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1950-11-20 第8回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月二十日(月曜日)    午後一時二十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○在外同胞引揚問題に関する調査の件  (最近の引揚状況一般に関する件)  (在外公館借上金確認に関する分  の返済方法に関する件)  (旧軍関係債権処理に関する法律  の一部改正に関する件)  (調査報告書の件)   —————————————
  2. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 只今から委員会開会いたします。御承知通り臨時国会が明二十一日から開会されることになりました。本日を以て本特別委員会は一応解消することになります。従つて本日が最後委員会でございますので、第八回国会における特別委員会の締括りをいたしたいと存じまして、皆様のお集りをお願いいたした次第でございます。本日の議題はお手許に差上げましたように、第一に最近の引揚状況一般、第二に在外公館借上金確認に関する分の返済方法、第三に旧軍関係債権処理に関する法の一部改正、第四に調査報告書の件となつておりまするが、その以前に本日の議事に入りまする前、未復員者給与法についてちよつと申上げたいと存じます。この前の委員会におきまして鈴木委員から経過報告がありましたように、大体委員会の意思が達成せられるようになりましたが、この改正案取扱でございまするが、即ち参議院側で発議するか衆議院側で発議するかでございますがこのことは先の委員会におきまして、委員長鈴木委員に御一任して頂きました。そこで早速衆議院若林委員長と協議をいたしました結果、改正案を一応両院より関係方面に提出して、その上でどちらが先議するかは次の国会が開かれましてから決定しようということになりまして、参議院側としては関係方面に対しましてすでに手続を取りましたことを申上げます。何とぞさよう御了承願いたいと存じます。先ず最近の引揚状況一般につきまして、政府当局より説明をして頂きたいと存じます。外務省武野引揚課長
  3. 武野義治

    説明員武野義治君) 御承知のように引揚問題は、昭和二十二年末頃には殆んど英軍、蘭軍米軍関係地域からの引揚は、少数の戰犯者を除きまして殆んど全部帰国したということになりまして、事実上引揚が終了したと、こう申してもよい状況でございます。従つて二十三年度以降におきましては、引揚問題ソ連地区、満洲を含めましたソ連軍地区引揚に集中された次第でございます。一九四六年の十二月十九日、米ソの間に協定ができましたことは御承知通りでございますが、この米ソ協定によりまして引揚げました数は百一万七千四百七十八名に達しました。これは南鮮を経由いたしまして、北鮮から米ソ協定前に脱出いたしました二十九万三千九百六十八名を除いた数でございまして、これを含めまして、ソ連地域からの引揚者合計を調べますと、百三十一万一千九百六十八名となつております。満洲は只今までのところ百四万五千五百二十五名の引揚がございまして、その合計は約二百三十五万七千となつております。ソ連軍が八月九日進駐、占領いたしました地域におきまする軍人、邦人の総数は二百七十二万六千と推定せられておりますので、この引揚者数を引きますると、三十六万九千の推定数がおるわけでございまして、現在でも問題は、三十六万九千の説明が何らソ連当局からされておらないというところに問題の中心があるわけでございます。昨年十一月三十日に参議院引揚促進に関する決議をなさいました。又二十四年十二月二日には、衆議院で同文の引揚促進の決議が行われました。二十四年の十二月二十五日、昨年の十二月二十五日に、吉田首相シーボルド議長を訪問されまして、この両院決議マ元帥に宛てた書簡と共に提出されたことは新聞に伝える通りでございます。昨年の十二月二十一日には対日理事会で、この引揚問題をめぐりまして非常な紛糾がございました。ソ連代表は、全員退場されたのであります。次いで十二月二十二日でございますが、シーボルド議長は、ソ連代表マッカーサー元帥宛て書簡を引用いたしまして、ソヴイエト側の主張を駁撃すると共に、日本人捕虜調査に関して、米国政府に要請した旨の声明を発表されたのであります。本年の一月四日になりまして、第百三回、第百四回の対日理事会が開催されまして、その際日本人抑留者の正確な情報入手のために徹底的な実地調査を行う責任を持つた国際的団体なり、人道的団体を指定し、それをソ連当局が受諾してくれるようにということを要請した米国政府対ソ覚書発表されました。その際もソ連側は退場されております。二十五年の一月九日ソ連代表部は総司令部に対しまして、二千五百名の送還を通告したのであります。で、それまでに昨年の五月二十日にタス通信を以て今後九万五千の捕虜送還するであろうという発表がございました。その人々は先ず第一船の高砂丸を初め、御承知のように舞鶴或いは国内の諸所において異常な風景を展開いたしました。そうして十二月二日の舞鶴入港信洋丸を以てこの二十四年度は打切られたのでございます。この時の数は九万四千九百九十名と覚えております。九万五千名には若干足りませんでございました。そうしてこれが終りかというような心配がございましたが、二十五年の一月九日にソ連代表部は、総司令部に三千五百名の送還を通告したのでございます。そのうちに一月十八日になりまして第百五回の対日理事会が開かれまして、ホジソン英国代表が、濠洲政府もキャンベラのソ連大使館に、日本人抑留者調査に関する提案ソ連側が受諾するよう要請した一月五日付の覚書の内容発表されたのでありました。この時もソ連代表は退場されたのであります。こうした対日理事会の討議に併行いたしましてか、二寸五年一月三十日には再びソ連代表部は総司令部に二千五百名の送還を通告合して来たのでありました。次いで二月一日、二月十五日、三月一日、百六、百七、百八回の対日理事会はいずれもソ連代表部は欠場されております。四月三日ソ連代表は総司令部に四千名の送還を通告いたしました。そうしてその四月の最後のは二千八百四十四名でございます。この二千八百四十四名の送還が終りますと同時に、タス通信は戰犯、病人二千四百六十七名を除きソ連からの邦人引揚打切りだ、完了したという報道をなしたのであります。この報道は非常に日本側朝野を刺戟いたしまして、勿論政府といたしましてはタス通信を正式のものとは全然考えておりませんけれども、異常なシヨックを起したことは事実でございまして、本年五月二日国会引揚問題について国連提訴決議されたことは御承知通りでございます。この国連提訴内容は今更申上げるまでもございませんけれども、生きて残つている者の引揚促進と、死んだ者並びに戰犯及びその他理由で向うに抑留されておる者の氏名の発表現地調査団の派遣、こういつた内容を含めました決議でございまして、国際世論を通じてこの問題を解決して貰う。こういう趣旨を織り込んだものでございます。そうしてこの五月三日、たしか両院議長マ元帥を訪問いたしまして、国会決議内容を懇請されたのでありまして、五月十日になりまして百十三回の対日理事会がございまして、この時はソ連代表は欠席されておりまして、シーボルド議長国会決議文国連への伝達については、マッカーサー元帥がすでに措置をした旨を発表されたのでございました。五月の十二日になりますとロンドンの三国外相会議が開かれ、その際在ソ捕虜引揚に関する共同覚書発表されて、そしてこの引揚問題についての二国の関心を我々は強く感じたのであります。ところが翌月の六月八日、タス通信は重ねて日本人引揚完了報道しております。八月二十二日になりますと、米英濠三国は第五回の国連総会議題に、日独捕虜引揚問題を加えるようにリー国連事務総長に要請したと報ぜられております。一週間たつた八月二十九日、日本人捕虜はない意味のプラウダの発表に対して、シーボルド議長がひどく非難した報道発表されております。今年の九月十九日から国連総会が開かれたわけでございますが、三日目の二十一日にこのジエネラル・コミツテー、総会が採択いたします議題日程の中に、第二として日独捕虜の問題についてソ連側説明を求める米英濠の要求が含まれているということが報ぜられたのであります。その詳細はまだ正式に私共聞いておりませんけれども、恐らく我々の代表である斎藤惣一中山マサ両氏が非公式のオヴザーバーとして出席され、又外務省から倭島監理局長も行かれておりますので、この議題が確実に採用されているということは間違いないと考えておりますし、これがいつ頃の日程議題に載るか、討議されるかということについてはまだ正式なものはございません。土曜日のAP雷でございましたか、外電では何か大分遅くなるようなことを伝えて参つておりますけれども、本年のそう遅くならない機会にこの問題は総会に附属いたしまする委員会一つに懸けられるのではないかと思つております。これはソ連地区からの引揚という問題に関して只今までの経過を一応申述べた次第でございます。  それから問題は又中共地域引揚の問題がございまして、これは私共の観点から申しますと、満洲というものはソ連軍によつて占領せられまして、その地域残つた人々の運命についてはソ連当局の責任ある措置をお願いするという立場にあるのでございますが、説明の便宜上満洲地区からの引揚について若干触れたいと思います。というのはり満洲と中国本土関係においては今截然と区別することができかねるような事態もございまするし、又その他最近のいろいろの状況からいたしまして、満洲を一応独立して御説明申上げたいというつもりでございます。ソ連軍が満洲で撤退いたしましたのは昭和二十一年の四月末から五月にかけた頃でございました。その後国民政府中共両軍が相対立しまして、そうして内戦が開始された。勿論この頃国共間に一般日本人送還に関する特別協定が結ばれまして、両地区における邦人松花江以南帰国せしめるということになつたのでありましたが、国共関係の変化が非常に激しく次第にそれが困難になりまして、交通関係の問題も非常に大きな関係がございますが、要するに中共地区邦人引揚は幾ばくもなく完全に停止されてしまつたということでございました。その後命懸けの脱出というものが若干ございましたけれども昭和二十四年、昨年の九月、千百二十七名の邦人ソ連配船要求によつて大連地区から帰つたことは御承知通りでございます。それから清洲地区残留邦人の悩みは、従来内地との通信関係が全然杜絶させられておつたことでございましたが、本年の初頭以来中共地区残留地域から内地向通信がだんだんと許されたようでございまして、我々の情報といたしましてもすでに今まで内地留守宅知人宛に届いた手紙は可なりの数に達しておるようでございまして、私共が散見いたしまする手紙のいずれもが行間に切々たる望郷の念を訴えておるのでございます。こうして昨年山澄丸、高砂丸で帰つて参りました大連中共方面の満洲の引揚者並びに知人宛留守宅宛通信によりまして、大体満洲及び中国関係における在留同胞の消息がだんだんとわかりつつあるのでございます。時に注意すべき点は日本技術者が非常に有能である。而も低賃金で使いまくれる又自由に酷使できるという点もあると思いますが、そういうために非常に便利な存在であるというために、なかなか留用機関が解放しようとしない。勿論いつまでには解放するとかいうような或る程度の思わせぶりはあるとは思いますけれども、いざとなればやはり強迫なり、懐柔の方法の諸手段を書しておられるように聞いております。文中共電の第四軍という所には相当の日本人の部隊も従軍しておるということも通信では聞いております。そうしてこれは事情がよくわかりませんので、私共確信ある説明はできないのでございますけれども、要するに満洲と中国本土との間には可なり日本人抑留者があちらこちらに移動させられておるということが想像されるのであります。又留用機関から解除されました日本人は非常に苦しい生活を余儀なくせられて各地に散在しておるという情報も私共聞いております。勿論調査方法も特にございませんし、いずれも内地に来ました留守宅通信の一部を御披露するだけでございますけれども、大体こうした気持留守家族気持と共通した非常に切々たるものがあることを私共感じております。こうした中共地域並びに満洲、ソ連関係の未帰還者、いわゆる三十六万九千というものについて、もう少し納得行く説明が行われなければならないものだということを我々は感じておる次第でございます。  それから尚これは政府の対策といたしまして、とにかくこういつた、特に中共方面についていろいろ留守宅家族からの御陳情もございますし、又国会方面の強い御意向に鑑みまして、総司令部方面にこの中共地域からの引揚につきまして何とか一日も早くまとめた措置が行われるように懇請しつつございまして、総司令部方面でも非常に同情を持つてこの問題を取上げて頂いております。併し何分にも最近の朝鮮動乱を契機といたしまして或いは恐らくはそういつたような状況がこの問題の成り行きを相当阻んでいるのではないかと想像しております。先般赤十字の第二十一回の総会に出席されました島津社長さんがお帰りになられまして、赤十字社のほうでいろいろお話になつた件を私が又聞きしたのでございますが、これは総会に出席されました中共側代表者保健大臣の李徳全女史、並びにソ連代表のボリスパシコフ、名前はよくわかりませんが、とにかくお医者さんの代表者とお会いになつて、そうして日本人抑留者引揚促進について協力方をお願いしたということを聞いております。赤十字社関係は、特に赤十字社から直接に当国会がお聞きになられることが最も適切だとは考えますけれども、こうした日本赤十字も、国際赤十字委員会、スイスにございまする従来の赤十字條約の親でございまする国際赤十字委員会並びに国際連盟を思わせまする赤十字社の国際的の連盟がございまして、そこを通じて中共並びにソ連関係引揚者促進並び赤十字の事業でございまするいわゆる抑留者の安否の澁息を、そうした国際的赤十字の正当な方法を通じて問い合わせるという方法もお願いしているということを私共を聞いております。朝野を挙げてこうした抑留者についての引揚促進について、赤十字の非常な御努力があることを、私共又確信するものでございます。最近又中国本土からぼつぼつ留用機関から解除された人々が帰つて来ておりまして、昨年から只今まで約二百数十名というものが帰つて来ておるようでございます。こういつた個々の留用者つた方々は、留用機関に対し、或いは北京政府に対し、間断なく、又執拗にその帰国或いは留用解除の問題、そういつた帰国についての便宜供与、こういうものを執拗にお願いした結果許されたということを、大体一般的な傾向として聞いておりますし、なかなか留用機関が離さないというのが、先ほど申し上げしまたような理由もありまして、各人も帰る方法を知らないということもありますし、又資力の点からいつてもむずかしい。留用機関が離すときには、内地に帰るときの船賃まですつかり出すということも幾つかの例で散見しておりますが、こういつた、まあ相当本人の努力によつて、又北京政府機関の理解によつて帰られたかたはございますが、その背後に、やはり数とか、或いはその状況は、不明ではあるけれども、相当大勢の人がまだ残されておるということも感じております。一日も早くこういつた問題を世界的に取上げて貰いたいということも考えております。日本政府といたしましても、総司令部に対し常に、或いは機会あるごとにお願いするつもりでございます。
  4. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 只今武野課長の御報告に対して御質問をして頂くことになつておりましたが、実は課長はこれからGHQのほうに行かれますので、質問は後日の機会に譲つて頂きまして、只今報告はこれで打切りをいたしたいと存じます。御了承を願います。   —————————————
  5. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 次に第二の問題でありまするが、説明当局がまだ見えておりませんので、その次の第三の項目に移らして頂きたいと思います。第三の項目は、旧軍関係債権処理に関する法の一部改正の件でありまするが、これは御承知のことと存じまするが、未復員者給与法或いは特別未帰還者給与法によつて生じましたところのいわゆる過誤払処理する法律でございまするが、これを先の委員会におきまして、議員発議とすることを決定いたしました。早速事務当局において法案の準備ができましたので、その内容説明して頂くことといたします。
  6. 今枝常男

    法制局参事今枝常男君) それでは旧軍関係債権処理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして概要を御説明申上げます。この法案は元の軍人軍属、又はその親族或いは遺族、並びにその他の未帰還者関係につきまして与えられました給与金のうち過払になりました分について、事情によりましてはその返還請求権につきまして延期措置をするとか、或いは又場合によりましてはこれを免除するというような措置の講じ得るような規定をいたしておるわけであります。現在ございますところの自軍関係債権処理に関する法律の中へこういつた措置のできまするような規定を盛り込んで行こう、こういうことでできておる規定でございます。第一條におきましては、現在ございます法律の第一條が主として軍需債権関係延期措置規定いたしておるわけでございますが、この第一條規定されましたものの中にはそういつた本来的な意味軍需関係債権の外に今回措置をしようとしておるようなものに類するものが成る程度つておりまするので、この場合一條專ら軍需関係債権関係規定にいたしまして、今回措置をしようとしておるような債権に類するものはすべて別に規定いたそうと、こういう趣旨からいたしまして、一條の中からはそういつた種類のものを除くための改正をいたしておるわけでございます。次に第一條の二といたしまして新しい條文を設けまして、この規定におきましては只今申しました未復員者関係給与金の過払金、及び特別未帰還者関係給与金の過払金につきまして現在ございます一條規定を準用することによりまして、その返還請求権について延期措置をし得るというようなことを規定いたしたものでございます。この條文の第一号に掲げましたものが、只今申しました主として未帰還者給与法によりまして給与されますような関係給与についてのことを規定いたしておりますが、第三号におきまして特別未帰還者給与法によります給与関係の過払金についての措置規定いたしておるのでございます。次に第二條、これは第一條及び第一條の二の過払に伴います條文整理でございます。第三條におきましてはこの未復員者給与法、並びに特別未帰還者給与法によります過払金につきまして、第三條の二の第一項で免除措置規定いたしております。この場合はこの過払金ということになつた理由債務者の責に帰することのできないような事由によつた場合に限ること、並びにその過払金返還義務を負うている債務者資力が十分でなくて、これを返済させることが困難であるというようなことの認められる場合、そういう二つの條件に限りまして、そういつた條件を備えた場合においてはその債務の全部又は一部を免除することができるということを第一項で規定いたしております。それから第二項におきましては、そういつた債権につきまして、債務者の行方が長いことわからないという状態にございまして、そういう状態が三年以上続いております場合にはやはりその返還債務免除することができる。こういうふうに規定いたしたわけでございます。それから第三項におきましては、これはその免除の通知を債務者にいたします場合の方法規定いたしたものでございまして、官報に公告してこれをすることができる。並びにその公告から二週間たつたらその免除の通告の効果が生ずる。こういうことを規定いたしておるわけであります。最後の第四條は、單に條文整理をいたしておる規定でございます。大体この案に盛りました内容概要は以上の通りでございます。
  7. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 何か御質問がございましたら……。
  8. 内村清次

    内村清次君 質問はにのでございますが、この取扱ですね、大体こういう改正はすでに一回こちらのほうでもやろうというふうな考えもあつたということも承わつておりますが、どう取扱つて今回の国会に出すかという問題でありますが、この点につきまして各委員から御意見を述べて頂きまして、もう一回この問題を議題として提出をして急速にするというような方向へ向つて一つその方法を決定して頂きたいと思います。
  9. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 提案の仕方ですね、これは実は今お話しようと思つてつたところであります。一応この原案皆さんがたに御承認を頂きましたらば、その上で提出する方法をお諮りしようと、こう思つておりました。それじや御質問はございませんですか。……御質問ないと存じまするから、只今部長から説明を申上げました改正案原案として発議することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。   —————————————
  11. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) では次に調査報告書の件を議題といたします。第八国会における本特別委員会の活動につきまして、議長宛報告書を提出するわけでございますが、案文を朗読いたしまする故に、不備の点は御指摘を願いまして御訂正を願いたいと存じます。
  12. 青木玉吉

    事務局員青木玉吉君) 調査経過並びに結果の概要。   在外同胞引揚問題に関する特別委員会は、昭和二十五年七月二十四日院議を以て設置せられたが、今期国会は期間短かく、且つ特別委員会の設置が遅れたるため、国会開会委員会開会すること二回、先づ特別委員会は、今後引揚者及び留守家族厚生援護に関する調査、即ち引揚者及び留守家族の住宅問題、失業対策問題、在外資産処理及び在外公館借上金処理等に関する調査に主力を注ぐことを確認し、取敢えず閉会中も引揚者及び留守家族実態調査を行い、その実情を把握認識するため継続調査要求を提出することを決定した。国会開会委員長及び理事打合会及び懇談会を各々一回開会した。付託された請願七件を全部審査の上探釈した。   七月三十日、院議を以て継続調査承認を得てから委員会開会すること五回、一、引揚者及び留守家族厚生援護に関する一般状況、二、最近における在外同胞引揚状況、  三、引揚者就職状況、四、未復員者給与法の一部改正、五、在外公館借上金処理状況、六、旧軍関係債権処理に関する法の一部改正等、専ら厚生援護に関する問題の調査を行つた。又、青森、岩手、秋田、及び山形の諸県に議員派遣を行い、実地調査を行つた。尚国際連合総会において我が抑留同胞の問題が取上げられることになり、委員会は取敢えず国際連合総会に対し感謝を捧げると共に、衆参両院代表及び政府職員国際連合総会に出席できるよう関係方面に懇願することを決議し、早速この旨関係方面に連絡をとつた。   継続調査中、議事運営のため委員 会及び理事打合会二回、懇談会一回 開会した。  以上の通り委員会引揚者及び留守家族厚生援護に関する面に專ら重点を置いて調査を続け、この面における一応の調査を終えたが、特に住宅及び就職の面は誠に憂慮すべき状態である。而も現在、我が抑留同胞の問題が国際連合総会に取上げられている最中であつて在外同胞引揚問題に関する重要問題の調査は完了しない。   以上であります。
  13. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 只今案文に  つきましてお気付きの点、又訂正をしなければならんとお思いになる点を御指摘願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) ではさように決定をいたします。尚只今報告書につきまして、字句の訂正等につきましては委員に御一任を願いたいと存じまずるが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) では字句の訂正等につきましては委員長にお委せを願います。  それでは暫時休憩いたしまして懇談をお願いいたします。    午後二時十五分懇談会に移る    —————・—————    午後二時三十二分懇談会を終る
  16. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 先ほどに引続き委員会開会いたします。  先の第二の項目に戻りまして在外公館借上金確認に関する分の返済方法に関する件を議題といたします。実は本件につきましては継続審査の承認を得てから懇談会を開催いたしました折に、大蔵当局からも御出席をお願いいたしまして種々懇談の結果、本件につきましては次の国会が開かれましたときに大蔵当局の返済方法の案を委員会に提出下さることになつておりました。明日から臨時国会も開かれますので、当局におかれてはそのことにつきまして一応の具体案ができていることと存じますので、ここに御出席をお願いいたしまして借上金についての返済方法説明して頂きたいと存じます。
  17. 酒井俊彦

    説明員(酒井俊彦君) 只今委員長から具体的な案ができておるのであろうから説明せよというお話でございましたが、実はまだお話申上げるような具体案が実は手許にできておりません。誠に申訳ございません。具体案がございませんので御了承願いたいと思います。
  18. 千田正

    ○千田正君 どうも在外公館借上金の問題については、全引揚者が長い間要望しておるのであり、且つ、又何回となく国会ごとに外務当局並びに大蔵当局に対して当委員会からその解決方を懇請しておつたのでありまするが、今以て御回答がない。而も講和会議が或いは聞もなくじやないにしてもいずれは行われるであろうというときに際しまして、この引揚問題を中心にするところのいわゆる在外資産の問題、こういう問題に影響するところが非常に大きい問題であろう、私はかように考えるのであります。而もこの在外公館借上金という問題は在外資産とは別個にしても、日本政府としては借上げた以上は、これは返済するのは当然の政府の義務である。それに対して未だ以て何らの方法が見付からない。一体どこに難点があるのか。まさに終戰後今日まで五年たつても未だにその返済の方法がないということは、私は政府の不誠意をなじりたいと思います。一体これに対する返済方法のどういうとこが引つかかりになつて未だにその方法ができないのか。この点は大蔵当局としましては何が故に方法が立たないのか。その点を一つ説明願いたいと思います。
  19. 酒井俊彦

    説明員(酒井俊彦君) 只今のお尋ねでありますが、終戰後今日になるまで返済の方法が立たないということについて、これは我々も非常に申訳ないと思つております。今日この返済の方法を研究いたします上に一番むずかしい問題は御承知の採算率と申しますか、レートの問題をどういうふうに決定をするかという問題でございます。そのレートの問題が当時の終戰後の混乱した状況の下にあつて、殊にそれが各外地関係によつていろいろ事情が異なつております。そういう地域において借上げました借上金の採算率をどう評価するかということは、これは今後の在外財産の問題、その他いろいろ問題にも影響して参ります非常にむずかしい問題であります。なかなか万人を納得せしめるようなレートが発見できないという点が一つの大きな問題になるところであります。尚さつきもちよつと申上げましたが、その他在外資産なり、これに関連するような非常に多くの問題を含んでおりますので、それとの関係をどう調整するかという点に大きな問題があつて、実は具体案が今日まで延び延びになつておるわけであります。勿論この法律におきまして政府は将来法律の定めるところに従い、且つ予算の範囲内において返済すべき国の債務として承認するというふうに法律は謳つております。従つてこれは在外資産、その他の問題は勿論関係はございますが、勿論将来政府が返済するということは法律に明らかになつておると考えております。
  20. 千田正

    ○千田正君 今のお話によるというと、当時のレートその他の問題が一つの引つかかりになつておるということと、これが決定することによつて今後起るであろういろいろな在外の資産や何かに相当影響する、その他影響する点が多いからということで延び延びになつておると、こういうのでありますが、実際引揚者の諸君が今日未だ一般の人たちと同じような程度まで生活が行つてない。殊に最近におきまして住宅難で非常に苦しくなつておる。庶民住宅にしてもそれを借入れるだけの資力もない。先般もこの委員の方々で、各地にこの引揚の住宅その他就労、就職の点について厚生政策を立てるべく出張された方はよくおわかりのことと思いますが、せめて在外公館に貸した金でも下げて貰えば、我々は小さいながらも五坪の家を建てたいという、こういう希望に燃えているけれども、それに政府が対処する何ものもない。むしろ政府を呪詛するような気持になつておる。單なる問題にあらずして、これは大きな社会不安を構成する一つの原因となつておりますので、これは一日も早くこの問題は具体化して頂きたい。レートの問題ということになりますというと、外務省から審査室長もおいでになつておるようでありますが、どこに一体レートの問題が引つかかつておるか。外地におけるところの当時のレートというものはすでにわかつておるはずであります。そのレートが何故に引つかかりになるかということも、我々はむしろ疑念を生ぜざるを得ない。恐らく当時の状況におきましては現総理大臣であるところの吉田茂氏から訓令を発して外地におけるところの海外派遣の当局の人たちに対しては一応この問題について訓令を発しておるはずであります。当時のいわゆる首脳部であつたところの吉田さんが、今日総理大臣として未だに自分が訓令を発したものが決定的に具体化しないということは、私は政府に誠意がないということを証明していると思うのでありますから、速かに今日におけるこういうような状況下において、こうした在外公館の問題だけは片付けて頂きたい。レートの問題ということになると、大蔵当局はレートの問題が決定しないからと言つて逃げられる、外務省は一応かつこうが付いておるから予算化して欲しいとおつしやるであろう。併しながらそれは水掛論であります。レートの引つかかりがあるという点につきましては外務省のほうから池田さんがお見えになつておるようでありますから、池田さんから一応この間の事情を御説明願いたいと思います。
  21. 池田千嘉太

    説明員(池田千嘉太君) 只今の御質問に対しましてお答え申上げます。実はこの償還については私たちも確認の分を共に並行して行われるべきものと思いまして、本年の春頃から大蔵省側とも密接な連絡をとりまして、至急これを解決して予算に組んで頂くようにお願いして置いたのでありますが、大蔵省において主として御研究になつておりますのでございますが、レートにつきましては一応終戰当時のいわゆる公定レートと言いますか、日本の通貨と引揚地の各地域における通貨との何はありましたのでございますけれども、その当時の実際のレートというもの、それからこれはまあ米ドルあたりを中心にされて考えられるものかと思いますが、そういうもの、その他数種類が考えられるようで、どうも專門的には我々よりも大蔵省の担任の專門の部局がありますので、大体そのほうにお願いしてあるわけでして、私のほうから今町ということもはつきり申上げかねるのであります。
  22. 千田正

    ○千田正君 どうも甚だそういう点は不誠意であると私は思います。何故かというと、仮に外地におけるところのレートがこうであつた。当時の米ドルの建値はこうであつたとしたならば、それによつて一応一案、一案、三案ぐらいの案は立てられるはずである。例えば上海のマーケットはこうであつた、十八対一のレートであつても実情においてはそうじやなかつたから、こういうふうな状況でやりたい。或いは満洲はこうであつたとか、或いは台湾はこうであつた、一応の案は二つか二つか三つ、三つぐらいの案は提示できるはずだと思います。そういう案もなしにどうもレートがきまらないから予算も組めない。そういうことであつてはやはり今の引揚者の諸君は納得も行くまいし、我々委員会としましても納得行きません。でありますから、当時の状況はこうであつたから、こういう案を立てたい。或いは厳密に言えば、普通のレートで行けばこういうふうな案が立つ。これもできないとすれば第三案、これで何とかして引揚者の人たちに納得して頂きたい。こういうふうなはつきりした案が何か具体的にできそうなものだと思いますが、この点についてもう少し責任を持つて頂きたいと思います。どうかこの点について何か案を現在でも作りつつあるのですか、どうですか。その点を酒井次長さんからお願いします。
  23. 酒井俊彦

    説明員(酒井俊彦君) 只今のレートの問題でございますが、勿論終戰当時に公定レートというのがございましたことは御承知通りであります。ただ在外公館借上金と惜入れました時期が終戰時でございませんで、終戰後何ヶ月かに亘つて借りております。その間現地において刻々物価が変つております。又当時の終戰後の日本側のいろいろな状態も変つてつております。而もこれがああいう外地におきまして、終戰後は的確な資料が我々には殆んど入つておりませんし、各地ごとにそれぞれ事情は異なつておると思います。そこで公定レートの外にどういう案があるということでありますが、これは突きつめて考えますれば幾らでも案が出るべきものだろうと思いますが、その当時の米ドルを中心とした一つの比較が立ち得る。それから又当時大体現地において日本人間で、これは日本に帰つたならばこのくらいで換算するというような私人間の契約というようなものもちらほら見えております。荷当時のまあ上海なら上海というものをとりまして、そこの終戰時から一番多く借入が行われた時期までの物価の騰貴率というようなものも、これは非常な推定になりますが、或る一つの物価騰貴率を加堕したレートというものも考えられ得ると思います。ただこのいずれを取るかというようなことになりますと、それぞれ推定その他が入つておりまして、誰でもがこれでよろしいと納得するレートはなかなか出て参らないのでございます。案というほどではございませんが、レートとしては四種類、五種類、考え方によつてはもつとそれ以上いろいろなレートが考えられるかと思つております。
  24. 森崎隆

    ○森崎隆君 千田委員の言われたのと同じでございまするけれども、この問題は非常に強要して来ておる。勿論これは出したものが徴收ができないのが主な点であるようでございますので、待つてつて待ち切れなくて請求するというか、金融業者その他のほうに奪われつつある現状であります。これは実際について考えましても引揚者に対する重大な段階に立ち至つておると考えております。私は香川県出身でございますが、香川県のほうに行つても非常に或る事業なんかに一部提供したような人は、何とかそれを待て待てと言つてつても、もう待ち切れないという現状なんです。この一人々々の実情を考えて頂いて、私は今日までこんなのんきに延ばされては実際引揚者自身がたまらないと思います。いろいろな面で危險思想とか、思想悪化とか申しますけれども、政府の政治、政策面が一番大事な段階で、こういうようになりますことは実は国民の思想を悪化させる根本問題であるということをはつきり御認識頂きたい。いろいろな点をあれしたりいたしましても、政治そのものが国民に納得行くような、そういう貧しくとも良心的に、これが政府の手一ぱいの範囲だというところを出して頂かないと、やりは国民は納得行かないのです。香川県においては大体いろいろな階層の人がございますが、併し私共の県におきましては在外公館等借入金緊急措置促進会というのができまして、明日は四国四県全部に作りまして、四国四県の団結をやるということになれば、これ又だんだん拡がりまして各県みんなに火が付いております。このまま放つて置けば政府自体の責任問題になると思います。外交問題、講和問題を控えた現段階におきまして、こういう問題、これは明らかに政府の不誠意であるというはつきりしたこういう態度であると言いますか、政府自体に一種の非民主的な根性がありはしないか。何とかして引延ばしてそのうちに成るべく安く叩いて払い戻そうといつたような根性があるのじやないか。引揚者自身に対する政府が淵かい気持を持つておれば、換算率その他の問題は、これは私は本当に何とか解決がつくと思うのです。一方的に政府最後まで決定して援けようという気持でなくて、これはいろいろな面があるのでありますから、みんな今おつしやるような試案を作られまして、そして引揚者関係のかたと十分に折衝いたしまして、そしてどの案なら納得するか。勿論政府の一方的な意見でもいけない。引揚者自身の考えも今のところ非常に強力でございます。そこに或る程度お互いに譲り合う点が出て来るだろうと思うのです。そこまでの誠意を示さずに、何にも出さずにまあ待つすおれと言つても、いつまで来ましてもこれは一人々々の引揚者自身が……、さつき申上げたことを繰返すようでございますが、今自分の尊い権利で内地で事業をしようという……本当に握つてつて、握り切つてつた尊い金を、借りた担保をだんだん奪われておる現状から考えますと、本当にこれは一人々々の気持というものがだんだん悪化する一つの途であると思う。こういうように考えますので、一つ千田委員のおつしやられるように、本当にもうこれ以上は待ち切れないのです私は特にお願いいたしたいのは、今日具体的な案がないようでございまするが、大体皆様がたにお考え頂きまして、例えば臨時国会が終るまでに何とかするとか、年末でに本当の一つの具体案を三つでも、四つでも出して誠意を以て交渉するとか、この委員会に出すとか……、この期限ですね、今すぐと言つても困難だと思いまするから、例えば明日か明後日にもこの委員会は引続いて成立いたしましようから、初の委員会に出されまして遅くとも年末くらいまでには大体材料はあるのでございますから、具体的な一つの動きにすぐ切り換えて頂きたい。今日のような押問答を幾らされましても、これは我々が突込でもそちらでは皆さんがたとしては、責任があるかないかはわかりませんが、はつきりした答弁ができないという暖簾に腕押では、いつまでたつても困る。各府県にみんな散らばつて、その日その日を今日か今日かと待つている引揚者自身の問題ですですからこの点をお考え頂いたならば、もう少し皆さんがたに味方になつて頂いて、政府なり大臣なり、重要な責任者に対しまして強力にあなたがたが私共に代つて一つ十分に我々の意見をお伝え頂いて、できるだけ一つこの次の最初の委員会に具体的な案を是非出して頂きたい。是非まあその点をお願いいたしたいと思います。我々はいろいろ質問したいことが沢山ございますけれども、これは具体的な問題になりますから今日はもう質問しませんが、一つ期限をはつきりして、次の委員会までに是非とも一つはつきりしたものを皆さんの手でお持出し願うようにお約束して頂きたいと思います。以上お願いします。
  25. 千田正

    ○千田正君 簡單ですが、酒井次長にお願いしたいのですが、今為替のレートや何かそれぞれの情況によつて違うというお答え御尤もですが、何か平均値というようなものを出せるだろうと思います。どういう場合においてもそれは公定があるし、いろいろなそのときの條件がありますので、大体併しながらコンビネーシヨンその他の点から言つて一つの平均値というものが出るはずです。その平均値そのものを土台にして、一応の案を立てて頂きたい。私はそう思つております。とにかくさつきも申上げた通り火がついているのです。せめて出すという額さえはつきりして来れば或いはそれを対象にして引揚者が年末の苦しいとき金融するとか何とかして、一応それを生活の足しにでもして生き延びるというような、本当に切ない気持で、るのですから、そういうことをはつきりしてやらんというと、政治というものに対する、或いは政府というものに対するところの国民の声というものは、簡單には片付かない。どうか一つそういう点を十分に御明察あられて、そうして一日も早く具体案を提示して頂きたいということを強く要望いたします。
  26. 池田千嘉太

    説明員(池田千嘉太君) 只今お叱りのありました点、重々御尤もでございまして、我々も帰りましてよく大臣にお話をいたしまして、できるだけ速かにこの問題が解決できるように努力いたして見たいと思つております。ただ問題は、先ほども申上げましたように、レートの外にいろいろ関連する問題にかかつて参りますのと、それから又、今すぐということになりますというと、これは財政問題が伴つて来ますので、これが一両日中に何か具体案ができるかどうかかということは、ちよつとお約束できないかと思うのでありますが、帰りまして御趣旨のありました点は十分大臣のほうにお伝えいたしまして、できるだけ早く解決できますように我々も努力いたしたいと思います。
  27. 千田正

    ○千田正君 只今のように二、三日でできないとおつしやるならば、大体臨時国会の開かれてある間にでも具体案を提示できるかどうか。できるだけはつきりして貰いたい。そうでないと御承知通り案がきまつても、予算の組合せができないとか、何とか言つて逃げられるかも知れません。国民は、殊に引揚者は一応こういう案が出た。これが或いは国会を通過するということになれば、長年の間待ちに待つてつたのですから、この臨時国会のうちにとにかく具体案を提示して、これによつて国会の協賛を経て今度の本会議においてはこれを具体化して、来年なら来年に、この暮なら暮に何とかできるというような方法をとつて貰わないと、簡單なことでは済まなくなります。ですから少くともこの臨時国会の開かれておる間に、具体案を提示するというようなことを約束して下さることを大臣に要求します。
  28. 高良とみ

    ○高良とみ君 二、三点お伺いします。在外公館というものの性格が、戰争前の在外公館と今日新しくできつつあります在外公館と、その責任上性格が違うと解釈してよいものかどうかということを、今日御出席の外務政務次官に一応御説明願いたい。
  29. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 只今高良委員から御質問のありました在外公館の性格は、まあ在外公館そのものは現在の在外事務所は或いは戰前の在外公館と同じと存じますけども、実質的なり、或いは法的なりには相当違うと思います。現在は相当な制限を受けております。いわゆる全般的な在外公館としての使会は現在はいたしておりません。通商関係なり、或いは一部文化関係なりという程度でございます当時の在外公館はいろいろな意味におきまして、国の全部、或いは一部としての在外公館というものでございました。
  30. 高良とみ

    ○高良とみ君 重ねてお伺いしますが、そうしますとその当時存在しておつた国家の諸法律、殊に商法のようなものは、今日もそのままに行われておることでありますし、その後日本の政府が、今日占領下にあつて性格が変つたとは言え、やはり政府機関であります限りは、責任においてはやはり政府代表しておることに変りはないと思います。というのは私共今日在外公館の借入金の問題については、国会の者としては釈然としないことが多いのであります。つまり国家の命令、外務大臣の命令によつて借入れましたものに対して、これの支払を躊躇するという理由が那辺にあるかということがいろいろ御説明を伺いましても、その責任感において私共了解しにくいところがあるのであります。殊にもうすでに他の委員からお話がありましたように、終戰後五年を十分に出ております。し、海外に又新しい在外公館さえもできつつあり、日本の船等も海外に出ている今日の実情から推しまして、日本の公館に対する信用というものが非常に重要であると思うのであります。そうして見ると、管理下にあるなしはそのときの事情によるのでありますが、戰争中の在外公館というものも十分な自由は持つていなかつたと考えましても、やはり今日の状態と似ておるとも考えられる。そうすると今後の在外公館の信用にかかわることに対して、今日新しくやつております来年度の予算に、これを計上されないというその理由は、日本がすでに財政の自由な権利を持たないというところにあるのか。或いは国民に対して責任を果し、延いては海外へも日本政府の信用を博するということに対して、そこにどういう実際上の支障があるかということを伺いたいと思うのであります。
  31. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 在外公館の借入金は、これは当然政府が予算の範囲内において支払うべきものという法律も通過いたしまして、又当然これは支払うべきものであろうと思います。政府只今十分それをさように考えておる次第でございます。従つて先ほど来繊々お話のありましたように、支払うならば成るべく早く支払つて、現在いろいろな経済情勢で悩んでおられる多くのこれら該当の方々に速かにその立替金をお払いする方法をとるべきものである。これは当然だと思います。又当然成るべく早くその方法をとるべきである。ただ明年度の予算には現在のところまだ出ておらんじやないか。この点に対しましては先ほど来大蔵省からのお話もありましたように、在外公館の借上金に対してどれだけの額を予算化すべきものであるかということがはつきりいたしますと、或いは補正予算等において十分出し得る方法があると思いますし、政府はこの金を当然予算の範囲内においては支払うことをはつきりとこの方針だけは確定いたしております。ただ先ほど来た大蔵省の答弁にありましたような点が事務的に具体的にはつきりして参りますと、予算にありませんでもこれで十分補い得ると、こう考えております。
  32. 高良とみ

    ○高良とみ君 更にお飼いしたいのですが、そうしますと私共はこういうふうに解釈していいでありましようか。金を貸したほうの人たちがこの決定権を持つてつて、第三者のどこか外にこの率を決定する要素がないと解釈していいか。即ちこれを言い換えて見ますならば、政府と、国民の代表であります国会代表者が、この率については適宜会議をいたして決定する自由が、国民側にあるかということを伺いたいと思います。
  33. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 現在実施されておりますこの在外公館借入金の法律におきましては、これを審議して、そうして正確なものとそうでないものとを分類する。そうして確認証をお渡しする。それに対しては政府が借上げたということを確認をする。その確認をいたしました額に対して当然政府は責任を持つべきものでありますが、先ほど来お話にありましたその後の経済変動等において、その確認率と、それが現在の社会情勢にどれだけの金額と換算するのが妥当であるかという問題と、それからもう一つ大きく申します。と国家予算の関係、まあこれだけの関係だと心得ておる次第であります。従つて今度これを更に支払う具体的方法になりますと、十分国会承認を経た一つ法律としてこれを出すべきである、かように考えております。
  34. 高良とみ

    ○高良とみ君 重ねてお伺いします。そうして見るといろいろなその後の財界の変動ということは、政府の責任においてやつたことなんでありますから、そのときは常に国民から徴税される税率についても、或いは財産税等についても率は考えておつたことでありますから、支払いすることについても借金についても換算率というものはすでに考えられていていいことであつたのでありまして、今更ここに来て国民から徴税し、或いは財産税を取るほうの率はきめたけれども、借入れた率は考えておらなかつた。今ここに来てまごついておるということに考えられるかどうかということなんですが、私共から考えるとそれは非常に一方的なことであつて、借人のほうは計算して考えておらないというふうに考えられる。従つて大臣のお話になつた来年度予算につきましても、或いは今までの予算につきましてもこれは国家全体の財政であるから、その收支相償う意味から言つてもこの借りたほうの金はその計算に入れておらないということは、小にしては一家の家計にいたしましても、商業にいたしましても貸方と借方は常に見合せて行かなければならないのであつて、その点は非常に私共納得が行かないのであります。  それで更に第三にお伺いしたいのは、それならばお貸し申上げたほうの国民側から国会を通して政府にこれを要求する立案を議員から出しましたならば、政府においてもこれを推進なさるのにやりいいかどうかということをお伺いしたい。
  35. 草葉隆圓

    説明員(草葉隆圓君) 一方におきまして当時の終戰後の状態は、日本だけではなく殊に引揚げて参りました同胞の多くが住んでおられました地域につきましても、随分物価の変動がありまして、而もその物価の変動は地域によつて又大分違つて来て、中国自身についてもさの地域によつていろいろ違つて来ておる。その状態を把握するのに大変困難だというのが現在事実大蔵省が大変悩んでおる点だと私共承知いたしております。併しその後皆さんの御審議を得ました法律によつて、この金は当然国家が責任を持つて払うべきものであるということが法律化されて、現在それが審議の途中にあるわけであります。そういう状態でございますから、或いはその額がどうなるかによつては、直ちに現在或いは明年度の予算によつて国家の財政に影響を来たすかも知れませんけれども、額によりましては必ずしもそうじやなしに、或いは適当なる費目なり、適当なる補正によつて出し得る状態でありまして、国家は当然その支払を予想しておるし、又しておるべきものである。かように我我も考えながら進んでおります。従つてこの引揚げていらつしやつた方々国会の紫さんを通じて、これが具体的な方法促進するということにおきましては、これは当然国会にも権利があるし、立法の責任もありますし、ちつとも差支えないと存じております。又そういうふうになりました国会の意思を尊重すべきであると、かように考えております。
  36. 高良とみ

    ○高良とみ君 これだけ延滯して参りますにつきましては、その延滯利息というものも常に考えられていいことなんでありまして、先ほどから借入れた地区の物価騰貴、通貨の変動等によつて考えられておりますが、これは余り簡單に考え過ざるかも知れませんけれども、大ざつぱに言つて借りた金はその時の金で額面がちやんときまつておることでありますから、借りた後でその土地の物価がどう変つてもそれによつてその当時の金を幾らに踏み倒すというような御意思は毛頭ないと私共は考えるのであります。そうでありますと支那で何千ドル借りた。そしてその当時の換算で考えていいのではないか。こんなふうに考えるのです。それから今の、こうやつて年々歳々延びて行けばそれに対する利息ということもお考えになつておられるのか、或いはないのか。つまり国民に払わせます納税については延滯しますと常に利息がついて行くのでありますが、その点はどういうふうに考えておりますか。
  37. 酒井俊彦

    説明員(酒井俊彦君) 只今お尋ねのありました第一点でありますが、第一点の御質問につきましては、先ず在外公館が借入れました時にきまつたレートがあれば、それでおつしやつたようにお返しするわけでありますが、御承知のように終戰後、例えば中国をとつて見ましても日本との間に為替レートが成立いたしておりません。終戰時においてこれは日本と中国だけの公定レートというものがありましたが、その後は両者の経済交流が絶たれまして、為替相場が立つておりません。従つて法幣で何元借りたその法幣何元が日本の何円に相当するかということがおつしやるようにわからない。それを追及するためのいろいろな資料が欲しいのでありますが、当時の混乱した事情の下においては一体これをどういうふうな換算率を見たらいいか、その点が資料もございませんし、又地区地区事情も異なりますし、すべての人を満足せしめるような或るレートが作りにくい。そういうことを先ほど申上げたわけなんです。  それから第二の延滯利息の問題でありますが、この点は支払方法如何という問題に関連して、勿論延滯利息の問題ということも起つて参りますが、これをどういうふうに取扱つて行くかということは、先ほど申上げました具体案が若しできます際に、取扱いがきまることだと考えております。
  38. 高良とみ

    ○高良とみ君 大蔵省のほうに更に希望として申上げて置きたいことは、外の議員からもお話がありました通り、これは国会引揚者代表いたしまして、そうして話合いがつくことなんでありまするから、一日も早く私といたしましても、一日も早く具体案を出して頂いて、国会で十分にその率その他利息等についても練つて、早く解決いたしますように御帶刀を切望する次第であります。
  39. 千田正

    ○千田正君 大分議論も盡きませんですが、結局のところ為替レート云々でありますが、その当時の一万円と今の一万円と比較したらとても今のほうが、むしろ大蔵省が遅延していることによつて、それにどれだけの差があるかということは、むしろ我々が大蔵省に聞きたいくらいです。いつまで言つていても際限がありませんから、私は動議を出します。この臨時国会中に大蔵省から具体案を当委員会に提示するよう、委員長からこの委員会として申入れを願いたい。この動議を出しますから、皆さんにお諮り願いたいと思います。
  40. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 只今の千田委員の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 大谷瑩潤

    委員長大谷瑩潤君) 御異議ないものと認めまして、それでは委員長より御動議の趣旨政府当局のほうへ申入れることにいたします。委員長から一言外務並びに大蔵当局にお願いして置きます。この問題は地方へ参りましても各方面のその関係者から、いろいろ歎願を受けておりますることは、各委員同様だと思います。つきましては只今大蔵当局からも言われました通り、この問題には非常に関連が多いのでありまするから、それと共に解決されるべき住宅問題とか、失業問題、殊に思想問題に対しまして大きな影響があると存じまするので、どうぞこの委員各位が熱願されているその趣旨をお汲み取り願いまして、一日も早く当局の誠意ある御回答を頂けるように御盡力あらんことをお願い申上げまして、私のお願いを終りたいと思います。どうぞよろしく。  以上で本日の議題は全部終了いたしました。最後委員長より簡單に一言御挨拶を申上げたいと存じます。第八国会におきまして、図らずも皆様の御推薦によりまして不官私が委員長の重責をけがすことになりましたが、何しろ委員諸君よりも不慣れな私でありましたために、以前よりの経過を十分に承知をいたしておりませなんだ関係上、甚だ職責の上におきまして、その運営よろしきを得なかつた点が多々あつたと反省をいたしている次第であります。この点につきましては皆さんに対しまして深くお詫びを申上げる次第でございます。併しながら委員会のお力で以て未復員者給与法も大幅に改正される見通しがついて参りました。引揚者留守宅家族の方々には非常にこの法律通りますればお喜びを頂けることと存じます。かくなりましたこともひとえに皆様方の御盡力の結果であると存じまして、改めて各委員の皆さん方にお礼を申上げる次第でございます。どうも皆さんに長い間いろいろ御苦労をかけ、いろいろ御支援を頂きましたことを厚くお礼を申上げまして、この委員会を終りたいと存じます。有難うございました。    午後三時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     大谷 瑩潤君    理事            内村 清次君            高良 とみ君            木内キヤウ君            千田  正君    委員            石川 榮一君            長島 銀藏君            安井  謙君            小酒井義男君            森崎  隆君            紅露 みつ君            堀  眞琴君            兼岩 傳一君   事務局側    主     事    (委員部第三課    勤務)     青木 玉吉君   法制局側    参     事    (第一部長)  今枝 常男君   説明員    外務政務次官  草葉 隆圓君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    外務省管理局借    入金審査室長  池田千嘉太君    外務省引揚課長 武野 義治君