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1950-07-30 第8回国会 衆議院 文部委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月三十日(日曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 長野 長廣君    理事 岡延右エ門君 理事 小西 英雄君    理事 圓谷 光衞君 理事 小林 信一君       甲木  保君    佐藤 重遠君       若林 義孝君    井出一太郎君       笹森 順造君    坂本 泰良君       今野 武雄君    浦口 鉄男君  出席政府委員         文部政務次官  水谷  昇君         文部事務官         (官房總務課         長)      森田  孝君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     辻田  力君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      西崎  惠君         文部事務官         (管理局長)  久保田藤麿君  委員外出席者         議     員 大内 一郎君         專  門  員 石井  勗君     ――――――――――――― 七月三十日  委員尾関義一君、細田榮藏君、大石武一君、佐  瀬昌三君及び山口六郎次君辞任につき、その補  欠として柏原義則君、周東英雄君、高木章君、  飛嶋繁君及び平島良一君が議長の指名で委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  閉会中審査に関する件   請願  一 教育財政確立等に関する請願水谷長三郎    君紹介)(第八号)  二 新制大学における厚生補導対策に関する請    願(圓谷光衞紹介)(第九号)  三 新制大学農学部総合農業学科設置等の請    願(若林義孝君外一名紹介)(第一〇号)  四 標準義務教育費に関する法律制定促進の請    願(圓谷光衞紹介)(第一一号)  五 同(若林義孝紹介)(第一二号)  六 同(鍛冶良作紹介)(第八三号)  七 大学管理法案要綱中一部修正に関する請願    (若林義孝君外一名紹介)(第一三号)  八 旧制師範学校附属校新制大学附属校に    切替請願若林義孝君外一名紹介)(第一四号)  九 国立大学附属学校教員の諸給与改善額に関    する請願若林義孝君外一名紹介)(第一五号) 一〇 六・三制校舍整備費国庫補助増額並びに標    準義務教育費に関する法律制定請願(池    見茂隆紹介)(第一四三号) 一一 六・三制校舍整備費国庫補助増額に関する    請願水田三喜男紹介)(第二〇九号) 一二 同(田中豊紹介)(第二一〇号) 一三 標準義務教育費に関する法律制定促進並び    に六・三制校舍整備費国庫補助継続交付の    請願田中不破三君紹介)(第三〇一号) 一四 標準義務教育費に関する法律制定促進の請    願(田渕光一紹介)(第三〇二号) 一五 同(若林義孝紹介)(第三五七号) 一六 教育功労者の表彰に関する請願圓谷光衞    君紹介)(第三五六号) 一七 六・三制校舍整備費国庫補助増額に関する    請願若林義孝紹介)(第三五八号) 一八 同(甲木保君外一名紹介)(第四二二号) 一九 教育財政確立に関する請願佐久間徹君紹    介)(第四二三号) 二〇 職業教育法制定に関する請願若林義孝君    外二名紹介)(第四五四号) 二一 公民館に対する国庫補助増額に関する請願    (若林義孝紹介)(第四五五号) 二二 函館市に文化系大学設置請願田中元君    紹介)(第四五六号) 二三 岩手県に対する六・三制校舍整備費国庫補    助増額並び姉体中学校建築補助金増額の    請願志賀健次郎紹介)(第五一二号) 二四 六・三制校舍整備費国庫補助増額並びに標    準義務教育費に関する法律制定請願(坂    本泰良紹介)(第五一三号) 二五 平和記念章制定普及に関する請願大内    一郎紹介)(第五一四号) 二六 国立長崎大学夜間部設置に関する請願(    岡延右エ門君外五名紹介)(第六九〇号) 二七 熊本大学夜間大学設置請願原田雪松    君外九名紹介)(第七四〇号) 二八 針道村中学校等校舍建設費国庫補助に関す    る請願大内一郎紹介)(第七四六号) 二九 昭和二十六年度教科書製造資金融資に関す    る請願坂田道太郎紹介)(第七九一号)   陳情書  一 文化財保護委員会委員人選に関する陳情書    (第三四号)  二 六・三制校舍整備費増額陳情書    (第四一号)  三 六・三制校舍整備費に対する国庫補助継続    の陳情書外二十三件    (第四六号)  四 元号廃止西暦採用に関する陳情書外一件    (第六四号)  五 六・三制校舍整備費に対する国庫補助継続    に関する陳情書外四件    (第六五号)  六 標準義務教育費確保に関する法律制定の陳    情書外四十一件    (第六六号)  七 六・三制校舍建築整備費に対する国庫補助    継続陳情書外五十一件    (第七三号)  八 標準義務教育費確保に関する法律制定の陳    情書外六十一件    (第七四号)  九 六・三制校舍整備費増額の    陳情書外二件    (第一一八号) 一〇 標準義務教育費確保に関する法律制定の陳    情書外三十二件    (第一三四号) 一一 六・三制校舍整備費に対する国庫補助継続    の陳情書外四十四件    (第一三    五号) 一二 学齢児童就学獎励に関する陳情書    (第一三六    号) 一三 日光二社文化財保存事業に関する陳情書    (第一三七号) 一四 社会教育主事設置に関する陳情書    (    第一七九号) 一五 六・三制校舍整備費増額陳情書外一件    (第一八〇号) 一六 標準義務教育費確保に関する法律制定の陳    情書外一件    (第一八一号) 一七 標準義務教育費確保に関する法律制定反対    の陳情書(    第一九一号) 一八 東北、北海道中学校屋内体操場建築費国    庫補助陳情書    (第一九二号) 一九 標準義務教育費確保に関する法律制定の陳    情書    (第一九三号) 二〇 六・三制校舍整備費に対する国庫補助継続    の陳情書    (第一九四号) 二一 同    (第二四四号)     ―――――――――――――
  2. 長野長廣

    長野委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程を逐次議題として審査に入ります。  日程第一、教育財政確立等に関する請願文書表第八号を議題といたします。紹介議員説明を求めます。今野君。
  3. 今野武雄

    今野委員 紹介議員水谷君がおられないので、かわつて説明申し上げます。  この請願は、京都府教職員組合執行委員長糸井一君から出されたものでありますが、その要旨は、教育の復興を期するために、第一、教育財政確立していただきたい。第二には、六・三制の建築予算百八十五億円をぜひとも確保してもらいたい。第三には、今問題になつております教育職員免許法並びに同施行法改正をお願いしたい。第四には、この認定講習予算確保して、すみやかにその予算を実施するようにしてもらいたい、こういう四項目にまとめることができるわけでございます。どうぞ愼重審議の上、ぜひとも御採択あらんことをお願い申し上げます。
  4. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聴取いたします。
  5. 辻田力

    辻田政府委員 終戰後教育改革は施行せられましたが、その裏づけをなす財政面が大分弱いということにつきましては、われわれまつたく御同感でございます。この面につきまして、大臣初め文部省におきましては、努力いたしておるのでございますが、お示しにありましたように、義務教育費確保、あるいは六・三建築の問題につきましては、この委員会におきましても、たびたび大臣以下説明をいたしておりますように、努力をいたしておる現状でございます。  なおこの教育職員免許法並びに同施行法改正のことにつきましても、研究をされておるような次第でございます。  なお認定予算確保につきましては、できれば、本年度補正予算におきまして、何とか実現をいたしたいというふうに期待しておる次第でございます。御趣旨の点できるだけ努力をいたしたい考えでございます。
  6. 今野武雄

    今野委員 この請願には六・三制建築予算百八十五億円というふうにうたつてありますが、その金額については、いかがな御意見かお伺いいたします。
  7. 辻田力

    辻田政府委員 今の六・三建築予算の百八十五億のことにつきましては、詳しい数字について、所管局長から御説明いたします。今すぐ参ります。     —————————————
  8. 長野長廣

    長野委員長 日程第二、新制大学における厚生補導対策に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  9. 若林義孝

    若林委員 本請願は浦和市常盤町三丁目、藤田尚外三名からなる請願でありまして、請願要旨は、内外諸情勢の変化は、学生に直接間接に大きな影響を与えているが、この解決方法としては、厚生補導面積極的活動以外にはない。しかるに厚生補導に要する費用は、従来大学予算にはほとんど計上されていないため、現在厚生補導の十分な活動を望むことは困難で、このまま推移するにおいては、その前途きわめて憂慮される状態にある。ついては、厚生補導部費国家予算に計上するとともに、厚生補導部機構確立し、厚生補導担当者の業績を確認して、その待遇改善をはかられたいというのであります。時局がらきわめて重要な意味を持つ請願と思いますので、御審議の上御採択を願いたいと存じます。
  10. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を求めます。
  11. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいま御説明のありましたように、厚生補導充実ということは、非常に緊要なことと考えております。文部省におきましても、来るべき予算には、各学校経費に相当この方面充実するように要求いたしたいと考えております。また厚生補導部機構等につきましては、従来担当者会議等を経まして、いろいろ案を練つております。将来にかけて実現を期したいと思つております。なお学校におけるこの費用のみならず、学徒援護会等事業も拡充して参りたいと思います。また厚生補導部職員につきましては、新たに考慮されておりまする職階制に関連いたしまして、各教育職群の中に厚生補導職というようなものを設けて、その確保を考慮いたしております。     —————————————
  12. 長野長廣

    長野委員長 日程第三、新制大学農学部総合農業学科設置等請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  13. 若林義孝

    若林委員 本請願北海道帯広国立帯広畜産大学長宮脇富外十名の請願にかかるものでありまして、その要旨は、わが国農業教育内容は、特に農業技術に科学的な統合性を与えて、農業経営合理化をはかり、わが国農業現実農民生活の実際面とに即応させることが強く要請されている今日、これが指導者養成は現下の急務である。ついては、農業高等学校教員養成する総合農業学科を、帶広畜産、岩手、宇都宮、千葉、東京教育新潟岐阜、三重、鳥取、宮崎、鹿児島の各大学に新設するとともに、優秀な学生の入学を促進するため、これら学生育英資金優先的貸与及び授業料免除等の特典を付与されたいというのであります。どうぞ格段の御審議を願いまして、御採択あらんことを願います。
  14. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聴取いたします。
  15. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御承知のように、新しい高等学校におきまする農業教育が総合的に教育課程を編成しておりまして、その目途といたしますことは、卒業後自家農業経営に従事するのに、最も適当な教育を授けることであるのであります。高等学校教育がこうなりました以上、それを指導いたしまする教員養成を考慮するのは当然でございまして、政府といたしましても、十一の農学部総合農業学科を設置するように、目下予算的措置を考究中でございます。
  16. 若林義孝

    若林委員 ただいまの政府当局の御答弁なり、他の政府委員からの御答弁もあつたのでありますが、この請願の中に、この種の学生育英資金優先的貸与という項目が入つております、それも御考慮に入れていただけますか、ここをひとつはつきりしていただきたい。それから授業料免除ということが書いてあります、これもひとつ明確に承つておきたい。
  17. 稻田清助

    ○稻田政府委員 御承知のごとく、教育学部あるいは学芸学部教育部門に在籍する学生に対しましてはいわゆる教育奨学費という特別の措置を講じております。これを他の学部にも及ぼすかどうかという問題でございますが、もともと今日の大学に在学する学生は広くいろいろな方面に行く人を学部に集めて、そのうち教育に進むべき者に対しまして、特殊の奨学費を考慮するという制度でございますので、漸次他の学部等にも及ぼしたい考えでございますが、新しくこの総合農業学科が設置せられまして、それに在学する者が、必ずしも教育職員になる人ばかりではないので、その辺の状況をもう少し研究いたしたい。また今日の教育奨学費は、義務教育に従事する者に限られておりますので、これを高等学校職員に延長いたすということになりますれば、他の学部に在学する者に対して、またどの程度広めるかということも、彼此勘案して研究いたさなければならない問題であつて、今日ただちに総合農業学科設置と同時に、そこまではまだ決定いたしていないのでございますが、将来この問題については、十分研究いたしたいと考えております。     —————————————
  18. 長野長廣

    長野委員長 日程第四、ないし第六、第一四及び第一五は、いずれも標準義務教育費に関する法律制定促進請願でありますので、一括して議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  19. 若林義孝

    若林委員 ただいま議題になりました請願要旨は、義務教育費は、今回地方財政平衡交付金法に基きまして、地方の自由にまかされるため、かえつつてある地方では高い程度義務教育が受けられるのに引きかえ、他地方では低い程度義務教育しか受けられないという事態を生じることになるのでありまして、地方自治体が義務教育費に支出する金額が少いときは、寄付金その他の名目で父兄の負担が増大し、このことは義務教育は無償とするという憲法の趣旨に反し、地方税法改正目的にも反するものであります。ついては、義務教育はすべての教育の基礎をなすものでありますから、標準義務教育費確保に関する法律案の成立をこの請願では今国会で促進されたいというのであります。たびたび御当局のこれに対する御意向を承つておるのでありますが、まずこれらの請願関係いたしまして、当局の熱意のあるところをお示し願えれば、幸いと存ずるのであります。
  20. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  21. 辻田力

    辻田政府委員 義務教育費確保の問題については、その重要性にかんがみまして、政府におきましても、大臣初め渾身の力を振つて努力をしている最中でございます。ただいまのところにおきましては、この国会提出するということは、まだその運びに至つておりませんが、この義務教育費確保という点につきましては、近い将来にできるだけ実現を期している次第でございます。     —————————————
  22. 長野長廣

    長野委員長 日程第七、大学管理法案要綱中一部修正に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  23. 若林義孝

    若林委員 本請願は、東京都文京区大塚町全国国立大学付属学校連盟理事長石次郎外附属学校連盟員請願にかかるものでありまして、本請願要旨は近く御提出に相なるであろうと思われます、また目下文部当局において委員会を特設せられて準備中と伺つております大学管理法案要綱試案が、発表されたのでありますが、これで見ますと、附属学校長もしくは代表者評議会に参加し得ない規定になつておるのでありますが、これでは附属の意思は正式に大学運営の上に認められないことになり、附属運営並びにその使命達成上に重大なる支障を来すおそれがありますから、大学管理法案第二十二の第一項に附属学校長もしくは代表者を加え、評議会の一員として正式の地位を与えられたいというのであります。この法案はまだ提出にもなつておらぬものでありますから、文部当局といたしましても、何らこれに対する明確なる御説明は得られないかとも思うのでありますが、委員各位の御理解をもちまして、この法案が将来当委員会において審議される場合におきましては、附属学校重要性を御認識の上、このお願いに対して御配慮、御採択を願いたいというのであります。
  24. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  25. 稻田清助

    ○稻田政府委員 大学管理法案要綱は、御承知のように目下起草委員の手で案を練つております。一応試案はできましたが、愼重を期する意味におきまして、各方面意見を今日聞きつつある状況でございます。従いまして、こういう意見がございますれば、その委員会に対しまして連絡いたしまして、十分委員会において検討を願いたいと考えております。     —————————————
  26. 長野長廣

    長野委員長 日程第八、旧制師範学校附属校新制大学附属校切替請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  27. 若林義孝

    若林委員 本請願は、全国国立大学附属学校連盟理事長の石三次郎君外各大学附属学校関係者請願にかかつておるのでありますが、その要旨は、旧制高等師範学校師範学校の各附属学校は、地方公立学校内容形式ともに六・三・三制新教育に切りかえられているのに、いまだ旧制度のままに置かれている。このために、旧制師範学校教育経営に困難している現状である。ついては、昭和二十六年三月をもつて旧制師範学校は終りを告げる予定になつているから、二十六年度から新制大学附属学校として発足し得るよう、法的措置を講じられると同時に、新学制の改革に伴います附属学校重要性を認識せられまして、より適切なる法的措置並びに予算的措置等を講ぜられたいというのであります。何とぞ御採択あらんことを願います。
  28. 稻田清助

    ○稻田政府委員 新制大学教育学部学芸学部におきましては、附属学校利用は校規に関係いたしておりますので、ただいまのところ附属学校利用旧制師範学校あるいは高等師範学校がこれと最も関係があるというような関係上、師範学校あるいは高等師範学校附属になつておるのでありますが、年次更新によりまして、師範学校の方は明年度から、高等師範学校関係はその次の年度から新制大学の方に移したいと考えております。移すに際しまして、財政上許す限りその目的を達成するに必要な充実をはかりたいと考えております。     —————————————
  29. 長野長廣

    長野委員長 日程第一〇及び第二四は、いずれも六・三制校舎整備費国庫補助増額並びに標準義務教育費に関する法律制定請願でありますので、一括して議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  30. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員 紹介議員池見茂隆君がお見えになりませんから、便宜私がかわつて説明いたします。代表的なものをここに御紹介申し上げます。請願者は、福岡市の吉村時次郎君外八百八十四名であります。本請願要旨は、六・三制校舎建築費は、国庫補助四十五億円では、兒童生徒一人当り最低応急規準〇・七坪を満たすにもなお九十七万坪、百億円の不足であつて正常授業実現することは、現在の状態では夢想も及ばぬ現状である。もし昭和二十六年度以降、国庫補助金が打切られ、あるいは減額されるようなことがあれば、義務教育は、永遠に不完全実施になることは、明らかである。ついては、六・三制校舎整備費国庫補助金継続し、本年度においては、不足分百億円を増額されたい。また地方税制改正によつて地方財政平衡交付金制度が行われるにあたつて義務教育費が他の経費の犠牲になる危險があり、地域差を招来するおそれもあるから、義務教育確立のため、單独法で標準教育費に関する法律を制定されたい、こういうのであります。何とぞ御採択くださることを希望いたします。
  31. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  32. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御説明の本年度四十五億円をもつてしては、〇・七坪の線が確保できない。従つてこれに対する増額を、九十七万坪でありますか、その線で出せというように伺つたのでありますが、本年度の四十五億は、大体市町村單位に小、中学校を通算しまして、〇・七坪の確保という形になつております。ただいまの請願趣旨から判断しますと、これを学校單位に移して〇・七坪を確保するための計数を出せ、この坪数といいますものも、私ども計算とやや近いものでございますので、そんなふうに了解いたしますが、これの確保について、明年度から新しい出発をしますのとあわせて、格別努力をしなければならぬと考えます。  そもそもその市町村單位に移します関係のために、九十七万坪ほど足らないだろうというこの見込みについても、今年度補助單価が一万六千円になつておりまして、実際に建築いたしております現状、また認証の現場でこれを解決しますと一万円前後で納まる。従つて六千円ほどのさやが出るわけであります。これによつて工事の実際上の増額、増量というものが計算上出て来ますので、それらを合せますと、九十七万坪ばかりのものは、もう少し減るだろうといつたような見込み計算を立てて、来年度から新しい〇・七坪の関係を解決した上に立つての新しい予算という意味で、努力をいたしたいと思つております。  この際特に申し上げておきたいことは、本年度でもつて一応六・三制の予算が打切られるのではないかという危險感から、そうした請願の中に気ずかわれている点が多分に見られるのでございますが、〇・七坪が市町村單位で本年度である程度完結するという線が出ておりますために出た一種の杞憂でありまして、私どもから申せば、それは市町村單位に機械的につくり上げたあの数字上の問題であつて、これをただいま申しますように市町村單位から現実学校單位に切りかえますと、ただいま申したような不足数が出て参りますので、これを補正すること自体が緊急の必要でありますし、また〇・七坪をかりに修正しました形でつくり上げたとしましても、これは御存じの通り一般教室の平均したものと、それに廊下と便所がくつついておるというだけの基本線でありますので、これでもつて完結したといつたような線はございません。あくまでこれらの学校としての完成という形で、小中学校を通じて、私どもはおよそ一人一坪といつたような線を確保することに格別努力をいたしたいと考えておる次第でございます。     —————————————
  33. 長野長廣

    長野委員長 日程第九、国立大学附属学校教員の諸給与改善増額に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  34. 若林義孝

    若林委員 本願請願請者は、全国国立大学附属学校連盟理事長石次郎君外各大学附属学校関係者から請観されておるのでありまして、請願要旨は、全国国立大学附属学校教官は、地方公立学校教官大学本校教官に比し、待遇が著しく悪いのでありまして、教官の編成がきわめて困難であります。優秀なる教官を集中して模範的教育の実際を示すというために各附属学校使命達成国家教育の質の向上に支障を来しているのでありまして、ついてはこの支障をなくするために、附属学校教官待遇改善をはかられたいというのであります。  なお別に法的根拠はあるとは思いませんが、定員というものが、もしこれに想像されるといたしますならば、国家附属学校を設置せられる目的を達成するにはきわめて困難を感じておる定員のようでありますので、この定員もこの目的を達成し得られますよう—事実から申しますというと、参観者が来る、また外部に対して講習に出かける教官が、この附属学校教官になつておりますので、教育支障のないよう、御配慮願いたいというのが、請願趣旨であります。何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。
  35. 稻田清助

    ○稻田政府委員 附属学校教官待遇が、公立学校学校職員との権衡を失しておるというような点、また非常に職務が繁劇であるというような点につきましては、われわれといたしましても、改善を将来にかけて考究いたしたいと考えております。また定員等につきましても、財政上許す限り、十分考慮いたしたいと考えております。     —————————————
  36. 長野長廣

    長野委員長 日程第一〇及び二四は、いずれも六・三制校舎整備費国庫補助増額並びに標準義務教育費に関する法律制定請願でありますし、また日程第一一、一二、一七及び一八は、いずれも六・三割校舎整備費国庫補助増額に関する請願であります。これは前に議したものと大体同様のものでありますから、紹介議員説明並びに政府当局の御意見の聽取は省略することにいたします。
  37. 今野武雄

    今野委員 さつき久保田さんがおいでにならなかつたので、それで請願第一のときに、京都から何か百八十五億という数字が出ておりまして、さつきの説明数字の根拠について御説明がありましたが、具体的に今予算を編成する場合の数字について、ちよつと説明していただきたい。
  38. 久保田藤麿

    久保田政府委員 その請願に出ております百八十五億ですか、この数字は、私どもの方に直接の関係はございませんので、どういうことかよくわかりませんが、多分〇・七坪を市町村單位にやりましたものが大体五十億見当かかる。それを学校單位にきれいに切りかえてしまいますと——そのままの單価で置き直しますと、大体百五十億ほどかかるのでございます。その百五十億をそのままそういうふうに書かれたのじやないかと思うのでございますが、私どもの一応計算しておりますところでは、先ほど申しましたように、実際上の單価の切下げを、地方で事実やつておられます。これがただいま申したように、一萬六千円が大体一万円見当で納まるという事実から見ますと、一万円に対して約六千円というさやでありますから、このさやは相当大きなさやになつて来まして、これらを大体計算に置きますことと、いま一つは、事実上認証外工事が相当量できております。それらのものを、一応県から私どもに出していただいておる計画計数から押えて——約八割と押えておるわけでありますが、補正予算関係では大体五十億見当ぜひいただかないと、市町村單位学校單位に切りかえる金がそれだけ不足しておる、こういう形になる。いま一つは、さつき申したように、 〇・七ではいわゆる普通教室のほかに廊下と便所があるだけで、職員室はもちろん、特別教室もないというわけで、これを平均一人一坪の線まで引上げる、これが四百四十億という計算になるのでございます。この四百四十億をどういう形で、たとえば、四年でやるか、三年でやるか、五年でやるかといつたような関係を、目下大蔵省と折衝しておるわけであります。これらの線がかたまりますと同時に、補正予算の置き方をどういうふうに置くかをきめていただきたい、こういう折衝に移つております。
  39. 今野武雄

    今野委員 ちよつと六・三制の建築費について、関連してもう一つお伺いしたいと思います。前に二十二年度、二十三年度で非公共事業になつてしまつた面は、去年の四月三十日現在をもつて打切つたということで、非常に失望を与えたわけでありますが、この件はその後何らかの名目をもつて補助することができるかもしれないというお話でありましたが、これはどうなつておりますか、もしわかりましたら……。
  40. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま御指摘の認証外工事の借金面をどう解決するかということでありますが、これはまだ私ども確定した、本きまりしたというところまで伺つておりません。安本の公共事業費から、六・三関係のそういう建築費用は、一般行政費の方に移しかえる。要するに大蔵省の方に所管がえして、公共事業費のわくからはずすということを承つております。これは私どもからいえば、いろいろな意味において、プラス、マイナス、どちらにも問題が残りますが、ともかく大蔵省に移すことによつて、公共事業費である性格からはずすことになります。従つてこれは、一般の補助金的な性格に置きかえて、従来の認証外工事の借金面にも相当流用できるのじやないか、そういう計算を立てて、市町村單位でやられる実際の工事とにらみ合せて、既往の工事量に対する手当が、相当できるのじやないかというふうに考えております。  いま一つは、大蔵大臣が議会でも御答弁になつておりますように、六・三制関係の問題は、これらの工事だけのものではなくて、基本的な解決がいるとおつしやつておりますので、それらともにらみ合せて、従来の既往の実際の工事量を実質的に私の方で調査しておりますので、それらとにらみ合せて、何らかの形でその借金面を埋めて行く方策を立てたい。まだ予算が、かりの折衝に入つている程度でございますので、どこまで申していいかよくわかりませんが、できれば設備費か何かの形で、市町村の財政面にお手伝いできれば、その問題が解決するわけでありますので、そういう場面まで食い入りたい。  それから一般平衡交付金の特別配付金の中に一〇%の余袷がありますが、あの中にもそういう項目として特に考えたい。この三つの考え方で解決して行きたいというふうに考えております。     —————————————
  41. 長野長廣

    長野委員長 次は日程一三標準義務教育費に関する法律制定促進並びに六・三制校舎整備費国庫補助継続交付の請願でありますが、日程第一〇及二四と大体ほとんど同一であります。何か特別な御説明が必要でありますか。——別にないようでありますから、これは省略いたしたいと思います。     —————————————
  42. 長野長廣

    長野委員長 日程一六教育功労者の表彰に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  43. 小林信一

    ○小林(信)委員 教育功労者の表彰に関する請願で、請願者は福島県白河市の森盛五郎氏であります。請願要旨は、教職員が教育の使命の重大性を認識して、経済的窮乏に耐えながら、全身全靈を教育に傾注しているのは、実に偉大なものがある。ついては三十年以上勤続、成績が優良な教職員を、教育功労者として、文部大臣が表彰する規定を定められたいというのであります。
  44. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取します。
  45. 森田孝

    ○森田政府委員 教育功労者の表彰に関しましては、まことに請願の御趣旨の通りに、非常に必要なことであると考えるのであります。現在におきましては、單に文部省の省令におきまして、学校職員表彰規程というのがありまして、特殊な場合に限つて、表彰いたしておるのでありますが、国家公務員に属します、国立学校教員につきましては、国家公務員法の第七十二条に基きまして、人事院において表彰の規定を考慮中であると聞いております。従いまして、この表彰の規定ができ上りました場合におきましては、地方教育公務員につきましても、これに準じて考えて参りたいと思つておるのであります。なお全般につきましては、内閣におきまして栄典法の制定に関しまして、種々研究をいたしておりますので、その際におきましてもこの教育功労者の表彰に関する点につきましては、十分に配慮して参りたいと考えておるのであります。     —————————————
  46. 長野長廣

    長野委員長 日程第一九、教育財政確立に関する請願議題といたします。日程第一のものと、表面的には同様でありますが、但し内容が少し違うようでございます。紹介議員説明を求めます。
  47. 井出一太郎

    ○井出委員 本請願は千葉県市原郡鶴舞町常泉進一君外六千数百名の署名にかかわる請願でございますが、紹介議員の佐久間君にかわつて簡單に請願趣旨を申し上げます。  本請願要旨は、今回の税制改革に伴つて義務教育に対する国庫負担制度は廃止され、平衡交付金の中に吸收されて全然特例を設けられず、従つて強制的寄付が行われることは当然予想され、教育費の不足から教育の危機がさらに増大することは必至である。ついては、次の事項をすみやかに実施されたいというのである。一、教育費の大巾国庫補助制度確立義務教育費の全額無償、二、地方税法並びに強制寄付の反対、こういう内容でございます。
  48. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  49. 辻田力

    辻田政府委員 義務教育費確保のことにつきましては、先ほども申し上げましたように、政府におきましては、大臣初め総員で努力いたしておる最中でございます。ただここにありますように、義務教育費を全額無償とするということは、憲法の精神から行きまして、はなはだけつこうなことでございますが、財政その他の関係上、今すぐこれを全額無償とすることはできないような実情でございまして、文部省といたしましてはこの義務教育費の全額無償の方向に向つて努力を重ねて行きたいと存じておる次第でございます。なお地方税法のことにつきましては、私どもの方からは、申し上げかねるのであります。     —————————————
  50. 若林義孝

    若林委員 動議を提出いたします。大内議員が御説明のために見えております。特別にこういうところへおいでになる熱意をくみとられまして、日程を変更せられまして、大内議員の御紹介になります分を先へ御上程あらんことを希望いたします。
  51. 長野長廣

    長野委員長 日程第二五、平和記念章制定普及に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  52. 大内一郎

    大内一郎君 特に日程を変更して、私の紹介である議案について御審議を賜わることにつきまして、私は衷心から感謝いたします。  実はこの平和記念章を制定するということは、私といたしましては、きわめて意義が深いように考えるのであります。それは憲法において、いかに平和を愛好する、戰争を放棄した日本であるということになりましても、その裏づけとして、国民全体にほうはいとして平和を愛好する思想が充満して来なければ、ほんとうの平和国家、文化国家として立つて行く上において、その裏づけがないというような結果に陷らないとも限らないというふうな考えがありますので、私はこの平和記念章というようなものをつくることは、国民全体に平和を愛する思想を充満せしむる意味において、きわめて有意義のことであると信じまして、この請願紹介したような次第であります。どうぞ皆様の御賛同によりましてぜひ御採択いただきたいと考えます。
  53. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  54. 森田孝

    ○森田政府委員 ただいまの平和記念章の問題につきましては、戰後における武力を放棄しました平和的、民主的な文化国家としてのわが国の建前から言いまして、まことにごもつともな御意見だと考えておるのであります。しかしながら、この新しい国家体制のもとにおきまして、栄典の制度をどういうふうに規定して行くかということにつきましては、なお幾多の問題が存するのでありまして、政府におきまして先ほど申し上げました栄典法の制定につきましては、すでに長いこと研究を重ねておるようでありますけれども、いまだ結論に到達もいたさないような状態でございまして、御趣旨はまことにごもつともでありますので、今後さらに研究の材料といたしまして、十分御趣旨が達成されるように、われわれも努力して参りたいと考えておるのであります。     —————————————
  55. 長野長廣

    長野委員長 日程二八、針道村中学校校舎建築国庫補助に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。大内一郎君。
  56. 大内一郎

    大内一郎君 ただいまの請願は、実は私の郷里の中学校なのでありますが、ちよつとした行き違いからいたしまして、現在の状態では、補助の対象に入るか入らないかの境目のような状態になつておるのであります。この針道という村は、その地方の一つの中心になる市街地でありまして、またその学校に通学する者は、ひとり針道村ばかりでなく、その付近の町村からも、相当に入つておるのであります。かような次第でありまして、今回特に敷地に選定いたしまして、新たに独立した校舎をつくるという計画を立てたのでありましたが、それについて県当局との了解の点に多少の手落ちがあつたために、現在の状態では補助をいただけるかどうか、多少怪しいような状態になりましたので、実は文部省にも参りましてこの点を陳情いたしましたところが、補正豫算でもとる場合には、考慮してくれてもいいというふうなごあいさつがあつたのであります。しかしながら、これはやはり文部委員会請願書の御採択をいただきまして、力強く文部当局に要求しておくことがこの目的を達成する上において有利であるというふうに考えて、この請願書を紹介したような次第でありますから、どうぞこの点を御そんたくくださいまして、この請願書を御採択くださることを切にお願いいたします。
  57. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  58. 久保田藤麿

    久保田政府委員 ただいま伺つただけでは、私十二分に焦点をよく把握いたしておりませんが、一応ある時期を限つて年度の計画をつくるわけでございますので、おそらく四月三十日現在の押え方というところで、問題があるのではなかろうかと考えるのであります。いずれにしろ現実の配分の問題は地方教育委員会におまかせいたしておりますのと、いま一つ申したように、ある時期で押えませんと、その年度の分としての配分の線が出て来ないわけであります。おそらくそれは時期の問題に関係したのかと思います。ただいまお話のように補正予算がとれますれば、そうしたものが補われるためのものでありますので、当然こういうような方へ行く筋合いのものと思つております。     —————————————
  59. 長野長廣

    長野委員長 日程第二〇、職業教育法制定に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。若林君。
  60. 若林義孝

    若林委員 本請願は全国農業高等学校長協会の理事長である吉井喜一君外十五名の提出にかかるものであります。  本請願要旨は、日本再建は、産業貿易の振興にまつことがきわめて大であり、従つてその基盤をつちかう職業教育重要性は言うまでもないが、現在は、普通教育を偏重して、職業教育はこれを傍系視し、著しくその発展を阻害されていることは、邦家のため、まことに遺憾である。ついては職業教育に対する国家並びに地方公共団体の任務を明らかにして、この教育に対する指導と助成の万全を期するとともに、その重要性を確認して、国民的協力を促進するため、職業教育法を制定されたいという趣旨なのであります。格段の御審議を願いまして御採択を願いたいと存じます。
  61. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  62. 辻田力

    辻田政府委員 職業教育の大切なことは、いまさら申すまでもないことでありますが、一般に普通課程と申しますか、一般教養の方に重点が置かれる傾向が多く、職業教育従つて弱いような点があることは、御説の通りであります。文部省におきましても、との点を強く考えまして、教員養成、あるいは設備の充実教育内容改善という方面努力をいたしておるのでありますが、先ほど国立大学の農業科につきまして、総合農科を設置するというようなことも、これは農業関係教員を十分にする一つの措置であります。明年度におきましても、この方面につきましては、できるだけ力を入れて、これを予算化いたしたいと思つておる次第でございます。  なお職業教育法を制定してはどうかというお話でございますが、この点につきましては、職業教育法というようなものをつくつて行くのがいいか、あるいは従来の実業教育国庫補助というものを改正いたしまして、真に時代に即するように改めた上でやるのがよいか、目下研究いたしましておるような次第であります。なおアメリカ等におきましても、職業教育につきましては、連邦政府も特別の補助をいたしておるような事情もございますので、その方面法律もあわせ研究しておるような状態でありまして、職業教育につきましては、私どもとしては、今後一層努力をいたしたいと思つております。
  63. 長野長廣

    長野委員長 この際一言私からもお尋ね申し上げたいと思いますが、職業教育ということを、さらに根本的に考えますと、天然自然を対象とする農業、水産等の教育は、天地生成化育の根源に奉仕するわけでありまして、これを根本とする教授、さらに進んで薫陶ということは、ひいてはあらゆる教育の根本的なものであり、またその生命であると存ずるのであります。かような意味からいたしまして、職業教育の真髄を発揮するような教育操作が必要ではないか。教育基本法の中にも、特に勤労を尊重するという精神は、この辺にも及んでおるところと思うのであります。つきましては、自然を対象とする教育及びその上に農工というようなものも、その精神を引継いだところの奉仕の精神というものが根本であるわけでありますから、かような意味における職業教育の根本精神を徹底的に打込んだ教育の行われるような法制制度をしく必要があるのではないかと思うのであります。さような意味から、小学校はもとより、中学校高等学校、場合によつて大学教育も、その科目のいかんを問わず、ある程度まで、この大精神を織り込む必要があるのではないかと思うのであります。さような意味において、職業教育の徹底をはかる法制ないし現在の制度改正について御研究をせられる、またそういうことに努力せられる御意思はないか、一応お伺いたしたいのであります。
  64. 辻田力

    辻田政府委員 ただいま委員長からお話がありましたことと、まつたく同じ考えでありまして、文部省としましては職業教育の全面的な振興につきまして、研究をいたしておる次第でございます。できるだけ早い機会に法制化いたし、また予算化いたしたいと思つておる次第でございます。
  65. 長野長廣

    長野委員長 なお私はその面における予算を十分に組みまして、その促進をはかる必要があると思いますが、その点についてはいかがでしようか。
  66. 辻田力

    辻田政府委員 明年度予算は、まだ大蔵省と正式な交渉を持ちませんで、内交渉中でありますので、はつきりしたことは申し上げられる段階にはないのでありますが、教員養成の面と、設備の充実という面に、予算の面の重点を置きまして、努力しておるわけでございます。なお教育内容につきましては、文部省におきましては、それぞれの專門家を招致いたして審議会をつくりまして、その面で再検討をいたしておる次第でございますので、ただいま委員長のお話のございましたように、これは空理空論ということでなしに、予算化いたしまして、実際に力強く実施して行きたいと考えておる次第でございます。
  67. 圓谷光衞

    圓谷委員 今の問題に関連して実業教育令というようなものを考えたことがあるかどうか、承りたいのであります。この前の第七国会でも質問いたしたのでありますが、全国の勤労青年約五百万のうち、定時制高等学校に就学しておる者が、文部省の調査では四十三万内外、私は国家再建のために勤労青年層の教育を一番重大に考えておるのですが、実業学校令というような法令、あるいは職業学校令というような法令で六・三・三・四のほかに、そういう学校をつくる、従つてその教員養成機関ができなければならないのですが、従来は職業教員養成所というものが、各大学その他に設置せられておつた。しかるに現在教員養成機関というものがないのです。これではほんとうの実業教育あるいは職業教育というものは推進できないと思うが、そういうことを文部省では考えておられるかどうか承りたい。
  68. 辻田力

    辻田政府委員 職業教育の振興——どの教育についてもそうでありますが、適当ないい先生を得ることが、まず根本問題であると思います。そこでこの教員養成についても、先ほども申しましたように、明年度予算を編成する場合に重点を置いておるわけであります。その一つといたしまして十一の大学に農業科を置きまして、そこで適当な先生を養成するというふうにいたしておりまするが、なお工業、商業等につきましても、それぞれ大学に特別の機関を置きまして、そこで養成して行きたい。もとの教員養成所とは多少違いますが、しかし新しい学校制度にのつとつて実施して行きたいというふうに考えておる次第でございまして、目下その点につきましては、予算化すべく大蔵省と折衝中でございます。
  69. 今野武雄

    今野委員 ただいまの圓谷委員の最初の方の問題に答えていただきたいと思います。というのは、やはり新制中学を卒業しただけでは、何にも役に立たない、年齢も十六かそこらです。その連中は、労働基準法や何かいろいろな関係もあつて、働きにも出られないでぶらぶらしておるかけです。やはりそれを対象とした教育をしなければ——これは就職も同時に重要でありますが、しかしその裏づけがなければできないということを前の大臣も言つておられたのですけれども、それを放置して置くために不良児がたくさんできるというようなことも言われるわけであります。その点文部省でどうお考えになつておるか、それに適切な職業教育を施して働かせる、こういうような方法は考えられないかどうか、その点お伺いいたしたいと思います。
  70. 辻田力

    辻田政府委員 答弁が漏れまして申訳ございません。ただいまお話の問題につきましては、現在大体義務教育の新制中学を終えて高等学校に進みますのが三〇%ございます。その残りの七〇%というものは、中学校を卒業しただけで終え、しかもその中の大体二〇%が、現在では就職しておるというふうな実情でございまして、あとの八〇%は、少くとも計数の上では就職していないことになつておるのでございますから、これらの人の力を結集しまして、国の復興に協力してもらうということは、非常に大切なことだと思つております。結局この人たちのために、どういうふうな施設をしたらいいかということについては、いろいろ問題がございましようが、文部省におきまして目下予算化したいと思つております問題は、高等学校の職業科の充実でございます。職業科を充実いたしますためには設備費を補助いたしまして、それにいい教育を施すということが一つでございます。なお別科の制度高等学校にございますが、その別科を拡充いたしまして、比較的簡易に職業教育を受けることができるようにいたしたいという考えで進めておるわけでございます。     —————————————
  71. 長野長廣

    長野委員長 日程第二一、公民館に対する国庫補助増額等に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。若林義孝君。
  72. 若林義孝

    若林委員 本請願は、きわめて重要な意味を持つものであります。昨年社会教育法が制定せられ、文部省も非常に力を入れられたのでありますが、これについては、本委員会の有力なる委員であります佐藤さんが、公民館の活動について真摯なる態度で、熱意をもつて御研究になつておられますので、私が紹介いたしておりますけれども趣旨説明佐藤さんに詳しくお願いしますから、文部当局からそれに対して御説明を承ることを得ますならば幸いであります。
  73. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員 紹介議員ではありませんけれども、かわつて説明申し上げます。  本請願請願者は福岡県浮羽郡水縄村公民館内にあります全国公民館大会議長林克馬君外七名でございまして、請願要旨は大体四点になつておるのであります。  第一は、公民館の建造物に対する国庫補助増額のお願いであります。第二は職員に対する身分保障の点であります。第三は、税金の免除に関する点であります。第四は、起債を許可してもらいたいという点であります。  第一は、こういうのであります。昭和二十五年度国庫補助は千九百万円余りで、ただいま公民館を設置しております市町村は五千二百余りでありまして、一市町村当り平均四千円足らずの補助ということになつておりますが、これでは專任職員一箇月分の給料にも満たない状態でありますから、これを適当に増額していただきたいというのであります。第二は、現在全国公民館の数は、分館を含めて一万六千七百六十三館あるが、專任の職員数はわずかに二千五百人にすぎません。しかもその平均給は約三千六百円程度であります。これら專任職員の必要を痛感しながらも、財政的にこれを置く余裕のないところが多く、また置いているところも、劇務であるにもかかわらず、わずかの給料しか与えていないので、これに相当の国庫補助をお願いしたい。  また公民館の專任職員に対しまして、資格認定制度確立していただいて、これら職員の資質の向上をはかるとともに、これにふさわしい生活補助の道を講ずる必要があると思われますので、国家においては公民館專任職員養成機構の整備と職員配置に対する国庫補助制度確立する必要があると思いますから、ぜひさようにおとりはからい願いたいというのであります。  第三は、税金のことであります。公民館で行う各種の催し物などに対する入場税は免除、また公民館で購入する機具、資材などに対する物品税の免除をお願いしたい、こういうのであります。社会教育法第二十二条によりまして、公民館はその事業の一つとして体育、レクリエーシヨン等に関する集会を催すことになつているのであります。従つて公民館で行う各種催し物は、右の趣旨に基くものであつて、営利的、興業的なものではありません。生活文化の向上と、社会福祉の増進に寄与する社会教育活動でありますから、利用者の負担もできる限り軽くして、その利用を盛んにすることが必要と考えるのであります。また物品税法第十三条の規定によりまして、学術研究用に供するもの、または小学校中学校における教育用物品としてのラジオ、映写機、幻燈機、蓄音機、ピアノ、オルガン、運動具等の類、学用品の類は、すべて物品税が免除されておるのであります。であるから、公民館、図書館、博物館等は、社会教育法により重要な社会教育の施設として認められておりまする以上、その教育活動はますます奨励されなければならないはずでありまするし、この活動を援助する意味で、公民館の用に供するこれらの物品に対しても、物品税を免除することが必要と思います。ぜひさようにおとりはからいを願いたい、こういうのであります。  最後に起債の点でありますが、地方自治法第二百五十条に基き、当該行政官廳の許可をまつて地方債を起すことができることになつており、地方財政法第五条及び特例第三十三条により公共施設としての学校等の起債はその許可のわくに入れられておりますが、公民館は学校と並ぶ重要な教育施設でありますから、許可のわくを広げて、公民館の建築に関する起債をも認めることにしていただきたい、こういうわけでございます。何とぞ御採択あらんことをお願いいたします。
  74. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  75. 西崎惠

    ○西崎政府委員 ただいま公民館に対しまして、非常に詳細にその重要性を強調されましたことにつきましては、私どもは非常に愉快に思うのであります。社会教育の方といたしましては、市町村における社会教育実践の場といたしまして、公民館の存在を非常に重要視いたしまして、これが振興に関しましては、機会あるごとに努力をいたしておるのであります。ただいまお申し述べになりました国庫補助の点につきましても、あるいは人の問題につきましても、免税の点につきましても、起債の点につきましても、すべて遺憾千万な実情でありまして、これを最近の機会に解決しなければならないと思いまして、ただいま努力中でありますが、とりあえず来年度予算では、公民館の千九百万円の補助をできるだけ増額するように努力いたしております。但し人件費の補助につきましては、人件費のみを引出して補助するということは相当困難な実情にありまして、社会教育法では、公民館運営のための補助が総括的な補助となつておりますので、必要ではあるけれども、人件費の補助を引出して特に補助するということは、ただいまのところ相当困難が伴うと思うのでありますが、将来の問題といたしまして、この点も努力いたしたいと思います。  それから免税の点につきましては、たとえば入場税の問題、あるいは物品税の問題について、学校と同一視されていないということは、非常に遺憾でありますが、入場税の方は今度の地方税法の運用にあたとまして、実際問題としては解決するように関係者と話をいたしております。物品税の方では、まだ十分ではございませんが、この点も将来努力して行きたいと思います。  起債の点も非常に遺憾な実情でありますが、来年度は公共事業のわくで若干でも認めたいと思いまして、ただいませつかく努力中であります。  これを要しまするに、公民館の振興の必要を痛感しながらも、それに対する措置が非常に嘆かわしい現状でございますので、将来とも格段の努力をして行きたいと存ずるのであります。     —————————————
  76. 長野長廣

    長野委員長 日程第二六、国立長崎大学夜間部設置に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  77. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 現下の社会、経済状態よりいたしまして、勤労青年学徒の増加が、いよいよ本格化しつつあるとき、これらに対してその希望を達成せしむるため、国立長崎大学に夜間部を設置することは、教育の機会均等を與えるゆえんでもあり、また国家興隆に寄與するもの大なるものがあると信ずるものであります。長崎県議会におきましても、県内各高等学校定時制及び夜間部等の各学校学生生徒の熱烈なる希望にこたえて、請願をすでに採択せられておる次第でありまして、来る昭和二十六年度より夜間大学設置措置を講ぜられるよう請願する次第であります。  なお長崎市は、御承知の通り泰西文明の輸入の窓口として、数百年来知られておるところであり、かつまた去る第七国会においては、国際文化都市という特別都市に相なつておるのでありますから、これを名実ともに国際文化都市にする意味においても、この請願は非常に意義あるものと信ずるのであります。何とぞ御採択あらんことを切望する次第であります。
  78. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  79. 稻田清助

    ○稻田政府委員 勤労青年のために、新制大学に夜間部を設置することは、非常に適当なことだと考えておりまして、政府におきましても、各大学の設備、あるいは教授量、または国土的、立地的見地から、種々検討を加えて参つておる次第でございます。御請願の点につきましては、財政上許す限り、その実現を期したいと考えております。     —————————————
  80. 長野長廣

    長野委員長 日程二二、函館市に文科系大学設置の請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  81. 浦口鉄男

    ○浦口委員 紹介議員田中元君の御出席がありませんので、かわつて紹介を申し上げます。  これは函館市議会議長山崎松次郎君外二名の請願にかかるものでありまして、その要旨は、函館市は、北海道文化の発祥地であるにもかかわらず、現在わずかに北海道学藝大学の函館分校と、北海道大学の水産学部があるだけで、独立大学は一校もなく、かつ前記両校は、きわめて專門的な一部門である関係上、普通の大学のごとき教育はできず、従つて北海道開発のよき指導者養成することができません。また同市及び近郊の子弟の他の都市大学に在学するものは、八百名にも達している現状でございます。ついては法学部、経済学部、または商学部等、文科系の諸学部を置く独立大学を同市に設置されたいというのがその趣旨でございます。地域的にもたいへん切実な要望と信じますので、何とぞ御審議の上、御採択をいただくよう切にお願い申し上げます。
  82. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  83. 稻田清助

    ○稻田政府委員 北海道の特殊事情からいたしまして、先般新制大学設置に際しましても、一府県一校の例外を認めて参つたわけでございます。今日新制大学状況考えますると、むしろ増設拡張よりも、内容充実に努むべき時期であるとも考えるのでございますが、将来の問題といたしまして、北海道の特殊事情とも関連いたしまして、十分研究いたしたいと考えております。     —————————————
  84. 長野長廣

    長野委員長 日程第二三、岩手県に対する六・三制校舎整備費国庫補助増額並びに姉体中学校建築補助金増額請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  85. 浦口鉄男

    ○浦口委員 紹介議員志賀健次郎君の御出席がございませんので、かわつて説明申し上げます。  この請願要旨は、岩手県は広大なる山間地域を有し、積雪地帯等のため、六・三制校舎整備に困難をしており、また本県胆沢郡姉体村においても、水害、災害等悪条件のもとに校舎建築努力しておりましたが、四百五十余坪の全校舎のうち、百坪だけ補助対象となり、残余の三百五十坪の建築費は地元負担で、村民は過重な負担に苦しんでおります。ついては岩手県に対する六・三制校舎の整備費の国庫補助増額するとともに、姉体中学校建築補助金を増額していただきたいというのであります。地域的に切実な要求と存じますので、どうぞ御審議の上、何分の御処置を賜わるようお願いいたしておきます。
  86. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  87. 久保田藤麿

    久保田政府委員 岩手県の、特に災害なり、貧困なりという特殊な理由から、六・三予算の割当額を増額するということは、六・三予算の性質上出て来ないのであります。ただいま水害関係、それらとからんで一應の手当ができておるはずでございます。ことにそれが胆沢郡の特定の学校についての問題は、おそらく〇・七坪の計算から出て来た機械的な計数上、本年度の問題としてどうするということには参らぬと思います。ただ補正予算なり、来年度予算によつてその標準線が切りかえられた場合には、特に考えたいと思つております。     —————————————
  88. 長野長廣

    長野委員長 日程第二七、熊本大学夜間大学設置請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  89. 坂本泰良

    ○坂本(泰)委員 この請願は、熊本県十名の議員全部の紹介で、提出者は熊本県県会議長の大久保氏でありますが、これは熊本県下高等学校長の総意を受けて、議長が請願代表者になつておるわけであります。その理由といたしますところは、六・三・三・四の新学制実施によりまして、新教育は一應整備されましたが、晝夜間の新制高等学校を卒業をいたしまして、上級学校に入学の希望に燃えておる青年が、勤労の一身上の都合とか、家計の都合によりまして、晝間大学に進学のできない多数の者にとりましては、はなはだ満たされないものがあるのであります。教育の機会均等の上からいたしまして、夜間大学設置の要望が、彼ら青年の心底の叫びであり、この叫びが先ほど申しましたように、県下高等学校長の総意となり、この請願なつたのであります。  なお申し上げたいのは、熊本県は、委員長もよく御存じの通りに、教育の県であり、青年の向学心の希望が、特に燃えているところであります。でありますから、勤労青年で向学心に燃ゆる多数の者に、ひとしく大学教育を受けさせたい。それからなお先ほどの説明をわけて説明することになりますが、晝間勤務しながら、定時または夜間の普通または実業学校に学びまして卒業をいたしましても、現在の状態では、高等普通教育を受けたにとどまりまして、大学專門教育を受くる道が全然ないのであります。また晝間の高等学校を卒業して大学に進みます能力を持ちながら、経済上の事由から、晝間の大学に進学することができないために、この夜間の大学を非常に希望をいたしておるような次第であります。かように経済上の事由から、ぜひとも熊本大学に夜間の大学を設置いたしたいのであります。どうぞ御審議の上、御採択あらんことをお願いいたします。
  90. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  91. 稻田清助

    ○稻田政府委員 ただいまの請願の問題につきましては、一般に勤労学生の学習のため、新制大学に夜間部を増設して参りたいという考えは、十分われわれも持ち合せております。ただどの大学のいかなる学部から先に着手するかという問題につきましては、個々の大学の設備、教授力、あるいはその他の立地条件を検討しつつ、漸次実現をはかつて参りたい考えでおるわけであります。     —————————————
  92. 長野長廣

    長野委員長 日程第二九、昭和二十六年度教科書製造資金融資に関する請願議題といたします。紹介議員説明を求めます。
  93. 佐藤重遠

    佐藤(重)委員 この請願請願者は、東京都千代田区神田岩本町三番地、教科書懇話会の代表者、幹事長水谷三郎氏であります。紹介議員は坂田道太君でありますが、ちようど今お見えになつておりませんので、私がかわつて簡單に御紹介申し上げます。  請願要旨は、昭和二十六年度教科書製造資金のおせわを願いたい、こういうのであります。昭和二十五年度の教科書につきましては、昭和二十二年以降数度にわたる文部省の適切有効なる御配慮と、日銀御当局の熱心なるごあつせん、各取引銀行の理解ある御協力によつて、製造、供給ともに前年度に比較すれば、かなり改善された状況において一應完了を見、引続き昭和二十六年度の教科書の製造準備期に現在入つておるのであります。ところで、本来教科書発行事業における製造資金は、現行教科書制度のもとでは、一箇年一回転でありまして、さらに教科書の用紙割当事情並びに短期大量生産事情とが重なつておりまするので、戰争以来、各発行会社は、歯を食いしばつてこれらの事情を克服し、毎年完全供給に專念して来たのでありますが、このために数十年の歴史を有する発行会社においてさえ、長年の蓄積を消盡しまして、かつ本年のような金融事情の困難な場合におきましては、現状のままでは、二十六年度の製造資金の繰りまわしが、とうてい不可能だというような実情に立ち至つております。一方本年度の教科書として文部省が計画予定されておりまするのは、册数において二億七千万册であります。またその必要なる資金は合計四十九億二千九百万円という巨額に上るわけでありまするが、これがつまり繰りまわしが行き詰まつておりまして、非常に困つてしまつておるこの状態を何とかしなければ、とうてい教科書を間に合せることができない、こういうのであります。それで何とかして政府におかれても、教育の必需品たる教科書製造の危機をよく御了解くださいまして、預金部、資金のごとき政府資金を一時御融通をはかつていただくことはできますまいか、願わくばそういう特別な御配慮をお願いしたいというのが、この請願の結論であります。何とぞしかるべく御配慮の上、御採択をお願いいたします。
  94. 長野長廣

    長野委員長 政府意見を聽取いたします。
  95. 水谷昇

    水谷政府委員 この問題につきましては、過日の文部委員会におきまして、この請願紹介者でありまする坂田道太君から、いろいろ事情を伺つたのでありまして、そのときにも、文部省当局から御説明を申し上げたのでありますが、目下のところ、大蔵省の銀行局と日本銀行とに交渉いたしまして、鋭意御期待に沿うように努力をいたしておるのであります。ただいま御紹介していたきましたように、要求せられる、資金が四十九億余に上る巨額でありまして、この点に非常な難色があると思いますが、できるだけ努力をいたしまして、教科書の円滑なる供給をはかりたいのでありますから、十分努力したいと思つております。
  96. 長野長廣

    長野委員長 ただいま審査いたしました請願について採否の決定をいたしたいと存じますので、暫時速記をとどめ、日程第一よりお諮りをいたします。     〔速記中止〕
  97. 長野長廣

    長野委員長 速記を始めてください。  これより請願日程全部を一括して議題といたします。  お諮りいたします。日程第一九の請願は、その要旨の第二項を除き、その他の請願は、いずれもその趣旨を妥当と認めますので、議院の会議に付するを要するものとして採択するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。  なおただいま採択しました請願は、いずれも内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。それではさように決しました。  なお日程第一九の請願は、報告書に第二項を除いて採択した旨を記載いたします。     —————————————
  100. 長野長廣

    長野委員長 次に陳情の日程全部を一括して議題といたします。  陳情に関しては、ただいままで審査をいたしました請願と同一趣旨がほとんどであります。また委員各位は、文書表で御検討のことと存じますので、委員会としては、日程第一を除き了承するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めます。よつてさように決しました。  なお日程第一は審査を未了とすることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 長野長廣

    長野委員長 御異議なければさように決しました。     —————————————
  103. 長野長廣

    長野委員長 次に閉会中の審査に関する件を議題といたします。  当文部委員会としては、現下幾多の重要なる学校教育問題、社会教育問題が山積しているにかんがみまして、閉会中も、これらの諸問題に対して国政調査を行い、委員会の使命を全ういたしたいと考えます。ついては閉会中の審査申出書を議長に提出して、承認を得ておきたいと存じます。審査申出書の案文を朗読いたします。  閉会中の審査申出書 一、閉会中審査すべき事件   学校教育に関する件   社会教育に関する件   国宝保存に関する件 一、閉会中審査目的   六・三制教育実施の実態と、その教育費に関する調査のため   宗教団体活動の実態調査のため   国宝の管理状況に関する調査のた   め  右により閉会中もなお審査をいたしたいから、しかるべくとりはからい願いたい。   昭和二十五年七月三十日      文部委員長 長野 長廣  衆議院議長幣原喜重郎殿  ただいま朗読いたしました申出書を議長に提出するに御異議ございまんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 長野長廣

    長野委員長 御異議なしと認めて、さように決します。  本日はこれにて散会いたします。次会は明三十一日午後一時より開会いたします。     午後一時二十一分散会