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吉田法晴君 私も先程の
答弁に不満な点、二十八條の解釈から
千葉委員との応答が行われたと思いますが、私が問わんとするところと、
千葉委員の問われたところと、大体方向は同じであります。同じでありますが、
山下人事官の
答弁は私にと
つてもこれは不満足でありまして、恐らくこれは国
会議員のすべてが不満であろう。国民にと
つても不満であろうと思います。納得のできる御
説明はなか
つたと思います。で、この前から申上げておる
通りでありますけれども、
人事院の言によ
つて、
国家公務員法が殺されるか、活されるかという段階に立
つているから、
人事院として
一つ褌をしつかり締めて貰いたい、こういうことを申上げているわけであります。インフレ問題については、今
千葉委員から言われました
ように、この席上でも官房長官も、それから
大蔵大臣も
はつきりその点は明言しております。ですからその点はもう議論済みだと思います。そうして若しも
山下人事官にして良心があるならば、この前の国会の際に六千三百七円べースを七千三百七十七円ベースに上げても、インフレにはならんのだということを
数字を挙げて
説明された。あれは信念を以てなす
つたのだと私は思う。それを外から、或いは大きいところから、いやインフレになるかも知らんのだと、こういう
お話があ
つたからして、それは大所、高所から立
つて尤もだと
考えられる
ような
お話を聞くことは、誠に以てこれは心外であるから誰も納得するどころじやないと思う。その点は問題は済んでおると思いますし、問題はこの
勧告をしなければならん。それから又したいと
考える。そうしてそれを言明されて、それができなく
なつた、なされなく
なつたことについて
説明をされるけれども、その
説明は少しも通
つておらん。例えばインフレ問題にしても理由にはなりません。或いは補正
予算の問題にしても
人事院として挙げられるべき問題にはならない。挙げられるというより実質的な理由がない。八月に入
つたら
勧告ができるという
ようなことを言われますけれども問題はそういう点じやない。とにかくこれはどういういきさつで以て、
勧告ができなく
なつたかということはもうすでに明らかである。先程
大蔵大臣が来てその隣りに坐
つて、明日にでも実現するかどうかは知らんけれども、努力をして自分はその点について最善を盡すということを言
つてお
つたわけであります。これは或いはドツジ・ラインの問題、或いは
給與問題について、見通しと申しますか、事由というものは
はつきり
なつておる。その上に立
つて上げなければならんし、又上げ得る財源もある。だから国会としてもとにかく審議して上げてやらなければならん。
人事院は国会が使命を達成するために
勧告をしなければならんと
考えられた。我々もその
勧告を拍手を以てとにかく迎え
ようとしたわけであります。それを止められて
人事院の存在の使命、存在の意義というものは失われ
ようとしている。それによ
つて国家公務員法は死のうとしている。言い換えますと、あの拍手を以て野党が総裁の言明を迎えたということを、
国家公務員が
人事院というものに対して期待をかけておる。これは昨年の
勧告があり、第七国会において論議されたが実現しなか
つた。そうして今度の臨時国会に期待をしておる。その
ようなときに
勧告すると言明された。この
勧告によ
つて今度の国会においては実現するかも知らんという希望、それで拍手があ
つたものだと私は思うのであります。この新情勢のうちに
勧告ができなく
なつた。それによ
つて如何に
公務員が失望したか、或いは我々が失望したか。
人事院があ
つても何の意義があるかという議論が出ておる現状だが、それをどうするつもりか。どういう責任をとられるかということを申上げておるのであります。これは私がここで繰返して申上げるまでもないことでありますけれども、
勧告の前に
政府が動いたということは事実であります。それによ
つて人事院が
勧告を止められたとは思いません。直接の
政府の、或いは自由党の動向というものによ
つて勧告が止められたとは思いませんけれども、併しながら客観的に見てそういう補正
予算の問題、或いは
給與ベースに関する
政府の意向というものは結局
人事院を客観的には拘束したというこの情勢と申しますか、或いは事実は否定することはできないと思うのであります。私はこの間も官房長官に
人事院の
勧告ができなか
つた、使命を果すことができなか
つた。それについては
政府も責任があると私は申したのであります。それは如何なる方面から話がありまし
ようとも、或いはどういう経緯がありまし
ようとも、日本の中の問題については我々少くとも日本国憲法によ
つて政治がなされておると思う。この憲法に基いて出された
公務員法に基いて
人事院は
公務員の擁護の任に当
つておる。その
人事院が
公務員法に基いてなそうと信ぜられたことに間違いない、やろうとされたことには間違いない。それを止められたことについては、これは
政府の責任もあるし、或いは憲法全体として、民主主義全体として危機に瀕しておるということを申上げたい。その客観的事実をそれではどうするか。これを打開して行くについてはこれは光に
大蔵大臣は、自分では努力すると言われましたけれども、
大蔵大臣なら
大蔵大臣の努力だけに俟
つて人事院は何らなされないということならば、
人事院というものは要りません。例えば
石炭手当の問題についても
人事院の
勧告と、
大蔵省の動きとを見てみれば、
人事院の動きは
大蔵省になされた、客観的事実としてそういうことは言われるでありまし
よう。或いはべース・アップならベース・アップの問題について
大蔵大臣に任せて、苦しもこれが
大蔵大臣の努力によ
つてできたとするならばどうであるか。
人事院の存在の必要というものはないと思う。私共は人事
委員会の委員として国会の責任を果さなければならぬ。その国会の使命を果させるための
人事院の活動というものは、これは私は守らなければならぬ。或いは
権威というものは守らなければならぬと思う。そういう点から
考えますならば、
人事院の
権威が失われたと私には
考えられる。或いは使命を果すについてこれ以外に方法がないというならばとにかくであるけれども、方法は八月
勧告以外にないということを言われますけれども、私共はそう思いません。又それでは私共は
公務員も国民も納得しない、こういうふうに
考える。そういう
勧告をどうして
人事院としてなされるか、その具体案を
一つ承わりたいと思う。こういう点で御意見を聽いておるわけであります。