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政府委員(湯地謹爾郎君)
証券取引法の一部を
改正する
法律案の
提案理由の
説明は、すでに
政務次官からなされたそうでありまするから、私はこの法案について簡単に御
説明申上げたいと思います。
お手許に恐らく法案が参
つておると思いますが、このうちで一番最初にありまする第二十八條
関係のものは、これは次の
條文に関連を持
つて来るのでありまするが、証券業の
登録をする場合に個人のもの、今実際問題として
証券業者は皆会社でありまするが、
法律上は個人もできる建前にな
つておりまする
関係上、この法案を整備する意味において、個人の会社
登録の場合には、この第十号に
規定する
資産の額に関する調書を添附しなければならないという一項を入れたわけであります。
それからこの第三十條の二というのは、現在
証券業者は
登録を受けなければ営業を営んではいけないという
規定があるのでありまするが、この
登録しないところの本店、或いは支店、そういう場所で証券業を営んで場合に、その行為自体を取締るという
規定が実は欠けておるのであります。そういうような意味でこの点をはつきりいたしたのであります。それから第三十一條の第一項の
関係の方は、これは実は少し複雑な
関係があるのでありますが、この三十一條の第三号及び第三号の二というところに引いてありまする「この
法律の
規定に違反した」云々と、こう書いてあるのですが、これを具体的に「第三十九條第二項、第四十條第三項、第五十七條第一項又は第五十九條」ということをはつきりいたしたのでありまして、又一面一部除外したのがあるわけであります。「この
法律の
規定によ
つて」云々というところに含まれる分のうちから除外したのがあります。こういうことをいたしました一番の趣旨は、この場合の
法律改正によりまして、
証券業者の例えば仮に役員の中で、刑罰、懲役を受けた者、或いは
証券取引法で罰金以上の刑に処せられた者は、五年間証券業を賞んではいけないという
規定があります。同時にそういう人が入
つておりまする
証券業者は、これは
登録を取消すということにな
つております。これに関連いたしまして、或る証券会社が、最初はそういう人がなか
つたような場合に、途中でそういう人ができたというときに、
証券業者は意業の取消しを受けるわけであります。その際にこの取消しを受けた証券会社の役員であ
つた者が、本人はその懲役を受けなくても、その役員であ
つた者はやはり五年間は証券業を営むことができないという
規定があります
関係上、今度その懲役を受けない別の役員が後にな
つて五年間の間に他の全社の役員に
なつたとしますれば、又その証券会社がその
規定に該当して証券会社自体が
登録の取消しを受ける。こういうふうに順々に循環する慮れがあるのであります。それでこれはそういうような懲役を受けた役員がならないことは勿論でありまするが、その役員のお
つた会社の他の役員について第一回といいますか、次に会社の役員に
なつたというところでその循環を断ち切ろう、こういう趣旨でありまするので、これは後程又ゆつくり御
説明申上げます。
それからこの九号というのは、この法案の中の
改正のむしろ主体でありまして、九号、十号、これは御
承知の
通り現在の
証券取引法におきまして、
証券業者になろうとする者は一応
登録を申請いたしますと、その
登録を受付けた時から
法律で決めてありまする欠格條項さえなければ三十日経てば
登録の効力が生ずる建前にな
つております。而もその欠格事項というのは、例えば先程も申しました
通り懲役若しくは罰金の刑を受けた者とか、或いは破産の宣告を受けて復権にな
つていない者とか、或いは証券という文字を使わない申請書とかいうような形式的の欠格條項でありまして、いわば自由
登録に近いのであります。尤も前の
国会の
改正におきまして訓券業者が常に営業用純
資本額五十万円を維持しなければいけないということがあります
関係上、新規に設立する場合でも常業用純
資本額五十万円という一種の経済的の制限があるわけでありまするが、併しこれも新規に会社を興して営業をするという場合に百万円の
資本金でありますれば、営業用純
資本額、その当時は五十万円を維持するということは簡単でありまして、これは暫く商売をや
つておりまして所有しておりまする株が、値下りをしたとか、或いは社屋を買
つたとかいうように固定いたしますと、営業用純
資本額が割るわけでありまするが、とにかく
登録当時新規に会社を興したような場合には、営業用純
資本顧五十万円ということは非常に楽な制限でありまして、
従つて最近のような株価の不況な時代におきましても、証券業の
登録の申請が
相当参
つておるような
状況であります。それで今回昨年の六月以来株価が段々下落して参りまして、
従つて株式を所有しております。証券会社がその株式の評価損により営業の内容も自然悪化して来る。同時に取引量も一割乃至二割
程度減
つて参
つておるのであります。その上に更に株価が大体半分から四割近くにな
つております
関係上、売買手数料というものがこれはやはり株式の
時価を基礎にして逓減しておりますし、手数料が決
つております
関係上幾らか減
つたことと、株の単価が減
つた。これは
相当減
つたというこの二つの要素によりまして手数料
収入というものが非常に減
つて参
つておるのであります。然るに一方先程申しました
通り証券業の
登録が殆んど自由
登録に近か
つた関係と、又昨年、一昨年と株式
関係が非常に繁栄であ
つたということのために
証券業者に
なつた言が
相当多くて、昨年末では千百五十二、最近は幾らか減
つておりますが、六月末で千八十三にな
つております。併しそれにいたしましても先程申しました
通り、取引量及び株の単価の値下りによる手数料
収入というものは非常に減
つて参
つておりますので、この千以上の
証券業者がその手数料を食い合うというような
関係になりまして、
従つて日々の、毎月の営業
収入が赤になるというような
関係もありまして、
証券業者自体の中におきましても、或いは又証券取引所或いは証券業協会の中におきましても、この際やはり
相当証券業者を整理しなければいかんじやないかという議論も起
つておるのでありまして、そういうふうにお互いに自治的に
証券業者を整理しようという際に、折角そういう話合ができて、その地区において
証券業者の数が減
つた。
従つて今後収支はうまく行くであろうというような場合でも、今までのような
登録制度をそのまま置いておきますと、新らしい業者がそこへ又出て来る。それではその整理の目的も達し得ないというようなこともあります。それから今一つは今までのような
登録制度でありますれば、経済的の
條件といたしまして先程申しました
通り純
資本額五十万円さえあれば大体
登録ができるのでありますが、ところが暫らく商売を始めて会社の内容が悪く
なつた。そういうときに
委員会或いは財務局は検査をいたしまして、法令に違反しているということで、その
登録を取消すことになりますれば
却つて投資者保護にも欠ける。そういうようなものは初めから入れな、方がいいというようなことも考えられるのでありまして、この際純
資本額五十万円ということの外にこの第九号並びに第十号で新規に証券業を営もうという場合には
資本金等の制限を置こう。そうしてそれに満たないものの申請に対しては
登録の申請の拒否ができるということにいたしたわけであります。
それからこの第五十六條は、これは前に関連して当然出て来る
條文の整理であります。
三十九條第一項、ここに
ちよつとミスプリントがありますが、第三十九條第一項中「第八号」というのを「第十号」と改める。これは訂正が出ておると思いますが。