにも勿論かか
つているというような
状況であります。而もそれが
国税、
地方税と想重な
つているというような
状況であります。併しながら
向うで一番大きな問題にしておりますのはやはり
所得税の問題であります。
総額四百五億ドルの
税收入のうち
所得税の占める
割合は、二百九十六億ドルであります、七割五分が
所得税であるという
状況であります。
日本の場合はたばこ等実質的の税に当るもの、直接税全体を入れて五割
ちよつとであります。その点は
向うは
所得税中心主義にな
つておると申していいかと思うのであります。ところが
只今所得税と申しましたのは、
向うでは
法人税も全部
所得税の中に包含してインカム・タツクスと申しております。この
所得税の
納税義務者の数が五千三百万であります。申して見ますれば
国民の殆んど全部が
所得税を納めるのだという
建前に相成
つております。
国民全体に対する
割合から申しますると、
日本は
申告所得税と
源泉所得税を入れましても、二十四年度において大体千九百万でありますから、五千三百万という数は
日本よりも更に
割合において多い。
国民洩れなく大体納める税であるという
建前にな
つております。先般の
租税の
制度の改正におきましては、まだ今年の見通しはつきませんけれども恐らく三、四百万の
納税義務者の減少を来たすであろうと思います。今度の新らしい
税法に基くところの
納税義務者の数から比較いたしますと、更にその差が大きいということが申されると思います。ところがこの五千三百万の
納税義務者に対して
政府がどの
程度の
調査をしているかと申しますと、一九四九年昨年の
実績で大体四%
調査をしております。後の九六%は税の
調査を全然いたしておりません。而もその四%の
調査に対して
更正決定をしておりますものは僅かに一%半であります。極めて僅かのものを
調査しております。而もその三分の一
程度しか
更正決定の通知を出していないというのが
向うの実情であります。私共税を扱
つている
人間として、直ぐその際にそれでよく税が入る、それで
負担の公平が保たれているかという点を直ぐ我々は疑問を起すのでありますが、その点についていろいろ
研究して見たのでありますが、
アメリカの
政府といたしましてもその点には非常に重大な
関心を持ちまして、昨年
サンプル・オーデツトというものを出したのであります。即ち五千三百万の中から十六万二千だけ拔き出しまして、これは普通の統計学的な
消費計算等に使うところの数学的な
方法であります。その
方法によりまして十六万二千を拔き出しまして、その十六万二千について徹底的な
調査をや
つて見たのであります。ところがその結果の全貌はまだ発表にな
つておりません。又その
結論は出ていないのでありますが、大体の数だけ出ておりますところを見てみますと、四人に一人は、
サンプル・オーデツトの四人に一八は税において二ドル以上
誤りがあるということを発見されております。もう少し正確に言いますと、二五・六%の人が二ドル以上の
誤りがあるということでありました。その税について
誤りのあ
つた人のうち九一%は
政府に対して不利な、言い換えると税の納め方が足りない、
所得の
申告の仕方が足りないのが九一%、後の九%は
過大申告であり、又は納め過ぎであるというのであります。而してその九一%の
誤りを犯した人、つまり
過少申告をした人の本来あるべき
所得に対するところの
割合はどれ位低目に
申告をしたかという
割合を見てみますると、平均して二割、その九一%の人は低目に
申告しておる。又納め過ぎた人はどれくらいにな
つているかと申しますと、これは確か八%か九%にな
つております。それを集計して見ますると、集計と申しまするのは十六万二千を五千三百万に推し拡げて推算をして見ますると、年額にして十二億ドルの税の不足、税の取洩れと申しますか、とに
かく納め足りんものが十三億ドルになるという
計算になるのであります。それから納め過ぎのものが約一億ドルあります。納め過ぎのものは勿論本人に返えします。それで然らば昨年度中において
税務官吏が四%の
調査をしたと先程申しましたが、その四%の
調査、その中の一%半の
更正決定によ
つてどれだけの税を
所得よりも多く
決定をして取
つているかと申しますと、その差額が昨年度で六億ドル
ちよつとにな
つております。先程もお話しましたように
所得税の昨年の
徴收額が二百九十六億ドルであります。二百九十六億ドルに対して十三億ドルというのは四%
ちよつとであります。而もその四%
ちよつと不足しておると思われるうち
税務官吏の
努力によりまして
更正決定によ
つて政府が得られた金が六億ドル
ちよつとであります。約半分は
政府の
調査で、僅かに一%半しか
更正決定をしないで十分に取
つておるわけであります。これを更に歩合的に申上げますと、全然
更正決定をしなくても約九割五分は
納税義務者が正直に
申告をして税をちやんと納めてやるということがはつきりしておるのであります。それから
税務署の
更正決定によ
つて更に三%
程度は税を取上げておりますから、
税務署の
努力と
納税者の非常な自主的な
申告とによりまして、結局九七%
程度は税が確保できているということがはつきりしております。
それで
向うでも
税務官吏の数をどの
程度殖やし、どの
程度調査すべきかという問題についていろいろな論議があるのであります。例えば
国会においてもそういうふうなことが非常に問題にな
つて来まして、
調査をすることによ
つて更に大きな
金額を得られるのじやないか、つまり
税務官吏を増員することによ
つて、又
税務機構を拡充することによ
つて増加する
経費を賄い、又は更に減税ができはしないかという点が
国会で非常に問題にな
つたのであります。その
サンプル・オーデツトの結果によ
つて大体それに
結論が與えられたということにな
つております。あとの七億ドルというものは更に能率の悪いところの
調査にしかならない。
従つて税務官吏を増員をして、そうして
税務機構を拡充することによ
つて、これを増加するということは国家全体としては必ずしも得策ではないというふうな大体の
結論が出ておるのであります。
日本の場合と比較して見ますと誠にどうも何か夢のような話でありまして、実に感心をいたしましたし、又こういうふうな
状態にどうしたらなれるかというようなことについては、非常な何と申しますか
日本の前途に対して暗い
気持にも襲われておるのであります。併し飜
つて顧みますると、結局
申告納税制度というものは、そういうふうなところに持
つて行くので初めて成功するのでありまして、どうしてもこれを理想としてこの方向に我々もあらゆる
努力を傾倒しなければならんと思うのであります。
それで
納税者が自主的に非常に積極的に協力しているということの反面、
税務官吏が、又は
税務署が如何なる
努力をしているかという面も、これは裏腹の
関係でありまするから、当然に我々が最も大きな
関心を拂つたところであります。その点につきまして一番
簡單に
分りますことは、丁度この六月に私共行きました頃に、
向うの
地方税、
国税を通して
税関係の主だ
つた人が集まるところの
一つのアソシエーシヨンがありました。そのコンヴエンシヨンがシカゴであ
つたのです。その席上で
国税庁の
長官が
一つのメツセージを出しております。そこに書かれたことによ
つて大体どういうことを行い、どんな心構えでおるかということが
分りますので、それを御紹介申上げて見たいと思います。現在
向うの
歳入局として特に力を注いでおる点が七つあるのです。
その第一は、結局
納税者が
申告し易いように
といろ意味で、
申告書の
様式というものについて非常な
研究をしておるのであります。
申告書の
様式が
納税者に書き易いように又
分り易いようにという、而も正確を期し得られるようにという面について非常な
研究をしております。これはスタンデイングの
委員会を数年前からや
つておりまして、これには会計の
專門家でありますとか又は
広告関係の
專門家でありますとか、その他それぞれの
專門家を約十名ばかり集めまして、その人が常時
研究しておる、それで細かい点を今でも絶えず改正して来ておるということであります。これについて面白い話があるのでありますが、昨年やはりそれでも尚何か改正すべき点があるのじやないか。尚
納税者がどうも
申告書がむずかしくて困るという
非難がありましたので、それをニユーヨークの或る有名な
広告会社に頼みまして、
広告という面から人に訴え人の
注意を惹くという面から、この
フオームをどこか改正するところがないか、それを
研究して貰いたいということで相当な謝礼を出して
研究を依頼したのでありますが、数ケ月一生懸命
研究してくれた結果、結局その
回答はこの
フオームには我々の眼から見て
一つも改正すべきことがない、これ以上のことは我々としてできないという
回答をよこしたということを言
つております。併しながら尚先程もお話したように、
納税者側からのむつかしいという議論が相当ありますので今後も更に
研究を進めて行きたいということを申しておりました。
それから第二の点は、
税務官吏が
納税者に対して非常に親切であるという点であります。
向うでは
申告期限が一月一日から三月十五日まででありますが、
日本ではこれが非常に短
かくて一月一日から一月末までにな
つております。
向うは
申告期限が非常に長くな
つております。それはそういうふうないろいろな準備をしたり
指導をしたり、お世話をしたりする
期間が相当長い方が結局いい
申告をして貰うことができるということで、二ケ月半という
申告期限を取
つておるのであります。それでその
期間になりますと各地に
税務署の
派出所を作りまして、そうして
税務官吏が出掛けて行きまして各
納税者について
申告の書き方を教えて上げる、場合によ
つては書けない人には
自分で書いてやるということをや
つております。それは一昨年頃からそういうことをや
つております。例を申上げますと、
向うでは
税務署は全部で六十四しかありません。例えば
サンフランシスコに
一つ税務署があります。
サンフランシスコの市内だけでもその時期になりますと、三十ケ所
程度の
派出所を作る、そうしてそういうふうな
納税者に対するサービスをする、その場合には
税務署の全員を挙げてそれに沒頭するということをや
つておるのであります。この問題については、
税務署が
公認会計士等の
職務妨害をする、
営業妨害をするという重要な抗議がありましたが、そういうことは問題にならないということでや
つてお
つたようであります。
日本でもやはり法律的には今までもそういうことをよく言われたのであります。
日本でも
税務署が
申告書を書いてやつたりすることは
税務代理士法違反ということで
法律家がそういうことを言
つておるのでありますが、そういう点では
向うでも
相当非難もされておりましたが、
税務署はそういうことを振り切
つてや
つておるのでありますが、そういう場合における
税務官吏の
態度というものにつきましても、これはまあ非常に厳格な
指導をしております。
向うの
税務官吏に対するモツトーはいつでもナイスリーアンドジエントルマン、それから
税務署が
納税者という
言葉を使
つておりません、タツクス・ペアーという
言葉を使わないでカストマーということを言
つております。要するにそういうふうな
気持で対しなければ、やはりその間にどうしても金を出して貰う、又
拂つて貰う、
義務を履行して貰うという
関係がありますから丁度銀行の人がお客さんに対するかのごとき
態度で以て、そういうふうな心持で以て対しようということを絶えず言
つておるのであります。人の
対応等に当
つても、そういうふうな点に非常に
注意を
拂つてや
つております。
それから第三に
努力をしておりますのは、結局
税法は
負担が重くなればなる程非常にむずかしくなる、
アメリカの
税法は
日本の
税法より更に詳細であ
つて更に困難であります。非常にむずかしいのであります。大体根本の筋道は同じようでありますけれども細かい点は非常に
分り難い規定が多いようであります。
従つて納税義務者、一般の
国民が
税法がどうであるかということを理解するのに非常に困難になります。それで
向うでは昨年百三十頁ばかりのパンフレツトを作りまして、これは
法律用語は全然使わないで日常の
言葉で
分り安く書いたのであります。これを書くのにはやはり
專門家を集めて非常に苦労したということであります。それを書いて
政府の
印刷局から一部二十五セントで売出したのであります。それが忽ちにして二十五万部出た。
政府の
印刷物で相当売れるものはありますが、今までにおけるところのベストセラーズであるということを言
つております。その後もどんどん売れております。これは非常な成功であつたということであります。併しながらまだこういうふうな
弘報宣伝の
関係におきましては、
向うはそれ程力を入れておりません。そういうふうな必要はなくな
つているのじやないかという
感じもいたします。その点についてはむしろ
日本の方が進んでおるのじやないかという
感じがいたした次第であります。
それから第五の点は
機械を非常に
沢山使つている点であります。
内部事務の
機械化、
計算事務の
組織化ということが非常に進んでおります。これは
全国一率に同じような
機械を使
つているのではなく、各
税務署がそれぞれ
違つた、而も新しい
機械を使
つております。而も驚いたことには、それらの
機構は例えばI・M・B又はレミントンランドというような
電気計算器の
会社、その他に二、三
会社がありますが、そういうような
会社が
作つたまだ試作の時代の
機械、
会社としては売出す勇気はない、併しどこかでテストして貰いたい、そうしてそれを改善してしつかりしたものにして行きたいというような
程度のものであります。
作つたばかりの機会をどんどん入れて
税務署で利用しております。
クリーヴランドで見た
機械のごときは、
申告書が参りまするとそれを
アドレスから、名前から、
納税者番号から、その他
申告書の大体チエツクしなければならん
ポイントが
数字でありますけれども、これが大体十二あるのであります、その十二の
ポイントをパンチ・カードに全部穴をあけます。それを
機械にかけますと全部
所得計算に間違いないか、
所得計算に間違いないとすれば、その次に
税率の
計算に間違いないか、
税額の
計算に間違いないか、その験算が全部できましてそうして取り足らぬものは取り足らぬ
金額として
最後に
印刷が出て来る。それから返すべき
金額がございますと、チエツクにな
つてアドレスまでついたものにな
つて印刷にな
つて最後に出て来る、而もこれが一時間六千通というハイ・スピードであります。
従つてクリーヴランドでは三百五十万くらいの
納税者を持
つておると思いますが、これが一ケ月の間に全部片付く。
従つて向うではリフアンドする金が非常に多いのでありますが、その返す金も忽ちにして直ぐ返すという
状況であります。
側道に
ちよつと入るようでありますが、
向うでは
源泉所得税のごときものも全部
所得の
申告を
義務付けておるのであります。
従つて俸給から
源泉で差引かれた人は年末にやはり
自分の
所得を
計算して、すでに
操つた金額も
計算して、そうしてあるべき
税額を書いて
申告するのであります。
向うの考え方は必ず
源泉徴收する分を税を返せるような
程度に
税率を上げて行く。
従つて申告書を出すと大抵五十ドルか七十ドルが
政府から返して貰えるという
組織にな
つております。それで皆四月、五月頃になりますと、
税金ボーナスが来ると言
つて待
つておるような、而もそれは思いがけない金で非常に喜んでおる、そういう
組織を持
つております。これは
申告しなければ
税金を返して貰えないので、
従つて皆喜んでといいますか必ず
申告するというようなことにな
つております。そういうふうなことでありますから、金を返すのも非常に能率的であります。
数字で申しますと、昨年度は
所得税で六億ドルということを先程申上げましたが、その他のいろいろな税を全部通じまして、昨年度の
税務署で
更生決定その他のことによ
つて徴收した
金額が二十億ドル
程度であります。ところがそれに対して昨年度中に返還した
金額が三十五億ドルに上
つております。
税務署の
更正決定によ
つて政府が得た金よりも、
政府が
計算して返してやつた金の方が多いという
状況であります。
従つてそういうふうな
組織自体が、或る
程度は返すのだという
建前の下にできておるような
税法でありますから、返すことが敏速に行くということが非常に大事であり、又返すことが敏速であることが
納税者に明るい希望を與えるということにもなるのであります。そういうことがなぜできるかというと、そういう大量な
申告書を処理してその
計算をや
つて行くということは、最も進んだ
電気計算器の応用によ
つて初めて可能であるというふうに見て参
つたのであります。
それからその次の点は、
調査の歩合は四%でありますが、何とかして直接の
調査ではなく
間接資料によ
つて税額を殖やして行くということも、これ又非常な
努力をしておるのであります。と申しますのは第三者の通報も相当沢山あります。それから
取引関係についてのいろいろな
資料について、やはり提出の
義務を命じておる点が相当多数あります。それらは一年に一億三千五百万の
資料が集ま
つております。その一億三千五百万の
資料を地理的に
アメリカの中央にあるキヤンサスシテイを選んで、専ら地理的にまん中であるということだけでそのキヤンサス・シテイに全部集めまして、プロシーデイングということをやるのであります。言い換えますと、その
資料を
納税者ごとに全部整理するという作業をやるのであります。それによ
つて相当各人ごとの
資料が整理できる。その
資料によ
つて誰を
調査すべきかということがはつきりするのであります。僅か四%の
調査でありますから、最も脱税の多そうな人を
調査するということが必要になる。そういうことから非常にそれが有効に役立
つておる。而もその他のものについては
調査をしないで、それだけの
資料によ
つて更正決定又は
注意を申上げるということもできるということにな
つておるのであります。ここは定員は約千八百人かにな
つておりますが、実際の
人間は千三百五十人くらいが働いております。大量な
資料を整理するところでありますから、恐らくは相当
機械を使
つておるのだろうという予想の下に行
つて見たのでありますが、
機械は全然使
つておりません。これは全部
人間の手でその整理をや
つております。
機械を一回使
つて見たがこれは完全に失敗であつた、まだこれに応用できるところの
機械はできていないというような話であります。こういうことは
日本においても直ちにでも応用できることでありますので、今後何とか
資料の
收集並びに整理ということについては、相当な
努力を拂いたいと考えておる次第であります。それからその次には、現在
納税者は各税についてそれぞれ
調査に来られますので、場合によると税が十何種類もありますが、それらの税について
調査に来られて
納税者の方では相当迷惑をすることが多く、それによ
つて妨げられることが多いという実情であります。それを何とか救う
方法はないかというので、これは成功の段階には全然至
つておりませんが、併しながら試みとして一人の
税務官吏にすべての税の
調査をやらせるということをや
つて見ておるようであります。その見通しについて聽いて見ますと、結局十数年の経験を経た者をいろいろな税について経験を積ましてやればできる、そういうふうな経験者が多数常時確保できるのでなければこれは不可能であるということを言
つておりました。
従つて日本のように平均年齢が二十五歳というようなところでは実行困難であると思います。
それから
最後には
地方税との協力であります。
向うでも
日本と同じように、法律上相互に税務官庁は協力しなければならないという規定はあるのでありますが、事実上の問題として殆んど協力なんかできておりません。
従つて国の
税務官吏と地方の
税務官吏が別別に動いて別々な
決定をする。又相互の
資料をお互いに使わないものですから
納税者の方も何度も
調査に来られて迷惑をするという面があります。それを相互に協力して一回で済ませるという
方法はないかということで、地方の連中を集めまして、相当会議を重ねました結果、漸次そういう気風が出て参りまして、今年度はノースカロライナ州とウイスコンシン州の二つの州について実験的にや
つて見るということであります。シエネマン氏はそういうふうな
努力をしておるということを申しておるのでありますが、それらの面から見ましても、税務官庁が如何に
納税者の手数を省いてそうして而も便利を與えて自主的に
申告をよくするという
努力をしておるかということがよく分
つたのであります。
それから今
一つ申告をよくするための
一つの重要な欠くべからざる機関として、
向うにありますのが査察の
制度であります。
向うでは査察に関する
機構は全然
国税庁内で別の
機構にな
つております。本庁に
一つの独立した外局がある、その局の直轄の地方機関が
全国で十四あります。そうしてその査察官の数は現在千五百人、
日本は五百人でありますから
日本の三倍であります。総体の
税務官吏の数は
アメリカでは五万三千人であります。
日本は、六万二千人でありまして約一万人だけ少いのであります。而も査察官の数はその三倍であります。而も査察部以外の普通の
税務署は
日本の
調査課に当る。そこで二倍
程度の人が査察の事件を事実上取扱うという
制度を作
つております。言換えますと査察官は令状を持
つて権力を執行する官吏であります。ところがその下働きをするのが全部下の方で外の方でもや
つておるという
建前にな
つております。実際の件数を見てみますと、
税務署の段階又は
調査課の段階から査察部に送られる事件が取上げた事件の半数にな
つております。後の半数が
自分で直接やられた事件であります。而も
向うで感心しましたのは、査察をなす前に事前準備が非常に周到に行われております。言換えますと大体の証拠を外部から集めてしま
つて或る
程度動きのつかない証拠を握
つて乗込むということであります。これは又その事務所に行
つて見ますと設備が実に完備しております。例えば証拠に関する写真をとるというような、
機械は携帶用の実に立派な写真機があります。直ぐそこで写し直ぐ現像できるという自動的な
機械を必ず持
つて歩くというふうにな
つております。又事務所にはその人達にそういう写真の
印刷が忽ちできるという
機械をどこでも必ず持
つて行く。そういう証拠
收集、犯罪捜査に関する施設が非常に完備しております。併しそうした完備した施設でも、査察官には
税務官吏の中でも特に優秀な長年の年功を経た人でなければ採用しません。そういうことでありますから能率も非常にいいのであります。而も又準備をするのに長いものでありますと、二年間も監視を怠らずや
つて、そうして手を着けるという事件すらあるということであります。先程お話しましたカンサス・シテイというところに昨年でありますかペンダガスの事件というのがありまして、これはそこで以て相当政治的に有力な人のつまり脱税事件を検査したのでありますが、ステートの議会にも又州の方でも非常に有力な勢力を持
つてお
つた人だそうであります。いろいろな不正なといいますかいわゆる賭博類似の機関も持
つており、又いろいろな料理屋も持
つておるというような非常に厖大な
組織のものであ
つたようであります。これらも査察によ
つて挙げられて六年間懲役にな
つて入
つております。丁度トルーマン大統領の地盤であります。そういうような点で相当問題がありはしなかつたかというような点も、やはり我々は相当聞いてみたのでありますが、実に勇敢にそういうふうな障碍も殆んど
感じられずに遂行しているという点を見まして非常に感心をしたのであります。要するに査察
関係の陣容並びに能率、
機構が実に立派に活動しておりまして、どんどん脱税を摘発するというようなことが挙げられております。言い換えますと、民主政治の根本は大部分の人は正直であり少くとも善意であるということを前提として扱います。その信頼に背いた場合におきましては、徹底的に嚴格にこれを処罰して行くということによ
つて、初めて秩序が維持して行けるということのようであります。
尚今
一つ申告がよくなるということについての
一つの大きな理由じやないかと思えた点は、
向うでは会計士の
制度が非常に発達しております。会計士でも弁護士でも
国税に関する仕事を扱う人は、必ず
歳入局に備えつけてある名簿に登録しなければその仕事はできない。登録を願い出ますと、やはり査察官は身許
調査をしまして
差支ないと認めたときは登録を認める。そうしてカードを渡す、そのカードを持
つていなければ仕事はできない。又常時査察官が活動しているのであります。その登録された人の数が
アメリカで約五万。それで町の至るところで見受けるのでありますが、恰も
向うではドラツグストアが非常に多く、又八百屋も多い。八百屋やドラツグストアの数ぐらいにインカムと書いた看板を見受けるのであります。それらの人が
申告時になりますと非常に繁忙を極めてどんとんや
つて行くということであります。或る床屋に参りまして、それは非常に少さい
自分と雇人一人の床屋でありますが、髪を摘みながら君のところでは
申告をどうしているということを聞いてみますと、それは会計士に任せるという話であります。二、三年前一度
税務署に喚び出されてひどい目にあつた、そのときは
自分の頼んだ会計士が悪くて酒を飲んで品行がよくなく悪い
人間であ
つたので
自分が非常に迷惑をかけられたが、会計士を替えた後は円滑に行
つて問題がない。又中小に属する店にも相当入りまして、そうして税の問題を聞いてみたのでありますが、私は五、六軒しか行
つておりませんけれども、それらの店では一軒残らず全部会計士に頼んでおります。
自分の方じやちやんと記帳をしている、そうして後の整理は全部公認会計士に頼んでいる、月に大体四十ドルか六十ドルぐらいの料金で全部や
つて呉れる、
申告はその会計士が全部や
つている、
自分は直接
税務署に行くことは殆んどない、何か調べに来たときは公認会計士に出て貰
つてそれが解決して呉れる、そういうことであります。そういうふうに
向うにおきましても
税法自体が非常に困難でありまして難解でありますし、又記帳自体も相当技術的でありますから、記帳能力、整理の能力がないというものは
相当数あるのでありますから、それらの人が公認会計士
制度の発達によ
つて非常によくな
つている。非常に正確な記帳ができるということが考えられるのであります。
日本におきましては御承知の通りそれらの
制度は非常に未発達であります。又それらの人が、現状を率直に申し上げますれば、
納税者からは税を安くして貰うために頼む、又
税務署から見ればどうもあれをやつたやつは臭いというような
感じを持たざるを得ない人も無論あるというふうな
状況であります。双方
納税者からも信頼され又
税務署からもあれのやつたことは間違いなかろうと言
つて信頼されるという立派な会計士が相当多数できて、而も現在のように公認会計士二百人
程度、税務代理士が三千人
程度ではこれは問題にならん、相当多数できるということがやはり
申告納税制度を発達させるために必要ではないかと思います。
尚これは附けたりですが、
向うの
税務行政について興味のある問題は、
向うでは、
歳入局長官、これはコミツシヨナーという名前で呼んでおりますが、それとそれからアツシスタント・コンミツシヨナーが二人、それからもう
一つスペシアル・コミツシヨナーが一人、本庁で四人大体六十四人ある。
税務署の署長は全部ポリテイカル・アポインテイでありまして、言い換えますと大統領が両院の承認を経て任命するという
制度にな
つております。
従つて税務署長というのはその都市の名望家であり相当有力な政治家でありまして、前歴を見ますると選挙管理
委員会の
委員長であつたとか、又はワールド・フエアの事務総長であつたという人が相当あります。金物屋の主人で相当ボスであつたというような人もおりました。そういう人が実に円転滑脱に
税務署と
納税者の間の
関係をよくするのに骨を折
つておるのであります。而も
向うの
組織は相互に牽制し合うところの
制度が非常に発達しております。
税務署の仕事の内容におきましても横に非常な分業が行われておる。
従つて書類は横に流れてどこかでそれを直すということは到底困難である、到底できないという
組織ができておりまして、そうしてそういうような政治家でありますからいろいろな
納税者から頼まれることがないかということを聞いて見ましたら、これは頼まれる、頼まれるけれども一回も聞いてやつたことはない、又聞くことはできないという
組織にな
つておるということであります。
従つてそういうふうな人がおることによ
つて税法の円滑な施行を乱されるという心配は絶対にない。而もその人々の肚からにじみ出るところの大衆性と申しますか、それらのものが非常によく活用されておるということを面白く聞いたのであります。
又
税務機構の問題について申上げますと、
向うでは先ず第一に中央集権が非常に強度に行われております。先程お話いたしましたように、五万三千の
税務官吏のうち四千五百が本庁におります。非常に大きな数であります。而もこれは昨年、一昨年頃までは約七千人本庁にお
つたのであります。それをもう少し地方に出して地方の第一線を強化するのが能率的ではないかということで
相当数地方に廻した。その結果現在四千五百人に
なつたということであります。
日本におきましては
国税庁の定員が今年増加して頂きまして七百名、全体の六万二千に対して七百人でありますから、その比率は非常に地方分権的であると申していいと思います。
それからいま
一つの点は監督の
制度が非常によく行われております。すべ税て務署等において
調査いたしました結果は書類が全部本庁に集まりまして、本庁において
最後の監査をや
つておる。これに相当多数の人を割いて事務の監査をや
つている。どこかに不正があり不当なことがあり又取扱の間
違つた点があるということはここで直しております。そういうふうに監督の
制度が嚴重にな
つておりますから、
向うでは歳入に関しては会計検査院は全然タツチしておりません。又その書類を
日本のように細かい書類まで全部会計検査院に送るということはしておりません。歳出についてのみ検査をする、歳入については
国税庁に委せきりである、又それが当然であるというように考えられております。
それからいま
一つの
機構についての特異な点は全部縦割りにな
つておる。先程お話いたしましたところの六十四の
税務署では
所得税のうち七千ドル以下の
納税義務者を扱
つております。それから徴收の面は全部これは
税務署で扱
つております。金を受取るものは全部
税務署であります。これが六十四の
税務署であります。これが本庁に行きますと何と申しますか、コレクシヨン・アンド・アカウンテイング・ユニツトという徴收会計局といいますか、それの直轄にな
つております。その系統に一貫しているのであります。
それから今
一つ所得税局というのが本庁にあります。その
所得税局の
税務署は
全国に三十九あります、それが
日本の
調査課に
当ります。これは個人の
所得税で申しますと
所得七千ドル以上の
納税義務者、それから法人は全部この
所得税局の地方部局によ
つて行われているということであります。
それから酒の行政につきましてはこれは酒税局というのが本庁にありましてその地方部局が十五地方にあります。これは
税務署と全然
関係ありません。又今の
所得税局の地方部局とも全然
関係ありません。全然独立の機関として十五の地方部局、これが酒の税の
関係は全部や
つております。密造取締も又これがや
つております。それから先程お話いたしましたように査察局が全部独立いたしまして十四の地方分局にな
つております。
それから協議団の問題でありますが、
日本では協議団を
国税局又は
国税庁に附属せしめているのであります。
向うでも大体
国税所得税局の地方部局、大体
税務署にそれぞれ協議団を置いております。その上に更にその上の機関としてテクニカル・スタツフというのが
全国に十二だけ置いてあります。これは協議団の、而も
所得税局の段階においてまとまらなかつた事項を更にこのテクニカル・スタツフにおいて扱
つております。又裁判を提起された事件を裁判の進行中においてもよく話合
つて、裁判の判決を待たずにまとまるものはまとめるという
建前であります。そういうふうに全部縦割りにな
つているという点が非常に興味のあることであります。
日本におきましてはそういうふうに縦割にいたしますと税務官庁相互の協力
関係が非常に困難でありますが、
向うにおいてはそういうふうに縦割にな
つているにも拘わらず相互の協力
関係が非常によくできている。これは
国民性のいたすところで私共残念に思
つておりますが、縦割にいたしますれば能率も上りますし又責任の限界もはつきりする。併し相互に協力の
関係が失われて俺の責任じやないというふうになるのが欠点でありますが、そういうふうな欠点もありませんし実によく行われでいるということに感心をいたしたのであります。
尚これも
アメリカの
国民性の
一つの現れであろうと思いますが、先程お話いたしましたように
更正決定をいたしますのは僅かに全
納税者の一%半ばかりでありますが、これに対するアツピールといいますか、審査の請求と申しますか、異議の申立と申しますか、これは非常に多いのであります。それで裁判にな
つている件数も年に八千五百件ある。
日本では御承知の通り今累積しているもので二百件であります。これは尤も
日本におきましては裁判になりますとなかなか判決が出ない。結局数年かかるものですから本当に救済の手段にならないという点が根本的な点であろうと思うのでありますが、
向うではどんどん判決を下すということが
一つの特徴であると思いますが、とに
かく裁判にな
つている事件が八千五百件ある。
かくのごとく僅かの
更正決定しかないのにこういうふうに多くの裁判の件数があるということは注目すべきことでありますが、要するに
自分が正しいと思うことは飽くまでも主張する。
税務署がこわいとか後の崇りが恐ろしいとかいうようなことは言わたい。どんどん
自分の思うことは言
つてそれで相互の間に理解の
程度も深まるということに貢献していると思います。
大体
向うの様子はそういうふうな
状況でございますが、飜
つて日本の
状況を考えて見ますると、先程お話ましたが実に寒心すべき現状にあります。又一旦
更正決定をなし又審査の段階も済みましたものにつきましても実は滯納が非常に多いのであります。本年の六月末の現状から申上げますと、六月末におけるところの滯納の
金額は千百三十九億円にな
つております。件数で申しますと七百八十万件
程度にな
つております。
向うの
状況を見てみますと、そういうふうに賦課の段階において非常に納得して又殆んど大部分の人が
自分も当然納むべきであるという考えの下に出ておりますので、徴收の面では殆んど納まらんというものがない。
従つて滯納処分も殆んどやらんでよいというような
状況であります。ニユーヨークのニユーヨーク・セカンドという
税務署に行
つて見ますと、そこでは過去十年余りそういう事件が起きてないので公売処分は一回もや
つておらん。だから公売処分をする必要はないのだということを言
つておりました。それからブルツクリンの
税務署に行
つて見ますと、ここは三百六十万人くらいの
納税者のいるところでありますが、ここで年に十二、三件
程度の公売をやるという
程度であります。誠にうらやましい
状況でありますが、併しながらこの千億を越えるところの滯納を何とか処理しなければ結局
負担の公平が期し得られないのでありまして、我我はこれをどうしようか、どんな
方法を採
つてやつたらこの滯納の整理ができるかということについて、日夜苦慮をいたしておる次第であります。減税と申しましても、又は
負担の軽減と申しましても、結局
かくのごとく巨大な滯納を擁しておる限りにおいては非常に困難でもあり、又
負担の公平という面から見ましても甚だ寒心に堪えないところであります。仮にこの一千億円が直ちに整理ができる、收納ができるとすれば忽ちそこに千億の減税ができ得るのであります。支出の削減とかいうようなこともできる。而もこれをやるためには非常に
努力を要するのであります。よく面白半分に滯納処分をやるというふうな御
非難も受けるのでありますが、
税務官吏もあの仕事を最も嫌
つております。何とかしてあの滯納処分の係から外に移して貰いたいというのが一人々々の僞わらざる要求であります。もう暫くやつたら移して貰えるからという熱望を各
税務官吏が持
つております。私共もできる限りこういうことを避けて行きたい、にも拘わらず何とかしなければ
負担の公平ということも保てないし、今後の減税ということもできないのであります。ということから涙をのんでと申しますか本当に勇気を鼓してこの仕事に当
つておりますので、これらの点につきましては
国民の代表である皆さん方におかれましても、是非何とか全体の気風をよくするように御協力をお願いいたしたいと思います。
先程お話いたしましたように、
アメリカの
制度がとに
かく大部分の人は正直であり善意であるという前提の下に、相互の信頼の上に
制度ができておる、運用ができておるということは採
つて以て私共の範とすべき点だと思います。私共は今後何とか
税務官吏の頭を切換えて、そういうふうな規定の下に、そういうふうな考え方の下に
指導して行きたいと思
つております。それによ
つて滯納が著しく減るというようなことにならなければ結局そういうふうな転換はでき得ない。どうしてもこれは
一つの
国民運動として、むしろ
税務官吏の我々がそういうふうなことを声を大にして叫びましてもそう効果はないのでありますから、
国民の側に立
つておられる皆さん方においてそういうようなことに力強い運動をして頂いて気風を作
つて頂きまして、それによ
つてこういうふうな悪循環を断ち切り
日本の行政の改善に邁進したいと考えております。こういうふうな機会を以て申上げますのはどうかと思うのでありますが、どうぞそういう点について今後是非何分の御協力、御盡力をお願いいたします次第であります。