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池田国務大臣 寒冷地、積雪地帯の所得に対しましての
国会の決議等につきましては、
承知いたしております。また本
会議でお答え申し上げたのでありまするが、この問題点は、所得の多い少いという問題でなしに、同じ所得があ
つても、積雪寒冷地帯におきましては生活費が
相当かさむから、税率その他控除の
関係を考うべきではないか、私はこういう御議論であつたと思うのであります。今の
お話は私の察するところ、積雪地帯、たとえば東北地方とかあるいは北海道地方がある基準年次に比べて税金が多くな
つている。所得税だけをおとりにな
つておるのか、あるいは酒税等、全般の税をおとりにな
つておるのか知りませんが、九州地方の税金の伸び方よりも、東北地方あるいは北海道の税金の伸び方が多くな
つているから、これは寒冷地帯に重課しておるのではないか、こういう御
質問のようであります。
従つて私が御
質問として想像しておつた問題と違
つて来ておるのでありますが、私は積雪地帯、寒冷地帯の所得税の問題は、生活費を多目に見るべきではないか、こういう問題ではないかと思います。この点につきましては
わが国が帯状をなしておりまして、よほど違
つておるということも他の国の例とは違うのでありますが、しかし大国にな
つて参りますると、やはり同じ国内でも生活費の違うところがあるのであります。そういう国におきましても、国税として特別な取扱いをいたしておる例はございません。
わが国においては、やつたらいいじやないか、こういう
お話でございまするが、所得税を一応見込みまして、そうして寒冷地帶の方は基礎控除を多くするとか、税率を低くするとかいうようなことによ
つて少くな
つたのを、今度は暖かい地方の人に税率を上げてやる、どうこうということになりますと、これはなかなか
負担の公平の問題も起
つて参りまして、しからば積雪地帶でもどういうふうにそこの間の区別をするか、そこに非常にむずかしい問題があると思います。私は個人個人の生活費が多い少いということを所得税で見るということは、原則的には反対でございますが、事情によりましては
検討を加えなければならぬということで、ただいま
検討を加えておるのであります。しこうして
お話の材料になりました各地方の分の一定基準年次から比べて税金が多く
なつたとか、低く
なつたとかという問題は、これはやはりその地方が好況であるかないか、あるいはまた災害があつたかなかつたか、それからどういう特殊的状況か、こういうことを
考えなければいかぬと思うのであります。もし所得税ばかりでなしに、ほかの税までもお入れにな
つてこういう
計算をなさると、非常にこれは問題がひねくれて来るのではないかと思います。たとえば東北と四国と比べましたりして、あるいは酒税が非常に多く
なつた場合は、東北は税金が多くなりますから
負担がかかる。しかし東北でつくつた酒は東京で消費するので、税金は東北から上
つても、これは
相当部分が東京で消費されるということにな
つて参りますると、今の点は所得税だけでおつしや
つておるのか、全体の税金かはつきりわかりませんが、それだけで今の寒冷地帶の所得税の問題を論ぜられるのは少し飛躍しておるのじやないかと思います。