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1950-11-16 第8回国会 衆議院 農林委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十一月十六日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 千賀 康治君    理事 足立 篤郎君 理事 小林 運美君    理事 井上 良二君       宇野秀次郎君    遠藤 三郎君      小笠原八十美君    川西  清君       河野 謙三君    中垣 國男君       原田 雪松君    平野 三郎君       八木 一郎君    足鹿  覺君       深澤 義守君    山口 武秀君  出席国務大臣         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         通商産業大臣  横尾  龍君  委員外出席者         人事院事務官         (公平局長)  丸尾  毅君         外務事務次官  太田 一郎君         外務事務官         (政務局長)  島津 久大君         大蔵事務官         (管財局公団清         算室長)    阿部 達一君         農林政務次官  島村 軍次君         農林事務官         (農政局長)  藤田  巖君         農林事務官         (農地局長)  佐野 憲次君         通商産業政務次         官       首藤 新八君         通商産業事務官         (通商局長)  黄田多喜夫君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君         通商産業事務官         (通商化学局化         学肥料部長)  柿手 操六君         通商産業事務官         (資源庁電力局         電力開発部長) 豊島 嘉造君         経済安定事務官         (産業局次長) 前谷 重夫君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  閉会審査事件報告書に関する件  農業関係公団整理に関する件  自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を  受けるべき土地の讓渡に関する政令について説  明聽取     —————————————
  2. 千賀康治

    千賀委員長 これより農林委員会を開会いたします。  まず農業関係公団整理に関する件を議題といたします。本日は肥料配給公団散後の善後措置に関する肥料問題について議事を進めます。まず先般の肥料対策小委員会経過報告があります。河野謙三君。
  3. 河野謙三

    河野(謙)委員 この機会肥料輸出に関する肥料対策小委員会のその後の審議経過を御報告いたします。  肥料対策小委員会は、肥料の違法輸出問題を中心に、九月中旬以降本委員会と並行して審査を行い、その結果につきましては、十月四日本委員会に対して中間報告行つたのであります。爾来通産省責任ある措置を監視して参つたのでありますが、たまたま十一月五日、経済安定本部長官は総司令部経済科学局長より新たに九万二千トンの肥料輸出の勧告を受ける事態が発生いたしましたので、本件わが国農業に及ぼす影響の甚大なるにかんがみまして、十一月十三日再び小委員会を開催して安本農林通産関係者出席を求め、この問題を審議することとしたのであります。  小委員会における審議の結果明らかにせられた事項を要約いたしますと、  第一に肥料輸出にあたつて、法令に違反した責任君の一人である通産省化学局化政課本村通商班長に対しては通産大臣より公務員法上の懲戒処分にあらざる訓告処分に付した上転職せしめたが、他の上級職の者は行政上または政治上の責任を負う必要を認めないことに決した。  第二、三省間の協議により明年五月末までに十万六千トン、本肥料年度中に二十二万三千トンの輸出余力あるもと意見が一致したが、さらに総司令部より十一月十一日に国際貿易上の義務を遂行するため九万二千トンの肥料輸出台湾その他へ承認するよう日本政府に対して指令が発せられ、十一月十五日までに回答することになつた。  以上の二点が明らかにされたのであります。従いまして小委員会は、肥料の今後における需給事情並びに輸出力の問題を中心といたしまして、肥料価格の今後の推移肥料行政一元化間接統制の是非、肥料増産見込日台協定必要性及び違法輸出責任徹底的明確化等の諸問題につきまして論議をいたしたのでありますが、小委員会政府見解にはなお相当の距離があり、また当日は各省責任者たる大臣出席がなかつたので、あらためて本問題はこれを十一月十六日すなわち本日の農林委員会に移して、関係大臣出席を求めた上、あらためて基本線を明らかにすべきであるとの小委員全部の意見により、閉会中の小委員会は一応これをもつて終了することにしたのであります。なお安本大蔵農林及び通産各省に対しまして、小委員長より肥料行政一元化の問題に対する政府責任ある回答、明年春肥需給の混乱を防止する方策、輸入肥料の見通し及び措置硫化鉱統制存廃方針清算公団手持肥料放出方針、十万六千トンの命令輸出以外の輸出を行わざる旨の方針明確化肥料増産に要する電力割当事情日台協定を締結するに至つた経緯並びにその内容等を本日の本委員会において詳細かつ明確に説明するよう要求いたしておいたのであります。小委員会のこの決定の線に沿い、審議を進められますよう農林委員長に要請する次第であります。以上をもちまして私の報告を終ります。
  4. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りをいたします。小委員長報告を了承するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 千賀康治

    千賀委員長 了承するに決しました。  これより質疑に入ります。質疑の通告があります。お許しをいたします。河野謙三君。
  6. 河野謙三

    河野(謙)委員 まず安本にお伺いいたしますが、昨日の期限をもちまして、総司令部に過日マーカツトから出ました要請に対する回答政府から出たはずでありますが、この回答内容について御説明をいただきたい、かように思います。
  7. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの河野委員からの御質問に対してお答えいたします。十一月の十日に経済科学局長より経済安定本部に対しまして、正式メモランダムでもつて化学肥料輸出に対して指令があつたわけでございまして、その指令内容については先般の小委員会において御説明いたしたわけでございますが、昨日回答期限でございますので回答いたしました。その内容について御説明いたします。  この肥料輸出国内農業生産のため及び化学肥料増産の他の産業に及ぼす影響等関係上非常に重要な問題でございますので、経済安定本部といたしましても、愼重検討いたしましたし、また関係省でございます農林省通産省とも御相談いたしまして、そうして次のごとき回答をいたしたわけでございます。  その第一は、昭和二十五年十一月十日附標記の件に関する貴官よりの覚書第五項に基き、以下の通り報告するということ。これはまあ例文でございまして、第二項といたしまして、経済安定本部昭和二十五肥料年度における化学肥料輸出可能量に関しては、事の重要性にかんがみて、農林省及び通産省協議の結果、化学肥料輸出に関し、左の措置をとることに決定した。覚書第三項に掲げる硫安一万五千トンについては、右数量限度として輸出許可を與えること。  第二といたしまして台湾向輸出に関しましては日本商社台湾側との間に、おおむね本年度末までに輸出契約が成立し、輸出許可の申請を行つたものについては、硫安七万七千トンを限度として輸出許可を與えるべきこと。それが第二の内容でございます。  第三といたしましては、別紙の需給推算に示す通り、この需給推算はお手元にお配りしてございますが、明年五月末までの輸出最高可能量は九万三千トンであるから、日本政府としては右期間内に前項の輸出行つた上、さらにそれ以上の輸出を行うことは考えていない。明年六月及び七月における輸出数量生産及び国内消費状況推移その他経済事情検討の上、追つて決定することといたしたい。  第四といたしまして、覚書第四項に応じて、肥料飛躍的増産を行うためには、電力需要量相当多量に達する。一方電力供給量増加がただちに期待できない現状にあつては、他産業との関連において、覚書第四項に基く計画の作成についてはさらに愼重検討することといたしたい。なお、本需給推算窒素肥料生産計画については、昨肥料年度生産実績に比し、約十万トンの増産を織り込んでおり、他産業の必要とする電力相当削減の上作成されたものであることを了解されたい。  第五といたしまして、本輸出により、国内肥料消費に支障を来さぬよう、必要に応じて肥料配給公団手持肥料放出を期待する。  第六としまして、本件に関する回答農林省及び通産省協議して決定した。  この六項目にわたりまして回答したのであります。
  8. 河野謙三

    河野(謙)委員 司令部から指令がありましたら、たちまちにして一万五千トンの輸出余力がまた生れて来た。これについての数字的根拠が私はどうしてもわからない。もも少し自主的にこの輸出問題を扱つてもらいたいという希望があるのですが、突如として、どこからか知らぬが生れて来た輸出余力の一万五千トンの根拠をお示し願いたい。
  9. 前谷重夫

    前谷説明員 先般来各省協議いたしました当時の需給推算におきましては、十万六千トンの輸出余力がありまして、そのうちの既輸出の二方四千トンを引きまして、八万二千トンの余力である。こういうことに今後の輸出としては関係省検討いたしておつたのであります。その当時におきましては、大体九月までは実績をとり、十月から電力割当量に基きまする計画をとつてつたわけでございます。ところが御承知のように十月分の肥料生産は、毎月一旬遅れまして、十日に作製されるのでございまして、十一日にその結果がわかりまして、その結果によりますと、当初われわれが八方二千トンの需給推算をいたした場合における十月分の計画よりも、一万一千トン余の実績の増があつたわけであります。そこで従来の需給推算建前上わかつた実績が、その需給推算に織り込むという建前からいたしまして、一万一千トンの十月分の増産計画実績を振りかえたわけでございます。その結果といたしまして一万一千トンの増加が出たわけであります。そこで輸出余力としまして十一万七千トン、結局既輸出を引きますと九万三千トンの輸出余力が、これが計数的に出て参つた、かような次第であります。
  10. 河野謙三

    河野(謙)委員 そういう一方的なそろばんばかりやつておられるから、肥料行政通産省一元化だと言われる。あなたのおつしやるのは、生産の面だけのそろばんである。需要の面の方のそろばんは出ていない。なるほど八月、九月、十月の間のあなたたちのつくつたところの需給バランスだけから行つた生産の面から言つて、たしかに一万一千トン増加しましたが、需要の面は一体どう検討されましたか。八月、九月、十月のあなたたちのつくつた需要予定量に対して、需要は一体幾らつたか、これは確かに予定にプラスかマイナスか出ておるはずである。私の想像では、役所でつくつた需要予定量に対して相当実需は上まわつておる。もしかりに需要の方が一万一千トン予定より上まつておれば、生産が一万一千トン上まつても余らないはずである。それを生産の面だけ見て、余つた余つた言つておる。こういう無責任なことをやらぬで、役所には頭のいい人がおられるのだから、生産の面を検討するより、もう少し需要の面を検討してやつてもらわないと困る。また今後十一月の生産予定に対して一万トン増加した、それでまた向うからメモが来た。一万トン余つたからまた出します。こう御回答になりますか。これについて需要の面は一体どうなつたか、この面を検討されたかされないか、この点は農林省農政局長から承りたい。
  11. 藤田巖

    藤田説明員 二十五肥料年度需要見込みを、大体私ども窒素質肥料については二百十万トンと押えております。二百十万トンという数字は、大体昭和二十四肥料年度農家が現実に買いました数量であります。従つてその程度のものがありますれば、大体において私どもといたしましては、窒素質肥料については、その需要を充足し得ると考えております。それでお話のように需要については、最近非常に農家の方の需要も旺盛になつて来ております。しかし正確な農家需要というものについては、御承知通り、これは統制経済がはずれまして自由になつておりますのではつきりいたしません。従つてその点については私どもも注意はいたしておりますが、実際問題といたしまして、ただいままでのところ、肥料需要について、非常に足りないというような声も私どもの方には参つておらないわけであります。従つてどもの考え方といたしましては、今後季節的にいろいろ不円滑な問題がございましたならば、公団放出で調整するということは考えておりますが、全体として考えますならば、大体二百十万トンありますれば、一方合理的な施肥の方法を指導するということと相まちまして大体において需要は充足し得られる。農家はそんなに不足は来さないでやつて行けるというように考えておるわけであります。
  12. 河野謙三

    河野(謙)委員 よくわかりました。結局需要の過去の八月、九月、十月は、予定実績については何の検討もしないで、一方的に生産予定生産実績との検討だけをしてそうしてそこにむりやりに一万一千トンというものを出して、向うに回答をした、こういうことに間違いない。そういうふうな無責任なことをして一体いいのですか。これは責任ある政府態度ということが、はつきり言えますか。この数字の出し方は今はつきりわかつた。こういうふうな無責任なことをして、一体今後の肥料行政担当政府として責任が持てるかどうか。今後またこういうふうふうなメモが来ることは私は予想される。そういう場合に、これと同じことをやられるか、やられないか、今後依然として生産だけの予定実績を見てそうしてその数字検討の結果、余力があれば出すというふうに、政府は今後も同じ態度で行くかどうかを、この際あらためて伺いたい。
  13. 前谷重夫

    前谷説明員 今後の問題につきましては、実はただいまも御報告申し上げましたように、政府といたしましては、五月末までの間には、それ以上の輸出を行う考えはないということを司令部に対しても申しておるわけであります。先般からも御議論がございますように、一—三の渇水期もありますので、十一、十二におきまして増産がありましても、やはり一—三の実績も見なければなりませんから、十一月十二日におきまして増産があつたということでもつて、ただちにそれが輸出余力とは考えていない次第であります。
  14. 河野謙三

    河野(謙)委員 私の伺つておるのは、今後同様なメモが来たときに、生産の面だけを見て、予定実績だけを見て、今回とつたような措置をとるかとらないかということです。需要の方は今農政局長が言われたように、今の組織においては需要量の正確な把握はできない。従つて需要量把握というものは、その時々の相場によつて需要が旺盛であるか、予定より少いかということをつかむよりしかたがない。数字的にはつかめない、そういう情勢でありますから、今回のようなこういう一方的な生産だけの面を考えての数字によつて、こういう回答をされるのは無責任である。まあ出てしまつたのでありますから、今後こういうふうなことをやられるとかどうか、今後はこういうことをやらぬかどうかということを私は伺いたい。
  15. 前谷重夫

    前谷説明員 これは将来の問題でございまして、特にメモの問題でございますので、そのメモ内容等にもよるか思いますが、われわれといたしましては、生産のみならず需要消費の方も、これは今のお話のようになかなか困難とは思いますが、両者を十分検討してその際考えたい。ただ先ほど申し上げましたように、現状に変化のない限りにおいては、われわれといたしましては五月までの輸出は考えておりません。
  16. 河野謙三

    河野(謙)委員 次に、通産大臣も見えましたから伺いますが、過日の小委員会で十万六千トンの輸出の問題がはつきりしましたが、これは明年の五月まではこれ以上は輸出余力がない、従つて今後司令部その他から輸出の懇請がありましても、十万六千トンを限度として、これ以外のものは輸出を拒絶する、こういうお話があつたのですが、そのお話がありました直後に、マーカツトメモによつて、ここにまた一万五千トン出た、こういうことであります。そこで私は、この際はつきりとしておきたいのは、今後いかなることがありましても、ないものは出せない、従つて十万六千トン以外のものは輸出は許可しないということを、はつきりこの際、通産大臣の口から私は伺いたい。
  17. 横尾龍

    横尾国務大臣 肥料輸出の問題につきましては、私の方といたしましては、農林安本とよく相談いたしまして、そうして余裕があれば出したいのでありますが、ただいまのお話のように、余裕がないといたしますならば、輸出は差控えたいと存じております。余裕があつたときは、これはよく相談をしてしたいと思つております。
  18. 河野謙三

    河野(謙)委員 仮定の話をしておるのではない。政府みずからわれわれに示されておる数字政府方針を私はただ念を押しておるだけであります。仮定の話ではない。あなたの方から出たメモには、供給余力幾らだ、従つて輸出余力幾らだ、あなた方の出した数字が十万六千トンである。念には及ばないことですけれども、たまたまふらつきますから私は念を押しておる。でありますから、これについてもう一度はつきりと御答弁を願いたい。
  19. 横尾龍

    横尾国務大臣 来年五月までは、ただいまとしては輸出せぬ方針で行きたいと思つております。
  20. 河野謙三

    河野(謙)委員 輸出せぬ方針は伺つておるのですが、今回のようなかようなメモが来ましても、ないものは出せないと私は思うのですが、かりにきよう再びマーカツトさんから、この間と同じようなメモが来た場合に、通産大臣はどうされるか、これをひとつ伺います。
  21. 横尾龍

    横尾国務大臣 今日はもはや輸出能力がありませんので、輸出せぬことにいたしております。
  22. 河野謙三

    河野(謙)委員 次に移ります。私は実は目先の肥料界の現象を見まして、また東亜の肥料情勢を見まして、来年の春は非常なる肥料不足事態が起る、こういうことを私は憂いておる。御承知のように、台湾なり朝鮮だけでも窒素肥料は約五十万トンいるのであります。これをどこでまかなうか、アメリカでまかなうか、日本でまかなうか以外に方法はないと思う。そうしますと、アメリカにこれだけの供給余力があるかないかということでありますが、私はそれだけの余力はないのじやないかと思います。詳細のことは海のかなたのことでありますからわかりませんけれども、これはむしろこの機会通産省から伺いたいのですが、台湾なり朝鮮肥料だけでも五十万トンの肥料がいる。かりにこれはアメリカでまかなう余力がないとすれば、日本にこの供給相当振りかえて来られるおそれがある。これも国際情勢からいつてやむを得ない事態が起るかもしれない。さようなことを考えて一方今政府でつくつておる需給推算と、実際の今の肥料市価の動きを見まして、農家需要量も意外に多いということでありますと、かりに台湾朝鮮の問題がなくとも、来年の肥料は並々ならぬ波乱が私はあると思う。さようなことを考えました場合に、現在のような肥料自由取引で、一切政府はこれを調節する根拠法規を持たぬということでありますと、来年の春は非常に農民も困窮するし、またある場合は製造会社も困窮すると私は思う。そこで政府におきましては、今後特に来年の春の肥料情勢を勘案して、何らか今の形の自由取引肥料市場に、そこに間接統制的な肥料需給調整法的なものを準備されておるか、されておらぬか、もし準備されておらなくても、今後さようなものを必要とするかどうかということについての御見解を、私は向いたい、これは通産大臣並びに農林大臣からそれぞれ伺いたい、かように思います。
  23. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 肥料の問題は農村にとりまして非常に大事な問題であるのでありまして、われわれといたしましても、これは愼重態度をもつて臨んでおるのであります。特に春肥に対しましては、肥料公団の持つてる手持ちのもの等についても、十分これを考えると同時に、ただいまお話のような需給調整機関を考える方が適当であると思つておりまして、その点のことを着着現在研究中でございます。
  24. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまの農林大臣お話と同様に、肥料需給の円滑と価格の公正をはかるために、何らかの制度をつくる必要がありませんかというので、愼重検討を進めておるのであります。さよう御了承願いたいと思います。
  25. 河野謙三

    河野(謙)委員 次に伺いますが、これは事務当局の方から伺いたいのですが、十万六千トンの輸出の問題の内容です。私が察しますに、窒素肥料の中で硫安石灰窒素を区別して考えました場合に、私の手元にある数字によりますと、大体今回の輸出硫安によつてのみまかなうといたしますと、国内石灰窒素の今般来年の春までの消費量が五十万トンくらいなければいけないと思います。五十万トンくらいのものを農家に押しつけなければ私は事が済まないと思う。ところが過去におきますところの石灰窒素消費量最高は三十数万トンであります。非常に農家から使いにくいと言われるところの石灰窒素を、わずか一年の間に昨年に比較して十数万トンよけい押しつけるということは、必ずこれは石灰窒素市価に大きな影響を及ぼします。今通産省肥料生産行政をやつておられますが、われわれは肥料工業を育成しなければいかぬということは十分考えております。その場合現状を見て、一番肥料工業が困窮しておるのは石灰窒素工業だと私は思います。石灰窒素工業の中で引合つておる工場はわずかであつて、現在の市価で引合わぬ工場相当多い。それをさらに今後五十万トンからの石灰窒素農民層に押しつけなければならぬということになりますと、それが市価影響して、硫安との価格差がもつとより以上大きくついて、石灰窒素工業はますます困窮する、かように私は思います。さようなことを考えますと、この際過去においてもあつたことでありますから、硫安だき合せ石灰窒素を少し台湾なり朝鮮なり、その他に輸出するということを、先方と交渉する余地が十分あるのではないかと思いますが、石灰窒素工業の今の採算の問題並びに石灰窒素輸出の問題、これにつきましてひとつ見解を伺いたい。逆に言いますと、石灰窒素が非常に困窮する、石灰窒素が非常に余る、五十万トンも国内消費しなければいかぬということは、その反面に、硫安が非常に足らなくなる、いたずらに硫安市価が暴騰する、石灰窒素は逆にいたずらに市価を圧迫する、こういう結果にもなるのでありまして、生産行政をやつておられる通産省としては、この点に気がついておられないはずはない、この点についての御見解を伺いたいと思います。
  26. 柿手操六

    柿手説明員 ただいまの河野委員の御質問、まつたく私ども石灰窒素の将来につきまして非常に心配をいたしておるのであります。今肥料年度需給推算見込みによりますと、この統制撤廃直後の八月の初めに公団石灰窒素を八万トンぐらい持つております。それからこの八月から来年の五月ごろまでにおきましても、三十数万トンの生産を見込んでおりますから、この肥料年度に使います石灰窒素は四十数万トンになることと思いまして、前肥料年度一箇年間に使いました量を相当上まわるのであります。でありますから、御指摘のように、石灰窒素は非常に使いにくい点がありますので、昨年の秋以来石灰窒素の使用、取扱いを容易にするために、これを粒状にすることにつきまして各製造業者に勧奨いたしまして、着々その成果が上つておるのでありますが、相当に来春はこの生産も現実化すると考えます。さらにこれを化成肥料の原料にいたしますとか、あるいは最近企業化いたしました熔成燐肥との配合の取扱いをよくするとか、そういうような方面で、従来石灰窒素散肥で粉末のために取扱いが非常に悪かつたというものを改善して参りたい、かように考えておるのであります。私どもも、統制撤廃をされますと、従来の長い慣習から、石灰窒素硫安に比べて大体一割ないし一割五分下値で売られておつたのでありますが、要するにそれは効果は同じでありますけれども取扱いに不便なために商品としてそういうふうに値が安かつたというのでありまして、硫安と同等の価値のあるものは同等に売れるように、いろいろ今申し上げたような指導をやつておるわけであります。輸出に関しましては、今海外の従来の消費の例を見ますと、朝鮮では二、三万トンぐらい使つた例があるように考えておりますが、他の地区ではあまりその消費の例を見ておらないのでありまして、今ただちにこれが売れるかどうかということにつきましては、目下のところは自信がないのであります。
  27. 河野謙三

    河野(謙)委員 国内農民には、使いよい石灰窒素になるべく物理的の形体をかえてやつて行くという将来のお考えはけつこうですが、目先はとにかく農家はいやがる。いやがるものを国内農民に與えて、向うのお客さんには言いなりに、硫安がほしいといえば硫安をやるというようなことは、私は日本だけよいことをして、向うにはいやなものを押しつけるというような、そういう極端なことは考えませんけれども、ともに国内農民にも石灰窒素をいやがるけれども使わせるから、向うにも少しはつき合つてもらいたいということを、私はいかに敗戰国といえども、当然主張できるはずだと思う。この点について私は今後努力してもらいたいということを希望します。  次に日台通商協定の問題ですが、日台通商協定では、約二十五万トンに相当する肥料を向うに輸出するということになつておりますが、先ほど通産大臣の御答弁にもありましたように、十万六千トン以外はもう出せない。もうどうさいふをはたいてもこれ以上ないということがはつきり結論づけられたのですが、それと二十五万トンの日台協定数字的に相当の開きがありますけれども、過日の委員会におきまして、通商局長は、拘束力を持たぬから、ないものは出さなくてもよろしい、こういうことを言われましたが、依然としてそういうような御趣旨と伺つておいてよろしいですか、どうですか。この際伺います。
  28. 黄田多喜夫

    ○黄田説明員 過日の本委員会で、私が拘束力がないというふうに申し上げたようにお話でございますけれども、そうはつきりとブラントにおつしやられるのは……、私は実はそういうふうに申し上げたのではないのであります。どの協定にもそういうふうに書いてあるのでございますけれども、いわゆる通商協定品目というものがあらゆる協定にあるのでございますけれども、そこに掲げられておる品目並びにその数量というものは、これはコミツトメントではないのでありまして、従つていわゆる商売人の間で行うようなそういうふうなコミツトメントではないということが書いてあるのでございます。従つてここに品目が上つてつて、その金額が書いてあるということであつて、ただちに拘束力を持つものではないということが、どの協定にも書いてあるので、そのことを申し上げたのでございます。それを頭から拘束力はちつともないのだというふうにおつしやられるのは、少しこれは、協定を結んでおります関係上、そういうことは私は言い得ないと思うのであります。まあ協定を結んで、どれどれの数量が何に関して行くかということを協定しております以上、初めから拘束力は絶対にないのだということは言い得ないのでございます。ただ先ほど申し上げましたように、いかなる意味においても、コミツトメントではないということが書いてあるということなんであります。なお二十五万トンという数量は、実は二十五万トンというふうには書いてないのでございます。金額で現わしております。それがその当時の値段からすれば二十五万トンに相当するであろうということになるのであります。それから先ほど硫安のみを出すということは、どうも芳ばしくないというお話でございましたが、台湾側が初めから希望しておりましたのは、硫安ということで、一本やりで進んで押して来たのでございますけれども、向うの要求する数量がわれわれの輸出し得ると思う数量よりも非常に多いので、硫安だけではこれはとても困るということを考えまして、科学肥料というふうなことにしてございます。硫安だけではないということはここに明瞭にしてあるつもりでございます。それから二十五万トンと推定いたしまして、ただいまのところ十万トン、その差が多過ぎる、これで今後ちつとも出せなくともよいのかということでございますけれども、それは輸出余力があつた場合にはこれはまだ出上たいというふうに考えるのであります。またこの協定の上でも、いついつ幾らということはちつとも協定しておりませんので、年間を通じて大体どのくらいというふうなことになつておりますので、輸出余力が生じました場合には、まだ出したいというふうに考えておる次第であります。
  29. 河野謙三

    河野(謙)委員 輸出余力があつたら出す、われわれも輸出余力があつたら出すことは大賛成です。この輸出余力がない、十万六千トンしか余力がないということがはつきりしたのでありますから、今からそれ以外の数量については、私は台湾側の方に十分了解を得る必要があると思う。それらについて、一体向うと、十万六千トン以外の分については余力がないということについての交渉はある程度進んでおりますか。また結論が出ておりますか。それをひとつ伺いたいと思います。
  30. 黄田多喜夫

    ○黄田説明員 まだそういうことは向うにむろん言つてございません。いろいろの需給状況は変化し得ることでありますので、今からそういうことはあらかじめ向うに申し出るという必要もないように思います。
  31. 河野謙三

    河野(謙)委員 通商局長の担当部門でないからごむりと思いますが、少くとも通産省内部においても、もう少し通商局の方と連絡をとらなければいかぬと思う。来年の五月までは、これ以上はどうしてもないということが、はつきり政府愼重審議の結果きまつたので、しかもこの結論は天下に声明されている。それを通商局の方では、まだ今後増産できるかもしれぬから、そのときはまだ出すのだ、こういうようなことで依然として向うに気を持たしているような態度は、私は非常にいかぬと思う。そういうことがそもそも世間に非常に誤解を生んで、今後また次から次にと輸出が許可されるであろうと、それがまた市価影響する、こういうことになる。この問題はもう少しはつきりと、私は少くとも来年五月までは——先方にも先方のふところ都合がある。台湾の百姓といえども肥料がなければ百姓にならない。日本がいけなければまたアメリカにもせがむでしよう。また欧州の方から取引もないとも限らない。それらについて通産大臣は何か手を打たれましたか、あらためて伺います。
  32. 横尾龍

    横尾国務大臣 輸出するかせぬかということでしようか、あるいは増産をするかせぬかということでしようか。いかがでございますか。
  33. 河野謙三

    河野(謙)委員 増産をするかせぬかではない。増産は約十万トンの増産計画を立てて、供給量は百九十万トンだということになつておる。需要量は二百十余万トンだ。そういうことで、差引、繰越しや何か入れまして、輸出余力は来年の十月までに、増産を前提にして十万六千トンしか余力がないということが、政府部内ではつきりきまたのですから、これは私はただちに台湾の方にもその方針によつて連絡をすべきであると思う。それでないと不親切ですよ。向うに対して、出せもしないものを、出せるように気を持たせるのは不親切だ。それは国内でも肥料界が不明朗にある。農民もまた非常なとばつちりを受ける。それで私は早く態度はつきりしておきたい。そういうことについての御検討並びに台湾等との連絡を済まされたかということを私は、聞いておる。
  34. 横尾龍

    横尾国務大臣 お答えします。黄田通商局長より申し上げましたように、いまだその手を打つていないのであります。
  35. 井上良二

    ○井上(良)委員 関連して一点だけ……。先般小委員会において、たしか前谷さんだと思いますが、先般マーカツトの方から例のメモランダムが出まして、これに対する日本政府意見をただされたときに、政府の方では、五月までの間に二十二万三千トン輸出する可能があるということを、関係筋に報告したということを小委員会で答弁をされております。そうではないですか。その点どうですか。
  36. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまの井上さんのお話は、先般の小委員会におきまして、政府から輸出余力がどの程度にあるかということについて、司令部の方に報告したというふうに聞くが、どうかという御質問でございましたので、それに対しましては、われわれとしましては、まだ報告はいたしていない、この回答でもつて報告いたしたい、かように考えましてお答えいたしたのであります。それらから二十二万トンと申しますのは、五月までではなくして、年間としてこういう余力が出るという数字になるということを申し上げたのであります。
  37. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうすると、政府の方では、大体年間二十二万三千トンは確保できるという一つの見通しを持つておるのですか。余分にそれだけ増産できるという見通しを持つておるのですか。これは非常に大事なことですから伺います。
  38. 前谷重夫

    前谷説明員 お手元にお配りいたしましたように、肥料につきましては、季節的な関係がございまするので、一応肥料の最盛期であります五月末を押えまして、五月末においては需給バランスにおいて九万三千トンの余力が出て来る。それから六、七月におきましては、需要期を過ぎまするから、その関係上十一万七千トンでございますか、合計二十一万トンの供給余力になりまするが、六、七月につきましては、先ほども申し上げましたように、将来の需要推移生産推移ということを見て検討いたしたい。こういうことでもつて司令部の方には回答いたしておる次第でございます。
  39. 井上良二

    ○井上(良)委員 そうしますと、大体昨年度の豊水期のような、電力が普通に供給ができるという根拠に立つて今の数字は割出されたものですか。渇水期ということは全然考えていないのですか。その点どうでしようか。
  40. 前谷重夫

    前谷説明員 来年の四月、六月につきましては、お手元にも差上げましたように、昨年度におきましては、硫安については四十二万七千トンの実績があつたわけでございまするが、豊水関係にかんがみまして、生産におきましては、四—六においては四十一万三千トン、かように少く見ております。しかもこの具体的内容につきましては、一方において副成硫安相当増加いたしまするから、合成硫安、つまり電力を要る硫安におきましては、さらにこの数字以上の減少を一応予定して、電力関係におきましては、その見合いにおいて計画を立てておるわけであります。
  41. 河野謙三

    河野(謙)委員 いろいろまだお尋ねしたいことが残つておりましけれども農林大臣がお急ぎのようでありますから、行政管理庁長官としての農林大臣と申しますか、廣川先生に伺いますが、肥料行政一元化の問題が当然扱われておると思いますが、聞くところによりますと、管理庁の行政簡素化の原案には、肥料行政一元化する案ができておると聞いておりますが、ちよつとこの点について伺います。
  42. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 お答え申し上げます。行政管理庁におきましては、肥料行政の今までの発達過程を考えまして、一つの案をつくつておるのでありますが、前からの歴史を考察いたしますると、これが農林省にある方がよいように思われるのでありまして、成案を得ましてから、通産省をよく相談を申し上げたいと考えております。
  43. 河野謙三

    河野(謙)委員 この問題については、他の委員の方からも御質問があると思いますから、私は急いで次の問題に移ります。硫化鉱の問題でありますが、通産大臣は一箇月ほど前でしたか、東北の方へ旅行なさつた際に、硫化鉱増産になつたから、肥料幾らでもできるというような、非常に楽観した新聞発表をされて、従つて輸出は非常に可能であるということを言つておられますが、私はその言葉じりをつかまえようとは思いませんし、硫化鉱だけで肥料ができるということは、通産大臣でも今ごろは考えておられないでしよう。そのころは考えられたでしようが……。そこでその硫化鉱は最近十六、七万トンの供給力が出て来たようでありますが、この数字を現実につかんだこの際、硫化鉱の統制を撤廃される意思があるかないかを、ひとつこの機会通産大臣に伺います。
  44. 横尾龍

    横尾国務大臣 先般私が松尾鉱山に参りましたときに、硫化鉱国内に豊富にあるというお話があつたであります。従いまして私は電力事情その他が復旧いたしまするならば、これは輸出品目として適切なるものなりということを考えて話したのでございます。現在の情勢におきまして、硫化鉱がメーカーの方に順調に配付ができておるかということにつきましては、関西方面に非常にランニング・ストツクが少いということも聞いたのでありますから、その意味においては今急に輸出ができるというようなことを申したのではないのであります。その点を御了承願います。それから硫化鉱価格統制でありますが、これはなるべく早い機会においてはずして行くべきが至当なるものと考えるのであります。
  45. 河野謙三

    河野(謙)委員 聞くところによりますと、最近統制撤廃方針を決定されたように伺いますが、この点はもう少し明快に、いつから統制をはずすつもりであるか。これを少しざつくばらんに御答弁いただきたいと思います。
  46. 横尾龍

    横尾国務大臣 今いつから統制を撤廃していいかということ、かつ撤廃ができるかということを検討中であります。はつきりしたことを申し上げることができないのを遺憾と思います。
  47. 河野謙三

    河野(謙)委員 最近硫化鉱の輸入の問題がありますが、輸入の数量、輸入の時期等についてひとつ伺います。
  48. 横尾龍

    横尾国務大臣 輸入の問題につきましては、いろいろと私が申し上げたことでお話を承る筋が多いのでございます。これはちようど硫安輸出のことでケネデイーのところで輸出の問題が出ましたから、増産ができればということで、ぜひ増産をしろという話でありました。その前に関西の肥料メーカーの方々はランニング・ストツクが少いので、増産もいたしかねているというようなお話を承つたので、私はもし今ランニング・ストツクがほんとうに三日ぐらいしかないといたしますれば、この冬期に対しまして、山元から出て来る量が漸次多くはなり得ない、少くなるおそれありというので、できますならば硫化鉱幾らでも輸入したい。そういたしまして輸出の話があつたのをカバーして行きたい、こういうように考えて私は申し上げたのでありまするから、いつということは、なるたけ必要であれば時期早くといとので考えておるのであります。二、三日前も肥料業者が来られたので、もつとも値段は外国品は高いようであります。ですから内地に入れて、内地需要にそれを使うよりも、内地に産するものは内地の需要に充て、そして輸出が必要であり、原料が入つて来て、増産ができるならば、それを見合いにして入れたらどうかということをお話しておいたのです。さよう御了承願いたいと思います。
  49. 河野謙三

    河野(謙)委員 そういたしますと、輸入をするという方針はきめた、しかし数量、時間等については、まだ今言明する時期に至つていない、かように伺つていいのですね。
  50. 横尾龍

    横尾国務大臣 そうであります。
  51. 河野謙三

    河野(謙)委員 次に管財局の方に伺います。管財局で担当しておられます肥料清算公団の手持の肥料並びに資材の放出方針でありますが、今やつておりますことを見ますと、あなたの方が誤つた指導をされて、やみ屋のようなことをやつておる。手持資材を市価よりも相当の距離のある値段で売つておる。一つの事例を申しますと、かますのごときは今全国の各肥料工場は非常に困つておる。生産その他輸送の関係で困つておる。それをつけ込んで、市価が三十六、七円のものを、実に驚くなかれ四十二、三円で売つておる。公団の倉庫渡しの四十一円幾らで売つておる。どういうわけで、そういう相場が出るかというと、帳簿価格がそうである。帳簿価格内容を洗つてみますと、かかりもしない運賃が一枚六円かかつたとかいうさばをよんだ運賃を、そのまま帳簿価格として、それをもつて原価として肥料工場の足元をつけ込んで売つておる、こういう事例がある。これは單にかますだけではない、いかにして精算公団機会をとらえて高く売るかということばかりやつておる。われわれが議会におきまして、肥料公団をやめて、清算公団を一箇年延ばして、そうして今清算人に手持の肥料なり資材を処分してもらう根本方針は、清算公団の手持の肥料並びに資材によりまして、今後一年間の肥料市価をコントロールしてもらう使命を帶びさしておるわけです。決して一方的にこれによつて市価をあおるような、また市価以上に売つて市価を刺激するようなことをしてもらうために、ことさら肥料公団に限つて一箇年延ばしたわけではない。御承知のように肥料の清算公団を、前例のない一箇年延ばしたということは、向う一箇年間の肥料界を、政府の手によつてコントロールしてもううという使命を與えておるわけです。その趣旨を全然忘れて、ただ他の一般の管財局担当の物資と同じように、そういうふうな措置をとられることは、肥料清算公団を一箇年延ばした趣旨とまつたく違う。そういうことについて、御存じの上でやつておられるか、御存じないで、清算公団の末端が、あなたの方の趣旨をはき違えてそういうことをやつておられるか、この点について意見を伺いたい、かように思います。
  52. 阿部達一

    ○阿部説明員 お答えいたします。最初に資材の点をお答えいたしますが、かますの点につきましては、大体三十五円幾らかが統制価格になつているように聞いております。ただ現在公団の手持いたしておりますかますにつきましては、公団の倉庫に倉入れいたしておりますとか、運搬賃その他いろいろかかつております。なお金利倉敷等がかかつておりまして、私の承知しております範囲では、帳簿価格が御指摘のように四十一円何がしかになつているように聞いておりますので、公団が処分いたすにつきましても、これは統制価格があるように存じておりますので、一方的にそれをその価格放出するというふうに考えているわけではございません。ただ現在公団の手持の——原価計算と申しますとおかしいので、必ずしも当つていないかとも思いますが、そういつた計算になつておりますので、この価格で売ることを物価庁の方へお願いいたしまして、それが許されるならば、それで処置いたしたい。商品にいたしましても資材にいたしましても、大体市場価格というものを標準にいたしまして、まず適正な価格で処分する。ただ御承知のように、一般業者と違いまして、マーケツト・プライスの天井を行くというようなことができませんので、一応市場価格を標準にいたしまして、大体それを下まわつた点を標準にして売出すということをやつているわけでございまして、その点につきましても、ただ業者の足元をつけ込むというふうなことを考えて、そういう値段を持ち出しておるとは考えておりません。  それから肥料の値段等につきましても、ただいま申し上げましたような方針でやつておりまして、ことに昨今放出しております価格につきましては、もちろん安本に御相談いたしまして、物価庁の方の御意見によつて値段をきめております。しかもそれは一応最高価格をきめておりまして、それを最高価格といたしまして、その下に一応予定価格というものを立てまして、原則は一般競争入札でございますが、指名入札あるいは随意契約等の場合も出ております。一般入札でありますれば、最高価格という制度はあり得ないのでありますが、公団の手持量につきましては、一応最高価格というものをきめまして、その線で押えて行くという方針をとつております。
  53. 河野謙三

    河野(謙)委員 第一点のかますの問題は、そういたしますと、帳簿価格がどうであろうと市価に準じて売るということが大蔵省の方針である、こういうふうに伺つていいわけですね。
  54. 阿部達一

    ○阿部説明員 市価を標準といたしまして、公団の帳簿価格——もちろん市価が著しく下つておりますれば、帳簿価格が高いと言つてそれを固執するということはできないと思います。
  55. 河野謙三

    河野(謙)委員 市価が三十五、六円のことは間違いない。それを同じ場所で四十一円幾らで売つておる。しかもそれから工場まで持つて行く運賃は先方持ちだということになると、四十三、四円もしくは四十二、三円になる。これでは市価に準じておるとは言えないのですよ。まつたく一方的な帳簿価格によつて、かますの運送の困難、かますの不足に乗じて、足元をつけ込んでいるという以外に、何と言つてもそれは言い訳のしようがない。こういう方針を依然としてとらせるかどうか。しかもその数量は非常に多いのでありますから、そういうことをやられることによつて三十五、六円の市価をさらに一円、二円と刺激してあなたの方が市価をつり上げるという結果さえも生むのです。私はそれを恐れる。そういう方針を依然としてかえられないのかどうか、それを伺いたい。
  56. 阿部達一

    ○阿部説明員 かますの点についてお答えいたします。ただいま市価が三十五、六円というお話でございますが、これは多少見解の相違があろうと思いますが、私は三十五、六円で入手できる一般の情勢になつておるというふうには、必ずしも考えないのであります。ただこれは私の思い違いかも存じませんが、先ほど申しましたように、統制価格がありますので、三十五円なら三十五円というものに押えられるべきものであろうと思います。ただ原価計算的な観念から申しますと、四十円以上になつておりますので、それにつきましても、いわば例外価格的な価格の許可をとりまして、それで売るということでございます。他の一般商品等につきましては、もちろん市場価格最高にいたしまして売るわけでありますが、かますの点につきましては、物価庁の承認を得られますれば、その点で参りたいと思うので、公団は必ずしも高くしてもうけるというようなことは考へておりません。ただ経費その他をできるだけ節約いたしまして、損失を生ぜしめないという点は、もちろん一番中心に置かなければならぬ問題でありますが、ただいまのかますの問題につきましては、承認が得られますならば、すでに金利、倉敷、運搬費等もかかつておりますので、それをカバーして行きたい、こういう考え方であります。
  57. 千賀康治

    千賀委員長 この際河野君に御相談いたしますが、多忙な大臣があられますので、大臣に対する質問を先にしたいと思います。事務的のものはあとまわしにしたいと思います。
  58. 河野謙三

    河野(謙)委員 もう一点で終ります。かますの問題は、あらためて物価庁に伺うことにしてこれで打切ります。ただ最後に肥料放出の問題ですが、あなたは最高価格をきめて云々とおつしやいましたが、実情はフロア・プライスをきめてやつておられる。しかも清算公団方針たるや、各県の出張所長をかつての税務署長と同じように扱つて、收入予定額を当てがつておる。そうしてそれ以上の收入を上げるようにやれということを各出張所長に言つて、出張所長はその收入予定顧を目標として、それ以上に売ればほめられるということであります、ちようどかつての税務署が大蔵省から税の收入予定額のわくをもらつて、それによつて苛斂誅求して、その陰には税務署長は賞状をもらう、賞金をもらう。こういうことが税務のかつての態勢だつたのです。非常に弊害があつた。今は改められたが、それと同じ形を今清算公団は各県の所長にやらせておる。少くとも最近まではそういうことをやつておる。こういうことを今後も続けておやりになることは、先ほど私が申し上げました清算公団肥料を持たしてこれを放出して肥料市価をコントロールしようという政府の大方針、大政策とはまつたく違うのでありますから、この点を改めることを私は強く要求しまして私の質問は打切ります。
  59. 千賀康治

  60. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 私は通産大臣農林大臣安本の方に伺いたいのでありますが、今までの河野君に対する答弁を伺つておりますると、国家の経済上この肥料輸出するということは——余裕さえあれば輸出することはもちろんこれはおやりにならなければなりますまい。この点はどなたも異論のないところでありますが、しかしながら今までの御答弁によつて、しからば一割増産、国家の再建上最も必要な食糧解決のために、農民の不安を一掃する、安心して農民が働けるというところの程度に行つておるのでありましようか。まず第一に、農家需要にしても、公団でやつたその計数だけで、これだけの需要があるのだなんて、第一農民がどれほどやみ買いをやつておるかわかりますか。それを知らないで需要の計算をするとはとんでもない話だ。こんな冒險な話はありはしない。一方においては台湾の問題、朝鮮の問題がある。いつ命令があつて、どれだけのものを出さなければならぬかという不安がある。そこで農林省においては、自給肥料、有畜農家を奨励して、そうしてこの肥料というものに対して、厩肥推肥の増産をする裏づけがあるとか、何かの計画がなければ、その答弁がなければ、ただ金肥のみにおいて公団がこうやつて、やみを拔きにしてそんな計算ができますか。戰争以後今日までの人間のやみの食糧、これを計算に入れないで、人間の生活問題を論議することができますか。これくらい危險なものはありはしない。ことに通産大臣によく伺いたいことは、あなたのとつた措置——個人としてはりつぱなお方だと私は承つておるが、たまたま大臣になると、部下の連中に足をひつぱられてひどいことをやるということになつておる。第一あなた方のようなやり方をすると論議は無効なんだ。あなたはよく、農林大臣の御答弁の通りであります、農林大臣とよく相談なさると言うが、そんなことをどうしてあなた言われるのか。相談も何もしやせぬじやないか。たまたま相談したら農林大臣輸出はまかりならぬ、そのあとであなたの部下は判をついてどんどん輸出しておるではないか。それが問題で論議しておる最中に、あなたは農林大臣と相談すると、どこをたたいてそんなことを言われるのか。それはむりじやないか。そうして役人をどうしたか、栄転さしておる。そうして知らぬ顔をしておる。訓戒をしておる。訓戒ぐらいは蚊が食つたよりもまだ恐ろしくない。役人に栄転の方がむしろよい。それならばあなたの考え一つでみな肥料を出し得る。役人一人が出そうと思えば肥料は出てしまうけれども、そういう制度をこしらえて、その跡仕末をつけないで——早くいえばあなたは大臣である。しかも今のような政党内閣の大臣がそれほど役人になめられたんじやだめだ。役人になめられるのはあなたのかつてだけれども、われわれ国民代表のこの委員会をなめるということは許されぬ。この委員会においていくら論議しても、あなたがみな出してしまえばだめだ。安本でもいろいろ論議するが、通産省が出してしまえば計画がぐつとみな崩れるでしよう。崩れてもあなたは指を食わえて見ている。それに農林省がつけ込む……。それをまず解決つけぬで何を論議してもだめじやないか。まずそこからすつかりきれいにして、役人はこういう処分をするのだ、これに対して責任者をどうするのか、われわれの納得の行くことがなければ——いかにもこれならば、通産省といえども今度はすつかりあらたまつておやりになる、あのときのあやまちというものはすつかり明瞭にさせるのだというのならいいが、栄転をさせておいて知らぬ顔をしては、むりじやないか。まずそういうことをすつかりあなた方はつきりせんければ……。農林大臣も弱いよ。もう少し……。あの問題をどうするのだ、私的にあなた方がやみ取引してそうして委員会に向う。私も與党だから擁護したいけれども、その擁護と違うのだ。委員会は国民の代表だ。これがもしやみ取引があれば国民はどうなる、国家はどうなる。こういう重大なことをきまりをつけぬでおいて、ああだこうだと論議したつてこれはだめだ。それをよくお考えおき願わなければ……。どういう詭弁をもつて御答弁なさるか、それをまず第一に伺いたいと思うので、それからまず出発します。
  61. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 小笠原さんのおつしやる通りでありまして、單に農村においては化学肥料のみにたよつてはなりませんので、有畜農業を奨励するために、明年度予算においては、われわれとしては相当思い切つた考えをいたしておるつもりであります。特に金融方面においても、われわれはこれを重点的に取上げているような次第であります。今年度の米の予想高が、実收期に至りまして非常に秋落ちで苦しんでおるのも、一面その点に起因しておると察知いたしまして、来年度の予算におきましても、十分この点については注意をいたしておる次第でございます。肥料輸出に対しましては、農民に不安を與えることが最も悪いことであり、またあまりにないものを輸出に出すことは、市場価格をつり上げることになり、これまた農民に負担をかけることになりますので、この点に関しましては私どもといたしましては、農林省の意のあるところを関係方面に十分伝えておりまして、今後農民に不安を與えないように十分努力する考えであります。
  62. 横尾龍

    横尾国務大臣 小笠原委員お話ごもつともに存じます。しかし先刻の栄転させたということは、これは私は栄転とは思わないのであります。左遷させたつもりであります。それからその他の者の訓戒ということでありますが、これは御不満であつたかもしれませんけれども、私としては、相当に強く訓戒を與えております。それからかかることを再度しないように、そうしてまた農民諸氏の御不安を除くように極力努力するつもりでありますから、さよう御了承を願います。
  63. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 そこで私がなぜ詭弁かと言えば、よく径路を考えてごらんなさい。この間の小委員会でも、政務次官からの御答弁があつたのだか、それによりますと、何ら他意がない、農林省の方ではやがてはこれに同意してくださるものと思つて、それを見越して一応輸出を許可をしたのだ、だから何ら他意がない、悪意がないというようなことなんだが、委員会に現れた御答弁によると、そうではない。安本も立会い農林省も立会い、どうしたらいいか協議をした。農林省安本も立会つた席で、農林省がこれを強く拒否をした。拒否されて、すぐ帰つて輸出してしまつた。これはしかしながら悪意でない善意でしようか。一方には役人と商人とメーカーと結託してやつたのだ、なにこれは通産省の一部においては珍しくない、ざらにあるといつておる。その方が当るか、悪意でないというのはむりであるか、それを判断させてみたところが、委員会はなかなか善意は認めない。それからあなたは左遷と言うけれども、左遷じやない。それは見方によりますけれども、無事にそつちに移れば栄転というものなのです、よくお考え置き願わなければならない。もとの古巣に喜んで帰つている、それも局長あたりのさしずでやつているに相違ない、あなたからやつたことでないことは僕はわかるけれども、あなたの立場は大臣だから黙つてはおけない、そういうなめたようなやり方で、がまんしろ、御不満だろうと言うだけで、あとでやらないように訓戒したといつても、げんこつをくらわすではない、話だけいいかげんなことを言つても痛くもかゆくもない、そんなことではとても納得できない。しかも結果がどうなりますか、たとえば貿易関係の法律で、五十三條か五十一條によつて出荷はいつでも引きとめられる。ことに政務次官の立場をもつて、部下が誤まつたものである、不法な輸出であるから取消すということまで声明されたその後において、海外貿易の信用を失墜してはいかぬからとうとうやることになつたというので、あなたの権限において断行したのです。海外貿易の信用の失墜したのを食いとめたという方は国家のためにいいでしようがそれがやがては、あなたの一言によつて農林大臣の同意を無効ならしめたということと、法律を無視したということは大きな問題でありませんか。これでいいのか、今後はどうなのか、一回はよろしい、二回はやつて今度はよろしい、三度目をやらぬということになつたらどうなるか、三度やつて四度目やらぬということと同じではないか。それで安本がいくらいばつてもだめだ。この始末をつけないで何の必要あつて答弁なされているのですか、そんなことは委員会では通らない、役人同士はあなた方お話になればわかるけれども、そんなことはだめだ、第一この始末はそんなことでいいかどうかということも大きな問題なのです。これ以上答弁ができなければ、できないと言つてしまえば、われわれは委員会同士で相談をするしか方法はない。但しそれにはあなた方は一過失を認めるということになるが、過失などというものは、農林省へ相談もせぬうちに、多分農林省がこれを同意してくださるだろう、たいてい輸出も必要だろうというときには過失ということもありがちだ。相談されて拒絶されてすぐ輸出したということは、過失と認めることはむりだ。そのことはあなた方は答弁ができなくてもいいし、われわれのかつての考えだというのでもいい、はつきりした答弁を伺えば、われわれはわれわれであとで協議をしなければならない。ただそれだけで結末はついたということには考えられますまい。  それから農林大臣に申し上げます。今肥料の問題につきましては、化学肥料のみならず、農民に対するところの予算をとつて、早くに厩肥の問題に対しても期待をかけておると言うけれども、いつでも大臣の話はそうだ、個人で話しても大臣であつてもそうだけれども、部下はそうではない、今の金庫の三十億の問題だつて、畜産というのをあなたは入れると言う、ところが立案したら入れない。どういうわけで入れないかと言つたらこれは向うの方で、進駐軍の許可をとらなければならないから手段上長期のものだけ入れるのだ、短期の計画のものは入れぬ、何で畜産が短期だ、酪農工場をつくるのは短期でしようか、いろいろ関係の問題がある、羊毛の問題、これの企業をやるのが短期でしようか。畜産ほど範囲の広いものはない。人の洋服でも、はいているくつでも、毎日食べているものも畜産によらずして生活している者は一人もない。ことに大臣などは一番多いのだ。それでいて畜産を忘れてしまつている。なかなか容易ならざるものだから、大臣のネジを締め直しなさい。その問題でどうかよくあなた方大臣同士の取引をおやめになつて——安本長官がおいでにならないので、あなたではむりかもしれないが、とにかくいろいろなやみ取引はやらぬで、公平な態度で国民に臨まないといかに與党であつても何であつても、国民の不満足なことに対して同意するわけにいかない。お茶濁しはできない。そこをはつきりしてもらいたい、こういうわけであります。
  64. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 ネジを締め直せということでありますが、私はいつもネジを締め直してかかつているつもりであります。畜産関係についての予算に対するわれわれの態度は小笠原委員の考えとまつたく同一であります。今まで畜産関係に予算が少なかつたのを、来年度の予算からこれを増して、そして有畜農をふやして、また酪農関係の方面も十分見て、單に化学肥料のみでなく、畜産から生まれるほんとうの肥料増産して行きたいということにはかわりはないのであります。またこの肥料問題については、こういつたようなことがあつた今後でありますから、これは決して前の轍をふむようなことをしないように、関係者でもつて十分相談をいたして行くつもりであります。
  65. 横尾龍

    横尾国務大臣 先刻再び三たびなしてもただ誤りはいいのだというような態度をとつているというようなお話でありますが、これは一ぺんなして二たびなすことは、私は嚴重に監視をし、取締りをするつもりでありますから、この点はさよう御了承願いたいと思います。ただいまの処罰に対しましては、これ以上は答えをいたしかねるのでありますから、さよう御了承願います。
  66. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 それは通産大臣、一ぺんなしたことは二たびやらせないようにあなたは押えるとおつしやるけれども大臣の慣例はいつまでも残る、あなたの決定というものは例になつていつまでも残る。これは大切なのだから私は言つているのだ。この道路はあぶないからこつちを歩けというように、そう簡單に済むものではない。慣例をつくつて、新しい大臣になつて、前の大臣がやつた例によつてやりましたということになりましたらどうなさいますか、そういう例をつくつた責任をどうするか、こういうことを伺つているのです。二度やらせないというが、こんなことは二度も三度もやつてつたらたまらない。そういう慣例をつくられたということが大きな問題であろうと思う。しかしなかなかこれに対して、あなた方はそれ以上御答弁ができぬと思うから、私は追求いたしませんが、あとはわれわれ相談したければならない。これだけ申し上げて私の質問は打切ります。
  67. 小林運美

    ○小林(運)委員 先般の委員会で私は通産局長でしたかに、日台協定内容を少し伺つたのですが、その日台協定によりますと、七月一日から一箇年間に一億ドルの輸出をする。その中に肥料も大体金額にして一千三百万ドルくらいを予定する。数量にいたしまして二十五万トンの肥料輸出するというような内容の話がございましたが、この日台協定を結んで日はいつでありますか、それをまず最初に伺いたいと思います。
  68. 黄田多喜夫

    ○黄田説明員 たしか九月一日ぐらいじやないかと思います。
  69. 小林運美

    ○小林(運)委員 この日台協定を結ぶにあたりまして、関係省すなわち外務省あるいは通産省農林省等は十分協議の結果、この二十五万トンの輸出はできるという確信があつてつたと私は思うのですが、その間各省との話合いはやりましたかどうか。いつごろやつて、そうしてやつたならば、その際に二十五万トンの輸出が可能であるということをはつきり各省でおきめになりましたかどうか、その内容を御答弁を願いたいと思います。
  70. 黄田多喜夫

    ○黄田説明員 御承知のように、ただいまのところ通商協定というものに、日本側は表面上タッチいたしません。スキヤツプと外国の代表との間に行われているのであります。長い間、日本側はまつたく関與せしめられなかつたのでありますが、約半年ぐらい前から、ぼつぼつわれわれの要求によりまして関與させてくれるようになりました。オブザーバーという形で出ているのでありますが、ときによつて意見を求められるというふうなことから始まりまして、最近に至りましては、こつちから積極的に意見を述べるという機会が非常に多くなつて参りました。この問題の日台協定に関しましては、六月ぐらいから話がございまして、その当時におきましては積極的に参與し得たのでございますが、八月の下旬に急遽この協定ができましたために、相談にあずかる機会が非常に少かつたのであります。それで肥料の点に関しましては実は最終案だというのを初めて見せられましてこれは多過ぎるということを主張したのでありますが、それがいれられませんで、結局先ほど申し上げましたように、硫安となつておりますのを、これでは困るというので、化学肥料ということにかえさせたのがせいぜいという状況でございます。
  71. 小林運美

    ○小林(運)委員 協定の内容はさようでありますけれども政府といたしましては、すでに六月からそういう話があつたというお店であります。特に肥料の生涯を主管しております通産大臣としまして、かような相当の量を輸出する際には、やはりできないものはできないということをはつきり断るべきだろうと思う。それからまた農林大臣は現在の肥料事情をよく知つておる。そういうような関係から、もつと強力に、そういう輸出をされては困るということを意思表示をすべきだろうと思う。そういうことを通産大臣あるいは農林大臣はおやりになりましたかどうか、御両所からはつきりお答えを願いたいのであります。
  72. 廣川弘禪

    廣川国務大臣 農林省はあとから報告を受けたそうでありまして、それに対して態度を表明する時期がなかつたそうであります。
  73. 河野謙三

    河野(謙)委員 この日台協定につきましては、私が察するに、国際間に非常に影響するところが大きいと思いますから、この機会委員長におきまして秘密会を開いていただいて、少しく政府当局から詳細な御説明を承りたいと思いますが、いかがでございますか。     〔「必要なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りをいたします。ただいまの河野委員の発言はこれを動議と認めますが、晝食の際によく熟考をいたします。  暫時休憩をいたします。一時半から両開いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後二時十六分開議
  75. 千賀康治

    千賀委員長 午前中に引続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小林運美君。
  76. 小林運美

    ○小林(運)委員 私は大臣が来てからやります。
  77. 千賀康治

    千賀委員長 ではあとまわしにいたします。井上良二君。
  78. 井上良二

    ○井上(良)委員 安本産業局次長さんにお伺いしますが、問題は資料にいただきました肥料生産に必要な電力供給でございますが、これを見ますと、なるほど前年の二十四年度に比較しますと供給増加させておるように見えますが、しかし全体の重要産業への電力の割当の数字つまり二十五肥料年度内における電力の総供給量、その中で大口の分と、全体の分と肥料の分、こういうのを具体的にお話願えませんか。
  79. 前谷重夫

    前谷説明員 ただいまお配りいたしました資料について御説明申し上げますが、お手元に差上げました第一表は、肥料につきまして二十四年度生産数量と、二十五年度需給推算に掲げました生産数量及び二十四年度におきます現実に消費いたしました電力と、二十五年度実績及び今後の生産に要する電力について第一表に掲げたわけでございます。電力につきましては、御承知のように毎四半期ごとに計画を立てることになつております。特にこの十月からは各月の計画を立てることになつたわけでございます。従いまして安本といたしましては、二十六年度以降の精細な計画についてはまだ計画として持ち合せておらないわけでございます。しかしながら大体の見込みといたしまして、次の表をごらんになつていただきますと、二十四年度における第四・四半期、一月—三月における総体の電力量がお手元に差上げてあるわけであります。それで二十五年度の第四・四半期、明年の一月から三月におきます電力の配当をどうするかということは、この年末から検討することになるわけでございますが、今ここに差上げましたのは一応過去三箇年の平均をとるとどの程度の供給力になるか、こういうことを試算いたしたわけであります。過去三箇年の平均をとりますと、大体本年の一月より三月、二十四年度第四・四半期とほぼ同じ程度の数字になつておるわけであります。これはロスを軽減することによりまして、もう少しよけいになるのではないかと考えておりますが、これの具体的な小口需要をいかにするか、大口需要に対しまして産業別にどういうふうにするかということにつきましては、まだ計画を立てておらないわけであります。肥料につきましてほぼ昨年度実績程度にやるとすると、ほかの産業はどうなるか、こういう問題でございますが、これはもちろん出水の状況いかんにもかかわりますが、われわれといたしましては、この肥料数字は実際の消費といたしましてぜひ確保いたしたい。従つて多少他の大口産業影響が起る場合があり得るのじやないかというように考えております。
  80. 井上良二

    ○井上(良)委員 この第二表によりますと、発電量九十二億キロワツト・アワーの中で化学肥料はかりに二十四年度実績による分を予定いたしましても、全体のパーセンテージは相当大きいのでありますが、この際特にわれわれが心配をいたしますのは、例の朝鮮動乱を契機にしました、特需面の電力使用というものが相当強化されて来る、しかもこれは二十四年度実績から非常に上まわる実情にあるのじやないか、こう大体常識的に考えられると思います。この点どうお考えになりますか。少くともこの特需関係電力需要というものは、これはほとんど絶対避けることのでき得ない強い力で要求されて来はせんかと思います。そうなつた場合に化学肥料電力需要に対して相当圧迫が加わつて来はせんかと考へますが、それをどうお考えになりますか。
  81. 千賀康治

    千賀委員長 井上君にお願いしますが、ただいま通産委員会の方から大臣出席を早くしてくれという連絡がありましたので、なるべくほかの質問はあとまわしにして、大臣に対する質問を先にしていただきたいと思います。まだ小林、平野両君も大臣に対する質問を残しておりますから、どうか早く片づけていただきたいと思います。
  82. 井上良二

    ○井上(良)委員 私の質問はあとまわしにいたします。
  83. 千賀康治

    千賀委員長 小林運美君。
  84. 小林運美

    ○小林(運)委員 私は午前本委員会において日台協定に関して、農林通産大臣のこれに対する見解を承つたのですが、通産大臣がお見えになつておりますから、その間の事情をひとつ詳しく御説明願いたいと思います。もし公開の席上で言えない分については秘密会でもけつこうであります。
  85. 横尾龍

    横尾国務大臣 先刻答弁をしませんではなはだ失礼いたしました。御答弁申し上げます。六月ころから日台貿易協定の話が始まつておりまして、最初の間は先刻通商次長から申しましたように、日本側はオブザーバーとして出席を許されましたが、その後に暫時交渉が中絶いたしまして、八月の下旬に至つて突如再開され、そのときには日本側は参加いたしませんで、そしてその後最終案を見せられました。そうして約二十五万トンに相当する数量が計上されておりましたので、通産省としては、これは不可能であることをるる申し上げて、その結果と硫安とあるものを化学肥料としてもらつたようなことで済んだのであります。そういうような状況でありますので、その点御了承願いたいと思います。
  86. 小林運美

    ○小林(運)委員 今の大臣の御答弁によりますと、硫安が二十五万トンという協定の内容であるけれども、それは不可能である。そこでいろいろのお話の結果、化学肥料として二十五万トンを承知した、こういうふうに解してよろしゆうございますか。
  87. 横尾龍

    横尾国務大臣 いろいろお話しいたしまして、硫安だけではいかないから化学肥料にしてもらいたいということを申し出して向うに承知してもらつたのであります。
  88. 小林運美

    ○小林(運)委員 その辺がはつきりしないのですが、硫安を含めて化学肥料としてそれだけは輸出できるという確信があつて、そうした返事をしたとか、認めたとかこういうふうにはつきり言つていただきたいのです。その辺はどうなんですか。
  89. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまの点は、交渉の秘密になりますので、ひとつ秘密会で局に当りました通商局長からお話申し上げたいと思います。
  90. 千賀康治

    千賀委員長 お諮りいたしますが、日台通商協定に関する部分は、秘密を要する点があると思いますので、この際秘密会といたしたいと思いますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  91. 千賀康治

    千賀委員長 異議なしと認めます。それでは秘密会にいたします。傍聽の方は御遠慮を願います。     —————————————     〔午後二時二十八分秘密会に入る〕     〔午後三時十一分秘密会を終る〕     —————————————
  92. 千賀康治

    千賀委員長 引続き質疑を行います。
  93. 小林運美

    ○小林(運)委員 先ほど来の秘密会で、日台協定内容につきましては、大体わかりました。そこで、日台協定はすでに六月ごろからお話があつて、八月、九月ごろはつきりわかつた。ところがその後先般来問題になつております二万何千トンという肥料輸出の問題に関して、本委員会がこれ問題にいたしましたところが、これに対して通産当局は、この委員会で問題が起きたので、現在輸出の現況にある船積み前までのものを、急遽押えた、こういう事実がある。ところがただいま、秘密会での話の内容に私は触れませんが、それから察知いたしますと、ここに非常に矛盾がある。とにかくわが国としては、現在の肥料事情からして、こういう協定によつて二十五万トンの肥料輸出しなければならぬという大きな重荷を背負つておる。そこで、その間のそういうことをみんな知つていながら、一部の役人が、上司の許可もなくして輸出した。そういうことをきつかけにして、今まで約束しておつた輸出肥料を、とにかく通産大臣は命令をしてこれをとめた、こういう事実がある。ここのところに非常に不可解なことがある。もつと大きなものをまだ持つている。そこで一応とめて、これがきつかけになつて、さらに今回十万トンの輸出をすることになつた。ここの関係なのですが、この肥料輸出するという問題について、先般吉田総理から関係大臣が呼ばれて、早くこれを輸出しろというような記事が新聞にありましたが、こういうようなことについて、大臣からどんなお話がありましたか、これをひとつはつきりお話していただきたい。
  94. 横尾龍

    横尾国務大臣 吉田総理から呼ばれたというのは、私邸に呼ばれたのですが、私は吉田総理から呼ばれて、その話を聞いておりません。
  95. 小林運美

    ○小林(運)委員 新聞の報道で知つたのでありますが、とにかくその後の情勢がかようにかわつて来て現在のところでは、あまり確信はないのだけれども輸出をするのだというような大体の方針らしい。ところが先ほど来、各委員からいろいろ質問をしておりますと、今度輸出しようとする十万六千トンの輸出肥料に対しても、何だか政府は、自信がなさそうだ。これはあるのですか、ないのですか、はつきりお答え願いたい。
  96. 横尾龍

    横尾国務大臣 安本農林通産の三者が寄つてそういう数字をきめたのであります。それだからそれに私は間違いないものと考えます。
  97. 小林運美

    ○小林(運)委員 そういたしますと、大臣各省が寄つてきめたのだから、それは輸出能力があると確信を持つておる、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
  98. 横尾龍

    横尾国務大臣 その通りであります。
  99. 小林運美

    ○小林(運)委員 同じことを言うようですが、なぜこんなことを強く私が申し上げますかというと、すでに二万何千トンの輸出をとめた。これも国際信用の上においては、わが国は非常に大きなマイナスをやつておる。こういうことがまだかわかないうちに、今度は数量がまた多くなつている。それをあなたは、政府が寄つて確信を持つて約束した。こういうことです。これが将来もしできなかつたらどうするのか、これが問題なのだ。そうなると、ここであなたがそういうようにおつしやつた以上は、とにかく肥料がないのじやない。国内に売る肥料はある。だからそれをさいて輸出するというようなことが心配される。そうなつた場合には、国内肥料がどんどん上る。この影響はだれが一体受けるか。これは農民だ。そこで私は先般の小委員会でもこの問題をつきましたが、この責任を一体だれがとるのか。あなた方は、おれは通産大臣だから生産の方だけやつておれば……、そうではない。あなたは国務大臣である。政府責任を負うべきである。こういうことをここではつきり私は通産大臣から、その際の処置をひとつ伺いたい。
  100. 横尾龍

    横尾国務大臣 私はいろいろの数字の上から見まして今きまつておりますものは確かに出し得るものなりと信ずるのであります。と申しますことは、漸次、幾らかずつ、十月も増産いたしましたし、十一月も幾ら増産しつつあるのでありますから、この点をもう少し強調いたしますれば、出すことはさしつかえなかろうというように考えておる次第であります。
  101. 小林運美

    ○小林(運)委員 そういうことを私は聞いておるのではない、あなたは神様でないのだし、とにかく電力の問題とかいろいろな事情で、もしこの約束ができなかつた場合には、この協定の、今言つた十万六千トンを出さないで済むのか。あるいは五万トンにする、二万トンにする、こういうことができるのかどうか。あるいはそうでなくて、約束は約束だから十万六千トンはとにかく出すのだ。その際における影響は農村にある。その際の政府としての処置をどうするか。責任をどうするかということをお聞きしておるのです。ただ、やりたい、こんなことならだれだつて言える。もしできなかつた場合はどういう処置をとるか。だれが責任を負うか。
  102. 横尾龍

    横尾国務大臣 それは出し得る最高限度でありますので、私は出るものと信ずるのであります。
  103. 小林運美

    ○小林(運)委員 どうも最高限度などととんでもない。最小限度ではないか。これはもうこれ以上できないのだ。
  104. 千賀康治

    千賀委員長 小林君にちよつと申し上げます。もう一時間ぐらい前から、数回矢のさいそくで、通産委員会から大臣の請求をしております。われわれで大臣を專有することもこれはどうかと思いますので、なるべく簡潔にやつてもらいたいと思います。
  105. 小林運美

    ○小林(運)委員 委員長がそんなことを言つてはだめですよ。
  106. 千賀康治

    千賀委員長 なるべく簡潔にやつてください。
  107. 小林運美

    ○小林(運)委員 私が大臣に伺つているのは、そんなことではない。やりたいぐらいのことはだれだつてやりたい。そうでなくて、もしできなかつた場合には政府はどうすか。どういう処置をするかということです。協定を無視して減らすかどうかということなんです。どつちに持つて行くかということなんです。私はこの間小委員会でもこの問題に触れましたところ、農林次官は、将来肥料需給に関して、需給調整をしたいというような片言を漏らしましたが、そういうような気持があるかどうか。現在肥料は統制を撤廃しておりますが、将来また肥料の統制をやる気かどうか。その点はどうですか。
  108. 横尾龍

    横尾国務大臣 これは、午前中に農林大臣から詳しく答弁しておりますから、さように御了承願います。
  109. 小林運美

    ○小林(運)委員 私は、今までのいろいろな質疑を通じまして、通産当局、特に大臣は、こういう重大問題に対して非常に熱意がない、誠意がないということを認めます。しかも先ほどあなたがここでおつしやつたことは、これはあなたのほんとうのそのままなんだ。それは私は認めます。人間的には認めるけれども大臣としての言としてはこれはとんでもないことなんである。  これは日本国民に対して、あなたは非常に大きな負担を負つておることをよく肝にめいじてもらいたい。しかも今後、こういうような協定があり、先ほど通商局長からの話によりますと、その他の通商協定がたくさんある。こういうようなものに対して、関係大臣がかような誠意のないようなことであればどういうことが起るか、まつたく前途暗澹たるものがある。こういう問題をよくあなたは腹に入れて、もつともつとしつかりやつてもらいたい。本日この委員会で、これだけでは私は絶対に引きません。これはどこまでも追究したいと思います。どうぞそのつもりでやつてもらいたい。
  110. 平野三郎

    ○平野委員 横尾さんにお尋ねいたします。大分大臣お急ぎのようですから、きわめて簡潔にお尋ねいたしますが、どうか納得の行くような答弁を願いたい。そうすれば決して長く引きとめはいたしませんから、そのおつもりでお答えいただきたいと思います。私は、各委員が皆非常に熱意をこめて質問されるのは、これはどうも通産省に誠意がないからだというふうに考えられまするので、お尋ねをいたすようなわけであります。  第一点は、先般の違法措置行つた問題の善後措置であります。これについて、その事務的な責任者大臣は訓戒処分を加えられたということでありますが、その訓戒処分というものはどういう法的根拠によるものであるか。  それからその責任者を配置転換されたということでありますが、これについて先ほど小笠原委員からも栄転ではないかという話があり、大臣からは、いや左遷であるという話でありますが、もちろんそういう処分を受ける者の場合は左遷にきまつておるが、いわゆる公務員としてのいかなる地位に変更されたか。すなわち左遷の内容が具体的にどういうものであるかというのが第二点であります。  第三点は、今の責任をとられたことは事務的な責任でありますが、これについての政治的責任大臣はどうされるか。先般当委員会におきましても、大臣より、愼重考慮の上何分の政治的責任をとるという言明があつたわけであります。先般の政務次官の御答弁によると、結局政治的責任は何らとらない、とる必要がないという結論に到達せられておつたようでありますが、大臣もほんとうにそうお考えになつているかどうか。  以上三点をお伺いいたします。
  111. 横尾龍

    横尾国務大臣 訓戒は、公務員法によるのではなしに、大臣の権限内でやりました。それから栄転というお話でありますけれども、われわれは、事件が起つてよそへかえられたということそれ自体がもはや左遷と考えております。それから政治的責任をどうするかというお話であります。政務次官がどういうようなお答弁をいたしましたか存じませんが、私は皆さんの御意思のあるところ、今日まで皆さんがよくお話になつたことは肝に銘じておるのであります。ことに先般来、私が肥料に対する知識の少いところから、議員に対し国民に対して御迷惑をかけていることに対しては、衷心おわびを申し上げるよりほかないと思います。これをもつてごかんべんを願いたいと思います。
  112. 平野三郎

    ○平野委員 そういう御答弁をすると、早く大臣を解放したいけれども、解放できぬようになるのをはなはだ遺憾といたします。まず第一に、今の訓戒というのは大臣の権限であるというお話でありますが、そうすると何ら法的根拠がないことになる。いやしくもかような違法行為を行つた者に対して、法律上根拠のある処罰を何らしないということは、私はこれは重大な問題であると思います。公務員法には、御承知通り免職とかいろいろな規定があります。ごく軽い罰則でも譴責であるとかあるいは罰俸処分とかいうようなものもあるわけであります。そういうものすらもしない。それでは大臣が序内において、君悪かつたじやないかという、ほんとうに内輪の個人的な話合いの程度であつて、処分でも何でもない。私は意地の悪いことを言うようでありますが、今回のこの問題が起きてから、大臣は、常にこの国会では農林委員会の意向を尊重するとかいうようなことを繰返して言われますが、事実においては何ら尊重された行動はとられていない。国会ではそういうことを言われても、一歩出ればもう国会のことなんか何とも念頭にないではないかとさえ実は思われるのであります。公務員法の最低の処分さえもしないということでは、まつたく誠意が認められない。ことに大事な問題でそういう事件が起つたことに対して、異動すれば左遷であるというお話でありますが、役人の異動ということは、こういうことがあつてもなくても当然頻繁に行われております。ただ配置転換をしたということだけが左遷を意味するのでは、私どもには解しがたいのであります。はたしてそういうことが日本の官吏の綱紀粛正の上においてさしつかえないものであるかどうかということは、あらためてこれは人事院の方に後ほど伺いますが、同時に、今の政治的責任についても、ただ自分は十分昨に銘じた、こういうことであつては、これは政治家としての政治的責任とは言えないと思います。われわれがこういうことを繰返して言うのは、再びこういうことが起るおそれがある。同時に、これは單に肥料の問題ばかりではなしに、日本行政上の基本的な問題であるという観点からして強く発言をいたしておるのでありまして、かように重大な違法行為がありながら、何ら法律上の処分を受けないというようなことでは、今後再びこういうことが起る場合に、大臣が今後そういうことはないようにすると言われましても、それでは片づかぬ。今後幾らそういうことをやつても、要するに役人の異動さえすればかまわないということになり、ただ遺憾の意を表するとか、肝に銘じたといういう口先だけのことでは、政治的責任をとつたとは言えない。何らかそこに具体的な行為が現われなければ、われわれは納得しがたい。いやしくも法律を破つた者はやはり法律によつて何らかの処分を受ける。法律を破りながら何ら法的処分を受けないということでは、責任をとつたというふうには解決いたしがたい。もう一ぺんその辺大臣の御心境を重ねてお伺いいたしたいのでありますが、私はこれ以上お尋をしてもとうてい誠意を認められないという結論に達するほかないと思いますので、それを伺つて質疑を打切ります。
  113. 横尾龍

    横尾国務大臣 ただいまの御質問に対しまして、私自身の政治的責任ということかと思いますが、これはよく総理とも相談して、どういう処置をとつたらいいか、よく相談してやりたいと思います。それから今の御訓戒でありますが、これはよく承りまして、すべて間違いないようにやりたいと思います。さようなことでひとつごかんべんを願いたいと思います。
  114. 井上良二

    ○井上(良)委員 一点私は大臣に特に伺つておきたいのですが、それは先般来あの問題が本委員会で問題になりまして、特にこの肥料輸出国内肥料価格にきわめて重大な関係を持つ。また現実に輸出するほどの状態にまで、まだ日本生産はできていないというようなことから、本委員会で問題になりましたときには、すでに問題になりましたもの以外は輸出はもうやらない、最初はこういうはつきりした答弁がされておつた。それがどこからどうかわつて来たか、だれがどう運動したか、ともかく十万六千トンが輸出可能だという返事を政府はするに至つた。これが一体国内肥料価格にどう影響して来ておるか。この点通産大臣はどうお考えになつておるか。あなたはメーカーと貿易商の所管大臣ですから、その方の利益だけ擁護しておつたらいいとお考えになつておるかしらぬけれども、これは実は国内の国民生活全般に影響し、わが国産業経済全体に影響して、通商上にも重大な影響を持つて来るのですが、そういうことをお考えになつたことがありますか、その点を一応伺いたい。
  115. 横尾龍

    横尾国務大臣 今のお問いに対しまして、価格の騰昇を来さぬように、メーカー等に対しまして農林当局とも打合せて、そうして今回の輸出によつて価格を騰昇させないようにというので、メーカーにも交渉を続けて行きつつあります間にメモランダムが出されたような状態でございます。ただいまのとろでは六百九十三円五十銭でございましたが、それが一円五十銭上つて、全購連の方もそれで納得されたように私は聞いております。そういうのでありますから、私としてはメーカーに対して、これによつて農民の方に御迷惑をかけないように、ぜひ善処してもらいたいということを度々お願いしておるのであります。その結果でありましたか、一円五十銭にまずとどまつたかのように聞いております。
  116. 井上良二

    ○井上(良)委員 御存じの通り肥料は自由販売です。これは統制を撤廃しておるのですから政府はメーカーに対して、この価格でくぎづけしておくということの権限は何もないのであります。メーカーは自分の採算の合う価格で売ればいいのであつて、何ら政府から干渉さるべき筋合いのものでは全然ないのであります。従つてその後における肥料情勢というものは、これは河野さんも御指摘になりました通り、九月、十月と漸騰しており、しかもこの肥料輸出情勢が強まり、かつ朝鮮台湾等における需要の非常に急迫した実情が影響して参りまして、そこへ電力事情がなかなか思うように行かぬという総合的な判定の上で、肥料全体の市価というものは高騰の形にあることは事実なんです。そうして春肥需要を目の前に控えておりますから、これは当然この輸出国内肥料価格相当大きな影響を持つて来ることは事実なんです。この点に対して、国務大臣としてやはり真剣に考えてもらわなければいかぬと思う人です。現に十一月の取引の現状は、われわれが仄聞するところによりますと、硫安でもつて十貫俵で七百十円卸で引取つておるのです、現に七百十円で引取つておるところがあるのです。そういう例が出て参りますとまたたく間に十貫俵は八百円になります。そうなつた場合に一体政府はどうしてくれるか。強権を発動して、肥料価格をくぎづけにする処置がとれますか。そうなつた場合はどういう処置をおとりくださるのですか。あなたの方は懇願をして、上げないように頼むと言つても、向うは採算でこれによらなければしようがないという場合に、政府は何とするか。この点についてどういう処置をおとりくださるのですか、はつきりした御答弁を願います。
  117. 横尾龍

    横尾国務大臣 春肥に対しましては、公団手持がありますので、農林当局と相談しまして、公団手持の放出価格の騰勢を防ぎたいと存じます。
  118. 井上良二

    ○井上(良)委員 公団手持ちのものは、どうせこれはそれぞれの商人、また全購連の入札によつてやられると思う。そうすれば高く入札してとれば、政府予定する市価統制の役はなさぬことになる。私の聞いておるのでは、現在の市価よりも肥料価格が高騰をした場合、政府はいかなる処置をもつてその騰勢を食いとめようとするか、これなんです。單にメーカーに頼むといつても、メーカーはそろばんが合わなければやりませんよ。どうしようというのです。
  119. 長村貞一

    ○長村説明員 私からお答え申し上げます。ただいま大臣のお答えになりましたように、当面の春肥の問題につきましては、これからの生産増加により、供給力の増加あるいは公団手持の放出等、できるだけの操作をいたしたいと思うわけでございますが、肥料需給バランスの問題、あるいはこれに伴う価格の規正という問題につきましては、今後ともさらに私どもといたしましては、農林省安本とも相談いたしまして、必要に応じまして、また軍にただいま申しましたようなことだけでなく、何らかの制度も研究してみたい、かように考えております。
  120. 井上良二

    ○井上(良)委員 必要に応じて手を打つと言いますけれども、これは法的な処置を講ずるより方法はないと思う。そうしますと、至急に肥料需給調整に関する法律案なり何かのここに成案をもつて国会に出して、これに対する対策をすみやかにやりませんと、間に合いませんよ。上つて来てからあとから追いかけるなどといつても問題になりません。特にこの点は、通産省は御承知通り肥料メーカーと直結しておりますから、肥料メーカーの意見通産省には非常に強く響いております。農民意見は主官庁が違う関係から割方弱い。どつちかといえば、肥料メーカーの方の利益を擁護する。その点からこの輸出問題も起つておるわけなんです。実際の問題から言うならば、このことがただちに、今申します通り肥料市価影響して来ておりますから——これは大臣にお答え願いたいのですが、確実に私は上るという一つの自信を持つておるのです。また上げなければおそらくメーカーは応じないだろうと思うのです。そうなつた場合、この肥料価格が上つたということは、まつた通産省肥料政策のよろしきを得なかつたということになりますが、そう考えてもいいのですか。通産省がその責任を持ちますか。それとともに今お答えになりましたように、ただちに肥料需給調整に対する法的根拠をおつくりになつて、国会に上程するの意思がありますか。これをこの際伺つておきたい。
  121. 横尾龍

    横尾国務大臣 よく農林大臣と討議いたしまして善処いたします。
  122. 井上良二

    ○井上(良)委員 私は、農林大臣のことはまた農林大臣としての御所見を伺うのですから、この際は通産大臣としての御意見を伺つておるのであります。通産省としてこのままに放任しておいていいか。これは重大なことになつて来るという見通しをつけられておるか。いずれかによつてあなたの答弁がかわつて来るのです。このままにして放任しても、肥料価格は上らないというならば、需給調整規則が必要でございません。ところがこのままで放任しておけば、必ず肥料価格が上つて行く。そうすれば国内全体の農民が非常に迷惑するから、今からただちにこれに対する対策を立てて、法的根拠を明らかにして、国会の審議を願うというような処置を講ずるのは当然のやり方だと思うのですが、それが来年の二月、三月になつて肥料価格がどんどん急騰しまして、それからあわてて法案を整備し、関係省の了解を得て国会に提案するようなことでは、犠牲は農民だけが負うて、結局メーカーにもうけられて、肥料需要が過ぎた時分に法案が国会に出て来る、こういうばかなことになるのです。だから私は今から警告をしておきますが、ただちに通産省肥料メーカーの一方的な意見ではなしに、わが国民経済全体の上に立つて、将来わが国の輸出産業全体の上に立つて肥料問題がいかに大きな問題となつて来るかということを予想されて、ただちに需給調整に関する法的な成案を得られるようにひとつつていただきたいと思いますが、この点に対する大臣の御所見を伺いたい。
  123. 横尾龍

    横尾国務大臣 よく考究をいたしまして善処したいと思います。
  124. 深澤義守

    ○深澤委員 私は、先ほど平野委員大臣を追究いたしまして、今度の輸出問題つまり法令を無視して輸出いたしました責任者に対する処分の問題については、これはまことに寛大であると思います。うわさに聞くところによりますれば、この問題は單に過失でも何でもない。あるいは故意であり、あるいはいろいろなからくりがあると私は思う。この法令を無視して行い、そうして日本肥料事情に重大な影響を及ぼした者を、單に転職やあるいは訓戒という程度でもつてとどめておくことは、まことに不当であると思う。あなたはレツド・パージの問題については非常に苛責なくやつておられる。だがこのような法令を無視した公務員を寛大に扱つて行くということは、これは政党政派を離れて嚴正に——われわれは行政をつかさどる立場から非常に不公平であると思う。この点についてあなたはどういうお考えを持つておられるか、この点をひとつ明確にしていただきたい。
  125. 横尾龍

    横尾国務大臣 それは先刻からお答え申しております通りに御了承を願います。
  126. 深澤義守

    ○深澤委員 それは單にその問題だけでなくて、先ほど私が申し上げましたように、一方においてはレツド・パージで苛責なくやつておる。一方において法令を踏みにじつた公務員を一人も免職もできない。こんな態度で、あなたははたして公平にやつておるという信念でやつておるのか。その信念を私は聞きたい。公平であるということを考え、あるいは不公平であるということを考えているか。その点を私ははつきり聞きたい。
  127. 横尾龍

    横尾国務大臣 レツド・パージの問題に対しましては、これは政府できめたことでありまして、私は適当なるものと思います。それから今の問題について処置が軽いか重いかという問題につきましては、これは先刻も申し上げましたような状態でありますので、レツド・パージと結びつけて考えていただきたくないのであります。     —————————————
  128. 千賀康治

    千賀委員長 この際政府より、先般ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に伴うて制定せられました自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令について、説明のため発言を求められております。これを許します。佐野農地局長
  129. 佐野憲次

    ○佐野説明員 ただいま委員長からお話がございました自作農創設に関するポツダム政令の概略を御説明申し上げたいと思います。  すでに御承知のように、第二次農地改革も昨年をもちまして大体完了をいたしまして、農地改革事業もここに一つの時期が参つたのであります。これについては、昨年の秋マツカーサー書簡が発せられまして、この自作農創設に対して恒久化をなすべき旨の要請があつたのであります。それに基きまして、御承知のように第七国会に特別措置法の改正法案を提出いたしたのでありますが、審議未了に終つております。また第八国会におきましてもほぼ同様の法案を提出いたしたのでございますが、これも審議未了に終つたのであります。それと同時に第八国会におきまして在地台帳法の改正が行われまして従来農地の価格の基準でありました土地の賃貸価格が廃止せられたのであります。従つて農地の統制価格がなくなりましたがために、自作農の特別措置法は全然動かなくなつてつたのであります。これをこのままに放置いたしておきますときには、自作農の創設につきまして、空白の状態が生ずる結果となるのでございます。それにつきましては、総司令部の天然資源局の方より、政府が農地の自作農創設の政策を継続して行くために必要なを措置を即時にとるようにというメモランダムが発せられまして、それに基きまして自作農創設に関するポツダム政令を九月十一日に公布いたしたのであります。  その概要を申し上げますると、従来特別措置法によりまして、当然買收をせらるべきはずであつたもの、言いかえますると、買い漏れになつておりました農地につきましては、今後におきましても旧規定によりまして、また旧価格によりまして買收をいたして参るということが一つであります。  それから新たにこの創設法の適用を受くべき土地ができましたものにつきましては、どうするかと申しすと、それにつきましては、政府が介入をすることをやめまして、地主と小作者の間におきまして話合いをつけまして、これに対して農地委員会が譲渡計画を作成いたし、それに基いて府県知事が讓渡命令を出す、いわゆる強制譲渡の方途によるということにいたしたのでございます。その場合の価格でございますが、司令部の意向といたしましては、農地価格の統制をいたす必要はない、すなわち農民は採算のとれる合理的な価格で買うはずであるから統制をする必要はないという点でございまして、これはポツダム政令の関係もありまして、司令部の意向によりまして統制価格は撤廃をいたしているのでございます。しかしお互いの間で話をいたしましても話がまとまらないという場合におきましては、最後の締め括りといたしまして政府が買收をするということにいたしているのであります。従いましてそうなりますと政府の買收する価格というものはどうしてもきめて置かなければならないのでありまして、それを第五條に基きまして定めているのであります。これはちようど入札のような考え方でありまして、政府が最低価格を入れ、それ以上で価格の協定ができない場合には、政府がその最低価格で買うということでございます。最低価格といたしましては、大体従来の統制価格の七倍という線をきめております。これは施行令の方できめているのであります。こういたしますことによつて政府の買收する最低価格というものがきまつておりますので、相対で価格を協定いたします場合にもこれに近いところに落ちつくのではないか、そのために農地価格の著しい騰貴というものは起らないのではないかということを考えているわけであります。しかし万一にもこの農地の価格が非常に騰貴をいたすというような場合に対しましては、そういう事態になりますれば、またひとつ再統制という問題も考えなければならぬと思うのでありますけれども、現在のところ政府の最低価格という線で著しい騰貴はないものと考えているのであります。  未墾地につきましては、従来と同様の方法によつて買收を継続いたして参りますが、附近の農家の増反のために開墾をするというような未墾地につきましては、これはやはり強制譲渡によつてつて参るということにいたしてあるのであります。  またこれはポツダム政令そのものではないのでありますが、このポツダム政令の発布に伴いまして小作料につきましての改訂を実はいたしたのであります。御承知のように、第八国会におきまして土地の固定資産税が今回とられることになり、これが従来の地租に比べまして相当の増額になつているのでありまして、従来でも七十五円の小作料では地主としては相当な赤字が出ておつたわけでありますが、固定資産税をとられるということになりますと、従来の小作料では地主はとうていやつて行けないのでありまして、また一方小作人の方もなかなか楽ではございませんのでありますが、農家経済調査その他の結果からいたしまして、著しくむりのない程度、また地主にも赤字を出さないという両方から考えまして、小作料を現行の七倍ということにいたしたのであります。ただ七倍にいたしましても、その七倍というものが著しく高くなつては困るのでありまして、最高を六百円ということに押えているのであります。従つて大体水田につきましては平均五百円程度、最高六百円という小作料にいたしているのであります。  以上御説明申し上げましたのは、非常に簡單に御説明いたしたのでございますが、要しまするに第八国会における法律不成立並びに土地台帳法の改訂に伴いまして、ここに空白の状態ができることを防ぎまして、せつかくやりました第二次農地改革の成果を維持いたして参るためのやむを得ない必要な措置として、このポツダム政令という措置がとられたのであります。この点御了承をいただきたいと思います。     —————————————
  130. 千賀康治

    千賀委員長 政令に対する質疑は次回に譲りまして、平野三郎君が人事院に対する質疑を保留されておりますから、この際これをお許しいたします。平野三郎
  131. 平野三郎

    ○平野委員 人事院にちよつとお尋ねいたします。人事院では先般通産省が外国為替貿易法によつて当然農林大臣の同意を得なければならないのにかかわらず、その同意を得ることなしに肥料輸出の許可を與えたという事件について御承知になつておりますか。
  132. 丸尾毅

    ○丸尾説明員 個人として新聞で一部の事実を承知しているのみでございまして、人事院としては確実な事実を承知しておりません。
  133. 平野三郎

    ○平野委員 そうしますと簡單に御説明いたしますが、今申し上げましたような経緯で、通産省としてはあとから農林省の同意を得ると誤解をしてそういう処置をとつた、こういう説明をいたしておりますが、本委員会で再三審議の結果農林省の方は明確に拒否しておることははつきりしておる。しかるにそれを一方的に故意に解釈をして、そうした不法行為を行つた、こういう事実であります。これについては通産大臣が当委員会において深甚な遺憾の思を表し、同時に正式な陳謝もいたしており、さらにそれに対する不法行為を行つた当面の事務的責任者は嚴重に処罰する、こういう言明をされたのであります。本日の委員会においても結果の報告があつたのでありまするが、單に大臣の訓戒を加え、そして他に転職せしめる。しかも事実は公務員の地位は上昇いたしておるのであります。これに対して本委員会としてはそういう措置は公務員としての正当なるところの職務行為ではない。こういう解釈をくだして、今政府を追究いたしておるのでありますが、それについてまず人事院の御見解を承りたいのは、たとい栄転であつても、そういう、事件が起つたことによつて異動するということ自体がすでに左遷を意味するのである、先ほどこういう通産大臣意見があつたのでありまするが、われわれは、公務員としての地位が低い方向へ異動されれば、それは左遷ではあるけれども、高い地位に異動したというような場合においては、これは決して左遷ではない、こういうふうに考えるのであります。その点について人事院はどういう見解であるか、これが第一点。  それからおよそ法律に違反するような行為を、しかも日本の農村に対して深刻かつ重大な悪影響を與えるような不法な行為をあえてしたいというような公務員に対して、公務員法上のいろいろの処罰規定があろうかと思いますが、何らそういうものを適用せずに、通産省内部の規定によつて、ただ大臣が注意を與えたという程度のことでは、日本の国家公務員の綱紀を維持するという上においてはなはだこれは寛大に過ぎる、かように私は思いますが、この点についてどうお考えになりますか。以上二点だけを伺つておきたいと思います。
  134. 丸尾毅

    ○丸尾説明員 人事院といたしましては、具体的な事実の詳細を承知いたしておりませんので、的確なお答えをいたすわけには参りかねるのでありますが、一般的に申しまして、処分に該当すべき事件がありましたならば、それに対してよく実情を調査して、当該の任命権者が適切な処分を行わなければならないということは、ただいまの国家公務員法の基本的な要請でございます。しかしながらこのケースにつきまして具体的な処分をどうするかということは、一応任命権者である大臣に一任されておりますので、人事院といたしましては事後の審理機関である関係上、被処分者が不利益なる事実ありとして審査を請求して来ない限り、原則としてはその当該の処分が妥当であるかどうかということは、事後の審理を通じてのみしかわからない次第でございます。
  135. 平野三郎

    ○平野委員 今の左遷の解釈の問題ですが、ある事件が起つてその事件によつて異動したということ自体がすでに左遷を意味するのだ。たといそれが上級の職へ栄転した場合であつても、それは左遷を意味するのだというふうに人事院は御解釈になつているかどうか、その点をもう一ぺんお尋ねしたいのであります。
  136. 丸尾毅

    ○丸尾説明員 左遷ということは、單なる異動をもつて左遷とするかどうかということは、御承知のように国家公務員法上の懲戒の処分の中にはいずれも該当しておりませんので、国家公務員法上の懲戒処分でないということだけは申し上げることができると思います。
  137. 井上良二

    ○井上(良)委員 ただいま平野君から御質問になりました通り、現実に国家公務員は法令に定められたることを執行する重大な地位についているのでありましてその法令を忠実に執行しなんだ場合は、当然公務員としての職務を怠つたといいますか、そういうことが言い得られると思います。同時に、それが非常に大きな影響を国民に與えたという事態になりました場合は、当然その責任を負わなければならぬことになると思います。その責任の処置については当該大臣が処置する。しかしその当該大臣がその処置が非常に当を得てないものに対して、人事院は何らそれに干渉もできない。つまり不当な解雇を出されたとか、不当な処分をされた者については人事院に申告をするというのですか、いたしまして、人事院の判定をすることになつておりますが、当然国家公務員法に規定した処分をしなければならぬのにかかわらず、その処分が行われてないものについて人事院が何ら発言権がない、そういうことになつておりますか。
  138. 丸尾毅

    ○丸尾説明員 懲戒処分は、先ほど申し上げましたように、本則といたしましては任命権者が行うということになつておりますが、例外的に人事院みずから国家公務員法に定める調査の手続を経まして事態を究明することはできる道が残されております。
  139. 井上良二

    ○井上(良)委員 しからばただいまの案件になつております問題の人について、人事院は当然どういうわけでそういうことになつたかということについて調査をされましたか、またされませんか、またする意思がありますか、ないですか。
  140. 丸尾毅

    ○丸尾説明員 今までは別に調査をいたしておりません。
  141. 井上良二

    ○井上(良)委員 これはここにおります平野君は、この案件を非常に重大視いたしまして、たびたび当委員会では大臣に対してその処置の適正なることを要求して来ておるのであります。われわれもまた国家公務員の国民への重大な委任行政を担当しておる者としましては、当然本務にのつとつた仕事をしてもらわなければならぬ。大臣の了解も得ず、次官、局長の了解も得ず、また当然相談しなければならぬ農林省側の意見も徴せず、まつたく独断でその輸出を許可しておる。こういう事実をわれわれが知つた以上は、これは相当われわれは重要視しなければならぬと考えております。この事態に対して、人事院としても至急に事態経過を調査されて、本委員会に人事院としてはこの問題はこう考えるという解釈といいますか、事件に対する処置が妥当であるか妥当でないか、人事院が公平な——あなたの局長でおられる公平局という公平な立場でものを見られて、妥当であるかないかということを判定されて、この委員会報告を願えますか、どうですか。
  142. 丸尾毅

    ○丸尾説明員 人事院の政策は、御承知のように三人の人事官が最後に決定をいたします。事務的の属僚である私に決定権はないのでありますが、本委員会のいろいろの御要求の点も報告いたしまして、さらに御回答申し上げることにいたします。     —————————————
  143. 千賀康治

    千賀委員長 この機会にお諮りいたしたいことがございます。近く第九国会も開かれることになりますが、第八国会最終に院議をもつて委員会に付託せられました閉会中の審査事件につきまして、本委員会がこの閉会期間中調査いたして参りました事柄の中で、大体調査がまとまつたと思われる問題に関しましては、その報告書を議長に提出いたしたいと思います。つきましては、まず農業関係公団整理に関する件につきまして、肥料配給公団解散後の前後措置に関する問題、農業関係公共事業に関する問題及び畜産に関する問題、以上三点につきまして閉会中調査いたしましたところをとりまとめて報告書を提出したいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認めます。なおただいまの報告書の作成に関しましては委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 千賀康治

    千賀委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後四時十三分散会