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今野委員 私もやはりこの
レツド・パージの問題、並びにその問題を機縁として
学園に起つた問題について、御質問申し上げたいと思
つておるのであります。但し、この問題については、先般参議院でも
つて質疑がある程度行われました。その際に、やはりわが党の岩間議員と
天野さんとの
質疑応答を見てみますと、根本の問題で
考えが違うところがあるらしい。やはりその点を最初に明らかにしておいて、それから具体的な問題に入りたいと思います。
天野文相は岩間さんに向
つて、
共産党員であるあなたが、階級のことを口にしないで、
国家とか民族とか言うことは、おかしいじやないかということを言
つておられるのです。しかしながら、今日の段階における共産主義というものをよく理解し、いろいろと勉強なす
つている方にと
つては、実は明らかなことなんです。なるほど、形式的に民族あるいは
国家というようなことを申せば、それはか
つての
日本において、民族主義あるいは
国家主義の名のもとに、一部の資本家階級あるいは地主階級、そういうもののために他国を侵略するための口実に使われた。こういうものを、私どもはブルジヨア
民主主義という言葉で呼んでおります。あるいはブルジヨア
国家主義とい
つてもよろしゆうございます。しかしながら、われわれが今民族の利益、
国家の利益を云々するのは、そういう
意味ではございません。
天野さんがよく言われるこの現実の
事態、この現実にわれわれの国ばかりではなく、ほかの国でも、そこの民族の利益というものが、他の帝国主義的な段階にある資本主義の脅威のもとにさらされている、そういう現実のもとにおいて
国民の生活を守り、そうして
国家の独立をいやでもおうでも達成したい、そうしなければどうにも
日本人は生きて行けない。こういうような
建前から来る民族という言葉であり、
国家という言葉であるわけであります。資本主義というのは、その国だけの問題ではなく、世界的な規模の問題であります。現在の段階においては、
日本の民族を守るために闘うことこそ、インターナシヨナリズムに通ずる、そういう
考えのもとにや
つておるわけであります。従
つて日本でも、侵略的なブルジヨア的な民族主義でや
つているときには、われわれはインターナシヨナリズムを唱える。しかしながら、今他国の侵略を受入れるという状態のもとにインターナシヨナリズムを言うときには、民族という言葉を唱える。戰後において
日本の
教育が非常に破壊された状態にあるということは、さつき
文部大臣も、非常にむずかしい
事態であるとか、あるいは
制度そのものの欠陥であるというようなことをいろいろ言われました。確かにむずかしいということは、
一般的には言えると思うのであります。しかしながら、最近に特に起つた
事柄を
考えてみると、たとえば横須賀にあります水産
大学の
学生がいろいろと騒いでおる。なぜ騒いでおるかというと、あそこの校舎が予備隊か何かの宿舎になる。それであそこを追い拂われるということが言われておる。それから土浦の予科練の跡が二つばかりの
学校の校舎にな
つておりますが、これがやはり兵舎にするというので、ただいま立ちのきを食ら
つておる。前には外語にもそういうことがございました。それから最近医者が足りないということで、医科
大学の医科の
教授が軍医に徴発されておるというような事実がある。あるいは
大学の
教授の生活がどんなにひどいものであるかということ、研究もできないという状態にあるということ、これは
新聞紙上でも、例の原田さんの問題で、実にいやというほど
国民は見せつけられておる。
学生はもとより、実にいやというほどはつきり知
つておるわけであります。そればかりではなく、
学生の生活が困難であるということ、そうして
学問がろくにできない状態にあるということ、
教育が実際に破壊されておるという実情、こういうことから、
学生が、一体政府は何しておるのだろう。政府ばかりじやない、
日本のおとな
たちは何しておるのだろう。議会でも、政府でも、その他あらゆる
国家の機関は何しておるのだろうと深い疑惑を持つ。そうしてこれがどうにもできないような政府では信頼できないというような気分も、やはり強くなるわけでございます。ところが最近の状態はその通りにな
つておる。しかも今度の
レツド・パージの問題についても、この問題が起
つて以来、
レツド・パージをやれと、どこからか出て来て、その
法的根拠を求めるのに汲汲と苦心しておられる。この苦心自身はよくわかるのであります。しかしながら、これは
レツド・パージをやらなければならぬということが大前提にな
つて、そのあとのこまかい技術的なことであります。そうすると、その大前提が一体どこから出て来たかということについては、何ら
説明もされていない。そうしてまた、
新聞に出ておるところによると、保利労働
大臣などは、
共産党員は労働法規の保護を受けないというような無法なことを言
つておるわけであります。これは政府みずからが、
国民の一部を
法律の適用外に置くことである。ところが、これが
共産党員のみにおいてそうな
つておるかというと、現実においては、そうではありません。現にこの衆議院の農林
委員会などにおいても、昨今問題にな
つておるが、麦の供出その他の問題について、食確法によらなければならないということはわか
つておる。ところがそれによらないで、現に総司令部の命令だということでや
つておる。ところが農林
委員会で聞いてみると、それは行き過ぎで間違いであつた。しかし実はすでに行われて済んでしま
つておる。そういうつくつたばかりの
法律を無視した
事柄が行われておる。あるいはまた肥料の輸出などについては、輸出貿易管理令という政令によ
つて農林
大臣の同意を要することにな
つておる。ところが今回通産省は二万トン余の肥料を農林
大臣の同意なしに輸出するという無法なことをや
つておる。それからこの間私の県で起つた事件でありますが、横浜で働かせるからとい
つて、全国の職安を通じて労務者を横浜に集めた。私は特別調達庁や労働省に行
つてこれを取調べてみました。確かに横浜で働かせると言つた。ところが実際に行
つてみると、船に乘せられた。━━━━━━━━━━━━━━━━。