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1950-07-24 第8回国会 参議院 人事委員会 第4号 公式Web版

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  1. 国家公務員の給與問題に関する調査 (会議録情報)

    昭和二十五年七月二十四日(月曜日)    午後三時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件国家公務員給與問題に関する調査  の件  (石炭手当に関する件)  (給與改訂勧告に関する件)   —————————————
  2. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) それでは本日の会議を開きます。  総理大臣渉外関係で来られんそうであります。それから大蔵大臣地方財政委員会から間もなく来ると思います。それから山下人事官瀧本給與局長、外に物価庁動力課楠岡事務官が見えております。これは説明員であります。本日の事件国家公務員給與に関する調査であります。
  3. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 先ず第一番に明らかにして置きたいことは、もう吉田総理大臣に対して出席要求を行なつてから四日以上経過しているに拘わらず、いつ出席するかということも明らかになつておりませんが、この点についてはつきりと政府の方からいつ頃になれば出れるかどうかということについて至急連絡をお願いしたいと思います。それからもう一つは、淺井人事院総裁に対して、給與べースの勧告ができなくとも、当委員会としては、現在人事院が持つておるところの給與ベースの問題に関するいろいろな調査資料並びに現在到達している結論を当委員会に提出して欲しいということを要求してございますが、これに対しても十分調査研究の上お答えしますということになつておりまして、まだその後回答がございませんが、これは一体どうするつもりか。この資料提出の問題は、私共憲法並びに国会法による権限を行使して要求してございますので、今日人事院としては提出する意思があるのかどうか、この点についてはつきり御答弁を承つて善処したい。
  4. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 千葉君に申上げますが、今の資料は明日の午前中に提出すると、そういうふうに回答が来ております。
  5. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 それでは総理大臣出席の日時について御連絡願うことにして、次の質問に入りたいと思います。  物価庁の方から説明員出席されておるというので、その説明員の方にお伺いしたいと思います。私共が要求いたしました石炭手当閣議決定についての大蔵省当局調査研究結果の資料が七月二十二日附で本日私共のへ提出されておりまするが、その中で問題となりますことは、勿論我々としては人事院勧告した石炭手当についての六千カロリー、四千百五十円の金額が至当であるということを認めておるのでございますが、併しここでは政府で三千円を閣議決定するに至りましたその基礎なつ資料について非常に疑問の点がございますので、この点について御答弁をお願いいたします。資料によりますと、昭和二十四年度及び昭和二十五年度の予算積算基礎として使用された八級炭、五千二百カロリー単価についての点でございますが、政府資料によりますると、この五千二百カロリーの石炭單価というものを今年三月の価格として二千百円というふうに言つておりますが、私共人事院から提出されましたところの資料を検討いたしました結果、人事院資料によりますると、同じく五千三百カロリーの石炭が四月一日現在、政府の方は三月一日ですが、人事院の方では四月一日現在の單価として五千二百カロリーの石炭塊炭価格は三千七百九十円、中塊炭が三千九百円、粉炭が三千二百八十二円と、人事院資料と、いわゆる物価庁資料によると言つて提出しておる政府資料とは、もうここでは千五百円以上も金額が開いておる。更にもう一つは、実際に北海道におきまして札幌小売市場価格組合側において調査いたしましたその資料によりますると、五千二百カロリーの石炭は三千六百円、こういうふうになつておりまして、いずれも物価庁調査とは千四百円乃至千六百円以上も相違しておりまするが、一体物価庁はどういうふうな調査のやり方をして二千百円というよう結論を出したか、この点について物価庁当局調査の方法を先ずお伺いいたしたいと思います。
  6. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 物価庁におきましては、石炭価格調査をいたしまする際に、月五百トン以上使用いたしておりまする工場から買入れ実績価格を取りまして、それを一般炭につきましては上中下の階級に分けまして平均価格を出しております。その中の買入れ価格は多くは工場着駅貨車乘渡しということになつております。
  7. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 そういたしますると、物価庁調査いたしましたのは暖房用炭として各家庭が買入れておりますところの小売市場価格というのではなくて、五百トン以上の大品需要者の買入れた石炭單価を以て小売市場価格というふうに結論を出されたのでございますか。
  8. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 私の方は仰せの通り大口工場のみを対象として調査をいたしております。但しこれを小売価格と見ているわけではありません。
  9. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 重ねてお尋ねいたしますか、特別調達庁等におきましても大量の石炭を今年春に買入れましたが、そのときに特別調達庁の買入れた石炭單価は、市場買入れ価格の三割安で入札をして買入れておるのでありますが、今おつしやるように五百トン以上の大口需要者石炭を買入れる場合には、そういう割引ということは必ず行われると思いまするし、少くとも一トン、二トンという少量の石炭を買う暖房用炭小売需要者価格と同様な価格石炭とは我々は考えておりませんが、今五百トン以上の大口需要者石炭を買入れる場合に、何割引というよう話合で値段を下げて石炭を買うということが往々にあるということにも聞きまするが、その点については物価庁ではどういうふうにお考えになりますか。
  10. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 只今お話のございました割引の点でございますが、この点に関しましては業者の報告そのものに何も触れておりませんので、只今はつきりしたお答えをすることはできないと存じます。
  11. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 その他の問題に関しましては大蔵大臣答弁でなければらちがあきませんので、大蔵大臣のおいでになるまで私は質問を保留いたします。
  12. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 楠岡事務官ちよつとお尋ねいたしますが、この物価庁資料によるというと、中級炭月別需要者価格というものは、あなたの方にはないのでございますか。
  13. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) ございます。大蔵省がお作りになつたのはございます。元は私共の方で……。
  14. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) そうすると元はあなたの方ですね。
  15. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) そうです。
  16. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) それはどこの大口需要者であつたか、そうしてどの山の炭であつたか、どういう炭であつたか、そういうことは分りませんか。
  17. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 分ります。只今の御質問に対しまして、どこの会社がどこの山の石炭買つたかということでございますが、会社北海道といたしましては製紙会社、これは例えば十條製紙、それから何と申しますかはつはきり分りませんが、士別製糖所、それから同じく製糖業でありまして磯分内製糖所、それから国策パルプ旭川工場、それからあと東洋高圧瀧川工場
  18. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) その石炭種類は、どこの山の炭で、どういう種類で……。
  19. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 井華鉱業の奈井江と申しますか、これも……。
  20. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) これはどこですか。
  21. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) これは苫小牧製紙です。
  22. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) これは幾らですか。
  23. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 五千五百カロリー、二千六百二十円、これは一月です。
  24. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 三月のは……。
  25. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 三月は三井鉱山の何と申しますか三美、それの粉炭でございます。
  26. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) それは……。
  27. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) これは三千百四十一円、これは六級でございます。それから三菱芦別粉がこれが二千九百六十円、それから三井美唄粉が三千二百円、それから高値芦別の粉、これが三千二百五十円、只今手許にございますのはその程度です。
  28. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 重ねてお尋ねしますが、今の炭ではいずれも三千円以上、切れても僅か五十円かそこらで、あとの方の自由価格といいますか、二千百円というのは一つもないが……。
  29. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) これは五級、六級のところを只今つておりまして、五級、六級のところの価格でございます。
  30. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 八級というのは……。
  31. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 八級というのは只今見当りません。持つて来た資料にございませんのですが。
  32. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 北海道にはないよ、八級というのは。北海道にないから三月の調査はできなかつたのだよ。
  33. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 九級というのが一つございます。九級はこれは三井鉱山の白山の粉でございます。九級二千五百円、こういう価格なつております。
  34. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 尚お尋ねするが、九級が二千五百円で、八級を二千百円ということはおかしいじやないか。
  35. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 八級二千百円ですか。
  36. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 二千百円になつている。
  37. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) それは恐らく平均をおとりになつたと思います。
  38. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 平均を取つたつて……。
  39. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) いや山によりますと……。
  40. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) だから山はどこだと言つている。
  41. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 山の距離によつて運賃が違いますので、その点ちよつとはつきり申上げられない。
  42. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 苫小牧なら、苫小牧駅の貸出し……、それは苫小牧だけですか。十條製紙の場合の三月のをちよつと……。
  43. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 十條製紙の三月、これは北海道炭鉱の十尾幌、これの洗粉でございます。九級で二千一円となつております。
  44. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 八級は……。
  45. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) 八級は三月の私の持つて参りました報告には載つておりません。
  46. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) この上尾幌にはないのだよ、そんな、灰は。外にありませんか。そうすると中塊も塊炭もそんなつのはそれらの工場にはありませんな。
  47. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) これは粉です。
  48. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 暖房にはそういうものは焚けないのだ。
  49. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) もう一つ九級がございますが、これは日曹炭鉱です。使いますところは旭川合同酒精株式社日曹の一号粉でございます。これが九級で二千五百五十円それから同じく日曹の中塊、これは塊炭でございまして九級で三千円……。
  50. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 旭川の合同だね。
  51. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) そうでございます。
  52. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 大体それらの資料で間違いありませんか。
  53. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) これは向うから出して来た資料そのままでありますから間違いないと思います。
  54. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) お尋ねしますが、これらの場合、これらの会社奥地相場であるから先の契約でそのときの納品の時価に必ずしも一致するものではないということもあるわけですね。
  55. 説明員(楠岡豪君)(楠岡豪)

    説明員楠岡豪君) あり得ると思います。
  56. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) その他物価庁には御質問ありませんか。河野主計局長が見えております。
  57. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 ちよつと河野主計局長にお尋ねいたします。この前要求いたしました石炭手当トン当り單価に関する大蔵省資料を頂きましたが、この問題について只今物価庁当局基礎資料についていろいろとお尋ねして、大体その資料が如何にでたらめ千万なものかということを私共ここに確認したわけですが、これについて主計局長にお尋ねしたいことは、主計局長からも特に私はこれを問題の解決のために確認して置きたいと思うのですが、主計局物価庁資料、これが正しいというので、一応今度の問題に非常に重大なキーポイントを占めるる單価計算に当りまして、資料の一の(イ)の條項において五千二百カロリーの価格推移状況を見ると、概ね旧公定価格を下廻つておる、こういうふうに言つておりまして、その資料の一並びに二によりますると、大蔵省主計局がその基礎といたしました八級炭の五千二百カロリーの石灰の三月における価格は二千百円となつておる。そうして中級炭の旧公定価格調という資料、第二におきましては同じく八級炭の五千二百カロリーの中單価におきましては、塊炭においては二千八百四十五円、粉炭は二千五百五十七円、微粉は一千八百八十五円、切込が二千四百六十一円、こういう数字が出ておりまするから、資料一におけるところの三月小売市場価格千百円というのは、恐らくこれの平均だと私は思いますが、一体大蔵省主計局は、この二千百円という單価が仮に計算して出たといたしましても、物価庁調査いたしましたいわゆる北海道における石炭単価調というのは、本年三月における五百トン以上の大口需要者に売渡し価格であるということを知つておりながら、こういう資料を出されたのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  58. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 私共は物価庁物価のことをやつておるので、大体私はこれが一番権威があると思つております。ただ五百トン以上の工場の分であるということは私も存じております。
  59. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 そういたしますると、大蔵省の方で把握をされた北海道の本年三月の小売市場価格というものの基礎が、今申上げたよう物価庁答弁で判明いたしましたけれども、五百トン以上、千トン、二千トンという大口需要工場の買入れた価格ということになれば、これは明らかにこういう価格というものは二割、三割という高額の割引がなされておりましようし、或いは又それ以上の交渉がなされて安く売られておるということは、これは一応明らかでありまして一トン乃至五分というよう少額石炭を買入れる一般暖房用石炭需要者が、そういう大口需要者に売渡し価格と同様に安く、或いは又割引して買入れるということはこれはもうできるかできないかは誰でも分ることだと思う。それがそういうふうに資料の点においてはつきりとある程度非常に信憑すべからざる、若くは又非常にいい加減なものであるということを明らかにされれば、大蔵省当局としてはこの石岩小売価格に対する計算基礎を変更される用意があるかどうか、主計局長に一応お尋ねして置きたいと思います。
  60. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 私はいい加減な資料だとは考えておりません。五百トン以上のものもございますが、少量の取引もあるのであります。それから又政府職員につきまして随分散在しておりますけれども、中には昨年本会議においても要望もありましたように、現物配給せよというようお話もありましたし、政府職員がまとまつて一緒になつ購入される、或いは共済組合あたり購入されるということもあろうと思うのでありまして私は必ずしもその資料が誤つておるというふうには考えておりません。從つてそれに対してこれが間違つてつたから石炭手当の額を変えるというふうな考え方は只今のところ持つておりません。
  61. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 只今主計局長言葉では、五百トン以上の価格もあるだろうけれども、その他にも少額の買入れ価格というものがあるということをおつしやいましたけれども、ただ單にあるだろうという主計局長の想像だけで、そういうものはこの提出された資料の中には、その物価庁只今申上げたよう大口需要者に売渡された価格以外の価格については、全然資料には出ておりません。從つてそういうものは單に主計局長答弁一つであるというだけに過ぎなくて実際上責任を持つた石炭の買入れ価格の問題を検討する場合に、今の問題は間に合せたものと私は確認せざるを得ないのであります。從つてこの問題について改めて大蔵大臣出席を求めて、この問題については私は質疑を続けたいと思います。
  62. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) ちよつと私からお聞きするのですが、今年度の三千円の口が五千二百カロリー、こういうふうにこの間おつしやつたのだが、すでに御承知よう石炭規格、そういうことは今日ではまあ統制ではありませんけれども、第一回の人事院勧告、即ち法律に基くところの勧告は四級乃至八級、その塊炭及び粉炭小売価格平均、こういうよう勧告がなされておつたことを御承知でございますか。
  63. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 知つておりますが、昨年はともかくも八級炭ということで予算の中から流用いたしまして出したわけであります。そういうよう政府人事院勧告をその程度において受入れて支給した、こういうふうに考えております。
  64. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 重ねてお尋ねいたしますが、すべて今年のなには、あなたの方では昨年を基準にしておられるようでありますが、昨年も随分問題になつたので、これはあなたの方で独断にやられたことであつて法律に基く人事院勧告は、只今私が申上げたように四級乃至八級の小売価格平均なつておるので、本年度は、大蔵省がおつしやるように、石炭価格も安くなるであろうという見通の付いておる場合には殊更にやはり人事院勧告を尊重して四級乃至八級、こういうことを取上げることが正しいのではないか。こういうよう考えますが、大蔵当局はどういうふうに思つておりますか。
  65. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) この前も申上げました通り石炭手当額を算出する基礎として小売価格をどう見るかということにおいて、まあ価格の問題があるわけでありますが、私共としましては九千円を以て十分であろう。昨年に比較いたしまして、昨年より大体九百円程多くなりますが、この程度金額でよかろうというふうに考えておるわけであります。
  66. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) この程度でよかろうというのですが、法律にも明文に書いてある通り勧告にも現われておるように、石灰というと、ただ炭代暖房費だとこういうのではなく、石灰ミトン、一トンと言つておるし、そうしてその規格までもここに現われておる。そうして殊に小売価格等を現わしておるのですが、これ程明瞭なので、小売価格というのは配炭場のやはり倉庫か何かそういうことが考えられるのです。然るにもう一切がつさい、これは常識で考えても分るように、需要者の最寄りの駅の貨車乘渡しということになれば、今般北海道の場合三百円も四百円もかかる、多いところでは五百円もかかるということになる。こういうような出費についてはやはり考慮されるのが当然だと思いますが、そういうことには何ら考慮なく、まあこのくらいやつて置けばいいんだというような目分量でやられたと、こういうように了解して差支えありませんか。
  67. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) そういう自分量という、これは取りようでありますが、私共はそういうつもりでやつたのではありません。昨年人事院が四級乃至八級という御勧告であつたわけでありまするが、配給は勿論下半期から撤廃になつたのでありますが、大体八級炭というものが今まで暖房用炭として配給されておつたというのが実情ように私は承知いたしております。今年はCPSの中の指数をお取りになりまして、一月から三月のそれも僅かに〇・七トンの数字で四千百五十円という数字を出しておられるのでありますが、私共はそういうCPSは尊重すべきものでありますが、物価庁としては相当広汎な調査をしておられますし、又CPSによつても、その購入数量というものはミトンではないというようないろいろな諸般の情勢を考えまして、法律といたしましてはミトンを超えざる金額の範囲内ということになつておりまするので、九千円程度を以て今年も我慢して頂きたいと、こういう趣旨で積算いたした次第でございます。
  68. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 重ねてお尋ねしますが、九千円程度という金で押えるならば、物価庁資料などというものがこれは必要ないのじやありませんか。而もこの石炭のいろいろな旧公定価格とか今度の低級炭がどうだというようなことを一生懸命資料に取入れられておるということは、これは飽くまで石炭に重点を置いておるのだということに考えられるですが、これは間違いないでしようね。
  69. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 勿論さようではありまするが、その九千円を算定する根拠として、如何なる価格を取るだろうか、これは当然のことであります。ただ現実にお使いになるのには、もつと高炭をお買いになることもありましようし、或いは又薪で済まされる方もありましようし、問題は金額です。この金額を算定する基礎として、昨年五千二百カロリーのものを見て考えたから今年も又同様でよかろう、こういう趣旨金額を出したに過ぎないのであります。
  70. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 今CPSが一トン六分だとか、又戰時中に一トン九分だとかというよう資料は出ておりますが、これは飽くまでもその当時の購入量であつて割当量はそれだけより当らないから、止むを得ず石炭としての購入はそれよりできなかつた。併し北海道の場合は石炭が不足であればより高い薪を焚かんならん、こういうようなことが考えられるのですが、必要の使用量ですね、つまり燃料の必要の使用量というものについては何らお考えにならなかつたのかどうか、こういうことを一つお尋ねしたいと思います。
  71. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 勿論CPSに出ておるのは石炭購入量一・六トンで、去年の四月から今年の三月まで一・六トンであります。その外に勿論これには現物の部分を多少は除いておりましよう。併し現物配給があつたと思われるものは、百八十五世帶の調査の中の七十世帶程度に過ぎないのじやないかと私らは考えております。その外に仮に現物配給がないといたしましても、まあ薪を買つたであろうと、こういうことは御尤もでありますが、この点につきましてCPS都市別燃料費を積算いたして見ますると、札幌においては年間の燃料費が、この資料に差上げておりますが九千七百九十九円、それから東京におきましては五千七百二十六円、青森では五千五百五十一円、青森と比較いたしますと四千二百円というものが余計に燃料費がかかつておるということになるのでありますが、必ずしも石炭……。これは石炭と、或いは全部合わせたものであつりますが、石炭が非常に実は多いのでありまして青森石炭料というものは三百七十三円に対して札幌は六千七百三十三円になつておる。その他の薪代というものは余り変つておらない。むしろ青森の方が多い。こういう事実がありますので、まあ彼此いろいろ勘案いたしまして九千円の中で薪も買い、或いは石炭も買い、おのおの実情によつて処理されるものと考えた次第でございます。
  72. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 大いなる見当違いで、青森の場合などでそれだけ要れば、北海道はその数倍要るということは誰でもつ分ることです。殊に北海道実情一つも知らないし、やつておらんということはそれで明瞭になりましたが、我慢をして貰いたいというのはどういう意味ですか。我慢すればできると考えておられるのか。焚かなくても我慢できろというよう考えておられるのか、どういうわけですか。
  73. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 我慢して貰うというよう言葉は言い過ぎかも知れませんが、昨年は五千二百カロリー程度の炭をミトンということで、八千百円を石炭手当として支給いたしました。今年も同程度の炭を買うものとしてミトン分の経費を支出する。勿論これは多うければ多いに越したことはないのでありますが、いろいろ事情というようなものも考えて頂いて、この程度のもので了承して欲しいと、こういう意味であります。
  74. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 実際にはまだまだやらんならんということは確認しておられるのですね。
  75. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 私は消費者の家計調査で一番権威のあるCPS基礎として申上げておるわけで、公務員の生活の事情はいろいろ違い、個人個人によつて違いまするが、全般的に見てCPSというものを信頼する限りにおいてはまあ了承して頂ける数字であろう、こういう意味で申上げたのであります。
  76. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) その他の方、お尋ねございませんか。主計局長はよろしうございますか。
  77. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 ちよつとお尋ねしますが、法律によると、途中はやめますが、さつきお話ような、「それぞれ公定小売価格によつて換算した額に相当する額を」云々と書いてありましていわば三千円のミトンと、こういう計算でありましたが、その公定小売価格を三千円と押えられたその計算基礎なつた三千円が、先程の物価庁説明によると、ここに法に言われておる公定小売価格とは違つておるという点が明らかになつように思うのですが、その点はどうでしようか。
  78. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 昨年までは公定価格というものがあつたわけですが、十月から公定価格というものがなくなりましたので、法律に載つております公定小売価格というものは、実を申せばまあ意味がないというと言い過ぎでありますが、違つて来るわけです。実際問題としての小売価格という意味で取つたわけでありますが、人事院勧告もその趣旨であつたと思います。
  79. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 勿論九月以降配炭公団の廃止後公定価格がないことくらいのことは知つておるのであります。今言われた公定価格意味に読み直すべきであるということは、はつきりしているのですが、併し物価庁の調べによると着駅、貨車乘り、沖着価格であるということになりますというと、ここに言われておる当時の公定小売価格とは違うものであるという点が明らかになつたのじやありませんかということを申上げたのです。
  80. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 先程の資料でも御指摘のありましたように、三月の調べにおきましても二千百円、これは五百トン以上千トンまでというのでございますが、この中には十七トン或いは二十トン程度のものもございます。それ以下のものもございます。併しこれは大体において大口でございますから、これを小口に直せば少し高くなろうと思います。從つてそれを小口小売りに直した場合口においては大体三千円ぐらいが適当であろう、こういうふうに考えております。
  81. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 どうも主計局長は変な物の言い方をするというのですが、あなたはさつきお述べになつたことをこの場に至つてから覆えして、先程の物価庁基礎なつ石炭価格というものは五百トン以上、そのお金も二十トン三十トン以上の小口の取引の価格基礎なつておつたということを言われたけれども、これは先程の質疑応答でも明らかになりましたように、五百トン以上千トン、二千トンという大口取引の場合の小売市場価格でございますから、これを混同しないようにお願いします。
  82. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 大蔵大臣がお見えになりましたから……。
  83. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 給與問題について前回まで、に官房長官なり、それから淺井人事院総裁等に質疑をして参つたのでありますが、給與問題については直接当委員会大蔵大臣に質疑応答をしたことはございませんけれども、大蔵大臣給與問題について折衝をして来られ、或いは考えられて来られたところ等も明らかになつておるわけでありますが、給與ベースを上げなければならんということ、それから上げたいということについては大蔵大臣としても異論がないだろうと思います。問題は財源の点になつて参ると思うのですが、これはこの委員会の席上ではありませんけれども、大蔵大臣として財源は七百億程度ある。或いは更に物件費の余剩、食糧の輸入補給金の減額等を考えれば、更に百数十億の財源があろうということを言われたということを私は聞くのですが、その点についてこちらで改めて一つ答弁を願いたいと思います。
  84. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 公務員給與ベースにつきましては、只今の情勢では上げた方がいいと自分は考えております。たた問題は予算全体に関係いたしますことで、ございまして、いつの時期に如何なる程度上げるかということにつきましては関係方面と折衝を重ねておる状況であるのであります。面してこれが財源につきましては、私は今しかとした財源は握つておりませんが、国家公務員につきまして或る程度のベース引上と申しまするか、ベースにつきましては私根本的に検討すべき点が多々あると思うのであります。根本的にベースを改訂するまでの暫定措置として或る程度の引上げの財源はあるのではないかという気持でおるのであります。然らば幾らあるか、七百億ぐらいとお言葉にありましたが、七百億円なんか問題でございません。そんなにありません。歳出の方でしかとした財源といたしましては、御承知通り予算を組みましたときの定員と、それから人事院が審議を願いました定員などには或る程度の差額はあります。これは人事院としましては、極く少いのでございますが、これと、それから今各省におきましてもできるだけ欠員を補充しない。できるだけ補充しないような気持を以てやつてつてつておりますので、それに対しまする財源、これはごく少額でございますが、又物件費でもその後の情勢で節約し得るのではないか。いわゆる既定経費につきまして或る程度の節約があるだろう。これはどんなに見積りましても大した金額ではございません。一、二十億か或いは二、三十億という程もないと思うのであります。とにかく或る程度これが普通の状態で見込み得ると思うのであります。その外の財源といたしましつては、輸入補給金の問題であるのであります。予算を編成いたしました当時よりも、輸入の食糧が可なり下つて、これは世界の食糧市場の影響によるのでありますが、下つて参りましたのと、今回決定せられんといたしまする小麦或いは大麦の価格が国内で上つて参りましたために、或る程度の財源が出て来るのではないか、こう考えておるのであります。これにつきましても、今後外国におきまする種々の値段がどういう経過を迫るか、或いは今予定いたしておりまする米換算三百十六万トンで十分であるかどうか、少し沢山輸入したらどうかという議論もなきにしもあらずであるのであります。こういう点から考えますると、しかとした金額を申上げろ段階に至つておりません。又歳入面におきましては、御承知通り法人税とか或いは勤労所得に対しまする源泉徴收の課税額、大体徴收状況はよろしうございます。殊に法人税はよろしうございますが、申告納税につきましてその後の、今後如何なる徴收の成績を見ますか、これに赤が出ますというと、これは歳入で非常に赤が出るし、歳出には相当余剩財源があつてもこれは財政としては、財源がないことになりますので、個人の申告納税が、この七月が第一期でございますが、この成績が余程財源に影響を来たしてきているのであります。その外に財源といたしましては、昨年度の剩余金が只今しかとした数字ではございませんが、百六、七十億出るのではないか、そうしますと今年度使い得る経費が八十億乃至八十五億は出て来るのであります。こういうところから、挙ようによりましては或る程度の財源はあるのであります。面してその財源確保の点におきましても、歳入の点におきまして申告納税の問題、滯納処分をやるとか、或いは誠実なる申告を慫慂するというような手を打つておるのであります。大体そういうふうな状況でございまして、今これだけはつきりあるということは申上げられませんが、私は或る程度給與引上げの財源も見通しが付いた。又今の状況から見ますと、昨年の暮から今年の冬にかけて心配しておりました惡循環の問題も、もう殆んど解消したし、それから又直接需要を殖やす点からも上げた方がいいのじやないかという考えの下に関係方面と折衝を続けておる状況であるのであります。本国会に間に合うか間に合いませんか分りませんが、自分の腹としては只今のところはそういう考えで進んでおるのであります。
  85. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 大体のことを承わりましたのですが、その説明の中で、物件費を含めまして十乃至二十億、二十乃至三十億というお話がありましたが、一般に考えられているところによりますと、物件費については到底そんな数字ではなさそうに私は考えるのでありますが、物件費を含めても尚二、三十億程度に止まるのかどうか。物件費についてもう少し詳しく伺いたい。
  86. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) これは前提があるのであります。私はこれは一般会計を主にしてやつております。專売並びに国鉄両公社につきましては、只今計算に入れておりません。そういたしますると、一般会計の物件費というものは、御承知通りそう大したものではないのであります。郵政、電気通信の中で電気通信の方は拔かして考えて、まあ郵政の点は含めて考え数字であるのであります。全体を通じましたならば、国鉄なんか相当物件費が多いところでございますが、これは十億とか二十億、そういう問題ではないと思います。
  87. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 これはまあ本会議の緊急質問でも述べましたが、前の国会の最後の模様、言い換えますと、專売裁定を呑んでから後、鉄道公社或いは一般公務員についても何とかしなければならんという空気があつた。それから渡米の目的が那辺にあつたか公にせられておるところではありませんけれども、客観的にどういう意図であつたかということも分るし、その帰られて後の、これは或いは自由党として公約したのだ、こういう点もあるかと思いますけれども、意図というものははつきりいたしておると思うのであります。それから情勢にいたしましても、給與問題について先程言われたように、給與を或る程度引上げることによつて惡循環が起らんという事態も明らかになつておるわけであります。財源にしましても、恐らくこの席上で今言われましたものは、大事をとつて内輪目に言われた数字だと考えるのでありますが、財源にしても、何らかのベースの引上げでなくても給與を増し得るだけの財源はあるという今お話であります。問題はこのなし得るかどうかという点にあるのでありますが、これは官房長官に申上げたことでありますが、民主的な労働組合が民主主義的な方法によつて、言い換えるならば合法的な手段でその要求を実現して行きたいと、こう考えて参りましたその意図も限界に来ておる。或いはこれは勧告がなされると言われて、そうしてひつくり返つた原因について国民も納得しない、それから恐らくこれは大蔵大臣もそういう空気は聞かれるところと思うのでありますが、全公務員についてもう辛棒できないという段階に来ておることは明らかであります。そこで問題は勧告がなし得られなくなつ事情を勘案しまして申上げるのでありますけれども、公約を果し、或いは問題になつて参りましたものを速かに実現するという意味において、本国会中なり、或いは近い将来において、これを給與の問題について解決し得る決意なり、或いは折衝なりというものを、確実な見通しを以てなさなければならない、これは大蔵大臣の責任としてなさるべき立場にあると考えるのでありますが、その何と申しますか、決意と申しますか、或いは見通しについて重ね伺つて置きたいと思います。
  88. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) お断りいたして置きまするが、今般新財政経済政策といたしまして発表した中に、給與ベースの引上げということがあります。あれは十五ケ月予算を通じて来年度ははつきりやると申上げておる。今国会でやるとは言つていない。我々といたしましては来年の見通しが付いた以上、今年度におきましても、できるだけ早い機会にやりたいというので、先般来お話のあつたように上げる方針の下に関係方面と折衝いたしておるのであります。いつどれだけということは、たびたび繰返して申上げますように、はつきり申上げられないことは誠に遺憾でございますが、自分がこうした方がいいということにつきまして、は、全力を挙げて努力する考えでおります。
  89. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 今の御答弁によりますと、いわば公式に発表されましたもの等に基いてあり来りの答弁をやつているのでありますが、最近の政府の動きからしましても、或いは大蔵大臣の動き、或いは動きに現われました意図からいたしましても、そういうこの場限りの答弁では済まされん私は責任がおありになるのだと思うのであります。又客観情勢も先程申上げました通り、荏苒日を許さんところで、例えばこれは人事院の総裁にその責任を追究をしているのであります。ここで大蔵大臣人事院の責任問題を言うても始まらん問題でありますけれども、大蔵大臣或いは政府の責任として至急に事態を明らかにすると申しますか、実現せらるべき責任があると私は考えるのであります。詳しい事情を私が申上げなくても大蔵大臣自身御承知のところでありますが、そのうちにとか、或いは折角折衝中とかいうことでなくて、もう少し決意の程を一つここでお示しを頂きたいと思うのであります。
  90. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) こういう問題に決意とか何とかいう問題はないと考えます。私はいいと思うたことにつきましては、できるだけ早い機会に実現するよう努力する、こういうことが自分の決意であるのであります。
  91. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 大蔵大臣にお尋ねいたします。給與ベースの問題につきましては、今吉田委員から大体の質問がありましたので、私はもう一つ問題になつておりまする石炭手当閣議決定金額についてお尋ねするわけでございます。この委員会から要求いたしました閣議決定石炭手当一トン当り三千円というその決定の基礎になりました資材を大蔵当局から御提出願いましたけれども、その第一番に言われておりまする点につきましては、例えば賃金ベースの問題におきましても、公務員給與に関する主管は、これは人事院である。そうして大蔵省の立場からは、予算上の立場においてこの問題に関與するという方向が正しい方向ではないか、特にその給與の内容に立至つまでいろいろと議当局がそれを決定する場合いに、いろいろな論議を差挾んでいるということは、これは非常にこの点については不満に思つておるわけですが、同様に石炭手当の問題につきましては、大蔵当局はこういうことを言つておる。昭和二十五年度の、石灰手当世帶主九千円、その他三千円は、炭価の推移状況北海道における石炭購入金額と、並びに全国各地における燃料費の状況等を総合考慮して決定したものである。御承知ようにこの石炭手当に関する法律第二百号によりますと、第三條の第二項において、前項の金額或いは支給地、支給時期等の決定には、人事院勧告を基として定める、こうはつきり法律に明文が出ております。而もその人事院がいろいろ科学的な調査資料に基いて勧告したその勧告金額に対して殆んど一顧だも與えず、むしろ大蔵当局としての立場からすれば、その人事院勧告に対して、予算上の立場から財源があるかないかということについていろいろ御考慮願うことは当然でございますが、その石炭手当の基本的な本質に入つてまで大蔵当局でかれこれ言うことは、私はこれは私会計における、或いは又一般の個人の場合におけると同様に、財布を持つておるからという恰好で非常にのさばり過ぎた恰好である。最近の大蔵当局公務員給與に関する態度というものは、非常に自分達の持つておる権限を必要以上に行使しようとのさばり返つておる態度というものが明らかに出ているのじやないか、こういう点から言いましても、この石炭手当におけるこの時の條項に入れているその石炭手当の内容に向つてまで、いろいろ大蔵当局がこういう資料を出しておるという態度には納得できないものがある。一体大蔵当局としては、法律第二百号によるところの第三條第二項の法律條文をどういうふうに考えておられるか、一体これを尊重する意思があるのかないのか、この点を先ず私は大蔵大臣から御答弁願いたいと思います。
  92. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 石炭手当を出すべきだという人事院勧告に基きまして、我々は大蔵省の立場として検討を加え閣議の決定を経たのであります。別にのさばりかえつておるというふうな気持は持つておりません。財政当局といたしましては、各般の事情考えて決定すべきものだと考えております。
  93. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 それではその次の問題について私はお尋ねいたしますが、先程物価庁の方からおいで願いまして、大蔵省の方でも言つているところのいわゆる五千二百カロリーの石炭価格の問題について、大蔵省当局では物価庁調査資料基礎として、その北海道石炭の炭価の推移状況を検討した、こういうことになつておりますが、これに対して先程大蔵当局が信頼すべき石炭価格であるというふうに、こういう資料を出されたその基礎なつておりまするのは、物価庁におきましては、一般の公務員諸君或いはその他の北海道の住民が買入れている少量のその一トン乃至五トンというような実際の小売価格調査したのではない。実は五百トン以上の大口需要工場等に対して売渡し価格、これが五千二百カロリーの石炭の炭価である。こういうふうに物価庁でははつきり言いまして、少くとも大蔵当局で言つているこの五千二百カロリーの石炭の炭価については、少額小売価格についてはちよつとも調査しないで、こういうものを、こういう物価庁調査資料としている。從つて大蔵当局としてはこの、石炭の炭価についてもう一度北海道における実際の状態、実際の価格の状況を調査する考えがあるかないか、この点を先ず私はお尋ねしたいと思います。
  94. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は細い石炭金額は存じませんが、只今の三千円を決めます場合におきまして、札幌における家庭の消費量並びに又青森その他の石炭手当を出さないところにおきまする燃料の消費数量、こういうものを勘案し、片一方では三トンを支給するという法律で決まつた点もございますし、各般の事情考えまして、予算は二千五百円を組んでおつたのでありますが、三千円といたした次第であるのであります。而してこの問題につきまして本当に掘り下げて行くならば、北海道全体が平均三トン使うかどうかということにつきましても疑問があると思うのであります。私も昔二年半程住んでおりまして或る程度の経験は持つておりますが、その後の事情は変つたでありましよう。併し平均三トンということにつきましては、私は議論の余地はあると思います。資料がありましたかどうか、私は一ケ月ぐらい前に見たので覚えておりませんが、札幌の消費量は一・六六トンではなかつたかと思います。併し私はその点は申しません。併し予算が二千五百円ということについても私は拘泥いたしません。併し全体から考えまして物価庁石炭の炭価がどれだけの取引の数量炭価になつておるか分りませんが、全体から考えて三千円を適当として考えたのであります。
  95. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 先程私は冒頭に大蔵省の態度について不満な点があると申上げた。その具体的た例は、只今大蔵大臣がこの石炭手当の問題を考える場合に、青森その他の地域における問題も考えた。こういう点が私は実は非常に大蔵当局として行き違いの点ではないか。こういう手当の問題については、御承知通りはつきり法律もあることでございますし、若し青森その他の地域においてこれに準ずるよう手当が必要であるとすれば、これは人事院の方でも十分研究されて、そしてこの法律と同じように、人事院の方から給與に対する体系なり、或いは又必要不必要ということの結論が出るのだ、それをはつきり法律によるところのこの手当の問題を大蔵省考えるに当つて青森その他の地域の問題を取上げて、向うの方は貰わないのに北海道は貰つておるから、北海道は少しでもいいというような恰好に結論が出そうなごとくに、非常に大蔵省の方の態度に対して不満な点がある。そして又只今大蔵大臣の御答弁によりますれば、札幌における石炭の所要量一トン六分ということを取上げておられますが、これは大蔵大臣も言わなくてもよいことだというふうにおつしやいましたけれども、実は一トン六分というものは、非常に大きな問題になつておる。成る程從来の全国におけるところの北海道配給計画であるとか、或いは配給実績によりますると、二十一年度には実際の配給量はニトン三分、二十二年度は一トン九分五厘、二十三年度は一トン八分六厘、こういう形になつておりまして、恐らく昨年は大蔵省で一応されたように、実際上CPSような実際の配給量であるとか、或いは購入量というものは、交通を対象に置くよりも、先ず前提條件としてそういう物資の価格調査を狙つているところのCPS数字だけを以て、その数字が一トン六分だからといつて北海道における三トンの需要平均量ということには疑問がある。こういうことを言われること自体が、法律はつきり出ている三トンを蹂躪されようというようなお考えがあつて非常に不満であるということ、もう一つは、一トン六分の問題にいたしましても、昨年度仮りに一トン六分平均購入量であつたといたしましても、御承知よう北海道におきましては終戦後、戰時中からですけれども、石炭も非常に不足しました状態の中で、家庭用暖房用炭はできるだけ切り詰めて一般工業に廻した。そのために北海道におきましては暖房用炭の入手というものが非常に困難になりました。從つてそういうふうな場合にどうやつてつたかと申しますというと、御承知でもございましよう暖房設備というものを木炭や又薪を焚くというような恰好に切り換えておつた。そういうふうな点が恐らく昨年も一トン六分というような、こういう非常に少な過ぎる数字を現出したものだというように私共考えておりまするし、先程委員長からも主計局長に対して質問申上げましたけれども、北海道におけるところの一トン六分というこの需要量は、むしろ北海道実情からすれば、石炭が入手困難なために、若しくは又そういう暖房設備が石炭を焚くような設備を切り換えてしまつたために、石炭なしに、石炭を買うより高い燃料を買つてつておる。これが実は北海道における実情でございます。けれども大蔵大臣は二年くらいの北海道における経験があると言いますけれども、私も又三十年近い北海道の自分の生活経験から申しましても、少くとも大体の平均の数を押えておる、札幌におりまして、寒い方と暖い方の大体中間にある札幌におきましては、三トン以下では絶対に暖房用炭は賄い切れない。札幌においても三トンでございますから、それの奥地は三トン六分、四トン、四トン半という、こういう実情なつておりまして、三トンがよいかどうかということについて、ここで議論申上げても私はその点については押問答に終ると思いますので、一応私共のその一トン六分ということを問題にしなければならないのは、大蔵省で今度世帶主九千円というこの数字を決めました基礎を、先の人事委員会からいろいろ質疑応答を重ねました結果によりますと、大体在帶主九千円というのは一トン六分買えばそれに間に合うのだという考えに立つておる。実際は法律で三トンということがはつきり出ておりますが、その三トンの炭価を支給するというのではなくして、一トン六分で配給量に則つたこの結果から割り出した数字が世帶主九千円という数字ではなかつたかと考えておりますが、これに対して大蔵大臣の御答弁を願います。
  96. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 各般の事情を勘案いたしまして決定いたしたのであります。一・六六トンということにばかり則つてそう言つておるのではございません。
  97. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 それでは重ねて申上げますが、物価庁当局によりますると、成る程物価庁当局大蔵省から資料として出されておりますように、八級炭の五千二百カロリーというのは、三月の調査で二千百円ということになつております。ところがこれに対して人事院当局資料によりますると、人事院当局資料は五千二百カロリーの石炭価格というものは塊炭において三千七百九十円、中塊炭において三千九百円、粉炭において三千二百八十二円、大蔵省基礎といたしました二千百円という八級炭の五千二百カロリーの炭価とは千円違つておるということはどういうことでございますか。これは先程私が申上げましたように、大体において物価庁が五百トン以上の大口需要に対する売渡しをしただけを大蔵省は取つておるのですが、こういう杜撰な調査公務員のこういう重大な問題を決定するということが正しいかどうかということには、私は一応この炭価を調査されなかつたことについて不満であると同時に、大蔵大臣の御答弁を願います。
  98. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 細かい問題は記憶がございませんので、政府委員より答弁いたさせます。
  99. 政府委員(河野一之君)(河野一之)

    政府委員河野一之君) 物価庁調査によりますと二千百円というのは八級炭であります。これは五百トン以上というお話でありますが、五百トンのものも、五百トン以上のものもありますが、十七トンとか三十トンとか、それ以下の小さい数字もある。さつき申上げました通り当時のよりも下つております。この多少でも大口でありますので、三千円を決めます場合には当時の旧小売価格は二千七百円程度のものを基礎にしてやつた、こういう次第であります。
  100. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 大蔵大臣に御質問はどうですか、その他の委員諸君……。
  101. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 先程途中で切れたのでありますが、その財源の点について、債務償還費の点についてお尋ねしたいと思いますが、これは本会議の岡田氏と大蔵大臣との質問答弁の経緯を見ましても、債務償還の実情からいつても、或いは今度の特別警察隊創設の財源が債務償還費から出されるといつた点から考えましても、債務償還費の中から給與ベースの財源を見付けるべしという社会党或いは野党において今まで主張して参りました主張の正しさを反証をしておると思うのでありますが、この債務償還費の一部をベース・アツプに廻し得るかどうかという点について一応お伺いいたします。
  102. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 今度の一般会計の債務償還費では給與の引上げの財源に充てるという考えは持つておりません。給與を引上げます財源は他の方から節約その他から出して行かなければならんと思つております。
  103. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 これは考えは承わりましたが、可能、不可能の問題について重ねて御答弁願います。
  104. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今そういうことは考えておりませんので、財政当局の私といたしましては不可能と考えております。
  105. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 先程言われましたうちに、物件費或いは食糧の輸入補給金の減額その他で以て或る程度は出し得るというお話がありましたが、現在のところでその金額をどの程度に一人当りにつきまして計算をしておられますか、重ねて承わりたいと思います。
  106. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 今それらの計算の根拠につきましてははつきり申上げる材料を持つておりません。
  107. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 新聞紙等におきましては五百円説、或いは云々というようなこともありますが、これは責任のある記事では勿論ないと思いますけれども、或る程度計算されておつたのではないかと想像されるのでありますが、正確な財源その他の計算から責任のある答弁が困難であるということは分るのでありますが、一応考えられておるということは明らかではないかと思うのでありますが、どの程度においてもここで言明ができないというのでありましようか、重ねて……。
  108. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) いろんな点で考慮をめぐらしておるのでありまするが、今はつきりいつ上げるかというようなことも言えない状況であるので、申上げても無駄ではないかと考えております。又私としてはそういうことを申上げることは遠慮したいと考えております。
  109. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 それでは財源は或る程度ある、問題は残つておりますのは、ペース・アツプはあれは別な方法かという点でありますが、我々は当然人事院勧告七千八百七十七円べースに上げるべきだという、昨年の勧告は生きておるわけでありますし、情勢が遷延を許しませんので、ベース・アツプをすべきではないかと考えるのでありますが、これは時期等にも関連がありますけれども、考えておられます点は、先程の答弁からする続きでありますが、我々はベース・アツプをすべきであると考えるけれども、時期等についてはこれはあとにしまして、ベース・アツプをする意思があるのかないのか、それを承わりたい。
  110. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) ベース・アツプの問題は、先般、選挙直前におきましてはつきり申上げた通りにべース・アツプをする意思があるのであります、それは来年度におきまして。
  111. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 来年度の話じやない。
  112. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 今年度におきましては、ベース・アツプをするかしないかという問題は時期の問題と関連いたしまして申上げられないのであります。即ちベース・アツプせずに暫定的に増加する方法をとるかという問題があるのであります。御承知通りに十五ケ月予算を組む考えで進んでおります。而も又米価におきまして相当の引上を我々要するものと考えておる。米価の問題と賃金の問題は我が国経済の安定自立の最後の点だと考えておるのであります。私はその点を急いでおります。成るべく早くしたいという考えを持つておるのであります。べース・アツプと申しますると、やはりこれはたびたび二、三ケ月、四、五ケ月で変えるべき問題ではございません。從いまして新米価の決定と同時にいたしたいという気持を持つておるのであります。そういたしまするとこれは情勢としては来年度になるらしい、それでベース・アツプということよりも、他の方法をとつて暫定的に上げるべきものではないかという考えを持つて自分は進んでおるのであります。
  113. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 米価の問題は、これは今後起る問題でありますが、べースを上げなければならん、或いは上げるかこうかという問題は前から繋つておる問題でありまして、昨年の勧告に基いても、一昨年の七月に比べて、昨年の七月ですでに物価において三〇%、生計費において三八%でありましたか、上つておるという事態に基いて上げなければならんという……、その点は関係がない問題であるということはこれは明らかでありますが、それではこの暫定的な措置の問題になるわけでありますが、その暫定的な措置をするということになりますと、補正予算の問題と関連をいたして参るのでありますが、私共はこの財源があり、或いは上げなければならん、或いは上げるべき段階に来ておるということになりますならば、これは当然補正予算を組んで、今国会に再勧告をもしなければならんという状態にあつたという点からいたしまして、今国会或いは近い将来において補正予算を出す意思があるのかどうか。或いは今国会に出さない理由についてはつきり述べて頂きたいと思います。
  114. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 財源があるとまだはつきり申上げてはおりません。ありそうだということを申上げておるのであります。それで給與ベースを上げるということになりましたならば、とにかく何とかして財源を見付け得るような状況に相成つておると申上げておるのであります。これは見方の問題でございまして、非常に滯納が多い、又中小企業の方が非常にお困りで予算通り取れないということも相当有力な考え方でありますので、我々は、その他各方面のことを考えておるのであります。給與の問題について物価がどうこうおつしやいましたが、御承知通りに五月のCPIは一二六、なんぼ、四月は一二四、なんぼでございます。昨年のそれに比べますと非常に下つているのであります。こういう点は給與引上げ論の反対の根拠になるのでありますが、私はCPIいうことはでは勿論尊重しておりまするが、公務員の方々が民間に比べて安いという事実、低過ぎるという事実をできるだけ早く調整しなければならん、そのためには一つ財源も捻り出そう、捻り出せそうだという状況であるのであります。いつ上げるか、どの程度上げるかということは、繰り返して申上げますように、只今申し上げる段階に至つておりません。それが決まらない以上、暫定予算を組む、組まんということも一連の問題でありますので、只今お答えいたすわけには参らないのであります。
  115. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 重ねてここで官房長官に言いましたベース・アツプの再勧告が出そうになつた前後の政府の動きというものを、言いたくはないのでありますが、選挙の公約のみならず、その後の政府の方針のみならず、最近における政府の動きから考えまして、当然問題は遠い将来の問題じやなくて、現在の問題として問題があるということは明らかであります。そういう点から考えまして、時期は言明すべきではない、或いは云々といつたような今のよう答弁は出て参らないのでありますが、補正予算の問題につきまして、いつ出してベース・アツプなり、或いは暫定措置なりを講ずる意思があるかということを重ねてお尋ねしたい。
  116. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 只今お答えした通りでございまして、賃金ベースの問題につきましては、閣僚の中で私が一番知つておる考えでおるのであります。それが言われない状況にあるので、御了承を願います。
  117. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 補正予算も出せない、或いは申上げられないという状態でありますが、人事院総裁の、補正予算を出されないということが明らかになつた云々ということで、先般来官公労を中心にいたします民主的労働組合の代表は、この国会の当初に当りまして国会鬪争委員会という組織を作つて政府なり国会に対して折衝をしておるのでありますが、その一部であります全逓の諸君が田村電通大臣にお会いをしたときにも話が出ておつたのでありますが、現に專売局においては六千三百七円のベースよりも上つた給與を貰つておる。それからベース・アツプができないということで抑えて置きますと、既定予算の枠内で各省においてできる措置を、これは合法的ではないかも知れんと思いますが、或いは超勤手当等々の方法によつて、いわば現実的にこれは合法でなくても、部分的に給與を上げて行く、こういう方法がとられる危險性もあるし、すでにその例も、そのとき大蔵省の例も出ておつたのでありますが、これは正式にあるということを言うわけには参りますまいが、そういう傾向が出て参るということは明らかだと思うのであります。現状において予算の範囲内で出す意思があるかどうかという点について承わりたいと思います。
  118. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 補正予算は組まないとはつきり申上げたわけじやございません。私は給與の引上げにつきましては努力しているのであります。関係方面との折衝が付きましたなら明日にでも出せますが、今そういうことははつきり申上げられない、或いは臨時国会を開くようなつたときに臨時国会に出せるか、こういう問題も申上げられない、こう申上げているのであります。  次に既定予算の範囲内で出せると申しましても、現に超過勤務手当につきましては大体の目安で予算で決まつておる。その流用につきましては大蔵大臣の承認を得ることになつておるのであります。我々は公務員がやはり法律從つて行くのがいいのである、法律を冒したり予算を便宜流用するということは嚴に愼まなきやならんと思うのであります。これは国会に対しての我我の責任としましてもそうしなきやならんと思います。
  119. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 建前は勿論そうでありましよう。民主的な労働組合にしても、民主主義的な方法、合法的な方法で国会を通じて給與を上げて貰いたい、そういう努力を続けて参りましたが、限界にぶち当り、或いはその限界を越しますと、民主的労働組合の活動にいたしましても、そこに予測し難い事態が起るわけでありますが、或いは予算の執行にしても、勿論話の通りでありますけれども、無理に抑えて置きますと、そういう事態が起る危險性が多分にあり、すでにそういう段階に達しておると考えられまするので、これは補正予算なり、或いはべース・アツプについて努力中ということでありますけれども、そういう事態に直面いたしましてどういう方法でやるかということについて、この問題の合理的な打開のために我々も苦心するわけであります。そこで予算の範囲内で云々ということを申上げたのでありますが、実情に応じましてもう一度そういう方法についても考慮する余地はないかどうか。或いは先程も言われましたべース・アツプの問題について、その努力の、何と申しますか、見通しは困難だと思いますが、いつ出すか。今国会中になるか或いは次の臨時国会になるか分らんけれども、最善の努力を盡して現在やつておるという点は了解して……。
  120. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 先程お答え申上げましたところで御了承願いたいと思います。
  121. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) その他ございませんか、大蔵大臣に……。
  122. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 今までの答弁をお聞きしておると、非常に露骨に申上げますと、一応衆議院の方でも態度が決まつたし、それからこの参議院の人事委員会の方もこの場で答弁をして言い拔けして置けばいいのだというようなことの感じが多分に我々は受取れるのですが、少くとも国務大臣であり、而も全官吏の給與を握つておるところの大蔵大臣考え方が、私はいま一歩進んだ考え方になつて頂かなければ、今日の民主的な労働組合というか、官公吏の給與の問題が解決付かず、況んや日本の自主的な確立ということもできない段階に来ておるのではないか。いろいろ聞いておると、先に首相が言明し、又大蔵大臣がこれに便乘した言葉を吐き、淺井人事院総裁給與改訂をしろということを直ちに覆さざるを得なくなつた、覆さざるを得なくなつた原因は那辺にあるかということを端的に言えば、渉外関係にある、こういうふうに結論が分つておる。その分つておるものをここまで来て、而も対外的にも可なり險惡な空気を孕んでおるときに、このまま臨時国会だけ押し通してしまえばいいのだというよう考え方でなくて、もう少し真劍に、大蔵大臣が本当に一つ宜公吏の給與考えてやろうという考え方の上に立つて、いわゆる窮状を俺が打開してやろうという熱意を持てばやり得る段階まで来ておるのをやらずにおるのだというよう考えられるので、私は考え方を聞くというようなことよりも、今日只今即答して呉れということではないが、その現実を、やはり大蔵大臣、首相も言明したことで、一国の首相であり、大蔵大臣である者が来年の給與ベースの引上を堂々と議政壇上で約束する必要はないのであります。少くとも目前の現実を中心として、来年になれば来年のいわゆる客観情勢が生まれる。来年のことを我々人事委員一人も聞こうとしていない。又議員全体がそうであると同時に、公務員全部が来年のことを今約束して貰うということは一人も考えていない。現実をどう処理するかということを考えて、これをただ理論鬪争において議論で押し通そうとするということでなく、この事実を処理して貰いたいということを相談しているのです。こういう観点に立つてもう少し熱意を持つて、本当に端的に言つて渉外関係がまずいならまずいように皆で一つこの事実を持込んで行くというような決意を持つてつて行こうとするならば、私はやり得るのじやないか。ここで踏切つてやるべきだ、こういうふうに考えるので、そういう意味の決意を大蔵大臣にして貰うと同時に、是非ともこれはやつで貰いたい。そうして尚且つできない場合には、先程吉田委員の言われるように、予算の枠内ならやつて行けるというような、そういうような本当に具体的な考え方の上に立つて政府公務員と全く反対の立場で答弁して言い抜けして行ければいいのだというような、そういう考え方でなしに、真劍に公務員がどういう生活の状態に置れておるかということを、あなたの方も今までの話を聞いて掴んでおると思うから、掴み方はそう完全じやないけれども、掴んでおると思うから、それを掴んでいるならば、それに実際に希望を與え、それを活用して今の日本の建直しをしようとするならば、一つあなたが補正予算をするとかしないとかいうよう考え方じやなくて、根本的にやろうと思う決意を持つてやればでき得る段階に来ておるので、それを十分大蔵大臣にここで肚を決めて貰いたい。それから人事委員会の希望通り動いて貰いたいということが、單なる人事委員の希望でなくて、これこそ全公務員の希望で、一日、二日前に、昨日が日曜で、一作品から来た葉書だけれども、こういう要望書が来ているのですが、全部自宅の方にあるのを持つて来るとこのぐらい……給與ベースの値上げをやつて欲しい、そうして我々は日本の再建のためにやりたいという沢山の葉書が来ておる。答弁だけうまく切り拔けすれば臨時国会はうまく終つてしまう。そのうちに又客観情勢が変つてよう。それ程計画的ではなかろうが、そういう響きのある、周囲の人人がお聞きになればそういう感じを與えられると思う。そういう感じを與えないように真劍に、俺達はやれるだけやつたのだが、どうしてもいかんから、さてそのいかんときには予算の枠内で、三十億あるか、二十億あるか、或いは百七十億あるか知らんが、それをどういうふうに処理して行こうかという考えの上に立つて処置して貰わなければならん現実の段階に来ておると考えるので、この点もう一つ誠意のある御回答を願うと同時に、そういう方向付けで動いて頂きたいということを特に要望いたします。
  123. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 来年のことを我々聞きたくないのだというお話でございまするが、私は安定から自立への方策としまして、十五ケ月予算をやつて来年はこうするのだということは、経済財政の向うところを知つて貰うという意味において非常にやらなければならんことだと考えておるのであります。これは給與ベースだけを来年こうやるのだというわけじやありません。債務償還もやれば、財政規模を縮小するとか、減税を相当やるのだ、こういう一連の財政経済政策をあの選挙前に発表するということは、政党として当然のことだと私は考えております。而してこの新経済政策はできるものから早くやるという考えを言つておるのであります。このうちに乘つけておりました輸出金融公庫の問題で、毎日のように申しております中小企業の問題でも、今日はこの案、昨日はこの案というので殆んど毎日折衝しておるのであります。給與の問題で熱意が足らんとおつしやいますが、表現が惡いからそう言われるのでありましようが、アメリカへ参りましても、この問題を一番初めに話をいたしました。帰りましても自分の及ばざるところは総理を使つてまでやつておるのであります。ただこのことが占領治下におけるいろいろな問題がありますので控えめ控えめに言つているから誤解を招くのだと思いますが、給與を上げなければならんという急先鋒は私でありますから、上げ得る情勢になつたというときには、機会あるごとに言つておるのであります。その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。できるだけやつております。ですから私は只今申上げましたように、折衝を重ねておりますので、或いは明日でも来るかも知れない、こういうふうな希望を持つてつておるのであります。決して給與の引上げにつきまして人後に落ちるようなことのないようにいたしておりますから御了承願いたいと思うのであります。  それから財源があるからこれを直ぐやつたらいいじやないか、こういうふうにおつしやいますが、昨年の暮の三千円の賞與にいたしましても、吉田総理がマツカーサー以外の方に正式に会うのは初めてである、マーカツト氏に会うために総理にわざわざおいでを願つて、私もついて行きましたが、ああいうような結果になつたのであります。財源があるからといつて日本政府の方で自由に使用できる状態ではないのであります。その点御了解願いたい。
  124. 重盛壽治君(重盛壽治)

    ○重盛壽治君 そういうようなことは池田さんから今更聞かなくても、我々は專門に官公吏の給與問題についてさんざん増田官房長官と話をしておる。而もこういうことは申上げたくないが、專売の裁定のときにも、もうこれ以上できないということを増田官房長官は言われた。そのときに我々はそれができないということは……一面專売の総裁は予算があると言つておる。それにも拘わらず政府ができないという理由はどこにあるかといえば渉外関係にある。渉外関係一つ体当りして呉れんかということで、官房長官にも鈴木労働大臣にも皆に言つて来た。昨年の裁定を通したときに諸君の協力のお蔭でできたのだ、こういうようなことを増田官房長官がおつしやつたことがありますが、そういつた径路と、現実を我々は知つておるのであります。今の大蔵大臣の話によると、必ずしも来年にやるということを決意されておるというのじやなく、或いは明日にでもやるのだということを決意しておるということは非常な前進だと思いますが、その考え方を捨てることなく、この議会中に問題が解決するように、そういう方針でこの委員会で明確にして頂くようにして頂きたい、こういうよう考えておるのであります。理論鬪争をしておる段階ではないということを申上げておるのであります。
  125. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 大蔵大臣は時間が……よそから呼びに来られておるのですから大蔵大臣一つ質問がありましたら……。
  126. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 明日にでもということは、私が努力を続けておるということのあれでありますから。
  127. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 人事院総裁のこの間の声明といいますか、談話ですね、今年度予算は如何なる予算も、補正予算は出ない、そういう事実が明瞭になつたという発表をしておるのであります。これは恐らく大蔵大臣もそういうことはお知りになつておるのだろうと思いますがどうでしようか。
  128. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 人事院の総裁がどういうことを御発表になつたかはつきり私は読んでおりませんが、この如何なる場合においても本年度補正予算ができないというところまで私は考えておりません。補正予算ができないといえば輸出金融公庫の問題もこれは政府機関としてやるとすれば、これは形式的な補正予算ですから……。
  129. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 給與のことに関する…。
  130. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) その点については直接聞いておりません。人事院総裁はそういうことを言われたかも知れませんが、私は給與の引上げは当然にやるべきだということを申上げたのであります。
  131. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) もう一つ人事院総裁が、而もあの声明は單独でなかなか出したものでないと思うのです。それで政府が分らんことを出したのではないと思うのですが、今日の事情等から或いはその他の関係でああいう発表をしたかも知れませんけれども、これは政府人事院との間の連絡というものが欠けておるということを我々は考えるのですが、人事院給與ベースに関する問題と、財政上の問題とについては何か御折衝でもなさつてそうして今日まで来られたのかどうか、そういう点も一つお聞きしたい一点。それから給與に関する補正予算人事院総裁の言うようにできない、今国会にできないということになれば、あなたが幾らやろうとしたところが壁にぶつかることが明瞭なんです。行くところまで行けば壁にぶつかると思うのです。そこで暫定措置、あなたの言われた暫定措置ということが可能であろかどうか。このことは今本当に窮迫している公務員考えていることなので、それは率直に今の見通し、又あなたのお考え、これをお伺いして置きたいと思います。補正予算が組まれない場合において如何なる暫定措置でやるか、この点でございますが。
  132. 国務大臣(池田勇人君)(池田勇人)

    ○国務大臣(池田勇人君) 人事院との連絡につきましては、私は直接その衝に当つておりません。アメリカから帰りまして人事院総裁から一回訪問を受けました。そうして給與の問題につきまして意見を交換したことはございます。その後ここ暫くお会いしたことはございません。人事院の方におかれましても、勧告をなさる前に財政状況なんかは十分御検討になつておることと私は考えておるのであります。又若し連絡がございますれば、私が直接に財政その他のことについて人事院の方に説明してもいいと思います。  次に補正予算を組まんとすれば暫定措置ができるか、こういう問題でございますが、これは私は不可能だと思います。実質的には経費の流用ということは、暫定予算と同じようなことであるのであります。昨年の暮におきましては、物件費、人件費を流用いたしまして、相当年度を経過したときでありますから、特に予算的措置はとらなか  つたのでございまするが、只今つて、而も相当の額を出すということになりますと、どうしても補正予算を要するのではないか、こういう考えで暫定措置をとることは、これはなかなか技術的にも困難だし、渉外関係から言つてもむずかしいことだと思います。
  133. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  134. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 速記を始めて。人事院の山下さんと給與局長が見えておりますから、この際御質問がありましたら……。
  135. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 それではこの前に淺井人事院総裁に決意の程を承つて参りましたのでありますが、これは淺井人事院総裁としては現在においても、その後においても決意の程は同じだと、こういうお話でありましたが、これは事態が、前の事態と今日の事態とは私は違うと思つております。それは申上げるまでもなく本会議で、近い将来において、極めて近い将来において勧告をすると、これはベース・アツプをしなくちやならん、そういう信念の上に立つてベース・アツプのための勧告を極く近い将来においでする。極く近い将来においてするということは、二、三日の間においてするという意味と同じだと思うのであります。そういう公式の言明を本会議においてされて置いて、それができなくなつた。そこで私は如何に本委員会なり、本会議で弁明を聞きましても、今までのよう説明、弁明では私は真に納得がいかん、腹の底から納得がいかん、或いは国民と雖も納得がいかん、或いは公務員も現に納得はしておらんのであります。從つて会議で申上げましたように、人事委員会の存在そのもの、人事院の存在そのもの、それから国家公務員法の全文、こういうものが危機に瀕しておる、これは事実だと思うのであります。この問題についての公務員のいわゆる下部の声というものを少し、これは形なき声として現に出ておるし、又我々としてもその声について共感を感ずるものでありますが、人事院としては如何なる決意を有されるか、如何にしようとせられるか。如何にして人事院権威を守り、或いは国家公務員法を守ると言われるか。その具体的な措置について一つつて置きたいと思います。
  136. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) 今、吉田さんのおつしやつたことについてお答えいたしたいと思いますが、ちよつと速記を……。
  137. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  138. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 速記を始めて。
  139. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 ドツジ・ラインとインフレのことを言われましたけれども、ドツジ・ラインとインフレの問題は、この論争は盡きておると思います。これは大蔵大臣はつきりそこで言明しておられました通り、本会議の席上でも、給典べースを上げても必ずしもインフレにはならん。これはまあ人事院が前回から言つておられたことの裏書をしておると私は考えるのでありますが、給與を上げ得るに至つた程安定をしておるということは、これは大蔵大臣も言つておるように、インフレ問題と給與問題との障害の点は私は片付いておると思います。そういう実質的な点は片付いておつて、ただ形式的に極めて近い将来において勧告をし得る、これはしなければならんと考える。それができなくなつた。それについての責任と申しますか、或いは今後の打開策についての責任というものは残つておると思います。それをどうするかという点を、具体的に人事院から一つ言明を願いたい。これは、ただ近い将来において、補正予算を組む前に勧告し得るだろう。勧告をしても、それが実現するかということになりますと、或いは八月か九月ということになり、或いは次の臨時国会ということになりましよう。たとえ遡つたといたしましても、七八ベースを勧告せられた二十五年度ならば、二十五年度の初めからの予想というものは、これは実現せられたわけであります。御承知ように昨年の勧告があつて、そうして民間給與との差額がある。或いは物価の値上りと比べて現在の給與は低きに失しておる。それに対してべースが上げられずに今日に至つた。上げて呉れ、人事院勧告基礎にして上げて貰いたいという声を、全官公吏の諸君が挙げて、而も民主的労働組合は、合法的に国会を通じて、それを実現して貰いたいということを第七国会が終りますまで痛切に叫び続けて、そうして今日に至つた。第七国会の終末はああいうふうに專売局、電産及び全金属の三單産のべース・アツプ、参議院の人事委員会は一応給與は上げてやれという結論になつたのであります。ああいう結果になりましたので、問題は今国会、八国会に持ち越された。この第八国会において問題を解決すべき客観的な経緯と、それから情勢に合うところの勧告をする。それならその勧告は臨時国会では実現ができるかというところに、今我我の納得のいかない中止という事実が起つて来た。それに対してどうするか。或いはその経緯によつて失われた人事院権威というもの、公務員法の精神という問題をどうするかという問題にかかつておるわけであります。勧告を次になさるまでに今度起つた問題について收拾をどうするか、人事院権威の存続のためにどういう措置を講ずるかということについて人事院に決意を述べて貰いたいということを申上げて置きます。
  140. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) 我々が勧告をするというのは、ただ勧告をして見栄を張るためではありません。勧告をする以上どうしたらそれが実現し得られるかという点が第一なんであります。それで結局我々はこの国会に補正予算が出るだろう、新聞では出そうもないけれども、或いは出るかも知れんという一縷の望みを持つて我々は勧告ようと思つたのであります。併しその望みが全然なくなつた以上は、それじやただ空鉄砲を出してそれでよしろいかということになると、それはいけない。それではどうしたら実質が得られるかといえば、一番近い機会に出す。即ちこの国会が駄目なら次の国会に、というようにできるだけ沢山の時期をここにおいて、時をおいて、そうして予算に組込み得られるよう勧告をするということが我々のやるべき最善の途だろうと私は思います。その以外に今のところ考えようがない次第でございます。
  141. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) それでは十分間休憩します。    午後五時五十八分休憩    —————・—————    午後六時十五分開会
  142. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) それでは休憩前に引続いて開会します。
  143. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 先程の山下人事官の吉田委員に対する答弁に関連する問題ですが、今度の給與べースの勧告の問題が、御承知ように衆議院、参議院における淺井総裁の本会議上の答弁、それから十八日に発表されましたいわゆる淺井総裁談というもの、この明らかな食違いに対しては、私共その責任を十分追及しなければならない次第で、このことについては当委員会においても、淺井人事院総裁に対して本問題の動向如何と睨合せながら我々は追及するつもりである。ただ併し今は保留するというふうに申上げておきました。勿論今度のこの問題の発展の経過の中には、いろいろといわゆる最高方針と呼ばれるような問題も附随して起つておりました。從つてこれは決して單純なる問題ではございませんけれども、併しながら要約して申上げますならば、大体が先程山下人事官も言われましたが、山下人事官は、勧告はどこまでも実施されるということを前提として考えなければならない。從つてそういう場合に補正予算が提出されるかどうかということも同時に幌合せて考える必要がある。こういうふうに御答弁されましたが、併し何回も聞かれました人事委員会の席上ではつきり確認されましたように、公務員法の二十八條によるところの勧告は、補正予算の見通し、或いは又予算の見通し等に制約を受けるものではない。これは今後においても人事院の方針としては変らないということをはつきり答弁されております。恐らく先程山下さんのおつしやつたことが、勧告をする場合にはその点について或る程度の考慮を加えるという程度の私は弱い意味言葉であつたというふうに考えております。從つて私は人事院総裁が確認されたように、将来においても、この第二十八條によるところの勧告は、予算の提出であるとか、或いは給與法案の提出云々の問題には一切拘束を受けるべき性質のものではないというふうに私は考えておるのですが、今度の問題が一応総司令部その他の方面から或る程度の意思表示がなされるというふうに私は非公式な会談でも承わつておるわけですが、問題なるものは、実はそういうふうな蔭の取引であるとか、或いは蔭で判明する、国民の前で、公の前で発表されないところの蔭の問題如何は一切抜きにして、今度のこの給與ベースの淺井総裁の本会議における言明、並びに十八日に至りましてからのあの総裁談、こういう点の食違いに対しては、やはり公の席上においてはつきりとその責任を追及する必要があるという意味は私が申上げるまでもなく、国家公務員法というあの法律のために一体公務員はどういう目に合つておるか。御承知通りマッカーサー司令官の勧告によつて国家公務員法が改正されましたときに、公務員諸君の持つていた団結権というものが事実上抹殺されておる。その代償としての集中的な表現、公務員の利益を擁護するという集中的な表現がこの第二十八條の中に盛られておる。而もそういう二十八條の解釈としては、予算の問題なんかに拘束を受けるものではない。こういう立場から言いますと、少くとも今度国民の前に明らかにされた人事院の態度というものは、総裁談で明らかなように、給與法案の提出若しくは補正予算の提出ということの見込がなくなつたために人事院勧告することを延期するのだ。はつきりこういうことを言つております。そうして勿論これは蔭の事情として、たとえどういうことがあつたといたしましても、公務員諸君にとつては少くとも公務員法というものが民主的な法律としての立場から言うと、この枠内において公務員法を守りながら労働運動を続けて来ている。そういう面から言うと、一体それでは誰が公務員の利益を擁護するかというと、やはりこれは人事官諸君がこの問題に対しては明らかに責任をとらなければならない。務公員法の第三條におきましても、「この法律の完全な実施を確保し、その目的を達成するため人事院を設け、」一云々となつている。そういう人事院の立場から考えましても、例えば人事院が外部から如何なる制約を受けたにいたしましても、或いは如何なる制肘を受けたにいたしましても、少くともこの法に盛られているところの、公務員を擁護するという責任が人事官にはあると思うのです。從つてそういう人事官諸君が、特に淺井人事院総裁を初めとして、今度の勧告の問題に関連して給與べースが非常に難関に乘り上げたということに対しては、十分責任をとつて貰わなければならない。そういう立場から言いますと、この困難な立場に乘り上げたところの給與ベースに対しては、人事官諸君がどういうふうにこの問題を乘り切つて行くかということの覚悟が私は必要だろうと思います。その覚悟が今まで持たれていろいろ努力されたというようでありますけれども、併しながら現在の状態において、人事官諸君が止むを得ない力によつて圧倒されたとは言つても、それでは一体公務員諾君に対する人事官の責任はどうするかということに立至ると、私はこの国家公務員法というもののその実施の責任に任じ、その実施を確保するという立場を守るためには、人事官諸君が自分の職を賭して鬪わなければならない。若しそうでないならば、誰も公務員諾君の利益を擁護することができない。こういう形に陷るわけでございますから、私共は人事官諸君がこの公務員法の第三條によるところの完全な実施を確保することができなければ、この際その責任を十分とつて貰わなければならない。そこで私は淺井総裁に対して一応その責任の追及を保留してございますが、御承知ようにもうこの問題についての見通しは非常に困難だ、從つてこの困難な情勢を打開するためにも、私は当人事委員会において淺弁総裁に対しても十分その責任を追及するつもりでございますが、幸い山下人事官がおいでになつておられますので、山下人事官は職を賭してもこの公務員法を守るために、又公務員諸君の利益を擁護するという責任を果すために、職を賭しても鬪う。つまりこの際、自分は公務員法によつて公務員諸君の利益を擁護することができなくなつたということをはつきりと最後に表明して辞職をされる意思があるかどうか。この際私はこれを山下人事官からはつきりと御答弁を承わつて置きたい。
  144. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) 二十八條による場合に、予算考えに入れてはいけないということは、私もたびたび言明したことでありまして、何故かというと、若しも大蔵省給與局、或いは主計局のごときものであるならば、そこで公務員給與はかくのごときものでなければならんという数字が出ても、大蔵大臣からそんな金は出ないからお前は一つ五百円とか、一千円ぐらい引いて置けと言われると引かなければならない。そうするとその数字に対して理窟をつけて行かなくちやならんということになれば、この世の中に発表せられる数字、或いは国会に発表される数字を信じていいか惡いかということが怪しくなつて来るのであります。それだから人事院は、決して予算考えてはならないんだ、ということを私はたびたび言明しておるところです。先刻も大蔵大臣に交渉をしたかといつたような御質問大蔵大臣にあつたようでありますが、私共は誰とも交渉しない。但しただ一つのよりどころの理由がなければならん。例えば国民全体の生活水準に給與を合せるのだ。これに対して誰が小言を言うか、或いは誰が不賛成を唱えるかということを考えていないだろう……そうすると交渉の余地がない。交渉をする以上は、何かそれではこちらは、或るものをまあ讓らなければならん。讓つたらそれだけを今度は讓つたと言えないから、それを讓つたと言わないように理窟をこねなければならん。それは国民を瞞着するゆえんであるから、そういう取引は我々はできない。この国会でやる、国民の目の前でやる。それが人事院である。だから人事院は強いとか、弱いとか、存在がどうのこうのとか言われますけれども、若しも世の中に政党によつても歪曲されない、或いはどんな労働組合、強い労働組合によつても曲げられない、或いは総理大臣によつても曲げられないという存在があるならば、それは人事院はいつでもそういうところへ仕事を明渡ししていい。そういうものが日本にないんだから是非そういう一つのものが必要だ。但しこれだけは公務員として当然給與があるべきだ。けれどもそれはお金があるかないかということは別問題であつて、それで国民に訴えてこういう状態にあるけれども、日本はどうしても金が足らないからできないんだということを、ここで審議して貰う筈のものである。今日も石炭手当のことだとか、寒冷地手当のことについて、私は非常に不満足に思つたのでありますが、その数字がいいとか惡いとかいうものが政府の中に二つあつたらこれは分らんと思う。若しも人事院のやる数字が惡かつたら、大蔵省人事院お前のやつたの間違つている。それで全体に対して数字間違つておりましたということを、お前がやるべきじやないかというならば、それは分るのでありますけれども交渉が一つもなくて、そうして人事院のやつも考えに入れた、それから外の物価庁のも考えに入れて決定したという、こういうことではこれは民主的でないと私は思うので、そういう意味において我々が決定するものは決して交渉しない、秘密の交渉をしないということが、我々の建前だと実は思つておるのであります。そういう意味において公務員の利益を擁護するということが、我々のやるべき任務であろうと思うのであります。ところがこの際、この間の情勢は先刻説明いたしましたように、日本が特殊な状態の下に置かれておるということをお考えになるとお分りになると思うのでありますが、責任云々の問題につきまして、辞職してその責をとるというようなことは、私は違う考えを持つております。何故かというと若しもこういう方法をとれば成功する、併しこちらの方法をとつたから成功しなかつたのだ。それだから責をとれということであるならば、はつきり分るのであります。併し誰がやつてもこの一つの途以外にないのだというときに、それは責をとるべきものではないと私は思う。現に私は自分で今までにもうやめますということを何回か言つたことがある。その言つたときは例えばこの間の附則九條の試験の問題のときに、あれが若しも漏洩したということがあつたらどうするかというと、私は落第しているのだから民間にどこか職を求めるということで、どんどん皆がサボタージユをやり出したら一体どうなるか。半年も行政に空白ができるじやないか。これはできるだろう。そういうことで我々は責任をとつたのだから、だから半年も一年もこれが洩れないような特別な方法をとらなければ、私はもうおれないのだと言つたこともある。その外にも二、三あります。併しそれはこういう途をとればいいが、こういう道をとらなかつたら駄目だというときであつて、どんな方法を取つても駄目なときに、そんなようにただ責任をとるということであるならば、私共の考えておる責任なるものが少し違う。そういう意味において、それは総裁がまあ言つた、総裁の責任があると言われればそれを総裁はどう答えられるか分りませんけれども、私共も総裁の意見に対しては責任があるのでありますから、私自身としてはそう思つております。それだから今一番いい方法は、実行の一番いい方法は何かというと、できるだけ早い機会に、許されるできるだけ早い機会において給與勧告をするということが、我々に残された途である。誰があの位置にあつてもその途以外に方法がないということを確信しておるから、私はそういつたような責任をとるということ自体についても、もう少しよく考えてからでないといけないと思つております。
  145. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 私はこの給與ベースの問題を誤解したり、或いは又不利になるような形において、只今山下人事官に責任を追求したのではございません。先程山下人事官は、あの十八日に発表されました淺井人事院総裁の談話そのものが、実は或る程度の将来に対する一つの收獲だと、こういう言葉を吐かされましたが、私はそういう言葉意味としているものを了解いたします。恐らく山下人事官がああいう言葉を吐かれたことは国会において言明したように、国会の開会中には勧告は不可能になつたけれども、併しながらあの声明を発表したことによつて、発表することができるという状態を獲得したことによつて、この国会の閉会直後において勧告はできるのであります。そういう点からあの淺井総裁談も決してあれは無駄なものではなくて一つの收獲である。こういうことを私は人事官は言われたのだろうと思います。併しながら私共はやつぱりそういうふうな事情が仮にあるといたしましても、それから又一方においては総司令部と政府の関係、或は総司令部と政府並びに人事院との関係、こういういろいろな問題について事情は一応判明いたしましたので了承はいたしまするけれども、さてそれではこういう段階になつて、どういう方法がそれでは給與ベース改訂の勢いを有利にするゆえんであるか、そのために残されておる途というか、こういう点を我々は考えたわけであります。そうしてその結論として、私は先程山下人事官に対し、淺井総裁に対して今後なすことあるべき責任の追及と同時に、先ず以て山下人事官の責任を追及したわけであります。その責任を追及したわけは、たとえ外部的な関係がどうありましようとも、少くともこの国家公務員法というものは、その改正された過程から見ましても、少くともこの公務員法を公務員諸君に対して国内法として実施し、その実施をすることによつて公務員諸君に非常に基本的な人権を制約して、不利な立場に落し込んだけれども、併しながらこの公務員法を完全に実施することによつて、一応例えば二十八條の関係におきましても公務員諸君の福祉は擁護するのだ。擁護できるのだ。こういう立場をとつておる筈でございますし、この点については人事官もそう了解し、公務員諸君も同様に了解をし、そして又その上に立つて公務員諸君の労働運動が続けられておるといたしますならば、たとえ外部の関係がどうありましようとも、公務員諸君の了解する限りでは、自分達がこの法律を遵守して行くことによつて、決して自分達の利益が守られないことはない。守つて貰えるのだ。給與べースの問題も人事院は客観情勢の変化によつてこの適用を勧告して呉れるのだ。その勧告自体はどこまでも人事院の独自な立場においてなされるものである。少くとも予算の制約云々、或いは又補正予算云々、給與予算云々によつては関係しないということを公務員諸君が了解しておる。了解しておるからこそ合法運動が続けられておる。この法律の枠内において合法運動が続けられておる。こうなりますとこの公務員法を実施する責任を持つているところの人事官諸君が、今度の問題のよう予算の問題であるとか、或いは先ほどからいろいろ非公式に発表のありましたその筋の関係とか、そういう問題を幾ら国民諸君に話しても国民諸君は納得しないし、勿論公務員諸君はそういう法律から逸脱しておるこの法律にないようなやり方については納得しない。我々国会議員も又そういう方法については絶対に承服できない。從つてこういうふうな段階に落ち込んだときに、それでは一切の外部の問題であるとか、対政府の問題について、どういう解決の方法が残されているかというと、私はやつぱりこの法律はつきり守るために、この法律の第二十八條の公務員諾君を擁護するこの立場というものを人事官諸君がはつきりさせる必要がある。そうなると人事官諸君がいろいろな情勢の制約を受けて、この法律を実施することの、確保することの責任をとらなかつたのだから、從つてそういうふうな問題について人事官諾右が明確に国家公務員法を自分達は擁護することができなかつた。或いは又確保することができなかつたという立場で、はつきりした決意を持つて貰わなければならない。そこに私はたとえ外部の問題がどうありましようとも、対政府の問題がどうありましようとも、少くとも人事官の三人の諸君がそういう態度をおとりになれば、私はそこからこの給與べース改訂の問題が開けて来る。ここに人事官の諸君がはつきりと辞表を提出されて、こういうふうな情勢の下においてこういう制約を受けては、自分達は公務員法を確保することができないのだということが見えるようになれば、これは人事官諸君の手を離れて大きな立場において、国会なり或いは又国民諸君、及び公務員諸君の労働運動なり、そういう方向から私は解決の途か出て来ると、こういう立場から私は人事宮諸君に対しては一応気持の上においては忍びないものがあるけれども、この際九十二万の公務員諸君、並びにその他の一般地方公務員諸君の立場を擁護するために、この際人事官三人に犠牲になつて頂きたい。骨は必ず公務員諸君が拾うのだ。そういう気持で私は徹底的に人事官諸君の責任を追及いたします。從つてもつと明確に率直に人事官の御答弁を私は要求いたします。
  146. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) この前七千八百七十七円ベースを勧告いたしました時には、先刻申しました通り丁度一年一回必ず勧告をしましたが、その方法はこうしなくちやならんということになつております。若しもあの時に報告ができないで……例えば到底これは実行できないからということで、あれを勧告をしなかつたら、これは法律違反であり得るのであります。併し今回はそういう制約はありません。それで若しも、又政府と何か話合つて、そうしてこの勧告を延ばそうじやないかというようなことがあつたら、これは誠にいけないことであります。これは罪は非常に重いと私は思います。それから又七千八百七十七円というこの前の勧告は生きておるのでありまして、あれよりも余程離れておつて、例えば五〇%以上も離れておるということであつて、それで知らん顔をしておるのではこれもいけないと思う。併し大体は七千八百七十七円という線に守られておる。例えば今ここに政府予算を盛ろうとしたときに、七千八百七十七円で組んで呉れてもちつとも差支えない。又そういう時があれば内部的には無論勧告し得る情勢の下にあるわけでありますから、それはもう問題はないのであります。それでとにかく公務員を擁護するというのに、これ以外に何とかいう方法があろなら、それは無論そうすべきでありましよう。併し三人や五人やめてみたつて、そんなことで左右せられるような情勢でないということだけを御了承願いたいと思います。
  147. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 情勢に対する認識につきましては、これは山下人事官と私の認識の程度が違います。それから又もう一つ只今山下人事宜は昨年の十二月四日に出された勧告は、おれは法に基いたものである。あの場合には予算その他の制約を受けてはならないのだ、こういうふうにおつしやいました。どうも二十八條の法解釈の点において、聊か私の見解と食違う点があるのではないか。私はかよう考えます。どうしてかと言いますと、この公務員法の第二十八條のごとく、人事院は毎年少くとも一回俸給表が適当であるかどうかということについて、国会並びに内閣に同時に報告しなければならない。そのときに給與の百分の五以上の増減をする必要があるときは、その報告に合せて人事院給與べース改訂の勧告をしなければならない。こういうことになつておりますが、第一項の方では、社会一般の情勢に適応するように随時これを変更することができる。随時となつております。そしてその変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。こういうふうになつておりまして、決してこの情勢適応の原則というものは、一年に一回だけの制約を受けるものではなくて、この一項に関する限りは、その情勢に適応するように、いつでもそういう措置がとられなければならないし、これも人事院に負荷せられておるところの責任と、我々こういうふうにこの二十八條を了解しております。(「同感」と呼ぶ者あり)ましてや、今度の場合におきましては、昨年十二月四日に勧告されましたところの給與ベースというものは、まだ全然実施されておらないで、六千三百七円べースに釘付けされておる。こういう情勢からいたしますると、特にこの法律の第一項によりますると、一年に一回とかそんなことなんかてんで問題になりやしない。あの勧告か実施されておらない以上一ケ月でも二ケ月でもどしもどし人事院は情勢の変化に応じて敏府並びに国会に対して報告する義務を有する。こういうふうに私は考えておりました。今度の人事院が用意した勧告というものも、これ又私共はむしろ遅れたというふうな見解をとつておりますけれども、決して早いというふうな見解や、それから又これは法の裏附けのない人事院のおせつかいの勧告であるというふうな只今の御答弁に対しては、非常に私は不満に堪えない。この点について山下人事官から御答弁を要求します。
  148. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) 周囲の情勢を見て、随時変更をしなくちやならないことは、その通りでございます。併し、先刻もお話しましたように、七千八百七十七円という数字は大して変らないという結果になつている。それですから予算を組む上に、これをこのまま使つてつても差支えないというのですから、随時変更をするというところには当嵌らない。但し先刻申しましたように内部の多少構造が違うから、これを実現する場合には、内部構造を考えた行き方に変えて貰いたいとは思うのであります。それですからこれの実行が可能だということが分つたら直ぐそれは、内部構造だけはできるようにしたいと思います。予算的には影響がないということがはつきりしておるわけであります。そういうわけでありますからして、二十八條に違反しておるというようには私共は考えない。
  149. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 私は違反しておると申上げたのではなく、人事官が勘違いされている点があるから、それを修正して貰うために申上げたわけでございまして、将来の問題としても、山下人事官が今言わたれように、一年に一回の勧告はこれは法的な基礎に基いて義務があるけれども、その他の場合にはそういう法的な基礎なり、義務はないような、印象を與える御答弁があつた。ですから私はその点についてはつきりと二十八條に対する我々の見解を申上げたわけです。併し、私はこの問題についてこれ以上人事官と論議しても仕方がありませんので、私は先程一番最初に申し上げたように、一体山下人事官はないならない、あるならあるというふうに、はつきり私が申上げた責任追及に対する決意を、この際辞表を懷ろにしても、又職を賭してもやるのだという決意を持つか、そういうことを行動に移すか、それとも自分はのんべんだらりとこの職に止まつて、最善の方法をとるというふうにお考えなつているか、この点私は率直に御答弁願いたいと思います。
  150. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) 責をとるというそのことについて、できなかつたから辞表を叩きつけてよそへ行きやいいというふうに簡單にやる人もあるようであります。併し、私はそうは思わない。これは人が責を……、例えば先刻例を引きましたように、空白ができないうちに辞めるのが本当だと思う。行政の空白ができてから辞める、責を負うという行き方はいけないと思う。ですから責を負うという意味において私は普通の考えとは違うのであります。これは我々が辞めたらどういう方法がとれるか、考えて見てとれる方法が絶対ないから、それだから我々はその責任を実は相済まんと思いながら、情勢の上から自分に責任があるとは思わない。これは考えが普通でないかも知れませんけれども……。
  151. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 どうも山下人事官は私が一番最初に申上げた話を了解しておらんようです。私は單に問題を解決しなかつたら責任をとつて辞めろ。そして又そういう責任をとつて辞めることによつて問題を不利に導くというのでなく、山下人事官なり、その他の人事官がこの際、私の申上げるような決意を持つことによつて解決の端緒を開くのだ。こういう立場から私は申上げておるわけです。その場合、山下人事官は人事官としての立場なり、人事官の価値というものを非常に勘違いをして、大きく思い込まれておるようですが、私はこの点に対しては決して人事官諸君が現在のような状態では、たといこのまま職に止まられても、恐らくこの問題の解決のプラスにはならない。むしろ私がこの解決の方法として考えておるところは、若しこういう国内法が外部の圧力や若しくは政府の一方的制約によつて公務員法が蹂躙されるような段階において、人事官諸君が重大な決意をされて明確な行動をおとりになる。その行動を私は申上げておるので、それは辞職をするという問題でございます。公務員法を自分達の力で擁護するところの限界が来た。こういう態度を明白に国民の前におとりになれば、私ははつきり解決の途が出て来ると思う。それはどこにあるかというと、現在の公務員諸君の窮迫した生活の状態にある。もう一つは、こういう窮迫した生活状態にある公務員諸君が、ある団結の力を以て必ずやこういいろいろな外部的の制約を押しのけるところの強い起上りをするであろう。そして現在の情勢において、それ以外に私は解決の途はないと思う。こういう立場から私は山下人事官に対して現在辞職を要求しておるのでございます。從いまして私は山下人事官が職を賭すか、或いはどの程度の覚悟をされるか分りませんが、只今答弁程度回答では、私の考えておるところと凡そ隔りを持つておるものでありまして、むしろ職にお留りになろことによつて問題の解決を一歩前進せしめるのでなくして、停滯せしめる。若し私の申上げるようはつきりした決意を以て行動に移つて頂けば、この問題は解決の方向に一歩前進するのだ。その立場から私は私情においては忍びませんが、この際、大乘的の見地から山下人事官にその御覚悟をお願いするわけでございまして、この点について、私の申上げる意味をよく了解されて御答弁されんことをお願いします。
  152. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) いろいろ御意見を承わりましたが、実は相手が政府であるとか、何とかいうのであれば、或る程度こういうことで以て問題を好転さすことができるだろうと思うのでありますが、併し我々今考えたところによりますと、我々の見たところによりますと、そんな簡單なことでは解決しないと思うのです。(千葉信君「分らん」と述ぶ)それは無論判断の相違でありますから、これは何とも賛成して頂けないかも知れませんが、それから又外部の何か制約のためにと言われたが、その外部の制約なるものが、不合理であるならば、それはそういう結論に達することが……、(千葉信君「公務員法に関する限り不合理である」と述ぶ)併しそれが大乘的な上から見ると、日本全体を如何にして破滅から救うか、それは一番大切なことは、何と言つても惡性インフレを防ぐということであろう。今簡單にもう惡性インフレは済んだ、こう思われる人もあるでしよう。併し国際情勢から考えまして、なかなかそう簡単には行かない。そういうとにかく大乘的な見地から国家のために、日本の国家のために考えておるというのであれば、これに向つて楯突くことは日本国民としては、我々日本国民としては、(千葉信君「驚いたね」と述ぶ)よろしくない。併しこれは銘々の意見の相違でありますから、一方的に判断する、或いはこちらから見て判断する。これは違う。併し私共は日本の国民と、(千葉信君「大蔵大臣としては言わない」と述ぶ)そうして正しい判断を持ち、そうして成る程という立派な行動に出なければならんものと考える。とにかく私はおつてもつまらんか何か知りませんけれども、とにかく我々は最善の努力をしておる。若しも自分のやることが、国家のためにならないということであれば、いつでも辞める。そんなことはわけないのだ。だけれどもそういうことでない、これはこうやるのが今の国家のために一番いいんだと、そう思つているから、私は特に責任を感じないということです。
  153. 千葉信君(千葉信)

    千葉信君 もう一言……、大体非常に腕曲に言われておりますけれども、一応人事官の立場から私に対して回答があつたようでございます。山下人事官は私の見解を以てすれば、公務員諸君の立場を考えるよりも、どうも人事院と人事官の立場というものを大きく考え過ぎておられる点があるのじやないかということが、私は非常に只今の御答弁に不満でございますし、それからもう一つは大きな見地に立つて日本の今後の方針としてインフレを抑止する云々という言葉がございましたけれども、これは山下人事官も当然もうお聴き置きでございましようけれども、内閣官房長官でさえとらない見解、大蔵大臣でさえとらない見解、公務員の鶴翼ベースを改訂することによつてインフレに移行するかどうかという問題については、これはもう内閣側からはつきりと、現在の状態においてはインフレに移行するような要素にはならないということを、私共明確に答弁を頂いております。而も只今山下人事官から、何か人事院の職員にもあるまじき、人事官にあるまじき、或いは又我々の最も不満とする側の連中のお先棒を勤めるような御答弁のあつたことは、私はもう不満の至りである。この点については山下人事官に猛省を促して、一応今日の質問は打切ります。
  154. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 私も先程の答弁に不満な点、二十八條の解釈から千葉委員との応答が行われたと思いますが、私が問わんとするところと、千葉委員の問われたところと、大体方向は同じであります。同じでありますが、山下人事官答弁は私にとつてもこれは不満足でありまして、恐らくこれは国会議員のすべてが不満であろう。国民にとつても不満であろうと思います。納得のできる御説明はなかつたと思います。で、この前から申上げておる通りでありますけれども、人事院の言によつて国家公務員法が殺されるか、活されるかという段階に立つているから、人事院として一つ褌をしつかり締めて貰いたい、こういうことを申上げているわけであります。インフレ問題については、今千葉委員から言われましたように、この席上でも官房長官も、それから大蔵大臣はつきりその点は明言しております。ですからその点はもう議論済みだと思います。そうして若しも山下人事官にして良心があるならば、この前の国会の際に六千三百七円べースを七千三百七十七円ベースに上げても、インフレにはならんのだということを数字を挙げて説明された。あれは信念を以てなすつたのだと私は思う。それを外から、或いは大きいところから、いやインフレになるかも知らんのだと、こういうお話があつたからして、それは大所、高所から立つて尤もだと考えられるようお話を聞くことは、誠に以てこれは心外であるから誰も納得するどころじやないと思う。その点は問題は済んでおると思いますし、問題はこの勧告をしなければならん。それから又したいと考える。そうしてそれを言明されて、それができなくなつた、なされなくなつたことについて説明をされるけれども、その説明は少しも通つておらん。例えばインフレ問題にしても理由にはなりません。或いは補正予算の問題にしても人事院として挙げられるべき問題にはならない。挙げられるというより実質的な理由がない。八月に入つた勧告ができるというようなことを言われますけれども問題はそういう点じやない。とにかくこれはどういういきさつで以て、勧告ができなくなつたかということはもうすでに明らかである。先程大蔵大臣が来てその隣りに坐つて、明日にでも実現するかどうかは知らんけれども、努力をして自分はその点について最善を盡すということを言つてつたわけであります。これは或いはドツジ・ラインの問題、或いは給與問題について、見通しと申しますか、事由というものははつきりなつておる。その上に立つて上げなければならんし、又上げ得る財源もある。だから国会としてもとにかく審議して上げてやらなければならん。人事院は国会が使命を達成するために勧告をしなければならんと考えられた。我々もその勧告を拍手を以てとにかく迎えようとしたわけであります。それを止められて人事院の存在の使命、存在の意義というものは失われようとしている。それによつて国家公務員法は死のうとしている。言い換えますと、あの拍手を以て野党が総裁の言明を迎えたということを、国家公務員人事院というものに対して期待をかけておる。これは昨年の勧告があり、第七国会において論議されたが実現しなかつた。そうして今度の臨時国会に期待をしておる。そのようなときに勧告すると言明された。この勧告によつて今度の国会においては実現するかも知らんという希望、それで拍手があつたものだと私は思うのであります。この新情勢のうちに勧告ができなくなつた。それによつて如何に公務員が失望したか、或いは我々が失望したか。人事院があつても何の意義があるかという議論が出ておる現状だが、それをどうするつもりか。どういう責任をとられるかということを申上げておるのであります。これは私がここで繰返して申上げるまでもないことでありますけれども、勧告の前に政府が動いたということは事実であります。それによつて人事院勧告を止められたとは思いません。直接の政府の、或いは自由党の動向というものによつて勧告が止められたとは思いませんけれども、併しながら客観的に見てそういう補正予算の問題、或いは給與ベースに関する政府の意向というものは結局人事院を客観的には拘束したというこの情勢と申しますか、或いは事実は否定することはできないと思うのであります。私はこの間も官房長官に人事院勧告ができなかつた、使命を果すことができなかつた。それについては政府も責任があると私は申したのであります。それは如何なる方面から話がありましようとも、或いはどういう経緯がありましようとも、日本の中の問題については我々少くとも日本国憲法によつて政治がなされておると思う。この憲法に基いて出された公務員法に基いて人事院公務員の擁護の任に当つておる。その人事院公務員法に基いてなそうと信ぜられたことに間違いない、やろうとされたことには間違いない。それを止められたことについては、これは政府の責任もあるし、或いは憲法全体として、民主主義全体として危機に瀕しておるということを申上げたい。その客観的事実をそれではどうするか。これを打開して行くについてはこれは光に大蔵大臣は、自分では努力すると言われましたけれども、大蔵大臣なら大蔵大臣の努力だけに俟つて人事院は何らなされないということならば、人事院というものは要りません。例えば石炭手当の問題についても人事院勧告と、大蔵省の動きとを見てみれば、人事院の動きは大蔵省になされた、客観的事実としてそういうことは言われるでありましよう。或いはべース・アップならベース・アップの問題について大蔵大臣に任せて、苦しもこれが大蔵大臣の努力によつてできたとするならばどうであるか。人事院の存在の必要というものはないと思う。私共は人事委員会の委員として国会の責任を果さなければならぬ。その国会の使命を果させるための人事院の活動というものは、これは私は守らなければならぬ。或いは権威というものは守らなければならぬと思う。そういう点から考えますならば、人事院権威が失われたと私には考えられる。或いは使命を果すについてこれ以外に方法がないというならばとにかくであるけれども、方法は八月勧告以外にないということを言われますけれども、私共はそう思いません。又それでは私共は公務員も国民も納得しない、こういうふうに考える。そういう勧告をどうして人事院としてなされるか、その具体案を一つ承わりたいと思う。こういう点で御意見を聽いておるわけであります。
  155. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) この前七千八百七十七円が何故実行できなかつたかということをよく考えてみると、それは非常に意味が深い。それは結局公務員給與が上れば民間給與が上るだろう。そうすると、惡性インフレになるだろう、こういう一連の理窟がここにあつたから、なかなかあれは通らなかつたのであります。それでそういうことはないのだ、そういう馬鹿なことはないのだということを我々は資料を拵えて、盛んにここでも説明をいたしました。ありとあらゆるところで説明をいたしましたし、そうしてこの前の国会から今の国会に続いて、それは了解を求めておつたわけであります。それですから私自身はあれでインフレにはならんと思つておるけれども、インフレになるとかならんとかいうことは、これは人事院の仕事じやない、これは国家全体の動きである。あれだけ大蔵大臣はインフレになるのだ、公務員給與を上げたらこんなインフレになるのだと国会で言われたけれども、そんなことはないのだということを我々は書面にしたり、いろいろなことで、又ありとあらゆる方面にそれを説いたわけであります。併し我々の仕事は説くことは説く。併し自分がその財政を持つのでもなければインフレーシヨンを防ぐための当の責任者でもないのだから、それだからそこは極力説く。それでどうしても理解ができない。そうじやないのだ、お前はそんなことを言うけれども、まだインフレーシヨンは止まつていない、非常に危險だぞ。この世の中の情勢を見たらそれは簡單に済むということを言つておられぬのだということで、それが本当の責任者がそれを言うのであるならば我々はそれに從うより外ない。どこまでもそれは間違つているのだということは、私は言えない。それは無茶であつて、そういうことを言う方が間違つていると私は思います。それですから自分の信じたことだけは言う。判断は当の責任者に任するんだという立場で考えておるのであります。それで結局その結果まだ駄目なんだという結論が下つたならば、それに從うことであります。又それがそんなことで今になつたら政府の或る人は成るべくうまくやりましようということで、それは私はどうも私自身怪しいと思うのです。何故かというともう少し真実を言わなくちやいかんと思う。真実味を持つて言えば、国というものを本当に憂えるならばそういう簡單なことでは私は解決しないと思います。これは私の信念であります。
  156. 吉田法晴君(吉田法晴)

    吉田法晴君 信念と言われますけれども、信念はこの前に述べられたこと、六千三百七円から七千八百七十七円に決定してもインフレにならんというのが信念である。責任者として今のようにとにかく言われれば、その通りでございましようというのが信念だつたというのは誠に以て奇怪千万な信念であると私は思います。責任者というものは、何人か知らん、併し少くとも法の建前から言つても、この前から言つておられるところのあれは間違いがないと思います。私共は人事官としては国会に勧告をして、国会においてとにかく判断して貰うというのがこれはこの前からの説明であるし、或いは今の答弁にしてもそういうことを言われる。責任者というものは外に天空の上に責任者というものがあるのなら別であります。或いは大蔵大臣のことを言われたか知りませんけれども、それならばこの前から大蔵大臣がここへ来ておる。それなら人事院としてもその通りにしておきましようというのなら、一それはそれで分ります。併しそういうことはこの前のときに言つておられない。私は前の勧告の内容、実質的な議論の内容というものはあれは人事院の信念であつたと思います。正しいと思います。その正しいことに從つて使命を達成して行かれるところに人事院の使命があるのであつて、人からそれはインフレになりますぞと言われて、それに追随する信念なら止めて貰わんと困る。議論は止めにしますけれども、とにかくそういうことでは人事院権威というものは保たれない。或いは存在意義というものは私はないと思います。国内法の問題で、或いは日本の憲法に從つてつておる。その政治の枠川内でとにかく議論をして頂きたい。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)そうして公務員法の條文に從つて、その権威と使命であるならば、その使命に從つて真直ぐに進まれることこそ人事院の存在の価値がある。それが他から歪曲される、それは他から言われてそれも真実でありましようというところに結局人事院の危機があるということを申上げておる。議論は繰返しませんけれども、具体的な処置、この失われようとしておる人事院の危機、或いは国家公務員法の全文を擁護するのにどうしたらいいか。これはこの前の勧告は生きてはおりましようけれども、しようとした勧告を止めた。その止めたことによつて失われようとするその使命をどうしたならば具体的に護つて行けるか。あの声明は事実でございましよう、私は事案を否定しようとはいたしません。併しながらこの事態に当つてどうしたならば責任が果せるか、どうしたならば使命が果せるかという具体的な方法について一つ考えて頂きたい、ここで案が出ないならばこの次まで待つても差支えありませんが、その点についてはつきりと、とにかくその肚は、さつき千葉委員から言われましたけれども、覚悟はしつかり一つつてつて頂きたい。何もそこで私は腹を切つて下さいというのではありません。或いは辞める程度の……これは決意であります。信念に從つて飽くまでも生きて行こうとするならば、その使命を守ろうとするならば、如何なる決意もこれは出て来るだろうと思うのでありますから、そのしつかりした決意と信念の上に立つて、とにかく使命達成に最善の努力を願いたいし、具体的な使命達成の方法についてお答え願いたいと思うのです。
  157. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) もう大体終り手か。山下さん、いろいろ今言われておりますが、皆さんが結局人事官は誰に一体責任を負つているのか、政府に責任を負つているのか、或いはその他に責任を負つているのか、国民に責任を負つているのか、この点だけ一つ明確にして置けばいいと思うのですが、どうですか。これはこの間淺井さんの言われたのにいろいろ追及した結果は、人事院政府の一機関であるから、最高方針には從わねばならんと、こう言われているのです。ところが本日の大蔵大臣の御答弁は、あなたもお聞きになつ通りに、政府の方ではそんなことを、人事院には何も関係したこともないし、何らの意思表示もしたことはないという答弁をしておる。総裁は、政府の一機関としていわゆる政府の方針に從わねばならんということと、全く違つた意味のお答えをしているのです。これはまあ言葉のいろいろ使い方があろうとも、人事院そのものが一体何ものに、誰に責任を負うのかということをはつきりおつしやればそれで話は解決がつくと、こう考えますが、どうでしよう
  158. 政府委員(山下興家君)(山下興家)

    政府委員(山下興家君) 私間違つておるかも知れませんが、私の信念としては公務員に責任を……、公務員の幸福のために最善の努力をするということが私共の責任だと思います。ただそれもですね、公務員にそれじや直接に行つた方がいいのか、こう行つた方がいいのか、どつちでも効果的に行かなくちやならん。効果的に行く方法としていろいろ考えられるでありましよう。それは又人によつていろいろな考え方の違いがありましようけれども、私共の考えとしては誠心誠意公務員のためを思つて、こう行つた方が一番いい方法、近道だとこう私共は信じておる。(「第三條には、公務員法に対して責任を持てということになつておる。」と呼ぶ者あり)
  159. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) 今回の……、政府の一機関であるから、最高方針に從わねばならんとこう、あなたではない、総裁が言われたのですが、政府と何らの連絡なくして、一機関だから從わねばならんというところに非常な溝があるようですから、この次までにそれを一つはつきり納得の行くよう説明ができるよう一つお願いして置いて、今日はこの程度でどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 委員長(木下源吾君)(木下源吾)

    委員長木下源吾君) では御苦労様でした。今日はこれで散会いたします。    午後七時十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            西田 天香君            千葉  信君    委員            西川甚五郎君            重盛 壽治君            吉田 法晴君            大隈 信幸君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    人  事  官 山下 興家君    人事院給與局長 瀧本 忠男君    大蔵省主計局長 河野 一之君   説明員    物価庁動力局勤    務       楠岡  豪君