運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-09-28 第8回国会 参議院 建設委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年九月二十八日(木曜日)    午前十時二十四分開会   —————————————   委員の異動 九月十五日委員長柴田政次君死去され た。 九月二十五日委員門田定藏君辞任につ き、その補欠として江田三郎君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設省その他の建設事業に関する調  査の件  (災害復旧に関する件)   —————————————
  2. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) これから委員会を開きます。開会について一言申上げますが、前委員長が急に亡くなりまして、只今小川理事からお話になりました通りに、この委員会は第八国会継続審議でもありますし、又私が理事の一員をいたしている関係上、暫定的に次の委員長をお決めになるまで委員長の職責を行いたいと思います。どうかよろしくお願いします。お手許にあります順序によりまして、本日と明日の間に万事議了をしたいと思います。先ず今日の第一といたしまして、今回起りましたジエーンキジア台風中心とする災害調査のうち、当時の気象状況、これに関して当局の御説明を願いたいと思います。
  3. 土佐林忠夫

    説明員土佐林忠夫君) 御報告はプリントを差上げることにいたしてありますが、初めジエーン台風から申上げます。ジエーン台風は八月の二十六日に南洋の方に発生いたしたものでございまして、それが八月の三十日には硫黄島南西方約二百キロぐらいのところに進行して参りまして、それが急に向を北西方に変えまして、四国沖約六百キロぐらいのところに参つたのが二日でございます。それから進路を北に向けまして、四国に急速に迫つて参つたのでございますが、三日の零時には丁時土佐沖釣三百キロぐらいのところに参じまして、それから方向を北々東に転じまして室戸岬すれすれに沿岸沿い四国東側をかすめまして、淡路島の東側を通過いたしまして、三日の十三時頃に神戸のちよつと西方の方に上陸いたしまして、それが若狭湾に抜けまして、舞鶴の上空を通過いたしまして、それから能登半島を横断し、四日の零時頃には秋田のちよつと沖合を通過いたし、それが段々勢力は弱くなりまして、北海道を縦断してオホーツク海に抜けたというのが、径路経過でございます。このジエーン台風は大体初めの予想といたしまして、四国を通過し中国地方を抜けて日本海に入るという予想を大雑把に立てまして、それが段々本土に接近するに従いまして、その予想を修正いたしまして、初めの予想よりも東を通過するだろうというふうに発表して参りました。そうして実際に室戸岬観測値が入りましたときには相当に発達しておつたのでございます。これは三日の夜明け頃でございます。それで大阪管区気象台におきましては、午前七時に大阪附近に襲来すると、暴風になりまして高潮の虞れもあるということを発表いたしまして、警戒を促したわけでございます。尤もこの警戒につきましては、前々から大体本土と、四国中国の東部を通過するということをいつておりますので近畿地方一帶が台風圏内に入るということは予想しておりましたので、そのことは気象情報といたしまして一般の周知に努めて参つたのであります。併しながら室戸岬附近に参りましたときには非常に発達いたしておりまして、而も大阪附近にやつて来るということが判断ついたのでございますから、今のように大阪管区気象台におきましては午前七時に大阪附近を通過するだろうということを発表したわけでございます。それから裏日本沿岸沿い北陸地方を通つたわけでございますが非常に風が強くありまして、大阪におきましては大体瞬間速度は四十三米ぐらい、十分間の平均で二十三、四米殖えたのでございますが、裏日本に抜けましてからは台風としては勢力が衰えたように見えましたけれども、風は相当に吹きまして、福井、金沢、新潟酒田方面では三十米を超す風をそれぞれ観測しているのであります。雨の方は大したことはなかつたのでありますけれども、中国四国の一部にはやはり二、三百ミリも雨を降らしております。  引続きまして、キジア台風でございますが、キジア台風は九月の八日に大体さつき申しましたグアムの北々西約五、六百キロのところにその兆候が見られまして、それが十一日の晝頃には硫黄附近に参りました。それでジエーン台風におきまして非常な災害を受けたわけでございまして、私達といたしましてはその径路本土に接近上陸するということが間違いないにいたしましても、時によりますと非常に早く進行いたしまして関東地方に来る可能性がないでもない、そういうような兆候があつたのでございまして、できるだけ早く皆さん方にお知らせをいたしまして、災害を未然に防げるものはできるだけ防ぐ手配をいたした方がいいと判断いたしまして、非常に時期が早かつたのでございますけれども、その頃には台風本土に近寄つて若しかすると関東地方に来るかも知れない、併しながら四国九州方面でも警戒を要するということを出したわけでございますが、ところが進行径路が、進行が非常にそれから速度が鈍りまして、じわじわ西の方に参り、そして十三日の零時には九州の南々東約二百キロぐらいのところに迫りまして、大体九州に上陸することが確定いたしまして、九州地方気象警報を発したわけであります。それが十三日の十二時頃に大隅半島に上陸いたしまして、十四日の零時には日本海に抜けまして、それから方向北東に変えまして、北海道を十四日の午後に抜けてオホーツク海に入るというような経過をとつたわけであります。キジア台風におきます警戒は今申しましたようにジエーン台風災害に鑑みまして早目に手廻しをした感があつたのでございますけれども、私達といたしましては幾分でも来る危険があるという場合におきましては、やはりその虞れがあることを発表した方がいいと決心したものでございますから、少し早目に発表したのでございますが、いろいろその発表の方法その他につきまして誤解もあつたようでございますけれども、結果において見ますと、これくらいの規模台風といたしましては被害が著しく少かつたように思うのでございます。大体台風規模によりまして人命損傷その他は今まで総計的に調べて見ますと大体推定できるのでありますが、キジア台風におきましては桁外れに人命損傷が少かつた。それから漁船の遭難というものがこれ又今までに見ない程少かつたということは一部に非難があつたにいたしましても、早くから手配したためではなかろうかと思つておる次第でございます。これを以ちまして大体の概況の御報告といたしたいと思います。
  4. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 御質問ありませんか……なければ私ちよつとお伺いしたいのですが、徳島県の劍山ですが、あそこに気象台がありますね、あそこの気象台予報は非常によく的確する、併しその予報中央気象台予報と非常に相違するので、それを予め出すことをむしろ禁じられておつた、こういうようなことを聞いておるのですが、それは事実ですか。それからあの予報が特に的確するのはどういうわけか、それをお伺いしたい。
  5. 土佐林忠夫

    説明員土佐林忠夫君) お答えいたします。台風進路を決定するということの的確な、何といいますか、法則といいますか、そういうものは遺憾ながら今のところはない状態であります。大体非常に上層気流或いは気象状態というものによつて大きな台風進路といつたようなものが決定されるということは事実だろうと思うのであります。劍山その他山岳の測候所というものはそういつた意味で上層気流観測するというのに非常に便利なために作つてあるわけでございます。尚その外ラジオゾンデなどで日本では十ケ所くらいやつているのですが、非常に高い所まで気象状態観測いたしておりまして、劍山は非常に台風に対して鋭敏だということは事実であります。そのために私達といたしましても非常に昨年気象台の縮減があつたんですが、予報の方は一旦廃止するというところまで行つたんですが、予報関係の方で要望いたしまして、あそこで観測を続行するのみならず、ロボット観測と申しますか、人手を省いてまでも観測を続行するということで現在やつているわけでございます。併しながら今申しましたように劍出一ケ所でずつと大気の上層を、而も広い範囲に亘る気象状態が絶対に分るものではありません。大体剣山の風の向きで、劍山よりも東に取るか、西に取るかといつたようなことはまあ考えられるのでありますけれども、併しながらそれだけではなかなかうまく行かない。例えば現にジエーン台風のときもあそこの風が初めはずつと南を吹いておりまして、豊後水道を抜けるだろうということを言つてつたのですが、併しジエーン台風四国附近に迫りまして北東向きを変える直前に風が変ると、予測に反して大阪の方に行つたんで、あそこだけで的確に行き得るとは言えないのでございます。ところが新聞紙上にああいうことが沢山出たのですが、これはどうもジヤーナリズムの惡口になるのでございますが、あれは全然ジヤーナリズムのでつち上げと私は思つております。あそこの所長談とか何とか載つておりますが、所長はあのときは不在だつたので、てんでジヤーナリズムがすつかりあそこをヒーローに仕立上げたというのが真相でございます。併し参考になりますので、これからも十分に施設をやつて行きたいと思つております。
  6. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 尚もう一応お伺いいたしたのですが、これはあなたの方と関係がないと思いますが、私丁度台風の当時に富山石川の方へ参つたのでありますが、ところがあれは日曜日の関係もありますが、ラジオが全部石川方面ではなかつた、それで被害を受けた人に困つたらしい、どんな台風が来るか予報も何もなかつた
  7. 土佐林忠夫

    説明員土佐林忠夫君) それはジエーン台風でございますか、キジア台風でございますか。
  8. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) これはジエーンでございます。
  9. 土佐林忠夫

    説明員土佐林忠夫君) お答えいたします。ジエーン台風裏日本を通過する、あそこを抜けて行くということが確定してから後は絶対にそういうことはない。あそこは実は非常に私の方でも福井石川富山というところは、これは予報業務上のシステムが惡いのでございますが、惡いと言いますか、ラジオの方の系統と私の方の系統が食違うのであります。あそこのラジオ名古屋中央放送局管内に入る。ところが地方的に見ますとどうしても裏日本でございますから新潟の方の管内に入る、それで新潟の方で名古屋に頼んであそこの放送をやつて貰わなければならんということで、実際上はなかなかむずかしいことになつております。そういう場合に私の方で名古屋放送局にその三県の放送のこともよろしく頼む、それで場合によつてはあそこは独立してやれるようにする、切離す、そういつた方策も講じておるのでございます。向うの方に近付くというときになつてから通報がなかつたということは絶対にないと信じております。
  10. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 別に御質問がなければこれの予報と言いますか、これに関連しまして建設省の方の予報関係も合せて聞きたいと思いますが、如何でしようか。差支ありませんか。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  11. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) では県庁方面災害に対する予報、そういうものに対してどういうふうの措置をなされたか、又どういうふうの不備の点がありましたか、ありましたらお知らせ願いたい。
  12. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 私の方は建設省河川局ですが、建設省河川局といたしましては中央気象台と常に密接な連絡をとりまして、刻々中央気象台において発表せられます気象状況によりまして、それがだんだんと陸地に近付くに従いましてその進路をお聞きいたして、それによりましてその進路に当り又進路に近接する地方に対しましては常に電話なり電報なりで連絡いたしまして、そうして水害に対する県庁といたしましての対策を十分とり得るよう、又直轄工事関係につきましては実施県へ対しまして電報並びに電話を以て連絡いたしまして、万全の対策をとるように常に連絡いたしておるのであります。そうしてその連絡によりまして常に地方からの又情報も取入れ、そうして水害が起りますればそれと共に常に土木からその水害状況、それの措置につきましていろいろと電報なり、電話なりで報告を受けまして、そうして時々刻々にその状況調査並びに記録いたして、いろいろの災害の集計をいたしておるわけであります。  ついでに被害状況を申上げたいと思います。このジエーンキジアに対しまする河川局関係の大体の被害状況を申上げますると、ジエーンにつきましては先程中央気象台からお話がございました通り、九月の上旬に陸地へ接近いたしまして、大体四国の室戸の附近から四国東岸坪を掠めまして徳島通り、それから大阪湾を抜けましてそうしで北陸地方へ出まして、北陸地方を掠めまして北海道へ抜けたのであります。今回の台風はその風速の非常に強かつた割合中心附近におきましては殆んど雨を伴わなかつたのでありまするが、その両側におきましては例えば徳島和歌山その他若干の地方におきまして局地的に豪雨をもたらしておるのであります。従つて今回の土木災害につきましてはその特徴が現われておるのでありまして、徳島におきましては勿論風によりまする海岸堤防の損壊もありまするが、河川における災害相当に出たのであります。併し大阪附近におきましては高潮による災害が非常に大きくて、今回の災害の大きな金額はこの高潮による損害が占めておるのであります。尚和歌山におきましても紀ノ川上流附近におきましてはこれ又相当豪雨を伴いまして紀ノ川筋相当被害を伴つておるのであります。その他におきましては水害によるという損害は比較的軽微であつたのであります。従つて大体におきまして今回の災害の一番大きかつたのは、大阪を筆頭といたしまして徳島、それから兵庫和歌山というような順序によつておるのであります。それでその総額でございまするが、総額府県におきまして大体百六十億、それから直轄関係におきまして四億、合計百六十四億なにがしというような被害でございます。  次にキジア台風関係でございまするが、これも初めにおきましては関東へ上るというので、我々の方におきましては関東地方警戒並びに中部地方に対する警戒を怠らず、その地方に対しまして常に水防の強化並びに水害に対する善後措置手当につきましていろいろと各府県にお願いを電報なり、電話でつけたのであります。ただそれが西へ西へと進むようになりまして、大体九州地方並びに四国地方を襲うというようなことが明らかとなつて参りましたと共に、この地方に対しましても十分その警戒のいろいろの手を打つたわけであります。遂に九州の大体東寄りを縦断いたしまして、そうして山口へ出、山陰を抜けまして最後に北海道へ行つたわけであります。この台風におきましても、大体災害特徴は風浪による海岸堤防被害が非常に多いのであります。それにこの災害につきましては勿論雨も相当伴いましたために水による損害も又相当なものでございました。従つてこれは大体九州地方並びに中国、それから四国、この方面におきましてこれ又総額におきまして百六十一億、これは府県です。それから直轄関係におきまして約四億乃至五億程度損害を生じたわけでございます。この災害の最もひどかつたとこちはお手許に配つてあると思いますが、山口地方が多くて、これも大体海岸関係海岸に沿う道路の決壊、こういうようなものが非常に多いのでございます。その次に多いのが広島、それから宮崎、大分、福岡、そういうような地方でございまして、大体九州の東海岸四国の愛媛、高知、徳島、それから山口広島というところが非常に災害が多かつたのでございます。簡單でありますが被害状況も併せて御報告申上げます。
  13. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 何か御質問ございませんか。
  14. 小川久義

    小川久義君 この数字は何ですか、建設省査定された数字ですか、各府県から申出た数字ですか。
  15. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) まだこの数字府県から申入れた数字をまとめただけでございまして、ジエーンにつきましては、今査定に人を派遣しておるようなわけでございます。キジアにつきましてはまだそこまで進みません。尚キジアにつきましては数字が若干まだこれから動くかと思いますが、大体もう余り大差ないものと承知いたしております。
  16. 小川久義

    小川久義君 農林省から引続き状況をお聽きして置きたいと思います。
  17. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 今農林省から誰も参つておりませんから……、すぐ来るように言つております。  別に御質問なければこの対策の方を聽くことにしてよろしうございますか。ではこの災害に対して建設省はどういうふうの対策をしておられるか、承わりたいと思います。
  18. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) ジエーン台風が起りまするやいち早く内閣に災害対策協議会というものが作られまして、この災害対策に対するいろいろの評議が進められておるが、これにおきましては、ただに災害復旧のみならず、できれば大阪附近につきましては、更にもう少し突き進んで或る程度根本的な対策も取入れて見てはどうかという話があるのでありまして、私の方といたしましても、大阪の経済的な重要さにも鑑みまして、單なる復旧のみでなく、将来の恒久策というような問題に対してもいろいろと今対策を練つておるのであります。尚差詰めの問題といたしましては、すぐさま資金も入用かと思いまして、資金の問題も協議会でいろいろと協議せられました結果、ジエーン関係に対しまして、大体数字は間違つておれば又あとで訂正させて頂きますが、十二億程度のものが特に重点的に配られるように進められております。尚キジアに対しましては、これに対しましても、約その程度の金が今司令部と交渉されまして、差詰め最も災害のひどかつたところへ緊急に応急手当としての資金面として、融資の問題が考究せられておるわけでございます。尚この国庫補助関係でございますが、先ず何にいたしましても、府県からの申請のみによるわけには参りませんので、これに対する査定につきまして、すでにジエーンにつきましては、査定官が各地方へ出まして、その査定に当つておるわけでございます。この補助の金の問題でございまするが、現在尚五十億のいわゆる二十五年災害に充てる金がございますので、これの支出を安本方面との間でいろいろと御協議をいたしておる次第でございます。だだ残りが五十億でございまするので、今ジエーン並びにキジアこの二つ寄せましても、府県申請だけでも、すでに三百二、三十億になるというような情勢でございます。私の方だけでもさような情勢でございますので、到底この五十億で果して足るかどうかというような問題、いろいろと補正予算の問題まで今持出してこれらと睨み合せて考究するというので目下いろいろと案を練つておるような実情でございます。
  19. 田中一

    田中一君 今伺つたうち、このジエーンに対する十二億というのはもう出ておるんですか。
  20. 伊藤大三

    論海員伊藤大三君) 融資関係は、この前の協議会話合などで大体決定いたして、預金部の方からそれを各府県通知が出ておる筈でございます。
  21. 田中一

    田中一君 通知が出て金は行つていないわけでございますか。
  22. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 金はそれによりまして、主計局の方から借りられることに承知いたしております。
  23. 田中一

    田中一君 大阪に五億だけ取敢えず出した、あとの金は預金部が使う、何に使うかということは今後の問題で、全然金は現金として行つていないわけですか。
  24. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 現金として行つて、現実に府県の手に入つたか、それは私も存じませんが、府県の方への割当の通知はすでに行つておりますから、府県において適当な手続をとられれば借りられることと思います。
  25. 田中一

    田中一君 あなたの方で割当てられる金額はお分りではございませんか。
  26. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) この金でございまするが、必ずしもこれは土木と限られたわけでございませんので、取敢えずの融資というわけで出ておるわけでございます。大体ジエーン台風で決定しておるというのを聞いておるところでは、石川が三千、三重が四千、福井が三千、京都が四千、大阪が五千、兵庫が一億五千、和歌山が一億一千、鳥取が四千、徳島が一億一千とこういうことになつております。尚そのジエーンの第二次がなんか話が少し進んでおるという話ですから、これはまだ私の方ではつきり申上げるところに行つておりません。尚キジアに対しましても、その手が今進められつつありますが、司令部関係筋との交渉もございますので、その方正面とまだ折衝中でございます。それも大体それぐらいの金だと承つております。
  27. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ちよつとお諮りいたします。厚生省、安定本部農林省、大蔵省、総理庁、これは午後に来て貰うことにしてあります。でありますから建設関係質問な成るべくこの際お願いいたします。
  28. 田中一

    田中一君 今の、ジエーンの大体査定がいつ頃終る見込ですか。
  29. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 全般の細かい点まで査定を続けるというのが現在の情勢として実施困難だというような見込もつけておりました関係上、県においてその目論見書が全部できておれば勿論それを見て参りまするが、県といたしましても、大災害のあつたところは、すぐさま全個所についてこれは目論見書を作るということはなかなか困難な問題でございます。従つてできたものだけは重要なものを全部見て行くというので、今出ておりますから、査定が終るのは恐らく来月の初旬に終るのじやないか、又査定の締切を全部つけるというのは来月の上旬の終りになりはせんかと、こう思うのであります。できれば私の方といたしましては今月中にその結末をつけたいという意気込で進んではおりますけれども、地方のいわゆる査定を受ける受入態勢というような問題もございますから、そこのところを的確に今まだ申上げる段階に至つておりません。
  30. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 私一つお伺いいたしますが、この前の国会で、十五万円以下の災害復旧に対しては国庫補助がない、その関係上府工事でもままあると思いますが、殊に町村工事におきましては、十五万円以下のものは国庫補助がない関係復旧ができない。又起債も認可されないので、その点からも仕事ができないということを方々で聞くのでありますが、建設省方面としてはどういうふうのお考えでしようか、一つお伺いしたい。
  31. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 今年は実は十五万円以下の工事につきましては国庫補助対象にしないという方針が決まりまして出ました関係上、十五万円以下の工事をどうするかと、こういう問題になつたわけでございます。それにつきましては実は私の方といたしましても、自治庁へも連絡いたし、自治庁の方でもその点について関心を以てみずから進んでいろいろとやつて頂いたのでありまして、過年度の災害につきましては、そういうものを單独災害として、県の方並びに市町村の方も、自治庁の方でいわゆる起債の問題を考えて頂くというように進んで来ておるわけでございます。それが全部に亘るか亘らんかということにつきましては、実は我々も調査もいたしておらず、誠に申訳ありませんですが、実情はそういうわけになつておるのでございます。 尚今度起りました災害につきましても、これはやはり今年度に起りました災害といたしまして、十五万円以下のものにつきましては勿論これを国庫補助対象にするわけに行きませんので、従つてこの問題につきまして将来起債の問題が、枠がどうなるかによりまして新たなる災害として県並びに市町村單独起債の問題を自治庁にも御相談申上げるつもりでおりますが、これは私の方といたしまして数字を的確に掴めませんので、よくその点は只今申上げましたような方法について自治庁連絡をするよう話を進めたいと思つております。
  32. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 あとから来たので或いは御説明があつたかと思いますけれども、時間がありますから又お話を聞きたいのですが、大阪の今度の被害で、防潮堤が完全にできておればこれ程の水害はなかつただろうというような話を聞くけれども、完全じやない、まだ十分に手を著けておられなかつたというところが、一体建設省のこれだけやるべき筈だということの中の何%くらいになつておるのですか。
  33. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 防潮堤の問題でございまするが、今回のジエーン台風によりまして特に被害を受けたのは大体海岸堤防でございます。実は海岸堤防の問題でございまするが、これは大阪附近につきましては、戰前並びに戰争中を通じまして、これは原因はいろいろと述べられておりまするが、地下水を汲上げる関係だという設がまあ有力でございます。その原因は別といたしまして、段々と地盤が沈下いたして参りまして、結局潮が高くなれば必ず浸水するというような情勢に段々追込まれておつたのであります。戰時中におきましてはその手当がなかなか進まなかつたのでありますが、戰後におきまして、この点について実は地方の要望もございまして、私共といたしましては取敢えずの手配と考えまして、実は防災費というものから支出いたしまして、大阪府におきまして、いわゆる市内河川に沿いまして護岸の堤防を、護岸のうちのパラペットを造りまして、そうしてこれを防いでおつたのであります。勿論それが完全なしつかりした堤防であつたというわけではございませんが、相当高潮は防ぎ得るというつもりでやつてつたわけであります。ただ地盤の沈下が相当ひどくなつておりまする関係上、従来の潮位から測りましたものでは、今回のあれは到頭防ぎ切れずオーバアーしたというところがございます。  その外今度四国附近におきまする海岸堤防の問題ですが、これは実は南海震災の関係陸地の陷没が非常にひどかつたために、海岸方面がやはり浸蝕を受けたりして支障を起すというので、これに対しても取敢えず一応の防潮堤を造りまして防いだというわけでございますが。これも完全というところまで行かず、今回のような台風を伴いました風浪に対してはとても防ぎ切れなかつた、こういうような実情でございます。
  34. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今の御説明から承わるというと、防潮堤ができておつたのだけれども、地盤沈下のためにそれが役に立たなかつたという御説明のように承わるのだが、当然でかすべき計画が立つてつたのをでかさずにいたというものが相当あると思うのですが、その程度はどのくらいになつておりますか。お伺いしたい。
  35. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 防潮堤全部ができておつたというわけではなく、地盤沈下して非常に困るから、そこで戰後から防潮堤の問題……防潮堤といつておりますが、それを造り初めたのでありまして、大阪附近におきましては二十三年から手を著け初めたようなわけで、まだまだこれからというところでございます。
  36. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 そうすると殆んど滅茶苦茶だというわけですね。まだまだこれからだというのでは(笑声)……。
  37. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) ええそういうことです。
  38. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 大阪も同じですが、尼崎も非常に沈下しておりますが、昭和九年のあの水害に鑑みまして防潮堤の計画はあつたのでしようか、なかつたのでしようか。昭和九年の水害に関連して……。
  39. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 昭和九年のあの災害に関連いたしましてあのとき大阪中心に大体そういう計画を立てまして、あのときの潮位を標準として一応の工事は進められたと思います。ところがその後地盤沈下が起りまして、それがやはり今回の潮には堪えられなかつた、こういうことだと思つております。
  40. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 昭和九年の水害に鑑みて計画した防潮堤と、その後沈下しておりますから当然防潮堤は高い計画にしなければならないと思つておりますが、その新らしい計画に対して仕事をしたのですかどうですか。以前の計画によつて仕事をしたのですか。
  41. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 只今やつておる工事は、最近の防災工事ですが、取敢えずの工事として進めておるわけであります。最近の高潮を大体中心として考えてやつてつたのでありまして、今回の潮でも僅かに越した程度と思つております。
  42. 田中一

    田中一君 今のに関連してちよつと伺いたいのですが、大阪の扶桑金属、昔の住友ですが、あれは防潮堤ですか、これによりましてあの高潮を防げ切れたということを聞いております。全然上がらなかつたということであります。  それから今地盤沈下の問題と、それから防潮堤関係ですね、沈下は今後どのくらいの速度で沈下して行くか、或いはもうこの辺で止まるのか、それと地盤沈下の対策なくして、ただ防潮堤だけを高くすればいいのだというお考えでやつておるのか、或いは大阪市の方と地盤沈下を防ぐ、或いは盛上げという方法をとつて、同時に防潮堤の高さの問題、或いは工事の問題を考えておるのですか、それをちよつとお聞きしたいと思います。
  43. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 先程も申上げましたように、この原因が何であるかということにつきましては、大体現在のところでは地下水の汲上げによるのではないかということになつております。従つて大阪府といたされましては、今後できるだけ市内、難波内の水の需要に対しては水道を拡張して、水道の水を以て補給し、地下水の汲上げを禁止して行きたい。こういうようなことをまあ府知事も言うておられますし、我々もそういう手を打つて貰いたいというつもりでおります。ただそれは行政処分によつてできるや否や、要するに地下水の問題でありますから井戸を堀つて汲上げるのですから、所有権の関係とかいろいろな問題がございまするので、簡單に行くかどうか分りませんが、併しこういう大きな問題になりますので、府といたしましても、どうせ水を補給すればその問題は解決するのだから、水の問題について十分考えて、地下水の汲上げをできるだけ止めて行きたい。こういうような考えを以て進められておるわけであります。  尚扶桑金属は全然上がらなかつたと、私は扶桑金属はどこにあるか分らないのでありますが、大阪附近にあります工場の被害を受けなかつたということは、実はこういう地盤沈下がありまして、同時に高潮によりましても潮水が入るという心配がありましたので、大きな工場におきましては、工場の周囲に相当高いコンクリートのウオールを作りまして、それによつて防ぎました関係で、そういうところは水が入つていないということを承つております。尚市内河川に取囲まれましたブロツクを一応防潮堤で取巻いて防ぐということだけでは足らんのではないか、それに対しては更に地上げの問題もあるのではないか、こういうお話でありまとた。これにつきまして現在その地区内にもう相当民家が密集しておるというような所に対しましては、こういう問題もなかなか困難な問題もあるかと存じますが、燒けたあとで、又そこに余り民家とか、そういうものがない所につきましては、これは私の方の管轄区域ではないが、根本対策としては、更に恒久的な根本対策としては、港湾計画の進捗に伴いまして、都市局といたされましてはその地上げの問題を考えておられるように聞いております。
  44. 小川久義

    小川久義君 両台風による被害復旧状態はどうですか。
  45. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 未だこの問題につきましては私共の方といたしましては現在漸く査定が出るというような実情でございまして、こちらからまだ国庫補助もお渡しできないというような実情、並びに先程申上げました程度融資ができているという程度でございまして、どの程度に進んでおりますか、非常に憂慮いたしておるわけでありますが、尚この問題につきましては、その応急の措置をどの程度進めておるかということにつきましては、電報で或る程度照会もいたして、その報告を貰うようには進めておりますが、まだその報告が十分集まつておりません。
  46. 小川久義

    小川久義君 どうも今のお話を聽くと、おつぼらかしてあるようなことなんですが。
  47. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) ちよつとお待ち下さい。
  48. 酒井信男

    説明員(酒井信男君) それではちよつと二十五日現在で、ジエーン台風及びキジア台風の各県でとつた応急措置状況が来ております。詳しく申上げますと時間がかかりますから、大体大きなところを申上げますと、兵庫県でこれは主に尼崎の地区でありますが、全部決壊した海岸を土俵で締切りまして、その個所が五十数個所ありますが、全部締切りまして一応潮止めが済んで、そうして排水も全部済んだ、そういうことになつております。大阪の方も決壊した所を潮止めも全部済みまして、排水も全部完了しているということでございます。  それから九州地方の方も大体道路、橋梁は仮橋を架ける、或いは渡船をやるというようなことをして、重要交通路は全部開通している、海岸提防は、一応取敢えず潮の入つて来ないように、土俵等において締切りを済ましておる。これは土俵でございますから大きな波があれば又すぐ抜けるので、緊急復旧のいろいろな対策を考究中だ、こういうことでございます。
  49. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 先程大阪方面は水道を利用して地下水に替えるようなお話でございましたが、これは大阪も尼崎も同じような條件でございますが、大阪或いは兵庫の根本対策はお立てになつていないのですか。
  50. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) その具体的な計画がまだどこまで進んでいるかということは私共余り承つておりませんが、ただその問題については、知事としては、この間お話を承つたところによると、相当これは具体化するという方針でおられるようなお話を承つております。
  51. 武井篤

    ○専門員(武井篤君) ちよつと防災工事のことで、簡單で結構ですが、非常に海岸構造物が沢山壊われておるわけでありますが、運輸省の所管の海岸構造物、それから建設省所管の海岸構造物、これがあると思うのであります。そこの分担と申しますか、これを復旧する操作でございますね、何か協定でもされましてやつておられますか、それとも査定官のそのときの考え方でおやりになりますか。
  52. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 大阪尼崎、それから堺、ここらにおきましては港湾の区域、河川の区域、又都市計画の区域、いろいろ交錯いたしておるのであります。しよつちゆうこの問題につきましては、私の方も災害が起るといち早くこの問題について、すぐさまその相談に取りかかつておるのでございます。最近私の方の考え方といたしますれば、できれば今回の災害を先ず防ぐためには、少くとも河川沿いの、大阪あたりでは河川が多いのです、河川沿いの堤防につきましては、これを防潮は建設省においてやるという建前から全部やりたいという考えを持つているのであります。併し港湾区域の関係もございまして、港湾の将来の拡張計画、或いは利用計画もございますので、よく港湾の方面とは寄り寄り打合せなければならんと思います。それから地方におきましても、これはどちらでやるかという問題について、よく談合をまとめて貰いたい、これは県のやる部分があり、市のやる部分があり、同じ防潮堤を府市両方でやつたり、或いは建設省、運輸省でやつているというようなことで、余り煩雑になつては惡いからというので、地方においてもいろいろと相談をまとめ、私の方においてもこれをまとめるようにこれを進めているわけでございます。
  53. 武井篤

    ○専門員(武井篤君) そういたしますと、先程頂きました資料の百六という中には、港湾関係は含んでいないのでございますか。
  54. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 一応私の方の関係といたしましては高潮防禦というもののウオール、あれは私の方でやるという建前において組んだ予算でございまして、若しこの一部分が港湾でやられるような問題が起きます場合には、その場合においてはこれを省くというので、一応何とか立てなければならん、相談をまとめるという暇もございませんから、そういうような計数を立てております。
  55. 石川榮一

    石川榮一君 防潮堤といい、海岸堤防といい、いろいろのお話がありましたが、現在建設省でお調べになつ海岸堤防の総費額並びにその実施に関する実施計画等が立つておりましたならばそれを伺いたいと思います。  その次には四国、愛媛県並びに香川県方面を廻つて見ますと、飲料水が殆んどその使用に堪えない、皆潮に浸透されてしまつている。その飲料水に困つている場所が非常に広汎になつております。ただ愛媛の島嶼のごときは二百に余る島民がその日の飲料水に困つて非常に苦痛を嘗めておるようであります。これは建設省でやるべきものか、或いは厚生省でやるべきものであるか、或いは両者で相談でもしてこれに対する対策が立つておるか、これは焦眉の急であると思います。すでにその害は肝臓或いは腎臓を侵されまして、各部落々々は大分倒れ、死亡に陷つておる人が沢山あるということを聞いておるのであります。私共帰つてからもその町村等から悲痛な陳情書が私の手許に参つております。これに対して建設省はどういうような考え方を以てやつておられるか、これに対する解決の何か御計画がありますかどうか伺いたいと思います。  それから全国の各河川の、これは今日でなくてもいいのですが、直轄河川の十年間における土木事業の費額、並びに一般の費額、その総額をお調べ願いたい。  それからこの直轄河川に対する根本的な改修計画が無論立つておると思いますが、この改修計画に対する建設省の構想、若しできればその実施的な計画の全貌を伺いたいと思います。各河川の十年間の費額、並びにその総額の内訳、その総額であります、それと同時に河川の改修に要する改修計画が立つておるとすればその改修計画、その費額の全貌を伺いたい。  それから本日の新聞によりますと、昨日対日見返資金から建設省河川関係を持つ見返資金は殆んど全部その放出が許可になつておる。誠に結構だと思いますが、新聞通りで間違いないかどうか、それから金額について変更がありますかどうか、若しありましたならばその変更をどのダム、どの場所にどのくらい変更があつたかを伺いたい。以上伺いたいと思います。
  56. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 石川さんちよつと申上げますが、今日はジエーンキジア中心にしてやつておりますから……。
  57. 石川榮一

    石川榮一君 はあ。知らなかつたものですから。この答弁は文書でも結構であります。お調べなすつて頂きたいと思います。
  58. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ちよつと皆さんにお諮りしたいのですが、尼崎から五分間程陳情申したいと言つておりますが、この機会に陳情さして差支ないですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ではどうぞ。速記を止めて。    〔速記中止〕
  60. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を始めて下さい。
  61. 小川久義

    小川久義君 この陳情に対して政府の考え方を一応お伺いいたしたいと思います。
  62. 渡邊良夫

    説明員(渡邊良夫君) 陳情の趣詳細に承わりました。只今関係各大臣等が欠席しておりますので、私、政務次官といたしまして簡單に挨拶かたがた御答弁さして頂きます。  今回のこの二つの災害に対しまして、先般来閣議等におきまして緊急対策等を講じておるやに承つておるのであります。勿論只今の御陳情の中にございましたような金融措置、或いは厚生施設に対しまするところの緊急措置等或いは又復興資材等におきまするところの配給の問題等につきましても、各省におきまして緊密なるところの連絡の下にやつておるような状況でございます。できるだけ速かにこの問題につきましては臨時並びに恒久措置を講じたいと、かように思つておるような次第でございます。簡單でございますけれども、政府の意見といたしまして申述べさせて頂きました。
  63. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 私この際尼崎市の陳情を拝聽いたしまして、又只今渡邉政務次官からのこれに対する所見を申述べられまして、一応了承する次第でありますが、とにかく尼崎だけでも二億からの被害がある、復旧費もこれに相当する額を要するものと考えます。先程政府から今年の予備的に取つてある政府の災害復旧費というものは五十億しかない、これに対して速かに補正予算を組んで、早いうちに又再び災害を繰返すことのないようにすることはこれは政治の常道であることはこれは言わでものことであります。ともかく私共静かに見ておりまするというと、政府の態度がなんだかもう災害ということについて慢性になつてしまつてどうでもいいというような、成るなりになつて余り急いでこの復旧に対する手当をなさらぬように思われている。というのは臨時国会なぞも早急に開くという声明が一面においてあるかと思うと、或いはそう急ぐ必要もないと言う。私はこの災害だけでも急く必要があると思う。これらに対して速かに手当をしてからに、今日は国民に安心を與えるということが最も必要なことではないかと考える。只今尼崎の御陳情は余程謙遜せられて、皆見て貰つたのであるから我々は出て来る必要はないように思うと、こういうふうに弁解されているが、私はそうでないと思う。この苦んだ国民の声を徹底的にやはり当局に訴え、又我々も聞かして頂くということは必要なことである。私はよくも今日まで辛抱なさつたとかように考えているくらいなんです。(拍手)よろしく政府はこれに対する災害復旧に対する準備工作というものを鋭意せられまして、早く国民に安心を與えられるということに、深刻なる被害民に対して政府の誠意というものを現わすようにして頂かなければならん。先程補正予算についても考えているということでありましたが、どれほどの程度で政府が今やつておられるのであるか。若し分つたならばこの際においてお漏らしを願いたいと思う。これは各省を代表されることはできますまいから、せめて建設省においてなさつておられるところの河川なり、或いは海岸工事その他港湾等に対する施設というようなことはもはや相当の時期も経つておりますから御計画ができていることと考えております。又地方当局にしましても不眠不休で復旧については非常に努力されている。各地とも……。そういうわけで私は政府において相当の熱意を示して頂くということが私は必要でないかと思う。  私余談でありますけれども、先日電力委員として発電工事等の観察をいたしましたが、現にそこにおられる渡邊良夫君の御郷里において非常にどうも一刻も猶予すべからざる復旧工事の必要のあることを見て、これは建設省工事ではありませんが、鉄道省のトンネルがこう割れている。越後川口から長野県の飯山へ通する鉄道の一部が信濃川の圧迫によつて日々刻々、毎日毎夜道路が崩壊してもうトンネルがすでに崩れんとしておるのであります。十日町の町長がわざわざ出て我々議員に中を示してくれましたが、よくも我々は安全に通つたものだと肌に粟を生じたような感を抱いて来ている。こういうようなことは今に崩れて人命に危害を及ぼした後で後悔しても仕方がない話で、今日において手当するということが必要でないかと思うのです。これは建設省以外のことでありますけれども、我々国会議員として見まずとこれは一視同仁のものだ。どの方面においてでもかように危険が迫つているところにおきましては政府に相当警戒を加えるということは必要なことで、私は帰つたら早速運輸省の当局に申上げるつもりでおつたのでありますが、この席において尼崎の諸君の御陳情を籍りまして国民の一部が非常に危険を感じている、国民の一部が不安を感じているというようなことは、政府は速かにお酌み取りになつて全力を災害復旧に傾注せられることを私は要望するものであります。続いて繰返しますが、この災害復旧に対する政府の促進の措置について建設省の進捗程度をこの場合において拝聽することができれば仕合せに存じます。
  64. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 先程一応申上げましたわけでありまするが、私の方の関係といたしましてジエーン約百六十億、キジア百六十億みんなで三百二十億からの大体府県からの被害申請があるわけであります。それからこの問題につきまして先程も申上げたわけでありまするが、残りはもう五十億あるだけでございます。この五十億というのは何も河川局だけの関係の予算ではございません。従つて五十億のみではなかなか困難な実情にある、こういうわけで一方において査定を急ぎますと共に、他方におきまして査定によりましてもそう馬鹿な開きはないのでありまするから、少くとも百億程度の何を一つ補正をやつて頂きたいというような観点からいろいろと書面を作り、話も進めてはおります。併し問題は大きな政府の財政の問題にまりまするので、我々としてそこの細部までまだはつきりしたところは掴んでおらんのであります。
  65. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今尼崎の市長さんの陳情の中にいろいろ融資をして早く何とかしたいと思うけれども、根本的な対案できないからなかなか融資してくれないということは誠にここは重大なことなんで、併しなかなか根本対策も今承つて見るとなかなかできそうもないので、できそうもないたけに、私は然らば建設省、勿論これは大蔵省が主管でありましようが、さような方面に対する融資に対して斡旋をしてやるとか、特に大阪でも尼崎でも庶民の住宅が非常な損害を被むつているということを聞いておりまするが、そういつたものに対して何か公営の住宅でも、特に住宅金庫を活用してやつてやるというような気があるのかないのか。そういう住宅関係について特に融資並びに公営的な住宅を特別にこの際災害対策として考慮しておらんかどうかということをお聞かせ願います。
  66. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 会計課長といたしまして、詳細のことは住宅局の係官でないと御答弁できないわけでありますか、只今のような災害がありました場合におきましては低家賃の、併し建坪におきましてはそう大きなものを期待できませんが、いつも若干ではございますけれども、府県補助をいたしまして作らせておるわけでございまして、今後もそういつたものをいたしたいと出つて予算の要求はいたしております。
  67. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 その程度の答弁でまあこれも仕方がないのでございまするが、建設省としてもまあ根本対策がこの程度で、或いは地盤沈下に対する手当もできてなかつたという責任の立場にもあるので、そういうような融資という文面に対しても予算のことは勿論でありまするが、融資ということに対して相当な斡旋をしておるのかどうかお聞きしたいのであります。
  68. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) かような台風災害でありますとか、大火災等の場合には従来融資というような問題がたびたび取上げられたのでありますが、建設省といたしましてもやりたいと思いましても財政当局の意向等によりまして今までの災害では融資する途が一度も開かれてなかつたのであります。今回もその点は住宅局としてもやることを希望いたしておりますけれども、最近に新らしい制度を作ることでございますので、これは私共の関係するよりも政府の中枢の方でどういうふうなお考えで解決をいたしますか存じませんが、従来はそういう途がなかつた。ただ従来と異なりますのは自己の家を新築する場合には金庫の金を借りる途が開かれておりますが、それ以外におきましては従来の先例のないことでございますので、なかなか困難なことではあろうかと思つておりますが、住宅局の係官としてはそういうことをやつて貰いたいという希望を持つておる。又そういうことについて上司の方にも申上げておるということだけを御報脅して置きます。
  69. 石川榮一

    石川榮一君 只今尼崎の市長さんから非常に痛烈な陳情がありまして、誠にお気の毒に堪えません。尼崎市ばかりでなしに、各地に本年も災害がありまして、先程建設省の統計によるとその工事に約三百六十億を要するということを言明しておるのですが、これに対して僅か五十億の公共事業費はどうしようもないというふうに伺つたのですが、この問題は政府の中枢が如何にこれを解決するかということにかかつておるのであります。私共は建設省が調べられた絶対の災害復旧費三百六十億、これを仔細に聽きまして、それを妥当なりと信じたならば、これを至急に関係の大蔵、安本或いは建設とか、或いは厚生とかいうような首脳の少くも次官級の方々にお出で願いまして、この三百六十億の建設省災害をどうするかということを問い質して見たらどうか、そのうちには自然先程の金融に関する面等も政府の意のあるところが分ると思いますから。それで若し足らなかつたならば建設委員といたしまして、御相談ができれば政府の関係大臣も迎えまして個別に折衝する、そうして強力に政治的な解決を求めるという態度をとつて行きませんと、ここで建設省の技術当局或いは事務当局に始終質問いたしまして、我々の意見と建設当局の意見とはそう差がないと思います。要は予算を如何にして取るかということになると思いますが、この三百六十億の災害復旧費、これが絶対のものであるという建前をとり得るならば、それを谷証人の申すようにこれを急いでこの解決をして貰う。若しできなかつたならば予算がなければ止むを得ませんから、臨時国会を請求してまでもこの予算の獲得に当らねばならん、こう思うのです。尼崎市のお気の毒な陳情は我々は全く同感であります。各所にそれがあると思います。その集計が三百六十億ということになつておりますが、この予算を如何にして政府の首脳部に呑ませるか、これが実現に努力の熱意を持たせ得るかどうかにかかつておると思うのです。この点に関する委員長の御意向を伺いたいと思います。
  70. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 只今災害査定行つております。恐らく農林省では査定しておると思います。で的確の数字査定官が帰つて来なければ分りませんが、査定官が帰つてどれ程災害復旧費が要るということが分つたときに皆さんにお諮りして又この委員会を開いて、無論政府当局から責任者を入れて貰つてこの委員会の意向をはつきりしたい、そういう考えであります。各委員の御了承を得たいと思います。
  71. 石川榮一

    石川榮一君 そうしましたならば、査定が決まりましたら会議を開いて、そうしてそれが効果的に政府の政策がそこに行くような方向に我々委員を御指導願いまして、そうして一つ政府を鞭韃させて頂きたいと、かように考えております。
  72. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) そのことにつきましては、実は時間がありませんから書食事しながら皆さんと御協議しようとこういう考えを持つております。  尚私この際今尼崎市から見た通り災害復旧しても又災害が来る、そういうような情勢では工場も結局立退かなければならん、これはひとり尼崎市のみならず大阪の復興自体も同じことであると思います。でありますから、その点をよくお考え下さつて今後の工作物に格別の御考慮を願いたい。これは御要望して置きます。これで一時まで休みまして午後一時から安本から御異見を聞きます。これで終ります。    午前十一時五十四分休憩    —————・—————    午後一時十九分開会
  73. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 午前に引続き委員会を開きます。  来月の二十日前後におきまして、今まで河川、道路、港湾の事業をしておられました眞田、前川、青山この三人の技術官、元の技術官並びに建設省の技官がアメリカから帰つて参りましたから、向うの仕事を聞くと、こういう意味でこの委員会に来て貰いまして、いろいろと事業の従来の情勢を聞きたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) それではさように取計らいますので御了承願います。尚その頃に重ねて、来年度の予算の具体案も大体決まりますから、そのこともこの委員会で又審議しようと思いますから、御了承願いたいと思います。一寸休憩します。    午後一時二十一分休憩    —————・—————    午後一時五十八分開会
  75. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 休憩前に引続いて委員会を開きます。  次にはこの台風につきまして厚生省のとられた処置を、やはりこの建設委員会と直接間接関係いたしますから、厚生省はどういうふうなことをされたか、それを厚生省の技官から伺います。
  76. 高木玄

    説明員(高木玄君) 災害が発生いたしました場合、この厚生省の関係いたしますのは、災害応急救助と、防疫の二つでございます。災害応急救助につきましては、災害救助法に基いて、これは都道府県知事が国の機関として災害救助法に基いて応急救助の事務を実施するわけでございます。今般のジエーン水害並びにキジア台風、いずれも概ねの府県災害救助法を発動して救助に当つております。災害救助法は、御承知の通り罹災者に対しまする炊出しでありますとか、或いは避難所の設置、或いは救助物資の支給、こういつたことをいたすわけでございますが、これは一応県が実施して、それに要する経費について法律の定むる一定限度を超えました場合国庫補助する建前になつております。この補助の規定は、先般の第八国会におきまして、従来非常に都道府県に不利でありました規定が改正になりまして、今回は只今お手許に差上げました「風水害措置情報」の一番初めに書いてありますように、大阪兵庫和歌山徳島の四県に対しまして総計八千五百万、この金を取敢えず概算交付することにいたしております。災害救助法の建前といたしましては、年間を通じまして都道府県の負担した災害救助費に対して年度末で清算補助をするという建前になつておるのでありまするが、今回のジエーン台風のような、ああいう大きな災害が発生いたしまして、府県の負担が非常に重いという場合に、取敢えず概算で、ここに書いてあります額は都道府県の要したと思われる救助費に対する国庫補助額の五〇%相当額でございます。この五〇%相当額を取敢えず概算交付することにいたしたのでございます。このお金はすでに閣議決定を経まして、今週中に都道府県に交付される手筈に進められております。今週中には間違いなく都道府県の手に渡ることになつております。あと残りの災害救助費につきましては、清算するわけでございますが、これは補選予算に計上いたしまして、今年内に全部清算いたしたい、こういうふうに考えております。この救助費につきましては、国庫補助額につきましては、災害救助法ではつきり一定限度を超えた場合に補助するような仕組になつておるわけでございます。それからお手許に配りました表の、次の「応急救助期間の延長」と書いてございますのは、これは災害救助法という法律が災害が発生した後の一定期間を限つて応急的に救助する建前になつておりますが、今回の災害の場合に、大阪市内の各区、兵庫の尼崎、こういつたところは期間を過ぎましても尚水が引かず、救助を要する事態にありましたので、この期間延長の措置をとつたわけでございます。大体最終的には今月の二十四日まで延長を認めております。本日大阪市の報告によりますと、大阪は一応二十四日を以て災害救助法による救助は打切つたそうでございます。  次に応急收容施設の設置とございますが、これは災害救助法の救助の種類の中に收容施設の供與というのがあるのでございますが、この收容施設の供與というのは、従来の慣例によりますと、これは避難所設置程度のものでございまして、到底応急住宅には手が廻りかねたわけでございます。ところが、現実に今度のように非常に全壊、流出家屋が多数に上り、その全壊、流出家屋に住んでおられた方々は明日にも住いに困る、而も一時的に学校とかお寺とか、その他の建物に避難しておりましても、やがて救助期間が経過した後に、そこを立退かなければならない。学校なら学校を立退かなければならない。ところが立退くにしても行先がない。こういう方々が多かつたのであります。特に今回は災害救助法の救助の内容として、応急收容施設、応急仮設住宅の設置について、大蔵省と折衝いたしました結果、全壊、流出家屋の一割の範囲内で応急仮設住宅を認める、それは災害救助費の中で建設する。こういうふうに決まつたわけでございます。これは従来災害救助法の運用面におきまする今回初めての特例措置でございまして、従来災害救助法施行以来、これは昭和二十二年以来の法律でございますが、こういう応急仮設住宅を認められましたのは、大蔵省との折衝で認められましたので、これは今回が初めてでございます。それからララ救援物資の送付、これはララ中央委員会の決定によりまして、今回のジエーン水害に当りまして大阪和歌山兵庫徳島、京都、滋賀、福井石川、奈良、こういつた各県に対しまして、それぞれララ物資を送つております。総計十二万二千人分をジエーン台風では送つております。それからキジア台風につきましては、広島山口、愛媛、福岡、大分、宮崎、佐賀、これらの府県に対しまして、約二万七千六百人分のララ物資を、これは衣類でございますが、これを送付して罹災者の救助に救援物資として送つておるわけでございます。それから次に五番目に救援物資の斡旋とございますのは、これは災害救助法に基きまして、例えば罹災者に毛布を支給する、或いはずうつと停電が継続いたしましたために、ローソクを支給しなければならない。ところが現地におきましては非常に物価が高騰した、物が入手難になりまして非常に価格が高騰して災害救助法で定められておりまする費用の限度内では賄い切れんという状態を呈したわけでございます。一例を申上げますれば、毛布は大阪市内では災害発生後急遽調達いたしましたが、一枚二千円という価格に上つております。これに対しまして本省で斡旋しました毛布は、一枚大体七百円から八百円の間の価格、これだけの開きができておるわけでございます。ローソクも本省で斡旋いたしました分は一本三円六十銭の価格でございましたが、現地ではそれと同じものが、ひどい場合には四十六円でなければ手に入らんと、こういう状況なつたわけでございます。これらの点からいたしましても、私共といたしましては、災害に備えて、救助に必要な物資は平素から備蓄して置かなければならんと、こういう必要を痛感させられた次第でございますが、そういつた次第でありますので、被災地の各県から本省に物資を斡旋してくれという連絡がございまして、ここに書いてございます通り毛布は二万九千五百枚、ローソクは三十万本調達斡旋して府県に送つたわけでございます。  それから次にございますのは、社会事業施設、厚生省関係の施設の復旧の問題でございますが、これはここに並べてございます通り、生活保護法の関係施設、引揚者住宅、兒童福祉施設、保健所、こういつた施設で被害を受けました施設につきましては、公共事業施設につきまして、経済安定本部に折衝中でございます。特に大阪におきましては、民間の社会事業に対して、その被害復旧について融資を頂きたいという要望がございまして、この点につきましても大蔵省と折衝いたしておる次第でございます。  それから七に書いてございますのは、主として衞生関係の面に亘るわけでございますが、医薬品の給與といたしましては、DDTを汚染地区の防疫対策として有償拂下げた。八には防疫対策、これは防疫対策としてこういつた主要項目、この五つばかりの項目を中心に、強力に防疫対策を実施いたしまして、幸にして伝染病その他の点につきまして大過なきを得たと、こういう実情に相成つております。  以上が厚生省といたしまして今度の災害についてとつた措置の概要でございますが、要するに厚生省といたしましては、災害救助法に基く救済の万全を期する点と、それから伝染病予防法に基く防疫対策として、伝染病発生或いはその蔓延を阻止する、この二つの措置がこの災害に当りまして非常に大きな問題で、この点について種々措置を講じた次第でございます。
  77. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 今の御説明の中に罹災備蓄資材があるとのことでありますが、誠に結構なことで、年々歳々こういうことがあるので、厚生省でいろいろな物資を備蓄しておるということは結構でありますが、どのくらい備蓄しておるんですか、年々こういう災害に対しての斡旋のために。
  78. 高木玄

    説明員(高木玄君) 実は災害に備えて物資を備蓄するという問題は、その必要性はもう夙に痛感されておつたのでございまして、私共としましては、これを国の手で直接物資の備蓄をいたしたい、こういう気持で毎年のように予算折衝の中にこれを織込んで要求しておるのでございますが、毎年これは大蔵省との話合がつかずに、国の手で直接物資を備蓄するという計画は、現在まで立たずに来ております。それを補います対策としましては、従来産業復興公団にランニング・ストツクの形で五万人分の衣料を備蓄させる、これは原反を国の方で割当を買つて、産業復興公団にそれを加工させまして、それを製品化した後、六ケ月の期間内は産業復興公団でそれを保有する、災害がその間に起きたらこれを放出する、六ケ月を経過した後はこれを市中に放出する、こういつた循環式のランニング・ストツクの方式でやつて来ておるのが一つと、それから厚生省として緊急の場合には、例えば各地の引揚援護局に持つております物資を緊急に放出するというようなこともございますが、いろいろまあこの問題につきましては、例えば非常に統制が外れて物資が出廻つて来るようになりますれば、物資の備蓄の必要はないのじやないかというような説をなすものもあるのでございますが、今回のジエーン台風の例について見ますと、実際問題としては、いざそのとき調達するというのではたとえそれが集まつたにしても不当な価格で集めざるを得ない、こういう実情に相成つておりますので、この点は国の手では直接現在のところ、その程度しか計画は立てておりませんが、災害救助法によりますれば、災害救助基金というものを県が積立てることになつて、それを災害の事前購入に使つてもいいことになつておりました。そういつた点で、努めて都道府県に物資の事前備蓄をするように指導もし、又勧奬もして行きたい、こういうふうな気持でおるわけであります。
  79. 石川榮一

    石川榮一君 この炊出しの期間が九月の十日から発足しておりますが、ジエーン台風は九月の三日に起つておるのであります。この間一週間ばかりありますが、この期間はどういう方法で炊出しをしておりましたか。これは当該府県でやつたので、こちらからは、本省からは別に救助をしなかつたのでありますか。それからもう一つお願いしたいことは、応急收容施設のうち、一割以内に限つてこの仮設住宅の設置をすることにしておるようですが、後の九割の人達はどうなるのか、その九割の人達の復興はどういう方法でやるか、その見通しがどんな程度であるかを伺いたい。それからもう一つは、以前はどの町村にも国の計画によつて罹災救助基金というのがあつたのでありますが、今日はこれは廃止されておるようでありますが、このように災害が多くなりつつある傾向であり、又各町村の財政も今度の地方財政の確立等によりまして、相当にそういうものにも取入れられておると思うのですが、国がこういうふうな対策をするのも結構ですが、各町村の災害救助資金或いは基金というものを更に再開さして行くことを考えていらつしやるかどうか。この三つを伺いたいと思います。
  80. 高木玄

    説明員(高木玄君) 先ず第一番に炊出しの期間の点でございますが、ここに九月十日と書いてございますのは国の方から都道府県に示しておりまする災害救助の限度でございますが、災害が発生してから炊出し六日間はこれは県が本省の承認を得ずしてみずから実施している。それからそれを過ぎた期間は本省の承認を得て実施するということになつております。六日間の延期措置をとつたのでございます。そういう形になつておるのです。それから応急仮設住宅の点でございますが、これは先程も御説明いたしました通り災害救助法が昭和二十二年に施行になりまして以来、この点は我々が特に大蔵省とかねがねから折衝して参つた点でございまするが、従来の收容施設の供與というのは避難所の設置に止められて、災害救助法の救助というものは文字通り災害発生後の応急救助という色彩が強かつたのであります。今回の災害のような場合は、大蔵省と折衝した結果、特例として認められたわけでございまして、この一割の中でもぎりぎりの限度で認められたものでございます。残りの分につきましては、これは建設省の枠の方に入つておりまする応急住宅なりその他一般の住宅の対策等の面でお出しを願うよりいたし方がないのではないか、こういうように考えるのであります。これは災害救助法による応急救助の範囲内でやつた緊急の特例措置だ、こういうふうに御了解願いたいと思います。それから最後に罹災救助基金の問題でございますが、現在災害救助法の建前といたしましては、災害が発生いたしました場合の応急救助につきましては、市町村は一文の金も負担しないという建前になつておるのでございます。負担いたしますのは都道府県だ。都道府県の負担したものは一定の限度を超えた場合は国が補助をする。こういう建前になつておりまして、財政負担の面では、災害救助に関する限り市町村の負担はないということになつております。
  81. 石川榮一

    石川榮一君 もう一つ伺いますが、この一割以外のものは建設省がやるか、或いは府県でやるか、この辺ははつきりしないようですが、建設省が見た災害戸数、それから厚生省の見た災害戸数等が或いは一致しない場合もあるじやないかと思うのですが、これは厚生省がとにかくこうやつて一割でも乗出す以上は、建設省にそういう方法があるといたしましてもこれは特例であるから大変結構のように思いますが、こういうようなことがこれから沢山起ると思うのですが、厚生省といたしましては特別に特例を設けるのでなしに、何か立法化して、そういうものが災害に対処して法的な措置のとれるような方法をとろうというお考えはありませんでしようか、どうでしようか。
  82. 高木玄

    説明員(高木玄君) その点につきましては特例と申しましたが、これは予算措置の上での特例でございます。法律の文面での收容施設の供與という言葉は応急仮設住宅を含むということで予算措置として特例措置を講じたわけでございます。今後ともこういつた応急仮設住宅は大蔵省と折衝いたしまして、できるだけ全壊、流出家屋の非常に多いという災害につきましては考えて行きたいと思つております。ただこの応急仮設住宅は災害救助費の応急経費の一つとしてやりますので、文字通り恒久的な住宅ではございませんので、坪六千円の五坪三万円、一戸三万円になるわけでございますが、こういつた価格のものでございます。従つてこれは文字通り応急的な措置でございまして、恒久住宅と申せるようなものではございません。将来も災害の後、特に避難所等の学校などに收容された罹災者がそのまま出るに出られず学校に居着いてしまうという事態が起らないように、こういつた応急措置を設置いたしまして、そちらに移つて貰うように今後の応急仮設住宅の設置については努力をするつもりでおります。
  83. 尾山三郎

    ○尾山三郎君 これは農林省関係と関連するかも知れませんけれども、炊出米の、九日間なり一週間のその間の炊出米は勿論無料であるけれども、それから翌日からの炊出しの切れたその分に対しての特配というものはあるのかないのか、若し特配があるとすれば、その代金は勿論有料であるが、中にはその主食の特配を配給から差引くということを聞いておるが、その辺はどういうふうな扱いになつておるのでありますか。
  84. 高木玄

    説明員(高木玄君) 炊出し期間中は勿論罹災者には一切無料で食事を支給して行くわけでございますが、炊出しを一応打切つた以後の特配措置は私ちよつと存じておりません。ただ県の方といたしましても一定期間炊出しをやつてその後に若し食うに困るというような世帶がございましたならば、それについては生活保護法を適用してその後の生活を保護して行く、こういう措置を講ずることに相成るわけでございます。
  85. 尾山三郎

    ○尾山三郎君 それはこういう実例があるのです。我々は戰災を受けたときに一定の炊出しを受けて、その後五日の特配を受けたことがある。そのときにそれは勿論有料であるが、配給から差引くということで差引かれた実例があるのです。災害を受ける前にはどの家庭においても或いは一週間なり十日なりの貯え料というものは皆持つておる。特に前日あたりに配給を受けたものは十日なり二週間分は持つておる。それを水に流されてしまつてなくなつてしまつた、それで特配というものが一方において配給から差引くということになると流されたものは非常にみじめなことになる。それは特配は特配として一週間なり余計やるということになつておれば私は差支ないと思いますが、それを一般から差引くということになると、それは救済にも何にもならないではないかと私は思うのです。これはまあ農林省関係とあなたの方と話合わなければ分らんと思いますが、その点は分りませんか。
  86. 高木玄

    説明員(高木玄君) ちよつとそれは……。
  87. 尾山三郎

    ○尾山三郎君 そうですか。
  88. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 外に御質問ありませんか。なければ外の省に移つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  89. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 大蔵省から見えておりますが、大蔵省の予算関係の方は非常に忙しいのですが、併し公共事業を主としてやつておられる鹿野さんが見えておりますから、災害に対してどういうふうな予算措置をなしておるか、それを伺いたいと思います。
  90. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 補正予算の真最中でございまして、局長、次長、司計課長とも総司令部と折衝その他で非常に多忙を極めておりまして席を外され、誠に申訳ありませんけれども、係の公共事業関係のことをやつております私が代つて御答えいたします。  ジエーンキジア関係災害につきましては、現在は安定本部の方で取りまとめていらつしやいまして、実際具体的な予算的な措置にまでまだ至つておりませんが、取敢えず二十五年度の発生災害関係の予備費が百億円程ございまして、百億のうち大体、大体と言いますか二十三億がすでに六月中旬までに災害のために費されております。その後の二十七億が更に六月末以降、中旬以降八月の半ば頃までの小さい台風がありまして、そのために費されておりまして、残るところ五十億の予備費が残つておりますが、その五十億のうちどれだけをこの度支出するかということにつきましては、まだ安定本部の方で御検討中でございまして、大蔵省の方には正式にまだ申出がないのでございます。、取敢えず大蔵省の方としては大体五十億のうちどれくらい出すかということについてはまあ検討中なんですが、ジエーンに遭いました後で、大体ジエーン関係で三十億くらいは出さなければならないじやないかというふうな検討をいたしておりましたのですが、何分キジアの後も全部まとめてどういうふうに処置したらいいかということを、安定本部の方と相談いたしたいと思つております。現在のところは具体的にそのうちどれだけを出すということで御要求になつて来ておりませんですから、具体的な支出の措置はとられてございません。それに作つてと言いますか、残りのその五十億の見当では、とてもジエーンキジア関係災害を十分に復旧するまでに行かんということで、補正の問題も現在、丁度今日、昨日あたりがその真最中なんでございますが、補正予算としてどれだけ組込むかということを目下検討中でございます。現在の措置といたしましては、その程度しか申上げる段階に至つておりません。
  91. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 何か御質問ありませんか。
  92. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 恐らくこの罹災者には、地方ではいろいろな免税をやつていると思うのです。従つて大阪でも、神戸でも、兵庫でもそうでしようが、それだけ徴税が減つて来るわけです。そういうことはやつぱり平衡交付金からやることは決つているわけなんですか。免税でそれだけ地方の收入は減つたということに対しては、平衡交付金から特別に出してやる。或いは市町村も含めてですが、自治体に対してそれは決定しておるのですか。
  93. 鹿野義夫

    説明員(鹿野義夫君) 特別平衡交付金をそちらに廻すということは、現在決定しておるとは私まだ聞いておりませんのですが、検討しておるという話は聞いております。どうも何分申訳ございませんが、局長、次長のように総括的に存じておりませんものですから……。
  94. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) では只今のとこころ大蔵省はこのくらいの程度にいたしまして、次に安定本部にこの間の災害に対してどういうふうなことになつているか承わりたいと思います。
  95. 石田政夫

    説明員(石田政夫君) 私経済安定本部の石田でございます。局長、両次長とも止むを得ない要件で塞がつておりまして、私代りまして参りました。定刻に遅れまして甚だ恐縮に存じております。  本年度発生災害の内容につきまして、或いは大蔵省の鹿野さんからお話なつたことと重複する点があるかとも思いますが、一応安定本部としてまとめました概略の措置について御説明申上げ、あとで又御質問によりまして尚詳細に申上げたいと思います。御承知の当初百億の予備費が本年度発生災害に設けられたのであります。これが支出につきまして、現在まで災害の大体の経過を申上げますと、本年初めに融雪災害、これは北海道、東北地方の融雪災害が例年に比較しまして、暖冬異変の関係相当ひどくございました。又風浪災害、東北地方その他の風浪災害、これは主として港湾、漁港とか、こういつた方面でございます。こういつた風浪災害と、それから火災で大きなのは熱海、それから長野県の上松、秋田県の鷹巣と、この三市に大火災がございました。  その後風水害といたしますと大体五月、六月頃のこれは不連続線によりますところの驟雨、豪雨でございます。これが局地的な被害をもたらしまして、その後七、八月に御承知の相当大きな被害がございます。又最近になりましてはジエーンキジア、非常な大きな災害がございましたが、そのうち私兵の予算的な措置といたしましては、一応本年度の六月二十日までの災害を取りまとめまして、これに対する予算措置を若干日にちは遅れましたが完了いたしたのでございます。で六月二十日までの被害を一応各省の報告額を取り、その後これを主務省、本省が査定をいたしまして、個所別に詳細な内容を出しました。この金額報告額で二百七十六億でございます。で各省査定額で、六月二十日までの査定事業費で百九十六億、査定国費で百五十九億でございます。  でこの内容につきまして当初御承知の四十二億の支出の閣議決定がございましたが、関係方面の意向で、どうしても金額を制限いたされまして、結局二十七億ということに決まりまして、この費目別の配分を了し、府県別の配分を決定しまして、すでにこれは支出しております。で、その後七八月の災害につきまして各方面からの報告資料並びに各省の査定を極力急いだのでございますが、現実の問題としまして、本省の査定となりますと相当に日時を要しまして、これが配分につきましての基準、或いは具体的な資料が遅れまして、国費の支出につきまして漸く極く近日でございます、事務的にはもうすでに配分もなしてあるわけでございますが、趣く近日支出の予定でございます。この七、七月の災害を八月と申しましても、大体八月の中旬で決つておりますが、これの報告額にいたしまして三百四十九億でございます。査定額にいたしまして、査定の事業費が二百八十一億、査定の国費が三百四十五億でございます。これに対しまして、実は関係方面の意向で一応二十三億の国費の支出が包括的な承認になつておりまして、これの費目別並びに府県別の配分につきましては、今までいろいろな事情で非常に遅れて申訳ないのでございまするが、費目別の配分を極く近日発表できる予定でございます。その後御承知のジエーン台風被害相当従来に見ざる大きな額を示しております。これは全体の被害を通じまして、ちよつとその前に申上げますが、災害復旧費の内容の中には各種産業施設の災害とか、その他いわゆる公共事業費の対象となり得ない各種の復旧事業がございます。殊にこのジエーン台風関係では阪神地区におきまして、ああいつた民間事業、或いはその他の公共事業の対象となり得ない被害相当厖大な内容がございます。併しながら公共事業としては、飽くまでも定められた一定の公共施設、その公共施設の内容につきましても、一応費目別に昭和二十三年の司令部の覚書、並びに閣議決定によりまして方針が決められまして、その方針に則りました各費目でございますが、その内容は御承知のように河川或いは道路、或いは橋梁、或いは農業用公共施設、或いは耕地、或いは林道、山林の崩壊地の復旧、或いは漁港、それから上下水道、それから各種の厚生施設、各種の文教施設、或いは応急住宅、こういつた内容でございますが、こういつた対象となり得る事業が、総被害額に比較いたしますると、従来の我々の見方で参りますると、大体半分というものが一応常識であつたのでございますが、併しながら今度のジエーン台風はこの点特性がございまして、公共専業の対象となり得ますものに対して、なり得ないものの被害額の差額が相当大きいのでございます。私共といたしましては所管の関係で、対象となり得るものの被害報告を取り、それに対する対策を急いでおるわけでございますが、現在まで判明いたしておりまする公共事業の対象となり得るものの総被害額が五百六十六億でございます。尚調査の結果少しずつ額が殖えつつある傾向でございます。これに対しましては一応報告にはいろいろ県によりまして若干の調査の資料等がございますが、御承知の各省の査定によりましてしつかりした一応の対象を掴みまして、それに基きましての国費の配分徹底をいたさなければならん状況でございますが、この査定を各省とも現在急いでおりまするが、大体の目安といたしましては、少くとも今月一杯はかかるということに相成つております6安本といたしましては、この各省の査定が一応出揃いまして、その上で一応目安を立てて、省別配分を決定しませんと、或いは費目別の公平を失し、府県別の公平を失するということになりまするので、若干その間国費支出の時期が遅れますことは、私共非常に残念に思つておる次第でございます。で、ともあれ現実の問題といたしまして、取敢えず財源措置、緊急の必要の最小限の財源措置を講じなければならん事情でございまするので、大蔵省預金部にも連絡いたしまして、報告額に基きまして極く大まかな見当でございまするが、一応の基準を作り、それに基きまして今までジエーン台風ですでに十一億五千の預金部資金の短期融資を実施いたしております。申し忘れましたが、その前の先程申上げました七、八月の災害の二十三億の国費支出分の内容につきましても、実は緊急の融資といたしましては預金部六億五千の支出を完了いたしております。公共事業はこの前申上げました各省の査定を土台といたしまして、一応費目別、府県別の内容につきまして検討をいたしまして、関係方面と折衝いたしましてその総額並びに配分を決めるという手配にいたしております。尚このジエーン、後程起りましたキジア台風につきましては現在各報告額を取りまとめ中でございまして、歳出ごとに、この調査の判明いたしました分に従いまして、報告額が相当増加する傾向を示しております。経過的に申上げますと、極く最近までの集計いたした額といたしましてはキジアで三百五十億の報告が参つております。これは先程申上げました公共事業の対象となり得るもののみの被害報告でございます。併しながら我々といたしますと、今までの各種の報告等によりますれば、恐らく公共事業の対象として費目から申しますと、キジア台風が前のジエーン台風よりむしろ被害を多く與えておるのじやないか。従いまして要復旧額も恐らくジエーンよりも大きいのじやないかと心配いたしております。このキジアにつきましても報告に基きまして各主務省がそれぞれ各省別に査定を現在実施中でございます。我々といたしましては極力各省の査定を急いで頂きまして、これによりまして国費の査定の目安をつけ、費目別、府県別の配分につきましての公平な実施をいたしたい、かように考えておる次第でございます。尚大蔵省預金部とも御連絡をいたしまして、キジア台風の取敢えずの財源措置といたしましては預金部資金の短期融資という方面連絡をいたしておりますが、これも近日恐らく大蔵省預金部より出る手配に相成つておると存じ上げるのでございます。全体を通じますと最初に申上げました百億の予備費のうち六月十日までの国費の支出分として二十三億、七、八月の災害で二十七億と五十億を支出いたしておるわけであります。残りの五十億につきまして、あとの分、ジエーン、キジヤ、或いはそれ以後に予想されます災害につきまして果してこれだけで十分であるかどうかという点につきまして、私共としましても到底これだけでは足りない、でき得れば補正予算が認められますればこれによりまして或る程度の必要最小限の国費の支出をいたしたいということを強く希望いたしておりまして、この計数の整理を只今やつておる次第でございます。被害の外貌を申上げましたが、尚御質問によりまして個々の問題につきまして詳細にお答え申上げます。
  96. 石川榮一

    石川榮一君 大体の今度の災害に対する安定本部の打ちました手も分りましたが、今日の計数を伺つただけでも査定国費として決定されたものが、六月の中旬までのものが百五十九億、七、八月で二百四十五億、キジア台風はもつと多いだろう、又ジエーン台風もそのうちに加わつておるということになると、どうも、どうやつて査定国費としましては一千億を下ることはない。それに対しまして百億程度の予備費で賄うということはどうも私共には解せないのです。安定本部の方々はこの災害復旧に対する絶対必要量が決つて来たならばそれに対して大蔵省にどういう方針で臨まれるつもりか。ただ五十億の残つたものをジエーン台風キジア台風に分けて使うという程度のことではこれは殆んど災害復旧はできない。本当に申訳に過ぎないというふうにしか考えられない。今日は責任ある方々が見えておりませんからはつきりした御答弁を伺うことができませんが、あなた方が今日まで本年の災害についてお扱いなさいました気運から考えまして、今日どう考えていらつしやいますか、お伺いいたしたい。百五十九億に対して僅か二十七億支出し、二百四十五億の査定国費に対して僅かに二十三億を支出しておる。今度はジエーン台風で五百六十六億、キジアでも三百五十億も殖えるだろう、かようにおつしやつておるようですが、少くとも九百億もジエーンキジアでは災害が見られる。これに対して僅か五十億の予算でやりくりして、そしてそれを辻褄を合せるということはこれは我々には考えられないのですが、首脳部の方々の意向もお差支ない限り一つお漏しを願いたい。
  97. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  98. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を始めて。
  99. 石川榮一

    石川榮一君 一応の財政状況から考えて無理からんことと思いますが、第一年次に三割やり、第二年次に五割やり、第三年次に二割やり、それで完成するというやり方なのですが、これは財政上止むを得ないと思います。又工事上もそうであろうと思いますが、大体災害はいつも七、八月頃から盛んに起る。で本年の三割の費用で以て三割程度工事をして置いて、後の七割をそのままにして来年の台風期に直面するという予算の使い方ですね。そうしますと後の七割が更に災害を呼んで十五割、二十割にも増加する傾向があります。そこで第二年次の五割は少くも台風が起る前七月一杯、遅くも八月一杯までにその予算が彈力性を以て使い得るような方法安定本部では御心配になつたかどうか。今までの例から考えますと、工事量が非常に少く、本当に緊急と言いますか、緊急の部面も始めてよしてしまうというのもできますし、とにかく翌年の災害までには大体の大きな工事は済ませるということになりませんと意味がないと思う。三割出したことも結局翌年の災害で、七割の災害が残つたのが十五割にも二十割にもなるということがあるから、そういう点もお考えになつて、ない予算ですからやかましいことを言うても仕様がないが、その使い方について少くも第二年次の五割のものは次の災害時までに全部使つてしまつて差支ない、又そうとせるように御心配を願いたいと思います。これに対する御意見をお聞きしたい。
  100. 石田政夫

    説明員(石田政夫君) ちよつと私前の御説明が足りませんでしたから補足いたします。曾ての戰前の三割、五割、二割、こういう内容につきまして、実は工事内容は一応全部査定で押えたものを一律に工事に著手をして、三年経たなければどの事業も完成しないと、こういうようにお考えかと思いますが、そうでないのであります。やはりその三割の中には個所別に押えて見ますと、或いは工事が当年度で終つてしまう、若干あれでも次の出水期までに工事がどんどん進行しまして完成する、或いは二年度の終りまでかかるのもございますが、残つている、例えば山間僻地の方ですね、比較的緊急を要しないと思われるものにつきましては、全面的に残つているわけであります。著手しないわけであります。そういう順序復旧の個所別の作業を実施いたしております。再災害を受ける危險性、或いは特に大都市の近くの最も偶生安定上重大な関係を持つている、そういうようなところにつきましては、限られた、戰前の例で申しますると、三割の予算の範囲内でその工事をして、次の台風期までに完成せしめるというような個所別の努力を拂つておりますが、それが先程申しました最近の傾向では、一割五分七厘、一五・七%の査定に対する事業費しか認められませんで、その一五・七%の範囲内におきまして、個所別には緊急を要する個所は当年度に復旧し、或いは翌年度の出水期までに復旧を完了させるという努力を拂つている次第であります。
  101. 石川榮一

    石川榮一君 大体のお話を伺いますと、やはりその筋の御了解が願えないから止むを得ないということに帰着するようにも考えられるのですが、その筋に対しては随分強力におやりになつているのでありますか。相当にねばり強くお願いしているのでしようか。
  102. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  103. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を始めて。私からちよつと質問いたしますが、昭和九年には大体災害復旧は二ケ年で終つてしまう。それは昭和九年の全国的な水害がありまして、そこで災害復旧費を全部一ケ年で出さないで、二ケ年なり三ケ年に割つて出したのが今日の隔年の災害復旧費を出す元なんですね。昭和九年には、そこに高木事務官もいると思いますが、とにかく大蔵省で災害復旧はこれはすぐ復旧しないとその目的を達しないという観点から、全部一ケ年でお出しになつたのですね。併し今言う通りにその後の情勢が変つて二ケ年なり三ケ年なりで、甚だしいのは数ケ年に亘って国庫補助を出した、それが最近になつて三ケ年に短かくなつたのは結構でございますが、災害復旧の根本方針でやるならば、理論的にはここ一ケ年で出すのが本当ですが、それより今災害復旧があつて三月までに完成せよといつても事実できませんから、止むを得ない場合は二ケ年ぐらいでやつてしまう、そうしないと本当の災害復旧の意味が立たんのですが、併し最近になりましてはこれが又余程延びまして、今お話しの通りに而も二ケ年、三ケ年で大変沢山お出しになるが、初年度には利用は余りできない……私共が方々見た事情を申しましても、成る程災害そのものの観点からいいますと今仕事をせねばならん都市の中の橋梁とか、或いは重要施設にすぐ復旧をするのがいいと考えますが、災害を起す本当の原因はどこにあるか……私は風水害をいいますが、例えて見ますと、山間にあつた大きな堰堤が決壊してしまう、そこで土砂を流してしまつた、それに対して災害復旧費が取れていながら、今あなたのお話しの通りに、山間部は仕事を放つたらかして二ケ年なり三ケ年に仕事を延ばしてしまつた、そのうちに物価の指数がだんだん上りまして最初の復興費では間に合わんという観点から、遂にそういう仕事を廃工してしまい、懐われたままに放置してしまう、こういつた実態があるのですね。これに対してはやはり災害の禍根がどこにあるかということをよくお考え下すつて、そういうことのないように一つお考え願いたい。これは私が特に希望を申上げます。
  104. 石田政夫

    説明員(石田政夫君) 私共といたしましても、これだけ災害が起つておりますので復旧だけでも非常に追われておりますので、でき得れば災害の根源に遡りまして、治山治水ということだけでなく、公共施設の維持でございますね、こういつたことをやつて行きますれば未然に防ぐことができます。それで昨年度は施設に重点を置きまして、具体的に申しますと、或いは砂防予算を殖やすとか、その他未然防止ですね、或いは河川改修工事でございますとか、一応断続的にどんどん府県工事を強力に進めるといつたようなことを実施いたしまして、できれば一般公共事業費のうち、災害未然防止のために相当予算を取りまして、やつて行きたいと思います。こういつた見地から或る程度未然的に措置をとりませんと、どうしても根本的な改革にならんだろうということで、真剣にこの問題と取組みまして検討を重ねております。
  105. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) この問題については次の機会にお願いします。今日はジエーン台風の結果ですから、詳しいことは止めます。外に御質問ないでしようか。
  106. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 先に災害関係ですね。政府融資国庫から出ておりますが、こういう問題について安定本部では何か考えておりますか。
  107. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  108. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を始めて、別に御質問ありませんか。
  109. 石川榮一

    石川榮一君 もう一つお尋ねいたします。安定本部の予算的な措置の考え方について御質問いたしますが、先程から第一年次の災害に対する予算は今日では一割五分或いは二割、よくて三割ということになつておりますが、これは会計年度は御承知の通り三月三十一日ですが、実際の仕事をやりますのは勿論本年の十月から直ちにその予算が出るのでありまして、工事に着手するのですから、来年の三月ならば文句はありませんが、その際に次の災害が必ず七月、八月にある。その間通常国会は予算の成立しますのがいずれ三月末までかかる。或いは四月、五月までかかります。そうなりますと、工事をすべき重要ないい時期に三ケ月や四ケ月を遊び暮らしてしまう。そうしますと、それから出ました予算が成立しまして、それが建設省なりその他に廻つたときはもう三月も四月も過ぎてからの好期間を過ぎてから出て来る予算であるものですから、如何に急いでも出水期までに間に合わない、災害時までに間に合わない。予算がなくては到底間に合わない。みすみす二月になり三月なりを現場では直轄工事も請負も休んで待つておるというような状態になつておると私共は考えますが、災害にならん限りは……年度は今の会計年度でなく、災害から災審に至るまでの間を年度だというふうに考えて、特に災害者に対しましては安定本部の方でそういう考え方で予算の組み方をして貰つたらどうかと思うのです。本年仮に三分の一出しておるといたしまして、三月までに仕上る。来年のやつは恐らく六月から七月で、それから出されたのでは一月かかる、そうすると農繁期にかかつて行きまして、直轄工事もできないし請負業者もできない、できないときにもうすでに風水害を迎えるというわけで、非常にそこに、仕事の面もそうですが、やりつけたものが途中で流されることになつて、非常に予算を濫費することになる。そういうことから考えますと、第一年次に差当り緊急を要するものとしまして、三割とか或いは一割五分とか二割ということでは意味がないから、明年の出水期までにどのくらい仕事ができるかということを見通しをつけて頂きまして、その一年分に相当する仕事があれば計上して貰つて補正で出す、それを来年の出水期までにみつちり使つてつて、次の災害のときには可なりいい状態にあり得るような予算的措置を講じて貰いたいと思う。これは恐らくどこでもそうでございますが、一月、二月あたりになりますと、もう一応仕事が済んでしまいまして、いよいよ失業者が沢山あるという使いいいときに直轄工事の予算がない、暫く休みだ、それでまあ国会で通るのを待つというのが二月、三月、四月とかかつてしまう。一番仕事ができるいいときに手を拱いていて、予算ができたときには一月くらいで災害に入るということになつておる。それが実情なんです。この点をちよつとお聽き願いまして、できることでありましたならば成るべく第一年次に多額の補正予算をそういう意味合から折衝して取つて貰いたい、こう思うのです。御意見はどうでしようか。
  110. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を止めて……。    〔速記中止〕
  111. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を始めて下さい。  安定本部はこれくらいにしまして、地方自治庁から政務次官が見えましたから地方自治庁説明を伺います。  政務次官にお伺いしたいのですが、この間の二回の台風で、いろいろな問問がありまして、特にこの建設省と有形無形に関係のあるあなたの方の関係、それをお伺いしたいと思います。
  112. 小野哲

    説明員(小野哲君) 先般来ジエェーン台風、又はキジア台風が来襲いたしまして、多大の被害を生じましたことは誠に遺憾に存ずる次第でございます。私共の担当しております地方財政の見地から考えまして、どういうふうな措置をとつて来たかという点について、主として財政措置の観点からお話を申上げたいと思います。  御承知のごとくジエーン台風並びにキジア台風が、その被害額におきまして相当の額に上つておることは経済安定本部から報告があつたろうと思いますので、これを省略いたしたいと思いますが、問題として災害対策の中の一部門として考えられることは、災害復旧に当つて必要な経費の問題であり、これが財源措置をどうするかということになると思うのであります。その第一は地方債の問題が考え得るのでありますが、本年度の地方債の中で災害復旧費に充当し得る額は、大体十七億円と考えておるわけでありましてこの中で公共事業補助金に伴う地方負担分に対する充当額が七億円あるわけでありますので、これを差引きました残額、即ち十億円が地方において独自に行う災害復旧費に充当すをこととなるわけであります。この十億円をどんなふうに配分することがいいかということにつきまして、地方財政委員会の方で種々検討を加えて参つておるのでありますが、大体八月十日までの発生災害分として三億円、ジエーン台風災害分として四億円、キジア台風災害分といたしまして三億円、こういうふうな検討をつけているようなわけであります。これらの府県別の配分につきましては地方財政委員会において災害被害額を一応の基準といたしまして取扱うことになつておるわけでございます。併しながら尚公共事業分におきましては、別に起債を要することは申すまでもないのであります。只今申上げましたような次第で、本年度の起債総額そのものが大変僅かなものでありますので、従つて地方における單独事業に充当する分といたしましては只今申上げたような額の程度しかないわけであります。従つて財政委員会対策としましては、どうしても起債の額を更に増加する必要があると考えておるのでありまして、これらの点につきましては関係方面と折衝をいたして参つておるような次第であります。  尚全体の財政措置といたしましては、大蔵当局初め関係省で以て構成されております内閣における災害対策協議会において種々検討をして参つておるような次第でございますが、積極的な災害復旧費に充当する財源は勿論でありますが、同時に公共事業費の部門におきましても、災害復旧費の現在の予算の程度で果していいかどうかという問題が残されておるのでありまして、これらは必要に応じて補正予算方法によりまして、何らかの措置を講ずる必要があるのではないか、かように考えておる次第であります。尚又災害が発生いたしましたために、地方の税制の上に種々なる影響が及んで参りますことは多言を要しない点でありますが、国税地方税を通じまして税の減免の問題が起つて来るわけであります。これらの点につきましても国税におきましては減免法の規定によつて処理されることになつておりまするが、地方税におきましても、地方税法の規定に基きましてそれぞれ減免或いは徴收猶予の措置が講ぜられ得ることになつておるわけであります。ただこの場合において地方税の減免のために生じました地方団体の歳入下足、これらの点につきましても何らかの方法によつて、或いは平衡交付金の運用の上において考慮をいたさなければならないかと思つておる次第であります。金融措置といたしましては今回のジエーン台風以後において、これ又経済安定本部から説明があつたかと存じますが、いわゆる繋ぎ資金として必要な資金の融通をいたしておるようなわけでありまして、公共施設の災害の中で、地方の負担において措置する分につきましても起債の前貸というふうな形において、預金部資金から成るべく速かに融資をいたしたいということに相成つておるような次第であります。尚又市中銀行の災害復旧に対する協力というふうな点につきましても、或いは日銀等と連絡をとりまして所要の措置を講じて参ることになつておるのであります。  中小企業の問題等につきましても、同様に融資の問題が極めて深刻でございまするので、これらに関する手を打つことにいたしておるような次第でございます。若しできるならば、地方団体を経由して預金部資金の融通が行い得るならば、大変好都合であろうと思うのでございまするが、これらの点につきましては尚研究の要もあるのでありまして、政府といたしましては十分この方向に向つて努力をいたしたいと考えておるような次第でございます。  甚だ簡單でございますが、只今までとつて参りました短期融資措置、或いは独自の、地方において行う災害復旧費に充当すべき地方債の配分の問題、更に将来に対しましては地方債の枠の増額であるとか、その他の点につきまして地方財政委員会において研究をいたし、又大蔵省とも協議の上で関係方面とも折衝をたしておるような次第でございます。
  113. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 只今の小野政務次官からの御説明を難いて、私は意外に感ずるのは、その起債の枠が余りにも少額であるようでありますが、どういうところの標準でそういうことになつておるのでしようか。或いは地方の貯蓄力であるとか、或いは又一般の金融界等に対する地方の事業の程度等を斟酌して、何かの標準で決めたのですか。どうも仕事のできるようなことにしてやらないと、それでは何も手が出ないで、できないのではないかという考えを持ちますので、小野さんのこれに対するお考えを承わりたいと思います。
  114. 小野哲

    説明員(小野哲君) 御承知のごとく、災害復旧費につきましては、本年度においては特例の措置が講ぜられておりまして、一定の金額以上のものについては全額国庫負担の取扱をすると、こういうふうなことになつておるわけであります。ただ併しその枠外において、その金額に満たない部分において、各地方が独自に行う部分も勿論あることは私がいうまでもないのでございまするが、起債の枠が大きい程望ましいということは全く石坂さんのお話のように同感であります。ただ御承知のように、昨年度は三百十億、本年度は大体三百七十億を程度といたしまして、全体としての、言い換えれば各地方団体の單独事業分と、それから公共事業の分と、これに大分けいたしまして、その中で更にそれぞれの必要な項目によつて、限られた枠の中で配分をするということになつておりますがために、決して我々は満足はいたしておりませんけれども、これらの配分の結果から考えますると、只今申上げましたような單独事業の災害復旧費に充当する額としては、十億円程度にしなければならなかつたような事情に置かれたわけでありまして、従つて起債総額の拡張ということは年来の主張であり、又シヤウプ第一次勧告におきましても、二十五年度ば四百二十億程度起債は認めてよいのではないかということも言われておるのでありますので、これらの点を基礎といたしまして、又今回発生いたしました災害実情等をも考え合せて、関係方面と強く折衝をいたして参りたい、又従来からもして参つておるのでありますが、できるだけ成果を挙げるように努力をいたして参りたいと、かように考えておる次第でございます。
  115. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 重ねてお尋ねいたしますが、この災害費は今年度、二十五年度に限つて全部国が持つということにはなつておりますけれども、事実今度の打続いて発生した台風被害だけでも、先程私共は尼崎平の近状を聞いた、それだけでも二百億からになつておる。全国の計数を集計しまするというと、建設省から廻して来た資料を見ましても五百八十億からになつておる。で百億の公共事業費を以て弁ずると言つたが、これは言葉だけであつて、なかなかそういうわけに行くものではない、取残されたる個所に対しては、地方はやはりおのおの身を守るために相当の仕事をして行かなければならんのでありますから、決まれば決まるでやり切れんようなことになつておるということは、小野君も疾うに御存じのことではなかろうかと考える。この場合において、今おつしやつた十億か二十億ということにしましても、余りにも程度が低いので、皆さんのそれぞれ関係当局との間の交渉において苦心惨憺せられておることは我々もよく分つておるのですが、併しながらこの場合において何とか打開の途をつけてやらんというと、地方においてはもう到底やり切れんことになる。その結果仕事を拠つてしまう。そうなると遂に又その傷が大きくなるということで、畢竟国家に大損害を来たすということになるのですから、今まで御盡力の点は大いに私考感謝する次第でありますけれども、より一層一つ日本の各地方における災害程度をよく御取調べになつて、たとえ理屈はどう立ててあつても、実際においてやり切れんことを国が持つてやるわけに行かんから、この場合においてやはり或いは過年度の支拂に対して肩すかしをしてやるために起債額多くするとか、いろいろな方法を立てて何とかしてやらんというと、地方では災害は国で持つてやるのだと言つてつても決して安心はできないと思う。この程度のことはよく御存じだろうと思います。私共は国が全部持つてやるということは、非常にそれは結構な制度であるけれども、今日までの災害の深刻であつた程度から見まして、到底それはできないことである。できない相談を押附けて置いてもできないので、到底駄目でありますから、この場合付か災害復旧に迅速な手を打つようなことを考える手段として、地方においてそれについて起債を後年に償還することにして当面の対策を立てて行くということは必然的に起る問題でなかろうか、こう考えております。どうぞできるだけ一つこの幅を拡げまして、地方災害復旧に十分手の掻くようにして貰いたいと考えます。私共は建設委員として各所を見るにつけましても切に痛感するために、この場合にちよつとお尋ねする次第であります。
  116. 小野哲

    説明員(小野哲君) お話のように災害復旧費の問題につきましては、いろいろと意見が出ておりまして、今回のシヤウプ第二次勧告を御覽になりましても、災害復旧費の地方負担についてどうすればよいかということが調われておるわけであります。勿論今回の第二次勧告の中に出ておりますのは、その基本的な線が現われておりまして、更に具体的な問題につきましては、附録書によつて内容が明らかにされるものと私共は期待をしているわけであります。御承知のように公共事業費におきまして従前とつておりました地方負担三分の一というふうな制度が、果して地方団体の財政の状況から考えて適当であるかどうかということは、相当大きな問題であろうと存じます。従つて仮に公共事業費において、特に災害復旧費において予算を多額に計上いたしましても、若し地方負担、三分の一ということに相成りますと、その分はどうしても地方団体において何らかの財源の確保をして行かなければならない。これは申すまでもないことなんであります。従つてンヤウプ第二次勧告におきましてもこの点に対して論及いたしまして、何らか適切な方法を案出することが必要である。こういうことを結論付けておるわけでございます。従つて国家予算としての上に計上されました金額のみを以ては公共事業費の問題を云々することは早計でありまして、この結果が地方団体、即ち地方財政の上においてどの程度のしわ寄せ、或いは歳出増になるかということを国と地方とを通じて総合的に勘案いたさなければ完全な財政計画とは言い得ないと私共は考えておるのでございまして、御指摘になりましたような地方債の問題につきましても、やはり地方財源の確保という見地から、できるだけ多く確保できますように私共といたしましては努力を実は続けて参つておるわけでございます。今後もお話のように更に勢力を継続いたしまして、できるだけ地方団体の負担の適正な方向に向つて参りたいと、かように考えておるような次第でございます。
  117. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 先程大蔵省の事務官にちよつとお伺いした例の平衡交付金の問題でありますが、先程小野さんも言われたように、いろいろの災害に関する免税だけで地方自治体が租税收入が減つて来るだろうということは分り切つたことなんだが、それに対して平衡交付金を勿論出す考えでありましようが、どの程度、どういう率を以て免税に対して出すのか、こういうことを御研究になつておるか、おられないか。
  118. 小野哲

    説明員(小野哲君) 大体従来の例を申しますると、国税の減免法に準じて取扱われておられるように私は聞いておるわけであります。ただ問題は、御承知のように減免によつて地方歳入の不足が生じた場合において如何なる財源によつてこれを補なつて行くかということが問題でありまして、本年度から新らしくできました平衡交付金制度の運用の点から申しますと、一般平衡交付金は御承知のように法律に基礎を置いた、本年度におきましては地方財政委員会規則によつてその交付金額を算定することになつておるわけでございまして、これは客観的な測定標準を基といたしまして單位費用を掛け合わしましたものの各行政項目の合計額というものを財政需要額といたしまして、これに見合つた税收入額との差額について一般平衡交付金を交付するというのが建前になつておるわけであります。ところが捕捉できなかつたような財政需要がその後に起つて来たというような場合には、対処いたしますために、暫定的に特別平衡交付金制度というものを設けたわけでございます。従つて地方税の減免、災害等による予測しなかつた事態の発生によつて地方税の減免をしたというような場合における財源措置としては、一応特別平衡交付金の運用に俟たなければならないかと私共は考えておるのであります。ただ併し特別平衡交付金は單に災害等による地方税の減免によつて生じた穴埋めをするための目的を持つておるものではないのでありまして、他に特別な財政需要が生じたという場合にもこれを充当しなければならない任務を持つておる交付金でありますので、この辺の運用につきましては相当愼重に考えて行かなければならないと私共は考えておるのであります。従つて端的に申しまして、減免によつて生じました歳入不足の一〇〇%をすべて特別平衡交付金で賄うということは、これは必ずしも十分に行うことが或いは困難ではないかという考えがいたされるわけであります。従来からの取扱の例等とも考え合せまして、それぞれの地方団体、災害地の地方団体におきまして減免を行なつた場合の実情と照し合せをして、そうして特別平衡交付金の額を算定する場合において考慮いたして参りたいと、こういう考え方を持つている次第であります。
  119. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 考慮しているだけで具体的にどの程度の、まあ一〇〇%は穴埋めはできないことはその通りであるが、何パーセントぐらいのことを言つてやるということも、まあ腹案の御決定も今のところないわけでありますか。
  120. 小野哲

    説明員(小野哲君) 只今申しましたように、大体国税の減免法に準じた扱いをすることが従来から例になつているわけであります。併しながら平衡交付金制度は本年慶初めてできたものでありまして、従つて一般平衡交付金のごとき、いわゆる予め考え得るケースに応じた算定の基準というようなものを決めるわけには行かないのが、特別平衡交付金の本質なんでありますけれども、災害等によつて減免をいたしました場合における取扱方につきましては、この運用に当つては、勿論地方財政委員会において十分に研究をいたしまして、従来の取扱方を、これを踏襲して行くかどうか、こういうふうな点につきましても、何分特別平衡交付金の額というものが決つているわけでありますから、これの運用につきましては、何らかの標準を設けてやることが妥当ではなかろうか、只今ここで御報告を申上げるような特別平衡交付金の基準というものはまだできておりませんけれども、大体そういうふうな考え方で、地方財政委員会において取扱うことにいたしたいと考えておるわけであります。
  121. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 これはまあ地方自治庁の方への質問になるか、或いは別に厚生省関係か分りませんが、今度の大阪兵庫災害で非常に小さな商人なんかが非常に被害を被むつているので、これがそのためにちよつと立ち上れない、生業がやつて行けないというので、そういう困つた話を我々は聞いておるのですが、何かそういうものに対して特別に生業資金を低利長期な融資でもやろうという考えは持つておりませんか。
  122. 小野哲

    説明員(小野哲君) これは私の直接の所管ではございませんが、大体政府としての考え方を申上げますと、只今の御指摘の点は主として中小企業関係だろうと思うのであります。問題は中小企業の復旧資金に対してどういう措置をとるか、この問題だろうと思いまするが、先ず第一に考えられることは、商工中金等を極力活用いたしまして、日銀の中小の別枠融資の限度を増額して参りたい。こういう考え方が一つできるわけであります。五億円程度増額をすることが必要であみ、こういうふうに政府としては考えておるわけであります。  次に中小専門店舗の特段の活用を図るように、関係銀行にも協力を求めるようにいたして参りたい。中小の専門店舗を通ずる災害復旧融資につきましては、日銀において資金的援助を行うものといたしまして、日銀の貸出金の法律適用を免除すると、こういうふうな方法もとつて参りたい。又災害府県の信用保証協会の出資金の増額、又は損失補償の方法によりまして、信用保証協会の機能の拡充を図る、こういう方法も考えたいと思つているような次第でありまして、信用保証協会の災害復旧対策というふうなことも、大阪、或いは兵庫というふうに、災害の非常に激しかつた所につきましては、これらの措置を考えて行く必要があるであろうと思うのであります。尚又見返資金の中小企業融資の枠の拡張に努力をいたして参りたい。更に先程もちよつと触れましたが、罹災者の自己調達をなし得ないような部分は、でき得るならば地方団体経由によりまして預金部資金の融通をなし得るようにやつて参りたい。これはなかなか困難な問題であろうとは思いますが、これも一つ努力して参りたいというふうなことで考え得る方法につきまして、政府といたしましては、極力これが実現を期して参りたいと考えている次第であります。
  123. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 各府県で十五万円以下の災害個所、例の国庫補助対象にならない、これに対しては、地方によりますと到底金がないから殆んど復興ができない。従つてその次年度に大災害を被むつて、いわゆる国庫補助対象になる、こういう実情が沢山ありますが、これについては自治庁はどういう考えをお持ちですか。十五万円以下の災害に対して、つまり地方の財政関係から見ますと、十五万円以上の大きな災害に対して、先ず全額国庫補助に俟つた方がいいのかも知れませんが、国の財政から言うと大変な損失ですから、やはり十五万円以下に対しては、或いは維持、修繕とか特別な考えを持つてこれを復旧を、今後持つて行かれるように進められますか、どうですか。
  124. 小野哲

    説明員(小野哲君) 本年度に施行されておりまする災害復旧に関する特例の問題と関連があると思うのでありますが、特例法によれば、十五万円ということが一つの限度になつておりまして、従つてそれ未満の工事につきましては、お説のように地方団体が独自でこれを施行して行かなければならない、そのためにいわゆる工事が翌年度に更に延びて行くというふうなことも考え得るのであります。この点につきましては、果してかような基準が安当であるかどうかという一つの根本の問題があろうかと思います。この特例法が立案される場合におきましても、この点については相当論議があつたわけであります。それぞれの立場においてそれぞれの意見があつたわけでありますが、一応現行法のように十五万円以下の災害は除くということになつたのでありますけれども、これが果してよいかどうかということは、御指摘のように、私自身も疑問に思つておるわけでありまして、従つて地方団体が單独に行わなければならない、いわゆる災害復旧事業に対する財源措置というものは、これは深刻な問題であろうと思います。従つて地方団体からこれらの点につきましては強い要望がありまして、何とか財源措置をして貰いたい。これと関連しての起債の問題がこれ又起つて来るわけであります。いわばいたちごつこみたいな現状が地方団体における災害復旧費の状況であると言つてよいかと思うのであります。そこで先程申しました大変額が少いという御注意も御尤もと思うのでありますが、できるだけ現行法の適用から考えまして、地方団体の独自の災害復旧事業に充当するために起債の途をできるだけ広く開いて参りたいということを自治庁なり地方財政委員会としては折角努力をいたしておるということで、今然らばどの程度までの起債の枠が増額されうかということは、結論として出ておらないというのが今日の現状であります。
  125. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 要するのに、現行法が果して妥当かどうかという問題に帰すると思います。そのときに又論議いたしたいと思います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  126. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記を始めて……では本日の委員会はこれで散会いたします。    午後三時四十五分散会  出席者は左の通り。    理事            赤木 正雄君            岩崎正三郎君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            石坂 豊一君            島津 忠彦君            田中  一君            尾山 三郎君            東   隆君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君   説明員    地方自治政務次    官       小野  哲君    建設政務次官    経済安定本部  渡邊 良夫君    建設交通局公共    事業課勤務   石田 政夫君    厚生省社会局施    設課勤務    高木  玄君    大蔵省主計局勤    務       鹿野 義夫君    建設省河川局次    長       伊藤 大三君    建設省大臣官房    会計課長    植田 俊雄君    建設省河川局防    災課勤務    酒井 信男君    中央気象台情報    部長      土佐林忠夫