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説明員(久下勝次君) それでは私から
医務局所管の
昭和二十六
年度予算の重要な点だけを概略申上げて御了解を得たいと思います。
先ず申上げたいと思いますことは、公的
医療機関の
整備に関する計画であります。この問題につきましては、
すでにこの委員会におかせられましてもたびたび話題に載せられたことでありまして、筋途は御了解を得ておると思うのでございますけれども、私共といたしましては、新しい
医療法の施行に関連をいたしまして、
医療機関、特に病院
設備の
整備を是非とも必要だということを感じて、実は前から
予算の折衝をしてお
つたのでございます。そこにたまたま御
承知の
社会保障制度の勧告も近く行われるというような段取りに相成りまして、
厚生省といたしましては、全体として
昭和二十六
年度は
社会保障制度の準備をなすべき具体的な案に着手すべきだということで、いろいろとお聞き及びのような
予算措置をとろうという計画を立てたわけでございます。その一環がこの公的
医療機関の
整備の問題でございます。併しながら何分にも多額の
経費を要するものでございまして、私共としては甚だ遺憾ではございましたが、財政の都合上、
昭和二十六
年度はただ單にこの
方針が
予算の上に頭を出したという程度の五千万円だけの
予算が認められたことに
只今のところな
つておるのでございます。併しながら今申上げましたように、さような趣旨における公的
医療機関、特に病院の
整備という問題が正式に
財務当局からも承認をせられたということは、私共
医務局の
関係者といたしましては、
一つの画期的な事柄であると思いまして、今後ともこの内容の充実に努力をいたしたいと
思つておるのでございます。
それから次は、
医務局の、第二と申しましても、順番ではございませんが、次に申上げたい大きな問題は、
結核対策の一翼でございますが、私共の担当いたしております
国立結核療養所の運営に関する問題でございます。これはすでに
結核対策の全般をお聞き頂きましたので御
了承頂いておると思うのですが、私共としては、従来の
関係もありまするし、
国立結核療養所の新設及び拡充を企図いたしまして、相当の
結核ベツドの
整備を計画して、
予算の要求をいたしたのでありまするが、
只今までの折衝の結果によりましては、僅かに来年は千五百床を
療養所に
増設するということが認められたのみと相成
つておるのでございます。併しながら
国立の
結核療養所経営に必要なるいろいろな
経費につきましては、
昭和二十五
年度よりも相当額の
予算の増額も認められまして、先ず支障なく、この程度ならば
療養所の
整備なり運営ができるのではないかと
考えておるのでございます。
次に、
療養所関係では、御
承知の
通り本
年度は癩
療養所につきまして二千床の
増床が認められ、現在その工事を進めておるわけでございます。来
年度は更にこれに一千床を
増加することが
只今までのところ認められております。このことは前にも私から申上げたと存じまするが、逐次我が国の在宅癩
患者、
收容癩
患者を全部癩
療養所に
收容いたしまして、癩の根絶を図るという計画に一歩を進めたことになるのではないかと
考えております。本
年度二千床の
増床を認められました分につきましても、来
年度は
年度当初から経常費を認められまして、又これに必要な人員の
増加も承認をされましたので、
年度当初から異常なく運営ができる見込でございます。
療養所関係その他につきましては、特に取立でて申上げることもございませんが、精神
療養所につきまして、事実上
患者の
收容能力がございますので、若干の
予算上の
増床は認められたことにな
つておるのでございます。
次に、
国立病院の特別会計の問題につきまして大綱を御
説明申上げて置きたいと思います。
国立病院の特別会計につきましては、国会におかせられましてもいろいろ御心配を頂きましたのでございます。すでに第二
年度に入
つて只今や
つておるわけでございますが、
昭和二十四
年度の決算の結果によりますと、九ヶ月間、即ち二十四年の七月一日から本年の三月三十一日までの特別会計に入りました第一
年度の決算を見ますると、貸借対照表の簿記上の剰余金の利益は三億三千万円でございます。現金で剰余金を生じましたのは十二億三千万円でございます。当初危惧いたしました経営上のそうした面における支障はなか
つたものと
考えておるのであります。勿論そういうことによ
つて、運営上の点につきまして、いわゆる営利的な運営の仕方をするということにつきましては、先ほども申上げましたように、私共は当初から機会あるごとに厳重に警告をして
参つておりますので、先ず手前味噌を申上げるようでございますが、
国立病院の治療上の面におきましては、そう大きな非難を加えられるほどのことは、特別会計のために起
つたことはないと信じておるのでございます。さような経過を経まして、本年も今第二
年度をやりつつあるのでございますが、これらの経験に徴しまして、来
年度におきましても、同様な計画の下に
国立病院の特別会計の運営ができるものと期待いたしております。ただ逐次
患者の
増加を見ておりますが、本
年度は入院
患者二万二千八百、それから外来
患者二万三千、これを日々の数といたしまして、
予算の計画が立てられてお
つたのでございます。来
年度はこれを入院、外来共に二万四千二百日々
患者が来るというような計画の下に特別会計の
予算を立てたのでございます。尚本
年度御
承知の
通り国立病院のうち六ヶ所を
結核療養所に転換をいたしたのでございます。これは当該
国立病院が、殆んど大部分の
患者は
結核患者を
收容しております実状に応じまして、さような
措置が講ぜられたのでございます。来
年度も同様にその後の経験に徴しまして
結核療養所に転換をするほうが当該病院の運営上都合がいいと思われますので、やはり六ケ所を
国立結核療養所のほうに転換をする計画を立てておるのでございます。従いましてその辺のベツドの差引はございまするので、それらを差引きいたしまして先ほど申上げました二万四千二百床の入院
患者、二万四千二百人の外来
患者を扱うという計画に
なつたわけでございます。さような
関係から自然
国立病院特別会計の收入の面も増額になるわけでありまして、同時に又
患者一人々々の收入につきましても、実際に今までや
つて参りました経験によりますと、逐次入院
患者、外来
患者共に一人当りの件数、社会保険によります件数が高ま
つて来ております。それらの点も実績を考慮いたしまして計算をし、そういう
意味から
国立病院の歳入の計画はベツドの増、それから一人々々の
患者当りの收入の増というようなものを合せまして、今
年度よりも相当の歳入の増にな
つているのでございます。それから
一般会計の繰入れにつきましても、従来と同様に
一般会計からの繰入れを受けなければ、勿論
国立病院の適正な運営もできません。そういう線に沿
つて要求をいたしたのであります。
只今までにきま
つておりまするところでは、
一般会計の繰入額が今
年度より二億九千万円ほど減額になる計算に相成
つております。これは
一つには、先ほど申上げたような歳入面の
増加があるということから生じたものでございまするが、他面におきまして、
只今のところの
予算案の内容では、来
年度における
国立病院の
職員のベース改訂の
費用は全然この中に含まれておりません。数字を申上げて差支えありませんが、
只今までの特別会計の收入支出総額が、
只今のところは四十億六千五百万円と相成
つております。肝心な点を申上げないで恐縮でございますが、これは本
年度に比較いたしますると六億六百万円ほどの増額にな
つております。即ち本
年度は特別会計の收支
予算額は三十四億五千九百万円、これを来
年度は四十億六千五百方円に増額にな
つているのであります。この四十億六千五百万円の中には、来
年度の国家公私員の
給與ベースの改訂の
予算が入
つておらないのでございまして、これは
財務当局との折衝の約束によりますれば、この分は当然
一般会計の繰入れを以て賄
つて行くという
方針で話合いをいたしておるのでございます。従いまして一応は繰入額が本
年度より減
つておりまするが、そういう
意味合いにおきまして、大体本
年度と金額においては同程度の
一般会計の繰入れができるだろうという
考えであります。尤も比率から申しますと、当然御判断を頂けまするように、
予算総額が欠けておりまするが、その
意味からに今
年度よりも繰入れの比率は減るのでありまするけれども、今申上げたような
関係から、十分私共といたしましてもこれで来
年度の病院運営は差支えなくでき得るものという見込みでございます。特に、これは
療養所の所でも申上げませんでございましたが、特に
国立病院につきましては、来
年度は本
年度に比較いたしますると、病院の
改善のための
費用、本
年度はすべてを合せましても
国立病院は七千万円、程度であ
つたと思いますが、来
年度は全部で病院の補修費、
改善費、
改善と申しましても営繕的なもの、これが二億四千万円ほど計上をされておりまするし、又
医療機械の面におきましても、来
年度は七千万円と一応見込みを立てておりまして、本
年度の約三倍強のものが
医療機械の
整備のために予定をせられてございます。そういうふうにその他の
医療費或いは賄費等の單価は、米価の値上り等に基きます増額がありました外は、大体本
年度と同額でございまするけれども、そういうような病院の内容
改善の面につきましては、私共必ずしもこれで十分とは
思つておりませんけれども、本
年度に比較いたしますると相当程度の増額になります予定にな
つておる次第であります。極く大掴みの、而もまだまだ重要な問題がたくさんございますかも知れませんけれども、御
質問に応じてお答えを申上げることにいたしまして、数個の点のみを申上げて御了解を得た次第であります。