○参考人(小濱八彌君) ではお許しを得まして、今日罷り出ました陳情の趣旨を申上げたいと思います。
今日生産者が大勢集まりまして陳情に上りましたのは、東京市場の手数料の問題なんでございます。すでに皆さん御
承知のことと思いますが、東京市場におきましては、市場で扱いまする魚の販売の手数料を、従来五分でありましたものを七分に値上げをするということに相成
つたのでございます。この問題につきましては、この夏以来生産者団体に対しまして、荷受の団体の方からその話があ
つたのでございますが、現在生産者の経済
状態は甚だしい窮迫の
状態にありますので、この際手数料の値上げに応じ得るような経済上の余裕がございません。併しながら生産者の荷を市場で捌いて貰わなければならんのでありまするから、市場が成立たないという場合については、生産者と雖も無下に手数料の値上げはどうしてもいかんということ一本槍では参らない筋合のものでございます。併しながら市場においてこの際従来五分の手数料を何が故に七分に上げなければならんかということにつきましては、生産者といたしましては、その理由がどうしても納得が行かないのでございます。市場側の言うところによりますと、従来の五分の手数料では荷受機関の経営が成立
つて行かない。だからどうしても七分に上げなければ荷受機関の経営が成立
つて行かない
状態にあるということを言われるのでございますが、生産者側の見ますところによりますと、荷受機関の経営は手数料を七分に上げなければや
つて行けないというふうには、どうしても了解が行かないのでございます。現在東京市場で経営いたしております荷受機関の中で、相当数の荷受機関は、五分の手数料で立派に経営が成立
つて参
つておると
承知いたしております。荷受機関の中にはいいものもあり、悪いものもございます。それで経営の良好ならざる荷受機関につきましては、手数料を上げなければや
つて行けないという
状態にあるものがあると
考えます。現在東京市場にあります荷受機関は十九でございますが、現在経営しておりますのは十七と
承知いたしております。この十七の荷受機関全部をそのまま守り立てて行かなければ、東京市場に集まりました荷を捌くことが困難であるかどうかということにつきましては、生産者はさようには
考えないのであります。十七の荷受機関は多過ぎると
考えております。この十七の荷受機関をそのまま存続いたしますがために、市場の手数料をこの際値上げしなければならんということには、どうしても了解いたさないのでございます。荷受機関ももとより経済上非常に困
つております。生産者も非常に困
つております。それならば市場の内部の荷受機関を整理いたしまして、それでも尚や
つて行けないという場合に手数料を上げる必要があるかないかという問題に入るのであ
つて、市場の手数料を上げることを前提として、かれこれの話合いは生産者としてはどうしても納得行かないというのが生産者の主張なんであります。この主張に基きまして、荷受機関の市場側と折衝を重ねて参
つておりましたのであります。荷受機関の市場側の方では、どうしてもこの際上げなければならんというので、市場の監督権が東京都長官に属しておりますが故に、東京都長官の認可を受けて市場の手数料を七分に引上げるということを頻りに都の方に市場側は迫
つてお
つたのでありまして、生産者は又としてもこの際値上げをしなくちやならんということは納得いたしません。何が故に上げなければならないかということについて生産者側の立場を詳しく
説明もいたし、陳情もいたして参
つたのでありますが、都の方では生産者の
意見を聞かずして、この際手数料を七分に上げるということについての認可を出されたのでありまして、すでにそれが
実施に入らんといたしております。まだ
実施には
なつておりませんが、
実施に入らんといたしておるのでございます。申上げるまでもなく、市場は生産者のとりました魚を捌くところでございまして、これは生産者のみの市場でありませんのみならず、消費者のみの市場でもございません。況んや市場の中にあります荷受機関の市場では断じてないのであります。然るに市場の運営につきましては、生産者の声を何ら聞くことなく、生産者の方ではこの際手数料の値上げは理由なしと申しておりますに拘わらず、市場側においては荷受機関の経営が成立
つて行かない、而もそれは成立
つて行つておる荷受機関が現在相当にございまして、それだけで、成立
つて行くものだけで市場に集ま
つて参ります荷を捌くことは何ら差支えないと、生産者の方では
考えますが、経営の悪い荷受機関を継続せしむるがために、生産者の負担において手数料を七分に引上げんとしておるということにつきましては、どうしても生産者の納得いたさないところであります。而も東京の市場が手数料を引上げますると、六大都市の市場は全部手数料を引上げるのでございまして、六大都市の市場の手数料が引上げられれば、各地方に存在いたしまする小さな市場は、みんな手数料を引上げるのでございます。それで我々
漁業者は六大都市及び地方の市場において荷を捌いておるのでありまするが、それの一番多く荷の集まりまするのは、申すまでもなく東京都の市場であります。この市場において手数料を引上げる。それで現在五分の手数料を七分に引上げるということは、四割くらいの引上げに相成る次第でありまして、二分の手数料の増加によりまして、東京市場のみについて計算いたしましても、約三億円くらいの増徴に相成るかと
考えなければなりません。生産者が赤字の経営に悩んでおりまする今日、さような余分の余裕はございません。而も値上げをしなければならんという理由がはつきりいたさないのに、一方的に値上げを決定して、生産者に対してお前達の荷は七分の手数料をとらなければ売捌くわけには参らないということで通告されることは、生産者としてはどうしても堪え得られないところでありまするので、
水産庁に対しまして、
水産行政の見地から、この問題の善処方をお願い申上げておるのは勿論、東京都に対しましても、その善処方を申入れておるのでありまするけれども、すでに断行するという場合に立至
つておるのであります。つきましては、生産者の実情をよく皆さん御吟味願い、市場手数料は上げなければならんものであるかどうかということについて分の御吟味を
願つて、市場手数料の引上げは妥当でないということでございますれば、本
委員会の御
意見としても、
水産行政上全国の生産者に影響を持ちますものでございまするが故に、十分の御審議を
願つて善処をして頂きまするように、生産者は切にお願いいたしておりまするような次第でございます。それで生産者の衷情をこの
委員会に率直に申上げまして、皆さまの善処方を特にお願い申上げたいと、かように
考えまして、多数陳情に上りましたような次第でございます。