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1950-10-03 第8回国会 参議院 厚生委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月三日(火曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————   委員の異動 八月二十五日委員深川タマヱ君辞任に つき、その補欠として星一君を議長に おいて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告社会保障制度に関する調査の件  (厚生省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) それではこれより継続審査のために厚生委員会を開会いたします。  休会中厚生專門員並びに調査員の任命を見ましたので、この際多田專門員並びに長谷川調査員を御紹介申して置きます。  御報告は順序といたしまして、先般のジェーン台風によりまする災害復旧につきまして、被災県地方の御視察を願いました議員団の方から御報告を願いたいと存じます。  それでは井上議員からその御報告を願いまして、あと中山議員から尚大綱につきましての御報告を願いたいと存じます。
  3. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 去る九月三日の午後一時二十分頃から吹き始めましたジエーン台風被害予想外に大きいということでございましたので、私共この厚生委員者達も憂慮いたしておりましたところ、幸に委員長のお許しもございましたし、それから参議院議長の命も、ございまして、厚生委員の中山、井上委員多田專門員横山主事厚生省杉村事務官と共に、九月十一日の午後十時三十分東京駅出発、現地に向いましたのでございます。九月十二日朝京都駅に到着、直ちに府庁に赴きました。そうして府下状況を聴取いたしました。幸い京都から出ておられます大谷委員の秘書の方も御同行下さいまして、大変に状況聴取は都合がよろしうございました。京都府下におきます一般被害状況は、御承知のように京都府下は、これといつて取立ててひどいところは、舞鶴宮津を除きましては、少うございますが、全般的に多少の被害を蒙むつております。殊に稻作方面は四〇%ばかりの減收だというような状況でございました。それから厚生委員の立場から、先ず人の被害を承わりましたら、死者七名、行方不明四名、重軽傷者三百六十四名で、住家の被害といたしましては、全壊六百八十四、流失三、半壊三千三百二十八、床上浸水三百五十三、床下浸水三千五十三でございます。京都府下におきまして最も被害の激しいところは、日本海に面した舞鶴宮津でありまして、これは写真を委員会といたしまして頂いて参りましたので、恐らく皆様にお目にかけることができると存じております。損害見積は大体七十五億ぐらいだというような御報告がございました。その内訳といたしましては、生産施設が二十億ぐらい、国宝関係が損壊されましたので五億円ぐらい、農地関係十八億、住宅関係が三十億、衛生民生関係二、三億でございます。  京都府におきましては、今回の災害にはそんなように大変片寄つたところが、ございませんので、災害救助法を発動いたしておりませんでございましたが、ジエーン台風被害が起りまして、すぐに救護班衛生班を派遣いたしまして、それぞれ応急対策を講じましたのでございます。殊に視察いたしまして見ましたところが、どの家も一枚や二枚の瓦、多いのは数十枚の瓦が飛んでおりますので、非常に物価の高騰を来しまして、非常に民心の安定を害されますので、復旧資材地方事務所で用意しまして、修理班トラツクを以ちまして、そうしてこの修理に当つておりますのでございます。それから衛生関係といたしましては、災害発生と共に市内十二ケ所、府下十二の保健所をして早速管内の発動を命じまして、そうして救護防疫に当らせましたようなわけであります。それから避難場所といたしましては、市内に二ケ所、府下に一ケ所設けました。避難者重傷者を入れたわけでございます。幸い市内は大体現地視察することができました。浸水地舞鶴宮津へは日程の関係で参ることができませんでしたが、報告によりますと、この舞鶴宮津に早速伝染病予防のために濾水機二台にて給水をいたしまして、殊に予防注射の済んだあとでございまして、予防注射に漏れた人のみに注射を行なつておりましたが、お蔭様で伝染病の発生を見なかつたと安心いたしたのでございます。殊に防疫方面に努めまして、災害翌日、九月四日には早くも浸水家屋へ「衛生パンフレツト」の配給をいたし、DDT、カルキ、石灰等配給をいたしまして、井戸、便所の消毒を行わせました。それから次に京都府で聴取いたしました状況でございますが、今の京都市役所に出向き、京都市内災害状況を聴取いたしました。京都市内は御承知のように、伏見深草方面が非常に荒されまして、死者が三名、重傷者が二十名というようなことでございます。建物といたしましても、深草あたりは、全壊半壊家屋が非常に多うございました。それからその災害状況をちよつと聞きました。九月三日の台風京都市内の交通は跡絶えてしまいましたが、当日は直ぐバスを使用いたしまして、市民の足を補いました。市電は九月四日に運転をいたしましたし、水道は当日は断水いたしましたが、直ぐ給水タンクを使用いたして給水いたしました。電気も当日は断線のため停電いたしましたが、主要施設には直ぐ当夜電気がつくということで、民心安定のために非常に結構でございました。それから衛生班は八十五班出しまして、防疫に当らせておりました。御承知のように大変に問題が、後程申上げますが、トラツクを使いまして塵埃の整理をいたしました。それから直ぐに一行現地視察に向いまして災害の一番重い伏見深草方面に参りましたが、市内は先程申上げましたように屋根瓦が大なり小なり吹き落されておりまして、街路樹の葉は多数傷められましたが、倒壊した家屋は市内中心部では、ございませんでしたが、深草、伏見の方に参りまして、倒壊半壊した家、圧死したというところを見せて頂きまして、その災害の大きいのを感じたのございます。殊に戰争中に建てられたと見えます工場のような風当りの強い建物は非常に被害が甚大でございました。それで一行はその状況を見まして京都視察を終えたのでございますが、京都視察いたしましたときに、京都市の方の要望といたしまして、今回の被害京都ではどこといつて一局部に非常に激しいということを見なかつたので、その被害状況が非常に甚大でございました。国庫補助と申しましようか、衛生関係民生関係の多額の補助をお願いしたいということでございます。それでこの外厚生委員建設委員と一緒でございましたが、建設委員要望も可なり出ておりましたが、私共も伺いましたが、大体その方面のことは又それらの方々に十分研究して頂くことにいたしました。  それから一行京都に留まりまして、九月十三日午前九時に自動車にて途中の被害状況を見ながら大阪に参りまして、それから午前十時半に大阪府庁に到著しまして、最も被害の激しい大阪府下災害状況を聴取いたしたのでございます。それで大阪被害といたしまして、大阪市の三分の一は高潮で水に浸りまして、堺市の十分の一も水に浸つたのでございます。人の被害といたしましては、死者二百三十四、行方不明百三十、重傷五、軽傷九百六十一、当日の報告でございます。家といたしまして、全壊九千四百八十二、半壊三万五千七百六十八、流失五十一、浸水床上二方九千、床下五万二千五百三十、非住宅二万八百、田の流失が六千五百十八町歩、冠水が三万五千三百七十一町歩、畑の派失が五千九百五十四町歩、冠水が三千三百六町歩道路決壊は二百七十六、橋の流失が七十二、堤防の決壊が百六十四、総計見積りまして、この損害の見積りは一千億にも達するのじやないかというふうなことで、ございました。早速この大阪府下対策といたしまして、九月三日に災害救助法を発動しまして、八日の府議会で通過した七億五千万円で、先ずこれに当つたのであります。罹災者十一万人を早速二十二ケ所の公共施設の学校、公会堂に收容いたしましたが、九月十一日には二万二千人まだ残つておりました。食糧は直ちにかねて用意しておりましたものを、九月三日夜直ぐビスケットを配給し、その後は炊出しをいたしました。九月十二日、雨が降りまして、三尺増水をいたしまして、区役所、公団に避難民が押寄せて来るという状況でございました。そうして九月十三日に私共が訪ずれました当日は、港区、大正区、西淀川区、此花区、この四区だけに水が残つておりまして、まだ浸水しておりましたけれども、この方面は五日間の災害救助法の延期をいたしました。尚必要に応じて、その救助法の延期をいたすというようなことでございました。特に生活要保護者に対しましては、必要がございますれば生活要保護者及びボーダー・ライン上の者に対しましては、  一ケ月の救助法の延長を予定いたしておりました。堺市は九月十三日特別災害救助法を打切つております。  それから災害救助状況といたしまして、九月三日、直ぐに日赤に命じまして三十八の救護班を出動せしめ、傷病者を六の病院に收容いたしまして、これが手当に当つたのでございます。それから救護材料、医薬品一万五千人分を備蓄いたしまして、十九の保健所に配付して救護防疫に当つたということでございます。大阪市内におきまして、救護班注射班衛生班を出して活動いたしたのでございますが、不幸にして非常に濁水で大変汚うございますので、いろいろと防疫のためリバ  ノールその他の薬品を使用いたしましたにも拘わらず、当日百三十八名の赤痢患者を出しております。衛生部長の話といたしましては、これだけの大きな災害に百三十八名で済んだことは非常に有難いと言つておりまして、防疫に懸命になつておりました。それから関係地区給水は七十台の給水車給水いたしております。物資といたしまして、物資配給は、炊出し方面は  一日六十万人分の炊出しをいたしておりますが、その他毛布の配給もいたし、蝋燭は八万六千本配給いたしました。それから厚生省の方からララの物資が到著しまして、罹災者配給をいたしました。それから特に浸水地帶大阪地区に多うございましたが、その地の赤十字奉仕団婦人会が一緒になりまして、炊出しをして頂きましたが、又罹災者の必要な物資の蒐集をいたして下ざいまして、罹災者のためにいろいろと援助をして頂いたという、非常に災害対策上に大きな力になつたわけでございました。  それから次に大阪市庁に出向きまして、市内災害状況を聴取いたしました。大阪市内といたしましては、先程申上げましたように、九月三日に直ぐに六十台トラツク食糧配給をいたしました。翌日から六十万食の炊出しをしたことは申上げましたが、日赤奉仕団婦人会等活動を健全にするに当りまして、清掃に三百台のトラツクを用いまして、塵埃の搬出、伝染病予防石灰クレゾールなどを與えましてやつたということでございます。その状況聽取の後、一行は直ちに現地に赴きました。そうしてまだ水のあります此花区に参りまして、区役所状況を聴取いたしましたのでございます。被害の最も大きいと思われます此花区は、死者三十名、行方不明一名、全壊三百八十四、流失六四、九月十日になりましてやや減水をいたしましたが、これは初めに申上げましたように、防潮堤を越して高波が入つたものであります。一昨年の東京キテイ台風と同じように、やはりこの地区でも排水ポンプが故障いたしまして、用をなしませんために、いつまでも水が引かずに浸つているということでございます。そこで早速区役所で情報を聞きました後、一行は泥海に浸つております高島地区という浸水地視察いたしました。高島地区では先年から四回目の浸水でございまして、そこの住民はほとほと四向も水に浸るということには飽き飽きしたということでございます。住民の声といたしまして、一時も早く高い六メートル半くらいの防潮堤を作つて欲しい。それから配水ポンプを完備して欲しい。それがうまく行かぬから少しの雨でも市民は不安で寝てもいられないとのことでございました。それから又一罹災者の声といたしまして、これだけ大きな災害なんだから、どこか他府県でもお見舞を下さつたようなところもありますが、東京都のようなところは見舞を呉れてもいいがなという声が出ております。それから同時に日赤救護班活動状況も見ましたが、一日五百名、丁度ガラスによる創傷などの患者を視察いたしましたが、非常に日赤活動を喜んでおりました。  それから一行四貫島小学校に五百名の罹災者を訪問いたしました。婦人子供の方が大勢おられまして一行はそれを激励いたしまして、そこを出ました。そして同じく浸水の激しく、まだ非常に困つておられます港区に参りまして、区役所状況を聴取いたしました。ここでも死亡が五十七名、行方不明が五、全部浸水でございます。伝染病は赤痢が八名でございます。下痢が多数、ございまして、各戸に消毒のため石灰クレゾールを配分せられておりますが、何分にもまだ水が浸つておりますので、できませんような状況でございます。日赤奉仕団の助力が非常に力があつたということを感謝しておりました。それからその区役所の隅に罹災者を收容してございましたので、牧容中の罹災者の方にもお見舞を申上げました。罹災者の中には非常にじれつたく感じまして、まるで殺気立つたような人もございまして、見舞などはどうでもよろしい、早く住宅対策でも立てろ、何をしているかというようなことも言われまして一時も早く対策を立てたいという感じがいたしました。  それから一行はすぐに堺市に参りまして、堺市役所状況を聴取いたしました。堺市は御承知のように、今回の台風でやはり高潮のために防潮堤が低いので水が入つたのでございまして、大正九年の浸水をいたしましたときに防潮堤を一部作つたのでございますが、一部未完成でございますので、今度は堺市の外に大きな防潮堤を作つて貰いたい。それから排水ポンプを欲しいというような要望がございます。ここにおきましても早速九月三日の台風当時に十七ケ所に救護所を作りまして、三千名の給食をいたしました。給食といたしまして二十八万三千五百食、一食一万五千出しましたのでございますが、災害救助法で九月九日に收容所を殆んど打切りまして、僅かばかりの收容所で、そこも夜間やはり寝るところがない。又床下の浸水がありましたので、二つの小学校におるというような状況であります。  大防府下要望事項といたしまして、それはこのあと中山委員がお話下さると思いますが、一番多く声を出しておりますのは、私共に関係いたしましたことでは住宅対策でございます。災害復旧のための住宅対策はいろいろございますが、四千戸のどうにもならない、どこへも行くことができない人が四千戸ということでございますが、災害救助費でそれが約一〇%の九百戸ぐらいしか建てられないということであります。臨時住宅といたしまして、五坪の家、一坪六千円約三万円の九百戸を建てられるということでありまして、大阪といたしましては、四千戸として頂きたいという要望がございました。それから厚生省関係といたしましても、厚生省の方の社会事業費用その他の費用保健所費用国庫補助を願いたいという要望が、ございました。  それから私共一行自動車災害地帶兵庫県に参りまして、神戸に参りまして、九月十四日神戸県庁に参りました。時間の関係兵庫県下の数字は拔かさして頂くことにいたします。兵庫県の要望といたしまして、兵庫県の災害復旧に対する要望事項といたしまして、これもどこも同じことでございまして、防潮堤の復旧にもつとも補助して頂きたい、兵庫県は御承知通り被害地海岸線に面しております尼崎市を中心とする海岸線、淡路の西海岸、それから但馬の方面ということでございますので、絶対に防潮堤費用を出して頂きたいということであります。住宅六百戸を国庫補助でやつて頂きたいということでございます。それから伝染病予防費補助を早く頂きたいという要望がありました。それから私共は神戸市の実情を聴取いたしまして、それから現地尼崎に向いました。尼崎は御承知のように海岸地帶でありまして、殊に一年に十センチぐらいずつ土地が低下をいたしておりますので、これが浸水をいたしておりまして、日発関係の工場が三ヶ所ございまして、非常に被害甚大であります。尼崎市長は、自分が先頭に立ちまして被害地を案内して下さいまして、非常に被害の甚大なことを感じたのであります。それから西ノ宮を廻りまして、私共は視察を終えたのでございます。兵庫県の防疫対策は非常によくできておりましたのでありますが、こうした浸水、泥水でございますので、赤痢患者が四十九名、腸チフスが一名伝染病患 者を出したのであります。それで参りまして、いろいろ承わりました結果によりまして、今回の災害救助で一番感じましたことは、各県とも申されましたことは燈火のことであります。蝋燭の必要を感じ、又毛布が非常に少い。いろいろな災害備蓄も各県にございませんので、殊に兵庫県の方のおつしやいます備蓄というものは、ふだんからこうしたもののためにはお金を寝かして置くということができないという意見あつて、なかなか備蓄ができないので、他府県に申出ても、厚生省に申出ても、いざというときに災害救助法の非常に悩みがあるということでございまして、備蓄の問題について十分に検討を要するのではないかと思います。もう一つは、情報網のことが非常に塞がれておりまして、災害のときに大阪といたしまして、正しい情報を宣伝をして下すつたことで、これは無電の装置でもどこかにあれば、もつと早く民心を安定することができたのじやないかということを聞いたのであります。以上で私の御報告を終らせて頂きます。あと中山委員からお聞きを願いたいと思います。
  4. 中山壽彦

    中山壽彦君 私は一行より少し遅れて参りましたのですが、今回の台風は前年の室戸台風に比べますというと、台風の通過いたしました時間が長かつた従つて雨量も非常に多量でありまして、前回よりも被害が特に大きいように聞いております。私共が現地を見まして最もひどかつたの兵庫県の尼崎市、丁度私共が尼崎市に参りましたのは九月の十四日でありました。台風被害が始まつてから、すでに十日以上過ぎた際に漸く電燈がつき、水道が出た。尼崎会社工場或いは一般住家等は尚浸水をいたしておる。私共が被害地視察いたしまするのにも、道路に水が盗れておりまして、尼崎市長の案内によつて漸く被害地視察した。こういうような状況でありまして、元来あの附近の地面というものは水面より低いのであります。でありますから防潮堤決壊をし、或いは又決壊しなくとも、高潮のために防潮堤を波が越えて入り込むのです。又これを排水するポンプが付いておりますけれども、動力が止つておりますのでポンプの用をなさぬというようなことで、十日以上水が溜り、新聞で見ましたり、写真を見ました以上に、私共は尼崎附近を見ますというと、この惨状が特に想像以上であつたのであります。鳴尾、西宮、芦屋等におきましては、又被害の程度は非常に軽く、大阪におきましては、先程井上委員より御報告になりましたように、海岸地区に接しました四区が一番ひどかつた。私共は最初西淀川区の区役所に参りましたが、区役所の玄関の軒先は破壊いたしております。又区民の人々罹災証明書を取ろうというので非常に混雑いたしておりまして、表玄関からは入ることができないというので、横の小さい入口から区長室に入つて、いろいろ当時の状況を聞いたのであります。丁度その時分民生委員の方が八名程区長室に集まつておられまして、ララ物資配給の処理に当つておられた。その物資の総量は八万であります。そうして二十四品目、これを各世帶に公正に分配をいたしまするということは非常に面倒な仕事である。然るにこの八名の方々が丁度お晝の時間でもありましたが、食事もしないで、暑いときにこつこつやつておられた。私はあまりにその熱意に刺戟を受けまして、皆さんに私が代表して挨拶をして、厚生委員の名において感謝の言葉を述べたのであります。それから小学校における避難状況を見に参りました。小学校の校庭にはやはり水がまだ溢れておりまして、学校の中に入ります。のには、板の橋のようなものが仮にかかつておりまして、その橋を渡つて中に入りました。各教室、ことに罹災沢山人々が「わらむしろ」を敷いて、着の身着のままで避難をしたという状況、私は誠に惨澹たる思いをさせられたのであります。暫くそこに休憩をいたしまして、校長さんと責任者人々、或いはそこに水産会長影山さんという方がおられまして、いろいろ問答をいたしたのでありますが、その際に影山さんの言われるのには、全体九月には毎年台風というものが来ておるのだ。然るにこの防波堤工事というものが九月に完成していない。今回の西淀川の右岸の防波堤工事というのは工事の中途で、鉄筋が出ておつたから、却つて逃るのに困つて負傷者がそのために殖えたという、こういうようなことは、今後注意して頂かなければならん。全体この防波堤工事というものは従来よりも防波堤の高さも高くし、又幅も広くし、又水面との連絡工事というものをもう少し科学的に考慮してやつて貰わなければならんというような、誠に実験的なお一話でありましたので、これらは今後の工事の上に一つの参考になるのではなかろうか、こういうような感じをいたしたのであります。  それから堺市に参りましたが、市長その他当局人々会つて避難状況も聞きましたが、堺市におきましては、罹災直後に市長の英断によりまして仮罹災証明書というものを発行しておる。これは非常に事務の便宜になつたということを耳にいたしたのであります。帰り遂に大阪府の社会課長の案内によりまして、白鳩会という社会事業団体見舞に参りました。この白鳩会という社会事業団体はすべて婦人がやつておる、つまり戰残者の夫亡人戰災未亡人、引揚者、婦人ばかりですべての仕事をやつておる。私共が行きました事務所映画館の一室でありました。映画館を借りまして、フイルムの操作から全部男の手を借りずに婦人ばかりでやつておる。映画館ちよつと見に参りましたが、婦人がやつておるということで一般市民の同情がありまして、よその映画館に行くよりも、あそこの映画館に行こうじやないかということで、常に満員状態ということで、若干の利益があるという話を聞いたのであります。又その白鳩会人々が今回の台風被害に当りましても非常に活動しておる。水が出ておりまする道路のうち、殊に横道の方には余り人が行かない。そういう人の行かない所に舟をかり、或いは水に浸つていろいろな野菜を配給する。或いは沢庵を無料で配給するというような、誠に涙ぐましい活動をされたということを耳にいたしまして、この際におきましても、私は厚生委員の名において、今日までの労を多とし、尚今後の御努力を心からお願いをいたした次第であります。それで京都は先刻井上さんの御報告のように大した被害はないのでありまするが、病棟の被害を受けたものがある。でありまするから、これを復興するのに相当な助けを願わなければならん。まあこういうようなわけであります。  全体を通じまして、被害直後の応急対策と申しますか、食糧及び日常生活に必要な物資或いは救護班によつて傷病者の治療、こういうものは各当局の非常な熱意によつて何とかその始末ができておるように私は感じたのであります。ただ備蓄物資というものは平生より沢山備蓄をするということは実際問題として困難であります。併し大阪とか、兵庫のような大きな県におきましては、被害少い所から県内において若干の融通が付くというようなことで、何とかやり繰りができたようであります。併し私は災害救助法案というものが、第一国会において審議して決定されたのでありますが、その後の各所における災害の実績に徴しましても、又社会宣伝をいたしました現在におきましては、災害救助法というものに若干の修正をしなければならないのではないかということを痛感をいたしておるのであります。どういう点を是正すればよいかという希望を述べて貰いたいということを、こちらから当局の方に依頼をいたしておつたようなわけであります。伝染病等は各地とも殆んど発生しないというような報告を得ております。荷その後の対策としましては、先ず一番問題は家屋の問題であります。先刻井上委員からも御報告がありましたように、現在は小学校等に皆避難をされておりますが、小学校をいつまでも避難民に貸すわけに参りませんから、何とかこの処置をしなければなりません。私は東京を出ます前に厚生省に参りまして、住宅問題はどうなつているかということを社会局に尋ねましたところが、まあ一坪六千円、五坪三万円の家を避難民の一割建てたいと思う、こういうお話を聞いて参りました。併し各地共一割の住宅では後の九割はどうなつて行く、折角一割建てて貰つても、これを選択することが非常に困難で、却つてむずかしいじやありませんか、もう少し相当に考慮をして貰いたい、まあこういう話が各地共同様に出ているのであります。尚御承知の通り今日の被害中心地は我が国の産業の中心地でありますので、どうしてもその復興を早くいたしませんというと、我が国の国力に大きな影響をもたらすのではなかろうか、こういうことを私共は非常に痛感をいたしておるわけであります。それにはどうしたらいいか、先ず被害地当局の人が言われまするには、税金というものを被害の程度によつて全免或いは軽減の処置を講ずることであります。或いは農作物の供出等においても、その程度によつて軽減をしなければならん、併し恰もこの納税期に当つておりまして、なかなかその税金の收納というものは困難であります。で税金が入らぬというと、府県におきましては運用の金がないわけであります。従つてこの際国家から一時融資をして貰う、或いは資材の許可を受ける、こういうことが非常に必要ではなかろうかと思うのであります。私共が従来国のやり方を見ておりますというと、融資でありますとか、資材でありますとかという面におきましても、なかなか私は手数がかかる、手数をかけて時を費した後でそういうことをやりましても、今日百円で後で二百円出すというよりは、今日百円ということが私は実際にそれが有効に活用できるのではなかろうかというような感じを今日まで持つておりますので、どうかこの際融資にいたしましても、資材にいたしましても、手取り早くいろいろなその手続きを省略して早く片附けるということは、この復興に大いに役立つのではなかろうか、まあこういうふうに感じておつたのであります。又この海岸に面しました防潮堤というものは、どうしても従来よりも高さを高くしなければならん、又その幅も広くしなければならん、それからこの地面との連絡工事等も、現在富山市の話によりますと、大きな石が入つて如何にも一見見たところでは堅固そうに見えますけれども、こんなものは石が飛んでしまいまして、こんなものは非常に脆弱だということを非常に力説されたのであります。これは多年こういうことに経験のある人の話でありますから、こういう点はもう少し技術者が相当考慮の上に考慮を加えて、実際堅固なものを作つて行かなければならんのじやないかというような感じがいたすのであります。  まあ要するに詳しいことは井上さんから御報告になりましたので、私共方々からいろいろな調書を貰つおりますから、必要なお方は一つそれを詳しく御覧を願いたいと思いますが、とにかく今回の台風被害というものは私共の想像以上にひどかつたということを御認識を願い、これの救済は一日も早くやらなければならん。二十三日、四日に関係閣僚が大阪に集まり、いろいろ審議をされたということも聞いておりますが、どういう結果になりましたか、小田原評定では、これはいかぬということを痛感いたしております。これだけを一つこの機会に御報告申上げて置きたいと思います。
  5. 山下義信

    委員長山下義信君) 御両君の御報告に対して御質疑の方はございませんですか……。尚随行しました專門員で補足することがあつたら、この際発言を許します。尚派遣の両議員の方が現地におきましての要望に対して盡力する旨を確約せられた等のことがありましたら、委員会としては努力したいと思いますから、御指摘願つて置きたいと思います。
  6. 中山壽彦

    中山壽彦君 私は被害地当局からいろいろの要望を受取つておりますが、向うからの要望事項はここへいろいろ書いて参りましたのですが、これは一つよく整理をいたしまして、時間の都合上次回にお願いいたしたいと思います。  尚、社会保障制度に関する調査のため今回のジエーン台風における災害救助状況の実状を聴取するため、大阪地方から特に救助に盡力した数名の者を証人として喚問することとし、その人選、日時及び手続は委員長に一任の動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  7. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今の中山君から証人を喚問することとし、人選、日時その他は委員長一任の動議が出ましたが、如何取計らいましようか。    〔賛成と呼ぶ者あり〕
  8. 山下義信

    委員長山下義信君) 御賛成のようでございますから、証人を喚問することとし、人選日時は委員長に御一任を願うことに決定いたします。  次に、先般厚生行政の視察に御出張相成りました第二班から御報告願いたいと思います。
  9. 有馬英二

    ○有馬英二君 第二班は富山、石川それから福井の三県の厚生施設を視察に参つたのであります。池田議員と堂森議員と私と三名でございました。神戸に関する社会事業方面は池田君から報告して下さるごとになつておりましたが、今日は池田君が御出席にならぬようでございますから、私が変つてかい摘んで御報告申上げます。  生活保護法の実施状況、これは三県共この実施に大変に骨を折つておるようでございますが、御承知のように最近は社会状態が、特にこの経済状態の変化に伴なつて失業者が増加しておるということから、尚賃金不拂というようなこともありまして、生活保護法を受ける人が漸次増加をしておるような状況でありまして、保護費も一ヶ月平均二千万円に上つておる。富山県では、毎月当初より約七倍くらいの経費が支拂われておるような状況であります。併し富山県では、全市町村の監査を非常に十分に行なつて、紛糾というようなことを防いでおるというようなことは、特に注目に値いするところと思われるのであります。特に補助を受けておる者は、一般生活困窮者を除いては、遺家族或いは戰災者等が多いのでありまして、御承知のように富山は戰災地でありまして、特にこのの点は注目すべきことではないかと思います。それから保護費の中では医療の補助に受けるところの医療費が非常に割高になつておる。生活扶助費の大体九〇%を突、破しようとしておるというような状況でありまして、この点運営に非常に苦心をしておるようでありまして、それから尚生活保護のために生活相談所等を開設して社会福祉主事の設置等を行なつて努力をしておるようであります。それから兒童福祉の方面におきましては、これは兒童福祉が実施されまして、三県共に特に力を入れておるようでありまして、兒童課が設けられて、この方の施設も躍進しておるような感があり、但し富山県では県庁内に兒童課を設けないで、社会福祉課で厚生行政の方をやつておる。各県共この方面では相当施設の拡充に熱心であり、漸く軌道に乗つたところというような感じがしたのであります。特に保育所を設けてやつておる。これはどの県も最近その緒についたというような感じでありました。石川県は特に季節保育所、季節的に子供を預るというような季節保育所を設けてやつておるということ、それから保護費の補助金を県費で交付しており、県が非常に力を入れているということが分ると思います。それから兒童相談所、これは各県共一応その特殊性を発揮しております。ただ鑑別した子供をそれぞれ適当なところに送りたいというのでありますが、その施設が十分にない。即ち受入態勢が十分にできておらぬということ、特に青少年の犯罪、不良行為の少年が最近著しく増加しておるのに拘わらず、こういうような子供の收容所が誠に貧弱であるということである。特に富山県では、このうち若干名を石川県に委託しておるというような状況であつて、富山県はこの点においてまだ誠に施設が劣つておるという感じを受けたのであります。こういう点におきまして、兒童福祉施設がこの北陸三県でも、まだまだこれから拡充強化をしなければならんということを痛切に感じました。  それから母子の要保護でありますが、母子世帶の現状等から見て、母子寮を中心とした授産場等を見たのでありますが、これもまあ各県やつてはおるようであるが、どうも内容が如何にも貧弱であるという感を免かれない。これはどの県も皆同じようでありました。特に運営に困つておるようであります。それは資金の配慮もそうでありますが、資材を得るということに非常に困難を感じておるようでありました。それから授産場の仕事そのものが誠にどうも貧弱のように思いました。この点はもつと今後内容の充実と資金の配慮、資材の供給ということを、どうしてもこれは中央でもつと心配をしてやらなければならないのではないかというような感じを受けました。それからこの方面で、石川県の財団法人の小野陽風園でありましたか、これは外の県はちよつと私分りませんが、三県の中では最も優れた、恐らく日本中でこれくらい整備された財団法人としての養老施設及び兒童の養護というような施設は外に余りないのではないかと思つております。收容力が可なり大きく、大人が二百五十人、子供が百十人の定員でありまして、中に治療所もあつて、診療をも行なつておる。これを特に園内ばかりでなしに、外の方までも手を伸して、その近辺の人の治療もやつておるというくらいに行なつておるのであります。誠に行き届いております。予算は、養老部が六百五十万円、兒童部が三百七十万円でありました。  引揚者の厚生施設としては、住宅であることは御承知の通りでありますが、これは特に福井県の引揚者の住宅等も一応見たのでありますが、誠に貧弱で、而も今度のジエーン台風で可なりの被害を受けておるようであつて、如何にも、この住宅の困窮状況を思わしめました。石川県では引揚者の四割は自分の家に住んでおるというのでありますけれども、その他はすべて借家、間借等でやつておるというようなわけで、誠に住宅難に喘いでおる。特に石川県では一千人が住宅外の建物に住んでおるということで、この方面は余程督励をしなければならんかと考えられます。厚生方面は、大体かい摘んで申上げるとそんなことであります。  それから衛生行政方面は富山、石川、福井、それぞれ国立病院、保健所、それから療養所というようなものを視察をいたしました。御承知のように、富山県は、小さい県ではありまするが、非常に産業の発達しておる県であるのに拘わらず、割合に保健衛生の行政の方面において、隣の例えば石川県から比べますというと、可なり遅れておるという気がいたします。特に富山県では、国立病院がたつた一つでありますが、これが焼けてしまつて、それを復興いたしましん修築したわけでありますが、誠に不完全極まるものであるという感じがいたしました。而も、国立病院が郊外にあつて、特に患者の取扱上誠に不便なところで、電車は通つておるのでありますが、患者が余り利用しておらないという状況であります。それから富山県では日赤病院とか、あすこの日赤病院は非常に大きな病院でありますが、それから不二越鋼材工業公社という会社が、これは非常に大きな会社でありますが、会社立で大病院を経営しておる。そういうような私設の病院が多いに拘わらず、市立病院とか、県立病院とかいうようなものが建てられておらない。こういうことから見ましても、富山県は確に医療機関の設備において遅れておる。但し知事の話では、不二越会社で建てておるところの不二越病院を、今度は県で買取つて県立にするとかいう計画を目下着々と進めておるということでありました。それから私共は前から富山県のことをよく知つているのでありますが、農村の環境衛生状況で、昔から傴僂病の発生で非常に有名なところであります。それがために、農村の家屋の構造を逐次改善しておる筈でありますが、今日どれくらい傴僂病が減つたか、冨山県ではその発生がどのくらいの程度になつたかというようなことについては調査が誠に行届いておらない。それから富山県の結核の発生は、これはお隣の石川県が非常にいい成績を挙げているにも拘わらず、冨山県は上つておらない。この点は誠に遺憾であると思います。従つて結核予防に対してもう少し対策を嚴重に行うべきであると感じました。  最後に、富山県は御承知のように家庭医薬製造で非常に有名なところであつて、そこの代表的の会社である広貫堂並びにその工場視察して参りました。恐らくこれは家庭医薬製造工場としては日本に唯一で、他に殆んど類を見ないくらい完全なものであるという感じを得ました。その製造は誠に十分であるが、内容は昔と少しも変つておらない。やはり漢方医薬を主としたものであるのが主であります。勿論新らしい薬もやつておりますけれども、それは一部分である。この点において県当局が医薬品の資料取締ということについてもつと努力をしなければならないということを感じました。勿論この広貫堂には立派な研究室があつて、そこには立派な学者がおりまして、研究をしておられるようでありますが、県当局が余り完備した研究室を持つておらないということは誠に遺憾であると思われました。  それから富山県の国民健康保險の運用状態は、これは他府県と同じように困難をしておるらしいような状況であります。二市二百十一町村のうち、事業継続中のものが漸く百五十である。パーセンテージにしますというと、七一%に過ぎない。県費助成の増額を図つてつて、やつておるようであります。これは他府県においても同じようでありますけれども、富山県でも非常に困つておるような状況であります。  次は石川県でありますが、石川県はこの北陸三県の殆んど療養の中心地と見なされておるのであつて、医療施設がまあこの二つの隣県から比べるというと割合に施設が行き届いておる。これは昔から石川県には医学校があつた。或いは專門学校、只今は大学もある。そういうようなことで、この近県の患者がすべて金沢へ集まるというようなことからしまして、石川県のそういう施設に発展を促すような一つの機運を與えたものであろうと考えられる。一般の病院の数も多く、五十三あります。それから特殊病院としては精神病院が三つもある。産院もある。殊に結核療養所が六ケ所、この小さい県に六ケ所あるというようなことは、富山県、福井県に比して、特に本県の目立つているところであります。それから国立病院では、これは金沢国立病院が金沢市にあるのですが、これは前の陸軍病院を継承したものでありますが、これは非常に位置が優位であるというところから、全国国立病院中屈指の病院であるということ、利用率が非常に高い。すぐそばに国立の大学病院があるのですけれども、その大学病院よりもこの病院の方が盛んに利用されるということが、確かに国立病院というもののあり方というものをよく示しておるように私共は考えられる。但し建造物は明治三十年間にできたものであつて、特にその中の第二次欧州戰争、或いは世界戰争最中に作つたバラツク建の方は、今回のジエーン台風によつて大破損を来たしておりました。これは直ちに大改築を行うような機運になつておるのではなかろうかと思うのであります。それから尚山中の病院、これも国立病院でありますが、これも非常に施設が完備して、よく県民から一般に利用されておるようであります。それから療養所も非常に位置といい、設備といい、いいところにありましたが、ただ人が欠けておつたということが言えると思うのであります。  それから福井県の方は、これは堂森君が御報告することになつてつたのでありますが、今日見えておりませんから、恐らく後から堂森君が報告としてお出しになるのではなかろうかと思つておりますから、私は特に堂森君の代りに御報告することを止めて、ただ私が気が付いたことだけを一言附加えて置きたいと思います。恐らく福井県は、御承知のように、福井市そのものが戰災に遭つている外に、尚一昨年も地震がありまして、災害を数回受けておる都市でありまして、誠に災害復旧に急であつて、厚生施設並びに病院その他衛生行政方面におきましても、可なり県が努力をしておるように見受けますけれども、まだまだ不十分であると思われます。特に結核の療養所の存在が誠に位置が偏しておる。一つは北の方の端にある。一つは南西の方の端にあるというようなことで、中央の最も人口の多い福井市或いはその近辺に立派な療養所がないということが、この県において最も劣つておる施設のやり方である。それから民生方面のことでありますけれども、授産場並びに要保護、それから児童の保育所というようなものが、これは他の県と殆んど同じくらいに県当局が骨折つてつておることを見て参りましたが、大体における感じは石川県から比べると、どうも劣つておるというような感じを受けました。県当局のもつとこの方面における努力が必要であるというように見受けられたようなわけであります。甚だ簡單でありますが……。
  10. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕
  11. 山下義信

    委員長山下義信君) 速記を初めて……。  それでは次は第三班の御報告を願いまして、後で堂森委員が御出席になりましたら、福井県の御報告の追加を願いたいと思います。どうぞ藤森委員
  12. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 第三班は群馬、長野、岐阜の三県を担当しました。これには河崎君、常岡君と私の三人で参りました。群馬の一部分には山下委員長も参加になつております。本委員会で予め調査事項の要領が出ておりましたので、これに従つて視察或いは調査をしたのでありまするが、この一々の細かいことは省略いたしまして、御報告申上げ、私主として医療関係方面を申上げ社会事業関係については河崎委員から申述べて頂きたいと思います。  結核について申しますと、各県共に死亡数はだんだん漸減の様子を示しておりまするが、後に述べますように、まだ相当の死亡数を示しております。そのうち青少年及び学童の結核予防に対しましては、各府県とも熱心に青少年学童に対して重点的に予防施策が講ぜられております。そのために発病防止という上から、ツベルクリン反応とか、或いは集団検診、或いはX線の間接撮影、或いは血沈、喀痰検査等が全部行われております。そのうちで群馬県におきましては、特に北群馬郡の澁川と、その周辺数ケ町村が結核の予防モデル地区として、新制中学に対して全町村民を挙げて、その成果を期して予防措置をとつております。岐阜県においては、結核予防活動として、結核の家庭の療養者に対して保健所の証明のある者には主食の加配が行われております。そうして療養者組合を作つて、大体会員千名を以て一組となして、これが約二十組できております。  次にB・C・Gの接種でございますが、これは各府県とも相当普及しております。併しワクチンの割当量が実施対象に対して甚だ不足しております。例えば長野県におきましては、六十二万人の対象に対して二十七万、岐阜は五十万に対して十八万、群馬においては数十万に対して十三万という不足を来しております。  病院、療養所の関係を申しますると、群馬は志望数が二千人に対して收容病床不足数が八百七十八、長野は二千六百二十の志望数に対して二千八十八、岐阜は二千四百八十四人に対して千四百五十床で、病床の不足を示しております。尚このうちで長野県では、これを補うために明年度においては県営を以て大体三百床の療養施設の新設計画があるということでございます。  次に性病のことを申上げますと、これは各府県とも大体同じように予防思想の普及であるとか、患者の発見、患者の届出の励行、接触者の調査、妊婦の血液検査等が行われております。岐阜県では二十四年度の届出患者数は五千六百八十四、群馬は本年の一月から六月までに千九百五十一、長野は同様一月から六月までに二千二十六という数字を示しております。殊にこれらはいずれも観光地であるのと、温泉地帶の関係で、相当この方面に努力されておるようであります。  次に伝染病のことを申上げますると、伝染病は本年は全国的の傾向として伝染性疾患が多かつたのでありますが、三県においても同様の現象がございます。殊に群馬県は本年は非常に多数の患者が出ております。七月末現在で赤痢が千百八十八、疫痢が五百二でありまして、その死亡数は、赤痢は五十五、疫痢は二百二十ということになつておりまして、赤痢が非常に沢山出ておりますが、これは一つは本県では非常に届出が励行されて、疑似症まで届出をしたということに基因しておると思われるのであります。そうして一面赤痢の死亡数の非常に少いことも、これに関連しまして早期の発見と、極めて軽症者までが届出られたということがその原因として数えられるのであります。大体群馬県は赤痢が年々相当ありまするので、今後勢いこれが原因の探究に、県当局は勿論、医師会等も懸命の努力をするということでございます。  長野県におきまして比較的少いのは、長野県におきましては簡易水道が非常によく発達しております。これが大いに與つて力があるのだろうとされておりまするが、ただその水源が沢であるとか、或いは川の水でありますので、これに対してはクロール殺菌を行うように今進められつつあります。  次に、優生保護法の実施状況を申しますると、大体この三県においても、優生保護法の第十三條の適用によつて、即ち審査を経て人工中絶を行う者が非常に多いのでありまして、殊にそのうちに経済的理由によるものが多数ございます。そうして十二條によるものが比較的少いということは、これは今後尚深く研究して見る必要があるところじやないかと存じます。長野県では受胎調節の指導が相当によく行われまして、農山村まで今普及しつつあるようでございます。そしてこれに対して長野県優生保護研究会というような団体まで作られております。  次に、環境衛生のことを申上げますと、群馬県では上水道、即ち水道條例によるものが六ケ所、前橋、高崎、桐生、太田、沼田、伊香保、こういうところでありますが、その外に簡易水道が八十四で、本年度許可されるものが二つ、補修されるものが一ケ所、こういうことになつております。岐阜県では上水道が一ケ所岐阜にございます。簡易水道は二十一ケ所で、明年度においては十ケ町村の敷設計画ができておるそうであります。長野県では上水道が三十三ケ所、簡易水道が四百七ケ所、合計四百四十ケ所というふうに簡易水道が非常に発達しております。これは先程申しました伝染病発生と非常な関連性があるんじやないかと考えられる次第であります。  次に下水道のことですが、下水道は岐阜市に完全なる下水道がありまして、これは分流式によつて下水処理がされておりまするが、その外には完全な下水はございません。長野県においても飯田市或いは松本市にも計画はされつつあるようでございます。汚物処理の方におきましては、汚物掃除法に基いて汚物処理が行われ、汚物除却等の施設によつて完全な処理がされておるところもございますけれども、まだまだこれは今後に待つところが非常に多い。殊に市町村財政の上からなかなかこれは実施が容易でないと考えられるのであります。  次に、農村の環境衛生の点から申しますると、農村の環境衛生に至つては、或いは講演であるとか、或いは座談会、映画、ポスター等によつて環境の改善に対して指導、啓蒙を行なつておりまするが、これは前途なかなか遼遠の感じがいたします。併し一部農村におきましては、生活改善、水道の新設等が計画されておりますことは、漸次農村の文化的向上を示すものとして今後期待すると同時に、大いにこれを助長しなければならないと考えるのであります。  次に、一般病院、診療所のことを申上げますると、群馬においては病院総数が四十一、そのうち一般病院が三十二、結核が七、精神病一、癩一、診療所は七百二十、無医村が二十一、保健所の数が十三であります。長野県におきましては、病院総数八十六、一般が七十三、結核九、精神病院は四、こういうふうであります。それに診療所は千七十二、保健所十七、無医村四十二、それから岐阜県は病院総数が五十五、そのうち一般が四十九、結核が六、診療所数が八百三十一、保健所十三、無医村四十九、こういう数字を示しております。これは今後医療機関の整備計画が進んで参りますにつれて、現存しております医療機関が配置状況とよく睨み合せて、この無医村問題を解決しなければならんと考えるのでございます。ここで尚一つ附加して申上げたいのは、これらの諸県にありまする国立病院或いは療養所等の給食、食事の問題でありまするが、大体におきまして二千四百カロリーが出ております。患者側には尚これの改善の希望があるにはありまするが、既往のような不平が非常に少くなり、概して平静な療養を続けておる状態でございまして、その利用者は生活保護法、社会保險によるものが大部分でございます。  医薬品のことにつきましては、特に、取立てて言う程のこともございませんが、群馬県、長野県等には薬草の採取が相当行われておりまして、一面には失業対策にこれを利用して、そして薬草を採取したものを、これを県が買上げる方法をとつております。その中も特に長野県におきましては、蛋白研究所を視察したのでございますが、ここでは百日咳のワクチンが非常に大量に作られておる。又非常に完備いたした施設を持つておられます。  次に、国民健康保険のことを申上げまするが、群馬県は百九十七市町村中に百十九でございます。そのうち直覚診療所を持つておるものが三十八、病院が九、合計四十七の直営医療機関があるわけであります。尚その上に二十五年度においては病院が三、診療所が十六が増設予定されております。岐阜県では二百九十五市町村中百九十に実施されておりまするが、本当に活動しておりまするものは八十二で約半数でございます。長野県におきましては、三百七十九市町村の中で二百五十八が実施しております。大体六八%の状態であります。そのうち直営診療所を持つておるのが九十一ケ所ございます。そうしてこの国民健康保險の経営状態はいずれも経営困難の状態を示しております。ただ比較的よく動いておりますところは、直営診療所のあるものは大体において良好であるというふうに認められるのでございます。ここで保健診療について一言附加えて申上げたいのは、群馬の高崎にございます健康保險中央病院、これに参りましたところが、これはここの院長は御承知のことと存じまするが、保険局の医療課長をしておられた宮澤氏が行つておられます。曾つて健康保険の診療指針を示されたことのある方でございますので、この診療方針は非常に適正な診療を行うということに努力されております。そこで見ましたのは、外来診療の一件当りの点数が五十三点ということになつております。そうして群馬県の一般医師の外来の保險診療点数というものが大体六十五点ということであります。即ちこの中央病院と一般医師との間には一件当りに十二点の差があるということでございます。これを見まして我々考えさせられるのは、この診療病院の施設は全部国の施設であります。課税の対象になつておりません。これと一般医師の施設が自分のものであつて、課税の対象になつておるものとの差が十三点だということは、今後我々が保健診療を考えるのに非常に大きな参考になるだろうと考えた次第でございます。  次に、国立公園の案件におきましては、我々は志賀高原の熊ノ平まで参りましたが、志賀高原ホテルのありますところまでは、ホテルが接收されておる関係でやや道路も改修されております。併しそれから先熊ノ平まで約四キロといいますものは極めて悪い道路でございます。そうして熊ノ平から先はもう自動車も通わないという状態でございます。国立公園の指定というものはただ名目だけに止まつておるのではないかという感を深くした次第でございます。  こういうことを見まして、その間における要望は、個々の要望の極くかい摘んだことを申上げますと、結核については病床の増設、BCGの大量の配分、公営施設の改善、食糧の保存ということが要望されたのであります。各療養所或いは国立病院等におきましては、給水整設、水が足りないというので、これを何とかして呉れという要望が相当ございます。又蒸気装置或いは炊事場の改逃ということが要望されております。それから尚療養所におきましては、療養所の人員不足がございまするので、これの定員増加が要望されたのであります。それを患者給食の面から申しますと、患者給食費用に対する片地域差の撤廃が要望されております。それからこういう大体高原地帶におきましては、寒冷期について特に考慮を拂われたいということがございます。尚これらの療養所その他におきましての医師その他の給與が甚だ低いので、この給與の改善が非常に要望されておりました。環境衛生方面におきましては、上下水道に対する国庫補助と起債の枠の拡大が要望されております。国民保健の関係では、事務費の全額国庫補助というようなことが要望されております。それから一般診療所方面要望といたしましては、社会保健診療報酬に対する課税の減免と支拂いの迅速ということが要求されております。尚民営の医療機関で施設を拡充する場合に、金融への斡旋をして頂きたいということが言われております。尚療養所中、特に癩療養所におきましては、疾病の関係上汚穢することが、汚くなることが非常に多いので、是非衣類を沢山に分けて貰いたいということと、未感染児童の隔離しておりますものは、これに対する予算的の措置がないので、何とかこれに対する予算的措置を講じて貰うか、或いは兒童福祉法の適用をするようにするかをして貰いたいと言つておりました。尚この療養所、私の参りました草津の療養所でございますが、これは温泉を利用しておりますが、あそこの温泉の湯の特徴といたしまして、非常に酸度が高いので、これの給水管が普通使用のものでは参りませんので、これの補充費が非常に沢山かかるので、何とか或る年度ごとに入換える、或いは他の方法で十分に給水されるように願いたいということが、特にこれは癩療養所としての要望でございます。  簡單でございますけれども、詳細は報告書を見て頂くことにいたします。以上御報告申上げます。
  13. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今御報告ございました長野、群馬、岐阜の三県に亘りましての社会事業施設の方、私の報告をさせて頂きます。  社会事業施設の兒童福祉法によりましての諸施設、保育所、乳兒院、教護或いは療護の施設、或いは小供の療養施設とか、或いは母子寮、そういう方面につきましては、大体他の県ともそう変らないのでございますが、この三県で非常に乳児院が少い。これはあとで、この生活保護を受けている母子の人達、未亡人の人達、こういう婦人生活の土で、乳兒院のことにつきましては、各県に一つくらいずつしかありませんでしたが、全般的に、全国的に少いということにつきましては考えて貰わなければならんことだと思いましたのですが、それに加えまして、保育所のことにつきましては最近どの県もでございますが、この三県でも著しく多くなつておりますことは結構なのでございますが、群馬県におきましては四十二、長野県では九十六、岐阜県では最近、殊に二十六年に殖やすのを加えまして八十八ケ所、こういうように二年程前から各県急に殖えて来た形があるのでございますが、それは子供のために結構なことでございまするけれども、一つ問題があることを私共は落すわけには行かない。と申しますのは、兒童福祉法によりまするところの兒童保護の費用関係上、大体幼稚園を終戰後は保育所に振り替えて行くというような二枚看板と申しますか、一枚に統一しようという形にして行くという傾向があるのでございますのですが、大分そういうふうなところもございました。そこに起つております問題は、保育所と幼稚園とは大体二本の問題といたしまして、どれだけの子供を、何歳の子供を保育所に、何歳の子供を幼稚園にと年齢で大体協定するというような形に一応なつておりましたが、幼稚園は満四歳、五歳というところに重点を置いておりましたのを、保育所という名前で幼稚園をそれに振替えて行くという傾向から、沢山保育所ができますので、満五歳、六歳の大きな子供が收容されている保育所がある、群馬県におきましては、高崎、前橋市の市立の保育所にいたしましても、又前橋市、高崎市にある村立の保育所にいたしましても、最近の保育所といたしましては、建物といい、なかなか地理の自然といい、本当に好ましいものであります。ああいう保育所で預かつて貰うことは子供の仕合せだと思いますけれども、ここに行われておりまする收容所の子供が手のかからない満五歳、学校に行く前の一ケ年の子供というような傾向が多いことは、従つてそういう子供でございますから、大勢の子供が一室に預けられておる。両方合せた子供ですから非常に希望者が多いので、もつと沢山必要である。保育所が必要ということも実情ですけれども、これは内容の問題にもかかりますけれども、保育所というものの使命を果そうという上におきまして、数は多いのでございますけれども、少し考えなければならん問題じやないか。この保育所が、今日外の兒童福祉法の兒童の保護費の問題からもぶつかつて来る。特に保育所の数が多いから、尚ぶつかつて起る問題は、それは群馬でも表向きではそういう話がなかつたのでありますが、長野県では、私が北佐久、南佐久に参りまして、村立或いは村に市営の保育所を尋ねまして得た事実から推しまして、保護の費用が、この四月から措置兒童を預つておりますのが多いのでありますが、それがこの四月からなかなか渡らない。この平衡交付金に兒童の保護費をその中に入れて、紐付きでなく地方へ渡されておるという今日のこのことから、それが直ちに一番数の多い保育所、一番地盤の大きい保育所に渡されておりまして、兒童の保護費が渡らない。全然渡つておらないところもございましたが、もういうような問題にぶつかつて、非常に景気よくこの三、三年来殖えて参りました保育所が頭打ちになつておるということにつきましては、この生活保護法によります保護法の費用国庫補助金にならつておりますが、兒童の保護費の方は平衡交付金の方に入れられておるというこのことは、地方の方はまだはつきりいたしておりませんけれども、そういうふうなことから来ておるのではないかと思つておりますが、このことにつきましては、尚よく御検討願いたいと思う一つの問題でございます。  それから施設のことにつきましては省きまして、未亡人の対策につきまして御報告申上げたいと思います。生活保護法が各三県共力を入れられて、お世話願つておりますこと、よく実施せられておりますことは申し分ないのでございますが、その生活保護法の中で保護を受けております世帶の多くが、全国的にも半分に近いものであり、各三県共半分に近い人達が母子世帶でありますことは事実でございますが、この母子世帶、つまり未亡人に関係の多いことでございますが、この三県は群馬県におきましては、九千八百四十八世帶であり、長野県では一万五千五百四十二世帶であり、岐阜県では一万二千六百世帶、これらの多くの世帶の人達の中で、群馬県におきましてま一一%五、長野県においては一八%、岐阜県においては一三%、ほんの少数の人達が生活にやや心配ないという程度でございますから、大部分の人、少くとも最高八割の未亡人の人達は生活難に直面しておるわけでございまして、生活保護法におきます生活扶助を受けておりますその人達の場合、重なつておることが分るわけでございますが、この人達につきまして、各府県でのお考え下さいますことは、母子寮が本当に数が少い。そうしてその母子寮にお世話になつております婦人は、まあ多くて二十在帶或いは十五世帶、時には三世帶くらい、あとで長野県の南佐久、北佐久に参りましたときに、本当に四世帶くらいの母子寮があつて、私が見て参りましたが、そういう工合でなかなか母子寮の数が少いのでございますから、住宅に困つておりますのは外の県と同じでございますが、それに対しての住宅の御配慮は、引揚者の住宅のことにつきましては、特に長野県は個別の住宅につきまして大分準備いたしておりますけれども、未亡人の住宅につきましては、殊に子供を抱えております未亡人の住宅につきましては、各県共どうしてもまだ弱いというような感じがいたします、殊に未亡人が生活をして参りますための生業資金と申しましようか、そういう面におきましての考えられております面が各県とも少いのでございまして、まあ長野県では引揚者と一緒にして四百万円の県の準備金の中から、二百五十万円は未亡人に向けるつもりであつたが、群馬県は二百万円は準備するつもりだと申しましたけれども、尚そういう生活保護で助長をして行くという外に、子供を抱えてだんだん自力で立ち上らせるという自立ということにつきましては、引続き考えて貰わなければならんことだと痛感いたしました。それにしましても、未亡人の生活の問題といたしまして、授産場の問題でございますが、授産場は各県共に多うございまして、大勢の未亡人がこれに世話になつておりますことは事実でございますが、殊にそれらの授産場は、岐阜県におきましては、県の特産を生かしまして、未亡人の手で提燈なり、「うちわ」なり、傘なりを製造いたしておりますようなことも事実でございますが、ただ問題はこの二十五年度から授産場の整備の問題がありまして、あれで整備せられて、長野県のごときは四十幾つありました授産場が恐らく十ぐらいしかできないというような、未亡人のためにとつてはただ一つの途の授産場が又頭打ちの形でありますので、これは残つておりますその整備の物指によりまして、一応は整備いたしましても、その性質と、それから又そこに繋がつております未亡への生活を脅かすことが大体多いということから、あとどう整理して行くかということにつきましては、未亡人のために考えなければならん問題であつたと思います。その未亡人の人達が問題として、これは平生の未亡人会からの陳情とやはり同じでございますけれども、生活保護法で支持されております人達が少し働く、少し内職する、子供のために、将来のために……。そういうときにやはり保護費から引かれる。あれは未亡人の弱い力だから、そう大きな働きもできないけれども、子供のことを考えれば少し働きたい。ところか働いて收入を得るときには保護費から引かれるという、あの問題を少し考えて貰いたいということと、子供の教育で、小学校、中学校の教育費のことは今度は生活保護法で補助せられましたが、必ずしも皆とは限りませんけれども、優秀の子供が未亡人の中にもありまして、外の県でもそんな話がありましたが、長野県でもその話がございましたが、優秀な子供の場合には生活保護をいたしております場合でも、特に生活力の弱い未亡人の手ではそれ以上できませんから、育英資金でも出して貰つて高等教育を受けさせて貰うような保護への途も考えて欲しいというような二つのことを未亡人の場合に陳情がございました。  次に、引揚者のことにつきまして簡單に申上げさして頂きたいことは、引揚者のことは、帰つて参ります人達の問題では生業資金のこともございますけれども、住宅のことにつきまして、先程外の方からも御報告ございましたか、引揚者の方々住宅はもはや年数が経つておりまして、而もとつさの場合に拵えました大分手を省いた住宅でありますから、修繕が利かない。その中で集団住宅、兵舎を利用して取敢えずと言つて入れておりました集団住宅の引揚者の生活は、兵舎の中で一人の男の方が炊事をし、生活のことは外の方が準備するというような生活ではなく、あの中で以て幾人かの家族子供と一緒に暮して、そうしてあの暗い一方廊下で全生活があの兵舎の中で立てられております実情を見ますときに、而もそれがもう修繕も加えられないで沢山の人が溢れている。あの問題は是非住宅問題の上におきましての兵舎を利用した集団住宅につきましては、考えなければならん問題だと痛感して参りました。高崎におきまする兵舎を利用したあの引揚者の住宅、それから岐阜県におきましてのあの兵舎舌を利用した住宅、これらの二つは外の県も随分そうでございますが、特に兵舎を利用したそういうふうな住宅につきましては、引揚者のために戰災者もその中に入つておるので、ございまして、今日はもはや別に考えて頂かなければならないことになつておると存じます。  以上でございますけれども、ここに特に附加えさして頂きたいと思いますことは、藤森先生の方で御報告下さいました中で、医療に関しますことであります。医療そのものでなく、そこに働いております看護婦さんのことにつきまして、少し婦人関係でもございますので、附加えさして頂きたいと思うのでございますが、看護婦さんは外の先生方と共に結核の療養所におきましては、先生方の数がなかなか定員に満たないという意味におきまして、看護婦さんもやはり定員より少い。随分大勢看護婦さんがおりますようでも、患者の割合に少うございました。それは藤森先生もおつしやいましたが、待遇も悪いということもありまするけれども、そこへもう一つ、その病院の言葉でもございましたが、看護婦は生理休暇もあり、産前産後という休養もあり、成るべく未婚の看護婦を置きたいというようなこともちよつと説明の中に加えていらつしやいましたが、ああいうふうな空気もあつて、なかなかその中で看護婦さんが勤めているが、成るべく技術に堪能したような長年勤めた人で、結婚をしても更に引続いて勤められるようなことも看護婦さんのために考えて上げて頂くというようなことは、直接医療のことではありませんけれども、これは働く看護婦さんのために考えて上げなければならんことと存じます。それから看護婦さん達が国立病院から療養所、各病院、随分沢山数も参りましたが、各病院に必ず看護婦さん達が問題といたしておりますのは、看護婦さんの認定国家試験が当面ぶつかつておりますが、あれを国家の再教育講習というものをして、それで以てそこでレポートを書くようにして、それに代えられたい。これは一致した方々要望でございましたが、すでに六日向療養所、長野療養所、この二つは私達が見て来ました病院でございますか、尚私達が丁度参りました富山県の不二越病院、ああいう病院では医局の方が非常に好意を以て、ちやんとプランを立てて、そうして看護婦さんのために再教育の講習をしていて下さる。昔からああいうふうな講習の内容につきましては、当局とも御相談があつて、だんだんすでに始めて、不二越は第三回目をやつておりましたが、六日向は第二回目、長野療養所は二回目をやつおりましたが、なかなか毎日二時間ずつやつてつたようでありますが、ああいうふうなことは、看護婦さん達の認定国家試験に代えることで、国家の再教育講習というような面に繋がるものとして、そうしてその過労な看護婦さんのために国家試験のあの問題の一つの転換の方策として、各病院で望んでおりましたことでございますが、又私共もこれは是非附いて上げなければならんことだと思つて参りましたので、御報告申上げます。  もう一つ附加えさして頂きますことで、これは藤森先生のお話の中にありました癩療養所の方々の陳情の中で、草津の療養所がああいう高いところで、四十六百尺もあるところの癩患者生活でございますが、あの人達は終戰後外におつたのが移つて来て、いろいろ殖えもし、そしていろいろな貸與物資の中で衣料、着物なんか、そういうようなものに戰争中及び終戰後の割合に弱いもの々使つておりますために、寒いところでのこの夜具と衣料がぼろぼろになつて、夜具なんかもう綿がぼろぼろになつて、寒いから周囲からいろんなものを乗せて風が入らないようにしているというような状態で、患者さん自身の要望でもございましたが、又医局の方々もそれを認めておられまして、ああいう寒いところでのああいう人達の衣料のことも、これは是非考えて頂かなければならないことと思つて、私達は何とか骨を折つてやりたいと、藤森先生と誓つたくらいの心持ちで見て参りました次第でございます。以上でございます。
  14. 山下義信

    委員長山下義信君) 続いて松原議員から御報告を願います。尚、堂森議員の報告は午後の劈頭にお願いしたいと思います。
  15. 松原一彦

    ○松原一彦君 第四班は山下委員長、藤原委員と私が参つたのでございます。地域は高知県と愛媛県と大分県、大分県は公式には私の名がございませんが、便宜随行いたしました。総合的に見まするというと、厚生施設は平和なる文化国家の建設の上に基礎的必須條件ではありますが、開始以来日が浅いことと、日本の富力がこれに添わぬために施設が不十分であること、担当者に適材を得ておらぬというようなところからして、概して形式的な名目の羅列に止まつて一般的に貧弱幼稚の譏りを免れないように思われます。特に経済力の不均衡から生ずる地方差が、この施設の上に甚しいということを認めざるを得ないのでごさいました。その一例といたしまして、その地方差に対する国家の対策としまして見ました場合に、一つの例をとりますると、国立結核療養所のごとき、高知県には二百床、大分県では約七百床あるに対しまして、愛媛県には約一千床の用意があるのであります。これを人口一万に対しますると、高知県は二・三となり、大分県は五・七となり、愛媛県は六・八となるのであります。で八十六万の人口を持つ高知県に二百床、百四十八万の人口のある愛媛県に一千床、百二十三万の大分県に約七百床というのは、国の施設としては誠に不均衡である。概して高知県は一般の施設の上に貧弱でありますが、これは経済力が副わないのでありますから、さような府県におきましては、特に国家の施設において考慮を加えて、これを充実することか緊急であると認めたのであります。    〔委員長退席、理事有馬英二君委員長席に着く〕  これを充実いたしますることによつて地方差を除き、そうして目下の急務である結核撲滅の上に大きな効果を挙げることは、現に愛媛県が昭和十七年に二十四人の死亡率を出しておりた結核者に対して、今日は十四人、半分に近いところまで減つておる事実においても、これを証明することができると思うのであります。更に官公県立の名を冠するものがどうもお役所仕事に堕しておつて、国民の尊嚴とその自由と福祉のために情熱を傾けて平等に奉仕しなければならない態度に欠けておるところが多い。これは誠に遺憾であります。却つて私立の保育園、養老院等の中に異彩を放つものが多く、それが宗教家の熱意のある奉仕の下に行われておる事実に比べて見ましても、この種の厚生施設は指導任務に当る当面の責任者福祉司は勿論、保健婦等に至るまで、一にその人によつて成敗おのずから定まるものだと思いますが、施設を生かすためにも適材を選んで養成して、情熱を以てこの仕事に奉仕するという態度が今後一層高まらなければならないということを痛感いたしました。医療衛生の施設におきましても、国立病院の多くが旧軍事施設の転用であるために、従つて大規模なものもありますが、不備であることも免かれません。松山、別府等の療養所や病院は一通りの設備を持つております。且つ成績も挙げておるように思われますが、軍の施設であるために別府の病院が外来者の診察設備に欠けておつたり、或いは高知の病院が兵舎をそのまま病室としておるために、採光や安静を欠き、大部屋式のものが多くある等、これは誠に遺憾であります。特に高知の国立病院では、結核病棟と並んで構内に職員家族の住宅をその設備の中に持つておるというごときは、緊急止むを得ぬものとしましても誠に遺憾であります。これは危險であります。看護婦の宿舎は一般に用意がありません。そのために甚だしい欠陷を持つております。只今も御報告がありましたが、看護婦に定員を欠くものが多く、その定員の中から雑仕婦を雇入れて、これを看護婦の代りではないけれども使つているものが多くあり、看護婦の中に公務から感梁して疾病治療中の者も少くないことも誠に遺憾であります。看護婦の資質の向上につきましては、同行の藤原委員から痛切な後からの追加の御報告もあると思いますが、これは皆様の御観察の通りに、今この定員の不足している際に試験を迫るごときは、私はよい政策とは思われません。過労に陷らしめることのないように定員の増加を図り、そうして徐々に資質の向上を図らしむるように仕向けることが、私は政治の要諦だと思うのであります。私共の見ました衛生上の施設としまして、別府病院には豊富な温泉があつて、これを利用することによつて積極的な研究、効果を挙げるものがあるように思われる。又別府病院の中に義肢の製作並びに身体障害者の職業的な指導のあることも一つの特色であると思いました。高知病院の中でも自家用の注射薬を自家製造をやつております。これは経費の点からは非常に助かるそうでありますが、果して適当なものであるかどうか、これは專門的研究を要するものだと認めました。別府の郊外にある光の園という小さい病院が婦人のみの管理で以て行われておりますが、それが小さいながらも明朗な家庭的な気持を以て、結核治療には誠によい実績を挙げておるように見受けられたのであります。ここでは隣接地域の緑林地帶をば今のうちに取入れたいという希望をば切に述べておりましたが、尤もなことだと思つておりました。かような特色のあるものは私共は将来伸ばして行きたいと思うのであります。高知市の国立療養所が敷地十三万坪を以て将来治療者のためのコロニー等の施設も計画されておるに拘わらず、現在この敷地が大蔵省の所管に属して、その帰属を解決していないということは遺憾であります。至急にこれは解決し、そうしてあのよい広い地域をば十二分に利用するように助成いたしたい。高知県の結核施設は最も不足しておるのでありますから、幸いにこの広い地域と、それから施設を充実して高知県の結核療養対策を急ぎたいと思うのであります。特にこの高知療養所は敷地に一部非常に濕潤なところがありまして、その上下水を至急に設置しなければならないという感じを持ちました。  愛媛県からこういう希望が出ておりますが、これは皆様に御研究を願いたいのであります。結核予防は県の責任であり、県はもつと力を入れてこの予防に努め、今実績を挙げつつあるが、できるならばその療養所も国から県へ移管されたい、こういう希望であります。これはどういうものでありましようか、私共にはまだこの点についてはつきりした判断を下し得られませんが、賢明なる各位の御考慮を煩わしたいと思います。保健所の施設は大変進んで参つておるという皆様の御報告、同様に感じます。且つこれが将来結核、性病の予防治療から集団の検診、妊娠調節等に進んで行つたならば非常に大きな効果を挙げ得るものと思いますが、共通する欠陷は医師の不足であります。これは待遇の足りない点もありましよう。又施設の上においても不便であるというようなところから避けるものもあるのでありましようけれども、将来これは完全配置を至急にいたすように希望するものであります。保健所につきましても、高知県は人口八十六万に対して保健所数が五つ、本年二ケ所新設中でありますが、これは不足であります。高知市に一つ中央保健所というモデル的なものがありますが、余りに地域が広過ぎて効果が薄い。愛媛県では、人口百四十八万に対して保健所数が十五、この外八幡浜、新居浜二市を結核予防特別都市に指定し、宇和島、八幡浜両都市に特別保健所を設くる等、結核の予防、早期診断等に格別の努力を拂つております。その効果ははつきり現われて、前にも申しましたように昭和十七年の死亡が二七・五に対して、一万單位でありますが、同じく二十四平には一四・四と激減の傾向を辿つている。全国平均よりも遥かに下廻るに至つたという実績を多としなければならんと思います。  国民健康保險の状況につきましては、他の委員からの御報告と違つて、この三県は非常に今減りつつある状態であります。各県とも一時は殆んど全県的普及を見たのでありますが、最近農村の金詰りの影響からと、公営本位となつたために休止又は解消するものが多く、これは将来社会保障制度実施の上からも重大な影響のあるものと思われますが、大分県では県営移管を希望する声が我々の懇談会では随分高かつたのでありますけれどもが、国から二割、県から一割の補助があれば、今のままに継続したいというのが、本心のようであります。この国民健康保險施設が高知県におきましては、全市町村百七十に対して、一時は百六十四まで参つたものが、今日は僅かに三十七残つているだげで、休止小というものが百二十七となつております。又愛媛県では二百三十九市町村中に現在残つているものが八十、休止中のものが百五十三、大分県では二百十五ケ町村の中に、一時は全部実施いたしましたが、今日は辛うじて八十程残り、休止中のものは百三四、再興しようというものが十三に過ぎない状態であります。これを保險料について見ますというと、高知県は最高が一千六百八十八円、最低が五百九十九円、干均一千百三十三円、一部負担は五〇%であります。愛媛県は非常に小くて最高が六百円、最低が五十円、平均二百十円、但し一部負担は五五%から六七%となつている。大分県は平均一千五百円、一部負担が五〇%、かような状態でありまして……。    〔理事有馬英二君退席、委員長着席〕  各県とも滯納が多く、経営が困難だと共通に申しております。特に大分県からは、国庫から国民健康保険経営のために短期融資ができると厚生省からの通知があつたのに拘わらず、大蔵省はこれを出し澁つて大いに困つている。是非この矛盾を解いて、短期融資のできるようにせられたいとの要望が強く出ております。これは往復書類も提出されておりますから、ここに添えて置きます。至急解決せられたいのであります。  生活保護法の実施状況につきましては、これは一時の濫給から減つてつたのでありますが、最近は潜在失業者の表面化、或いは小企業の崩壊、経済事情の一般的な窮迫等に伴いまして急増いたしている事実があります。この被保護者の歩合は、高知県では世帶数に対しては六・一%、人員におきまして、三・七%、愛媛県では世帶において六・九%、その人員では三・四%、大分県では五・三%、人員では二・七%、これは大分県が一番低うございます。特殊事情として、高知県から漁業者等の季節的だ非常な不漁等によつて困窮する者がある。かような一時的又は季節的の生活困窮者に対する扶助の方途を開かれたい、こういう切なる希望がございます。これは考えねばならない現実だと思うのであります。  兒童福祉施設につきましては、全く一応の形式は整つたというに過ぎないような感が深いのであります。法に対する一般社会人々の理解の不足もあります。当事者に適材を得られないということもあります。経費難もありますが、未だただ見本的に端緒を開いたというに過ぎない感の深いことを認めたのであります。但しこの中には兒童相談所として、愛媛県松山市所在の相談所のごときは、設備も殆んど完備し、所長に科学的素養のある適材を得、地方における範とするに足るものがあると認めました。高知県はやや備わつておるが、大分県では不便の地にあつて殆んで体をなさないという感がいたします。この兒童相談に対しては本質的に地方人々の理解を推めなければなりませんと同時に、施設においてももつと適切な方法を講じなければ意味をなさないものがあります。兒童福祉、身体障出者の福祉同等の人選にも各府県共に適材を得ないことを悩んでおります。これは悩むのが本当だと思うのであります。そういうふうな人的な用意が今日まで足りなかつたのであります。設備施設を急いだところでは人の用意がないので、ありますからして、振わないことも又当然だと思います。乳兒も、保育児童には、先刻も申上げましたように、出色のものかあります。例えば高知市にある旭愛育会のごとき、別府市にあるカソリック教経営の小百合保育園等のごときは全く出色なものであります。保姆にも教養があり、又熟練した者があり、高知の旭愛育会は工場街にあつて歴史も古く、誠に行き届いた婦人会の経営でありますが、立派な実績があるのを認めました。小百合保育園は、これは天皇のおいでもあつて有名になつておりますが、さすがにキリスト教徒の博愛的な、献身的な管理の下に、誠に清潔周到、範とする見事なものがあつたのであります。精神薄弱兒に対する施設は、四国四県には一つもない。大分県にもないということであります。これは誠に残念でございます。但し昨日大分県から篤志者が、是非精神薄弱兒を收容する施設を持ちたいという申出があつた。調べて見ますと、それは子供を失つてしまつた僧侶の夫婦が、せめて晩年をこの寺を利用して自分の子として精神薄弱児をば預りたいというのだそうでありますが、厚生省では予算がないからというので、これを扶助を受付けないということを昨日訴えて参つております。こういうものは、先ず仕事を始めろ、扶助はいずれあとから行く、その実績に持つて行くからと私は激励いたして置きました。地方の希望としましては、保育所に対する国費補助の増額、生活保護法の適用を受ける者も、母のみの家庭で勤労せねばならぬ者の乳兒が乳兒院に預けられる便法を図つて貰いたい。兒童福祉法の一部に親権を入れたい。教育費扶助の増額をせられたいとの希望が沢山ございます。一般生活保護法には、教育扶助と、それから生活扶助法が加わりましたので、これは非常に喜ばれております。  母子保護の実態につきましては、高知県では母子のみの世帶数が総世帶の四・五%、生活保護法の適用を受けておる者が二千二百三十九、そのパーセントは生活保護法を受けておる者の中で、今どこか半分とおつしやいましたが、高知県などでは二六・八%という程度になつておりまして、それに対して母子寮か三、母子寮收容人員僅かに六十一人という貧弱な保護施設であります。愛媛県の母子收容施設は、これ又母子寮の数が極めて少く、收容中の者が四十三世帶、百五十九人、大分県においても收容者が百五世帶、三百二十人というような状態で、洩れておるものか非常に多い、何とかこの收容施設は今日の戰後における母子の窮迫状態に顧みて急いで頂きたい。かような切望が至るところから出ております。  国立公園は瀬戸内海の波止浜海岸、国定公園としましては英彦山、日田、耶馬渓を視察したに過ぎませんでした。阿蘇山が予定の中にありましたが、台風に遮ぎられまして、私共の視察班は遂にこれを見ることかできなかつたのでございます。国定公園につきましては、ただ名前が付いたというだけのような、極めて予算の伴わないものが多いために、先刻もお話がありましたが、道路、観光宣伝等が行届いておりません。併し名前が付いただけで忽ちに観光者等が二倍となり、五倍となる事実は、これははつきりいたしております。自然そういうところから、土地の人達はこの勝地に或いは国立公園の指定を頻りに運動いたしておりますが、この土地の人々がただ人を釣り寄せて金が落ちるということだけに興味を持たず、どうか観光者に対する温い観光地としての地方人々の心構え並びに折角の訓練等を進めるように私共は勧告して参つた次第でございます。  最後に、特に周知県と愛媛県における南海大地震に伴う夥しい災害が今日尚続いておるという事実をば申上げて置きたいと思います。これは参議院でも決議案となつてお取上げになつておるのでありますから、くどくどしいことはここにある参考資料によつて御覧を願つて省略いたしまするが、高知市の陷没状態は満潮時において一メートル半乃至二メートルに及んでおります。そのために井戸水がすつかり塩辛くなつてしまい、下水の自然流下ができず、ポンプで以て排水せねばならん状態となつており、高潮のときには高知市内においてすらも道路の上に水が上る。少し雨でも降るというと、井戸と便所とが一つになつてしまつということをたびたび繰返しておるのであります。これに対する対策として、高知市では逸早く簡易水道、上水道の創設等を行いました結果、禍いを転じて、あの浦戸湾に面する漁村の人々か良い水を得て非常な仕合せをしておる現実を見て参りました。但し下水におきましては到底解決の途がございません。動力ポンプによる排水以外に途がない。これは大きな問題だと思います。衛生面から見ましても、井戸と便所が一つになる、これは何とか至急に対策を講じなければならないものであり、愛媛県の全海岸沿いの各町村が、五十センチ乃至一メートルの沈下によつて井戸水に海水が滲透し、自然排水が不可能に陷つておるということは、その当時からもあつたそうですが、四年を経た今日尚それが除々にその度を増して参り、海岸から数百メートル離れておるところまでも及んで来ておる。私共の視察いたしました町並で、今年の夏になつて井戸水が急に塩辛くなつて来たというので、汲んで飲まして呉れたアイスケーキ屋などもございましたが、この花崗岩の細片、あの砂土質は赤土がないために漸次海水を広域に浸透さしておるものかと思われます。果してこれが南海大震災の四年後の現象であるかどうかは、專門家でないから私共断定はできませんが、原因の如何に拘わらず、この際上水、下水に対して大きな手を打たなければならないことだけは迫られておる急務であります。どうかこれはそれぞれ陳情、請願等も参つており、参議院でも決議もしておいでになることでございますので、政府を促して至急に対策を講ずるようにいたしたいものだと思います。調べましたところによりますというと、高知市では下水道工事に対して八億一千五百万円、愛媛県では海岸島嶼並びに被害地八十四ケ町村、戸数二万二千三百二十二戸、人口十一万八千四人に対して、簡易上水道四億六千二百八十七万円、排水施設費一億七千九百七十二万円を要求いたしております。政府におきましても專門技術家等を派遣して正確なる調査の上に応急対策を立てられたい。この際附加えて申して置きますが、私共が現地を見ました際に、土地の有力なる人から、中央はしばしば多数の調査員や国会議員等を派遣するが何一つつて呉れないという大きな不満が発表せられておりました。これは暗に我々調査班の出張を忌避するかのような言葉に聞かれましたけれども、これは御承知の通り災害一般に生ずる心理であつて、必ずしも不遜の言葉とも思われませんが、併し一方国会議員その他の実地調査には余程反省せねばならん過去もあつたのではないかということを私は懸念いたすのであります。資料の準備、案内者、説明者、自動車等の要求は当然のことでございますが、過分の接待とか、饗応とか、土産物とかに公費が濫費せられておるというこの近代的な悪弊に顧みまして、調査に出る者は余程愼重に地方に浪費をさせないように、無駄な接待等は極力避けて、そうして本質的な調査をした以上は、これはどこまでも実現するか否かについての跡始末が大切だということを痛感して参つたのでございます。  以上簡單でございますが、概況のみ申上げます。詳しいことはここに專門家である山下委員長が同行下さつておりますし、藤原委員は特に衛生方面には精通しておられますから、あとで補なつて頂きたいと思います。材料は持つて参りましたから、いずれ報告書は整備して提出するつもりでおります。
  16. 山下義信

    委員長山下義信君) 長時間有難うございました。それでは暫時休憩……
  17. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 ちよつと一言だけ……先程河崎委員の御報告ちよつと一口だけ附加えたいのですが、共同募金の割当のことにつきまして、只今私設の方面から、共同募金の割当がどうも団体に多過ぎるじやないか、もう少し私設の方面にもこの割当をして貰いたいという相当強い要望があるのであります。本委員会の直接の問題ではないかも知れませんが、非常に考慮すべき問題だと思いますので、ちよつと附加えさして頂いたわけであります。
  18. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは瞬時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  19. 山下義信

    委員長山下義信君) 午前に引続いて開会いたします。調査派遣団の報告の残りがございます。福井県を担任せられました堂森委員報告して頂くことになつておりますから、お願いいたします。
  20. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 詳細な報告はレポートによつてお許しを願いまして、私が視察いたしました中で特に地元の県当局、或いはそうした機関に働いておられる人達、一般地方民の要望を数点挙げまして、私の視察報告に代えさして頂きたいと思います。  第一に医療行政の方面から入りますと、福井県は結核のベツドが北潟療養所に百三十、福井療養所に四百三十合計五百五十でございまして、非常にベツドが不足しております。従つて是非とも全国の平均から見ましても、更に五百床くらいのベツドがないと、福井県としては非常にベツドの不足に悩んでいる。而も一昨年の地震によりまして北潟療養所と申します福井から数里離れたところにあります療養所は非常な損害を受けておりまして、現在は百三十のベツドすらもこれが無理がかかつている。こういうような状態でありますので、どうしても福井県としては結核のベツドを早急に殖やさねばならん、こういうような実情にあるのでございまして、こういう方面要望が強かつたわけであります。  それから精神病院でございますが、現在福井市にあります精神病院はこれは福井県にただ一つの施設でございます。福井県には大学もございませんし、又他の国立病院にも精神病人を入れる施設がございませんし、ただ一つの精神病院が定員町本名の收容しかできないところへ現在百八十名が無視して入れられている。而もまだ非常にベツドが不足しているという状態である、こういう方面要望が強うございました。勿論これも非常に適切な要望だというふうに考えております。それから戰争が済みましてから陸軍病院を国立病院としてこれをやつているわけでございます。福井県には鯖江という町に連隊がございまして、そこの陸軍病院を国立病院としている、或いは敦賀市の郊外に粟野という村がございますが、そこに国立病院がある。この二つが国立病院としてやられておりますか、両方とも、特に鯖江の病院というのは非常にひどい病院でございまして、患者の診療数も非常に多いのでございまして、あそこの院長、或いは事務長の報告を見ますると、全国でも指折りの非常にいい成績と申しますか、診療人員も非常に多いそうでありますが、我々が見ましてもものすごい豚小屋のような病院でございまして、地元の、その附近の数ケ町村の町村民の輿望は国立病院という名前があつてもあのようなひどいものではどうにもならん。それで若し国家が名前だけで面倒見ないならば、我々にそれをやらして呉れ、附近の町村が五ケ町村、十ケ町村くらいが集つて立派な病院を経営して町民のためにやつて行く、そういう施設が欲しい。こういうような要望でございました。これは厚生省に対しても、我々国会においても是非とも国立病院というものを再検討しなければならん重大な問題だと思つております。ただ病院と申しましてもあれじや豚小屋に病人を放り込んでおるようなものでございますし、又設備というようなものも非常にまずいもので、却つて国立病院という名前をつけて置いて予算をやらないよりは、その土地の人達に経営を移管さして、立派な施設に持つて行くという方が適切ではないかというようなことを地方の人達も又病院に働く人達も、そういうことを強く要望しておりました、というような点でございます。  それから又今度の地方税の改正によりまして、府県の厚生方面の予算が平衡交付金によつて賄われるというようなことでは、戰後のやつと軌道に乗り出したそうした方面仕事が非常に又まずくなる。どうしても国家で直接の補助、或いは負担というような方面でそうした方の予算が賄われて行くように是非ともやつて貰いたい。こういうような要望がございました。  又社会保障制度の審議要綱に現われておりますが、この機構の問題ですが、要綱の機構を見ますると、各府県で知事の下に社会保障局があり、それからその下に保健部、民生部、衛生部、民生部の下に社会保障事務所があり、この下に保健所、民生安定所、こういうような要綱でございますが、こういうような組織になるならば、今後非常に衛生行政というものが空転する。だからどうしてもそういうような機構というものに対しては地方衛生民生行政を預つておる我々としては納得できないというような強い要望がございました。それから今後社会保障制度がいろいろと実施されるようになつて、医療の受入態勢というものを整えて行かなければならんというこういうときに、非常に地方財政では実施ができない。非常に予算面において困ることがあるから、相当額の国庫補助をどうしてもやつて貰いたい。こういうような要望がございました。又これは福井県だけではございませんが、我々が歩いた数県におきまして、あらゆる病院において看護婦の不足というものを強く訴えております。特に看護婦を養成しておる制度が甲種、乙種というようなことになりまして、この制度によるところの看護婦の不足が現在でもひどいのが今後ますます激しくなる。こういうことに対して、どうしてもこの看護婦養成のこうした制度に一つ大きな反省を加えて貫いたいとこういうような要望がございました。いろいろございますが、このような数点が我々が視察した地方における要望でありました。こういうふうに考えております。  それから次は民生方面関係のことでございますが、これは福井県は特に特殊な事情で一昨々年のあの大震災のためにいろいろな施設が大破壊を来しておる。又今度のジエーン台風でバラックでやつと復興したようなそうした施設が再び破壊されておるというような事情もございますが、今後各方面において強く国庫からの補助というものを要望する。こういうような事柄があつたわけでございます。いろいろと申上げたいのでございますが、時間もございませんし、簡單に要綱的に我々が視察をいたしました県における各方面要望を箇條的に申上げまして、私の報告といたします。
  21. 山下義信

    委員長山下義信君) この際厚生省当局からジエーン台風災害に対する対策について報告を求めたいと思うのでありますが、主管局長がまだ見えませんから、お打合せしました日程に従いまして、葛西厚生次官から明年度の関係予算につきましてこの際説明を求めたいと思います。
  22. 葛西嘉資

    ○説明員(葛西嘉資君) 明年度の厚生省の予算について、現在の状態をお話するようにという委員長のお話でございます。御承知のように予算の方は先般閣議の決定を経ましたけれども、まだ関係方面の了解を得ておらんというようなことでありますので、後刻国会に政府の方から提案いたします案とは若干数字等も変るかと思いますが、現在の状況でよろしいという委員長のお話でございましたので、先般閣議で御決定になりました予算を御報告申上げたいと思います。尚御承知のように公共事業、それから平衡交付金につきましては、これはまだ国内的にも実は御決事にまだなつておらないのでございます。従いまして、この部分は自然私から申上げることができないわけでございます。厚生省関係の昭和二十六年度の歳出予算の方は、お手許にございます資料の一番最後にございますように、二十六年度の予算としましては四百三十三億四千六百余万円というようなことになりまして、その次の欄にありまするのが、これが二十五年度則ち本年度の予算でございます。これと比較いたしますと、括弧に入つておる公共事業費の中でこの予算のなかに入つておるものが実はございますわけでございます。と申しますのは、御承知のように公共事業費として今年度計上されておりますものの中に、厚生関係の予算、それから官庁営繕というようなものも大蔵省の方で取扱うというようになてつおりましたが、明年二十六年度の予算に、ここに計上されておりますものに当りますもので二十五年度に該当しますものがこの括弧の中にあります十四億六千五百九十万円というものがあります。これを合せますというと三百四十三億三千余万円になります。これを今年度に比べますというと丁度九十億二千四百余万円というものが今年度よりも来年度の方が増加しておるという結果に相成ります。このお手許にあります資料の項目が多うございますので、この方は組かい数字に亘りますので、便宜会計課長から申上げさして頂きまして、私といたしましては極く大雑把な大きな二三の項目について申上げさして頂きたいと、かように思います。  二十六年度の厚生省の予算といたしましては大臣の御方針としましては、先ず結核対策並に社会保障の関係のことか一番の大きな目標として大きく浮び上つておると思うのでありますが、そんなわけで社会保障の関係社会保障実施準備に要する経費の関係、それから結核対策費、これを来年度の予算について若干合評課長の説明と重複いたしますかも分りませんが、御説明を申上げたいと思います。社会保障の経費の方は社会保障制度審議会の勧告が実はいろいろな関係で遅れまして、政府の方にまだ勧告になつておりません関係から、十分来年度の予算にこれを計上するということができませんでしたことは大変遭憾でございますが併し、社会保障制度の準備、或いは第一歩といいますか、そんなような意味で社会保障制度として一歩前進しましたような点について若干説明を申上げたいと思います。  先ず社会保険につきましては御承知のように事務費の補助と給付費の補助という問題がございます。そのうち事務費につきましては健康保險については八割、国民保險については金額というわけで、今年度よりも三割ずつ増加をするというふうに御決定に相成つております。給付についても若干の補助をしなければ困る。殊に国民保険については困るのではないかというふうなことでありましたが、これは国費多端の折柄でもありますので、残念ながら社会保障制度審議会の勧告を待つて考えざるを得ないというようなことに相成つたわけでございます。それから社会保険関係はかようでありますが、次に公的保護の関係生活保護並に兒童保護の関係でございますが、これは来年度といたしましては、今年度昭和二十五年度は生活保護の補助費は大体百五十二億円ということでありましたが、来年度は二百十一億余円ということになりまして、約五十九億ばかり増加をいたしました。一番大きなものはやはり生活補助でございまして、これは米の値上りその他を実は見込んでおります。住宅補助につきましては家賃が上るというようなことで大体前年度の二倍半、先ず教育補助等についても一倍半増すというようなことで、こんなようなことでこの五十九億の増加というようなことが出ております。特にこの生浩保護につきまし御報告申上げたいと思いますのは、従来は生活保護の事務を国の事務でやりまして、これを地方、殊に市町村等に行わせておつたのでありますが、その事務遂行のための経費の補助というものが実はなかつたのでありますが、合年は三億二千五百万円ばかりの地方行政費の補助費を見込むことができました。段々と適正な生活保護法を実施して参りますためには、これらの経費が相当活きて使われることではないかと思われまして、大変私共といたしましては喜んでおるような次第でございます。  それから兒童保護についても若干の増加をいたしておりますが、この問題はこれは先般厚生委員長も大変御心配を頂いたのでありまするが、この一番大きな兒童保護の金が、さつき堂森委員からもお話があつたようでありますが、これは平衡交付金に入つておるのでございます。生活保護の方は国庫補助金になつておるにも拘わらず、兒童保護の経費の方は平衡交付金になつておるというお話で、これは私共といたしましても、性質上是非生活保護と同列に入れるべきである。ですから国庫補助の方に組み替えるべきだということで、私共といたしましては努力しておるわけでございますが、いろいろ手続等の関係で最後の決定に至つてはおりません。私共としましては、今日におきましても、依然生活保護費と同じ性質でありまする兒童保護費については、是非国庫補助にこれを組み替えてやりたいというふうに努力をいたしておるわけでございます。  第三に、社会保障関係の保険医療機関の整理の問題でございますが、これは国民保險の診療所につきましては、今年度は二低五千万円の補助でありましたのを、四億円に増額することができました。それから公的医療機関の整備に対しまする補助といたしまして、医療法による病院の設置の補助費としてこれが五千万円、これも新らしい経費でありますが、計上することができました。それから保健所につきましては、昨年は保健所にもいろいろな整備の経費が沢山要りましたのでございますが、今年度は保健所も段々整備いたしました関係で、若干定員の少い保健所から整備した保健所にするというものと、それから一ケ所当りの定員四十五名ばかりのものを二十ケ所新設するというようなことになりました。そういたしまするというと、合計いたしまして保健所は全国に七百二十四ケ所というふうに相成るわけでございます。昨年程でありませんが、これ又結核対策等と関連いたしまして、これは相当に重要な経費でありますので、保健所の経費というものが約十億円足らず要求をしてございます。それから社会福祉関係のいろいろな施設といたしましては、兒童福祉施設といたしまして約六億円、それから社会福祉施設といたしまして三億円を来年度お願いをすることに在りました。大体社会保障の関係について大雑把に申しますと、顯著なものは以上のようでございます。  それから次に結核対策につきましては、先ず病床の増加でありまするが、来年度は二万一千三百床の増加の計画を一持つことができたわけでございます。その内訳を申しますと、国立療養所において増しますものが一千五百ベツド、それから公立、即ち府県若しくは市町村等で結核療養所を作りたいという場合に二分の一の補助をやりますものが一万一千床、それから公益法人が自分の金を出してやる場合に補助いたしまするものといたしまして、二分の一で千八百床、それから健康保険、これは政府管掌並びに組合管掌の保險を含めてでございますが、保險の方で経費を出してやる場合に国庫補助をいたしまして結核の増床を計りますもの七千床、合計いたしまして二方一千三百床ということになりました。従来は御承知のように結核の病床は大体国立の結核療養所を増して行くというやり方であつたのでありますが、どうしても急速に結核ベツドを整備して行く必要があるというようなことを考えますと、あらゆる財源を利用して急速にベツドを作るということをやりますためには、どうしても都道府県或いは公益法人或いは又保険というような一切の金のある所からみな出して貰つて作りたいというものに国庫の補助をして、急速に整備をして行くというようなことであります。只今の私共といたしまして考えておりますのは、約十九万炭の計画を以ちましてこれを三年乃至四年ぐらいで拡充して参りたい、現在約十万ぐらいありますから、あと九万足らずでありますが、これを本年度に急速にやつて参りたいというわけで、来年度は取敢えず二万一千三百床にしたい、こういうことであります。  それから結核対策の第二といたしましては、これは健康診断並びに予防接種に要する経費でございます。これは定期、不定期いろいろございますが、その経費としましては約一億九千九百万円ばかりのものになるかと思いますが、そういうふうな健康診断並びに予防接種の経費が計上されておるのであります。第三は医療費の関係でございます。これはストレプトマイシン並びにパスの金の四分の一を国庫から出す、こういうことになつております。これからの折衝でどうなるか分りませんけれども、四分の一であります。国の方で四分の一出す。できれば地方団体の方で四分の一出して貰つて、そうして半分はとにかく公けの方で持つ、個人の方としましては半分を持つということにして貰う。勿論保險等に入つておりますものはその半分を保險の方から出して賞うということになるわけでございます。薬に対しまする補助、それから人工気胸並びに外科手術に対しまする経費としまして、そういう手術や気胸をやつたもののやはり四分の一を国で補助する、あとの四分の一は保險で受持つということにしたいというようなこと、それからもう一つは第三のグループとしましては環境上病毒伝播の慮れのあるものを強制入院させました場合のその医療費というもののこれは二分の一を補助しよう、国の方で二分の一を補助するというようなわけでございます。こんなものを合せまして九億五千四百万円の補助と、それから健康診断並びに予防接種それから医療費、こんな建て方になつておるわけであります。新しい経費としてはそんなものでございますが……。
  23. 山下義信

    委員長山下義信君) 九億というのは何ですか。
  24. 葛西嘉資

    ○説明員(葛西嘉資君) これは医療費でございます。ストレプトマイシン、パス、人工気胸、外科手術、強制入院の事務費というようなものを混ぜまして医療費が九億五千四百万円その外結核に対しましてはいろいろ経常的に国立の療養所を経営しておりますとか、或いはストレプトマイシンを今年度同様買上げでやるというようなことのための経費、そんな厚生省で取扱つておりまする結核関係のいろいろな細かいのを全部集めてみますると、約八十三億二千八百余万円というものが結核のために使われておる経費ということに相成つております。全体のトータルの結核対策に使つておりまする金、これは局で申しますれば公衆衞生局の関係、それから医務局の関係、それから府県等で若干やつておるものもあります。そんなものを加えまして全体で八十三億二千八百余万円ということになつております。  それから事項として申上げますものは大体以上のことで、あと微細な点の数字につきましては会計課長から申上げて行きたいと思いますが、最後に予算に関連いたしまして、現在起つておりまする問題を御報告申上げておいたら適当かと思います点は、行政機構の関係、これは全然現在の機構を変えるというようなことにはなつておりません。現在の厚生省の機構そのままで行くというようなつもりで予算が組まれております。  それから次に先程もお話がありましたこの平衡交付金と補助金の関係、それから事務の再配分の関係というふうなものが予算に関連して実は問題になつておるわけでございます。御承知のように地方行政調査会におきましていろいろこの社会福祉の仕事、或いは保健衛生仕事というようなものをどの事務は国でやる、どの事務は府県でやる、どの事務は市町村でやるかというような区分けをする、それからそれに伴いましてこの補助というようなもの乃至は平衡交付金というふうなものを整理をするというふうなことが実は今政府の部内で取進められておるように聞いております。私共といたしましては社会福祉の行政、或いは公的扶助、保健衛生関係につきましては、どうしてもこの專門家によつて或る程度完全な仕事をして参るためには相当な人的な組織も必要であるというようなこと、それからそういうことになりますれば、財政的にも相当な力のある団体でなければできないのじやないかというふうなことで、大体この事務の再配分乃至補助につきましては府県を單位にしてやつて参りたいというふうなつもりでございます。  例えて申しまするというと、現在この生活保護法等におきましても、市町村で市町村長が第一線機関となつてつておるのでありまするが、生活保護の現在のやり方から見ますると、兒童福祉なんかは若干府県的なものになつておりまするけれども、やはりこの府県を單位としな社会福祉事務所といいますか、そういうものを府県に作りまして、そこで相当なスタッフを置いて仕事をして行くということが必要ではないかといとりふうに考えておるわけでございます。来年度二十六年つ度の予算といたしましては、かようなわけで社会福祉事務所設置に要する経費の若干のものが入つておるわけでございます。全国に約七百九十七ケ所くらいの社会福祉事線描所というものを作りまして、ここでここを中心にして生活保議の仕事或いは兒童福祉の仕事というふうなものをやつて参りたいというふうに考えておるわけでございます。かようになつて参りまするというと、地方自治と申しますか、市町村がこういうものをやらなければならんという事務再配分の、行政制度調査会で考えておるやに聞く意見とはやや衝突するような恰好になりまするので、今後これらの問題について政府部内でも十分検討してをかなければならんというふうに相成つております。それから補助金の問題につきましては、先程もお話がありましたように、私共兒童福祉の経費につきましても、どうしても現在の段階におきましては、これを国庫補助ということで地方へ流すのでなければどうも工合が悪いというふうに考えておるわけでございます。先般全国の十八府県からいろいろ兒童保護費の経費の状況について意見を取つたことがございます。その意見は殆んど全部現在のままではいかん、これは堂森委員からお話がありましたが、いけない、これは是非国庫補助ということでなければ駄目だというように結論が出ております。殊にこの新らしく伸びて行く仕事につきましてはどうしても必要である。又殊に児童保護とか、或いは社会福祉或いは衛生というような仕事は、土木、産業というような他の政治的な力の強い経費にどうしても圧迫される形になつてしまう。最低の保護ということもできなくなる慮れがあるというふうな大体一致した意見でございます。こんなふうな、地方の過去一ケ年やつて参りました、まだ一ケ年にはなりませんが、やつて参りました経験から、これは是非補助ということが現在の段階においては必要であるということで、私共としましても児童福祉のみならずその外の大部分の経費につきましては、これを国庫補助の形式でやつて参りたい、かように考えております。これ又政府部内において今後幾多折衝を経て行かなければならない問題である、かように考えております。極く雑な話でありましたが、一応大雑把に申上げまして、他は御質問によつてお答えし、或いは又数字につきましては会計課長からお答えをさせて頂きたいと思います。
  25. 山下義信

    委員長山下義信君) この際厚生大臣が出席しておられますので、先般のジエーン台風災害に対しまして厚生省として取られました対策について御報告を願いたいと思います。詳細は主管局長からでも結構でございます。同時に大臣から明年度の予算に関連いたしまして、今後考えておられまする厚生行政についての大臣の御方針の一端をこの際承つて置きたいと思います。
  26. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 先般のジエーン台風の際には、直ちに木村社会局長を大阪に派遣いたしまして、そうして被害状況をつぶさに視察して参つたのでございます。尚一方ララ物資は翌日直ちに発送して、この問も大阪に参つて見ますと、非常に喜ばれたということでございます。その外の応急に必要な物資につきましては、災実地からの要求によつて、或いは又こちらからいろいろとお送りして、具体的なことは木村社会局長からお答えいたしますが、応急的措置につきましては厚生省といたしまして万全の策を講じたつもりでございまする  それから来年度の予算に関連して将来厚生行政についてどういうことを考えるかという御質問でございますが、いつも申上げます通り、なかなかこの厚生行政は広くそうして深いものでございます。私といたしましては、先ず社会保障制度の漸進ということを求めて進んで行きたい、こういうふうに考えております。それから結核対策或いは癩に対する対策、それから遅々として進みません引揚同胞についての施策、或いは又その留守家族に対しては、これはできれば今年からと思つておるのでありますが、今のところ毎月僅かに三百円の支給でございますが、それを何とかしてもう少し上げたいとこういうふうに努力中でございます。要しまするに何とかしてこの不幸の方方に対して幾分でも幸福の光が見えます方に私として努力して進んで行きたい、こう思うのであります。
  27. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) ジエーン台風に対しまする措置につきまして、概略御説明いたします。災害救助法が施行になりましてから、すでに相当期間経つておりまする関係上、各府県とも災害救助法によりまする応急救助の措置につきましては相当習熟して来ております。従いまして各県とも、特に今回台風の通りました場所は、従来からたびたび風水害に遭つている場所でございますので、割合に迅速に措置ができたように感ぜられました。ただ大阪府は最近この措置をとつた例がなく、今回が初めてでありましたので、もう一つ災害が非常に大規模でございまして、市の中の四つの区は完全に水の中に入り、その他の区におきましても、非常に大きな部分が水に入つたというために、救済の措置というものが若干遅れたという点が幾分ございますけれども、大体翌日の早朝と申しまするか、その当日夜半には炊出しが大部分の場所には行つたというような状況になつております。これからの救助につきまして、本省といたしましては、私直ちに参りまして、これににつきましての措置に過誤ないように指導いたしました。尚それに伴いまして、今回の災害が非常に大きいために、災害の救助期間を非常に延長をしなければならなかつたのでございます。これにつきましては、大阪兵庫両県下に対しまして、その期間の延長の承認をいたしました。大阪府におきましては、炊出しについて、大阪市におきまして九日間、堺市内におきましては三日間、避難所説置につきましては大阪市内については十五日間、堺市内におきましては三日間、被服、寝具の給與につきましては、大阪市につきまして十七日間。それから兵庫県につきましては、炊出しにつきまして尼崎市内において三日間、避難所の設置につきましてはやはり尼崎市について三日間の災害救助期間の延長を承認いたしました。大体これで以て応急救助の点ににつきましては遺憾なくできたと考えられます。  尚災害救助につきましては、この救助費が相当多額に上ります関係上、現在の地方財政の状況に鑑みまして応急救助に対しまする国庫補助の概算交付をいたしました。これについては大蔵省から支出の承認がありましたので、その交付をいたしました。その額は八千五百十万円でございまして、大阪府四千四百五十万円、兵庫県は一千九百五十万円、和歌山県は一千二百八十万円、徳島県は八百三十万円、以上で八千五百十万円でございます。尚その残額につきましては本年の補正予算で以てこれに対しまする措置をとることにいたしております。大体三億円余まりをこの外に出すように要求いたしております。それから応急收容施設につきましては、従来これを災害救助法によつて認めていないのでありますけれども、今回はこの災害の規模の大きかつたことに鑑みまして、全壊流失家屋の約一割というところで以て、災害救助費の中で以て応急收容施設費に充てることにいたしました。又先程大臣からお話がございましたように、ララ中央委員会の特別の決定によりまして、取敢えずララ物資を一千十六梱、約十四万九千九百人分というものを実際罹災府県に送りまして、これを災害後二日目には現地に著いております。尚その他市街地におきまする物価が騰貴いたしまして、そのために入手が困難でありまする物資につきまして、東京におきまして毛布を二万九千五百枚、蝋燭を三十万四百本というものを入手いたしまして、これを要望のありました罹災府県に対して送りました。それらのものに対しても不足のないように措置いたした次第であります。尚その他社会事業施設等の復旧に要しまする経費につきましては、目下これを折衝中でございます。できるだけこれについて遺憾のないようにと考えて努力いたした次第であります。
  28. 山下義信

    委員長山下義信君) この際ジエーン台風災害救助に関連しての御質疑のありまする方は御質疑を願います。
  29. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 社会局長にお伺いいたします。私は実はあの京都大阪兵庫方面視察に参りましたのでありますが、その場合只今報告がございましたように、応急処置は大変結構と存じましたが、その後いろいろと伺つておりますところでは、備蓄の問題か非常に大きな問題になつてつたように思つたのでございます。厚生省から毛布を二万枚お渡し頂きまして、非常にこれは結構だつたのでございますけれども、兵庫県で伺いますと、こつちにお願いしたものが他県に渡つてその県に渡らなかつた蝋燭にしてもあつちこつちお願いしましたが、備蓄災害救助法で大変やかましく言われておりますにも拘らず、なかなか県では備蓄ができない。そこで報告は一本にして頂きましたが、県の部内におきまするその関係がなかなかむずかしい。備蓄がそういうようにできておりませんので、毛布にしても厚生省からお分け下さるものを受取りますのに時間がかかる。地方に持つておりますものを取りたいと思いますと、差当りそういうものは現金が必要になります。これは非常に大きな問題で、殊に伺いますところによりますと、食糧も何といいますか、倉庫に入れてあるものとか、公団で持つておりますものを使用いたしましたりすると、これがなかなか返済ができなくて、すつた揉んだをやつたということを伺いましたのでありますが、今回の災害を通じまして厚生省といたしましてこの備蓄の問題をどういうふうに考えておられますか、御意見を承りたいと思います。
  30. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 災害物資備蓄につきましては、現在自由経済になつておりまする関係上、災害が起りますと、これが救済に必要な物資が価格が騰貴する、そのために物資の入手が非常に困難になる、而もそのために災害救助費の範囲で以て十分な物資が獲得されないというようなことになる慮れが多分にございますので、我々といたしましては災害救助のための物資備蓄、こういうものについて何らかの措置を講じなければならんというふうに考えまして、これにつきましてはいろいろと努力いたしておるのでありますけれども、現在のと立ちこれに対しまする必要なる国の予算というものは措置ができておりません。これにつきましては、つまりどういうふうにしたら最も経済的に、而もロスのない備蓄ができるかという適当な方法につきまして、尚十分検討いたしまして措置をいたしたいというふうに考えております。
  31. 中山壽彦

    中山壽彦君 この災害関係します四閣僚が先月の二十三、四の両日大阪で御会合になつて災害対策を御研究になつたということが新聞に伝えられております。お差文がなければ、そのときにどういうふうなお話ができ上りましたか、大臣からお話し願いたいと思います。
  32. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 結局金の問題が主でございまして、私の方の所管につきましては余り話も出ませんでしたが、何とかして預金部資金からの融資とか或いは又銀行を通じての融資とか、そういうことによつて大体の話は終つたように思うのでございます。復旧費用の経費を予算に坂つて早く決めて呉れとこういうことでございました。大体そんなことでございます。
  33. 中山壽彦

    中山壽彦君 一時の融資であるとか或いは起債とかいうような問題は、そのときの御研究の話題とならなかつたのでありますか。
  34. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) そういう点も非常に強調されました。政府におきましても、この度のジエーン台風による被害が非常に大きいので、何とかして特例でも設けて救助したい、或いは融通したいということをいろいろと相談いたしております。補正予算におきまして、御承知の通り災害復旧について三十億の大蔵省の原案を五十一億にいたしましたような次第であります。現在の国家の財政上できるだけの支出をいたしまして、そうして災害復旧に努力したい、こういうふうに考えております。
  35. 中山壽彦

    中山壽彦君 社会局長にお尋ねしたいのでありますが、私共現地に参つて見ますというと、一番困つておられるのが住宅の問題であります。東京を発ちまするときに社会局で聞いたのでは、五坪三万円の住宅を約一割拵えると、こういうことを聞いて行つたのでありますが、現地に行つて見ますというと、一割のあとの九割がどうなるのだろり。折角拵えてしまつてもそれをどういうふうに決定するか、非常に困る。何とかもう少し沢山できないかということが期せずして皆さんの要望であつたのであります。こういう点についてのお考えを承わりたいと思います。
  36. 山下義信

    委員長山下義信君) 委員長も関連してお尋ねしたいのですが、一割ということに決めた理由を御説明願いたい。
  37. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) お答えいたします。応急仮設住宅は、これはやはり応急の一時避難の手段としての住宅でございまして、災害に会いました人の、その災害後の復旧のための住宅ということは、災害救助質の中では見ることができない形になつております。従いまして一応応急救助といたしましては適当なる外の施設がありました場合に、それに入れるというような建前になつておりまして、救助を要しまする人々を一応そういう施設に入れまする場合に、そこに入り切れない、そこには入れられないといつたような人が或る程度残る。そのものが人体従来の経験からいたしまして一割程度というふうに考えられますので、大体一割を応急住宅として認められたような次第であります。従いまして災害が終りました後、その災害を受けましたものに対する住宅の供與というようなことにつきましては、現在住宅行政が厚生省の所管にないわけでありまして、建設省において早急にこれに対して措置いたされるように我々は要望いたしておるのであります。住宅建長が平生省にございまするならば、これに対しまして厚生省といたしまして適切なる措置を講じなければならんと考えておる次第であります。
  38. 山下義信

    委員長山下義信君) 一側というのは、従来のまあ大体の腰溜めでそういう見当でやる一割で、まあ何ですか、そうすると応急避難の仮小屋の間には実際に合つておりますか、すでにもう避難をして、仮小屋か何か建てたりしている者の、すでに実行しているものはどうでしようか、その一割くらいでしようか、越しておりましようか、その辺どうでしようか。
  39. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 大体実情を申しますと、仮小屋を造らずにやつておる方が多いのでありまして、実際問題としましては仮小燈を造つて入れなければならんというよりは、むしろ学校その他の公の施設に收容するというのが大部分でありまして、仮小屋を造つておりました者はその中の極く僅かなものに過ぎないというような事情でございます。ですから現在それがないために收容ができなくて困つたという事例はそうないんじやないかと思います。尚現在問題になつておりまするのは、やはり災害によりまして応急的にそこに入れました者を帰して、自分の住家を造るということができない、或いは壊れました住宅を再建することができないといつた一般住宅復旧対策の問題になつておるようであります。その点につきましては現在非常に困つておる状態になつておるように聞いております。
  40. 山下義信

    委員長山下義信君) そうすると、今の八千余万円、渡しました救助費の一応概算でしようが、後でもつと要るんでしようか、いろいろ積算の請求には各種の費目の積算場はございましようが、これは適宜彼此流用してもよろしいんでございましようか、一々積算した通りに使用し、余つたら返すというふうにするのでしようか、多少の融通は臨機応変に措置するように現地に任すんでございましようか。
  41. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 大体災害救助をいたしまする救助の内容は決つておりまして、例えば炊出しは金額どれくらいの範囲内で何日間どういう人達に対して行うということが決つておりまするし、各種の物資につきましても災害の程度によりまして、一人当りに支給すべきものが決まつておるわけでございます。従いまして、その範囲内においてやりますることでありましたならばいいわけでありますが、これを越えましてやる場合百におきましては、あらかじめ承認を受けなければならないということになつております。従いまして彼此融通するということはできないわけであります。
  42. 熊崎正夫

    ○説明員(熊崎正夫君) 只今の局長から申上げました内容につきまして、担当の課長から補足的な説明を申上げたいと思います。  この災実の例えば避難所費或いは炊出し或いは被服、寝具の給與といつたそれぞれの項目につきましての彼此流用は、これは実は嚴重にやらなければ非常に後で困つた問題を起すわけでありまして、その点はこれまで災害救助費の運用につきまして、いろいろとそうした事故を起した例がございます。その事故の例というのは、結局そういうふうな流用を勝手にやるということによつて、しばしばそういう事故を起した例があるのでございまして、その点は我々の方では嚴重に後の会計検査その他の場合の摘発の対象にならないように、十分に事務的にははつきりと清算をするということで指導いたしております。  それから先程の一割の応急仮設住宅をこのたび認めたという例につきましては、これは過去におきまして、正面切つて仮設住宅を認めたというふうなことをやりました例は、実は災害救助法ができましてからは一度もないのでございます。それは一応例としましては、福井の大震災の場合と、それから秋田県の能代の火災の場合に多少認められた例があるのでございますが、これは福井の場合には非常に当時要望されておつたにも拘わらず、事務的にちよつとした手違いがありまして、実は認めかかつたにも拘わらず財務当局の方で結論的には認めないようになつてしまつた。それで、結局現地では相当期待をしておつたにも拘わらず財政的に認められないという理由によりまして、一応取り敢えず造つてしまつた分だけを後で事後的に認める、そういう形を取りました結果、実質的には全壊家屋の一割以下、むしろ一%にもならなかつたと思いますが、その程度のものが認められた、こういう実例になつております。それから秋田県の能代の場合には、一応生活保護法によります宿所提供施設というような形で大体の一割を認めて貰つたという特例の措置になつておりまして、一割額を今度認めたということは、災害救助法ができましてから後の新らしい措置として認められた、こういう形になつておりますので、その点は一つ御了承を願いたいと思います。
  43. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 厚生大臣にお尋ねしたいのですが、大臣は先般大阪の方にわざわざお出でになりまして、私も当時参りましたのですが、只今、お話のように、何と申しましても今一番金融問題がやかましく言われております。これについて我々の方では非常な強い要望をいたしておりましたが、殊に御承知のように大阪、或いは尼崎という工場のいわゆる中心地において資金がないということは、国家の大きな産業の上にも、国家経済の上にも大きな影響があるのではないか、この際政府預金部資金の運営ということが当然起つて来ると考えられるのでありますが、これについて只今どういうふうに政府の方では話が進んでおりましようか。その点を一つお伺い申したいのです。
  44. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 復旧川に対しては先程申しましたように補正予算で計上しております。預金部資金の流用ということにつきましては、私よりお答えすることは不適当であると思います。ただ補正予算が五十数億災害復旧のために認められたという点だけ御了承願いたいと思います。
  45. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 大臣もお出でになりまして、一緒に話をお聞きになりましたのですから、そういう点は御一緒一つ十分御盡力を願いたいと思いますが、それ以上は申上げませんが、社会局長にお尋ねするのですが、先程もお話のありました住宅の問題でございますか、成る程災害救助法によつて、倒壊家屋の十分の一ということになつておりますが、多分社会局長も尼崎、或いは大阪の海の近い所の現状は御覧になつたと思うのです。あの辺におりまする住民というものは大体において家のない、又今後建てることのできないという階級の人が非常に多い、それに持つて来て十分の一というようなことでは、これは容易に解決のつく筈がないのでありまして、殊に尼崎の事情をよく承りますというと、僅かに十分の二くらいのものを以て行なつた場合に却つて困る。これを要求する者が非常に多いためにむしろ喧嘩さすようなことになる。むしろいつそないか、或いは桁えるならもつと沢山つて欲しい、実際に建てる資力のない者が多いのだから、この事情をよく御覧願いたいということを言つておりましたが、これは恐らく局長も御覧になつたと思うのです。いわゆる杓子定規に一割という考え方ではなくて、その土地の事情、又災害の事情を御覧になつて御判断なさるのが至急じやないかと思われるのでございます。殊に尼崎はまだ水に浸つている所であります。これが火災等の場合に焼け残つた家はそのまま健全に使えますが、災害によつて浸水した所では、仮に家が残つておりましてもその家は使えないのでございます。ただ倒壊家屋だけを目標に十分の一とお決めになることは却つてそのところの人心を騒がしたり、又今申しましたような喧嘩させるような因になるからこの点一つ十分お考えを願わなければならんことじやないかと存じます。その実情に合つたような考え方をする、そこがいわゆる災害救助法の本当の考え方じやないか、こういうふうに考えておりますが、如何でございましようか。
  46. 熊崎正夫

    ○説明員(熊崎正夫君) 災害によりまして、家をなくしました者に対する住宅のその後の提供の問題につきましては、御説の通りと思いますが、そのうちの一割だけを弄してやればいいというものではなくして、やはりそのもの全体に対して住宅が提供せられるような措置を講じなければならないということはおつしやる通りだと思います。我々としましても、厚生省住宅政策をいたしますならば、そういうふうにいたしたいと考えております。選憾ながら住宅対策というものは、厚生省の手にはないのでございます。これは建設省がやるもので、我々としましては、これに対して何ら手を触れることができないという現状にありますことを誠に遺憾と存じます。災害救助法によります場合は、災害救助法というものは応急的な措置というだけでありまして、災害が起つている間、災害が存続する期間中の措置ということに相成つております。従いましてそれといたしましては今申しましたようなやり方でやる以外には方法がないのじやないか、尚実際に或る状況の下に他に適当な收容施設がないという実際の状況がありまするならば、お説の通りに一割ということで止めることはできないと思いますけれども、現在ではやはり公共の施設等に收容いたしまして、実際に応急救助の方は措置いたしておりますような関係上、若しその後に復興するために、つまりその後の使途のためにやります場合ならば、少しも、一つ災害救助は出せないということに相成る。尼崎におきましてその後の住宅の問題として紛糾しているというようなことでございまするならば、そこではむしろそれは要らないということに相成るのではなかろうかということに相成りますので、我々といたしましては、実際に災害の存続している期間これが必要であるということによつて初めてこれが建てられるということに考えておるのであります。
  47. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 倒壊家屋の十分の一という御解釈は少し私は無理があるのではないかと思う。倒壊したから必ず家が使えぬのではなくて、浸水した家も使えないということがあり、倒壊と同じ価値に認められて差支ないのではないか。そういうふうにいたしますと、罹災家屋というものは相当大きな数字が出て来る。こういうふうな場合にもう少しお考え願えば、応急の避難施設としての建物にしましても、いわゆる災害救助法の幅が大きくとれることが考えられる。ただ倒壊家屋ということだけを限定される、これでは非常に考え方か小さい。私はそういうふうに思う。殊に他に收容施設があるのではそれにそのまま入れておいたらいいという御説明ですけれども、これも私はよくお考え願わなければならんと思います。恐らくこれは小学校に住まつておる、尼崎においてはまだ小学校に何人か入つてつて、そのままの状態でいると信じている。そのような場合は一方学校教育はどうするか、ただ災害救助法の適用にこうあるというので、学校教育を打つちやらかして放任しておいて済むかということであります。こというところのいわゆる法の解釈のし方、その間においてできるだけ災害に対する災害救助の手を大きく延ばすというお考えを願いたい。
  48. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 誠に御尤もなお気持であります。私共といたしましても、何とかしてお気の毒な方にああもして上げたい、こうもして上げたいと努力いたしておりますが、又努力いたしましたのでございますが、私自身初めて今度こういう役目についてみまして、なかなか政府の仕事は自分の思うように行かんということをつくづく感じております。併し今の倒壊家屋並びに流出家屋については認めるが浸水家屋については認めない。そういうことにつきましては、これから思い切つて努力いたしまして、そうしてそういう場合にも応急の措置がとれるように努力したいと思います。
  49. 山下義信

    委員長山下義信君) 大変注目すべき御答弁になりましたが、これからでなしに、台風災害に対して、今の藤森議員の御質疑を確めておきたいのですが、床上に相当ひどく浸水した家屋全壊家屋、倒壊家屋というものの中へ扱うかどうかという質疑であつたのですが、局長どうですか。
  50. 熊崎正夫

    ○説明員(熊崎正夫君) 災害救助法につきましては、もうすでに救助の法の適用の期間が過ぎてしまつております。従いまして現在におきまして、これに対しまして新たに措置をするということはもう法規上できない状態になつております。これにつきましては、今後それに対しまする措置或いは基準というものを変更いたさない限り、今後の問題につきましても何ともいたし方ないのであります。我々といたしましては、今後そういうふうなことにつきまして、実際の状況というものに応じまして、これを変更するように努力したい。これにつきまして我々の力が足りませんので、現在まで基準について十分なるものになかなかなり得ないという点は遺憾に存じております。そういうような状況でございますので、今回の災害につきましては、現在ではもはや何ともいたし方ないのでございます。
  51. 山下義信

    委員長山下義信君) 先程藤森委員の御質問に対して、大臣は融資等の関係は大蔵省のことで関係がないとおつしやつたのですが、社会局長の所管ではいろいろこの被害府県の、或いは公私の社会事業施設等の復旧について補助が出せるか出せんかは別として、若し補助が頂けなければ融資等の斡旋を願いたいという要望があつたと思う。我々の方にもそういう要望がありましたが、同時に社会事業関係だけでなくして、医療関係の公私の施設もやはり同様な事例があろうと思う。そういうことに対して厚生省はただ災害救助法だけを、今聞けば一定のそれを適用する期間があるというのですが、そういう事項があるということでありましたが、その災実救助法だけを法規通りやつて行けばよいのであつて、その災害地において厚生省の所管事項の所管内におけるあらゆる施設、いろいろなものに対しての復旧についての斡旋努力というものはしないのですか、これは多少するのですか、さつき大臣はそういうことは関係がなくて、そういうことは大蔵省のすることだとこうおつしやつたのですが、厚生省の所管の中の公的、或いは私的のいろいろ関係の事業等が災害を蒙つておるのであろうと思う。そういう復旧については盡力するのですか、しないのですか、その辺を御答弁を……。
  52. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 災害救助法の問題は今おつしやつた通りでございますけれども、実際に社会事業施設等が破損をいたしましたり、或いは倒壊いたしまして、これを復旧いたしまするに必要な経費につきましては、厚生省といたしましてはこの復旧の経費の中で公の補助が、公費で以て補助できますものにつきましては補助をいたすつもりで、目下その予算の要求中でございます。この予算が認められましたならば、これによりまして補助いたしたいというふうに考えております。尚この補助のできない場合におきまする融資の問題につきましても、厚生省といたしましては大蔵省の方に折衝いたしまして、その方か円預金部資金が借りられるようにいたしたい、かように考えまして努力いたしておるのでありますけれども、現在預金部資金というものの融資につきまして非常な制限がございまして、殊に社会事業施設といつたものに融資するということが昔のようにできないことに相成つております。これにつきましては大蔵省の方にお願いしよして、その方面を打開できるようにして頂くように努力しておる最中でございます。
  53. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは会計課長から予算の項目……。
  54. 松原一彦

    ○松原一彦君 大臣はまだおられますか。
  55. 山下義信

    委員長山下義信君) まだお出でになります。
  56. 松原一彦

    ○松原一彦君 お尋ねしたいことがあるのですが……。
  57. 山下義信

    委員長山下義信君) 災害に関連してでありますか。
  58. 松原一彦

    ○松原一彦君 そうじやない、根本的な問題です。基本的な問題です。
  59. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは御質問下さい。
  60. 松原一彦

    ○松原一彦君 厚生大臣にお尋ね申します。国民健康保険の医療補助の問題でありますが、先刻葛西次官から明年度の国民健康保險に対しては事務費の全額を補助するというお話があたりのであります。誠に結構でありますが、本来この国民健康保險出発当時には国の補助事務費に二割、医療費には八割、一人当り一円でしたかの補助があつたのであります。只今では事務費と施設費だけの補助に止つております。これを拡充して医療費の補助をして貰いたいというのは全国的の声であります。然るに今回は全然お取上げにならないで、事務費と施設費だけであつて、いずれ社会保障制度審議会からの勧告があれば、それを待つて改めて考えるというさつきお話があつたのでありますが、厚生省はこの瀕死の状態に陥つておる休止がだんだん殖えて、国民健康保険を市町村で継続経営することができないという現実の上から、若し勧告があれば相当額の医療費の補助をお行いになる御決心でございますか。その点を伺いたい。
  61. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 只今の点につきましては、予算の編成に当りまして、始め厚生省は給付費の二割を補助して貰う、金額にいたしまして約五十億。併し段々折衝いたしましたところが、国民健康保險ばかりでなく、事業者保險の方も二割といたしまして五十億、約百億の要求をいたしたのでありますが、段々折衝中に二割では到底駄目だ、一割だ、それでも駄目だ、遂に国民健康保險につきましてだけ給付の五分を補助して貰いたいということを強力に主張いたしましたけれども、遂に最後の閣議におきまして閣議決定を以て給付費については補助はしないということになりまして、私もどうにもそれ以上のことができないで現在に至つております。併し社会保障制度審議会の御勧告の如何によりましては、それについてその御勧告に従つて善処したいと考えております。
  62. 松原一彦

    ○松原一彦君 確めておきたいのです。勧告があれば、今御譲歩になつた五分まで譲つて要求してもできなかつたと言われますが、恐らく審議会の方では五割補助くらいなところまでは勧告するだろうと思うのですが、厚生大臣は審議会の勧告に対してどのくらいなところまでは一つ補助してやろうという御決意をお持ちでございますか、承わりたい。
  63. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 只今のところそこまではまだ御答弁いたしかねます。
  64. 松原一彦

    ○松原一彦君 これは根本的な重大な問題でございまして、社会保障制度の基盤となるべき調査をして参つた私共でございますが、全国の国民健康保險は誠に瀕死の状態に陥つておるのであります。融資の問題から言いましても、短期の融資をやるという通牒を厚生省は発しておきながら、大蔵省から厄介な條件をつけられて、これが少しも行われておらん窮状に陥つておるのであります。今のままならば自滅するといつたような窮状が続いておるのであります。最低限としても二割は是非補助を願いたい。これができれば続けるが、そうでなかつたらもうこれはお返し申すといつたような町村も随分沢山あるのであります。どうか一つ勧告がありましたならば、最低限二割の医療補助をどうぞ実現するように万全の御努力を願いたいと私は切に希望します。
  65. 黒川武雄

    ○国務大臣(黒川武雄君) 全国の国民健康保險の組合が非常に赤字で困つておられる実状はよく陳情等におきまして私承知いたしております。それでちよつとついでに附加え申上げますと、閣議においてその給付すべきでないという決定を受けました後に、せめて私は国民健康保険の赤字を補填する意味において、できれば十億でも十五億でも出して貰いたいということを盛んに主張したのでございますが、これも遂に容れられなかつたのであります。その点をついでながら申上げておきたいと思います。
  66. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは会計課長、簡單でいいですから……。
  67. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) 先程事務次官から御説明申上げました二十六年度の歳出予算、お手許にお配りしました横書きの数字につきまして、各局別に、尚社会保障以外でやや日立つた項目を拾いながら、ちよつと御説明申上げたいと思います。  最初の頁は大臣官房でございまして、ここは格別申上げることはありません。次の頁の厚生省公衆衞生局のところでは二十四番というところに保健所補助というような経費があります。約十億九千百六十万円というのが載つておりますが、これは先程事務次官がちよつと触れましたように、従前七百四ケ所の保健所がございましたのでありまして、これを新しく二十ケ所ほど増設いたしますと同時に、むしろ個所数を殖やすよりも内容を充実させる、殊に結核対策でも実施になりますれば、差当りその第一線を狙いますのが保健所でございますので、内容充実という方面に重点を置きまして、個所数の増設は二十ケ所でありますが、新たにA保健所の規格とC保健所の規格の間にBという中間の規格を設けまして、そこへの格上げ、それを合せまして六十ケ所、それからAの方が従来百五十ケ所でございましたのが百八十ケ所、三十ケ所殖やす。こういうことで規格を少し上げて内容を充実する。それから保健所にお医者さんがなかなかそう得ちれない、せめてその待遇も更によくしたいといろいろ考えたのでございまするが、遺憾ながら俸給を殖やすことが困難でありまするので、切替えまして研究費ということにいたしまして、せめてそういうことで以て研究費の一端にもと思いまして、それぞれの保健所ごとに十万乃至二十万というところの特別研究費というものを予算化いたすことにいたしたのであります。それから尚自動車が従来ございませんので、活躍にもとかく不便であるというので、A規格の保健所の差当つて百八十ケ所にでも自動車を入れたいということでこれを百八十台ほど組んでおります。主なものは保健所はさようなものでございます。それから下りまして二十七番結核予防事業費補助に必要な経費、これは先程事務次官から御説明いたしました結核対策費のうちで地方に対する補助事業でございまして、約十億ほど前年より増になつております。これは便宜御説明を省略させて頂きます。それから二十九番のらい予防費補助、ここでは問題が金額としては小そうございますが、従来私立らい療養所が三ケ所ほどございましたが、ここに対しまして経常費の補助といいますのが赤字補助でございますが、大体三分の一くらいしか見ておりませんでしたものを、これはらいに関する限り私立のらい療養所というものは国立らい療養所の身代りであるということから、これに対する補助率を全額補助に変えて頂きまして、経費といたしましては一千八百万円ほどでございまして、そう大した金額ではございませんけれども、そういうような筋を通したような項目がございます。それから三十二番に行きまして精神衛生対策強化、これは先般国会で御審議頂きました精神衛生法、これに見合いまする分でございまして、大体そこにございまする三十八万四千円と申しまするのは精神衛生対策審遍会の経費、それから鑑定員の経費、それから精神衛生指導員講習会というような漸進的と申せばそうなのでありまするが、そういうような経費を若干、それからちよつと後の方に入りまして、百五十九番という番号、ここは国立精神衛生研究所でございます。その次の項目も間違つております。両方共国立精神衛生研究所でございます。ここに三百三十四万円を新たに取りまして、精神衛生対策に当てようとしたわけであります。それから先程のに戻りまして、三十三番の精神衛生事業費補助、ここで精神衛生相談所というものを逐次殖やして行きます方針で若干の経費が相談所に計上してございます。精神衛生関係はさようなものでございますが、尚その次の三十四番という項目に結核療養所、精神病院、地方病予防施設及びらい一時救護所という必要経費が約十億ほどございますが、これは結核が一万一千床、精神病院が五百床、らいに四十床ほど設けます経費でございます。それから三十六番は法定伝染病予防費でございますが、御承知のようにいわゆる地方の隔離病舎というものは、都市におきましては相当ベツドが余つているという面があると同時に、村の方に入りますと、明治何年以来の建物でそれが腐朽している。それに対して何の手当もしていないような所もございます。これはもう今手を打たなければ倒れてしまつて、後そういうものは建ちそうもないという所がままあるように存じております。その隔離病舎の建設費といたしまして、補助が一億一千三百万円ここに新たに入つておるのでございます。これは三分の一の補助でございます。次の三十八番の性病予防費補助に必要な経費、これは従来から保健所に附設設備として性病診療所を設備して逐年殖やして行くような計画をしております。それの例に習いまして、百ケ所分診療所を更に保健所に殖やしているのでございます。従来五百六ケ所が六百六ケ所に殖えるような計算に相成つております。それからずつと参りまして、四十九番の輸出入衛生検査機関運営に必要な経費、これは輸出入の食糧品の検査を厚生省が担当しているのでございますが、それの検査機構というものが従来確立しておりませんので、ままおかしな食糧品が輸入されてその結果中毒したり、或いは輸出されて向うにクレイムをつけられたりする状況でございます。これを要求しまして、これを東京大阪、これは国立衛生試験所を活用する。その外に門司と小樽に新らしく二ケ所検査施設を設けまして、若手の職員を常置いたします。それに輸出入の食糧品について検査を拡充したい、こういうような経費がそこに入つてございます。公衆衞生は大体そのくらいでございます。  次に医務局に入つて参りますと、国家試験の方は大体医師及び歯科医師の国家試験、これは大体予備試験の方は一回でございますが、本試験の方は二回でございます。こういうことになつております。それからずつと下りまして六十五番の公的医療機関設置に必要な経費、これが五千万円ほど入つてございます。これは従来長くなかなか貰えません経費でございましたが、社会保障ともなりますれば、どうしても公的医療機関を設置しなければならないということを強く主張いたしまして、漸く頭だけ打たしたというようなところでございます。それから続いて六十六番の歯科衛生行政に必要な経費、これは金額としては僅かでございます。ここで新しい試みといたしまして水道に弗素を投入いたしまして、それによつて歯の病気を防止する、こういうやつを一つ試みにやつて見ようじやないかというので、これはアメリカ辺りでは実施に移しでおるそうでございますが、日本におきましてそれを一つ試験して見ようという経費がこれは項目としては別なところに約研究費として百万円ほど入つてございます。申上げる場所がございませんでしたので歯科衛生の面で項目がございましたので、思いついたままに関連して申上げておきます。それからずつと下りまして、七十二番の国立病院特別会計へ繰入れに必要な経費六億二千三百万円ほどございますが、これは大体国立病院はどうしても赤字が出るということでありまして、それについて従来国から幾分かを赤字に繰入れて来たのでございますが、今年度は幸いにいたしまして、昨年の実績で約二億円ほど余剰が出ましたので、その余剰を差引きまして、どうしても一般会計から繰入れねばなりませんものが約六億二千三百万円ほどそこに計上されてございます。それを繰入れることにいたしました。それから七十六番の方へずつと下りまして、療養所の特殊薬品の購入でございます。大体項目はプロミンとパスでございまして、プロミンは御承知のらいの患者に対しまする特効薬でございまして、大体患者の中でこれを使用することを必要とする方々には一渡り参りますようにというので約七千六百人分そこに計上してございます。それからもう一つは結核の最近現われました特効薬のパスでございます。これが約二千八百人分程そこに計上しております。尤もこのパスの方は半年分だけを計上してございまして残りの半年分はこれは例の結核対策の方で公衆衞生局の方に一括計上してございますので、ここでは半年分、上半期分だけが計上されてございます。  医務局は終りまして次の薬務局の方へ行きます。ここでは一番しまいの八十四番というところに重要医薬品の供給確保に必要な経費九億六千三百万円、これには主なものはストレプトマイシンを約九億円購入いたしました。これは大体先般来日本におきましてもストレプトマイシンの生産ができました。ただ目下のところ非常に値段が高うございまして輸入品と対抗するところに至つておりませんので、プール計算いたしまして国産のあれを育てて行く、来年の大体第三四半期ぐらいになりますれば、もう国が育てる必要がなくなるであろうという計画の下に第三四半期までの間買上げまして、輸入品とこれをプールして売捌く、こういう経費でございます。それからストレプトマイシンの外にワクチンといたしまして、コレラ、インフルエンザ、発疹チフスが約六千万円ほど一括して計上してございます。それからずつと参りまして九十五番、医薬品用具、化粧品の国家検定に必要な経費、これと少し後の方になりますが、百七十四番というところに国立衛生試験所の医薬品の国家検定に必要な経費というやつがございます。三千四百二十六万円ほどでございますが、これと見合いまして先般GHQの方からこういう医薬品の国家検定を強化するようにということで、メモランダムが出ました。それの実施に要する経費でございます。  薬務局を終りまして次が社会局に入りまするが、社会局は百五番、これは社会福祉事業職員研修所運営及び職員研修に必要な経費、これは新しく施設費を二百万円程取りましてその研修所を設けます。そしてそれの運営の費用とそれから地方におきましても社会事業基本法の線に沿いまして、新しく社会事業を行いまする職員の資格認定の講習会、そういうようなものを漸次やる、今後の社会事業が專門化いたしまするにつきましては、現在の人々、並びに将来それに従事しまする者についてこれに相当專門的な訓練を施さなければいかんという建前からこの予算を計上してございます。それに見合いまする分が次の現任訓練、やはりこれも昨年より若干増加いたしまして、訓練に力を入れたいと考えております。それから一枚めくつて頂きました頭の百九番、生活保護法施行に必要な経費、これが先程事湯次官から御説明いたしましたように二百十一億ほどに今年は計上しております。大体これは生活扶助、住宅扶助というような一連の扶助の費用、それから社会事業施設の設置に要する費用三億円、それから今年新しく入りました経費といたしまして地方における取扱いの費用事務費でございます。これが従来不足しておりましたためになかなか地方の方が思うように活動ができなかつた、その行政費約三億二千五百万円ほどをそこに一括して計上しております。それから一つ飛びまして百十一番、身体障害者保護厚生に必要な経費、これが一億七千二百万円ほどあります。これは大体身体障害者のいろいろ足の不自由な方には杖をあげたり、車椅子をあげたり、或いは補聽器、義眼というような援護措置費、こういうことに一億四千二百万円、それから主要授産施設を六ケ所ほど設けますのに二千八百万円というようなものをそこに一応計上してございます。それから二つほど飛ばしまして、百十四番の公益質屋法施行に必要な経費一千万円、これは公益質屋というものが必要であつて、これを何とか設けるということは庶民金融の面においても非常に結構なことである、理論はそうでございますが、従来なかなか入りませんでした。昭和十何年以来ずつと落ちておりましたものでございますが、漸くこの一千万円、六大都市にニケ所、その他の都市若干、金額としては僅かでございますが、公益質屋の整備に要する費用であります。それから百十九番の更生資金貸付に必要な経費、これが三億円入つております。当初予算が三億で、あと二億ほど年度半ばで追加になりまして合計ということになつております。これがやはり三億円取つてございます。  それから兒童局の方に参りまして、児童福祉事業に必要な経費、百二十一番でございます。六億八百三十一万円、これは施設費が主でございまして、六億円くらい施設費でございます。尚それをどういうふうにするかということはまだ未定でございます。それからその次の兒童相談所、一時保護所に必要な経費一億一千六百八十七万円、これは既設の相談所百十二ケ所、それに新設が二十ケ所ほど追加されました。それから一時保護所の方はこれは全部既設でございます。九十二ケ所、これの経常費がそこに載せてございます。それから百二十五番保育所、母子寮等に必要な経費、八百八十一方円、これは大体母子寮と保育所経常費でございまして、大体新しく設けますのは、その上の百二十一番児童福祉事業六億の中にこれが大体入ることに相成ります。それから百二十七番肢体不自由見対策、これは主といたしまして小児麻痺にかかつた人達を中心にして考えておるものであります。そういう人の收容施設、それに約二千百万円ほど、それから看護用具、先程の身体障害者と同じように、補助具それに約四百万円ほど一括して計上してあります。
  68. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 これは新しく作るのですか。
  69. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) これは従来板橋の方で整肢療護園というものがございまして、そこを大体国で以て買收いたしましてそれを適当なものに委託してやりたい。大体こんな考えでおります。  保険局の方に入りますると、一応ここではずつと省きまして、百三十六番、国民健康保険に必要な経費、これが二十億七千三百万円、つまりこの中では取立てて申上げますと、いわゆる診療所の関係が四億ほど入つておるのでございます。それから国民保険の、先程も御質問が出ましたように、従来事務費の十分の七を国が負担しておりましたのを、全額十分の十国が負担することにいたしたのであります。続いて百三十七番は社会保険費国庫負担金に必要な経費、これは十七億ございますが、そのうち事務費は大体健康保險でございますると、十分の五負担しておりましたのを、先程の保護法の増額に伴いまして、こちらの方も率を殖やしまして十分の八を国が見ることにいたしております。荷給付費も若干これに補助するように要求したのでありますが、大臣から御答弁のありましたように、遺憾ながら今日の段階においては思うようになつていない状態であります。その外に結核対策の一端をやはり保険で以て賄うことにいたしまして、結核の増床七千床を保険で以てやります。それに対しまする補助金などがこの中に含まれてございます。  引揚の方は特にここで取上げて申上げまする予算面としてはございませんので、省略さして頂きます。ずつと施設の方へ参りまして、特に目立つたものだけ申上げますると、百五十九番は先程の精神衛生研究所、それから病院療養所の方に入りまして、百六十八番、国立結核、らい、神経科病床拡充に必要な経費、三億一千百三十一万円ほどでございます。結局これは結核の病床、国立の増床千五百床とらいが一千床、その二つだけになります。神経科の方は予算で認められませんでございました。それから百七十が国立らい療養所特別監置病棟と拘置病棟の設置であります。これが新規に入つておりますが、これは所管がまだはつきりしてございませんが、らい患者で何か犯罪でも犯したというような人をそれを拘置して置きまする問題でございます。これを厚生省の所管でされますか、法務庁の所管にいたしますかという問題が残つております。一応現在ここに計上しておるということになつておる問題でございます。これは尚懸案になつております。それから国立衛生試験所関係は一枚めくりまして百七十四番が先程の国家横穴に必要な経費になつております。それから国立光明寮中途失明者保護に必要な経費、これは大体現在東京と塩原とに光明寮がございまして、尚今年度において神戸の方に一ケ所増設するような予定になつておりますが、いろいろの都合がございまして、塩原の方はどうしても返さなければならないことに相成りましたので、神戸の方を明年度から国立神戸光明寮として出発させます。塩原の方は直ちに廃止することができませんので、一年間の余裕を以ちましてそこの生徒を逐次卒業させ、或いは卒業しない者を東京の光明寮の方に移す。こういうふうにいたしまして東に一ケ所、西に一ケ所、こういうようにしたい。かように思つております。あとは格別喜御説明するほどのことはございません。締めまして、合計の欄で四百三十三億四千六百八万円、昨年と比較いたしまして約九十億ほどの増になつておるのでございます。冒頭に事務次官から申上げましたように、これは尚関係方面で検討中でございまして、ドツジ氏が参りまして検討いたしますれば、又狂いが生ずることと存じまするし、尚べースの改訂がありますので、これを計数整理をいたしますれば必ず又そこで狂いを生じて来る、こういうような状況でございます。  それから平衡交付金関係は現在地財の方でこれを各省と相談いたしまして、我々の方からもこの新しい施策に伴います地方の負担分につきまして要求をしておるのでありまして、その中には先程も、次官から申しましたように、生活保護法を実施いたしますにつきましての社会福祉主事というようなもの、それから食品衛生の管理、いろいろ重要なものも入つてございますが、今日のところそれがまだ決定になつておりません。  それから公共事業費、これは去年の公共事業費の中で厚生省関保のものは大半今年度からこの予算に入つたのでございまするが、尚住宅水道関係は安本の方に公共事業費として今年度は相変らず残つておりますが、これが尚未決定に相成つております。以上只今までの進行状況という意味で御報告申上げました。
  70. 山下義信

    委員長山下義信君) 会計課長のこれに御質疑がありましたら……。
  71. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 二十四番の保健所補助の問題でございますが、研究費として各保健所に十万乃至二十万出すというのですが、これは俸給の補助として、いわゆる名目は、研究費ですが、給與の形でお渡しになるのですか、或いは本当の研究費という意味なんでございますか。
  72. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) これはどうしても本当の研究費ということにならざるを得ないように伺つております。
  73. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 そうしますとこれは保健所長の権限で如何ように使つてもいいという研究費なんでしようか。
  74. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) これは研究費でございますので、惑らく保健所活動に最もふさわしい題目の研究、例えば結核対策というものが非常に重要になつて参りますと、保健所として第一線として、結核のいろいろなことをやるについて尚研究したいものがある。そういう方面にこれを使つて呉れというようなことでテーマを與えたり、或いは相談して決めたり、分担してやる。そういうようなことに恐らくなるのではないかと考えております。
  75. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それから保健所自動車を置くことは大変結構で、私もかねがね考えておりましたが、来年はどんな自動車を活用するというおつもりですか。
  76. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) これは約百八十台で四千万円ほどでございますので、どのくらいになりますか。一台三十万円くらいでございまして、まあ碌な自動車じやないかと思いますが、そんな程度でございます。
  77. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 私はこれについて考えているのですが、保健所では今非常に仕事が忙しくて、足がなくて困つている、そのために十分活動ができないというのですが、と言いましても外にいろいろまだ用事があるので、これは荷物の運搬もでき、又ときには人が乘つて利用できるというような種類のものをお選びになればよろしいのじやないかと考えております。  それからもう一つ次にお尋ねしたいのは、三十九、四十の予防接種法施行に必要な経費、この中にはのBCGのワクチン代というようなものは入つておりますのですか。それと関連して薬務局関係のところでストマイ、或いはワクチンの費用というのがございましたが、その中に入つているのでしようか。そのところをちよつと御説明願います。
  78. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) BCGのワクチンは最初薬務局の方で買上げのあれを要求したのでございましたが、うまく行きませんでした。結局これは何と申しましようか、接種を受ける人の負担ということになろうと思います。荷予防接種費補助の方は、大体予防接種を施行いたしまして、本人から取る建前になつておりますが、臨時の予防接種はこれは府県知事が命令いたしますから、これを本人から取ることは困難であろう、これに対する補助、こういうふうなものであります。
  79. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 ワクチンの注射を、して貰う人の負担ということは、これはいわゆる結核予防対策から言いましても非常に残念なことで、少くも結核予防対策というものを国が取上げて行く限りはどこまでもこれは国が負担してやるべきが本当だと思うのですが、尚この予算も決つておらないといたしますと、それをもう一つ努力してそうして法律で国がやろうということに、成るべく一般の人から費用を取らないように一つ御努力願いたいと存じます。
  80. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) 今の結核対策関係のBCGの接種費の関係は、これは二十七番のところであります。結核療養費補助の方に入つてございます。
  81. 松原一彦

    ○松原一彦君 これにBCGが入つていますか。
  82. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) ツベルクリン反応としまして、それに陽性になつた人にBCGをするという費用で、約四千六百万円ほどのあれが入つております。
  83. 松原一彦

    ○松原一彦君 これは無料で……。
  84. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) 補助でございます。
  85. 藤原道子

    ○藤原道子君 どうしても無料にならないのでしようか。無料にする意思はないのですか。
  86. 太宰博邦

    ○説明員(太宰博邦君) これは実はまだこういうことを申上げるのはどうかと思いますが、我々といたしましてはせめて結核の予防対策の面だけは個人に負担させるようなことはしたくない、国乃至は国と地方で負担いたしまして、個人は費用を負担しない、こういうことにしたいということで参つておりますが、今日までの段階では遺憾ながら半分は本人が出す、こういうふうなことになつております。
  87. 山下義信

    委員長山下義信君) 尚詳細な御質疑は所管局のときにお願いすることにいたしまして、児童局長は公務の都合で至急出張することになつておるそうですから、都合上兒童局の所管事項につきまして御質疑を願いたいと存じます。尚次官も御出席しておりますから、次官にも御質疑がありましたらどうぞ。
  88. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 お伺いいたしますが、昨年は兒童福祉の費用が平衡交付金で十五億と承つたのでございますが、今年は非常に減つているように思うのでございますが、どういうわけでございますか。
  89. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 昨年と申しましても、二十五年度の十五億と申しますのは平衡交付金に入りました金額で、それは厚生省所管に計上されておりませんので、本年度のお手許の表によりましても昨年の三億四千幾らというのは、これは今の平衡交付金に入りました以外の厚生省の残つております。る経費が三億四千幾らで、それは本年が八億四千幾らにふくらがつております。尤も括弧の中の三億四千幾らの公共事業費が、昨年は別個に計上されておりましたが、それに相当するものが本年の八億五千三百万円の中に入つております。今御指摘の平衡交付金に入りました経費につきましては、昨年大体十五億でございましたが、本年はこれが平衡交付金の内訳の問題になりまするので、確定的な数字を申すわけにも参らんと思いますが、大蔵省の方の計算によりますると、大体五億四、五千万円のものが増額になつて、本年の平衡交付金の中心に入つておる。御指摘は措置費のお話と思いますが、それは昨年が十四億五千万円ばかりのものが本年は十九おく七千万円、約五億二、三千万円の増額と相成つております。それはこの表に載つておりません。
  90. 山下義信

    委員長山下義信君) 盲唖学校の制度といいますか、その中の一部のものを児童福祉法で寄宿舎等を適当に合法的にしまして、福祉関係で取扱うようにしているということは非常にいいことのように思うのでありますが、そういう点は何か本省としてはつきりした方針を持つて、文部省の方との関連性というようなものについてはつきりしたことが何か最近できておりますか。どうでしよう。
  91. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) それは、盲聾唖兇施設として児童福祉施設の対象にいたしておるのは、御承知の通り盲唖学校の寄宿舎のことでございます。それと学校自体との関連につきまして文部省と十分話合いをいたしまして、どの程度の取扱いにするかということは相互了解の下に仕事をいたしておるわけでございます。
  92. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは、寄宿舎はすべて兒童福祉の方の施設にするということになるのですか。盲聾唖兒でもその中には相当な家庭の子供もおるが、とにかく寄病舎の中に入つておる者は皆盲聾唖兒として取扱うというのですか。その辺の区別のし方はどういうふうにやるのですか。
  93. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) それは児童福祉法の一般の原則によりまして、若し金持の子がおりますれば、措置をする必要がないということであれば措置費を拂わない自由契約の收容児童ということに相成るわけでございます。それは他の福祉施設の場合と同じような取扱いになつております。
  94. 山下義信

    委員長山下義信君) 大体全国の盲聾唖学校の寄宿舎で今のような措置をすでに取つておるのは大体どのくらいあるのですか。今年度から明年度に亘つてやれば後は済むというのは、大体どの程度措置を取つておるのですか。一、二は今回の調査で我々は見たのですが、まだそういうふうになつていない所もあるようですし、全部済みましたか。そういう措置のやり方ま……。
  95. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 只今児童福祉施設として認可をいたしております箇所数は、最低基準に達しておりますものを認可いたしておりますので、十ケ所ということになつております。今後それらの施設が要望もあり、又最低基準に達し得るということでありますれば、徐々に認可をいたして参りたいと考えております。
  96. 山下義信

    委員長山下義信君) 全般的に調査は済んでおりますか。そういうふうにやらなければならん盲唖学校が大体どのくらいあるか。大体その調査は終りましたか。うんとありますか。例えば盲唖学校は各府県に一つくらいずつあると見て、大体四十あると思われるのでありますが、そのうち十ケ所見車福祉関係で措置を取つた、これは非常によい措置を取つたわけでありますが、あとまだ三十くらいありはしませんか、やろうとすれば……。
  97. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 御指摘の通り盲唖学校は全国各都道府県に少くとも一ケ所はございますので、随分余つておるわけでございますが、私共の方といたしましては、大体申請によりまして文部省と協議をいたしまして、そういう認可の措置を取つておりますが、実は詳細なことはこちらかの積極的な調査というのは、今日までのところ手許に持ち合せておらないのでございます。今後の問題として一つ調査して見たいと考えております。
  98. 山下義信

    委員長山下義信君) 予算はございますか。予算はどの程度見込んでおりますか。
  99. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 予算と申しますと、結局御指摘の点は、今の措置費という問題になるだろうと思います。
  100. 山下義信

    委員長山下義信君) 同時に施設の補助費というものが、まあすでに建つておる寄宿舎は、それはその施設に充てるというようなことになれば、多少改越する施設の補助もやらなければいかんわけですね。
  101. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) そこはまあ非常にデリケートな問題になるわでございますが、私共の現在の立場といたしましては、従来盲聾唖学校の寄宿舎として運用されておつたものとして、それが児童福祉施設になりたいという場合には新らしく設置認可をする。従つてその場合には一般の原則によりまして、最低基準に副うものでなければならないという立場をとつております。従つて原則論といたしますれば、これはたとえ仮に或る一つのプライベートな盲唖学校であれば、従来の経営者において最低基準に達するだけの設備をいたしまして、認可を受けるわけでございます。そうして将来拡充するとか、或いは補修をいたしまするとか、或いは又内容の整備改善をいたしまするとか、そういうような場合には、先程のお話の出ております来年度六億の経費の中から支出いたすと、かような段取になつております。
  102. 松原一彦

    ○松原一彦君 兒童局長にお尋ねしますが、盲唖学校の中に光明寮を建てるという考え方、盲唖学校の寄宿舎が大体児童福祉施設の名前で光明寮と言いますか、何かそういうようなものになれば、学校としては非常に便宜を得るが、又子供として非常な掣肘を受ける、その管理は同じ校内において学校と二つの管理になるのですか。その点については如何ですか。
  103. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 施設といたしましては、御指摘のように管理と申しまするものは一本で同じ系統で監督をしたり、或いは指導をしたりすることが、まあ多くの場合に非常に便利なことは御指摘の通りであります。ただ身体的の問題になつております盲聾唖兒の施設につきましては、私共の方の児童福祉施設という立場とそれかろ盲聾唖兒の学校教育という立場を二つのものがございますので、それを一つにして一本の管理にいたしますることは、これはまあいろいろ他の関係等からもちよつと無理かと存じます、従いまして今日のところではその両方が具体的には私共の方と文部省の方と、地方で申しますれば地方の民生委員と教育委員の方と十分連絡をとりまして人的組織等において場非常に関連を持たして、そうして御指摘のような余り両方の系統による指導なり、監督なり、或いは管理なりによつて施設自体が混乱をいたしませんように努力をいたしつつ両方でやつておる、かような恰好になつておるわけであります。
  104. 松原一彦

    ○松原一彦君 誠に結構なことですが、どうしても同じ国の施設で普通の学童とは離してやらねぼならん特別の事情のために盲聾唖学校が設けられておるのでありますから、その校内における寄宿舎が同一歩調の下に管理せられるのでなければ、それはどうしても校舎は地続きで、廊下続きで建つておるものであり、夜間の管理も又教育ですから、こういう意味では是非人的関係において御調節を願いたい。ところが実際に見るというと、その寄宿舎の中には国の保護を受けない資産のある子供も入つておるという関係で、中で食事その他で以て差別があるというような、随分苦しい事実もあるように見たんですが、その辺について何か今お申出はございませんでしようか。
  105. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 実際に御視察になりまして、そういう事例があつたということであれば、これは確かにあるということを申上げなければならんのでございますが、私共のところにまだそういう問題として具体的に非常に困つたことになつておるというふうに持込まれたものは実はまだ耳にいたしておりません。併しながら今のような自由契約の子供と、措置された兒童との扱いに差違があるということになりましては、これはただ盲聾唖見施設のみならずその他全般の兒童施設においてさようなことがあることは、これは方針上許されないことであり、この処遇は一本にいたしまして、ただ取れるものからは取り、取れないものは公費で措置するというのが建前でございます。さようなことが具体的に御視察の結果等でございますといたしますれば、一つ十分に承りまして無理のないように対策を講じて参りたいと、かように考えております。
  106. 松原一彦

    ○松原一彦君 大分の盲唖学校で是非見て呉れというので、厚生委員の我々を引張つたというのですが、非常な感謝なんです。その寄宿舎の設備もよくなり、風呂場等もでき、今度新らしい寄宿舎が模範的に建つようになつたというので非常に厚生省に感謝しているというので、校長は満幅の意向なんです。校長は非常に感激をして、これで助つたと喜んでおつたのですが、ただ寄宿舎の管理は、光明寮といつた名を付けて寮長を別に置く、それは厚生省の管理である。併しその中には兒童福祉法によらない子供も入つておるので校長もやはり管理しなければならん。そこで頭を痛めておるんですが、何も別に故障はないけれども、将来うまく行くかどうかについては相当校長も苦労をしておる事実がある。できますならば、あれはやはりその学校の職員を兼ねさせて学校と寄宿櫓とが別個のものでないように、そうして将来トラブルの起きないように、子供は何にも知らない、何も知らんでいいのです。何も知る必要はないのですから、差別のないようにやつて頂きたい。あれは大変いい施設だ。全部そういうようにしたい。お蔭で風呂場などはもう実に立派なものができて大喜びでやつておるのです。どうぞまあ一つお願いしたい。
  107. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 らいの收容所のこの未感染兒童の取扱いですが、実は先だつて私達視察に参りまして、実情を見たのですが、これは療養所の施設にしてもおかしいし、むしろ児童福祉法によつて兒童局の方で扱われるのがよろしいじやないかというような気持がするのですが、これについて何かお考えになつておられるでございましようか。  一つ御意見を伺いたい。
  108. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) あの問題は省内でも実はいろいろ問題にいたしておることでございますが、今藤森委員の御意見のような議論も勿論成立ちましようが、ただ現在までのところ、従来とも向うでやつておりますので、一つ今まで通りやつて、将来の問題として一つ検討してみようじやないかというくらいのところにしか至つておりません。と申しますのは、結局先程ちよつと予算に関連してもお話しが出ておりましたが、らい患者の刑務所という問題につきましても、あれはむしろ逆で、刑務所で本来向うでやらなければならんものを、これはらい患者だかららい療養所の方でやつて呉れというような要求が向うから出で来ておる。さような尤も未感染児童ですからちよつと変りますけれども、やはり一つの構内に隔離されておるにしてもその構内にあります、その辺の何と申しますか、実態的な実際の場合の管理が一体どちらになつた方がいいだろうかというふうな問題も併せてこの際考えなければなりません。さような訳合で、まあ今日までのところ従来通りで暫くやり、今後の問題として一つ研究しようじやないか、こういうようなことに相成つております。
  109. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 それはですね、どつちでやる、そちらでやりましても、経費のことは聞いてみますと、あそこの療養所の費用の中から割いてかなりの子供と、かなりの保姆さんとがある。それで割合にちやんとして家も建ててやつておるのですが、その経費は相当かかると思うのですが、ああいう経費はそちらでやつて貰うにしましても、費用のことは多少考えてあそこの経費を全体の経費をやるのですか。それはどうなつておるのですか。
  110. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) これは医務局長からお答えになるのが妥当だと思いますが、私の記憶によりますれば、未感染児童のらい療養所における保育に要する費用というものはいわゆる一般のらい療養所の費用と別個に医務局の療養所の予算の中に計上されておると聞いております。その費用が十分であるかないかということにつきましては、これはいろいろ文句がございましようが、予算の建前といたしましては向うにし全部引受けさしております。
  111. 山下義信

    委員長山下義信君) 今の問題に至急に厚生省が方針を決定して貰いたいと思うのです。できれば未感染兒童ですから、兒童福祉関係で勇敢に一つあなたの方で心配して下さることにして早くはつきりやつて貰いたいと思うのですが、これは私の個人的希望です。至急に一つ御研究決定を願いたいと思います。
  112. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今は相当子供がおりますようですが、この間の話では今までは割合に出産率が多かつた。でもこの頃は患者の方から中絶をするようになつて、非常に少くなつて来ただからこの問題は、段々将来はなくなるということがはつきり分つておることでもありますから、一つ附加えさして頂きます。
  113. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 数字の点を伺いたいと思います。ユニセフの兒童救済物資費用が非常に減つておりますが、これはどういうわけでありますか。
  114. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) ユニセフの関係につきましては、毎年大体の見当をつけまして来年度の予算を組むわけでありますが、目下のところ二十六年度につきましてはどれだけのものが来るかういうようなことについては、何ら確定的な方針がまだ我々に示されておりませんので、大体本年度の実績を基礎に予算を組みましたので、かように減つたわけであります。大体本年度の実績を基礎としたのであります。
  115. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつとお伺いしたいのですが、地方を廻つて見て、兒童福祉司に誠にどうも間に合せのような者が沢山ありまして、私非常に遺憾に思いました。この点について社会事業の方には研修生がありますが、こういうような兒童福祉司も再教育というようなことについてはお考えがありますか。
  116. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 藤原先生のお叱り御尤もと思うのですが、中には非常に立派なものもおるわけであります。確かにその現任訓練の問題、研修の問題は非常に重要でございます。兒童福祉司の現任訓練の費用は私共の予算の中にも計上されております。私の方の関係の百二十一番の経費の中に入つておると思います。今の社会局の研修所に要する経費というのは、ここでは社会局系統の社会事業家だけでなく、私共の方のも一緒にやる、両方に共通する経費でございます。ただ私共の方では特殊なものだけを私の方に計上いたしております。御指摘の点私共同感でありますので、現任訓練は十分力をいたしたいと思います。
  117. 藤原道子

    ○藤原道子君 今一つ重ねてお伺いしたいのは、保姆さんの再教育というようなことはお考えでございますか。この中に入つておるのでございましようか。
  118. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 保姆さんの再教育の問題は、項目で言いますと、百二十五番の中に入つておるわけであります。本年は二百万円ほど増しておりますが、この中に入つておるわけであります。只今も地方の指導的な保姆さんにお集り願つて、全国から百二、三十人ばかり集つて中央でやつております。尚地方でもいろいろ私の方でほんの僅かの補助金等を出しまして、地方で御計画を願つてつてつております。これもやつておるわけでございますが、決して十分だとは私自身も考えておりません。
  119. 藤原道子

    ○藤原道子君 社命事業学校のその後の様子と、それからそこを卒業した人達がその後どういう方面に入つておいでになるか、ちよつとお伺いしたい。
  120. 葛西嘉資

    ○説明員(葛西嘉資君) 今手許に具体的な詳細な資料を持つておりませんので、大変恐縮でありますが、その後お蔭さまで学校は段々と教授陣も整つて参りますし、学生の気分も段々落着いて参りまして、成績はお蔭さまで大変よろしいように私は存じております。殊に藤原さんに御熱心に御主張を頂いて、私共何遍か言われました夜学の問題も若干の経費を取つて来年二十六年度は実行できる予定でございます。
  121. 藤原道子

    ○藤原道子君 どのくらいですか。
  122. 葛西嘉資

    ○説明員(葛西嘉資君) 経費は大した金は要らんようであります。電燈料とかそういうもの、それから極く講師の一部の手当というようなもので夜学ができるのでございます。それから卒業生の就職状況は、これはお蔭さまで大変やはり皆さん方先程もしつかりしたものがおらなければ困るどいうようなことで、段々御理解を頂くようになりまして、卒業生はひつぱりだこのようでございます。その者がどこへどれだけ行つているかというようなことはあれですが、役所が私の記憶するところでは相当多い。やはり中央の役所或いは地方の役所に相当多くて、それから私設の団体から委託しておるような人は私設の方に行ろておるというようなのが極く大ざつぱな傾向でございます。いずれ資料で数字を以てお届けいたすつもりでございます。
  123. 藤原道子

    ○藤原道子君 それから続けてちよつと伺いたいのですが、更生資金でございますが、更生資金が非常に減つているのでございますけれども、これは……。
  124. 葛西嘉資

    ○説明員(葛西嘉資君) 更生資金は昨年二十五年度は五億でありましたのが、本年度三億になつているのを御心配になつての御質問かと思います。実は私共も少くとも同額或いはそれ以上実は貰いたいということを思つたのでありますが、財政上如何ともしようがない。ただこの外に毎年々々返つて参りますものが相当ありまして、私今はつきりした数字は覚えませんが、極くラフなことを申しますと、三億くらい返つて来て又使える金があります。それを加えますとまあ大体昨年よりも多いくらい、去年もそういうのが若干使えておりますが、大体同じくらいないなことで行けるのじやないかというふうに考えております。
  125. 藤原道子

    ○藤原道子君 減るような心配はないのですね。それかう浮浪者の更生收容施設というのが全額削られてございますが、浮浪者の保護更生は必要ないということになつたのでございますか。
  126. 木村忠二郎

    ○説明員(木村忠二郎君) 今年度はこの施設費は生活保護の施設が百九番の事項の中に約三億ばかり入つております。大体その中で一本にして考えて呉れと、こういうことでございますので、項目といたしますれば、浮浪者の項目は零になつております。そういうような状況でございます。
  127. 藤原道子

    ○藤原道子君 兒童局長にもう一つ聞きたいのですが、日雇労務者の託児問題ですね。これが非常に今度視察に参りました各地で問題になつておるのですが、これに対して折角子供を抱えて更生しようとする母の意欲を抑えて、而もその言うことが、子供を抱えている人は生活保護費で見て貰えばいいのだというようなことで、誠につつけんどんな扱いをしているのですが、私はそういうことはよろしくないと思う。折角働こうとする者に無理に惰民を養成するような指導をされる方向が私は腑に落ちないのであります。子供を抱えて働こうとする母の中には随分涙ぐましい人が多いのであります。これに対して兒童局としてどういうことをお考えになつておりますか、伺いたいと思います。
  128. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 御指摘の日雇労務者の子供を抱えておる人に対する託児の問題、更に日雇労務じやなくてそれに似通つたような状態におるような方々も相当ありますので、実はさような方々についての特別な施策といたしまして、現在の保育所よりはもう少し簡單な、程度を落した簡易保育所と申しますか、さような特別な施設を私共は実は考えたのでありますが、率直に申しますと、諸般の関係上それが予算に実現をいたしませんでした。併しながら先程来次官や会計課長の御説明にもありましたように、施設費が昨年よりは一億数千万円増加をいたしておりますので、又保育所の方にも昨年よりは金が沢山廻せると思います。一方最低基準というものが今日当分の間ということで延長をいたしておるのは御承知の通りであります。それでそれらを金はその施設費の中へ、それから最低基準の限度の延長というようなこともございますので、その辺のところは何かうまく工夫をいたしまして、日雇労務者の方々の保育所を何とかして実際の施策の上に現して行きたい、かような気持で目下研究中でございます。
  129. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 兒童局関係の予算のところの百二十六の母子衛生に必要な経費、これは内容は優生保護法のあれを含めておるのですか、もう少し伺わして頂きたいと思います。
  130. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) この経費は大体母子衛生課の実際行いますいろいろな事業の経費と、それから優生保護法の関係でございませんで、乳幼児、妊産婦の保健指導の経費と、その二つが主なものでございます。優生保護法の方は公衆衞生の所管の方に計上されておるわけであります。十八番にございます。
  131. 山下義信

    委員長山下義信君) 今日は先般四班に分れて委員が出張しその結果に基いての質問が主なのですが、私も一、二簡單に伺いたい。群馬県の整肢療護園、小兒麻痺病でやつておるのですが、ああいうような理想的にやつて、最低基準どころじやない、四十名か五十名の收容見に対して十三入も十五人もの看護婦が附いてやつておるような、ああいう立派なところは、あすこはただ單に肢体不自由施設という程度のあの枠にはめた措置費の程度ではいかんので、実際はあそこで療養もしておる、つまり治療もしておるし、外科手術などをして曲つた足をのばしたりしておる、教育もやつておる、こういう施設は單に肢体不自由施設でただ收容保護をしておる施設ではなくして、内容が非常に複雑で高等にやつておる、そういうものを奨励といいますか、援助というようなものを特別に考えなければならんのじやないかと思うのですが、現在の現行法の局限で十分補助がしてやれますかどうか、そういう点何か考えがありますか。
  132. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 肢体不自由見の施設につきましては最低基準、現在の最低基準におきましても今の世話をする職員の数も外の施設よりずつと多くなつております。人間を多くおけることになつております。尚只今御指摘のいろいろな、仮に手術をいたしましたり医療に関していろいろやりますと、いわゆる普通の一日幾らという收容に伴う措置費以外に医療に要する経費というものも出せることに相成つております。大体大筋はさようなことで、今御指摘の整肢療護園も或いは相当程度の措置をいたしておりましても、現在のやり方で大部分はカヴアーできるのじやないかというふうに一応考えますけれども、実態を私見ておりませんので、尚よく研究いたしまして、法律には非常にそこに無理がありまするならば、何らか方法を考えて参りたいと、かように考えております。
  133. 山下義信

    委員長山下義信君) これは十分一つ調査になりまして、大いに奨励発達せしむべき方向へ十分御援助願いたい。  それから精薄見の施設は来年どうやりますか、沢山殖やしますか、奨励しますか。例えば四国などには今朝の松原委員報告にもありましたのですが一ケ所もないのです。それでいろいろ県を呼んでお奬めになるか何かなさらんと、四国には一ケ所もないということではどうかと思うのですが、御方針はどうなつておりますか、精薄兒の施設は……。
  134. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 私今正確な数字を覚えておりませんけれども、今年度の精薄兒施設につきましては、大体各ブロックに一ケ所くらいずつ造るような措置をとつた筈でございます。
  135. 山下義信

    委員長山下義信君) そうしますと、二十五度で……。
  136. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 四国のことは適確に記憶しておりません。
  137. 山下義信

    委員長山下義信君) 調べて明日でも課長からでもよろういうございますから、御報告下さい。
  138. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 承知いたしました。二十五年度でできることになつておるんじやないかと思つております。尚来年度といたしましてはもう少し積極的にやりたい、かような計画を持つております。
  139. 山下義信

    委員長山下義信君) 兒童相談所の人件費はこれは補助の対象になつていないのですか。補助の対象にして呉れという要望がありますが。
  140. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) これも人件費は平衡交付金に入つております。事業費はこちらの補助金になつております。
  141. 山下義信

    委員長山下義信君) 紐付きではないが補助の対象になつているのですか。
  142. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) そうでございます。
  143. 山下義信

    委員長山下義信君) それから根本的な問題ですが、将来児童委員についてはどういうふうに考えていられますか、これはいろいろ方々で質問があるのですが、兒童委員というものは段々なくしてしまう考えか、或いは民生委員が兼務するにしても兒童委員という制度は将来新しい構想で置くのか、しよつちゆう出張先でそういう質問を受けるので、大体どういうふうな方針を持つておりますか。
  144. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) この問題は将来の非常に大きな問題でありまするので、今後もう少し検討いたして行かなければならんと思うのでありますが、最終的な私共の考えではないのでありますが、今日のところでは御承知のように民生委員におきましても兒童委員におきましても、法律的な権限を持つてどうこうするということにつきましては、まあ従来の立場から何と申しますか、少し後退をして貰つて、いわゆるヴオランテイヤとしての立場に立つてつて貫いたいというふうなことを民生委員の方も兒童委員の方も大体同じようなことを考えております。ただ兒童委員なり民生委員なりの制度そのものがどうなるかということにつきましては、これはもう当然只今のところでは将来ともそういう行き方でも、制度そのものはヴオランテイヤの制度として大いに残して行きたい、大体そういうふうな気持でおりまするけれども、今後の問題としてもう少し検討さして頂きたい、かように考えます。
  145. 山下義信

    委員長山下義信君) あれはここに御列席の委員の方は全部御承知のことですが、民生委員に児童委員を兼ねさしたところに無理があるので、根本的に性格も任務も違うやつをくつつけておる、それで民生委員の制度が後退したからと言つて一緒に兼ねている兒童委員が後退するということは少し割れ切れんところがある。今民生委員の制度が変遷しようとするときに兒童委員の問題に対するはつきりした方針がないということはおかしい。今の民生委員を即時兒童委員として残すという意味でなしに、新しい構想の下に真に兒童福祉のために立派な指導員式のものの考えがあるかないか、つまりまあ大体存置の方針でいるが、その人が代るにしてもやり方を変化しても兒童委員制度というものを考えるか考えないか。これは漸次社会福祉に移つてしまえば自然民生委員と運命を共にするという考えか、こういう点なんです。今後研究されますか。
  146. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 一つ研究さして頂きたいと思つております。
  147. 山下義信

    委員長山下義信君) それから山形県の方に出ている問題は、今年度の予算の実施について保育所の施設のいわゆる工事の着手、つまり補助の認証が非常に遅れて来るので、こういうことは非常に早くして貰いたいという要望があるのですが、こういう点は将来どういうことになりますか。
  148. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 国の資金計画の関係で実は四平期四平期に分けて公共事業費というものを執行しなければなりませんので、さような関係が若干出て来るわけでありますが、併し北の方に行きましては、これから非常に工事がむずかしくなりますので、私共といたしましても北の方は成るべく早く認証の運びにこれを持つて行きたい、かように考えております。
  149. 山下義信

    委員長山下義信君) それから寒冷地辺りの兒童関係の施設のいろいろな補助の基準が石炭が要るとかいろいろな関係で保温施設もないということで、どこの土地も一律平等というのはおかしいので、そういう点は一つ地域差、その実情に即するように考えて呉れという要望があるのですが、何かそれはお考えがありますか、どういうふうにやりますか。
  150. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 只今の措置費の基準におきましては北海道だけが今特別に寒冷地ということで考慮いたしております。東北まで及ぼしては今日はおらないわけです。いろいろこれも実態の問題になるわけでありますが、果して及ぼす必要があるかないかというようなことでもう少し研究さして頂きたい。
  151. 山下義信

    委員長山下義信君) 里親の措置費は收容施設のそれとは基準に差等があると思うのですが、これは増額して里親制度を発達させるというお考がありますか。明年度はやはり今年と同じですか、どういうふうになりますか。
  152. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 里親につきましては、私共といたしましては相当程度増額をいたしまして、うんと伸ばしたいという希望を持つてつたのでありますが、諸般の関係から結局は年三千円、従来なかつた手当が月二百五十円、それが従来のものに附加されるという程度のところにしかまだやることになつておりません。甚だ遺憾でありますけれども、一つこの程度でもつて馬力をかけてやりたい、かように考えております。
  153. 山下義信

    委員長山下義信君) 大体どうでせうか、現在の里親というようなやり方でぐんと伸びるような見込がございますか。大体各県は里親の適格者を募つて、申出を待つてみていろいろやつても、なかなか今後そう思つたほど伸びないでせうが、まだぐんぐん里親制度が伸びるでございましようか。
  154. 高田正己

    ○説明員(高田正己君) 私はまだ伸びると思つております。各県の報告を聞きましても、現地に行つていろいろ事情を調べてみましても、まだ伸びると思います。今の措置費がもう少し伸び、これは措置費と睨み合わせての問題となりますけれども、従来の措置費でもまだ伸びると思います。私共の努力がもう少し足りないと思つております。
  155. 山下義信

    委員長山下義信君) 兒童局関係で御質疑ございませんですか。別に御質疑がございませんから、本日はこの程度で散会いたします。  明日は午前十時から続行いたします。大臣も出席いたしますから、どうぞ御出席願います。    午後四時二十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    理事            井上なつゑ君            有馬 英二君    委員            大谷 瑩潤君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君            藤原 道子君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            松原 一彦君   国務大臣    厚 生 大 臣 黒川 武雄君   説明員    厚 生 次 官 葛西 嘉資君    厚生省社会局長 木村忠二郎君    厚生省兒童局長 高田 正己君    厚生省大臣官房    会計課長    太宰 博邦君    厚生省社会局施    設課長     熊崎 正夫君