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1950-07-29 第8回国会 参議院 外務委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十五年七月二十九日(土曜日) 午後三時五十八分開会 ――――――――――――― 本日の
会議
に付した事件 ○
講和
に関連する諸般の
基本方策樹立
に関する調査の件 ―――――――――――――
櫻内辰郎
1
○
委員長
(
櫻内辰郎
君)
只今
から
外務委員会
を開きます。 本日は
外務大臣
に対する
質疑
を行ないます。
質疑
は
通告順
によ
つて
許可いたします。
伊達源一郎
君。
伊達源一郎
2
○
伊達源一郎
君 私は
講和
問題その他二三の問題について
外務大臣
にお尋ねしたいと思います。 第一に、
講和
の問題でありますが、セパレート・ピース、マジヨリテイ・ピースとか言いますものは、早期に締結されることの必要なことは痛感いたしているものでありますが、ここにお尋ねしたいことは、
單独講和
を締結いたしますと、それが米国、英国その他
ソ連勢力
の外にある
国々
によ
つて單独講和
が締結されますと、その後で今度は
ソ連側
から
單独講和
を申込んで来ますと、そのとき
日本
はそれを拒否することはできない
立場
にあると思ひます。そういう場合に
英米
は
日本
のために不利なる
講和
が締結されないように努力して興れることができますかどうか。
ポツダム宣言
及び
降伏條
約等によりまして、
日本
の
立場
というものはそういう場合どういうふうになるものであるか。
單独講和
なるものが一方で締結され、
他方
で
要求
され、その間に又食い違いが起
つて
来ましたときにどういうことになるか。例えば
英米側
におきまして、或る領土を
日本
に与えてもいいというような話合いができたときに
あと
で他の側においてそれに
反対
の
要求
が出ましたとき、果してどういう工合にそれを持
つて
行くか、先ず第一にその点についてお尋ねしたいと思います。
吉田茂
3
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 私の申す
單独早期講和
というものがどういう形で出て参りますか、或いは今
お話
したような場合にどうなるかということは、全然前途に対する見通しだけの話で、今日、私はこうなるであろう、こういう事実があるからこうなるであろうという確とした
お答え
はできませんが、併し思うに
想像
いたしてみますと、
全面講和
であれば、誠に結構な話であります。併しながら、第一
連合国
が共同をして
日本国
に
單独
でやるか
全面
でやるか、とにかく
講和
は
連合国
が
連合
してそうして
日本
に対して
提案
せられるものと私は
想像
いたします。その場合に
全面
でやるか、
單独
でやるかということであ
つて
、問題は先ず第一に
連合国
の間に議がまとまらなければ、
日本
に対する
提案
というまで進まないだろうと思います。 さて
連合国
の間にどういう何が話になるか、現在はやや
ソヴイエト
、中国と
対立
しておるといいますか、とにかく
ソヴイエト
と
英米
とは
対立
しておるような
状態
でありますが、その間にどう話がまとまるか、それは私においてこうであろうと
想像
だもできないような
状態
でありますから、
お答え
しにくいのであります。
伊達源一郎
4
○
伊達源一郎
君 次に、
日本
の無
防備
の
状態
についてお尋ねしたいのでありますが、
武力
を持たない
日本
ということが
憲法
に規定されますときに、私
想像
いたしますに、
国際連合
というものが
考え
られたであろうと思います。それを
考え
ずしてああいう
憲法
ができる筈がない、
国際連合
が成長し、発達して行けば、他
日日本
がそれに係わればそこで
日本
の
防衛
ができる、
安全保障
ができるという
考え
くらいはあの
憲法
を作るときに
考え
られたことであろうと思いますが、それが
ソ連
の
拒否権
の
発動等
によりまして、
国際連合
の
成長発達
が非常に遅れて、そうして
世界
の危険な
状態
はどんどん進んで来たのではないかと思いますが、その
国際連合加入
ということが
日本
のように
武力
を持たない、
国際連合
は
武力給付
によりまして立
つて
行く
団体
でありますが、この
武力
なき
日本
が
講和條
約ができて独立の
状態
になれば
国際連合
に入れろという
見込み
があるか、どういう
理由
によ
つて
入れるのか、或いは入ることが非常に困難であるか、その点について
大臣
にお尋ねしたいと思います。
吉田茂
5
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 現在の
憲法制定
のときには、
国際連合
に入れるや否やというような問題をも
考え
て
憲法
を制定したというのではなくて、とにかく
日本
としては
戰争
争を放棄するがいい、
戰争
を放棄することによ
つて自由国家
及び平和を愛する
国家
が
日本
に同調する、
日本
を加勢する、或いは、今まで
日本
が
軍国主義
であるとか、或いは再
軍備
をするとかいういろいろな懸念、若くは誤解を持たれ、又
疑い
を持たれたこの
国家
として、とにかく平和に徹底するという
憲法
を作ればいいというので出発いたしたので、然らばその
安全保障
はどうするか。これは
お話
のように、
国連
によるか、或いはその他の方法によるか。
講和條
約がある場合に
安全保障
のない條約は
想像
ができないのでありますから、この
講和條
約の際に如何にして
日本
の
安全保障
をせられるかということは、
講和條
約のときに
列国
の間で討議する問題であろうと思います。とにかく
国際連合
というものは
国際連盟
と同じように
世界
の平和を擁護し、若くは助長するという
目的
で出たのでありますからして、その
考え
ておるところは
世界
の平和、
世界
が誠に平和を楽しみ得る、申せば理想的の
状態
になるということを最局の目標として
国際連合
ができ、その
連合
には
国際連合
を
作つた人
も、それから又
日本
が平和に徹底する国にな
つて
欲しいという
希望
は
結論
において一致しておるのであります。併し、そこに到達するのにどういう道を通るかということについては、
日本憲法制定
の当時にはむしろ
議論
を慎んでお
つたの
であります。徒らに将来のことについて
議論
をいたした結果、
列国
の
疑い
を招いてはよろしくないという
考え
で、
当局者
としても言論は慎んでお
つたの
であります。故に、
連関
があると言えば、
思想
的には
連関
があるとも言えます。併しながらその当時は
国際連合
に入るということを
條件
としてあの
憲法
を作
つた
わけではなか
つたの
であります。
伊達源一郎
6
○
伊達源一郎
君 次に、
基地
の問題についてお尋ねしたいと思いますが、
基地
を提供すればそこに
軍備
ができるということは必然のことでありますけれども、
外国
の
軍備
は
基地
を有効に動かすということであ
つて
、その
目的
が
日本
を守るということではないと思います。
基地
によて
日本
は安全を保障されるかどうかということが非常な疑問であると同時に、
基地
を置くということは大きな戰略上から出て来る問題でありまして、若し
基地
を
日本
に設けるうちに戰略に大きな変化を生じて、その
基地
が不用に
なつ
たときは、
安全保障
と何らの
関係
なく
引揚げ
てしまうのが当然であろうと思います。そういうときに
基地
の
考え
と
安全保障
という問題はどういうふうに結び付けられておるのであるか、この点を……。
吉田茂
7
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
日本
が
防備
を撤廃して、そうして
戰争
を放棄するということを
希望
した。若し
連合国
において
希望
したとすれば、それは
日本
において
基地
を設けたくないという国の話なのであります。即ち
日本
をして
戰争
に介入せしめないようにという
考え
を持
つて
お
つた
ろうと
想像
します。現にこういう話があ
つた
ということは私は申せないけれども、併しながら
日本
を
戰争
に介入せしめたくない。
従つて基地
の問題も
考え
たくないという国が、
日本
が
防備
を撤廃ということを
希望
するという
結論
に到達しただろうと思います。そこで
基地
の問題になりますが、この
基地
と
安全保障
とどうなるかということは、これは具体的の
議論
が起
つた
ときに、例えば
講和條
約において
安全保障
を
列国
が保障すると申しますか、或いはその場合に傑作として云々ということがあれば、そこで
軍事基地
が問題になりますが、今日においてはまだ
軍事基地
を
日本
に
要求
する国もなければ、又むしろ
軍事基地
を設けない方がいい。少くとも
日本
の四つの大きな島には
軍事基地
を設けたくないという国の
議論
の方が多いのであります。
従つて日本
に、この土地を、例えば
横須賀
なら
横須加
を
軍事基地
として貰いたいという
要求
、
提案
は少しも出ておりません。故に将来のことを
想像
いたして私が
安全保障
と
基地
はこういう
関係
であるということは申し難いのであります。
伊達源一郎
8
○
伊達源一郎
君 次に、
警察
の問題でありますが、今度
警察
の
予備隊
が作られて、それによ
つて日本
の混乱を防ぎたいということと思います。又一面には微弱ながら
防備
の用意を持たせたいということもあろうと思いますが、仮にその
警察
が或る
武力
を持
つた
といたしましても、大体
警察
なるものは本当の
意味
における
武力
でありません。
従つて
この
武力
の
裏付
のない
警察
というものが
日本
の安全のためにどれだけの役に立つものであるか、非常に心細い
感じ
がするのであります。今後の
日本
は可
なり心配
な
状態
にあると思いますが、殊に
内部
の
撹乱
ということが相当強く起
つて
来ることが
想像
されますが、そのときに
武力
の
裏付
のない
警察
というものに
日本
の外的でなくしても、
内部
の
撹乱
を防いで安全なり得るというお
見込み
がありますかどうか、その点を伺います。
吉田茂
9
○
国務大臣
(
吉田茂
君) この
警察予備隊
の設置の
目的
は、
新聞
その他で
政府
も廃表いたしておりますからお分りと思いますが、
朝鮮
においてのごとく、突然いわゆる挑発せられたる、
侵略軍隊
が入
つて
来た。そうして今のような
状態
に
なつ
た。それに対して
国際連合
が
警察的措置
としてあの
軍隊
を送
つて
そうして
警察的措置
以上のことにな
つて
おるのでありますが、併しながら性質は
警察的措置
ということを
言つて
おります。よ
つて以
て
世界
の平和を
維持
しよう。若し挑発されたる侵入が行われた場合にこれを看過して置く、うつちやらかして置く、そうして既成事実の成立するに任せるということをしたのりが第二次
世界戰争
の勃発したゆえんであるが、第三次
世界戰争
を防止するためにはうつちやらかして置くわけにいかん。
国際連合
として
警察的措置
として
軍隊
を繰り出すという現在の
状態
にな
つて
おるのでありますが、そこで
国際連合
及びこれに加わ
つて
おる
加入国
も
世界
の事相を擁護する、うつちや
つて
おかない。断然たる
措置
をとる、敢然としてこれに向うというのが現在の気分であろうと思います。この
集団的平和保障
といいますか、この
気持
が存在しておる限りは、
日本
の安全も一応これによ
つて
保障せられるわけであると私は思うのであります。
従つて
今度の
予備隊
ということは、全然
日本国内
における
治安
の
維持
、
国内
の
安全保障
という
意味合
で、いわゆる
侵略
的のものでもなければ、或いは又いわゆる
国際紛争
を解決する手段として置くわけではなくて、全然
日本自身
、
日本国内
の秩序を
維持
するという
目的
で以て
政府
として置くつもりでおります。
櫻内辰郎
10
○
委員長
(
櫻内辰郎
君)
金子洋文
君。
金子洋文
11
○
金子洋文
君
吉田総理
の
施政演説
で、
全面講和
と中立を唱えた
人々
を空念仏だ、こういうふうに揶揄された。私の
考え
では
單独平和
に傾いておる
人々
の
議論
はどうも平和の山を見
失つて
、鹿を追
つて
おる愚鈍な猟師の行為とよく似ておるような
感じ
がする。
社会党
の
全面講和
を
笑つており
もしたが、どうもよく分
つて
いないような
気持
がするのです。我々としては飽くまで
中和
の山を見
失つて
はならない。
日本
を戰場化したくない、こういう
考え
から、これが一点、もう
一つ
は
講和
によ
つて経済
の自立を確保したい。この二点だと思います。我々の主張する点は……。で、
衆議員
の
彌次
においては、それじや君らはどつちに行くのだ、すぐ
アメリカ
かに付くのか、ロシアに付くのか、こういうような
彌次
が飛びますが、我々の
考え方
は結局この
対立
と呼いうものは、まあなかなか永久に解けないもの、であるからむしろ我々は争いがなくな
つて
、政治的な妥協ができて併存するという形が非常に
日本
にと
つて
もよい。であるから併存するということを乱さないような
講和
を我々は望んでおるわけであります。飽くまで平和を守りたい、こういう
観点
から二、三の
質問
をいたしたいと思いますが、本
会議
における
質問
中で、
吉田総理
は
大山郁夫
君の
質問
に対しまして
特定
の国に
軍事基地
を貸した、貸すという
言明
もしないし、何人にも約束しない、こうおつしやいました。それは当然であるし、その通りと思いますが、にも拘わらずどういうものか、
内外とも
に
吉田
さんは
軍事基地
を貸すつもりでおるのだ、肚はそう決ま
つて
おるのだという声は消えて行かない。而も
反対
に
吉田
さんはそういう
考え
を持
つて
いない、飽くまで平和を守る、
軍事基地
を貸す気はない。こううい声が一向に起
つて
来ない。これは
内外
に不信と不安を高めて非常に遺憾なことだと思いますが、どうもこれはこれまでの
吉田総理
の
言明
の何か繋がりがあるように思うのですが、その点
総理
はどういうふうにお
考え
にな
つて
おるかということと。もう
一つ
はこの際
勇気
を振
つて軍事基地
は貸すつもりはないと、こういうお
考え
を
内外
に声明なさ
つた
方がよいように思いますが、この二点についてお
考え
を伺いたいと思います。
吉田茂
12
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 私は
軍事基地
は貸したくないと
考え
ております。
はつ
きり申しますが、併しながら今日実際問題として
社会党
の諸君が宣伝して下さるようにですね。
單独講和
の餌に
軍事基地
を提供したいというようなことは、事実毛頭ございません。
従つて
又今のような
お話
に対して実は答える
勇気
もないのでありますが、私は、故に、
日本
に
只今
お話
したような
軍事基地
を
要求
するという
気持
は
連合国
においても先ずないものだと、ただ
世界
の平和をどうするか、東洋の平和をどうするかということについては
考え
がありましようが、併しながら
日本
にこの点あの点と、例えば
横須賀
を
軍事基地
に貸すとかいう話が
新聞
に出ておりますが、そんな
要求
は一度も受けておりません。それで個人の
希望
とか
意見
は別としまして私の
想像
するところでは、
要求
する気もなければ、成るべく
日本
を
戰争
に介入せしめたくないというのが
日本
に
平和憲法
といいますか、
戰争放棄
の
憲法
を拵えるがいいと
希望
した
連合国
の
希望
だろうと思います。これを全体から言えば
世界
を平和な
世界
にしたい。
戰争
を再び起させたくないという
考え
から先ず
日本
が率先して
戰争放棄
をするがいいと、それで
世界
のいずれの所にも
戰争
は起らないように
戰争防止
及び
中和擁護
をする。
日本
がその先駈けになる、その先駈けになる
日本
に対して
戰争
に捲き込まれるような虞れのあるような問題は出さないのが常識であろうと思います。故に
軍事基地
の問題について具体的な交渉は曾て受けたことはないのであります。
金子洋文
13
○
金子洋文
君 実はその
お答え
を得たいために今まで何遍もこの
質問
を重ねるたびに、
総理
は仮定の問題であるからこれは答えられないとお逃げに
なつたん
ですが、今日のお
言葉
で
はつ
きり、いたしまして私もこれ以上追求いたそうといたしません。ただ何となく
総理
がこの
軍事基地
を貸すような
考え
を何か隠蔽してお
つて
、そうしてその心理的なものがこう非常に搖曳するような
感じ
がするので、
国民
はどうも
吉田
さんは
軍事基地
を貸す気でいるんだ、こういう
考え方
が非常にあると思うのです。この今日の
お答え
で、これが
国民
全体に伝わると、又
考え方
が余程違
つて
来ると思うのです。その
意味
で私は今日の御
答弁
に敬意を表します。もう
一つ
は、これは
さつき
の衆議院の
総理
の
お答え
でもよく分
つて
いることですが、まあここは別個ですから改めて聞きますが、
義勇軍
の問題です。どうも
義勇軍
という
言葉
は、大国が言うと聞えがいいのですが、今
占領下
にある
日本
の人間が
義勇軍
なんと言うと、何か
植民地
の
軍国主義
でも何か象徴しているような
感じ
がして、甚だみつともない、こういうみつともないことを閣僚が
法律
上でしようが、迂濶に
言つて
おる。
憲法
に背反しないようだなどと
言つて
おる。これはこれまで
総理
が、
日本
の
安全保障
はむしろ
軍備
がない方がいい、これが一番の
安全保障
だ、これは私も賛成なんです。そういう
総理
のお
考え方
と全然
大橋法務総裁
の発言は食い違
つて
おると思う。これは
是非一つ
お叱りを願いたいと同時に、尚
総理
のお
考え
を
一つ
聞かして頂きたい。
吉田茂
14
○
国務大臣
(
吉田茂
君) どうも内閣不統一でありまして、(笑声)叱
つて
もなかなか何ですが、私の
義勇軍
に対する
考え
は国会でもしばしば申しておりました通り政治的に、專ら政治的に
考え
ておるのであります。
法律
的に
考え
ておるのではないのであります。
大橋
君や何かの
考え
は
法律
的に
考え
ておるのだろうと思いますが、私は
さつき議場
で申したように、
日本
に対して非常な疑惑があります。極く端的に申せば、オーストラリアにしても或いはニユージーランドにしても、近マニラにしても、
日本
の
太平洋戰争
のときに酷い目に
遭つた国々
から見ると、いつ何時ぱかつとや
つて
来るかも知れない。再
軍備
とか何とかいう話が、今
お話
のように肚の中にあるんだろうと
言つて
、
顔付
で
想像
せられる場合も随分ありますし、又不用意にでありましよう、話をする人も少くとも戰前においてはあ
つた
であろうと思います。そこで
日本
は成るべくそういう
疑い
を増す、若しくは再発せしめないようにするのが得策中であり、これによ
つて日本
が真に
国際団体
の一員として歓迎せられるに至ると思いますから、
義勇軍
のごときことは、問題は
政府
としては取り上げたくない、こういう私の
考え方
であります。
櫻内辰郎
15
○
委員長
(
櫻内辰郎
君)
曾祢益
君。
曾禰益
16
○
曾祢益
君 先だ
つて
の本
会議
の
質問
の
お答え
を余り頂いていない点について若干御
質問
申上げたいと思います。 第一は、
講和條
約と
安全保障
の
関係
でありまするが、これは実は
総理
の
答弁
の中には、まあ
講和條
約を先にや
つて
、
安全保障
は向うから何かや
つて
呉れると、こうい
つた
ような
言葉
があ
つた
と思うのでありますが、これは結局
言葉
の問題であ
つて
、
只今
も
総理
は
講和條
約の場合に、
安全保障
がないような條約は
考え
られないというふうにも言われておるわけであります。そこでこの点については
政府当局
としては余り
はつ
きりした具体的なことを言うのは、ちよつといろいろな
関係
上困るというような
顧慮
もおありだろうということは我々も分ります。併し
日本国民
としてはやはり
安全保障
がどういうふうに与えられるだろうか、又
日本
としてはこういうことを少くとも
国民
の
希望
としてです、予め伝えて置きたいと、こういう強い
希望
があることはこれは
総理
も御
承知
であろうと思います。だから
国民
の
希望
としては
活撥
に述べていいということは、これは
総理
もこの間言われておる。そこでこういう機会を通じてやはり
安全保障
については、
国民
はこういうことを
希望
するのであるということをどんどん
言つて行つた方
がいいんじやないかと思うのでありますが、私は若干の点につきまして、ずつと続けて御
質問
申上げまするから、
あと
で
お答え
願いたいと思います。 そこで第二点は、正しい
安全保障
であります。これについても実はこのたびの
総理
の
施政方針演説
、爾後における
総理
のいろいろな
答弁
を伺
つて
おりますると、この点は
思想
的には
はつ
きりしておる。
国連
の
安全保障
、
集団安全保障
というものをいずれはや
つて
呉れるだろう、こう言う。又これに期待を繋いでおり、
日本
もこれを望み、
従つて
これに
協力
的な
気持
で行きたいということを
はつ
きり言われておるのでありまするが、それをですね、もう少し端的率直に
日本国民
の
希望
として打出して行きたい。尚又本日
金子
君の
質問
に対して、こればかりではありませんが、従来も
総理
は
演説等
において言われたそうでありまするが、自分の
気持
としては、
特定国
に対して
講和
後
軍事基地
を提供したくない、この線は我々にも全然同感でありまして、これは
安全保障
の問題に関連してどきつくなく、
日本
はそうい
つた
ような
世界的集団安全保障
も
希望
するのだ、
従つて特定国
に対する
軍事基地提供
ということは
希望
せんということは尚明確にして頂きたいと思うのであります。その点について改めて
お答え
願いたいと思うのであります。 第三に、この
国連
の問題につきまして、やや先走
つた心配
であるかも知れませんが、
国連
の
安全保障
の場合に
考え
られるのは、やはり大きく
言つて
二つある。
一つ
は御
承知
のような一般的な
世界的集団安全保障
と思います。今
一つ
のはいわゆる
地域的集団保障
であります。
地域的集団保障
ににもいろいろな美点もありますが、同時に
地域的集団保障
が
国連
の憲章に認められているという
理由
の下に、例えば
北大西洋同盟條
約のごときものを見れば、やはりこれは
一つ
の
グループ
の他の
グループ
に対する
軍事的対立
という恰好にな
つて
おる。これはもう事実であります。従いまして、
平和日本
といたしましては、さような地域的の名におけるいわゆる
太平洋反共同盟
というような恰格でない、すつきりとした
世界的集団安全保障
を欲するんだという
考え
を持つべきではないかと思いまするが、その点に関する御
意見
を伺いたいと思います。 同様な
観点
からのことではありまするが、御
承知
のごとく
アメリカ等
におきましても、
国連
が運用のいろいろな困難から見まして、いつそのこと
西欧陣営
だけの
国連
にしてしま
つた
方がいい、例えばフーヴアー氏のごとく、こういう
思想
もあるようでありまするが、
他方
におきましては、ダレス氏のごとくやはり
一つ
の
世界
へのかけ橋としての
一つ
の
国連
を飽くまで欲すると、こういうことを
言つて
おるようでありまするが、私達も殊に
日本
の
憲法
の理想と、
日本
の
特殊性
から見まして、
是非
とも
一つ
の
国連
を保持して行きたい。
日本
としての力は限度がございましようが、こうい
つた
ような
はつ
きりした
世界平和思想
にいたしたいと存するのであります。それに関する御
意見
を伺いたい。 尚又、
国連
から
安全保障
を受ける場合、これは
加入
する場合もありましようし、
加入
前の場合もございましようが、そういう場合におきまして、やはり
日本
の
特殊性
、この
憲法
を
守つて
、当然にこの
日本
といたしまして、
只今
はまだ国としての
協力
の問題は私は起
つて
おらないと思いまするが、或いは
政府
としての公の
協力
の問題が起るにしても、そこに
はつ
きりした非
軍事性
という
限界
があると思うのでありまするが、その点は
朝鮮問題等
につきましても、常にその点を
考え
つつ私はや
つて
行く必要があると思う。即ち慎重に
日本
の
希望條件
、
限界
ということを決めて行く必要があるというふうに存じまするが、その点に関するお
考え
を伺いたいと思います。 次に、
警察
と再
武装
或いは
義勇軍
の問題でたびたびいろいろ
質疑応答
があ
つた
ようでありまするが、最近特に
アメリカ等
におきまして、やはり
日本
に
防衛軍
を持たすべきじやないかとい
つた
ような
意見
がぽつぽつ擡頭して来ておるし、これが相当今後も擡頭して行く傾向があるんではないかと思われるのでありますが、この点に関しましては、
総理
が
はつ
きり言われたように、やはり
日本
としては、再
武装反対
と、これは
南洋諸国等
に対する政治的の
顧慮
というのではなくして、
はつ
きりした国の建前として、それはやらないという線で行きたいと思いまするが、その点を確認して頂きたいと思います。勿論先程の
金子
君に対する
答弁
でも非常に
はつ
きりされたいと思いまするが、
対内治安維持
は、これは
日本
の責任である。これは
警察
でやる。それから対外的な、
外敵
からの
侵略
に備えることは、これは
安全保障
の問題であ
つて
、その
安全保障
は
国連等
による
世界
的な
安全保障
に求めるのである
日本
は決してみずからの
武力
によ
つて
、
外敵
に対する、
対外的安全保障
を図るつもりはないということに
考え
るのでありまするが、その点を確認願いたいと思います。 その
意味
で今
一つ
些細なようでありまするが、先般の
奥むめお
氏に対する
総理
の
答弁
の中に、
共産軍
に対するというような
言葉
がありましたが、これはどこまで行けば
軍隊
であ
つて
、どこまでは
武装団体
、
私的武装団体
、暴動か分りませんけれども、
言葉
としては、やはり
外国軍隊
というような
感じ
を与えますので私はそういう
意味
で言われたのではないと思いますが、先程の
趣旨
から見て、
外敵
に対する
防衛
は
警察隊
の当るところではないという
趣旨
を、
はつ
きりして頂きたいと思います。
義勇軍
の問題につきましては、非常に観念の混同がある、多くの人は
朝鮮
即ち
外国
に出す
義勇軍
というようなことを
考え
ておる人もあるようですが、これは仮に
国連
の下に行われるにしても、これはもうとんでもないことであ
つて
、これは全然問題にならない。
はつ
きり
総理
が政治的に判決を下しておるので、それで十分だと思う。ただやはり
法律的解釈
とはいいながら、
日本
の
自衛
に関連して、何らかいわゆる
陸海空軍
の戰力というものにならない程度のものじやないかとい
つた
ような
思想
、
法律
的にはそれでもいいんだということは、そういう曖昧なことは残さない方がいい。飽くまで
日本
は
自衛
のための
自衛
と申しまするのは、
対内治安維持
については
警察
、
安全保障
、
外国
からの
安全保障
についてはやはり国際的な
安全保障
体系に求め、みずからの如何なる名前にせよ、みずからの戰力に頼らない、この方針を尚更
はつ
きりして頂きたいと思う次第であります。私は以上の点につきまして
総理
の
お話
を伺いたいと思います。
吉田茂
17
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
お答え
をいたします。
安全保障
の問題について、私から具体的に、或いは積極的に
お答え
をするということは、これは條約の内容をなすものでありますから、これは難きを責められるものてありますから、消極的のことよりしか
お答え
ができない、例えば
軍備
は持ちたくない、
軍事基地
は持ちたくないとかいうような、ないないずくしの程度以上の
お答え
はお責め下さらないように願いたい。そこで
日本
の
安全保障
をどうして保障するかということも、これは先程私が申した通り、
安全保障
の伴わないような
講和條
約は、法文として直ちに破棄されるか、或いは行われないことでありますから、
安全保障
という問題は
講和條
約の一要綱をなすものであると確信いたします。然らばどう何するか、今
お話
のように、地域的の保障か、或いは全般的な
世界
的集団的保障にするか、いずれを取るか、これも相手方の提議次第であ
つて
、こちらからこの方がよかろうと注文するわけに行かないことは、曾祢君もよく御了解だろうと思いますから、これは今後の
世界
客観情勢に待つより外仕方がないと思うのであります。ただ私のここに
はつ
きり申したいことは、例えばこの
警察隊
を設ける、この
警察隊
は決して再
軍備
にあらず、飽くまでも
憲法
の條章に
従つて
、
治安
維持
だけの話であ
つて
、これによりて
国際紛争
の解決の手段にするというようなことは全然いたすべきものでないと確信いたします。 それから
共産軍
に対して云々と
お話
がありましたがその当時私は何と申したか、今記憶はありませんが、私の申した趣意は、韓国において三十八度線を、突然いわゆる挑発せられざる侵入が行われたというような今日国際情勢であるから、
日本
においても
治安
維持
のために
予備隊
を設けて、そうして
治安
の
維持
を図ると、こう申したので、
共産軍
の征伐のために
予備隊
を設置するということは言わなか
つた
。言うつもりはないのみならず、言わなか
つた
ろうと思います。ただ
朝鮮
の例を引いて、そう
予備隊
の設置の必要ありということの例として、
共産軍
の侵入を例に取
つたの
でありますが、然らば
共産軍
に対してどうするか、直ちに
戰争
をどうするか、併しながら
予備隊
の
目的
は一に
治安
維持
であり、
日本
における秩序の
維持
でありまして、征伐でもなければ、又
共産軍
を追つかけて行
つて
朝鮮
まで行こうという趣意で設けられる筈は毛頭ないのであります。それだけですか。
曾禰益
18
○
曾祢益
君
国連
に対する……。
吉田茂
19
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
国連
に対する何でしたか。
曾禰益
20
○
曾祢益
君
一つ
の
国連
に対する……
国連
は二つに分れる
国連
と、
一つ
の
国連
と……。
吉田茂
21
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
国連
が二つに分れるということは、私はちよつと
想像
できない。
曾禰益
22
○
曾祢益
君 つまり西ヨーロツパだけの
国連
と、西欧民主主義だけの……。
吉田茂
23
○
国務大臣
(
吉田茂
君) これはいわゆる仮定の問題でありますから……。(笑声)
櫻内辰郎
24
○
委員長
(
櫻内辰郎
君) 杉原荒太君。
杉原荒太
25
○杉原荒太君
講和
の問題に関連する二、三の問題についてお尋ねいたしたいと思います。 第一点は、今の段階における
講和
問題の取扱の重点をどこに置いているべきかという点であります。従来我が国における
講和
問題の取扱方を見まするに、多くほいわゆる
全面講和
か
單独講和
かというふうに取上げられ、論議されているようであります。然るに今日の段階におきましては、
全面
、
單独
の方式の論議を指摘する前に、先ず
講和
の中味、内容とその時期ということを取上ぐべきではないかと思うのであります。即ち内容の点におきましては、
講和
の中味をなす実体
関係
、具体的には
講和
関係
を規律する政治條項とか、或いは経済條項とか、その他各般の事項につきまして、成るべくその中味、内容をばよくなるように、又時期の点におきましては、現在の占領の
状態
と
講和
との間に、使えば
戰争
状態
終了宣言とい
つた
ような中間的な
措置
が挾まらないで、成るべく早く
講和
が実現するようにということを目途にしまして、そしてこれがために役立つ、又は害にならないというところにあらゆる準備施策をこの一点に集中して行くというところに問題の取扱方の重点があるように私は思うのであります。
講和
問題それ自体は言うまでもなく我が国の運命を決する重大な問題でありまするからして、これが取扱の各段階における重点を誤らないようにすることは極めて大事であると思いますので、今の段階として、そして
日本
側としてのこの
講和
問題の取扱の重点をどこに置いているかという点についての
政府
の御見解をお聞きしたいと思います。 それからもう
一つ
簡單にお尋ねしたいと思います。それは
国際連合
の主義と永世中立主義との
関係
についてであります。
講和
後のいわゆる
安全保障
を、
日本
の安全をどういうふうな具体的方式によ
つて
これを保障して行くかということは極めて重大な問題であり、又極めて困難な問題であります。今日からして予め成る
特定
の方式を構想して、それ以外には絶対にあり得ないというふうな
考え方
なり主張は、複雑な国際情勢の現実から見て実際に適しないと私は思
つて
おります。
従つて
私はこの点については立入る意思はございませんが、ただ世間ではややもすれば永世中立主義を唱えながな、又それと同時に
国連
の主義を唱える者がややもすればあるようでありまするが、併しながら
国連
の主義と永世中立国の地位というものは両立しないものであると思います。その辺のところを明らかにして置きますことは、我が国の正しい外交輿論の形成の上に非常に重要な
関係
があると思いますので、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
吉田茂
26
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
お話
のいわゆる
講和條
約の内容について、重点を置けというような
お話
でありますが、今日は
講和條
約はそこまでも進んでおらないのであります。今日御
承知
の通りイギリス、
アメリカ
において示されておることは、成るべく早ぐ
講和
は開きたい、対日
講和
は早くしたいという
観点
から最近研究や準備が進められておるということは
新聞
で
承知
しておりますが、併しながらそこで何が内容をなすか、我々の方からこれだけのことを決めて貰いたいというのは、これは
講和條
約のときに提出すべき問題でありますが、今日からしてこの点あの点について研究して貰いたい、
日本
の
希望
はここにあるのだとい
つて
話をする以前に、先ず第一に我々が
考え
ておるところは成るべく早く
講和
をしたい、
講和
における
日本
の地位を確かめて、そうして交戰
状態
を止めて、
国際団体
の一員に入
つて
国際的活動ができる、その自由を早く得たい、これを得ることが第一である。然らばこれをどういうふうに対日
講和
を早めるかということが重点であるべきだと思う。そうしていよいよ
講和條
約に
なつ
た場合、やはり今の内容をなすものについての
議論
が始まるわけでありますが、対日
講和
の場合は内容は存外簡單なものでありはしないかと思うのです。終戰後ここに五年にな
つて
、問題は事実上解決された問題も随分あります。
従つて
内容なるものが甚だ簡單であるが、併しながら簡單なるが故に重大な問題が含まれておる。使えば
安全保障
のごときは重大な問題でありますが。その他数えてみるとそう大した問題はない。何しろ早く
講和
を促進する、そうして
日本
が独立し自由を回復する。自由を回復せずにこのままで行
つた
ら、
日本
は八千万の人口を養い切れなくな
つて
餓死するとまで言えませんけれども、復興はむずかしい。
講和
を促進ずる上から
言つて
も早期
講和
が必要で、成るべく早く自由を獲得し、独立を獲得するというのが大切です。それにはどうしたらよいかということが重要であります。どういうことが内容をなすかということは第二段として
考え
るべきものであ
つて
、今日は成るべく早く早期
講和
というものに持
つて
行くべきだと私は思います。そこで今の
戰争
終了の宣言というような
考え方
も、これは專門家としてあるであろうと思いますが、併しこれも相手によることであ
つて
、イギリスではそういう宣言というようなことをせずに直ちに
講和條
約に入りたいという
希望
のように存じております。
アメリカ
も又そういうふうな中間的
措置
はとらずに
講和條
約に入りたいという
考え
を持
つて
おるように私は
想像
しております。 そこで
国連
及び永世中立の問題でありますが、それは
お話
の通り、永世中立と
国連
加入
ということは相容れない問題でありましよう。然らばどちらをとるか、こういうことになれば、私は第一に永世中立ということは
日本
の地位においてむずかしい、故に私はこれをお念仏であるという
意見
であります。永世中立を仮に條約で保障されても、條約を尊重する国ばかりならば永世中立も行われるでありましようが、條約を無視して顧みない国もある以上は、永世中立というステータスは確かま
つた
ところで、これによ
つて
我々は安心することはできないと思うのであります。 さて、
国連
に
加入
するとして、それでは
加入
の
條件
でありますが、その
條件
は何か、使えば
軍隊
、
軍備
のことは
日本
はこれを禁じておりますからできない事柄でありますし、望むべからざることであります。そうすると
国連
に
加入
するとしても、
国連
が
日本
に対して特別な
條件
を許して呉れるか、呉れないかという問題が起りますが、とにかくこのままでは
国連
に入ることのできないことは御
承知
の通りであります。そう
考え
ます。
櫻内辰郎
27
○
委員長
(
櫻内辰郎
君) 團伊能君。
團伊能
28
○團伊能君 私二、三の点につきまして
外務大臣
のお
考え
を承わりたいと思います。
只今
までの
講和條
約の法理的な
立場
、或いは
考え方
と少し違いまして、或いは杉原君の言われる
講和
会議
の実体というものに少し触れるかも知れませんが、尚同時に今日の
日本
の生活としてどうしても無視できない問題でございます点におきまして、
外務委員会
として、又
外務大臣
としての御
関係
にあることを伺いたいと思います。 その第一は、終戰以来
日本
人の生活に今まで余りありませんでしたが、非常に
関係
をして来る少数民族というような問題とまあ呼ばれるべき問題がありまして、我々
国内
の生活におきまして、その中に殊に東洋方面の他民族と共に暮さなければならん。その間にいろいろ社会秩序の問題、或いは経済問題も一本で行かない非常に複雑なものを生じておるのでございます。その中に曾ての
日本
であ
つた
国が多いのでありますが、殊に一番数が多いのが
朝鮮
との
関係
でありまして、これは今日去る三月二十日の
外国
人登録令によりましても、
朝鮮
人として登録されている者が約五十一万ありまして、その外大韓民国の
国民
として登録してあるのが約三万八千ばかりありまして、丁度五十五万ばかりございますが、尚国警その他で調査いたしましたところでは、登録されていない
朝鮮
人が十五万ばかりあります。約七十万ばかりの在住の
朝鮮
人がございます。これらの取扱いはすでに首相におかれましても御
承知
のように、多方面の問題がございまして、一方には
外国
人として取扱われ、すでに
外国
人登録令のごときはさようでございますが、先日来起りました神戸の学校問題のごときは、これは学校教育は
日本
人とな
つて
おり、刑法その他の適用がある場合は
日本
人であり、或る場合は
外国
人であり、いわゆるこの取扱いに困
つて
非
日本
人という
一つ
の取扱い方で扱われておるようなところがございますが、実はこの問題は勿論
講和
会議
で決定されるものと思
つて
、
国民
は今まで
講和
会議
を非常に待望いたしており、
講和
会議
の結果これらから来るいろいろの影響はなくなるものと
考え
ておりましたが、今日の情勢を
考え
ると、その帰属する本国の
状態
における政体、国の形の決定もなかなか容易でない
状態
でございましてこの取扱いにつきまして、今日
講和
会議
を待つということは非常に遠くを望むような形になりますので、ここにおきまして
外務大臣
には何らかこれらの取扱いにおきまして、
一つ
のお
考え
、御構想をお持ちにな
つて
おるかどうかを承わりたいと存じます。 実はこの
朝鮮
人の大体三割が大韓民国人で、七割は北洋系統でありまして、殊にいろいろな商工業的な活動でも、或いは女性運動でも、その他解放運動というようなものに北鮮系は非常に
活撥
でございます。
日本
に在住している
朝鮮
人には必ずしもこの
はつ
きりした北鮮、南鮮という差別を持
つて
いない人もありますと
考え
られますが、その中でもう長く
日本
の環境に育ち、或いは生れ、或いは
日本
の教育を受け、現に
日本
人となることを望んでいて、又
なつ
たことにおきまして
日本
人にと
つて
少しも惡くない、同胞として共に暮し、又その権利義務を持
つて日本
人として暮して参ります方がいい人もありますが、そういう人の帰化問題というようなものが、或いは何らかの方法で解決する途は開いているのでございましようか。この辺お
考え
を伺いたいと思います。
吉田茂
29
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
お答え
をいたします。
朝鮮
人の問題については御指摘の通り
政府
としても非常に困
つて
おる問題であります。これが
治安
を紊す、或いは又密造をする、密輸入をする等いろいろな問題が殊に山口県、福岡、九州方面においては起
つて
おるので、一時は御
承知
の通り人別書、身分証明書を渡して、そうしてその証明書のない者は国へ帰す、送還するというようなこともしてみたのでありますが、数が多いものですからなかなか送還し切れない。その間に九州のどことかに送還するために宿舎等が設けてありますが、そこで乱暴を働らくとか、いろいろな細かい問題が起
つて
、この問題については終局的の処置を取るつもりであ
つた
ところが、このたびの
朝鮮
事件が起
つた
というようなのが事実なのであります。 さてこれをどうしたらいいかということになると、何しろ百万に近い、勘定において百万以上という、そうしてそのうち御指摘のように、南鮮の人よりも北鮮の人の方が多い。その北鮮の人間が政治的にも乱暴をする、或いは
治安
を紊す。で何十万をことごとく送を還すということについては、船が要るとか、いろいろの実際上の故障があ
つて
実行は今日まで甚だ手緩いのであります。
政府
としても甚だ遺憾に思うのでありますが、事実如何ともできないというのが事実である。 今後これをどうするかというのが残された問題であります。又これを政治的に
考え
てみましても重大問題だと思います。例えば例をよその国に取るのはおかしな話でありますが、例えばフランスのごときが、あれは確か第一次
戰争
の後で、四十万か五十万のポーランド人をいわゆるレジオン・デヴアステーの恢復のために連れて来て、それが土着して多くは共産党に
なつ
た。或いはその他いわゆるフランスの政界が安定をせず小党分立したというような因をなしたのも、多くのポーランド系の人が土着して議会に入
つた
というのが原因だと
承知
していますが、同じような問題が
日本
にも将来起り得ると思うのであります。
戰争
中に炭鉱の労働者として
日本
の労働不足を補うために
朝鮮
から出嫁して来ておるところの、それが土着したのが今の九州における炭鉱問題の
一つ
の現象であるように
承知
していますし、その他
日本
海沿岸等においては密航者等が
治安
を紊すいろいろな問題があるので、
治安
の上から
言つて
みても更に遠いと言うか、近き将来における
日本
の、若し万一フランスの国情、政治が安定しないと同じような原因が
日本
において生ずるならば、重大な事件だと
考え
ますから、この
朝鮮
人をどう取扱うか。これをうつかり取扱いますと少数民族圧迫というようなことにもなるし、今日
講和條
約の締結せられない
日本
としては、徒らに国際的の問題を提供したくないという
考え方
もあるのでありますから、甚だ始末に困
つて
おる問題で、これはただに
政府
ばかりでない、参議院においても、その他においても十分御研究を願いたいと思います。今日は甚だ遺憾でありますが手が付けられない
状態
にあります。
團伊能
30
○團伊能君 次に、これに
連関
した問題でありますが、従来密入国、その他の
関係
で入国して参ります者は、その数においては非常に沢山ではございませんですが、又その他も或る
一つ
の政治的意図を持
つて
おる者も数においては非常に僅かでございました。例えば元山、鬱陵島、或いは隠岐島というように従来入
つて
来る、元来
思想
的な系統の入国等も数は少いのでございますが、この度の
朝鮮
事変の
状態
におきましてまだ始ま
つて
おりませんし、海上の警戒等も厳重でございますので、数は少いのでございますが、或いは形におきまして、生活できない
状態
に置かれた
朝鮮
人が避難民の形を以ちまして、九州、山口県或いはその他の方面へ入
つて
来るものが相当多く予想されております。殊に対馬等は僅か五時間で参りますので、大きい集団は或いはなさないかも知れませんが、時間的にどんどんと多くな
つて
参りますが、これを従来早島に集めまして
朝鮮
に送り還しておりましたものを、今度は送り還す先がないような形にな
つて
おりますので、そこでこれらの
人々
が今日現地におきまして、九州、山口県その他におきまして現地における心配はいろいろな
治安
上の問題とか経済上の問題、つまり皆裸で参りまして、これは失業者でありまして、何か職を与えなければならない、
日本
人の今失業問題が切迫しておるときに更に同じような何十万か避難民に職を与えなければならない問題も起るかも知れませんが、それと同時に天然痘のごとき病毒の伝播ということに非常な恐怖を
感じ
られております。何故かと言ひますと、これらの
朝鮮
人が上陸すると、直ぐに
日本
全国に大体ルートがありまして散
つて
しまいますので、病毒の伝播ということも非常な大きな問題と存じます。これらにつきまして、この避難民として入
つて
来ると
考え
られる
朝鮮
人に、厚生省その他におきまして援護の途を作
つて
頂き、又一には人道上相互扶助の
考え
から助けてやるというお
考え
の施設につきまして、まだこれからの問題でございますが、何か御施設がございますか。
吉田茂
31
○
国務大臣
(
吉田茂
君) 今の避難民として、難民として
日本
に入
つて
来たようなものに対しては、これは常識でありますが、人道上保護を加えるべきであろうと思います。又
関係
方面でも
当局者
もそのつもりでや
つて
おる、地方地方でや
つて
おるのじやないかと思いますが、最近聞くところによると思
つた
よりも逃げて来る難民、入国した者は少いそうですというのは海上封鎖がされておる結果、曾て事件の初めに山口県知事、その他から聞いたところでは大変だと
考え
ましたが、事実においては左程問題が切迫しておるようにも
考え
られませんし、併しながら若し入
つて
来る者があればこれはやはり人道の上から、又善隣の
関係
から言いましても、
政府
としてもこれは相当の保護を加えて、事変後に還すという
措置
をとるべきではないか、これは閣議で決定したわけではないのでありますが、私は秘かにそう
考え
ております。
團伊能
32
○團伊能君 最後に小さな問題でありますが、これは昨年の十二月参議院の
外務委員会
が各辺境に出張いたしまして、現に壱岐、対馬、種子島、山陰沿岸全部調査に歩きましたわけでありますが、その場合でも東京その他東北、或いは関西等で
考え
られておるのと全く違
つた
島嶼住民の
考え方
があります。殊にボーダー、国の国境にある対馬のごときは住民の不安は非常に大きいものがございます。それは同時に南北十八里に亙る非常に大きな島に国警が僅かに八十五人しかいない、而も村村の間に全く道路がございませんで、小さな船で通うというような、島民の離島の生活で、僅か八十五名で五万八千人ばかりの
日本
人がおりますが、その不安は非常に大きなものがございます。現に
朝鮮
人は三千人ぐらいその中に入
つて日本
人と一緒に暮しております。そういうところを
考え
まして、尚それに続きまして、今日は非常に大きな
治安
的に国警の配置その他に稀薄であるが北海道であるかと存じます。北海道は
只今
いろいろな問題が起るとは
考え
られませんが、この地方は従来は間接に
外国
と接しておりましたが、今日は非常に近く、而も目に見える程度の近さで
外国
と接しております
関係
で、地方民の不安というものが非常に大きい、而もそれが、現に何か裏から安全に保障されておるというような実際の証明がございませんために、勿論これは
連合
軍のこれらに対する警備は、別でございますが、
日本
といたして非常に稀薄である。殊に北海道の情勢といたし、鉄道を切断いたされましたときには、殊んど交通は不可能な分離したような形になりますので、国警のこの度
予備隊
等は非常に大きな期待を持たれていると存じますが、然るにに国警の配置を見ますると仙台が支局にな
つて
おります。北海道が甚だ……いずれ又分局のごときものにお取扱になると存じますが、国警
予備隊
の分布の上から北海道の民心安定と申しますか、又
治安
の上からも配置について御考慮を頂きたいと思います。
吉田茂
33
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
さつき
の
お話
の、人口五万にして国警が八十五人というのはどこですか。
團伊能
34
○團伊能君 対馬です。
吉田茂
35
○
国務大臣
(
吉田茂
君)
お答え
いたしますが、国警
警察予備隊
の配置等については、全然成案を得ておりません。第一、組織、それから中心になる人物等の選定からして、得べくんば
予備隊
というものは全く独立した何と言いますか、新らしい
思想
で、新らしい誇りを以て
日本
の
治安
は
予備隊
が責任を以て背負
つて
いるのであるというような、一種のプライドを持
つた
新らしい
警察隊
にしたいという
考え
から、多少高遠な理想を以て
考え
ておるものでありますので、成案がなかなか得にくいのと、従来の国警その他自治
警察
とどういう
連関
を付けるか、お互いに
協力
せしめるとしてどうするか、或いは全然別個のものにするかというような原則等についてもまだ十分研究が積んでおらないために、日々
議論
をしておるような
状態
で、成るべく早く何しますが、
結論
を得たいと思いますが、
従つて
対馬、北海道、辺境にあける配備をどうするかというようなことはまだ具体案を得ておりませんが、
お話
は伺
つて
置きます。
櫻内辰郎
36
○
委員長
(
櫻内辰郎
君) お諮りをいたします。御
質疑
は尽きないことと存じまするが、
大臣
の御都合もありますようでありますから、本日はこの程度で打切ることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
櫻内辰郎
37
○
委員長
(
櫻内辰郎
君) それではさようにいたします。これにて散会いたします。 午後五時九分散会 出席者は左の通り。
委員長
櫻内 辰郎君 理事 徳川 頼貞君 曾祢 益君 委員 杉原 荒太君 團 伊能君 加藤シヅエ君
金子
洋文君
伊達源一郎
君
国務大臣
内閣
総理
大臣
外 務 大 臣
吉田
茂君
政府
委員 外務政務次官 草葉 隆圓君 外務事務次官 太田 一郎君 外務省政務局長 島津 久大君 外務省條約局長 西村 熊雄君 外務省管理局長 倭島 英二君