○佐野
説明員 ただいま
委員長から
お話がございました自作農創設に関するポツダム政令の概略を御
説明申し上げたいと思います。
すでに御
承知のように、第二次農地改革も昨年をもちまして大体完了をいたしまして、農地改革事業もここに一つの時期が参
つたのであります。これについては、昨年の秋マツカーサー書簡が発せられまして、この自作農創設に対して恒久化をなすべき旨の要請があ
つたのであります。それに基きまして、御
承知のように第七国会に特別
措置法の改正法案を提出いたしたのでありますが、
審議未了に終
つております。また第八国会におきましてもほぼ同様の法案を提出いたしたのでございますが、これも
審議未了に終
つたのであります。それと同時に第八国会におきまして在地台帳法の改正が行われまして従来農地の
価格の基準でありました土地の賃貸
価格が廃止せられたのであります。
従つて農地の統制
価格がなくなりましたがために、自作農の特別
措置法は全然動かなくな
つて参
つたのであります。これをこのままに放置いたしておきますときには、自作農の創設につきまして、空白の状態が生ずる結果となるのでございます。それにつきましては、総
司令部の天然資源局の方より、
政府が農地の自作農創設の政策を継続して行くために必要なを
措置を即時にとるようにという
メモランダムが発せられまして、それに基きまして自作農創設に関するポツダム政令を九月十一日に公布いたしたのであります。
その概要を申し上げますると、従来特別
措置法によりまして、当然買收をせらるべきはずであ
つたもの、言いかえますると、買い漏れにな
つておりました農地につきましては、今後におきましても旧規定によりまして、また旧
価格によりまして買收をいたして参るということが一つであります。
それから新たにこの創設法の適用を受くべき土地ができましたものにつきましては、どうするかと申しすと、それにつきましては、
政府が介入をすることをやめまして、地主と小作者の間におきまして話合いをつけまして、これに対して農地
委員会が譲渡
計画を作成いたし、それに基いて府県知事が
讓渡命令を出す、いわゆる強制譲渡の方途によるということにいたしたのでございます。その場合の
価格でございますが、
司令部の意向といたしましては、農地
価格の統制をいたす必要はない、すなわち
農民は採算のとれる合理的な
価格で買うはずであるから統制をする必要はないという点でございまして、これはポツダム政令の
関係もありまして、
司令部の意向によりまして統制
価格は撤廃をいたしているのでございます。しかしお互いの間で話をいたしましても話がまとまらないという場合におきましては、最後の締め括りといたしまして
政府が買收をするということにいたしているのであります。従いましてそうなりますと
政府の買收する
価格というものはどうしてもきめて置かなければならないのでありまして、それを第五條に基きまして定めているのであります。これはちようど入札のような考え方でありまして、
政府が最低
価格を入れ、それ以上で
価格の協定ができない場合には、
政府がその最低
価格で買うということでございます。最低
価格といたしましては、大体従来の統制
価格の七倍という線をきめております。これは施行令の方できめているのであります。こういたしますことによ
つて政府の買收する最低
価格というものがきま
つておりますので、相対で
価格を協定いたします場合にもこれに近いところに落ちつくのではないか、そのために農地
価格の著しい騰貴というものは起らないのではないかということを考えているわけであります。しかし万一にもこの農地の
価格が非常に騰貴をいたすというような場合に対しましては、そういう
事態になりますれば、またひ
とつ再統制という問題も考えなければならぬと思うのでありますけれ
ども、現在のところ
政府の最低
価格という線で著しい騰貴はないものと考えているのであります。
未墾地につきましては、従来と同様の
方法によ
つて買收を継続いたして参りますが、附近の
農家の増反のために開墾をするというような未墾地につきましては、これはやはり強制譲渡によ
つてや
つて参るということにいたしてあるのであります。
またこれはポツダム政令そのものではないのでありますが、このポツダム政令の発布に伴いまして小作料につきましての改訂を実はいたしたのであります。御
承知のように、第八国会におきまして土地の固定資産税が今回とられることになり、これが従来の地租に比べまして
相当の増額にな
つているのでありまして、従来でも七十五円の小作料では地主としては
相当な赤字が出てお
つたわけでありますが、固定資産税をとられるということになりますと、従来の小作料では地主はとうていや
つて行けないのでありまして、また一方小作人の方もなかなか楽ではございませんのでありますが、
農家経済調査その他の結果からいたしまして、著しくむりのない程度、また地主にも赤字を出さないという両方から考えまして、小作料を現行の七倍ということにいたしたのであります。ただ七倍にいたしましても、その七倍というものが著しく高くな
つては困るのでありまして、
最高を六百円ということに押えているのであります。
従つて大体水田につきましては平均五百円程度、
最高六百円という小作料にいたしているのであります。
以上御
説明申し上げましたのは、非常に簡單に御
説明いたしたのでございますが、要しまするに第八国会における法律不成立並びに土地台帳法の改訂に伴いまして、ここに空白の状態ができることを防ぎまして、せつかくやりました第二次農地改革の成果を維持いたして参るためのやむを得ない必要な
措置として、このポツダム政令という
措置がとられたのであります。この点御了承をいただきたいと思います。
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