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説明員(野田哲五郎君)
只今御質問の北海道におきまして開拓者の
実情に
関連しまして、
内地の
人達の開拓者の
実情の問題でありますが、開拓につきましては、私共
関係しておる者からみますると、実に意気沮喪せしめるような記事のみが出まして全く弱るわけでございます。併しながら
実情をじつと眺めておりますと、大体の数といたしましては三分の一
程度はこれは非常に立派な開拓をや
つておりまして、この線は入植後極めて浅いのでありますが、
既存農家と同一の水準にある、而もいろいろの狙いを近く実現しようとしておりますので、それが実現いたしますならば、
既存農家をいろいろな意味において引離して行く可能性が非常に強いと思
つております。第二の三分の一と申しますのは、これは将来
生活安定の見通しは持
つておりますけれども、まだ遥かに
既存農家の段階に達しない、これは
既存農家の段階に達する望みをもちまして働いておるということであります。
最後の三分の一はこれは非常に心配すべき
状態にあると思います。これらの人々はやはり開拓に
自分自身が
希望を失
つておる人もあるかと思いますけれども、やはり何とか開拓はや
つて行きたい。併しいろいろ困
つておるからそれを援助して貰いたいというような
実情ではないかと思います。東京の新聞によく出ます北海道の東京から移住しました開拓者の
実情でありますが、これは終戰当初におきまし終戰前の戰災疎開
計画で入りましたのがそのまま引入つれられたわけであります。
従つてこれは本当の意味の開拓というのではなくて、戰災避難というような意味で行きましたのが動けなく
なつて引き継いだというような
状態でありまして、この方々は成績が概ねよくないようであります。その根本の原因は何とい
つても、その人々が農業の経験がないということ、それからやはり東京風を吹かしまして、
地元との融和が悪か
つたということが一方にありますと共に、他方におきまして俄かの疎開でありますので、
土地も十分な
土地を與えていないようであります。例えば二町歩とか、三町歩とか、とても北海道では問題にならないような
土地を與えて、殊に地味の悪いところを與えておるというようなことが原因に
なつておるかと思います。そこで私共としましては、これらの困
つておられる開拓者を除去することが開拓の癌を除く最大の途である思いましていろいろ手を打
つております。即ち再入植を広い
土地を開拓しますために、外に世話を
希望する場合には優先的に持
つて行くというような方法を講じております。たださような途を開いておりますが、なかなか一遍定住いたしますと、小面積であ
つてもぬる風呂に入
つておるような恰好で動かないというような
実情にあるわけであります。この問題につきましては私共大いに注意しておりますが、当面の開拓者自身としましても、もう少し奮起して貰わなければならん。こういうふうに思
つております。
それから先程御
説明いたしました海外
引揚農家の三万一千の者は、これは実に素晴らしい成績を全般的に挙げておられるようであります。で、開拓の当初におきまして混乱しておりますのに、すつきりとした筋金を入れまして、さような方式によ
つて開拓して国土の開発及び復興に非常な貢献があるということを実際的に示して呉れたのであると思
つております。で、私共はこの前例に従いまして、今後農家の次三男の入植を促進したいと思いますが、尚今後
引揚げられる
引揚者につきましても門戸を決して閉じるわけではないのであります。ただ一応開拓の大きな目標といたしまして、断続する虞れのあります
引揚問題を第一の看板に掲げることは如何と思いまして、農村問題を表面の看板として掲げて行く、併し必要な部分につきましては
引揚者を引入れることは十分承知しておるわけであります。