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説明員(
三木和臣君)
民生局の総務課長三木でございます。
私から申上げますことは、第一の
労務手帳を取上げた場合の問題につきましては、
只今林局長から申上げた
通りでありまするが、その場合にただ
一つ民生局といたしまして申上げたいことは、結局先程お話がありました二千八百人という人数を
只今民生局の
所管の方へ持
つて来られております。併しながらそれは直ちにこれを全部
生活保護法の範疇に当然受入れるというものではないのでありまして、その点は十分御認識頂きたいと思います。と申上げるのは、この二千八百人の
人達を一応やはり
生活保護法の枠内に入れるに資格があるかどうかを調べなければなりません。それは先ず第一に扶養義務者があるかどうかという扶養義務者の問題と、それから資産があるか、
現状の
生活を支えて行くだけの資力を持
つておるかどうかといういわゆる資産
調査であります。この
二つをいたしまして、実際それは現在住んでおる
ところの住居に行
つてよく内情を
調査いたしまして、直ちに
生活保護法にかけるだけの最低
生活を維持する
程度を認定いたしましたならば、これを
生活保護法にかけるという順序に相成るのであります。この点につきましては、
労働局の方と私の方とは緊密な連絡をいたしておりますので、こういう方法で将来参ると考えるわけです。
それからその次の
簡易宿泊所の問題でありまするが、これは歴史的な問題を
ちよつと申上げなければなりませんのですが、現代は
東京都営といたしましては、こういうことはや
つておりません。併しながら、すでに終戰後高橋或いは新宿の旭町等のいわゆる細民スラム街、ああい
つたところの日雇
労務者が蝟集しておりまして、それらを簡易旅館組合という団体がありまして、その団体がすでに
簡易宿泊所というものを作りまして、そういう
人達のためにや
つておるのであります。
ところがそれは、当初はそれを建てるために
民生局の方といたしまして指導いたしまして、
資材或いはその他の援助をいたしましてや
つたのでありまするが、御
承知のように今テント村という名前が付いておるのが、それでございます。
ところがだんだん日を経るに連れて、あの商売が非常に繁昌いたしまして、もう私共の方でそれを援助しなければならんという状態を離れたものでありますので、はつきりと区別いたしました。現在テントを張
つたような、見るからにみじめそうな
建物でや
つておる。これをいわゆるテント宿泊所と申しておりますが、これは現在も
民生局で面倒を見てやろう。併しながらもう木賃宿より立派な上等の構えのなかなか立派そうに見える建築が大分殖えておるのでありまして、これは御覧頂けばすぐ分るのでありますが、これはもう
民生局としては旅館として取扱
つて、全部離してしまいました。そこで
簡易宿泊所のテントホテルというものを現在助成して参りたいと考えておりますが、現実に助成金その他金を出してはまだ一度もや
つておりません。それから
生活保護法の面で考える問題もありますけれども、これはまだそこまで行
つておりません。と申上げるのは、もつとしなければならない
仕事が沢山あります。第一に、上野の地下道或いは全都内に放浪しておる
ところの浮浪者又は浮浪児、そうい
つた人達の問題を先決しなければなりませんし、それから老人等のいわゆる收容所等のことも考えなければなりません。そうい
つたようなことが先に
なつておりまして、まだ
簡易宿泊所まで手が延びておりません。併し将来
予算が許せば、この
仕事は勿論やらなければならないと考えております。
それから第四の
託児所の問題について申上げますが、
只今林局長からお話がございましたように、女の方が
子供をおんぶして、そうして非常な激しい労働に服しておるということは、これは確かに見るに忍びないものを持
つております。そこでこの
託児所設置ということについては、勿論我々も感じを同じくしてお
つたのであります。同時に昨年以来労働攻勢が非常にやかましく
なつて、我々の方の
労働局並びに
民生局の方に押かけて来て、非常なる
要望事項を持
つて参りました中にも、早く
託児所を作
つて呉れという
要望がございまして、これは我々の方でまじめに取上げてお
つたのでありますが、つまり先程御
質問にありましたように、お寺とか、或いは既設の
施設を使
つて云々ということでありますが、これであるとなかなか容易にできないのであります。実は
託児所設置の規則というのは非常にやかましい規則でありまして、
子供何人について保姆何人ということになりますと、一ケ所に何百万という金がかかります。それでは到底や
つて行けませんので、たまたま私の方が農繁期の忙がしいときに、田植どき或いは刈入れどきに農村に簡易巡回
託児所というものを
設置いたしまして、それで農村にや
つて来たのであります。或いはテント張りとか、或いは簡單な
施設で、これは非常に喜ばれまして、農村から感謝されたのでありますが、これがいわゆる移動式保育所というのでありますが、これをや
つて見たらいいのじやないかというふうに考えておりまして、今回約百ケ所分のテントを購入いたしました。これは今
予算を計上しております。まだ買
つておりません。今度の補正
予算に出しております。これが
通りますと、百ケ所分のテントを用意いたします。これをいわゆる職安の附近の空地に
設置する。或いは大量の稼ぎ場に持
つて行きまして、職場の附近において臨時に開設する。いわゆる移動式テント保育所というものを
設置いたしましてや
つたら非常に効果的ではないか。これならばやかましい規則も要らないし、そして
子供にはユニセフ、ララ物資等も心配して頂くというような考えを持
つておりまして、この
託児所だけは今の
ところ非常に明るい見通しを持
つている次第であります。その点御了承願います。
それから六番の、
生活保護法の基準が低過ぎるというようなお話の御趣旨と存じましたが、これは勿論この問題につきましては、本省の
厚生省の方で十分御研究頂かなければならん問題でありますが、都といたしましては、これを上げる下げるという決定権はないわけであります。ただ、
現状において、現在の法律の制度のみにおいては、限度の超過が認められております。いわゆる限度超過の手続というものをいたしまして、例えば病気のような場合、余計要るような、
生活費が嵩むような場合には、これは
厚生大臣の認可を得て超過して金を余計出してやるということができる方法がただあるに過ぎないのであります。ただこの問題につきまして、
ちよつと御参考までに申上げて置きたいのでありますが、私しの方で先般生計
調査というものを要保護者百二十五世帶につきましていたしました。それは生計
調査を緻密に書いて頂くという方法をとりまして、三ケ月間の集計
調査をいたしました
ところが、その結論が、仮に五人世帶のつまり
未亡人の家庭で、六十以上のお父さんと
子供三人という家庭を想像して頂きますと、それならば大体一人当りが千五百円くらいに一応なるのです。
ところが現にその
人達の
生活の
調査を見ますると、千五百円だけで
生活を完全に仕終せたというのは極く稀なんでありまして、多くの人は大
部分千七百円か、二千円
程度にまで支出がオーバーしております。そうすると、その二百円、或いは五百円というような
生活保護法から差上げるお金以上の金をどこから支出しているかということをまじめに考えて見なければなりません。これは結局自分のものを売るか、或いは内緒で働くか、或いは借金するか、何かの形でこれを補
つているのではないか。殊にこれは
東京都のような
事情の下にある
ところでは、特にそういう顯著な事例があるのでありまするから、この
生活保護法の基準はやはり
東京都とい
つたような特殊の
ところには、特別に環境を考慮して、
全国一律だとか、或いはどうとかいう考え方では考えないで、一応
東京都だけはそういうような面を考慮して、できることは先にどんどん上げて行く、先ず
東京都から始めて見たらどうかというような御
意見も申上げてあるのであります。現実これはそういう数字が出ております。私の方ではそういう数字は、そうい
つたような超過分につきましては授産場とか、そうい
つたような
ところでカヴアーして行くような方法を考慮しておりますけれども、授産場で働いても、その金は結局差引かなければならんということになるのです。そこに我々も非常な矛盾を感じているわけです。そういう点もありますので、御参考までに申上げたいと思います。