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1950-08-22 第8回国会 参議院 建設委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月二十二日(火曜日)    午前十時五十二分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○建設省その他の建設事業に関する調  査の件  (二十六年度建設省予算編成に関す  る件)  (利根川治水問題に関する件)   ―――――――――――――
  2. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 只今より建設委員会を開会いたします。  先ず安本建設交通局次長今泉君にお伺いいたしますが、二十六年度建設省予算編成方向について、見返資金関係見込資金による工事計画についてお話を承わりたい。尚利根川治水問題について一つ説明を願いたいと思います。
  3. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) 昭和二十六年度予算編成につきましては、目下事務当局において予算の作成中でございまして、大体この二十五、六日あたりまでに安定本部の案をまとめまして、大蔵省と最後話合いをいたしまして、できれば今月中に一応の成案を得たいと、こう考えておる次第でございまするが、明年度の実は財政規模がどうなるかということがまだ閣議でも正式に決まつておりません、従つて現在どの程度公共事業予算明年度に計上できるかということにつきましては、確たるまだ枠というものは決定いたしておりませんので、そうかといつて、全然目標なしにこれを組むこともできかねますので、今私共考えておりますることは、事務当局案として、或いは二案くらいを一つ考えて、そのうち最高方針も決まるでしようから、それに合して参りたいと、こう考えておる次第でございます。実は明年度予算といたしまして、大体方針閣議の方でも御内定になつておることは、明年度からはこの財政法に定められた法規上の債務償還以外はもうやらないと、こういう方針に大体内定しておるように聞いております。従つて債務償還から余裕相当程度出るのではなかろうか。  それから価格調整費関係でございまするが、本年度についても可なりこれを大幅に削減はいたして参りましたが、明年度おいつては、この関係からも相当大幅の又削減関係も予想されるのではなかろうか、従つてこの方面から余裕財源相当出て来る、これに見合う関係といたしましては、公務員給與の改訂に伴う増額と、それから減税関係というものを引当てにしても、相当程度余裕財源というものが見込まれるのではなかろうかということで、我々といたしましても、明年度公共事業予算相当大幅の増額ということを一応予想しておつた次第でございまするが、御承知通りこの朝鮮事変が起きまして、その結果警察予備隊経費海上保安庁関係経費ということが、今年度から相当多額経費が計上されることになりまして、明年度は、更に本年度より相当多額の又予算見込まれなくちやならん。こういう状況に相成りましたために、当初予定いたしましたような非常に大きな額を公共事業見込むということが、最近の状況においては少しく困難になつて来たのではなかろうか、こういうふうに考えられます。問題はあと減税を一体どのくらい充てるかという問題と、公務員給與べースをどの程度までに引上げるかという問題に大体かかつて来るのじやなかろうか、そういつた関係減税公約通りおやりになる、公務員給與相当人事院勧告通りおやりになる、こういうことになりますと、今朝鮮事変に伴う諸経費が非常に殖えて参つた関係残り財源として非常に大きな金額は期待できないのじやないか、こういう状況でございます。従つて減税公務員給與との関係をどういうふうに見るかということによつて、来年の財政規模、延いては公共事業予算規模というものが決まつて来るのじやなかろうか、こういうふうに考えております。従つて私共としては少くとも本年度予算よりは下廻らないということで考えておりまして、できればできるだけ多額経費公共事業関係にも獲得して、そして各省の御要望にも応えたい、こういうつもりでいろいろな案を今考えておる次第でありますが、最終的には今月一杯でも域いは国内的に決まることもなかなかむずかしい。その大方針が決まらないと……決まらん関係上むずかしい状況になつておるのじやなかろうか、こう考えられております。  それから見返資金関係でありますが、これは御承知通り本年度としては公共事業費関係に百十億円使つてもよろしいという枠を頂きまして、今日までその計画を進めて参りました結果、最近最後折衝も大体見通しがつきまして、現在司令部との折衝で残つておるのは五千万円程度がまだ未決定でございますが、十億五千万円というものは大体向う話合いがつきまして、計画として出してもよろしいということに相成つております。そうしてすでに向うから内承認を得まして、正式の解除申請をしてすでに解除になつているものは、ダムを伴う河川関係、例えば五十里堰堤とか、猿ヶ石堰堤とか、物部川とか、こういう大河川関係ダム関係で二十一億程が、電力関係との関連において若干まだ向う検討を要するということで、正式の解除には相成つておりませんが、それ以外の分については、最近農業が二十七億程解除になりましたのと合せまして大体八十億、計画については年間年度八十億につきましては使用してもよろしい、こういう許可を得ております。十億分等につきましてはまだ正式の申請書を出してない関係上若干遅れておりましたが、これも最近正式の解除申請を出してよろしい。こういうことに相成つておりますので、これも今月中ぐらいには正式の解除が出るのじやなかろうか、こう考えております。  明年度見通しはどうかというお尋ねが当然あろうと思うのでございますが、明年度におきましては、まだ対日援助見返資金の総額がどのくらいになるということは的確たる決定がまだいたされておりませんけれども、本年度よりは若干減るということだけははつきり今日でも申上げることができると思うのでございます。併しながらこの見返資金の中にも、本年度相当多額のやはり債務償還ということを予定しておりました。それが明年度から、大体閣議方向といたしましても、見返資金縛別会計においても債務償還はやらないという大体の方針が決まつておりますので、従つて一般の産業投資なり、或いはこういつた政府事業なりに投資される額は、私は余り明年は減らないのではないか。従つて年度の百十億程度公共事業に使わして貰うことになつたその額は、私といたしましては明年度においてもそれを下廻らない程度費用というものは明年度においても期待してよいのではなかろうか。こういうふうに大体考えておる次第でございます。併しこれもはつきりこうなつたんだということは今日では申上げられませんけれども、見通しとしてはそういうふうに考えておりますので、一般公共事業とそれから見返資金会計と、こういう両者を合せまして、昭和二十五年度予算よりは若干上廻つても決して減ることはない、このくらいの見通しは私としては立てられないことはないのではなかろうか。こう考えておる次第でございます。減らないばかりではない。今事務当局考えとしてはできるだけ一つ財政の許す限り増額いたしまして各省の御要望にも副い、事業量明年度においては大いに延ばして参りたいと、こういうふうに考えておる次第であります。  一応現在の見通しだけを申上げました。
  4. 柴田政次

    委員長柴田政次君) それから次に利根運河の問題について一つ何かありますればお話を願いたいと思います。……只今の御説明に対して何か御質問ございませんか。
  5. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 例の猿ケ石五十里ダムなどの見返資金の未だ確定しないでおる問題は、これは今年度中に確定するか、せぬかということはあなたの方は見通しがないわけですか。
  6. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) ちよつと速記を止めて下さい。
  7. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 速記を止めて。    〔速記中止
  8. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 速記を始めて下さい。
  9. 石川榮一

    石川榮一君 この河川改修の問題と見返資金の問題でありますが、実は私共利根川治水同盟関係もありますので、あの大利根の問題はこれはもう一日も放つて置けないような状況でありますことは御承知通りであります。例の埼玉県における栗橋の大水害、又本年は小貝川、利根川の大洪水等が頻発しておるようなわけでありまして、その他各地に又大破堤を呼ぶ個所が沢山あるわけであります。従いまして今までの状況から考えますと、国費を以てのみこれの改修を促進するということは非常に困難であるということを私共痛感しておるわけであります。そこで勿論この国の費用は十分にかけて頂きたいのでありますが、この際数年間でその生命を絶たれる運命にあります見返資金、この見返資金を極力安本中枢方々に御心配願いまして、重点治水の面、河川改修の面に指向して頂くような構想を持つて頂けるかどうかを伺いたいのが一つであります。それは申上げるまでもなく、理由は私共の考え方では、限られた、この欠乏しております財政状況では到底大きな川の改修は五十年、八十年を要する、いわゆる百年河青を待つという諺に落ちてしまうのでありまして、ただ構想を持つているだけでその実現は殆んど永久的に見込がないとさえ思われる状況であります。従いまして私はこの河川改修は、もうどの川もどの川も荒れ果てているのでありまして、この狭小な国土に八千三百万も住んでおる、更に一年に百五十万人の人間が殖えておるというような状況にありますときに、国土保全国家再建の基盤である、その国土保全中心は荒れ果てた全国に亘る河川改修である、災害防除である、又同時にそれを中心として各地平野がありますが、この平野の高度の開発のためにも河川改修が根本をなすという建前であります。是非全力を挙げて河川改修に向つて国費の集中的な支出と同時に、見返資金、これもでき得る限りの力を用いて頂きまして、総司令部了解を得るように手を打つて頂きまして、スムーズにどしどしと河川改修に注入して頂くような策を講じて貰いたい、これが第一のお願いなんでありますが、これに対するお考えを伺いたいのが一つ。たまたま今お話を伺いますと、利根川の問題と思いますが、岩崎先生から御質問があつたと思いますが、例の五十里ダム、これに関連いたしまして江戸川改修、その他昨日伺いますと八ヶ所ばかりのダム、並びに河口の修補等がまだ留保されておるというようなことを聞いております。現に江戸川のごときは、その出先の事務当局はもう直ぐにも或る場所の立退きを迫るような状況下にありまして、もう見返資金は貰えたものだという考え方によつて、十月一杯までに何とか第二四半期分の見返資金消費しなければこれは駄目になつてしまうような、いわゆる火のついたような状況下に置かれておりますので、非常に努力をしているわけであります。従いまして江戸川の問題、五十厘の問題、その他七つばかりありまする見返資金の問題、全力を挙げてこの際総司令部了解を一日も早く得て、今著々仕事にかかりつつあるものが迅速に運び得るように御配慮願いたい。若しこれが誤つて司令部了解が得られないで、その八ヶ所のうち、たとえ何ヶ所でも留保されまして流されてしまうというものでありますと、恐らく明年度の見返資金に対しても相当日本政府の態度に対して不満を表明されるのではないか。そうなりますと、折角見返資金なるものを有効適切に使おうとする安本考えも思うようにならない。結果において非常な国家的な損失と見られる。若し頂きましても、遅れましては意味がないのでありまして、一日早ければそれだけ効果があるわけでありますから、今留保されているものに対しては、全力を挙げて見返資金が放出されるような措置を講じて貰いたい。昨日安本開発課長さんですか、その他の方々から伺つたところによりますと、四十ヶ條かの質問書日本政府に見返資金について出されている。私共今日になりましてその質問書が出ていることは不可思議に考えている。事前にそういうようなものは話がありまして、もうすでに沢山見返資金として放出して頂くようなところは決まつているのですから、それが遅れた理由はおのずから分つていると思いますが、そういう質問書を受ける前に、安本長官中心としての安本中枢方々は、そういう手数をかけないような施策を講じて頂きたい。恐らく質問書を出す以上は相当司令部としてもしつかりした考えを以て質問書を出していると思いますので、若しその質問書に適切な御回答が願えませんと、或いは私は見返資金が本年度延期されてしまう、こう心配するわけであります。先程丁度断片を伺いますと、大体において見通しがついて、本月一杯には何とかなるだろうというようなお話のようであります。さようなことになりますれば非常に結構であります。そうでない場合が起つたときには非常な大きい波瀾が各地に起るわけであります。見返資金を頂けるというので、各地ではそのつもりで発表しておりますから、若しそれが打切りになるということになりますと、七ヶ所ばかりの関係府県は、非常な混乱を起しまして失望落胆するだろう。どうか将来のこともありますから、質問書に対する最も適切な御回答が迅速にいたされまして、今のお話のように今月一杯にそれが今田部放出されるというように御盡力願いたいと思います。ただ心配杞憂の余りでありますけれども、少くも質問書を提出するという事態になつておる以上は、相当に総司令部方面に疑惑があるのではないか、日本政府措置が総司令部に対して十分に理解されておらんじやないか、こう考えますので、簡單な答弁ではいかないと思いますが、その辺のところは一つ如才もないと思いますので、万全を期して頂きまして、これが対策に万遺憾なきを期して一挙に放出願えるようにお手配願いたい。将来通産省その他と連絡をとつていらつしやると思いますが、恐らく電力をからんで来るということになりますと、やはり公社的性格を以て発電事業を起すとか、半官平民で起すというような具体案まで提出することを要求するでありましよう。ただ單純に三年のうちにこれが、そのうちにやりますよということでは納得できないと思います。幸いにこのくらいの計画でということで承知して下さいますならば結構でありますが、質問書を提起する以上は、相当先方といたしまして具体案要求があるだろうと思います。そういう点も一つぬかりのないように御善処を願いたい。これに対するお考えを伺いたいと思います。
  10. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) 明年度におきまして見返資金関係から河川改修関係重点を置いてやつて貰いたいという御要望誠に御尤もでありまして、本年度においても一番重点を置いたのはこの河川改修関係でございます。明年度においてもこれが継続として残る金額相当たきな規模となりますし、先程申上げました通り大体の見通しから見返資金関係についても、公共事業に使われる面は今年より減ることは万なかろう、こういうふうに考えております関係もあり、我々といたしましてはまあ河川関係だけとは申されませんけれども、河川改修については見返資金の放出については一番重点を置いてやつて貰いたい、こういう御要望に副うべく明年度もそういつた方針でしようと考えておる次第であります。今非常に河川関係でまだ正式の解除になつていない分につきまして、非常に御適切な御質問を頂きまして、私共といたしましても一日も早くこれが解除方については努力して参つた次第でございますが、先程申したような関係で今日まで延びておる次第でございますが、私共といたしましては各省挙つて一つ関係方面にも説明いたしまして、できるだけ早い期間にこれが全部一度に解除になるように一つ努力して参りたい。但し只今も申上げました通り発電関係を伴うものにつきまして具体的計画を出さなければ解除せんという、若しそういう強い方針で臨まれますと、どこの今社にどういう資金でやるということはここ一ヶ月やそこらで日本政府で案を立てろと言われてもこれはできない相談に相成りまするので、まさかそういつた注文は出ないと思いますが、若し発電関係について万一何かそういつたむずかしい関係の問題が今後出て来て早急に解除見込がないということに相成りますると、このダムを伴うものと、そうじやない大きな河川一緒に出て継続になつておると、こういう関係がございます。即ち江戸川とか淀川、それから木曽川最上川、これが今の堰堤関係のものと一緒に出ておりまして、それが一緒にストツプになつておる。こういう状況でございますので、若しもこの一括して向う解除がなされる見込が少し長引くという見通しになりましたならば、この発電関係を伴う分と然らざる分とを切離しまして、江戸川以下等につきましては問題はございませんでしたからこの方は早く切離して解除して実れ、こういうような交渉に移そうと考えておりますが、今のところは私は比較的楽観しておりまして、切離してやるよりか、一括してやつた方が全般の関係でよろしいじやないかというわけでまだ向うには分離してどういうということは申出ておりませんが、万一、発電関係の方が若干長引くと、こういうふうな見通になりますれば早くそうじやないものは一つ解除して貰つて工事の支障にならないように進めて参りたいと考えております。
  11. 小川久義

    小川久義君 先程お話されました百十億の内訳をちよつと承わりたいと思います。
  12. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) 河川関係年間事業二十五億でございます。その中には先程申上げました猿ヶ石五十里、物部、こういつた発電関係のものが四本、発電関係を伴わないもので江戸川淀川木曽川最上川、それから吉井川、信濃、石狩、筑後といつた川がございます。それから砂防関係で八億円、これが利根本流渡良瀬本流六甲山系鬼怒川系統、これが八億、それから農業水利関係で二十七億五百万円になつております。これは三本木、田沢、白河、矢吹、新利根川、両総、印旛沼、九頭龍川、野州川、東條川、小坂部川、嘉瀬川、大分県の昭和井路、こういつた規模農業水利関係が二十五億七百万円。道路関係は三十五億五千二百九十万円、そのうち主だつたものは東海道が十八億でございます。それから大きな橋が六本程あつて、これが十億円。それから道路改修で七億五千二百川十万円。それから後は航路標識で三億三千五百万円、それから保安通信で一億五千万円、それから極く最近、十億の案を向うに出しましたのが、残りの十億について、この品川から仮橋に扱ける環状六号線、それが一億三千七百十万、それから広島、長崎の橋梁と道路関係で一億二千万円、それから山口県の道路改修で五千万円、呉周辺砂防関係で一億円、漁港区が二億五千万円、漁港では三崎、燒津、長崎が三つ出ております。それから結核病院全国にある結核病院病棟関係を殖やすので二億五千万円、残額の五千万円については向うの内承認もまだ得てない、こういう状況で、あとの五千万円はまだ未決定に残されておる、こういう状況でございます。
  13. 小川久義

    小川久義君 結核療養所ですか、これは何か暗焦に乗り上げておるような括を聞いたのですが、直接御報告が行つておりますかどうか。
  14. 今泉兼寛

    説明員今泉兼寛君) これは国内的には閣議でも話が済んだのでございますが、ただ司令部内部でフアイナンスの方とそれからこういつた厚生関係をやつているセクンヨンの、まだ正式の話合い最後までは至つていないように聞いております。併し向う窓口関係は一応二億五千万で日本政府の案を出せということで、又最後決定成規の手続でやるからと、こういうことになつております。
  15. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 次官大分お忙がしいようでございますから……これから二十六年度予算編成方針につきまして建設省次官中田君のお話一つ願いたいと思います。
  16. 中田政美

    説明員中田政美君) 安本の方でお話を願つておりますので、方針として大した食違いはないと思いますが、二十六年度我々の方で安本要求しております金額は二千百億程度になつておると思います。この内容は各局に亘ります。建設省は御承知通り公共事業が本体でありまして、一般行政費予算編成の重要さよりは、むしろ公共事業予算をどう編成するかが建設省の最も重点を置かれる点なのでございまして、従つてその金額も二千億を突破するという状況になるわけです。  内容を申上げますと、第一は河川に関する経費でございます。これは河川に関しては、何とかしてこの年々累増する災害を防止したい。もとより破堤し或いは破壊した災害に対しては、一日も早くこれを復旧するということが、耕地の狭い、土地の狭い日本にとつては止むを得ない仕事でありますので、これに相当な金を費やすことも必要でありますが、併しながら遡つて考えれば、水を治め得なくては年々の台風は免がれない自然関係に置かれるところの日本としましては、どうしても抜本的な対策は必要である、これは今更申上げるまでもない、いわば常識といつてもいいところでございます。従いまして当面するこの災害の復旧についても、勿論これをやらなければならんし、と同時に又河川改修、水を上流において始末する、降る雨は仕方がありません、従つてこれを下流へ押出さんようにするということが、下流において直接耕地や村落を保護すると同様以上に重要なことであろうかという観点から、第一には砂防を十分やる、又、適当な地点があれば、これに大なり小なりのダムを作ることによつて洪水最高水位を調節して行くというような意味において、一千二百億程度河川関係予算要求しておるようなわけでございます。何と申しましても、日本の重大問題であり、建設省としてもこれに重点を置くことは当然でございます。従いまして、総体の公共事業要求額の半分以上は河川改修が占めるということになるわけでございます。  第二は道路でございますが、御承知通り、近代的な道路というものは誠に貧弱でございます。日本の輸送のトラツクその他は可なり進歩をしましたが、残念なことに、これを受入れる道路が不十分である。勿論道路網相当認定してあるとはいいながら、本当に使える道路というものが不十分であるという点については、万人これを認めるところでございまして、是が非でもこれを主要な路線については、いわゆる道路改修、改良をやつて、願わくば補修、鋪装をやつて、そうして年々の修繕費を軽減して行くことこそ日本の産業の復興なり、又国民経済上に非常な大きな好影響をもたらすという意味で、この方面につきましても可なりの予算要求しておるわけでございまして、この予算は約四百数十億になつているわけでございます。  それから第三としましては、この百二十幾つに亘る戰災都市の復興事業も、ここ数年間続けて来ているわけでございますが、如何せん予算の制約で思うに任せません。で昨年都市計画の、計画区域について検討を行いまして、最も緊要なものを中心にして五ヶ年ぐらいに是非ともやつてしまいたいという意味で再検討の結果多少圧縮した区域について急速にやろうという方針の下に都市局におきましては約九十数億要求しております。これだけの金が貰えれば大体五ヶ年間に全部完成し得るというわけでございます。  次は住宅の問題、これは国民生活として最も如実な、深刻な問題でございまして、過去二、三年間状況に比すれば多少の改善はされたとはいうものの、何といつてもこの住宅問題は多額資金を要する、いわゆる長期投資なのでございまして、公経済においてはもとより、個人の経済においても容易ならん問題でございます。これはやはり住宅難ということが深刻なことは、その事柄の性質上然らしめるのでございまして、多額資金をこの方面に投ずるということが可なり困難である、なぜならばどちらかというと住居は生産的に見れば間接でございます、直接には消費である。我々の衣食住の消費であるという意味でなかなかこの問題が解決しにくいのでありまして、来年度におきましては二百億足らずの金を要求しておるわけでございます。又別途この一般行政費においてはどうしても日本の建物の構造を不燃化せなきやならん、丁度署の河原と同じようにいつも燒けるのではいけない、ここで一つ思い切つて不燃化せなきやならんという段階であり、資材その他の関係も或る程度の緩和がされたという状況から、これを相当強力に推進したいという意味で、助成として相当な不燃化の予算要求しておるようなわけでございます。只今申上げました二百億足らずというものはいわゆる公共事業でございまして、従来通り庶民住宅を建設する、或いは又非常に惡い、不良住宅地区を改良するというようなこと、更に着目する点は国営の住宅を建てたい。もとよりこれは不燃建築でコンパクトな住宅集団を造る、国営でやりたいというような一つの新らしい試みも要求の中に入つているようなわけでございます。最後にこれらに関係しまして分けてもこの河川ダム、或いは道路というような工事を可なり多くやる上において、これも最も遅れておる機械化施行の問題でございまして、以上のような数項目に直りまして、これは建設省の役所身ぐるみと言つてもいいくらいでありますが、約二千百億程度に総計されるわけでございます。これを本年度予算に比較しますれば本年度約五百億余でございますので、約四倍に当るわけでございます。そこで四倍のものがどうしても内閣において公共事業の重要性から要求が満たされることを我々は念願するのでありますが、併しながらこれも究極は、その財源を遡れば国民の負担であります。それで来年の予算において、若し現政府が一方において減税をやり、他方において給與べース改訂等も行わなければならん余儀ない事情にあるというようなときに当りまして、我々の一番心配するのは公共事業費の金額が実質的にも、額においても相当殖やして貰いたい。建設省要求でも四倍に相当するのであります。本年度公共事業費は一千億足らずであります。我が省の分だけでも二千億を突破しておるという状況から見まして、可なりこれは現実に予算編成相当な難点もあるではないかということを想像せざるを得ない状況にあります。当委員会又は国会等におきましても、公共事業の重要性について特別の御協力、御指導を仰ぎたいと念願しておるわけでございます。極く簡車でございますが、これで終ります。
  17. 石川榮一

    石川榮一君 只今中田次官から建設省の今年度予算要求に関する構想についてお話がございまして非常に私共意を狙ういたしました。只今説明になりました建設省の御構想は我々の期待にそつくり副うものでありまして全く同感であります。今国の濁れております事情は御案内のように国際情勢も非常に緊迫しております。又国内の治安の問題も正に乱されんとしておる。又河川道路も皆荒廃しておる。戰災都市の復興、都民の住宅難とあらゆる面が行詰つておるというときでありますから、今要求せられたものが、そつくり賄われるということは困難たとは思いますが、この際、この公共事業費の建設省から要求せられました二千百億円は恐らく本当に止むに止まれず公共事業費の増額要求だと思います。従いましてこの予算を賄つて頂くといたしますれば、安本並びに大蔵省等の最も深い理解が必要であり、或いは政府の最高の首脳部の断が必要だろうと思います。私共河川改修といい、道路改修といい、住宅の問題、都市の問題といい全く同感であります。これを速かに回復しなければ、日本経済の再建は絶対にあり得ない。かように考えるわけであります。ここで引掛つて来る問題は見返資金の問題であります。本年度昭和二十六年度に予想する公共事業費に振向けられるかどうか分らないが、見返資金の額は凡そどのくらいでありますか。又現在見返資金として残つておりますところの金額はどのくらいありますか。その数字を一応安本今泉さんから伺いたいと思います。
  18. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 今泉さんはお帰りになりました。
  19. 石川榮一

    石川榮一君 建設省のお方で分つてつたら伺います。見返資金の現在高で昭和二十六年度に当嵌められ得る金額はどのくらいありますか、伺いたい。
  20. 中田政美

    説明員中田政美君) 本年度の見返資金につきましては百千億のうち、只今安本の方から御説明になりましたようにほぼ内諾を得たものを加算いたしますれば、僅かに五十万円ぐらいしか残つていない。それも或る程度引当てがございますので、大体において使い切つておる、予定されたもので一杯一杯という状況でございます。そこで来年度予算につきましては、大蔵省等においては、或る程度見返資金要望するものを各省から説明を聞きたいというような要望もあるのでありますが、これは御承知通り、特に見返資金向けという特殊な種類の事業があるわけではございませんので、公共事業の中で重要なものを拾うということになつて向うからOKが来ればそれでやれるということになりますので、更に見返資金として出すとしますれば、公共事業の中と多少ダブる点が出て来ると思います。これは兼合いの問題であります。そこで各局で、それぞれ公共事業として取上げて貰えるような有力候補のものを引抜いて今作りつつございますが、総額公共事業へ見返資金が幾ら出せるかということについては、全然まだ見通しがつきません。まあどちらかというと、その筋の方の御判断が、これは主導力を持つているわけでございまして、そこで我々想像しまするのに、来年度の援助資金がどの程度一体得られるものか、その中から民間私企業へどれぐらい、公企業へどれくらいというような割振りができるわけでございまして、今のところ数字的に申上げる段階でないように存じます。ただ百十億というものについては、来年度においても、援助資金が仮に総額において減つても、見返資金公共事業に使う金については、本年度の百十億を下廻らんように特にお願いしようということには、今日申上げて差支ない段階だと思います。
  21. 石川榮一

    石川榮一君 只今お話を伺いまして、大体分りましたのですが、要するに公共事業費としての建設省に対する割当分が五千万円程度あるということは分つておりますが、そうではなくして、私共本年の三月頃或る筋から聞いたのでは、見返資金の総額が約一千九百億円程度あるということを耳にしたことがあるのでありますが、それは昨年度の見返資金の残と、本年度見込み得る、昭和二十五年度に見返み得る総額かその程度あるということを聞いておつたのであります。そのうちどのくらい見返資金解除されておりますか分りませんので、その残額がまだ相当あるのではないか、こう考えるのと、それから二十六年度に当嵌め得る総計の見返資金見通し等は凡そ分つておるのではないかと思うのですが、私共その点をはつきりいたしませんが、それが若し更に一千五百億円も二十六年度消費し得べき見返資金があるとすれば、これに全力を傾倒いたしまして、全部を公共事業ということには参りませんでしようが、少くともその七割程度、七〇%くらいは公共事業費の方に取れるような政治工作を現内閣にして貰う必要がある、そういうことによつてのみこの建設省の案は通り得るのではないか、かように考えますから、本年度の対日救援資金としての見返資金がどの程度になつておりますか、私共よくはつきりいたしませんが、恐らく千五百億ぐらいあるのではないかと思うのですが、その辺のことをお知りでしたら、お聞きしたいと思います。
  22. 中田政美

    説明員中田政美君) これはお説の通り、見返資金の総額は、見返資金特別会計でたしか千五百億くらいになつておると思います。そこでこれは、それぞれ支出の費途を定めて予算が編成されて、向う折衝して決められておるものがございまして、その中には、只今も触れました通り、民間の産業資金に融資する、つまり金を貸すというやつ、それから復金債等の債務償還に充てるものと、それから又公共事業へ、これは貸すのではなくして、支出するのでありまして、後から返す必要のないものであります。そういうようにそれぞれ費途が決つておりまして、公共事業費百十億というものについては、本年度予算においては、これだけは公共事業の方に出してもよろしいという金額が決まつておるわけでありまして、そこで最近の閣議においても、例えば造船関係に六十数億の融資をするというような決定が行われて、その筋へ交渉しておりまするが、そういうように千五百億の総額はそれぞれ費途が決まつておりまして、民間私企業への融資という枠で、そういう造船に幾ら貸すということが決まつておるわけでございます。最近新聞等に出ております日発関係発電事業への融資が、ちよつと百四、五十億停頓しておりますが、そういうものもやはり民間私企業への投資の枠の中から出される予算なのでございまして、そういうふうな千五百億の中に残額があるかというお尋ねに対しては、今残額があるというわけには行かないのでございます。百千億という公共事業への金額は決まつております。そこで今問題としては、百十億を使い切つたかどうかということが当面の問題になつておるわけでございます。それを民間私企業のやつを取つて公共事業の方に増額するということになると、これはなかなか容易ならん措置なんでございまして、我々その点についてはちよつと申上げかねると思います。来年度の見返資金金額につきましては、救済資金がどれぐらいになるというようなことから起る問題でございまして、ちよつとここで数字的には申上げる段階でございません。又、事実持合せておりません。さように一つ御了承願います。
  23. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 次官に御質問申上げますが、河川関係が千二百億ということになつておりつまして、大いに頑張つて頂いたようでありますが、ただこの中の枠が、私共河川の行政を見ますと、災害復旧、これは勿論急がなければならんのでありますが、でき上つた河川、一応蒿上げができ、一定の修繕ができたということは、相当程度つておりますが、川そのものがいわゆる川本然の使命を果さないように、例えば河床が隆起する、そういつたふうで、そういつたことから起るところの被害が最近非常に多いと私は思うのであります。特に利根川中流から渡良瀬川にかけまして、海に近い方の側は、これは雨が降つても、内水が溜つても、割合に海の方に流れて来る可能性があるけれども、逆に堤塘の北側に関係する方は、水が一旦溜るというと、川が高くなつてしまうから、それが川の中に落ち切れない。そこでいろいろな排水溝の問題、排水機の問題が各地に起きておるのですが、併しそれができても、今日はその役目を果すのが、機械はできても、排水溝はできても、それが殆んど役に立たないのが多い。それが実情で、各地でいろいろ問題が起きておりますので、これは私は河川を本当に活かして使う、河川の維持と申しますか、浚渫と申しますか、そういうことに相当費用をかけなければならん。恐らくこれは利根川ばかりでなく、全国に最近そういうことが非常に多くなつたと思うのですが、そのことに対して、どの程度年度予算を取るお考えであるか、又そのことに対する次官の決意はどうであるか、伺いたいと思います。
  24. 中田政美

    説明員中田政美君) 上流の崩壊地等のために、土砂が上流から中流、下流へと押出されておると、これがために河床は非常に上つて、一度出水すれば水は溜つてしまうというような現象が起つておることはお話通りでございます。これはやはりどうしても先ず上流で土砂を止める方法を考えなければならない。砂防が必要のゆえんは赤木委員の年来の御主張の通りでございまして、これにも非常に私は関心を持つておるわけでございます。ただ出ているものは覆水盆に返らずですから、これは何とかしなければならない、これも事実でございます。現に島根県の斐伊川のごときは四千万立方メートルくらいの土砂が下流に洲を作つております。こういうものについては浚渫船でこれを浚渫しておるというような実情でございます。併しながらこれは上流を正して置かんと一時は浚渫によつて土砂を若干排除して河川の姿をよくすることはできますが、やはりこれは泉のごとく流れて来るのでは費の河原でございますので、どうしてもこれはせつぱ詰つた河床が上つて沈澱しておるものについての浚渫も又敢えてこれを躊躇してはならん、現にやつておりますが、どうしてもこれは上流の姿を正して、そうして徐々に河底を少しずつ下げて行くということも又必要であるという状況でございます。利根川などにつきましても、何と申しましても砂防その他上流の施設について努力は拂つておりますが、まだまだ不十分な点がございます。従つて今のままで置きますと岩崎さんの御指摘になるような中下流部へ土砂はどんどん押流されて来るということになりまして、折角改修済みの堤防も河川状況が違つて来れば又増強しなければならんということになりますので、どうしてもこれは上流に重点を置かなければならんというわけでございまして、要するに日本の川は一定の下流の地区だけの水を防ぐというような局部的療法ではいけない、生きた水系全体を見て、どうしても工事の順序手段というものに立派な処方箋を作つて、これを能う限りの速度で短期間にやつてしまうというところまで行かねばならん。これは実はみんなが分つておるようでなかなかやはりできないことでございまして、河川法の根本に触れる問題なので、鋭意我々は研究を進めてか行つておるようなわけでございます。現実の来年度予算につきましても可なり上流について土砂或いは洪水時のピークを調節するような堰堤、そういうものについて考慮を拂つておるようなわけでございまして、重なる下流部だけをやるというような予算編成にはなつておらんことを申上げて置きたいと思います。
  25. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 只今次官お話でまあ月並みの御返答で私ちよつと面白くなしのですが、勿論砂防は必要で、赤木委員が毎百々々言つておるのですけれども、最近非常に砂防も進んでおることは事実でございます。併しながら今日砂防よりも事実において中流におけるところの土砂の堆積というものは非常なものです。これはもう二十二年度の大水害以来大したもので、これをしなければいけない。今利根川中流、渡良瀬川下流において数千町歩の田畑が冠水してしまつて、これは大したことになつておるんですが、砂防は勿論、根本的な問題です。又河川全体としての総合的な一つの大きな見通しに立つて一歩々々考えることも必要です。だが今日如何に農林省が補助を出して排水機を造つて河川がさような状態では何にもならない、どぶに金を投ずると同じことで、これはやはり建設省が本腰になつてこの問題と取組まなければ、地元と申しますか、そういう中流地区の農民は非常な奮激を以て建設省の立場を見ておると思います。そういう意味で私が申上げたので、その方面に関してどの程度予算を来年度は取るかということを一つお伺いしたいのであります。
  26. 中田政美

    説明員中田政美君) 農林省の農業水利土木等との関係において、建設省の本線を守るという点とは非常に有機的な関係がございます。それで農林省の施設が有効になるように、先ずその本線の堤防護岸というものを立派にして、農業用水上遺憾のないようにするということについては、もうこれは御説の通りでありまして、これらについてはできるだけの手当をして行きたいと思つておりますが、初めから土砂を片端から掘るということについてはなかなか大きな金が要ることでございまして、どうしても堆積した土砂を掘る必要があるというような諸点につきましては、十分浚渫的な仕事もやる。併しながら只今申上げます通り百年河清で上流から年々歳々流れて来る土砂を止めるということも、これが実は本当は根本になるわけであります。出たものも始末せねばならぬし、又出ないようにする、これが繰返し申上げます通り一体を成しているわけでございまして、上流中流下流共にできるだけ努力して行きたいと思う次第であります。
  27. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 一応御尤もな御答弁だけれども、今日渡良瀬川は五メートルの出水があつて五メートル水が出ておる。又遊水池は、遊水池は水を貯めるためにできているが、そこに又砂地が出ている、頭を出しておる、こういう実状です。それから茨城県の下館、猿島郡においてもみんな河川が高くなつて湛水になつている。こういうことを見ると、山の方の砂防も確かにそれは山から流れて来ることを防がなければならぬが、現実にそういつた問題で迷惑をするということは、これは農林省は排水溝を造つて呉れということについて請願されるから出す。出してもその金が生きて行かない。結局それが金をどぶに捨てるようなことになつてしまうことは、かかつてこの責任は建設省にあるのじやないか。そうすれば建設省はこの問題を農林省に対してそんなことをやつたつて何もならぬから補助を出さんで呉れ、私共が上流の方を漸次直すからそれは出さんで呉れというだけの御決心がない限りは、農林省が補助を出して、それを見ている限りは、私は政府は一体としてこれは解決しなければならぬ立場からして、建設省が特にこの問題は、今日の利根中流、渡良瀬下流の問題については、一番先に取上げてしまわなければ本当の意味河川対策は成立たん、こう思うので、是非その点においてどの程度今度は予算を取つてやるのか、心組みは分りましたが、具体的にどの程度予算を取つて浚渫問題にかかるかということをお伺いいたします。
  28. 中田政美

    説明員中田政美君) 御趣意の点はよく分るのでありまして、申上げることも方針の問題を申上げておるわけでして、ここで個々の個所の問題につきましては予算折衝過程でございまして、これをどこはどれだけ要求するということは、これは一つ御遠慮申上げたい、又別の機会に申上げたいと思います。御趣意の点については十分我々の方も考慮をして、又全国的に浚渫の必要あるものについては、その価値判断をいたしまして十分対策をいたしたい。ただ單に原則論ばかり申上げるわけではございません。
  29. 尾山三郎

    ○尾山三郎君 この機会に次官に希望を申上げて置きますが、先程来この河川砂防道路については、各委員から非常に有意義なお尋ねがありましたが、私はこの機会に戰災都市の問題についてお伺いしたいと思う。  御承知通り戰災を受けまして、今年はや五年になりますが、各都市においてはこの復旧はなかなか遅々として進んでおらない。そこで建設省でも五ヶ年計画を実施されて、一定の地域を指定して、五ヶ年で完成するという目的で進んで参りましたが、爾来この都市計画の復旧については国費から八割の助成を受けておる。ところが昨年からは、それが半分になつておる。それにいま一つ見積單価が非常に安いので、到底指定された区域の完成は、現在の見積單価というものでは、なかなか困難じやないかと思われる。地方によつては、その県の地方負担という、地方の独自の立場から経費を負担して、これらをやつておるというような状態でありますが、御承知のように地方税が改正されまして、今までの都市計画税がなくなつて、目的税というものがなくなつたのですが、一般の地方税から捻出することは、地方は、地方によつてのいろいろの事業の関係から、これにのみ頼るということはなかなか容易なことではない。私はこの戰災都市は災害を受けた最も大きなものである。これこそ、この復旧こそ一日も早く達成せなければならない。国としても重大要素であると私は考えておる。然るに戰災の復旧は、何か最近非常に忘れ勝ちになるような気配が我々には感ぜられる。年々この河川災害に追われ、復旧に追われて国といたしましても、予算関係措置については、非常に困難である。我々戰災を受けた都市から言いますれば、勿論河川その他の災害復旧と同様にこれは一日たりと放つて置くことではないと考えられる。どうか明年度予算編成においては、今申上げた單価の増額を認めて頂くか、さもなければ、補助関係においても、従前通り八割を主張して頂きたいと思うのでありますが、その大都市の、或いは神戸であるとか、横浜であるとか、或いは広島、長崎であるとか、特別都市法案によつて非常に恩典を蒙むつておりますが、中小都市の戰災を受けた都市はなかなかそういうふうに参らない。この点一つ篤と戰災都市というものについての御考慮をお願い申上げたい。これについての見解を一つお伺いしたい。
  30. 中田政美

    説明員中田政美君) 戰災都市の問題は忘れておるわけではございませんが、なかなか財政上の関係で、思うようにまかせんということは僞わらざる実情であります。昨年の再検討によつて、若干面積を圧縮したのも、できるだけ一つ早くやりたいという、一つの方法として決定した方針でございます。單価の問題につきましては、私も可なり各方面から、その問題の御要望を承つております。予算編成上なり、又成立した予算を運用する上においても、單価が現実の実情に即せない点につきましては、十分意を盡して善処したいと思つております。ただ補助率問題につきましては、いろいろな曲折を経て今日になつておりますので、来年度においてこれを高率に引上げることは、可なりむずかしいことではないかと想像いたしますが、前段の問題については、十分一つ考えたいと思つております。
  31. 田中一

    ○田中一君 ちよつと住宅金融公庫の第一回の募集並びに結果は分つておると思いますが、それを一つ次官から御説明つて明年度の国営住宅計画の大体を伺いたいと思いますが……。
  32. 中田政美

    説明員中田政美君) 数字的な問題は係の者が丁度参つておりますので御報告いたさせます。大体において住宅金融公庫の運用状況は開設まだ間もないことでございますので、今後の動向を把握する上においては今暫く様子を見なければ分らぬと思いますが、何と申しましても議会において法案審議中御議論になつた点は、どこまでもそれが隘路になつておるのじやないかと思つております、それが即ち二割五分の自己資金を持たなければできない、それから建築用地の比率の問題、都市計画区域内における制限の問題、まあありとあらゆる如何にもお役所らしい万全というところにおいて初めて貸せるという点が、個々のケースにとつて相当な隘路になつておるかと存じます。そこでこれらにつきましては昨日も住宅審議会を開催いたしまして、今後どうこの運営を眺めて行くかということを目下検討いたしております。結論が出ますれば更に改善、工夫を加えて、国民の要望に応えることにして行きたいと非常に努力しております。ただ一番問題はですね。不燃建築を奬励したいという点については、できるだけこれを堅持して行きたいという考えでおります。その他の点ではできるだけ国民の側に立つて、庶民大衆の便宜を図ろうじやないかという意味で、可なり條件の緩和について検討いたしております。これだけのことを申上げて置きます。後の数字は係の方から申上げます。
  33. 田中一

    ○田中一君 次の国営住宅についての構想をお願いいたします。
  34. 中田政美

    説明員中田政美君) 国営住宅構想といたしましては、これはどこまでも集団住宅でありますから、アパートを中心にして行くと考えております。これは不燃化の端であります。なかなか民間ではできません。況んや個人ではできません。公共団体にもおのずから限度があるということで、まあ国家的構想においてアパートを建設したいというのが狙いでございますが、詳細については専門の人が来ておりますので御報告申上げたいと思います。
  35. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 国営住宅構想につきまして御説明いたします。先程次官から御説明申上げました、二百億の来年の住宅予算の中に四十七億ばかり国営住宅を見ております。これは本年まで実施して参りました庶民住宅事業であります。この庶民住宅事業が段々恒久的な対策になつて参りましたこと、それから終戰以来資材の騰貴その他によりまして、昭和二十年から実施しておりますこの事業が、段々單価も増して参りました。その両方から今日家賃が大体木造におきまして千円以内、鉄筋コンクリート造におきまして、千五、六百円というところになつております。でこの家賃を今日の国民の所得、国民の経済力その他と比べまして、いろいろ検討して見まと、まだその所得が低くて相当のこの家賃に対しまして負担が重いという階層の方方が大体国民の一五%ぐらいあるように考えられるのであります。この統計はずつと毎年実施しておりますCPSの関係から調べたのでございますが、大体国民の一五%乃至一七、八%はこの家賃では相当負担が重い、こういうふうに考えられるのであります。そういう低額の所得の勤労者に対しまして何らか住宅を供給する国としてそういう政策を立てることが必要である、こういうふうに考えまして、今までこのブランクになつておりましたそういう階層の方に対する住宅供給の方策としまして国営住宅考えたわけでございます。国営住宅でありますから補助ではございませんで全額国庫負担といたしましてアパートを造りまして、その管理費、或いは修繕そういうもののみにつきまして家賃を算定いたしますと、大体三百円乃至五百円ぐらいで貸せられるようになると思うのでございます。で或る国民の所得を限りましてそういう低額所得の勤労者に対しまして国営住宅を供給したい、こういう考えでございます。
  36. 田中一

    ○田中一君 もう少し伺いたいのですが、三百円乃至五百円の家賃というものは大体何坪ぐらいのアパートですか。
  37. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 大体鉄筋コンクリート造でございますが、階段、室も含みまして一戸当り十二坪といたしたい、こういうふうに考えております。居住面積は十坪でございます。
  38. 田中一

    ○田中一君 重ねて伺いたいのですが、これはその三百円乃至五百円の家賃になるというのは大体国営住宅をお建てになつておる單価が幾らぐらいになつておるか。それからもう一つは、このアパートですね。曾て建築技術家の方々が従来のように美術を作るような考え方で、芸術品を作るようなつもりで弄んだのでは三百円乃至五百円では上らんと思うのです。従つて非常に従来我々が考えておつた観念よりも飛躍しまして、無論地震にも耐え、燃えない家、実用向な本当に国営住宅らしい住宅に持つてつて欲しいと思います。甚だ恐縮ですが、どういう施工とか、どういう設計で以てやるか、概略を伺いたいと思うのですが……。
  39. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 従来やつておりました庶民住宅の鉄筋コンクリート造の住宅でございますが、これも御承知のことと存じますが、従来の鉄筋コンクリート造に比較いたしまして特別の壁構造の様式を取つております。従いまして従来鉄筋コンクリート造の常識といたしましては鉄の使用量にしましても坪当り二百キロ程度使つておりましたものを、今までやつておりました庶民住宅も百十五キロ程度でやつております。非常に鉄筋コンクリート造としましてはもつと資材を少くし、又建設費も下げるという方針でやつて参りましたので、その單価は大体坪当り給水、ガス、その他すべて含みまして坪当り三万三千円程度でやつておるのでございます。で来年度予算はこれは非常に細かになりますが、御承知のように鉄、セメントその他も多少の値上りがありますので、その点も加味しまして、坪当りすべての費用を入れまして土地買收の費用その他も入れまして坪当り三万五千円程度はかかろうかと存じております。併しこの建設様式でありますが、様式は今度この対象とします住居者の職業の状態、或いは生活の状態、その他を考えまして、内部の装置その他につきましては新らしい工夫を凝らしたい、かように考えております。
  40. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 この不燃化住宅を普請するということは、大体大都市においてやるのだと思いますが、中都市においてもやる意思がないのかということ。もう一つは、機械化の促進を大いに、約百億の予算を組んでやる、誰かこの間質問をして、この機械化する予算を組むというと失業者を救済すべきところの公共事業としては、この失業者の使用量が減るのじやないかという質問があつたのに対して、いや機械化すれば将来仕事が殖えて失業者の使用量は殖えて行くだろうという御答弁があつたのだけれども、こういうことをただ概括的に百億も予算を取つて機械化することは結構だが、然らばこれを機械化することによつてこれだけの余計の失業者が公共事業費としての人間を使えるということの具体的の何か数字が出ておるのかということを御質問したいのです。
  41. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 前段の問題につきましてお答え申上げます。鉄筋コンクリート造の不燃のアパートは一昨年から実施いたしておりまして、その当時は試作的な意味合いにおきまして非常に僅かのものを建設いたしておつたのでございます。年々これが増加いたしまして、この二十五年度事業では約五千戸を建設いたしておりますが、この二十五年度かも可なり画期的に殖えましたので、これを建設いたします都市も大都市には限らず中都市、各府県に少くとも一棟程度は行くように、各府県庁の所在地には一棟ぐらいは行くように現在建設いたしております。併し二十六年度事業におきましては、もつとこれを画期的に増加いたしまして、更にできれば小都市まで実施いたしたい、こういうふうに考えております。
  42. 飯塚主計

    説明員(飯塚主計君) 建設事業を機械化することによつて直接工事に従事しておる労務者が相当減るということはこれは事実だろうと思います。併しながら機械の製作、或いは修理の面、それから輸送、或いはサービスというような面で相当の大きな人を吸收し得るということはこれは事実でございます。ただ御説のようにそうなつた場合の失業者の部門別の移動がどうなるかというような問題につきましては、関係する範囲が非常に広うございまして、実は建設省といたしましては建設事業の機械化という問題に著手したのは昭和二十三年度からでございます。機械化と申しましても全面的な機械化ということはこれは不可能でございまして、現在のところにおきましては、例えばブルドーザーを使うとか、モーターグレダーで道路を修理するというような程度で、而も所要の機械では殆んど十分の一も施設的に充しておりません。昭和二十六年度におきまして要求しておる百億の予算がまるまる入つたといたしましてもこれは全体の建設量から言つても、極く大規模な非常にむずかしい、人力ではなかなかし難いというような工事に振向けることになつております。而もこれはそういうような関係がございまして、只今正確な失業者の移動の数字というものはちよつと持ち合わして起りませんが、それにはいろいろな現在では仮定が入りまして、こうすればこうなるという計算でございまして、はつきりした数字につきましては、今関係者が通産省、或いは経済安定本部、それから建設省、或いは商事会社、或いは輸送会社というような部面の方々にお集まりを願いまして、どういうふうな移動状況を示すかということを研究中でございます。従いまして次の機会には或いはそういうような大体の数字を申上げることができるかと思いますが、これもはつきりした実績に基いた数字はなかなか出しにくいと思います。
  43. 石川榮一

    石川榮一君 只今機械課長の御説明を一応伺いましたが、この機械化を取上げるということについては、只今岩崎先生からいろいろの御意見がございましたが、現実の利根川状況等から考えますと、中流から上流方面に非常な土砂が堆積をいたしまして、河床は一水ごとに一尺乃至一尺五寸ずつも上つているのであります。従いまして河心がどこにあるか殆んど不明瞭であります。今日右岸の護岸を傷めたと思うと、その次には直ぐ左岸をやる。今まで考えておらないところの護岸百又水深が変りまして、護岸が破堤を呼ぶというような状況が水ごとに行われているのであります。この現実を私共が見ておりまして、どうも護岸費に毎年十数億の金をかけましても、河心を凡そ真直ぐにするような施策がなければこれは意味がないとさえ考える。そこで大きな規模の、大型の浚渫機械を造りまして、そうしてその台数等は私は専門家ではありませんから分りませんが、少くとも大型の浚渫機械を上流部に常時使用いたしまして、そうして利根の本流の水を、河心を中央に流れるように土砂の浚渫をいたしまして、その土砂を両岸にはりつけるというような手配をいたしますれば、水の量が多くなれば多くなる程、その水の力によりまして河心は真直ぐに中央を流れるということができ得ると思います。これには大きな機械力を要する。これはとても人力では絶対に不可能に近い。水ごとに土砂が右に左に動き廻つておりまして、恰かも川の中に大きな島が各地にある。その島の処置をとうするというような状況であります。特に八斗島附近の河川状況を見て頂けば分るのでありますが、これを速急に取上げて頂きまして、利根川の本線に、先ずここに大きな規模の浚渫機械、或いは浚渫船というものを据えつけて置きまして、この使用によつて、利根の河心を真直ぐして守つて貰う。これができますれば必ず私は護岸の方面は非常に経費が節約されると思う。従いまして護岸が確実でありますれば、あとは堤防の補強は要するに蒿上げで間に合う、護岸から必ず破堤を呼ぶのでありますから、そういう見地から私は機械化を利根の上流におきまして、土砂を両岸にはりつりけるような大規模の機械化を図つて貰いたい。こういう考えを持つておりますが、これに対するお考えをお聞きしたいと思う。これは利根川に限つたことではない、あらゆる大なる河川はそうだと思います。この点に対する御構想がありますかどうか、ありますとすれば成るべく速かにやるようにするか、それに対する予算をどのくらい要求しているかを伺いたいと思います。  次に水防の件につきましてお聞きしたいと思いますが、昨日も水防の問題がいろいろ取上げられた。今日まで水防費というものは、殆んど国も県も支出しておらないような状況であります。従いましてこの沿岸町村民が寄り集まりまして、そうして組合を組織してこの水防に当つておるのであります。実際の面から考えますと、経費の出費がなかなか困難でありますので、水が出る、直ちに各地から土俵を駆り集める、その他の資材を、その出水に直面しまして右往左往して掻き集めて、そうして一ヶ所の水防に当るというような、実に不統制な、不効力的な活動をしておるわけであります。こういうふうなことをいたしましては、今傷んでおります各地の堤防は、到底その水防のために救い得るということは困難であります。この水防の重大性は御承知だと思いますから、これに対して本年度明年度あたり、水防費に相当な費額を計上して置きまして、そうして県にもその水防費の計上を求めまして、少くとも資材その他それによる常設の小屋というようなもの、資材の置場というような、これらのものを挙げて国が中心になつて、府県がこれに協力しまして自治体に労力を奉仕するという程度に、一つ水防の完璧を期すような予算的な措置を講じて貰いたい。これに対しまして、明年度予算に、何か水防費に関する要求がしてありますかどうかをお伺いしたい。この二つの点をお尋ねします。
  44. 飯塚主計

    説明員(飯塚主計君) 最初の問題についてお答えして置きます。先程からも、河川の中流、下流に、非常に土砂の堆積が多い、これを放置して置けば、そこから破堤して沿岸の耕地が水滅するというような御意見でございまして、昭和二十三年度に建設機械という問題は大きな問題として取上げて参りましたけれども、それ以前からも大型のいろいろな浚渫船というようなものを河川に入れまして、そうしてこの堆積土砂を採掘しておつたことは今までやつてつたことでございますが、二十三年度から特にそういうような堆積土砂の酷い個所につきましては特別な浚渫船なり、或いは特別の掘鑿機械を河川へ入れてそうして現在掘鑿をやつております。例えば例を北陸の常願寺にとりますと、大体常願寺側の現在の河底は、耕地より八メートルくらい高くなつているというような、有名な現状でありまして、北陸数河川は、いずれも程度の差こそあれさような状態であります。この他いわゆる九州の山国川であるとか四国の吉野川であるとか、その他者河川が概ね程度の差こそあれ土砂が沖積している。これを低水位を維持する、できるだけ河底を下げるというような意味で、只今入れておりまするのは、大型、小型の浚渫船、それからタワー・エキスカベーターというような特殊な塔を建てまして、そうして塔からロープを引張つて、そのロープに特別なバケツトをくつつけて、そのハケツトを往復して土砂を掘鑿して川の中の土砂をすくいとるというような機械を入れております。将来そういうような、河底を下げるというような意味の機械は、できるだけ余計入れて行きたい、そうして河川のそういうような原因から破堤するというようなことをできるだけ少くして行きたいと考えております。
  45. 石川榮一

    石川榮一君 利根川に対しては、それは使わないのですか。
  46. 飯塚主計

    説明員(飯塚主計君) 利根川に対しては、特にということは今のところ考えておりませんけれども、利根川にはたしか現在三ばい乃至四はいの浚渫船が入つて、そうして土砂を浚渫しております。若しこれ以上に必要があるということになりますれば、これはできるだけ考えてみたいと思います。
  47. 石川榮一

    石川榮一君 上流にはそういう影は見えない。非常に土砂の放流の激しい鳥神流の利根の下流二里くらいの所は、非常に山をなしたような土砂が各地にあります。それがために護岸が非常に荒されて、あそこえ少くとも三、四はいの大きな浚渫船を持つてつて常時やつて頂きますれば、相当にこれは建設費も勿論かかりますが、今あれはやりませんと、上流は非常に危険を呼ぶと思います。今差当りやつておりませんようですが、将来是非速かにあの辺にそういう浚渫の機械を据えつけて頂くようにお願いをいたします。水防に関する御答弁をお願いします。
  48. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 水防につきましては地元の水防団の方々の御努力によりまして、大事に至らない前に水防活動が効を奏しまして、止めて頂いたことは私共としては非常に感謝しております。水防活動につきましても何らかの補助対策を講ずべきであるというので、最近年々水防小屋及び水防小屋に入れますところの機械の補助をいたしたいと思いまして毎年要求いたしておるのでありますが、水防法の建前上そういつた負担は地元で持つということになつております関係財政関係上で、なかなか財政当局の容れるところになつていないのでございます。本年度におきましても約六千万円程要求したいと思いまして安定本部及び大蔵省に要求いたしておるのであります。只今のところこれをどうするかということにつきましてはまだ決定しておらないのでございます。我々といたしましても今年度一つできるだけの努力をいたしてみたいと、かように考えております。
  49. 小川久義

    小川久義君 都市計画課長に……、先程話が出ました都市計画区域を縮少した。その縮少された区域は実施区域でなくなつた。それに対して農林省の意見を聞きたいと思いますが、それは建設省考えたことも聞いて置きたいと思います。それは農地である。ところが保留地として未だ処分されていない。都市計画区域から除外されたのであるが、農地の処分ができていない。これに対してどうお考えになるのかその点について……。  もう一つ住宅移転のことですが、只今縮少により住宅移転が取消になつた。その取消になつたものが換地を與えられておる。その取消になつたにも拘わらず二割五分の減歩を要求されておるというのですが、これは如何なる根拠によつてされておるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
  50. 八巻淳之輔

    説明員(八巻淳之輔君) 只今の点お答え申上げます。前段の点は区画整理区域内の農地の問題のようでございますが、先程来次官からお話がございましたように戰災区域の再減歩の結果、従来一億坪を対象にしてやつて参りました区画整理を会国的に八千五百万坪に縮少したわけでございます。お尋ねの都市計画区域内の農地の問題とはちよつと直接関係がないと思うのでございますが、お尋ねの点の都市計画区域内の農地の問題について都市計画との関係でどういうふうに調整されておるかということだろうと思うのでございますが、その点につきましては都市計画区域内におきまして農地として買收する、つまり農地として開放するという区域と、それから五ヶ年間農地としては解放しないで、現状は農地でございますが五ヶ年間農地として開放しないで様子を見る、都市計画的に宅地になるかどうか分らん、なるかも知らんが様子を見るという、いわゆる五ヶ年保留の区域というものと、それからこれは農地として適当でないというので除外区域、いわゆる農地として開放しないという除外区域というものを設けたわけでございます。で、お尋ねの点の恐らく問題は五ヶ年保留地域という所であろうと思うのでございますが、五ヶ年保留の地域につきましては、これは各府県の都市計画関係者と農地委員会の関係者とが集まりまして合同審査会を作つて、この地域は大体五ヶ年間様子を見ようじやないかということで保留区域を指定したわけでございます。で、現在その保留地域というものは農地にもならない、又市街化もしないというような中途半端な暫定的な土地になつておるのでございますが、今後それが宅地化するということでありまするというと、宅地化するような手続を経まして、農地から宅地に転換するという手続が取られるわけでございます。又五ヶ年後これが依然として現状農地のままでやはり宅地化しないということでありますれば、今度ははつきりと農地として開放するというようなことでございます。  それから後段の区画整理区域から除外された、いわゆる八千五百万坪に縮少されまして、その結果区画整理の対象から除外された区域につきましても減歩を受けるのはおかしいじやないかというお話でありますが、この点は除外されておりますから、そこの点につきましては区画整理は行われないということになつて、従来たまたまそれについて換地化設計が行われておりまして、そうして二割五分乃至三割の減歩があつたとしましても、その減歩につきましては区画整理をやらないということになつたのでございますから、これは元通りに還元するということになつて然るべきものだろうと思います。ただ然しながらこれは区画整理の施行者、即ち市町村合体が国の援助を仰がないでも自分自体としてやりたいというところつにつきましては、依然として区画整理区域内に含まれるであろうと思いますので、その点につきましては区画整理は続行する、こう思うのでございます。先程申しました一億坪を八千五百万坪にするということは、つまり国庫補助の対象としての区画整理区域というものが国の財政事情から申しまして八千五百万坪に減らすということでございまして、市町村自体の財政においてそれ以上にやりたいというところにつきましては、依然として区画整理は続行しておるところがあるかと思います。さように御承知を願います。
  51. 小川久義

    小川久義君 具体的に重ねてお問いしたいと思いますが、富山市の問題でありますが、富山市は御承知通り三百数十万坪で初め計画された。それが百七十万坪に減つてしまつた、今の計画は。従つて後の半分近くのものは市としてもやる能力はないし、又県としても県自体の力でやる段階ではない。従つて先程申しました保留地は前も農地で今も農地でございます。ところがその五ヶ年保留地になつたことによつて年間これは農地として利用しながら進んだ。従つてその五年後に何か価格の変動があるという話なんです。そうしますとこういう五ヶ年間保留地に指定されたことによつてそれに対して出した費用までも加算された地面を買わされるということは、耕作農民である所有農民に対して不当なことである。国が計画してそれを止めた、止めたことによつてそれにかかつた費用までが農地に加算される。こういう無駄なことがなければ農地改革によつてすでに自分のものになつてつた。かようなことでは何にも知らん農民に負担を担わせることになる。果して五年後にそれが開放され、父農地改革法によつて自分のものになるときに値段の相違があるのではないか、この点を重ねてお伺いしたいと思います。
  52. 八巻淳之輔

    説明員(八巻淳之輔君) 非常にむずかしい問題だと思いますが、これは農地価格は農林省が一応買上げて、そして自作農民に売るというわけでありますから、その価格の決定は農林省が行うわけであります。恐らく私の知る範囲では農林省は一般の自作農創設の価格で売るのだろうと思います。ただ併しその間区画整理を施行することによつてその区画整理組合員といいますか、あれは組合の形でやつておりませんから紹介員に費用の負担がかかるということはないわけでありまして、費用の負担といいますか、負担がかかるといえば、減歩の問題だけだろうと思う。減歩の問題がなくなれば費用を負担するという問題はないのではないかと思うのでございますが、その点どうも……。
  53. 小川久義

    小川久義君 私の問い方が惡かつたと思うのでありますが、この都市計画に対する費用が保留地を開放するときに、その費用が加算されるか、されんかということですね。それから農林省で価格を決めることは分つておるのですが、それによつて価格の変動があるかどうか。都市計画に要した費用が農地に加算されるということがあるか。もう一つそういう場合に減歩というものは何故生じて来るのか、都市計画指定地として指定されておつたものが取消されたのですから、減歩というものはあり得ないと思う。それはどうなるのか……。
  54. 八巻淳之輔

    説明員(八巻淳之輔君) 減歩ということは都市計画をやらないということになれば元に還元するわけで、減歩ということは御破算になるわけであります。  それから区画整理の費用を住民が負担するかどうかということはこれは組合施行の場合でありますれば、組合員が負担すべきである。これは市町村行政庁が施行すれば、全部行政庁の負担においてやる仕事なんであります。従つてその個々の構成員には負担はかかつて行かないわけであります。つまり税金の形では負担はかかつて参りますけれども、ただ問題は著し区画整理をやります場合には減歩という形で百坪のものが八十坪に減る、……二十坪供出するという形では負担があるわけであります。御承知のように区画整理はやらない、元に還元するということになりますれば負担はかからないことになります。
  55. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 これは先程来お話になりました五十里堰堤、銅山川の上流、又江戸川開発ですが、そういういわば川幅を拡げる問題、そうすると湖底に沈む村の人達の問題、それから川幅を拡げるために川の流域に住んでおる人々が追立てられるということに対する賠償、こういつたことについてどの程度まで考えておるのか、どの程度まで進行しておるのか、それを伺いたいと思います
  56. 伊藤剛

    説明員(伊藤剛君) 堰堤とか河川工事によつて生じました土地買收の問題でございますが、江戸川の例で申しますと、非常にはつきりしておりますから例を以てお話したいと思います。江戸川の場合は約二百町歩ばかりの土地が河川敷地になるわけで、これは何としても買收しなければならんわけですが、その地元の農民に対しましては別個に新らしい耕地を用意いたしまして希望者はそちらへ行つて貰う、それからいろいろの親戚の関係、或いは自分の意思によつてそれが望ましい場合は適当な価格でその土地を買收する、どちらでもよろしい、こういう方法で今交渉中でございます。
  57. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 適当な価格というものは……。
  58. 伊藤剛

    説明員(伊藤剛君) 適当な価格を分析いたしますと、やはりその土地について收穫高に応じましてキヤピタライズした場合値段があるわけであります。その他土地とか何かを、住宅その他を改築する必要がございます。それから買收期間中或いは工事期間中営業ができない場合、そういう者に対する何といいますか営業補償その他それに類することは全部補償の中に繰込むことになつております
  59. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 具体的にまだ出ていませんな、そういう計画は……。
  60. 伊藤剛

    説明員(伊藤剛君) まだ見返資金の放出が確定しませんから、秘かに内交渉をしておるのはあるかも知れませんけれども、公にはしていないと思います。
  61. 石川榮一

    石川榮一君 今のに関連してもう一つ伺います。江戸川改修は見返資金によつてすでに地建の方から関係者を集めまして或る種の指示をしております。私共それに立会つております。宝球花の市街地は殆んど全地区移転であります。その期日を伺いますと、来年の三月一杯に少くも百三十五戸移転して欲しい、更に附加えましてできるならば四百戸全部移転して欲しい、こういうお話であります。そこで地元の人達は非常に覚悟はしておりましたけれども、期日の早いのに当惑しております。然らばどこに移転するのかということを聞きましたが、これから上を埋めでそうして住宅地を求めてそこへ行つて買うのだと、こういうお話でございます。その方はどのくらい進んだかと申しますと、今着々調査中である、こういうようなお話であります。一方見返資金の方の関係は少くも十月末までにその買收が成る程度まで行われなければならん、まあ或る程度まで移転ができるという見通しをつけませんと見返資金に対する監督がやかましいので困るというふうに後ろから追立てられているところでございます。只今伺いますと、自分も伺つておるのですが、江戸川の見返資金は未だ留保されておる。留保されておるのに十月三十一日までに或る程度まで移転して欲しいというとことに追いつまつておる。そういうことになりますと、或いは十月一杯に見返資金の建前上或る程度の移転の見通しがつかなければならないことになるのですが、更にその敷地は未だどこというてはつきりした見通しがないのであります。従つて地元の方には対策委員会を開いて非常に研究しておりますのです。一方見返資金は今お活のように解除になつておりません。一方で解除になれば十月一杯までに移転しなくちやならん、こういうようなジレンマに陥つております。こういう点から考えまして見返資金を急いで解除して貰うと同時に、一つ建設省ではこの予算に囚われないで、地元の方々が数十代住みなれたところを、集団的に都市の形になつたものが又他に移らなくちやならんという場合、非常に地元民としてはつらいことと、これは財政的な援助は勿論でありますが、精神的な面からも相当心配してやらなくちやならんと思うのであります。若しこれが惡化いたしますと、これは断じて江戸川改修は不可能であります。又これを例に取りますと、各地に利根の敷底が行われましたが、これも困難になります、全国的に起る問題だと思うのですが、今までよく国の方針であるから止むを得ず行政的にこれを移転させるのだ、或いは土地の收用法にかけてもやるのだというふうな嚇しが少しでも見えますと、今日の民主的な考えを持つ住民は断じて応じません。そういう非常にデリケートな問題でありますから一つ金額その他につきましては私共ここで單価幾らということは申しません、要は思い切つた価格でやる、金では救えないことですが、金以外に解決の方法がない、従いまして地元民の苦痛とするところのものをよく察知いたされまして彈力のある政治的な金の支出をして貰わなくちやならんときが来る、そういう心構えでただ單価を幾らと見るということは標準上止むを得ませんが、その解決にはなりません。この点をよくお考えになりませんと今取上げられております江戸川のごときも直ぐ暗礁に乗上げます。その点は十分お考えを願いまして單価に囚われず、地方全体の利益も考え、或いは宅地としての適地か適地でないかよく考え、若し不適地でも止むを得ず移転して貰うというような場合には思い切つた賠償をして上げる、金の面でなぐさめて上げるというような親心を持つた施策をとつて貰いたいと思います。勿論これは地建の市町村等にもお願いしておるのでありますが、特に本省におきましてもこの点につきましては遺憾のない施策を立てて頂いて、彈力のある涙のある收用をして、買收をして貰いたいという点を慫慂して貰うようにお願いいたします。金額の点につきましては、細かいことは申しません。要するに要求が地元から出ます。その要求が余りにも個人的な要求ならば、私共も介在しておりますから、そういう点については心配いたしますが、地元民が本当に妥当と思うような、本当に心から救済を求めるようなものに対しては、思い切つて一つ支給をして頂くように心覚えを決めて貰いたいと思います。これは部長さんばかりでなく、大臣等にもよくお伝え願いたいと思います。この機会ですから今差当つて江戸川の問題は問題になりつつありますから、お含み願いたいと思います。これは私の希望でありますが、一つ善処して頂くようにお願いします。
  62. 伊藤剛

    説明員(伊藤剛君) 今度の治水事業を推進いたします場合に、先ず第一の問題はやはり用地の問題だろうと思います。江戸川利根川に限らず、今後改修に着手するという、そういうところの用地の問題が片付かないために止むなく工事を中止するような所もございます。我々といたしましても、地建にのみその責任を任せずに、大いに常に協力し指導してやつている次第でございますが、若い公務員がまだそのような事業に慣れませんので、或いはいろいろ時日をせかしたりするようなことも多かつたかも知れませんが、その点を十分注意して行つて円満にやつて行きたいと思います。この機会にこの席には地元のことに非常に明るい各位がおられますから、そういうようなむずかしい問題につきましては、是非一つ御指示御協力を願いたいと思います。
  63. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 大分遅くなりましたから、この程度にしまして会議は閉ずることに如何でございますか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 柴田政次

    委員長柴田政次君) それでは。
  65. 小川久義

    小川久義君 閉会に異議はないのですが、折角陳情に見えておりますので、お気の毒ですが政府側もこのままでお残りを願つて陳情聽取した方がいいと思います。
  66. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 承知いたしました。
  67. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 今の発議は異存ありませんが、次の機会、これはどうですか。大体の見当はついておりますか、まだですか。
  68. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 次の機会の見当はまだついておりません
  69. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 実は先程から住宅について、種々御質問ありましたが、私共住宅金融公庫の問題は到る所評判が惡い。実は自分としては総裁が近しいですから……。実はこれを設けた本旨がもう少し徹底しないというと、折角拵えたその意図を失することになり、困りますから、それについて若し最近お開きになるならば別ですが、そうでないとすると、自分だけで一つ折衝して見たいと思います。
  70. 柴田政次

    委員長柴田政次君) 先程建設次官からも住宅金融方面の問題について、いろいろお話つて審議会をしておる。もう十分に各方面の御意見も得、又利用者に対しましても、できるだけの便宜を図つて行きたいというお話でございましたから、これは少し政府の考え方、或いは審議会の方法によつて一つ御了承願いたいと思います
  71. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 御了承するのですが委員長から答弁を求める意思はない。委員長から代弁して貰うのも恐縮だから、この点については一つ大きな問題でありますから、余り私らの騒ぎ立てることも考えなければならぬ。又どうも船頭多くして舟山に上るというようなことでは困る。審議会ばかりやつてつて、当の罹災者が今において人の納屋に住んでおるというような者が多少ありますから、そういうような者に対して万遍なく便宜を與えてやるということでなくちやならないと思いますから、若し次の開かれる機会があるならば、その機会を利用しようと思つておりますから、そうでないと自分は自分だけで一つ折衝して見ますから……。
  72. 柴田政次

    委員長柴田政次君) そのことは又後程残つて相談いたします
  73. 田中一

    ○田中一君 この都市の甲種防火地区に対する耐火構造建築の助成金の問題は、今度の予算に御考慮願つておりますか、伺いたいと思います。
  74. 植田俊雄

    説明員(植田俊雄君) 先程も次官から申上げました通り、今年度の二十六年度予算におきまして、只今お話の点について補助金を要求いたしておりますが、で、その額につきましては、只今要求の基礎としましては、木造建築と鉄筋コンクリート建築との金額の差額の二分の一を補助するという案でございます。これは一応建設省の案でございまして、予算折衝の過程におきましては、大蔵省と私共との話合いでどういうようになるか分りません。まあ金額にしましても、二十数億要求いたしておるのでありますが、これも財政の都合もございますので、どういうことになるか分りませんから、私共としましては、少くとも二十六年度予算で頭を出して貰いたい。将来は予算として大きくなる予算でございますが、少くとも二十六年度からは実行できるようにやつて貰いたいということを交渉しております。これも或る程度見通しもあるのじやないかというふうに私共も期待いたしております。
  75. 柴田政次

    委員長柴田政次君) よろしうございます。ちよつと建設省の皆様はお残り願いたいと思います。それでは本日はこれにて閉会いたします。    午後一時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     柴田 政次君    理事            岩崎正三郎君            小川 久義君    委員            石坂 豊一君            石川 榮一君            尾山 三郎君            田中  一君            島津 忠彦君   説明員    建設事務次官  中田 政美君    建設省河川局治    水課長     伊藤  剛君    建設省監理局建    設機械課長   飯塚 主計君    建設省大臣官房    会計課長    植田 俊雄君    建設省住宅局住    宅建設課長   鎌田 隆男君    建設省都市局都    市計画課長   八巻淳之輔君    経済安定本部建    設交通局次長  今泉 兼寛君