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説明員(立花二郎君) 国有鉄道の施設局長の立花であります。
只今の
お話でございますが、全体といたしまして日本国有鉄道の停車場本屋の
建築が遅れておりまして、これは甚だ申訳ないと存じております。ただこの問題につきましては、二つの大きな問題がございます。第一の問題は、戰災都市におきまして今後は非常にいい
建築をしたい、
建設をしたいという意味で非常に大きい都市
計画を立てられまして、それでその都市
計画に応じまして着々と都市
計画事業は進みまして、これは非常に大変な国庫の補助がありましたものですから、非常に各地とも進んでおります。それで元の停車場の位置は適しない、ですからこれを動かさなければならんとか、或いは停車場の前の広場が非常に小さいからこれを大きくしなければならんそいう問題が沢山起
つております。これに対しまして、国有鉄道は昔からの習慣でございまして地方とそれから国有鉄道は折半負担するということにな
つておりまして、或る程度国有鉄道が負担してお金を出して、そうしてそういう都市
計画に呼応するところの鉄道の用地とか、駅前広場の用地とか、或いは停車場を移転するとかいう問題に金を出さなければいかんのは、現在すでにほぼ地方と協議済みの部分だけでも四十五億円くらいあります。これは実は今日のような独立採算になりました国有鉄道といたしましては非常に負担でございまして、停車場を移転いたしましても別段收益にならないので、非常に
收入に
割合余力のあるときならばいいのでございますが、現在のように非常に高い金を借りまして
工事をしておる場合は非常に辛いわけであけます。ですけれども、やらなければいかんという場合は終戰後約五億円くらい、こういうものに対してお金を分担して地方の都市
計画に応ずるところの停車場本屋の
建設ということはや
つて来たのでございます。ただ非常に莫大なまだ仕事があるので、どうも国鉄だけではやり切れない、何とかして公共
事業費のようなものを国家から出して頂いてやりたいのだという
希望が今我々として強いのであります。それから第二の問題は、戰災を受けました後、一応とにかく鉄道の営業に差支えないだけの復興はしたわけなんであります。駅の本屋の復興はしました。併しながら当時非常に資材も足りないし、又緊急を要するものでありますから、都市の美化とか、そういうことは先ず二の次ぎにいたしまして差当り何はともあれ鉄道の営業ができるようにする復興をしたわけであります。その後段々旅客も殖えましたし、要求も殖えましたので、多少はこれを改造して来ましたが、非常に貧弱なところが多いわけであります。これに対しまして地方としては地方の復興も非常に進み、
従つて鉄道の本屋の
建物は丁度目抜きの位置になりますから、今みたいな貧弱なものでは困る、どうしてもこれを鉄筋コンクリートの三階建にしろ、四階建の立派なものを作れという御要求が多いのであります。その要求を皆満足するとすると、その
建築費だけでも
ちよつと八十億くらいのものを現在出さなければならん、こういうような状態にな
つております。それで先程申しました都市
計画にのみよるいわゆる四十五億ばかりの費用と、それから駅本屋そのものを大きくするという八十億ばかりの要求と、この二つが重荷に
なつでおるわけであります。それで駅本屋を大きくいたしますと、これは特に都市でありますと、そこにいろいろな鉄道以外のサービス的なもの商業活動的なものを入れまして相当收益を挙げ得るのでございますから、これは何とか鉄道が今財政的に余裕がなくてできないとい
つて放置するわけに行かんから、又地元からも非常に協力したいという御意思がございますから、何とかここに
会社でも作
つて、そうして停車場本屋をどんどん作
つて行くというようなやり方をいたしたい。これが米国の例でございますと、非常に停車場の構内には沢山そういうような
会社組織の機関がございまして、停車場の本屋で商売をさせて、それで收支を補うようなやり方、或いは貨物品の大きな倉庫を作りまして、それで收支を補
つて行くというやり方、いろいろあるのでございまして、日本国有鉄道も昨年からいわゆる
法人になりましたのですから、そういう活動もすべきであるというような声が強いのでございます。私共としましては、後の方の八十億も要るようないろいろ本屋とか貨物施設とかいうものにつきましては、何とかそういう
会社組織を作
つてやるようなことを進めたいといろいろ研究中でございます。但し現在の日本の経済情勢からいたしますれば、国有鉄道は幾分でも投資しなければなかなかこういう
会社はできないのであります。そんな関係から日本国有鉄道として或る程度投資ができるようにしたいというので研究しておるのでございますが、現在の日本国有鉄道法の嚴重な解釈によりますと、国有鉄道自体に
工事予算がありまして、やろうといたしましても投資はむずかしいのではないか、日本国有鉄道法の修正をお願いしなければならんのではないかということを現在研究中でございます。
現実の問題といたしまして、私共としましては都市
計画に関するような四十五億に対しましては、なかなか今收支状態が十分でございませんから、何とかして公共
事業費のようなものを国鉄に出して頂きまして、これはどういう形式で出して頂きますかいろいろ問題があると思いますが、とにかく出して頂きましてそういうものを成るべく五ケ年なら五ケ年以内で片附ける一方、本屋につきましては国鉄が出資できるというような形にいたしまして、国鉄が出資いたしますれば、その借入金とか、地元資金とかによ
つて、出資した額の五倍ぐらいのものはできるのでありますから、非常に
建設は促進されます。まあそういうふうなことはやりたいというのが今の
考え方なのであります。それと
現実の問題として、差当り先程
お話がありました北陸の三都市の問題でありますが、お説のように、富山、金沢、福井三駅が問題にな
つております。それで先程金沢は或る程度やる、福井も或る程度やるように聞くが、富山は何故やらないのだという
お話でごさいましたが、この間の
事情を
ちよつと申上げてみたいと思います。金沢につきましては、これはもはや
建物は六十年以上にな
つておると思いますが、戰前にも地元で一部金を寄附されたのであります。その当時の金でありますから僅か十五万円ぐらいだと思いますが、それで改築して契れという
お話がございましたので、鉄道もそれの半分を出しましてやることにな
つておりました。ところが戰争中に始めましたものですから、とてもそれはできないというので、それで寄附して頂いたお金をお返ししたことがあるのであります。そういう経緯があります。それで今回たまたま金沢に鉄道局ができまして、鉄道局の庁舎そのものが非常に貧弱なのであります。それで鉄道局にも相当金がかかるし、本屋もそういうようなわけで非常に貧弱なん、だから、併せて本屋の改築と鉄道局を一緒にしまして、そこで四階建ぐらいの鉄筋コンクリートのビルデイングを作りたいと、こういう
お話で非常に地元の県及び市で熱心なのでありまして、鉄道予算の出る
範囲内の約六千万円ぐらいで、これは県と市で負担して、そうして四階建のものを作りたい。それで一階の半分は駅で使いまして、駅とそれから多少商業的な活動を許すわけなのでありますが、二階の部分は大体全部商業的なものに使うようにな
つております。三階、四階を庁舎にしよう。それで一億五千万円ばかりかかりますが、地元で六千万円分を出しまして、後を国鉄が駅と庁舎の分を出しまして、そこでまあ来年から二ケ年ぐらいでやりたい。これはまだ議会の協賛を経ておりませんから、我々としては
希望だけ申上げるわけでありますが、そういうふうな予定にな
つております。ですから来年はまあその半分をやろう。それから福井につきましては、例の永平寺の七ケ年の祝いが再来年の春にある。それまでに何とかしたいという地元の非常な御
希望がございます。それでこれは何ともまだ決定していないわけでございますが、私共といたしましては、都市
計画によりまして駅前広場が別な位置に相当移
つたのでございます。それに対しての設備は殆んどできまして、鉄道がこれに呼応しなければならんという状態にございます。たまたま永平寺の七ケ年祭でございますか、それに対しては地元でもこの際相当お金をお出しになるというような
お話でございますから、できれば先程申しましたような、鉄道が出資して
会社を作
つて、そうして本屋を作るというやり方によ
つて解決できないものだろうかということを現在研究中でございます。富山につきましては、同様にやはり鉄道が出資するような
会社でも作らなければこれはできないのでございますが、まだ具体的にどういう例えば
設計のごときも三階建にするか四階建にするか、それから地元はどのくらい負担される気持であるかということは、まだ他の二駅程確実にな
つておらないのであります。そんな関係から多少後廻りになるのじやないか、それも鉄道にお金が幾らでもあれば別でございますが、来年度の予算も今年とほぼ同様でございまして、余り余裕もございませんので、三つ一遍にやるのは非常に重荷だ、そうすると差当
つて必要なところから順次片付けて行きたい、僅か一年ぐらいの差でございますから、その辺は御勘弁願いたいとかように
思つているわけであります。