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世耕委員 現在の
警察の状況を見ますと、組織その他の
関係からという
ようなところもあ
つたのだろうが、あまりに能力を発揮していないということを、あらゆる点についてうかがうことができるのでございます。大きな
事件としては下山
事件、あるいはその他の
事件のごときも、
ようとして一向に
警察能力を発揮しておらぬ。これは
警察の欠陷から来るのだろうと私は思います。もし
警察の欠陷から来るということが
はつきり認識されるとすれば、英断をも
つて改革すべきである。ことに新任の
法務総裁が大いにこの点は改善をなさるべきことをわれわれは希望いたしております。
これはこの点でおきますが、先ほど
猪俣君から義勇軍の問題に関連して私の名前が出ましたから、一応私もそれについて
意見を述べておきます。
私はこの間、義勇軍の問題は、
憲法上の学説から学理から引例をして、義勇軍を組織してもさしつかえないという結論を申し上げたのであります。のみならず、それに対して、それぞれ権威者の
意見の発表も加えて申し上げたつもりであります。私はこの機会に、その問題に触れたから、もう一歩進んで申し上げたい。
義勇軍の組織云々の問題は、実に今日現実の問題とな
つて現われて来ておる。
憲法上の問題をひねくる時期ではなくな
つて来ておる、私はか
ように考えております。それは
朝鮮におけるところの戰況であります。三十八度線突破以来三十五度に伸びて、もうすでに大邱、釜山の一角に、
連合軍側が閉じこも
つておる
ような
状態であります。もし北鮮軍が一挙に押しまくれば九州に上陸するでし
よう。こういうことが想像できるのです。そういうことを言うたら悪いとい
つても、実は巷間そういうことが伝えられておる。なおまたその勢いをも
つて北海道に上陸するであろうと
言つております。北海道に上陸して、九州に上陸したら、
日本がどういう結果になるかということは、おのずから明らかだろうと私は思う。先ほどのお話を承
つてみると、それは三十八度線を突破した時代の話で、きわめてのんびりした議論であります。もうすでに三十五度線に
侵入して
朝鮮を席巻せんというときに、
政府側が改めた決意を示すべきじやないか、私はか
ように思う。韓国軍は幸いにして武器がある。
軍隊を持
つてお
つたからよか
つた。われわれは
軍隊も何も持
つていない。もしかりに想像してみますと、北鮮軍の背後にソビエト軍、中共軍が参加してや
つて来たとするなれば、
日本は一挙に葬られる。葬られた結果は、最悪の場合を想定してみまし
よう。ヨーロッパの実例を見ると、
日本には人的資源をねら
つて来るでし
よう。人的資源をねら
つて来て、もし米軍が一時退却することによ
つて日本が完全に占領されたときは、少くとも一千万人くらいの
日本人は、
侵入軍によ
つてこの人的資源を逆用される。もし世間の想像する
ように、世界大戰が発生するとすれば、西部戰線に送られるということは、あえて戰術家の議論を聞かなくても、われわれは常識論で一応考えられるのであります。今日世間や
政府の一部ではいまだになお永世中立とか、あるいは安全保障とかいうことを言うておられるけれ
ども、だれがわれわれの生命財産を保護してくれるのか、退却してしまわれたら保護してくれる人は、われわれにはない。無手勝流じやありませんか。空手空拳だ。上陸して来れば、われわれは手をあげるだけだ。だから中立論は、すなわち今日から念仏である。何事もあきらめて、そういうときは念仏をとなえろ。それよりはるかに方法がないのだということを
政府が御指導くださるならば、またこれは考え
ようがある。こういう事態に差迫
つて来ておるということをおそらく
政府の諸君も感覚がないということはなかろうと私は思う。言うて悪いことなら言うてくれとは言わないけれ
ども、少しは国民の気持もくんでもらいたいということを私は言いたい。どうです。その点について。