運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-29 第8回国会 衆議院 法務委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月二十九日(土曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 安部 俊吾君    理事 押谷 富三君 理事 北川 定務君    理事 田嶋 好文君 理事 猪俣 浩三君       鍛冶 良作君    花村 四郎君       松木  弘君    眞鍋  勝君       山口 好一君    大西 正男君       田万 廣文君    上村  進君  出席政府委員         法務政務次官  高木 松吉君  委員外出席者         議     員 庄司 一郎君         專  門  員 村  教三君         專  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査申出に関する件  委員派遣承認申請に関する件  限時法に関する件 請願  一 白石町に簡易裁判所設置請願庄司一郎    君紹介)(第七八号)  二 加治木町に鹿児島地方裁判所支部等存続に    関する請願尾崎末吉紹介)(第九七    号)  三 大河原町に宮城刑務所支所設置請願(庄    司一郎紹介)(第九八号)  四 岡山地方法務局高梁支局庁舎建設に関する    請願橋本龍伍紹介)(第一八七号)  五 青森地方裁判所三本木支部設置に関する請    願(小笠原八十美紹介)(第二九四号)  六 立川市に東京地方裁判所等の各支部設置に    関する請願花村四郎紹介)(第四六五    号)  七 言論出版集会デモ自由保障に関す    る請願外二件(岡田春夫紹介)(第七八    四号) 陳情書  一 隼人町に鹿児島地方裁判所加治木支部等移    転の陳情書    (第四号)  二 不良雑誌図書等取締に関する陳情書    (第五号)  三 弟子屈町に区検察庁並びに簡易裁判所設置    の陳情書    (第八号)  四 少年の不良化防止に関する陳情書    (第一六二号)  五 住所法制定促進並びに戸籍事務費全額国    庫負担陳情書    (第二一九    号)  六 浦和地方法務局を現位置に設置陳情書    (第二三〇号)     ―――――――――――――
  2. 安部俊吾

    安部委員長 これより会議を開きます。  請願及び陳情審査に関する議事を進めます。  まず請願から始めます。紹介議員のお見えになつている請願については、その紹介説明を聴取し、お見えになつていない請願につきましては、かわつて専門員文書表朗読いたします。なお審査にあたつて趣旨のものについては、これを一括議題にいたします。議題となりました各請願については、その都度関係当局から意見を聴取することにいたします。  各請願に対する委員会態度決定は、一応請願全部の審査完了した後にこれを行いたいと存じますから、さよう御了承願います。  では日程第一を議題といたします。日程第一、白石町に簡易裁判所設置請願文書表番号七八号、紹介議員説明を求めます。庄司一郎君。
  3. 庄司一郎

    庄司一郎君 ただいま議題と相なりました請願趣旨をきわめて簡単に申し上げます。宮城刈田白石町、この町は封建時代仙台伊達公参謀総長であつた片倉小十郎の城下でありまして、たがいま人口は約三万に近い、もはや市制を準備中の白石町でございます。この刈田白石町外十箇町村町村長が、連署連名をもつて今回の請願を提出して参つたのであります。宮城県の仙台以南都市には、大河原町というところに仙台地方裁判所大河原支部並びに大河原簡易裁判所があるのみでございます。その他仙台市から南方面には本河原町以外に簡易裁判所開設はないのであります。従いまして伊具郡、柴田郡、刈田郡、かような約五十箇町村近い町村は、全部が裁判関係あるいは検察関係等においては大河原に集まるということになつております。そこで刈田白石町長麻生寛道という人が主催で刈田郡の町村長会会議の結果、ぜひ刈田郡の白石町に刈田郡十一箇町村を包括していただきますところの白石簡易裁判所の御開設を願いたい、こういう趣旨請願でございます。前国会においては伊具郡角田町より同種類の請願が提出されておりまして、すでに御採択をいただいておるのでございますが、今回の請願の分は刈田白石町に簡易裁判所の御開設を願いまして地方の簡易なる裁判あるいは調停その他の取扱いを、ぜひ刈田郡民の福利増進のためにお願い申し上げたい、かような趣旨のもとに、すでに請願者総代仙台地方裁判所あるいは最高裁判所方面にも陳情書を出されておるような次第でございます。よろしく御審議の上御採択を願いたいと思います。
  4. 安部俊吾

    安部委員長 ただいまの庄司一郎君の御説明に対して御質疑はありませんか。  次に日程第一の発言と関連いたしまして、鳴戸市簡易裁判所並びに区検察庁設置について眞鍋委員より御発言の申出がありますから、これを許します。
  5. 眞鍋勝

    眞鍋委員 便宜上、時間を節約するために書いて来ておりますのでこれを読みますから、政府当局の御意見をお伺いしたいと思います。  簡易裁判所並びに区検察庁設置についての陳述であります。その要旨は、徳島県の二都市一つである鳴門市に、明治三十五年より大正二年まで開設せられていた簡易裁判所並びに区検察庁を復活し、現在の輻湊せる民刑事事件の再配分を行い、迅速にこれを処理し、もつて住民安寧秩序社会福祉増進をはかられるよう、ここに請願申し上げる次第であります。  請願理由は、本市は昭和二十二年三月十五日、附近四箇町村撫養町、里浦村、瀬戸町及び鳴門町を合併して市制を施行し、その名称を天下の奇勝鳴門海峡にちなむ鳴戸市と名づけ、人口四万三千人を有し、県内においても二つしかない市の一つで、市制施行後日なお浅いが、観光、産業都市としての施策を進め、着々その形態を整備し、内外に鳴門の名声を博しておりまして、そめ進展目ざましく、多年の宿望である鳴門淡路―本土間直通道路実現、あるいは国鉄案鳴門―本土間淡路経由縦貫鉄道計画から見ても、本市は四国の東門として、将来ますます発展することを確信しておるのであります。市内外交通状況を見ますに、市内には鳴門撫養、金比羅前、天理教会前の四つの国鉄駅があり、鉄道市営バス民営乗合バスにより、附近町村への交通は至便で、鳴門市及び板野郡の一市十七町村管轄する鳴門税務署鳴門労働基準監督署鳴門公共職業安定所撫養保健所専売公社鳴門出張所徳島土木出張所、そのほかに徳島大学学芸学部鳴門撫養、成徳の各高等学校、及び徳島地方法務局鳴門出張所等官公衙が存在しております。現在徳島市にある徳島簡易裁判所状況を仄聞しますに、徳島市、鳴門市、板野郡勝、浦郡、名東郡、名西郡の二市四郡、総人口三十九万を管轄し、取扱い事件数徳島地方裁判所管内の他の簡易裁判所のそれをはるかに突破し、四倍ないし十倍に達し、これに携わる裁判官は他の簡易裁判所の一人に比べて二人、しかもこの二人のうちの一人は判事補として、地方裁判所裁判事務を兼務し、他の一人はもう一つ簡易裁判所判事を兼務しており、従つて事件は輻湊し、裁判官努力にもかかわらず、一日の開廷事件を多くし、開廷時間に長時間を要し、遠方の者をして時間と冗費を負荷している現状であります。今これを鳴門簡易裁判所を新設することになれば、徳島簡易裁判所事件数の約四分の一が新簡易裁判所管轄移つて、審理の迅速と社会福祉に益するところ甚大であります。庁舎敷地は本市の所有であつて、元撫養区裁判所、現在徳島地方法務局鳴門出張所を御使用くださらば、進んで提供いたしく思つております。  最後に、鳴門市には旧撫養時代明治三十五年より大正二年までの間、撫養区裁判所開設せられていた地であり、冒頭に述べましたように、市制を施行してより、施設に、交通網に、都市形態を整備し、躍進の一途を突進しておりますので、簡易裁判所、並びに区検察庁設置を願うことは、法外の望みでないことを確信するものであります。さき昭和二十四年二月二十四日当市議会の決議をもつて陳情申し上げておりましたが、その必要性を痛感し、さらに本年二月定例議会の満場一致の決議をもつて、ここに熱望するものであります。  何とぞ右の事情十分御了承くだされ、これが実現方につき、特に御高配賜わらんことを切望いたす次第であります。  はなはだ早く読みましたが、すでにしばしば陳情も申し上げ、また当局もとにかく一応の調査もされたのでありますから、もう御決意のことと存じますが、この際当局の御決意のほどを承りたいのであります。
  6. 安部俊吾

    安部委員長 先ほど説明されました日程第一、白石町に簡易裁判所設置請願、並びにこれに関連いたしました鳴門市に簡易裁判所並びに区検察庁設置の件に関しまして、政府の御意見開陳をお願いいたします。
  7. 高木松吉

    高木政府委員 ただいまお申し述べになりました宮城刈田白石町に簡易裁判所設置方請願の御趣旨は、ごもつともに存じます。  政府といたしましては、本件は初めての請願でありますので、早速関係庁へ照会いたしまして、諸般状況調査中でありますから、右調査完了をまつて、適当に処置いたしたいと存じますから、さように御了承をお願いいたします。  なお眞鍋委員からお述べになりました陳情につきましては、政府といたしましては、鳴門市に簡易裁判所及び区検察庁設置方については、目下調査中であります。いまだ調査書類が到達しておりませんが、最高裁判所とも協議いたし、なるべく御期待に沿うように努力いたしたいと存じます。右御了承を願います。     ―――――――――――――
  8. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第三、大河原町に宮城刑務所支所設置請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  9. 庄司一郎

    庄司一郎君 本請願趣旨は、宮城柴田大河原町に宮城刑務所支所を御開設願いたい、こういう趣旨請願でございます。大河原町は不肖紹介議員の現住所の町でございますが、この大河原町は、戦前から特に地方では仙南五郡と言つておりますが、仙南五郡の一番中央の町でありまして、官公署合計三十七ございますような田舎の田園都市でございます。大河原区裁判所という裁判所明治十七年に開設され、それに附帯して検察庁ができましたことは申し上げるまでもないのであります。ところがその当時、監獄の名前が囚治監という時代に、大河原町に分監が開設されまして、有名な福島事件河野広中先生、あるいは佐藤清というような、当時の自由民権の鬪士が收監された分監でございます。その後明治二十三年ごろ廃止になりまして、旧刑法の改正と同時に、仙台宮城刑務所ということになつてしまいまして、大河原町にはこの分監がなくなりました。区裁判所があり、検事局がありました関係上、刑事被告人等相当多いのでございますが、警察の方の拘留場に委託というか、そういうあんばい警察の方に被告人がとめられまして、警察自体もえらい迷惑をしているようなあんばいでございます。宮城県石巻、古川等には分監も設置されておりますが、ひとりこの仙南大河原町には分監がございません。相もかわらず、警察拘留場代用刑務所といいましようか、代用的に利用されている。そのために、被告人運動あるいは入浴、万事万端どうもきわめて劣悪な状態にあります。拘禁されている被告人のためにも、まことに気の毒な状態であります。また町警察も、多少の弁当料ぐらいはむろんお役所の方から来るそうでございますが、被告人が大勢いる関係上、いろいろな経費がかかりますので、柴田刈田伊具三郡の公安委員長会議の結果、ぜひ大河原町にこの刑務所支所開設していただきたい、こういう決議になりまして、その結果、この請願が提出されることに相なつた次第でございます。  どうか何分御調査、御審議の上、御採択をお願い申し上げます。
  10. 安部俊吾

    安部委員長 ただいまの御説明に関して御質疑はありませんか――ないようでございますから、これに対して政府方の御意見の御開陳を願います。
  11. 高木松吉

    高木政府委員 大河原町に宮城刑務所支所設置請願についてお答えいたします。この請願趣旨当局としても十分了承できるところでありまして、全国的に未決拘留者に対して人権保護を全うし、同時に刑事訴訟の完全な遂行をするために、拘置支所を拡充整備することは、当然考慮さるべき問題であります。当局といたしましては、終戦後この線に沿つて極力実現に努めて来たのでありますが、何分乏しい国家財政に制約されますので、漸進的に実現するのほかはなく、全国的に見てその重要度を勘案して、御要望の趣旨に沿うよういたしたいと存じております。さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  12. 安部俊吾

    安部委員長 日程第二、加治木町に鹿児島地方裁判所支部等存続に関する請願、これに関しまして、紹介議員見えませんので、調査員から文書表朗読を求めます。     〔調査員朗読〕  加治木町に鹿児島地方裁判支部等存続に関する請願(第九七号)   請願者 鹿児島姶良加治木町長 曽木隆輝外四十九名   紹介議員 尾崎 末吉君  本請願趣旨は、鹿児島姶良郡にある鹿児島地方裁判所加治木支部等を、同郡隼人町に移転する運動があるが、次の理由により、移転に反対する。(一)移転理由は、きわめて薄弱であり、また移転することは郡内町村の平和を乱し平地に波瀾を起させる、(二)一箇町村にある国家機関根本的理由なしに、あちこちに移すことは政府の信を失うおそれがある、(三)同町交通上、隼人町に遜色はない、(四)同町は文化的諸官庁金融機関関係上、隼人町よりはるかに上位にある、(五)同町は、郡の政治的、通信、電話連絡上の中心地あわ隼人町の予定地と役場とは市外電話区域であり、鹿児島方面への電話は一切同町中継のため、不便である。  以上五つの理由をもつて隼人町に移転することを反対する請願でございます。
  13. 安部俊吾

    安部委員長 この件に関しましても、政府の御意見の御開陳を願います。
  14. 高木松吉

    高木政府委員 ただいまお申し述べになりました、鹿児島地方裁判所加治木支部等存続に関する請願の御趣旨は十分に了解いたしました。  この件に関しては、さきに第七国会参議院に対し、隼人町に鹿児島地方裁判所加治木支部等移転陳情がありましたことは御承知の通りでありますが、その後調査の結果、隼人町に移転については、地元に強い反対意見のあることも承知いたしております。この請願の御趣旨最高裁判所に伝達し、十分の考慮を煩わすことにいたしたいと存じますから、さように御承知をお願いいたします。     ―――――――――――――
  15. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第四、岡山地方法務局高梁支局庁舎建設に関する請願議題といたします。紹介議員見えませんから、これも調査員よりその案文の朗読を願います。     〔調査員朗読〕  岡山地方法務局高梁支局庁舎建設に関する請願(第一八七号)    請願者 岡山地方法務局高梁支局庁舎建設後援会長 池上長兵衞外二名    紹介議員 橋本 龍伍君  本請願要旨は、昭和二十四年六月一日の一般行政機構改革に伴い、法務局または地方法務局機構は拡充強化されたが、岡山地方法務局高梁局には、現在独立の庁舎がなく、裁判所庁舎の一隅を借り受け雑然としており同居の有様であつて業務遂行上、多大の支障を来たしている。ついては、岡山地方法務局高梁支局庁舎建設されたいというのである。
  16. 安部俊吾

    安部委員長 御質疑はありませんか――これに関して政府側の御意見の御開陳を願います。
  17. 高木松吉

    高木政府委員 法務局または地方法務局及び支局庁舎は、その発足当初の昭和二十二年度において、これを建設すべきでありましたが、国家財政実情その他の事情により、その実現を見るに至らず、昭和二十三年度以来年年若干の庁舎建設することができたのみで、その大部分は、今なお裁判所庁舎等の一部を使用している実情であります。昨今裁判所庁舎が、職員の増加その他の事情により、最近著しく狭隘となるとともに、他面法務局等において取扱う事務量がますます多きを加えて来たので、その庁舎建設は焦眉の問題でありまして、よつて目下全面的に解決すべく、あらゆる努力を払つているところであります。ことに高梁支局については、地元民各位の御協力によつて敷地の提供もあることでありますから、ぜひ近い年度には実現させたい所存であります。     ―――――――――――――
  18. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第五、第六を議題にいたします。  日程第五は、青森地方裁判所三本木支部設置に関する請願、第六は、立川市に東京地方裁判所等の各支部設置に関する請願請願者立川市長中島舜司外三十三名であります。紹介議員見えておりませんから、これも調査員より文書表朗読を求めます。     〔調査員朗読〕  青森地方裁判所三本木支部設置に関する請願(第二九四号)    請願者 青森上北三本木町長 本多浩治    紹介議員 小笠原八十美君  本請願要旨は、三本木簡易裁判所の所在地である青森上北三本木町は、青森、弘前、八戸三市に次ぐ県下第四の新興都市として、また上北郡並びに三戸郡北部における地方中心都市として戰後飛躍的に発展して来たのであるが、同町人口分布状態取扱事件数の大住民利便等により、強力な司法機関設置を必要とする。ついては同三本木町に青森地方裁判所支部設置されたいというのである。 立川市に東京地方裁判所等の各支部設置に関する請願(第四六五号)    請願者 立川市長 中島舜司外三十三名    紹介議員 花村 四郎君  本請願要旨は、現在二市三多摩は東京地方裁判所東京家庭裁判所東京地方検察庁の各八王子支部管轄となつておるが、八王子市が一方に偏在するため、立川市及び北西、南の住民は、家庭事件民事事件刑事事件等に大なる不便をこうむつている。また立川市が将来国際航空港たる地位を保持する見地からも、同市裁判所検察庁が他の都市よりも一層整備せらるべきことは必然である等の理由により、同市東京地方裁判所東京家庭裁判所支部東京地方検察庁支部をすみやかに設置されたいというのである。
  19. 安部俊吾

    安部委員長 御質疑はありませんか。この件に関しまして、政府の御意見の御開陳をお願いいたします。
  20. 高木松吉

    高木政府委員 ただいまお申し述べになりました、青森上北三本木町に青森地方裁判所支部設置に関する請願の御趣旨は、一応ごもつともに存じます。本件は初めての請願でありますので、さつそく関係庁へ照会いたしまして、諸般状況調査中でありますから、右調査完了を待ち、最高裁判所とも協議して、適当に処理いたしたいと存じます。さように御承知をお願いいたします。  それから日程第六の、立川市に東京地方裁判所等支部設置請願の御趣旨は一応ごもつともに存じます。政府といたしましては、財政その他の事情が許せば、できる限り御便利になるよういたしたいと存ずるのでありますが、裁判所支部に関する事項最高裁判所の権限に属しておりますので、本請願の御趣旨最高裁判所に伝達いたしまして、十分の考慮を願うことにいたしたいと存じますから、さよう御承知を御願いいたします。     ―――――――――――――
  21. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第七を議題といたします。  日程第七、言論出版集会デモ自由保障に関する請願外二件、これも紹介議員がお見えになつておりませんから、調査員から文書表朗読するようにお願いいたします。     〔調査員朗読〕  言論出版集会デモ自由保障に関する請願    請願者 全日本印刷出版労働組合代表者 川合益次郎外二名    紹介議員 岡田 春夫君  請願要旨は、ポツダム宣言憲法従つて基本的人権として保障されている言論出版集会デモの自由を尊重し、人民弾圧の諸法令を撤廃し、すべての人民に政治的自由を與えるよう請願する。 理由  一、最近特に五月三十日以後、何ら法律的根拠もなく、集会デモが一方的な禁止され、さらに公安条令等を改悪して許可制をしき、一方的な制限、圧迫を加え、さらに新聞の報道及び言論出版などにおいて、憲法において保障された政治的自由に不当な制限が加えられております。  二、かつ団体等規正令の不当な適用によつて、共産党の幹部を初めとして、日本民主化のために閥つている人たちが、公職より追放され、政治活動の自由を奪われております。  三、これらの不当なフアツシヨ的弾圧をただちに中止し、基本的人権を擁護し、政治的自由を保障することは、ポツダム宣言並びに日本国憲法に基いて、国会のただちに取上ぐべき重大事項であると考えます。
  22. 安部俊吾

    安部委員長 御質問はありませんか――なければ、これに関して政府の御意見の御開陳をお願いいたします。
  23. 高木松吉

    高木政府委員 最近言論出版集会等に対してとられている各種の制限の措置は占領軍当局の指令や指示に基いて、占領政策を混乱に陥れるような内容のものを取締るためとられているものでありまして、健全なる言論出版集会等は少しも制限する趣旨ではありません。従つて憲法の保障する基本的人権を侵害したり、政治的自由を抑圧したりすることは絶体にいたしませんからさよう御了承願います。
  24. 安部俊吾

    安部委員長 以上をもつて請願審査は一応終りました。  これより委員会態度決定いたします。日程第一、第三ないし第七はこれを採択し、採択の上は内閣に送付すべきものと決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なければさよう決定いたします。  なお日程第二につきましては、さらに検討を要すると思われますので、決定は本日は保留いたしたいと思います。さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  26. 安部俊吾

    安部委員長 次に陳情書審査に移ります。  陳情書審査につきましては、請願審査に準じて行いたいと思いますから、さよう御了承願います。  では日程第一、隼人町に鹿児島地方裁判所加治木支部等移転陳情書、これも調査員より文書表朗読お願いいたします。     〔調査員朗読〕  隼人町に鹿児島地方裁判所加治木支部等移転陳情   陳情者 鹿児島姶良隼人町長               福重半之助外三十三名  鹿児島地方裁判所加治木支部家庭裁判所支部簡易裁判所地方検察庁支部及び区検察庁等庁舎は、昭和二十年戦災により焼失し、近く本庁舎を造営するとのことであるが、これが再建については、地理的交通的、産業的中心地である鹿児島姶良郡隼人町に造営し、同三裁判所及び二検察庁を同所に移転されたい。
  27. 安部俊吾

    安部委員長 御質疑ありませんか。――これに関して政府の御意見開陳を願います。
  28. 高木松吉

    高木政府委員 ただいまお申し述べになりました隼人町に鹿児島地方裁判所加治木支部等移転に関する陳情の御趣旨は十分了解いたしました。  本件につきましては、去る第七国会参議院に同趣旨陳情書が提出されましたので、政府におきましても調査いたしましたが、地方検察庁支部移転については、地元加治木方面に強い反対意見のあることが判明し、今国会には加治木支部存置請願も提出されましたので、本件はなお愼重に研究いたしたいと思います。さよう御承知を願いたいのであります。     ―――――――――――――
  29. 安部俊吾

    安部委員長 日程第二を議題といたします。  日程第二、不良雑誌図書等取締に関する陳情書調査員から文書表朗読を求めます。     〔調査員朗読不良雑誌図書等取締に関する陳情   陳情者 岡山岡山県議会議長       生末近夫  憲法第二十一条の言論出版の自由はつねに公共福祉を根底としたものでなくてはならないにもかかわらず、近時極端にこれを逸脱し、いちじるしく風俗を乱す虞れのある雑誌図書等出版物がちまたに氾濫し、青少年の健全な保護育成上大きい影響をおよぼしているから、この際政府は、不良出版物取締りに関し、早急に適切強力な対策を講じ、次代をになう青少年保護育成に資せられたい。
  30. 安部俊吾

    安部委員長 御質疑ありませんか。――これに対して政府方の御意見開陳をお願いいたします。
  31. 高木松吉

    高木政府委員 青少年の健全な保護、育成に大きな悪影響を及ぼすような不良な雑誌図書等出版物については、出版法が廃止された現在においても、刑法猥褻罪、名誉毀損罪、信用毀損罪等を適用して取締り得るものであつて、これを励行したいと考えておるのであります。この場合において猥褻文書に該当するかいなかについては愼重に検討し、国民の輿論をも十分参考にする必要があると考えるのであります。なお不良出版物の一掃はいうまでもなく検挙、処罰のみによつて解決すべき問題ではなく、社会教育の徹底、健全娯楽の充実等と相まつて、初めて完璧を期し得ることはもちろんであつて、別にこの目的のために適当な措置をとるような民間の機関のできることが好ましいと思う次第であります。     ―――――――――――――
  32. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第三を議題といたします。日程第三、弟子屈町に区検察庁並びに簡易裁判所設置陳情書、この陳情書に関する文書表調査員より朗読いたさせます。     〔調査員朗読〕  弟子屈町に区検察庁並びに簡易裁判所設置陳情(第八号)   陳情者 北海道川上郡弟子屈町長 佐藤惣五郎  北海道川上郡弟子屈町は、警察法の全面的な改革により、昭和二十三年一月一日に自治体警察署が設置されたが、同町は、阿寒国立公園地帯で内外客の往来頻繁の特異的環境であるのに、犯罪検挙並びに捜査は急速な処理を必要とするのであるが、区検察庁並びに簡易裁判所がないため、きわめて不便多く、とくに逮捕状の請求被疑者の押送等は現在釧路市まで出張処理している状況であり、これがため、時間的に事務能率の向上、並びに経費節減等の点より大きい支障を来しているから、同町に該当区検察庁並びに簡易裁判所をすみやかに設置されたい。
  33. 安部俊吾

    安部委員長 御質疑はありませんか。――なければ政府方の御意見開陳をお願いいたします。
  34. 高木松吉

    高木政府委員 ただいまお述べになりました北海道川上郡弟子屈町に区検察庁並びに簡易裁判所設置方の陳情の御趣旨は一応ごもつともと存じます。本件は初めての陳情でありますので、さつそく関係庁へ照会いたしまして、諸般状況調査中でございますから、右調査完了をまつて適当に処置いたしたいと存じます。さよう御承知をお願いいたします。     ―――――――――――――
  35. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第四を議題といたします。日程第四、少年の不良化防止に関する陳情書調査員より陳情書朗読いたさせます。     〔調査員朗読〕  少年の不良化防止に関する陳情(第一六二号)    陳情者 富山県高岡市立新湊東部中学校生徒会長 金谷哲  少年の不良防止化のため次の事項を国家においてすみやかに実現せられたい。(一)遊び場の設置、(二)少年向優良映画の作成、(三)明るく楽しく健康な歌の作成と奨励、(四)少年向優良図書の低提出版
  36. 安部俊吾

    安部委員長 御質疑がなければ、政府方の御意見開陳をお願いいたします。
  37. 高木松吉

    高木政府委員 少年の不良化防止に関する富山県高岡市立新湊東部中学校生徒会長金谷哲氏からの陳情についてお答え申し上げます。御趣旨の点はまことにけつこうなことであり、青少年の犯罪防止上からも重要なる問題と考えます。直接の管轄は厚生省、文部省でありますので、関係庁とも十分連絡をいたしまして、その実現努力いたすつもりでございます。     ―――――――――――――
  38. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第五を議題といたします。日程第五、住所法制定促進並びに戸籍事務費全額国庫負担陳情書調査員より陳情書朗読いたさせます。     〔調査員朗読〕  住所法制定促進並びに戸籍事務費  全額国庫負担陳情(第二一九号)    陳情者 四国地区連合戸籍寄留事務協議会長高知市長 山本暲  住所法の早急実施と戸籍事務費全額国庫負担即時実施のこと。理由、現在の寄留法が有名無実であり、市町村住民を確実に把握し得ざるうらみがあるので、寄留法を廃し、住民登録法を実施し、もつて配給、選挙、学齢、接種等の調査に関連性を持たすべく、さき当局においてその実現を企図したが、予算の関係上見送り状態になつていることは遺憾である。よつて早急にこれが実施を要望します。また戸籍事務費全額国庫負担についてはしばしば要望したのであるが、いまだに実現されず、ゆえに戸籍事務を国家へ返上するという論議が世論となりつつあることは注目すべきである。なお当協議会としては、現状では全額国庫負担の線に向つて要望するという決議をした次第であり、すみやかにこれが実現方陳情する次第であります。  二、戦災都市に対し戸籍復興費国庫補助金の交付について  理由、戦災都市は焼失戸籍簿等の再製復旧につき多額の経費負担をして鋭意その完成に努力している実情に対し、国はこれを助成せられ、すみやかに復旧するよう適当の補助金交付方を要望する次第であります。
  39. 安部俊吾

    安部委員長 御質問はありませんか。――これに関する政府の御意見開陳をお願いいたします。
  40. 高木松吉

    高木政府委員 戸籍事務は国に重大な利害関係があることは申すまでもありません。従つて政府といたしましても、すでに陳情の御趣旨に沿うよう努力いたして参つたのでありまして、その結果昭和二十三年度におきましては、配付税により現実に戸籍事務経費が増加された地方公共団体もあるのでありますが、なお十分満足な結果を得るに至つていないことは、国家財政の現状からやむを得ないところとは申せ遺憾に存ずる次第であります。昭和二十五年度におきましては、税制改革により戸籍事務に要する経費についても国庫負担金の形式でなく、他の一般行政費と同様平衡交付金によつてその不足額を補填することになりましたが、これは地方財政を強化し、地方自治を拡充するという根本目的に基くものでありまして、現在のところこれ以上の方法は困難であります。  次に住所法制定促進につきましては、寄留制度の現状にかんがみ、政府においても国内の住民をその居住地において登録する住民登録制度の必要を認め、関係庁において同制度について目下研究している次第であります。     ―――――――――――――
  41. 安部俊吾

    安部委員長 次に日程第六を議題といたします。日程第六、浦和地方法務局を現位置に設置陳情書調査員より朗読いたさせます。     〔調査員朗読〕  浦和地方法務局は現位置に設置せられたい。    陳情者 浦和司法書士会代表者 関口八郎ほか六名   陳情理由  先般行政組織の改革に伴い登記、戸籍、供託に関する司法行政事務は裁判所より分離せられて法務局及び地方法務局において管掌するところとなり、爾来浦和地方法務局は浦和地方裁判所の一部において事務を遂行して来た。ところが、狭隘なりとのゆえをもつて今回北浦和に敷地を物色し、庁舎を新築移転せらるる由聞き及んだのであるが、右敷地は浦和市の北隅に位せる約四百坪の工場地帯であつて、官庁敷地としては不適地である。さらに関係諸官庁と遠く相離れて、事務取扱い上はもちろん関係町村民の不便不都合もまた少からず、これに反し現位置は浦和市の中央に位し、裁判所用地ではあるが、該敷地は三千坪余を有し、関係諸官庁との連絡にも便であつて、優に右敷地内に新築設置する余地を存する。この敷地内に設置せられるとすれば、国家経済上さらにまた国民の福祉よりするもまことに好適の地にして至便である。しかのみならず、右裁判所用地は遠く明治二十年当時浦和町において裁判所用地として提供したというゆかりの土地であつて、爾来六十有余年の長い間関係町村民に親しく熟知されたものである。 右の理由によつて現位置に設置されることが望ましく、むしろ至当と考えられるので、あえてここに陳情に及ぶ次第であります。
  42. 安部俊吾

    安部委員長 これに関して御質問ありませんか。――さらに政府の御意見の御開陳を望みます。
  43. 高木松吉

    高木政府委員 浦和地方法務局庁舎を北浦和に新築する予定であることは陳情の通りであります。元来地方法務局の事務は裁判所と関連を持つているので、その近くに建築することは最も望ましいことではあるが、裁判所構内またはその附近に適当な敷地が得られないので、やむを得ず右の処置に出たわけであるが、北浦和は将来発展が予想されるのみでなく、現に埼玉県庁も所在し、かつ町の中心地からの距離はいくばくもなく、交通も至つて便利であつて地方法務局を北浦和に移転しても、地方民にとりさして不便とは考えられない次第でございます。
  44. 安部俊吾

    安部委員長 以上をもつて陳情書審査は一応終りましたが、これより委員会態度決定いたします。日程第二ないし第六につきましては、いずれも相当の理由があると思われますので了承することにいたしまして、その趣旨実現努力いたしたいと思います。  なお日程第一は、さらに検討を要すべきものがあると思われますので、今日はこの決定を保留いたします。以上をもつて請願並びに陳情の件は終りました。     ―――――――――――――
  45. 安部俊吾

    安部委員長 次に限時法に関する件を議題といたします。北川小委員長より報告を求めておられますからこれを許します。北川小委員長
  46. 北川定務

    ○北川委員 ただいま議題と相なりました限時法の取扱いに関する小委員会審議の経過並びに結果を御報告いたします。  今国会の初めに法務委員の中で、統制のわくが次々と廃止せられておるが、統制廃止後、すなわち取引が自由となつた後においてもなお統制中の行為を処罰することは穏当でないから、これを立法手段によつて解決したいという議論が持ち上つたのであります。一方弁護士会の一部から、限時法の規定はずさんをきわめているから、限時法の取扱いに関する立法を望むという陳情がありました。ここで初めて法務委員会において限時法に関する小委員会を設けて、限時法を正式の問題として取上げるに至りました。七月十八日限時法の取扱いに関する小委員会が設けられ、以後四回にわたつて審議いたしました。  まず村専門員に試案をつくらせ、これに対し物価庁、法務府、検察庁最高裁判所、弁護士連合会の意向を徴したのであります。物価庁、法務府、検察庁の各事務局はいずれもこの法案の制定に反対でありました。最高裁判所はこの立法にタツチせず、弁護士連合会は全面的に賛成したのであります。第三回目の小委員会でつくられた成案は次の通りであります。   限時法の取扱に関する法律要綱案  第一条 効力期間が予め予定さるベき経済関係の法令がその効力を失つた後においても、その期間中の違反行為に対し、なお罰則を適用する法律を制定せんとする場合においては、その旨をその法令中に規定しなければならない。  第二条 左に掲げる勅令の規定が最終的に効力を失つた場合においては、その効力期間中の違反行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による旨の規定にかかわらず、刑事訴訟法第三百三十七条第二号に定める刑の廃止があつたものとみなす。    一 物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)    二 地代家賃統制令(昭和二十一     年勅令第四百四十二号)     前項の勅令に基く省令又は告示の規定が特定の物資土地又は建物について最終的に効力を失つた場合においては、その効力期間中の当該物資、土地又は建物に関する違反行為に対する罰則の適用については前項と同様とする。  第三条 検察官は、第二条の規定により刑事訴訟法三百三十七条第二号に該当するものとみなされる勅令の事件のみについての刑の執行が終らない場合においては、その刑の執行を免除する指揮をしなければならない。  第四条 前各条による外、既に有罪の言渡が確定したことによつて生じた既成の効果は、この法律の施行によつて変更を受けることがない。     附 則   この法律は、昭和二十五年九月一日からこれを施行する。  右の案に対し衆議院法制局長の批評がありました。批評の一は、物価統制令と家賃地代統制の二つの勅令のみを問題とし、他の統制違反に及ばないのは、法の前に平等であるとの原則に反することはないか。批評の二は、確定した刑の効力を失わしめるものは恩赦であるが、憲法によれば恩赦は内閣の権限であつて、恩赦を内容とした法律を国会がつくり得るかどうかは憲法上一応の疑いがあるというのでありました。  次に小委員会における賛否の意見は次の通りであります。まず賛成論の要旨を申しますと、一、罪刑法定主義の原則は徹底されなければならない。二、犯罪後の法令により刑の廃止ありと認めらるる以上、いかなる罪種であろうと、従つて凶悪犯でも統制違反でも免訴の判決をしなければならぬ。勅令と告示とが合して罪刑の明確な条文となるとき、その特例が残つているが、その告示の廃止がある場合は、当該物資につき刑の廃止ありと認むべきである。三、限時法の観念は欧州大陸法のもので、米英法にはその規定がなく、しかしてわが国の限時法に関する規定は乱雑をきわめている。すなわちその法律が限時法であることを書いてないものがあり、書いてあるものもあり、書いてあつても用語が一定していない。このような法規のもとにおいて刑罰を受けては国民が困る。四、立法的手段により大幅に自由経済に復帰することができるというのであります。  次に反対論の要旨は次の通りであります。一、この法案によつて訴訟を延ばした大口悪質のやみ会社が得をし、刑の執行を終つた正直者がばかを見るとの意見がある。これは国民の遵法精神に悪い影響を與える。二、繋属中の最高裁判所の判決が近いと思うから、これに一任すればよいではないか。これが国民の常識に合致すると思う。法律解釈の問題を立法的に解決することは穏当でない。三、行政的措置によりこの問題を処理した方がよくはないか。たとえば明年四月ころ物価統制令の廃止が予想されるから、それを待つた方がよくはないか。また告示の廃止があつた後は恩赦によつて違反者を救済してはどうか。四、日本経済界の今後は、ひたすら自由経済に復帰するとだけは言われない。朝鮮動乱によつて物価統制の徴候があるではないかという意見でありました。  結局七月二十七日の小委員会で次の通りに決定いたしたのであります。この法案は閉会中の継続審議とし、次の国会審議する。その理由は次の通りであります。一、第八国会地方関係に限つている。二、朝鮮動乱により自由経済か統制経済か見通しがつかない。三、限時法の観念、告示の効力等について学界の通説はなく、また裁判権と立法権との関係をも考慮する必要がある。四、この法案については広く材料を整え、公聴会に学識経験者を呼んでその意見を集めるべきである、慎重に構想を練らなくてはならないというのであります。かくしまして最後に限時法の取扱いに関する法案は、第八国会にはとうてい間に合わないので、これを閉会中の継続審議といたしまして、次の国会に提出することにいたしたのであります。  以上限時法に関する小委員長の報告を申し上げます。
  47. 安部俊吾

    安部委員長 本件に関して御意見のある方は御発言を願います。
  48. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今の法案に対して質問したいのですが、第一に伺いたいのは、先ほど最高裁判所はタツチせられなかつたというのですが、それはどういうわけですか。
  49. 安部俊吾

    安部委員長 速記をやめてください。     〔速記中止〕
  50. 安部俊吾

    安部委員長 速記を始めてください。
  51. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 もう一つ委員長に承りたいのは、刑が廃止になれば刑法の原則から当然適用の上においてできると思うのですが、特に先ほども説明の中にありましたが、もつと詳しく、特にこの法律をきめてやらなければならぬ理由がどこにあるのか、その点明白ででございませんけれども、現在の刑法に基いて刑罰が廃止になつたら裁判所は当然やるということでいいのではないか、それをやらなければならぬという理由はどこにあるか、これを明白にしていただきたい、こういうのであります。
  52. 北川定務

    ○北川委員 統制法令の中には本法に違反したる場合には本法が廃止せられた後にもなお処罰すると明白に規定している法律もあります。また附則の中に持つて来て、処罰については従前の例によるというようなあいまいな規定をしておるのもあります。また全然規定のないようなものもありまして、これが非常にまちまちになつおるのであります。私も本法と告示が合体しまして刑罰法令を形成しているものと存じておるのでありまするが、告示は単なる行政処分であるという人もあるようであります。私のような説をとりますならば、告示が廃止せられた場合には当然刑罰法令が廃止せられたのでありまして、刑事訴訟法によつて免訴の判決をすべきことは当然でありますが、もしこれを刑罰法令の一部と見ないで、行政処分だと見る人は、あるいはさように解しないかもわからないと思うのであります。以上のような次第でありまして、明確に法律をもつて告示の廃止せられた後における犯罪行為を処罰せずとすることが、国民に従うべき道をはつきり示すことになると思うのであります。
  53. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 それでは法令廃止になつても処罰を適用すると書いてあるのは何と何ですが、それはお調べになりましたか。
  54. 安部俊吾

    安部委員長 ちよつと速記をやめてください。     〔速記中止〕
  55. 安部俊吾

    安部委員長 それでは速記を始めてください。
  56. 花村四郎

    花村委員 これはいずれの主張も相当な理由を持つておるものでありますが、本案はとにもかくにも及ぼす影響はすこぶる大きいものがありますので、あらゆる面から十分に研究し、検討する必要があろうと思うのですが、まず第一に私がお尋ねしておきたいことは、先ほどの御報告によりますと、本件に該当すべき法令は物価統制令と家賃統制令に関するものであるというように承つたのですが、この二つに限定した理由はどういう理由であるか。もしこういう法律をつくるということであれば、今日までの統制令の中で廃止されたすべてに及ぶということでなければ、合理的ではなかろうと思うのであります。その一部に限局した理由はどこにあるかということが一つ、それから第二にこの法律ができました場合に、適用を受ける事件は何件くらいある、事件の数ならびにその事件の性質等について調査が済んでおりますならば、この点を承つておきたいと思うわけであります。
  57. 北川定務

    ○北川委員 物価統制令と地代家賃統制令と二つの法律に限局しました理由を申し上げますと、まずこの二つの統制令が立法の形式がまちまちになつておりまして、廃止後にも処罰するという趣旨の規定が判然としておらない点が一つであります。それからこの二つの法令は非常に広汎にわたつておりまして、この二つを適用することによつて相当広範囲のものを救済することができるという趣旨であります。もつとも案の中には臨時物資需給調整令も考慮はされておりましたが、この臨時物資調整令には、先ほど村專門員から申されましたように、はつきり廃止後にも処罰するという規定がありまするので、両者の取扱いを別々にすることは権衡を失すると思われたのですが、法律の規定からいたしまして、そうすることができなかつたのであります。  それから第二点の、この法律が制定された場合に、一体何件がその影響を受けるか。その件数と事件の性質をお問いになつたのでありますが、何分にも審議の期間が短かいので、そのような資料を集めることができなかつたのであります。従いまして継続審議中にこれらの資料も集めまして、委員の方方に提出いたしたいと考えておる次第であります。
  58. 花村四郎

    花村委員 小委員会において先ほど小委員長が読み上げられました立法についての御苦心のほどはよくわかるのでありまするが、しかし統制が廃止せられたということが根本の理由と相なりまして本法案をつくらなければならぬということに相なつて来たのでありまする関係から申し上げますると、ただにその中の一部でありまする物価統制令並びに家賃統制令のみに限局するということで、一部の統制違反者に対する保護をしてやるというようなことは、あくまでも公平であらなければならない法律の建前から申しまして、相当疑問なきを得ないと思いまするが、この点はなお十分に考慮する余地があろうと存じます。なおこの法律制定の結果といたしまして、その恩典をこうむる事件の性格並びにその数がどの程度あるかということは、立法上相当に重く見て考慮を払われなければならぬ問題であろうと思うのでありますが、そういう点に対しまする資料を、ひとつ委員長の手を経てそれぞれの官庁に要求を願いたいと思うのであります。こういう意味において、今回の議会でこの問題を片づけることはとうてい不可能であろうと思いまするので、継続審議の方向に持つて行くという御主張はしかるべきものであろうと存じまして、私は賛成いたします。
  59. 安部俊吾

    安部委員長 ただいま花村委員の御発言中の、委員長に対する資料に関することにつきましては了承いたしました。
  60. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 継続審査の件につきまして小委員長の報告に私とも賛成するものであります。いずれにしろ、この法案を審査いたしますにつきましての準備が不足であつて、はなはだ不用意な状態に置かれておつたのでありまするから、小委員会におきまして継続審議をしたいという御決定なつたことは適当な処置だと思うのであります。そこでこの委員会においてそれが是認せられますやらどうやらわかりませんが、継続審査に相なることにしますならば、ここにやはり委員長の責任においてとりそろえていただきたいものがあるのであります。それは今花村委員の言われたと同じようなことでありますが、第一は、限時法と申しましても学界においての議論が多々あるのであつて、広狭さまざまな学者の議論があるのであります。但し大体において三通りぐらいにわけられる。法案の中それ自体において限時法の規定を置いて、この法律が廃止されても、なお有効の際になした違反については処罰するという経過規定が置いてある。これは明瞭なところであります。ところがこういう経過規定を置いていなくても、いわゆる臨時立法、明瞭な期限を切らぬにしても、日華戦争終了後一年間というような規定を置くような、期間が不確定であつても確定し得べき何らかの文句がその法文の中にあつて、臨時的なものであるということが明らかな場合、これはある学者は臨時法と言うのでありますが、こういうものをやはりいわゆる刑法の法定主義あるいは刑事訴訟法の三百三十七条の例外をなすものだ。なお広く言う学者は、臨時的あるいは限時的な何らの文句なくても、統制せんとする法令それ自体の精神解釈において限時法と見なければならぬものがあるという説をなしておる有力な学者もあるのであります。そこで私お願いしたいことは、およそこの程度の三段階ぐらいにわけて、あるいは最広義に解釈しておりまする牧野英一博士の議論は、純然たる実質論でありますけれども、これはさしおいても、少くとも限時法と臨時法ぐらいの区別のもとに現行法令を分類してもらいたい。限時法には、こうこういう法令があるし、臨時法にはかようかようの法令があるということの分類をひとつしていただきたいのであります。  それから第二点は、この分類に従いましたるところの今までの刑事犯罪の事案統計であります。起訴が何ぼあり、そうしてそのうちの今裁判に係属中のものが何ぼあり、判決せられたものが何ぼあるというような統計を、裁判所あるいは法務府に要求してとつていただきたい。というのは、われわれがこの法律をつくつた際に、現在行われておる裁判あるいは検察庁に、いかなる影響を與えるかということが私ども知りたいもとでありますから、さような統計をひとつぜひとつていただきたいと思うのであります。  それからなお要求することは、必ず本法案審議の過程におきまして公聴会を開くということを今日から考えて、その人選その他につきまして御研究願いたい。ことにその中には、朝鮮事件を契機といたしましたるところの日本の将来の経済状態及び統制の緩和の問題がどういう見通しであるかというようなことに対するところの専門家を、公聴会の公述人として御研究願つて、ぜひ呼び出して私ども聞きたいと思うのであります。さよな準備のもとにひとつやりたいと思います。  なお専門員にお頼みいたしておきたいことは、かような有罪判決がなされているというような事案の場合に、法律の解釈を立法的に統一することによつてこの刑罰効果をなからしめるということが、恩赦という方法以外にかつて行われたことがあるかどうか。そうしてかような行動というものと裁判権というものとがどういうふうな関係に立つものであるか、憲法上そういうことも御研究願いたいと思います。考え方によりましては、これは非常に深刻重大な問題がひそんでいると私は考える。でありますから、立法権と裁判権との関係というような意味におきまして、さような御研究のみならず、告示なるものの性格、これも行政処分であるか、法令の一部を構成するものであるかによつて議論の立て方がかわつて来ますから、その点についても、お互いに研究しますけれども、専門員諸君の御研究をお願いしたい。そういう統計と、それから学術的な研究と相まつて、その上に公聴会を開きまして事を慎重に運んでもらいたい。その意味におきまして継続会に入ることを希望するのみならず、もし継続会に相なりましたならば、以上申し上げたような準備をお進め願いたいということを委員長に要望いたしておきます。
  61. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私はここに審議の過程で重大な結果が来ぬかということを憂えまして、一言つけ加えておきたいのですが、議論はあろうけれども、罪刑法定主義で刑罰規定がなくなつた以上は当然罰せられないものだという議論が立つといたしますれば、今新しい立法をやろうとしている地代家賃統制令及び物価統制令に関しては、やらなくてもいいものである。してみれば、やらなければならぬのは需給調整法のように済んでも罰するのだと書いてある。これをやることこそほんとうのことであつて、それはよけいなことになる。従いまして、われわれはこの法律を、物資需給調整法はやむを得ないのだ、物価統制令と地代家賃統制令に対しては議論があるからきめるのだ、こういうことになると、需給調整法でやられているものは当然罰せられるし、これはもちろんのことだ、地代家賃統制令及び物価統制令違反者でもこの法律ができない間は罰せられるものだということを前視に置いたように聞える。これはよほど重大なことであつて、これらに対しては相当議論があるから研究するということにしておいてもらいたいのです。そうでないとこれは重大な結果をここで議論することにおいて及ぼすと思いますから、私はそういう意味でないのだ、それらのことをここで目下研究中であるのだということにしておいてもらわなくちやならぬということを第一番に申し上げておきます。従いまして、これをやる以上は需給調整法においても罰せられないことにするにあらざれば意味をなさないものだ。これは私の意見でありますが、この意見をつけ加えて、この点も今後に残して研究せられるならば十分考えていただきたい。  もう一つは、その反対論でありますが、なるほど法律的に言うと、今私が申しましたように、やるのはいいかしらぬが、社会的影響ということをよほど考えなくちやならぬと思います。今日の社会状態から考えまして、先ほど報告にもありましたが、正直者はばかを見て、ずるい者は得をする。もつと言えば、今日いわゆる新興成金として経済界に幅をきかせておる者の大部分はいわゆるやみ成金である。しかしてこういう者が金によつて、起訴せられましてもいろいろの手段で判決を延ばしておる。それがこれによつて助かるということになると、争う力なくして現に刑罰を終えた者はこれに対してどういう考えを起すであろうか。また社会一般から、こういう法律が出ることにおいてはたして観迎せられるものかどうか。これらの点を考慮せられまして、継続審議をするかせぬかについてもいま一ぺんひとつ御考慮を願いたい。かように私の意見を申し添えて、本日は打切つてもらいたい。
  62. 上村進

    ○上村委員 私はこの限時法について一言意見を述べておいた関係上、ここでちよつと申し添えておきたいと思いますが、問題は、刑罰はむろん法によつて発生しておるわけであります。そしてその根本の統制法がなくなつて、なおそれを罰するというこの規定、これが悪いのである。ですから法が刑を制定して、そしてその刑が法によつてなくなれば、これは刑事訴訟法によつて免訴になることは明らかなんです。しかるにどういう間違いをしたのでありますか、物価納制令と地代家賃統制令は、罰する法律がなくなつてもなお罰するというばかな規定があるから……(「いや、そんなことはない」と呼ぶ者あり)いや、従前の例によるというのはそういうことなんです。そういうものをなくして置こうというところに、これが立法措置を要求する理由があると私は思うのです。でありますから、こういう刑がなくなつても、なお従前の例による。つまり刑法の根本理論、刑罰の根本理念、これに間違つておる刑があるから、それを立法的に処理しておくというところに、本件の立法措置があると私は思うのであります。でありますから、これは単に判例だけにまかしておくということができないのだから、立法処直もいいであろうという意見を私は最初に述べておいたのでございます。それ以外に何の理由もないのです。そういうばかばかしい不合理な条文があるから、それを判例にまかすことができないのだ。専門の立法者すら間違つてそういうことをしておるのだから、今度はその立法を正しく立法しておくのが本件趣旨であろうと考えたから、私はよかろうという意見を述べておきました。しかし問題はやはりそこにあろうと思うのです。私どもはこの事件についてしばしば弁護をして、そして私どもの意見が通らないのです。なぜかというと、そういういやしくも法令みたいなものがあるのです。刑罰がなくなつてもなお罰するというようなことがあるから、裁判所はそれを肯定しているのではないかと私は見るのです。だからこういうことは、やはり立法の間違いであるから、立法府においてこれを修正して行くということが当然だろうと思うのです。そういう意味で動機がどうのここうのというようなことをせんじつめれば、いろいろなことがあるらしいようでありますが、私はそういうこまかいことでなしに、いわゆる法の原理、原則、立法の趣旨、立場、こういうものから、これは立法措置をしておく必要があるというふうに考えたので、最初に申し上げたのです。でありますから、むろんこれは慎重に御審議を願う意味において、継続審議ということであれば異議はないわけでありますから、その点をちよつと申し添えておきます。
  63. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 私は先ほど専門員に聞いたときに、そういう規定のあるのはどれで、ないのはどれだと言つたら、物価統制令と地代家賃統制令以外にはないのだということを聞いたので、そういうことを言つたのですが、しかし何かあるのなら、私は先ほど言つたことを訂正しておきます。
  64. 村教三

    ○村専門員 ちよつと私から訂正しておきますが、あるか、ないかという問題は、学界の説では限時法につきましていろいろ考えがあるわけでありまするが、この物価統制令と、それから地代家賃統制令におきまして、廃止後に罰則を適用するという条文は明確にはございません。しかし今上村委員がおつしやいましたように、なお従前の例によるということがございますから、それがそれだという人はございます。精神解釈をする人は、この物価統制令及び地代家賃統制令においても、やはり罰則が適用されるのだということを法の精神から解釈するのであります。そんな人からいえば、あるということになるのであります。このようなあいまいさがいけないということが、この立法の趣旨でありまして、あるか、ないかということは、結局精神解釈で行くか、文字の解釈で行くかというだけの問題であります。一言ちよつと申し上げておきます。
  65. 花村四郎

    花村委員 ただいま上村委員から名論卓説があつたのでありまするが、何か従前の例によるということを法令のうちに書いてあるのは誤りであるというような御意見であつたのでありまするが、これは何か上村委員の考え違いじやなかろうかと思うのであります。要するに統制令が実施せられまして、そうして廃止になつたという場合において、実施中起訴をせられて、そうして判決を受けて確定したという事案に対しては、何らの問題が起きないのでありますが、起訴せられない事件並びに起訴をせられても確定裁判を受くるまでに至つておらないという事件の扱い方は、たとい法令が廃止になつても、やはり従前のように処罰をされるのであるという意味の規定なんですから、これは当然過ぎるほど当然なことです。その統制令施行中において犯罪を犯したという場合において、すでに起訴をせられ、裁判を受けて確定したという事案は、これは問題にならないのですが、この統制令廃止後において、なお確定裁判を受けておらないので、従つて起訴をするかどうか、あるいはすでに起訴をせられて裁判に係属しておる事業というものの扱いをどうするかという問題ですから、そういう事案に対しては従前の例によつて処罰をして行くのだ、こういう意味なのですから、これはやはり統制令実施中において犯罪を犯した場合に、その犯罪に関する取調べを受け、裁判を受けるのは当然なんですが、ただ起訴その他の手続上の事柄が法令廃止後に残つておるからというて、当然その法令が廃止になつたのであるから、前の事件までも手をつくべきものでないというような考え方は、これはどうかと思うのであります。要するにそこが今回問題になつておるわけなんだが、そういう法令があつたからというて、それが誤りであるというような結論は私は出て来ないと思います。しかしそういう従前の例によるという法令が出ておる、おらないにかかわらず、統制令廃止後においては、統制令実施中における犯罪行為について、なおかつ裁判の確定せざるものについては処罰をしない方がよろしいのであるという考え方も、これは考えられると思うのでありますが、しかし統制令が廃止されたという偶然と申しますか、一つのできごとによつて、今日まで犯しておつた犯罪行為の審理が比較的遅れて来たというような事柄によつて、それが処罰をされぬということになるというようなことがはたしていいか悪いか、これは相当重大な問題でありまするが、とにもかくにもこの問題を継続審議に持つて行くかどうかということでありまするが、これはやはり相当に重大な問題であり、党の方の意向も聞く必要もあるのではないかと私は考えるので、これは三十一日まで継続審議するかどうかを、ひとつ留保しておかれて、今日はこの程度で散会せられたらばどうかと考えます。
  66. 上村進

    ○上村委員 花村委員にちよつとお答えいたします。花村さんが私の意見を聞き間違えておられる。私はとにかく統制のわくが次々にとれて行く場合に、たとえば絹織物、石炭、と次々にとれて行く場合に、絹物に対してとれた場合には、絹物に対する刑が法令によつてなくなつたと解釈する。石炭の統制がとれた場合には、石炭に関する限りは法令によつて刑が廃止したというふうに解釈する。ですから何らかの規定がなければ、これは当然免訴の判決をしなければならないことは、裁判所もよく知つておるわけであります。しかし裁判所がそれにもかかわらず有罪の判決をしているのです。そうするとこれは何によつてやるかというと、やはり統制のわくがとれても、それに対しては従前の例によるというような規定みたいなものがあるから、それで刑が廃止になつても、免訴の判決をしないで有罪の判決をするということで人権を蹂躪している。私は、人民人権を尊重するがゆえに、法律の刑が廃止してなくなつてもなお罰するという、ばかばかしい規定を直しておく必要があるということを痛切に感ずるものですから、この規定のあるようなものを立法的処置で解決しておく必要があるということであつて花村さんは何か私の言うことを誤解しているようです。     ―――――――――――――
  67. 安部俊吾

    安部委員長 大分御意見の御開陳もありましたが、この際閉会中の審査事件について御協議をしたいのであります。閉会中における審議申出に関する件。第一項は刑事訴訟法の改正に関する事項、それから限時法に関する事項は除きまして、第二項は検察行政及びこれに関連する国内治安に関する事項、第三項は動物虐待防止に関する事項、第四項は監獄法改正等に関する事件を、閉会中審議したいと思うのでありまするが、この点に関して御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 安部俊吾

    安部委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なおただいまの御決定通り議長に対して申出をいたしますが、従来の例によつて、議長より再調整を求められた場合には、委員長並びに理事に御一任を願いたいと思いますが、よろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 安部俊吾

    安部委員長 御異議がなければさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  70. 安部俊吾

    安部委員長 次に閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。ちよつと速記を中止してください。     〔速記中止〕
  71. 安部俊吾

    安部委員長 速記を始めて。それでは委員派遣につきましては、ただいまの懇談の趣旨に基きまして、一応委員長及び理事に御一任くださるようにお願いしたいのでありまするが、なお再調整につきましても、委員長及び理事に御一任願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十分散会      ――――◇―――――