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証人(
神崎清君) 私は
神崎清でございます。
池上の学校附近の教育環境が破壞される、そのことによ
つて直接被害を受ける子供の幸福を守るために、又この問題でいろいろ
考え悩んでいる世の親の心を
代表いたしまして、いささか所見を述べさして頂きます。先ずこの問題のキー・ポイントでありますが、建設
当局の方針、これは十一月の二十八日に都の建設局で
警視庁、教育庁を交えた三者会談が開かれまして、大体要点を申しますと、第一は、
池上以外の歓楽街の新設は抑える。第二は、
池上の十一軒だけは
許可済であ
つて、合法的な手続によるものを今更取消はできない。第三は、
業者は
正業だというからやらして置く外はない。第四は、若し
営業させて見て違反行為があれば風俗
営業取締法、同施行條例、売春等取締條例で断乎取締る。この点に関しましてたしか十一月一日と思いますが、永田町小学校で開かれました
東京都のP・T・Aの大会で、川崎教育長に直接質しましたところ、その御答弁は同じ趣旨でございました。
自分の気持としては反対だけれども、我々の力ではどうにもできない、近日関東民事部のマクマナス氏が
池上と高田馬場を視察に来られるから、そのときに陳情されたらいいだろうと言われたのでありますが、それは都の教育
委員会の断乎反対の声明と、その事務
当局の実際の動きの間に若干の隙間が感ぜられました。殊に外国に頼
つて日本人の力で解決すべき国内問題を避けようとしておる、これで都の教育が守れるかというような不安を感じた次第でございます。マクマナス氏は教育
委員会の選挙の啓蒙のために矢口の小学校、杉世の小学校で講演をされました。そのときに、サンに載
つた写真を見せて、
日本人は教育に熱心と聞いていたが、それは嘘だ、学校の近くにこんな建物を建てさせて何故君達は知らん顏をしているのかと、こういう趣旨のことを講演されたということをP・T・Aの
関係者から聞いております。それで、参
議院の
文部委員の
方々が現地を御視察になりましたときの教育庁の作られました
提出資料に相当大きな誤まりがございましたから、この場で訂正して見たいと思います。
池上、高田馬場等特飲街建設に関する経過並びに措置、ここに高田馬場はこれは特飲街ではなくて旅館街であります。その点間違
つております。それからこの経過の中に、
池上のP・T・Aの
方々の反対陳情が
一つも出ておりません。実際は九月二十六日に淺野校長が山崎
委員長を訪問されて陳情しておられますが、それが落ちております。それから十月二十一日に大森全体の反対連盟が陳情されている、その記入が落ちております。ですからこれを御覽に
なつた
文部委員のかたは、
池上は陳情してなか
つたんじやないかというような印象をお受けに
なつたかも知れないと思います。それから
池上の説明のところに当りまして、
洲崎系統の資本による、とありますが、
武蔵新田系統と御訂正願います。それから
建築許可済十一軒とな
つて、その中の三軒は喫茶店とありますが、これは
カフエーでございます。それから四に、右の他三軒は
建築計画中とありますが、これは
工事中で中止命令を受けたように御訂正願います。一軒は未著工のものを脱落しております。一番重大なことは、
建築許可後P・T・Aの反対運動が起
つたという記入でありますが、これは地元のかたも御
承知でありますが、八月の末日に総会を開かれまして、九月八日には
池上警察署を訪れ、P・T・Aの反対運動はすでに起
つてお
つたので、教育長がそれをキヤツチしなか
つたのであります。で、特に重大と思われますのは、これに添付された参考図であります。この図面に、遊興街の設置予定地から
池上小学校までの距離を二百メートルと記入してございますが、今学校の後援会のかたにお伺いしますと、百メートル内外である。ここに百メートルの差が出て来ております。そうして風俗
営業取締條例によりますと、
カフエーとか料理屋を建てるときには、
営業所を中心にして百メートル以内の建物を記入せよという命令がありますので、この二百メートルか百メートルかということは相当重大な影響を持
つて来るわけであります。
さて本筋に入りまして、
建築当局、
警視庁、教育長三者会談の結果は、昨日の公聽会におきまして都の中井
建築指導課長の言われましたような、疑わしい故を以て不認可にできない、そういう線で支えられておるわけであります。併しこれに対して私は三つの論点があると思います。第一は、
池上の十一軒の
建築は果して合法的であるかどうか。第二に、
業者は
正業を営むというが、それはそのまま信用できるか、又その生業とは何か。第三に、
警視庁、
池上警察の取締に期待できるか。この三つの点であると思います。
第一の
建築の合法性に開しましては、先ず
許可前にすでに
工事に著手していたということが問題になります。すでにこれは昨日も明らかにされたことでありますが、建物は二つの部分に分れておりまして、第一群の建物六軒は区の
建築課で九月二日までに受付けまして、都に九月五日にそれが廻
つて来ております。それから第二群の建物は、区に九月六日、九月九日に受付けまして、それがまとま
つて九月十一日に都に廻
つております。これが九軒ございます。全部で十五軒、昨日中井さんのおつしや
つた通りでございます。ただ問題は、九月十二日に中井
建築指導課長が
現場に調査に
おいでに
なつたときに、
建築物が沢山ある中で一々課長さんが実地調査とか、そういうすべての建物にお廻りに
なつたかどうか、それは私は分らないのですが、とにかく十二日に
おいでに
なつた。そうしますと、九月十四日に
東京新聞の桑原記者が参りまして
現場の写真を撮影いたしております。中井さんは
池上のほうに対して
工事の進行状態に対しては写真を撮
つておらんから証拠がないと言われ、又昨日の公聽会で上野
建築課長はたしか九軒くらいであ
つたと思うと言われましたが、大体十一軒であ
つたことがこの写真で分るのであります。この写真は若し御必要ともあらば証拠物件として
提出いたしましても、こういう写真が残
つております。
東京新聞社へ行きますれば十一軒全部鳥瞰的に写した写真も保存されてありますから……。で桑原記者は、十四日に撮影して十五日に都の
建築課を訪れ、そうしますとそのときの談話がこれが九月十五日附けでありますが、実際は十五日に発行されているわけです。このときの桑原記者は十五日の大体午前十一時頃都の
建築局の大河原係長に会
つて確かめたところが、風紀上好ましくないので
警視庁の態度で取消すかどうか決定すると、目下
工事を中止を命じている、そして昨日の中井さんの
証言では、
警視庁と相談しなか
つた、連絡がないと言われましたけれども、係長の談話では
警視庁の態度で取消すかどうか決定するという、会議するという意思は現わしておられます。そうして目下
工事中止を命じているとはつきり断言しておられます。ついで
警視庁の保安風紀係長も
建築様式から見ると、どうしても待合としか
考えられない。よく調査した上で
営業取消をするのかも知れない、ですから
警視庁のほうでも何か連絡があ
つたということがこれではつきり分るわけであります。併しこういう新聞記事は、得てして筆の誤まり書き間違いが多いのでありまするので、このことは信用できませんので、桑原記者に会いまして絶対間違いないかと言いましたけれども、間違いはない、若し必要あれば
自分は何時でも
証言に出ると、そう責任を以て断言されたのでございます。それでこうして十五日に
東京新聞に載
つた。そのときですね、これはどうも
警視庁のかたが
現場へ急行されたようであります。それは
建築現場にいる疊屋に
関係のある大工の職人だと思いますが、これから
警視庁の役人が来る、で、いては困るからという
池上警察からの内報が、知らせがあ
つたと、それで
自分達は帰
つて来たのだということで近所の佐々木という歯医者さんのところへ
行つてその話をしたわけです。今夜は酒でも飲んで寝ていようという話をした。それが十五日であります。この
証言は、P・T・Aの会の根岸すみ子というかたがよく御存じであります。それからもう
一つのニユースは、これは日はよく分りませんが、疊屋の職人が
建築の役人が来るので、君達いて貰
つては困るというので、日当を貰
つて仕事を止めて帰
つたという、こんなうまい話はないと、都の
建築課の役人が何遍も来てくれると有難いということをしやべ
つた、ということがやはりP・T・Aの人達の耳に入
つております。そのとき疊屋の職人の話では役人を御馳走していたと、どの程度であるか私は分りませんが、この二つの事実を結び付けますと、單なる風説ではないと思われるのであります。