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1950-10-06 第8回国会 衆議院 農林委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十月六日(金曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 代理理事 松浦 東介君    理事 野原 正勝君 理事 井上 良二君       遠藤 三郎君   小笠原八十美君       川西  清君    河野 謙三君       幡谷仙次郎君    原田 雪松君       平野 三郎君    吉川 久衛君       深澤 義守君    河口 陽一君  出席国務大臣         通商産業大臣  横尾  龍君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         通商産業政務次         官       首藤 新八君  委員外出席者         経済安定事務官         (物価庁第二部         長)      長谷川 清君         專  門  員 岩隈  博君         專  門  員 藤井  信君     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業関係公共事業に関する件  農業関係公団整理に関する件     —————————————
  2. 松浦東介

    松浦委員長代理 委員長がさしつかえがありますので、かわつて私が委員長の職務を行います。  これより農林委員会を開会いたします。本日の主要なる議題農業関係公団整理に関し、飼料問題に関する件並びに主要食糧、特に米価に関する件、それから農業関係公共事業に関する件でございますが、本日出席を要求いたしております大臣関係方面に出向いておりますので、いまだ出席がございません。そこで暫時休憩いたしま  す。     午前十一時二十二分休憩      ————◇—————     午後零時四十五分開議
  3. 松浦東介

    松浦委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  農業関係公団整理に関し、主要食糧の問題を議題といたします。この問題につきましては、先般来配給機構需給状況、また中間経費価格等の問題について調査を進めておりますが、引続いて政府当局に対する質疑を行います。通告順によりこれを許します。井上良二君。
  4. 井上良二

    井上(良)委員 政府昭和二十六年度予算編成に伴いまして、二十五年度産米生産者価格並びに消費者価格算定を続けて来ておるようでございますが、今日まで政府関係当局相談をされまして大体一定結論は、もうおよそでき上つておるのではないかと想像されるのでありますが、今年度産米生産者価格並びに消費者価格について、政府が今日まで検討を加えております算定内容について一応当の責任官庁であります物価庁の第二部長の方から、御説明を願いたいと思います。
  5. 長谷川清

    長谷川説明員 今年産米価格決定につきましては、ただいまお話のありましたように、明年度予算編成とも関連いたしまして、政府におきましてもいろいろ研究が進められました結果、現在のところ一応非公式に案をまとめまして、関係方面の内意を伺いつつあるという段階にございます。その内容につきましては、あるいは国際価格を勘案して米価をきめることがよくはないかというような意見もありますし、また限界生産費中心米価考えるべきではないかというような意見もあつたのでありまするが、ただいままとまつております考え方は、従来通りやはりパリテイー計算方式基本といたしまして米価算定する。大体その程度は五千二、三百円で、消費者価格は七千円を上まわらない程度にきめるのが適当ではないかというような線で考えられまして具体的には現在のところ、九月末の農業パリテイー指数が大体一七八といたしまして、その価格が四千八百三十五円であります。そのほかに特別の加算額といたしまして約三百三十六円を加え、それに俵代百九円を加算いたしまして合計五千二百八十円という線で関係方面に意向を伺つておる状態であります。もしこういうふうに生産者価格がきまるということになりますと、消費者価格の点につきましては、かりに来年一月以降改訂するといたしますと、大体四・二、三%の上昇になる計算になります。もちろん中間経費内容等につきましては、さらに詳細に検討する余地が残されておりますので、この数字は必ずしもこれできまるというわけではございませんが、一応明年度予算を編成するにあたりまして中間経費として考えられております経費を積算してやりますと、大体四・二、三%の上昇に相なろうかと思うのであります。ただ具体的に消費者価格を改訂するにあたりましては、御承知のように、最近小麦粉でありますとか、あるいは押麦でありますとかいうような、麦類配給辞退が相当たくさんございますが、そのおもなる原因は、これらの麦製品が米に比較して、消費者価格が高過ぎるということが考えられますので、今回消費者価格を改訂するにあたりましては、従来の比率を若干かえまして、たとえば外米につきましては、従来は内地米と同じに見ておりましたのを、九〇%程度に引下げる、小麦粉は米に対して九五%の比率でありましたのを八五%、押麦は従来九〇%でありましたものを八〇%程度に引下げるというふうな考え方で、プール計算をいたしたいというふうに考えておるのでございまして、もしそういうふうに計算をいたしますと、大体の感じといたしましては、米が約一割前後値上げになりまして、その他の外米小麦粉押麦等は現在の価格をすえ置く程度になる、こういうようなことになろうかと思つております。ただこのパリティ指数は一応の推算でありまして、なおまだこれから若干上るのではないかということが予想されておりますので、そうなりますと、自然若干の数字の異動が出て来るかと思います。現在のところはそういうような状況に相なつております。
  6. 井上良二

    井上(良)委員 大蔵省は国際価格さや寄せをするということを、大体大蔵大臣を初め、事務当局でもそういう意見が非常に強く、かつまた農林省の方でも、すでに従来のパリティー算定方式は今日の米価決定に合理的ではない、こういう立場をとりまして、限界生産者価格算定方式という新しい米価計算方式をとつて本年の産米に対する価格算定したのでありますが、これらの二つを物価庁は全然採用せずに、従来のパリティー方式基本とするという建前は、一つは、そういうことになると、消費者価格へのはね返りが相当大きくなる、こういう一つ考慮から、パリティー方式を採用したのではないかと考えられるのであります。ところが今あなたの御説明になりました、パリティー方式をもつて算定をした場合、これが四千八百三十五円になる。それに特別加算額を加えると——一体特別加算額というものは何か、これこそ政治的な予算を加味した、一つ予算米価といいますか、農民としては納得できない、また消費者としても納得できないが、特別加算額なる新しい一つの、ここに中間的な計算を加えてそこで俵代とともに五千二百八十円という計算を出しているようですが、一体その特別加算額というのは何を指しておるのか、一体何を根拠にしてそういうものを加えているかということを、御説明願いたい。
  7. 長谷川清

    長谷川説明員 従来米価決定いたしますにつきまして、国際価格あるいは生産費計算、あるいはパリティー計算というような、いろいろの考え方がございまするが、そのいずれをとるかという点につきましては、いろいろ御意見があるのでございますが、現在のところ国際価格あるいは生産費計算を用いまするよりは、パリテイー計算方式できめることが、いろいろの観点から適当であろうというところから、パリテイー計算方式を採用するということに相なつたものと考えておるのでございます。今回特につけ加えることになりました特別加算額でございまするが、これは実は御承知のように、従来と申しまするか、本年の消費者価格決定いたしまするときの一つ考え方といたしまして、米麦超過供出奬励金基本価格の二倍程度奬励をしようという考え方があつたのでありますが、麦につきましては、奬励金が二割五分というのが先般決定いたされましたし、また本年の米についての超過供出奬励金も、現在のところでは大体麦と同様に二割五分程度奬励金におちつく見込みでありますので、そうなりますと、農家が一応予想しておりました所得よりも、七割五分程度実質收入減考えられるということになりますので、もしそれを基本米価に織り込むという考え方をとりますれば、その金額が大体三百三、四十円程度のものになろうと考えます。また従来政府は、食糧管理制度を強行して参りまして、農家生産しまする米麦は、すべて政府が一手に買上げておるのでございますが、その一つの報奬的な処置といたしまして、今の早場米奬励金でありますとか、あるいはかつて片山内閣時代には石五十円の奬励金を出したというようなこともございますが、そういうような各種奬励金というものは、大体基本価格の一割程度に相なつておるのでございます。従つて最近の農家経済が、諸般の関係でいろいろ窮迫の方面に向つておるというようなことも考えられますので、なるべく農家所得を維持するという考え方からいたしまして、従来のそういう奬励金のありました場合になるべく近づけるという考え方からいたしまして、基本の米と麦との価格の一割程度奬励金を本年も考えることが適当ではないかというふうに考えたのでございます。御承知のように、米につきましては早場米奬励金約六十億支出を予定しておりますし、また超過供出奬励金は、先ほど申し上げましたように、米麦とも大体二割五分程度のものは考えられますので、その早場米奬励金超過供出奬励金と、それから今回の特別加算額等を合計いたして考えますると、これが大体米麦基本価格の一割程度のものに相なるのでございまして、これによりまして農家所得をなるべく維持しようという考え方に出発したものでございます。
  8. 井上良二

    井上(良)委員 そういたしますと、予算の上では米麦は二倍買上げ予算を組んでおいて——つまり超過供出の分でありますが、実際は二割五分渡しで買い上げる、それでそこに余裕が生じますから、その余裕の生じた分を奬励金の一割くらいに大体相当するではないかというので、特別加算額として二、三百円程度パリテイーから出て来ます基本米価に加えて行くというのですか。
  9. 長谷川清

    長谷川説明員 大体の考え方中心は、終戰後農家各種奬励金として受けました額が、パリテイー価格の一割程度のものがありますので、本年の米麦による農家所得も、その程度のものを維持しようという考え方に基くものでございまして、かたがた従来から農業団体あるいは農民方面より、超過供出奬励金自分たちは二倍程度考えておつたのを、政府がこれを二割五分程度に削減することによつて農家所得が減少するのは非常に困るという意見もございまするので、それらの点をあわせ勘案して考えたものというふうに御了解を願いたいと思います。
  10. 井上良二

    井上(良)委員 私の伺つておりますのは、やはり本年度産米買上げ予算を組まなければならぬ、そこで基本米価でこれだけの石数を買う、それから超過供出ではこれだけ買う、早場奬励金としてこれだけ出すという予算が出て来るわけです。そこで今お話のように特別加算額を加えました価格でもつてなんぼ買うという予算に組むのか、それとも、二倍買上げ超過供出買上げ石数をこれで押えて、それの二倍なら二倍買上げ予算に組んでおいて、しかし実際は二割五分しか買い上げない、そこで余裕金ができた分を基本米価の方へ特別加算額として織り込むのか、この点を聞いておるのです。
  11. 長谷川清

    長谷川説明員 ただいま申し上げました数字は、すべて本年産米価に関して申し上げた数字でございまして、明年度予算を組みます米価につきましては、先ほど申し上げました数字とは若干数字がかわると考えます。しかしながらその予算の組み方は、超過供出奬励金を二倍にするという仕方でなくして、基本価格プラス特別加算額早場米奬励金超過供出奬励金を含めまして、大体一割程度になるという計算予算を組むという考え方でございます。まだこの点は最終的にはきまつたものではございません。ただいまそう考えている次第でございます。
  12. 井上良二

    井上(良)委員 大体今の御答弁で予算的措置についてはわかりましたが、問題は、そういたしますと特別加算額というものは、ひとつの政治的な価格といいますか、予算的な価格の性質を多分に含んでいると解釈できるのではないかと思うのであります。一方われわれの生産農民立場、あるいは消費者立場から考えましても、できるだけその原価計算というものが明確に説明できる算定方式でなければ困る。今のような御説明でございますと、非常にまわりくどい説明をしなければ農民は納得ができないということになるのでありまして、すなわち従来大体二倍買上げをいたしておつたが、それを今年からは二割五分に切下げて、その切下げた分だけを基本米価の方に入れずに、別に特別加算額というわくを設けて、基本米価算定パリティー方式によつてこうだ、そこへ二倍買上げになる分をやめてしまつて、二割五分の買上げだから、その加算がこれだ、こういうような説明をしなければならぬことになると思いますが、そう説明してもいいですか。
  13. 長谷川清

    長谷川説明員 御承知のように、パリテイー計算考え方の裏には、この計算をやることによりまして、農家所得と非農家所得均衡を維持せしめようという考え方があることは、御承知通りでございます。従いまして、われわれが現在やつておりまするパリテイー方式に基く価格考えます場合におきまして、その所得パリテイー的な考え方をなるべく取入れるということが、特に最近の農家経済実情等から考えまして、必要であると考えましての上の算定方法でございまして、ただ單に政治的にこれを考えたいというふうには私は考えておらないのでございます。御了承願いたいと思います。
  14. 井上良二

    井上(良)委員 少くともパリテイー方式が、米価算定の非常に正確なといいますか、また生産農民をして最も納得せしめる一つ算定方法であるという確信に立つてやります場合は、あくまでそれによつて算定すべきであつて、それ以上加算をするという行き方は、何かこのパリテイ方式算定に非常に矛盾があるから、それでは農家生産費をまかなうことができない、農家経済をカバーすることができないから、ここに別な一つ考慮を拂おう。こういう考え方は、計算方法としては正確な計算方法ではないと私どもには考えられる。そこで私は政治的に考慮を拂つているではないか、こういうことを申し上げているのでありますが、と申しますと、結局私はこのパリテイー方式計算方式によつては、今日わが国政府が買い上げようとする三千万石を確信することが非常に困難だ。どうしても生産費を償い、採算を維持するだけの価格をここにきめて行かなければならぬ段階に来ておりはせぬかと私は思うのです。そこではたして農林省が主張しております原価生産費計算方式が正しいか正しくないかということは議論余地があり、かつわれわれが主張しております一定生産費を維持する価格算定方式もいろいろ議論がありますが、ともかくパリテイー方式は今日の段階では頭打ちをしているという感じがいたしますから、こういう計算方式によつて、本年の米価算定するということに、はたして司令部関係方面が全面的に了承するかどうかということに、非常に疑問を持つている。私ども非常に不安に思つている。せつかく五千三百円案がいろいろな努力によつて一応の成案を得ておりますけれども、その根拠が非常に薄弱でありまして、従来のようにパリテイー方式一本で来ているのではないが、納得し得る説明根拠が立てられていないというところに私は非常に不安を持つている。それならいつそのこと農林省が立てておりますように、原価生産方式を採用し、国際価格の動向というものを勘案をしてきめた方が、相手方に対する、いわゆる関係方面に対する折衝としては、自信のある折衝ができはしないかと考えますが、どうですか。
  15. 長谷川清

    長谷川説明員 若干意見がましいことを申し上げまして恐縮でありますが、御承知のように、現在とつておりますパリテイー計算基本米価は、いはゆる自由経済時代における一種の全国平均価格を採用しているわけであります。ところが、最近やつておりますことは、御承知のように、いはゆる食糧管理制度というものによりまして、一手、集配の組織をとつていますので、その点おのずから基準価格に対する考え方はかわるのが本筋ではないか。従いまして、管理制度が強化されるに従つて、あるいは同じく生産費計算をやります場合にも七十五パルクラインぐらいにとる。従来の平均生産費を七十五パルクラインぐらいに引上げるというぐらいの考慮が拂われておりますし、また終戰後パリティー価格につきましても、先ほど申し上げましたように、各種奬励金制度というようなものがあわせ考えられまして、それが一体となつて米価というものが考えられているというふうに考えていいのではないかと思うのであります。従いまして、将来その奬励金というようなものが、食糧管理法の改正に伴い漸次なくなるというようなことが考えられるといたしますれば、従来得ておつた程度所得を維持してやる、こういう考え方は理論的に必ずしも筋が通らないものではないし、またそう考えるのがパリテイー方式の奥にある考え方を生かす道ではないかというふうに考えている次第でございます。
  16. 井上良二

    井上(良)委員 九月七日の予算閣議におきまして、本年の米価算定にあたつて予算米価基本米価一体にして考えようじやないか。そして石当り五千二百円台としようという一つ予算米価というものがここにきめられております。それに対して、今お話のような、農家経済の実態なり、生産その他のことを勘案してある程度加算額をつけよう、こういうことで五千二百円台とするということが一応その予算閣議相談がまとまつておりはせぬかと思います。その上に今お話のような三、三百円の加算額考慮しよう、こういうことに相談が一応まとまつたように承つたのですが、そうじやなかつたのですか。これを承りたい。
  17. 長谷川清

    長谷川説明員 米価に関しまして、安定本部長官農林大臣大蔵大臣の三者の間で会議が行われましたときの話合いの結論は、先ほど申し上げましたように、パリテイー方式中心に、先ほど来申し上げましたような方式によつて出て来ます五千二、三百円の線できめようということがきまつた次第でございます。
  18. 深澤義守

    深澤委員 米価決定にあたつて物価庁は依然としてパリテイー方式を堅持しているようでありますが、問題はこの米価決定基本的な問題としては、日本の一番重大な食糧確保にあると私は考える。従つて農民がこの米価によつて生産費を償い、生産に励むというこのことが、米価決定基準でなくちやならぬとわれわれは考える。ところがあなたの考えは、先ほども説明されているように、他の非農家所得との均衡を保つ意味においてパリテイー方式によつて決定しているのだという御意見を言われているのですが、ここに今日本食糧供出問題にからんで非常に悩みがある。農家自体も、食糧供出するということについては決して反対していないので、結局米価というものが安いために出て来ないのです。そこに問題がある。従つてわれわれは、従来、生産費を償う米価を主張して来た。これは資本主義経済の原則として、費された経費償つて多少利潤があるというところに、結局価格一定基準がなくてはならなぬ。これが行われておらぬから、問題は非常に混乱するのであります。従つてわれわれは本年農林省がこの限界生産費を主張いたしまして、あなた方のパリティー計算と対立して大いに努力したということについては、全国農民が非常に期待しておつたわけです。ところが、結局このパリテイー方式におちついて行くというような傾向にあるわけです。そこで問題は、あなたの考え方は、他の非農家所得との均衡の上において米価をきめるのだという観念、しかし実際の日本食糧確保の問題から考えますならば、生産費を償う米価によつて決定されなければ、この食糧確保は困難であるという問題があるわけです。この生産費を補償するところの米価という問題については、どういう御意見を持つておられますか。この問題が解決しない限りは、日本食糧問題の困難ということは依然として私は続くと思うのです。だからそういう米価形成根本理論一体どこに置かざるべきであるか。生産費の主張はなぜむずかしいか、なぜこれが採用できないのか、その点をひとつお伺いしたいのであります。
  19. 長谷川清

    長谷川説明員 米価に限らず、すべての物価が、その後つくるに要します生産費をカバーするものでなければならないということは、理論的にも原則的にも私たちもそう考えるのでございます。ただ問題は、特にわが国のような非常に経営規模がまちまちである、気候、風土の條件が非常に違つております農業におきましては、どの生産費をとつて全国一本の値段をきめて生産費考えるかという点に、非常に大きな問題があるように考えるのでございまして、先ほど井上委員からお話もありましたように、本年農林省で申しております限界生産費につきましても、いろいろの角度から考えなければ、必ずしもこの限界生産費が最も正しいものであるという結論には、なかなか到達しにくい問題もあるように考えるのでございまして、われわれといたしましても、パリテイー計算米価はきめられておりますけれども、しかしながら同時に農林省等とも連絡をいたしまして、実際の生産費はどの程度のものであろうかということは、しよつちゆう頭に置いてものを考えておるような次第でございます。
  20. 松浦東介

    松浦委員長代理 深澤君に申し上げますが、ただいま通産大臣もお見えになりましたし、長谷川第二部長関係方面に呼ばれておるそうでありますから、ひとつなるべく簡潔にお願いいたします。
  21. 深澤義守

    深澤委員 もう一つ食糧確保の問題、つまり供出確保の問題から考えまして、本年度超過供出価格が、二倍がもし二割五分になりますと、これはおそらく供出上の問題において私は相当大きな問題が起ると思う。これを二割五分にされたということは、全国農民が非常に失望いたします。もう一つの問題は、あなたはこの奬励金特別加算金として基本米価に繰入れて行くのだというぐあいに説明されております。ところが超過供出ができる地帶は全地帶平均ではない。特に早場米を出すところ、あるいはことに單作農家地帶であるところの東北、北陸が非常に多いわけです。この方面農民は、今までも單作農家は非常に苦しんでおる。この方面農民早場米奬励金超過供出代金によつて今までの非常に苦しい農家経済をどうやら保つて来た。ところが今年はこれが基本米価に繰入れられてしまつて、特に單作地帶保護奬励ということはないわけです。そうすると、そういう特別地帶においては、この超過供出が二割五分になつたということによつて、これは農家経済の上に非常に大きな影響を持つと同時に、供出の上にも大きな影響を持つと思う。こういう片手落ちな、片ちんばな状態が起きて来ると思う。この問題についての解決を、どういうぐあいに考えられておるのか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  22. 長谷川清

    長谷川説明員 特別加算額を設定いたしましても、早場米奨励金は今年度は従来通りやはり六十億、明年度につきましても現在のところ三十億程度は支出する考えであります。なお超過供出奨励金の倍率の点でございますが、従来三倍の場合もございますし、去年は二倍を出したのでございますが、これにつきましてはまた別な見方もございまして、ちようどお話になりましたように、これらの恩典に浴する農家は、超過供出をし得る農家だけであつて一般農家にはその恩典が及ばない。むしろこの超過供出奨励金の財源をもつて一般基本米価を上げた方がより適当であるというような御意見も、一般にはあるわけでございます。昨年の米価審議会におきましても、ややそういうふうな考え方が強かつたよう考えるのでありまして、われわれといたしましては、いずれ超過供出奨励金というものは事前割当制度に伴う一つの臨時的措置でございまして、将来は漸次なくなつて行く性質のものであるというふうなことを考えますと、やはり特別加算額と申しますか、そういうようなかつこうにでもいたしまして、基本米価を引上げるという方に使う方が、より適当ではないかと考えておる次第であります。
  23. 井上良二

    井上(良)委員 長谷川第二部長は、本農林委員会が九月十三日に、中間マージンの徹底的削減に関する決議をいたしまして、安本長官に申入れをいたしておりますが、この決議案を見ましたか。
  24. 長谷川清

    長谷川説明員 よく調べてみたいと思います。
  25. 井上良二

    井上(良)委員 九月十三日に決議をいたしましてお送りした書類が、まだかんじんの答弁の責任者の手元に入つてないということは実に遺憾に存じますが、これではここでなんぼ審議をしましたところで、この委員会の意向というものは政府に一向通達できませんから、委員長その点ひとつ政府に、どういう事情でそういうことになつておるか、一応よくお調べを願つて御報告を願いたいと思うのです。私はこれを特に取上げておりますのは、公団小委員会において、いろいろ中間経費の削減について検討をいたして見ますと、食糧管理特別会計が設定されまして、独立採算制が採用されて以来というものは、この会計の中間経費というものは、年々ふえて来ておる形になつておる。その内容は主に運賃とかそれに関連する人件費それから物件費、倉庫料、こういうものに非常に大きな金額が支出されており、金額の大きいのに驚くのじやありませんが、今日一般の輸送の運賃の内容と、政府が下請で出しております日通その他の輸送費の内容と、それから政府保管倉庫の倉庫料と、一般保管倉庫の倉庫料の内容を比べてみると、いずれも二、三割方一般の方は安いのであります。これはすでに経済調査庁の方においても、それぞれその実態を調査されて、農林当局には、これを至急に改正すべしという強い意見書が提出されておる実情であります。私ども現地に参つて調べましても、幾多改正すべき点があるのであります。それから特に当然食糧行政費として分担すべき人件費が、中間経費の中に入つておる。これらはいずれも生産者側の立場から考えましても、消費者立場から考えましても、納得できない中間経費でありますので、この点に対して政府一体どういう検討を加えておるか。本年は相当この間の経費が削減できる、そしてその削減した分を、少くとも生産者価格の引上げなり、消費者価格の引下けの方に、これこれのものは充当できる。という、一つの検討を加えられておるかどうか、この点を一応承つておきたいと思います。
  26. 松浦東介

    松浦委員長代理 ただいまの井上君の九月十三日の本委員会の決議の取扱いに関する件については、まことに遺憾の点もあるようであります。どういう手違いでありますか、これをよく調査の上に御報告いたしたいと思います。
  27. 長谷川清

    長谷川説明員 中間経費の節減の問題につきましては、われわれとしても、従来からきわめてこれに深い関心を持つておるものであります。ただいまお話になりましたように、経済調査の意見等もございまするし、目下経済調査庁、食糧物価庁関係方面でたびたび会合を開きまして、この節減方法について研究を進めておる状態でございます。いずれ明年一月の消費者価格の改訂までには結論を出しまして、米価審議会にも内容をおはかりいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  28. 井上良二

    井上(良)委員 消費者価格中間経費全部が転嫁されるということから、消費者価格の改訂までに検討すればいいという問題ではないと思います。少くとも本年度産米生産者価格をきめます場合に、この中間経費というものは、生産者側でも非常に大きな問題にしておるのでありまして、今あなたが御説明をされました、本年度米価をかりに五千二百八十円と想定をいたしましても、消費者価格は約七千円、この間約一千七百二十円という中間経費がかかつておるのでありまして、かくのごとき尨大な中間経費一体何ゆえかかるのでありましようかということで、これは消費者側のみならず、生産者側でも非常に問題にしておるのであります。だからこそ、この問題は、少くとも本年度産米生産者価格決定し発表いたしますまでに、相当政府の方で緊急にその内容を検討されて、十分生産者側も納得できるような中間経費の圧縮に努力を願いたいと思います。  この際特に私は一言申し上げておきますが、政府は最近食糧管理法の一部を、独断でもつて省令なるものを農林省で出して、末端の配給所並びに卸売を民間に移行する。これは食糧政策上大転換であるにかかわらず、国会の承認も得ずに独断でもつて省令を改正しまして、いよいよこの十月一日から配給所は民間に移行される。そうなりますと、その配給所のマージン及び卸売のマージンが、実は非常に問題になつておりまして、これがまた消費者関係の方でも重大な関心を拂つておるのであります。政府の方では、現在公団がやつて参りました公団経費の占める部分と、民間に移行しました場合のマージンとの開きを一体どうお考えになつておるか。最近暫定措置と思いますが、この十月一日から配給のみが民間に移されるというので、そのマージンを四段階に区分して、平均百五円かに押えておる。もし小売マージンを百五円に押えた場合、卸マージンは何ぼに押えようとしておるか。そしてその両方合せましたマージンが、現在の公団で行つております経費とどうなつておるか、上るのか少くなるのか、この点をこの際一応明らかにしていただきたいと思います。
  29. 長谷川清

    長谷川説明員 食糧配給公団の末端切離しに関連いたしまする配給マージンの考え方でございますが、実はこの十月から小売だけが委託買取りになりまして民間経営に移るのでございます。配給マージンに関しましては、このために消費者価格が上るということはおもしろくないというふうに考えまして、具体的の数字につきましては、今ちよつと持合せがございませんが、現在の配給マージンの範囲内でしばらくやつてもらうという考え方で、食糧庁とも連絡をし、御決定願うように話合いを進めておる状態でございます。将来の買取りになりました場合のマージンをいかにするかという点につきましては、さらに研究を進めたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. 松浦東介

    松浦委員長代理 この問題はいろいろ問題もあるでございましようが、次の機会に譲ることにします。
  31. 松浦東介

    松浦委員長代理 次に農業関係公団整理に関し、肥料問題を議題といたします。平野三郎君。
  32. 平野三郎

    ○平野委員 横尾通産大臣にお尋ねをいたします。最近肥料の輸出に関しまして、あなたが所管しておられる通産省において、きわめて不法な行為が行われておる事件に関しまして、本委員会としては、休会中であるにかかわらず、数回にわたつて審議をいたしておるのでありまするが、この件につきましては、私がここに詳しく申し上げるまでもなく政務次官から、委員会の都度、大臣には詳細に報告してある、こういうお話でありまするから、すでに御承知のことであると思いまするので、その結論だけについてお尋ねを申し上げまするが、この不法な行為を直接行つた通産省の化学局長か、ある官吏が、すでに大臣の手元にも進退伺いを出しておるということでありまするが、大臣としてはどうした処罰をせられたか、またどういうような処罰をせられるお考えでありますか。まずそれを伺います。
  33. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 お答えをする前に、まず私からあやまることがありますので、あやまりをしておきます。ただいまの通産省の課員が、農林省の同意を得ずして輸出の許可をいたしましたことにつきましては、はなはだ申訳ない次第と考えておるのであります。この件に関しましては、私も早く出まして、皆さんに陳謝の意を表するはずでありましたけれども、いろいろの都合で出られませんで政務次官をして私の意をお伝えしておつたのであります。今日も早く出ようと思いましたが、閣議等で来るのがおそくなりまして恐縮でありますが、この件に関しまして、私は農林大臣にも陳謝をいたしまして、農林大臣も今後こういうことを繰返さないようにしてくれ、私も今後こういうことを繰返さないようにいたしますということを、申し上げておいたのでありますが、どうか委員会におきましても、さよう御了承願いたいと思います。当時これに関係いたしました者の処罰につきましては、ある者は他に転ずるような方法をとつておるのであります。その他につきましては、しかるべく処罰をしようというのでございますが、まだ現在のところにおいては、処罰の方法等については漸次話合いをしつつありますけれども、決定はいたしておりません、近き機会において何とか決定して、しかるべく処置をしたいと考えております。さよう御了承願いたいと思います。
  34. 平野三郎

    ○平野委員 そう大臣から頭から陳謝されますと、まことに與党の悲しさで、あまりこれ以上の追究もしかねるのでありますが、しかしこれは大臣が、農林大臣や、あるいは本委員会に陳謝されただけでは、事は済まぬのであります。これは実にわが日本の、四千万農民の重大な利害に影響を與えておるのであります。肥料のメーカーというのは全国に六十人ばかりでありますが、この肥料を消費するところの農民は五百万戸の農家であり、国民の半数以上を占めておるのであります。ひいてはこれは国民の主食全体に影響を與えるのでありまして、すでにけさの朝日新聞にも報ぜられております通り、最近秋肥の肥料価格というものは、非常に強くなつて来ておるのであります。これはむろん貨車のまわりが惡いということもございますし、最近御承知のように、肥料の公団の手持ち肥料を相当程度放出をいたしておりますが、何ら価格影響するところなく、どんどん肥料価格をあおつておる。これはすべて不法輸出に原因しておるのであります。かような重大な、はかり知ることのできないほど、恐るべき国家に対する損害を與えて、しかもこれは一通産省の、まつたく不法な行為に起因しておるのであります。かような重大な政治的問題を惹起した大臣の責任というものは、これはあなたが誠意をもつて陳謝されたことはよく了といたしますが、それだけでは事は済まぬ。どうしてもこれは重大な政治的責任をお感じにならなければならないし、またお感じになつておると信ずるのでありますが、この政治的責任について、あなたはどういう態度をとるお考えですか、その点をお伺いいたします。
  35. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの農家に対して御迷惑をかけておることは、何とも申訳ありません。これに対しましては、私もはなはだその責任の重大さを感じておるのであります。従いまして、私はなるたけ御迷惑のかからぬように、生産を増強いたしまして、そうして農家の御迷惑にならぬように、量並びに価格におきましても、生産を増しますれば、御納得ができ得るようになり得るものと信じますので、それをもつて農民の方に陳謝のかわりといたしたいと考えております。
  36. 平野三郎

    ○平野委員 それでは、肥料増産をして、それをもつて陳謝の誠意を披瀝するというお答えのようでありますが、しからばどういう方法をもつて肥料の増産をおやりになるお考えでありますか、お伺いいたします。
  37. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 各メーカーも増産を今やりつつありますので、ただいまの段階におきましては、さほど御迷惑をかけぬで済むと考えたのであります。これをますます増強の方に進むように督励をいたすつもりでございます。さよう御了承願いたいと思います。
  38. 平野三郎

    ○平野委員 通産大臣は、肥料のことにつきましては、まつたくのしろうとでございますので、まことにお尋ねするのもこちらが気がひけるくらいでありますが、肥料の増産ということは、結局電力の問題にかかるのであります。昨日の本委員会におきましても、政務次官から、今回二万トン程度の不法輸出をしておるのであるが、その分については増産をする。こういうお話であつたが、しからばどういう方法をもつて増産するかと質問をいたしますれば、結局通産省の事務当局の方は、二万トンについての肥料の増産をするということは、それだけの分の電力を供給しなければならぬが、今日の電力事情においては、それは不可能であるという結論で、ただ大臣や政務次官が、そういうふうにしたいという御希望であつても、実行はこれはできぬのであります。従つて、これは抽象的には大いに努力するということは言えますが、実際においては不可能だという結論が出ておるのでありまして、どうかこれは、私はこれ以上追究いたしませんが、大臣としては、とにかく最近の肥料の高騰によつて、また昔のように、肥料を買うために娘を売るというような農家が続出しかけておるということをよく御反省願つて、今後の御処断を願いたい。  さらに私はこの際もう二点ばかりお尋ねいたしたいことは、肥料の不法輸出につきまして、政務次官はあらゆる誠意をもつて、許可を與えておるものに対してもさしとめをするという言明が、本委員会において行われたのでありますが、その後ほとんどその言明が行われてないということは、これは不法な許可であるけれども、それを受けた業者としては正当なものであつて、それを取消すことはできないという解釈によつて、結局ただ何とか輸出をとりやめてくれということを、通産省の方から頼んだだけである。頼んだだけでは、業者は商売人でありますから、損の行くようなことは承知いたしません。従つてどんどん輸出しておるのでありますが、しかしこれに対して、外国為替管理法第五十一條に、通産大臣は緊急必要ありと認める場合は、その船積みを一箇月延期することができるという権限が與えられておるのであります。本委員会としては、少くも通産省がそれだけの誠意をもつて、船積みのさしとめをするという言明をいたしましたならば、この法的権限を発動するということは当然じやないか。そのくらいの誠意を示してもらいたいという要望をいたしたにかかわらず、遂にこの法律の発動がなかつたのでありまするが、これは通産大臣は、本件の場合におきましては、この法律を発動する必要がなかつた。すなわち本件の場合は、緊急を要するものと認めなかつたというように御解釈になつたかどうか。その点を伺いたい。
  39. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまのお話の五十一條でございますが、それについては、私は国際信用上、国際貿易の関係上、これを大臣がさしとめるということは、非常な影響を與える、こう考えましたので、なるたけ商社をして、好意的に船積みをしないように要望したのでございます。不幸にして一万トンというものが船積みされたということは、これは国際信用の保持の上においてやつたということに御了承願いたいと思うのであります。従いまして、手持の公団の肥料を早急に放出いたすことによりまして、それを補うことにいたしたということに御了承願いたいと思います。
  40. 平野三郎

    ○平野委員 それでは続いて今後の問題についてお尋ねいたしますが、今般まことに遺憾ながら数万トンのものを不法輸出せられたのでありますが、現在の肥料事情におきまして、通産大臣としては、肥料の輸出は可能であるかあるいは不可能であるか、この点につきまして、そのお考えを承つておきたいのであります。これは再三の事務当局の御説明によれば、肥料の問題は、要するに肥料の需給バランスの問題でありまして、本年度の見通しとしては供給が二百三十六万トン、これはもちろん生産の百八十万トンのほかに公団の手持分を合せての話でありますが、これに対して農家の需要は、農林省としては二百十五万トンを要求しておる。従つてそこに十五万トンくらいの開きがある。この程度の事情をもつてしては、輸出が不可能だということはあまりにも明々白々のことであり、昨日来、安本当局も不可能であるということをはつきり言明せられたのでありますが、その不可能であるという状況は、先般輸出をされたときと今日と少しもかわつていないにかかわらず、輸出をされたことについては、安本としてははなはだ遺憾であつたという意思の表明があつたのでありますが、通産大臣としてはこれをいかに考えられるか。今後ますます輸出をされるというお考えなのかどうか。私は特に大臣に御注意を申し上げておきたいことは、今日輸出の可能性がないということは常識である。しかしながらおそらく最近の朝鮮の事情あるいは台湾、沖繩等の関係から申しまして、日本の輸出が経済的に可能であるかどうかということは別問題として、命令によつておそらく相当程度のものを輸出しなければならぬ状況にあるのであります。これは、政府としては当然計算に入れておかなければならないことなのです。そういうものを含めて考えなければならないのでありますから、今の朝鮮、台湾、沖繩というやむを得ざる方面以外の方面に今後輸出をするということは——もちろん遠い将来、肥料の生産が増加いたしまして、十分に輸出できるという状況になれば、これはもちろんわれわれとしても進んで輸出をしていただきたいということをお願いするくらいでありますが、まず本年度内の見通しの段階におきまして通産大臣は、今後輸出をおやりになる御意思があるかどうか、その点を伺いたい。
  41. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたします。私は農家の方々に御迷惑をかけてまでは、輸出はしたくないという腹であります。しかしながらわが国はなるだけ輸出貿易をやりませんと、国家に要する原料も買うことができないということは御存じの通りでありますので、通産省としては、なるだけ余裕のある範囲において輸出を増して行くということが、一番やらなければならぬことじやなかろうかと思います。しかしながら先刻もお話いたしますように、日本の需要を欠いてまでということは、これは考えるべきことだと思います。この点に関しましては、安本並びに農林省とよく相談をしてやつて行きたいと思いますので、さよう御了承を願います。
  42. 松浦東介

    松浦委員長代理 平野君に申し上げますが、二時から経済閣僚の懇談会がありますから、大臣に対する質疑はひとつ大綱だけ、簡潔に願います。
  43. 平野三郎

    ○平野委員 あと二、三分簡潔にお尋ねいたしますが、ただいまの問題はそういう抽象的な問題じやないのです。つまり本年度の需要は二百十五万トン、これは絶対的なものです。これはあなたも言われるように、農家に迷惑をかけては出さぬというお話であつたのですが、二百十五万トンという数字は絶対的の数字である。供給の方は、電力の事情その他によつて多少の増減はありましようが、二百三十万トンとすると、十五万トンくらいしか余裕がない。そうすると、これは普通の持越数量としては不足する数量である。しかも先ほど私が申しましたように、絶対のやむを得ざる命令を予想される輸出数量があり得るのだということになれば、これは絶対できないということは数字の上で明らかになつておる。でありますから通産省としては——もちろんこれは安本、農林省が同意するかどうかは別として、本年度内は今のように單独でどんどん輸出するということのないことを、はつきり御明言願いたいと思います。  さらにもう一点だけつけ加えて私の質問を打切りますが、かような不祥事件が生ずるということは、結局肥料行政が大体通産大臣の專管にある。農林大臣はほんの高みの見物だという状況にあるから、かような失態が起るのであつて、いつもこれは——肥料のメーカーは、先ほど申しますように、わずか六十名足らずである。さらにこれを消費するものは全国四千万、五千万の農民である。民主主義の時代において、多数の利益のために政治が行わるべきが当然である。私はこれは農林大臣が專管をして、通産大臣にも同意を求めることができるくらいにするのが適当であつて、いずれ国会としても、来るべき臨時国会並びに通常国会に、これを改正いたしたいということを考えておるのであります。おそらくあなたも、單に通産大臣としてだけでなく、吉田内閣の閣僚とし、また日本の国民として冷静にお考えになれば、これは自分がこれらの重大な肥料行政を通産省で專管するのはいかぬのだ、進んで農林省の方にやつてもらつた方がいいのだというお考えになつておられる、またなられるのが当然であるというふうに私は考えるのでありますが、この点についてあなたの御心境を伺つて、私の質問を打切りたいと思います。
  44. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 重ねて申し上げます。手続上誤つたことは私の方の省でありましたので、これは極力再びせざることを確約したいくらいに考えておるのであります。但し製造を農林省に移すかというお話でありますが、私は日本の工業は一貫したるところにおいて監督指導することがいいと考えておりますので、ただいまのお説には、はなはだ遺憾ながら御賛成をいたしかねることをご了承願いたいと思います。
  45. 井上良二

    井上(良)委員 一番大事な点はすでに論議もされておりますから、くどくどしく申し上げる必要はないですが、要は通産大臣が部下の監督が足りなんだと申しますか、またそんな部下を使つてつた責任をあなたはお考えにならなければいかぬと思う。御存じの通り、この国内需要供給の関係からかりに上まわつたとしまして、これを外国に輸出する場合になりましたときには、当然あなたのやはり了解を得、あなたの指示を受ける。あなたの名前で許可書を出す以上は、少くともこういう行為をいたしますということを一応あなたに書類伺いなり、口頭で伝達するなり、何かの処置をとるべきである。それを全然やつてない。まつたくあなたはつんぼさじきにおつた。こういうことに事態はなつているわけです。しかしそんならあなたには何の責任もないかというと、そうは行かぬ。あなたみずからも言われておる通り、国際信用上重大な問題になるから、取消しはちよつと困る。しかしその出した文書というものは一種の偽造の文書である。あなた自身がそれを全然知らなんだし、またあなたの名前をかつてに使つて、そういうことをやつておることを一向知らなんだ。それはどうも相済まなんだということで、一体これが済まされますか。そういう大事な仕事をまかす人は、あなたとしても十分信用し、またあなたとも連絡がとれ、これならこれだけの仕事をまかせておいても心配がないというところで、あなたの判を預けるのである。あなたの判をつかずに、課長なら課長だけの判でかつてにやつておるのならいいのです。少くともあなたの承認を得なければ輸出許可はできないということになつている。そのあなたが皆目事情を知らぬ。これはあなたは大きな政治的な責任を負わなければならぬと思うのですが、その部下の手落ちだけを責めて、自分たちの監督の不行届については何ら責任を負わぬ。これではちよつと通りません。これをどうお考えですか。
  46. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 御返事いたします。私も責任を痛感しておるものであります。部下に対しましてのみ責めるのではなくして、私自身も自責の念にかられております。従いまして、今後はさようなことを起さないように事務を見て行きたいと考えておるのであります。さよう御了承願います。
  47. 井上良二

    井上(良)委員 私はくどく申し上げませんが、これが他の業務失態とか何とかいうくらいでございますならば、それはそこまで目が届かなかつたから、あしからずということで済むかもわかりませんけれども、事態は日本農業生産全体の上に、重大な影響を経済的にも精神的にも與えておる。そしてまた一方この問題が、わが国の貿易の上にも重大な一つの大きな問題を生んでおるわけであります。そういう大きな問題を惹起しておつて、それであなたみずからは、まことに遺憾でございました、今後は十分注意しますと言われるが、そういうことではいけません。少くとも責任の所在はやはり明らかにして、あなた自身が責任を負うなら負うということで、負うことを明確にしなければなりません。どろぼうはやりましたけれども、今後やりませんからひとつあしからず、これでは天下は通りません。やつたことは悪いのです。あなたの部下の監督の不行届きということはあなたの責任なのだから、その責任を明らかにしたらいい。それを、まあひとつ悪く思うな、今後はひとつ注意するからということは、人の頭をぶんなぐつて、今後はなぐらぬからかんにんしてくれということと同じです。なぐつた行為については責任を負わなければいけません。そのことを聞いておる。今後のことをどうこう言つておるのではない。この起つた責任について、あなたはどう処置されるか。当の責任者は一体現在の仕事につかしておくのか、それとも部署をかえるのか、これも明らかになつておりません。そういう点を明確にされたい。
  48. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私も先ほど申しますように、責任は痛感しております。それから該当の人は今転勤をするようにやりつつありますが、手続等がございますから多少遅れておると思います。
  49. 井上良二

    井上(良)委員 平野委員の質問に対しまして農林大臣の許可を得ずに輸出許可を與えました件につきましては、遺憾ながら国際信用上これを取消すことができない、こういうことを弁明されておる。国内の食糧増産及び農民経済の全体に與える影響が大きいか、これを取消すことによる国際信用の失墜が大きいか、どちらが一体大臣は大きいとお考えになりますか。
  50. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私はどちらも軽重はないと思いますが、しかしながら先刻お話いたしましたように、約二万トンでございますか、それくらいでありましたか——くらいというとまたおしかりをこうむるかもしれませんが、公団の手持も相当あるから、それをもつてつたら、大して御迷惑をかけぬでもよいという私の考えのもとにやつたのでありますから、さよう御了承願います。
  51. 松浦東介

    松浦委員長代理 皆さん方に申し上げますけれども、あとの農業関係公共事業に関する件に関して、大蔵省の河野主計局長が見えておりますが、二時半から関係筋に呼ばれておるそうでありますし、なお横尾通産大臣も先ほど申し上げましたように、二時から経済閣僚の懇談会があるようでありますから、なるべく質問は簡潔に、大綱だけをお願いいたします。
  52. 河野謙三

    河野(謙)委員 委員長に前もつてお断りしておきますが、私は簡潔に質問しますけれども、お答えがもし不明瞭であれば、その結果時間の延びるのはお許し願いたい。きのうは実は通産大臣を三時までということで、四時まで待つたが来なかつた通産大臣も待たせるだけの用が他にあつただろうが、その点もお考えになつて通産大臣は時間を早く切り上げたかつたら、明確に御答弁願いたい。  まず私の伺いたいことは、今回起りました手続の違反ということについては、これは單なる手続の違反について責任を感じておられるのか、これによつて出ました二万数千トンの肥料そのものの数量についても、非常に遺憾であつたということをあわせて責任を感じておられるのか、その点を伺いたい。
  53. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 量と手続に対して遺憾を感じております。
  54. 河野謙三

    河野(謙)委員 量について遺憾であつたということはとりも直さず、肥料が外国に輸出するほどなかつたのにかかわらず出してしまつた。要するに、通産大臣は国内の肥料需給関係において逼迫しておるということを前提とされての御意見でございますか。
  55. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私はさほど国内の需給に逼迫を来さないという考えであつたのであります。また公団の手持もありますので、それで補いができやせぬか。しかしながら少数だから手続は惡くてもいい、多数だからどうということでなしに、手続を誤つたことと数量と、両方の責任を感じて遺憾であつたと申し上げておるのであります。
  56. 河野謙三

    河野(謙)委員 量そのものについて遺憾であつたということについてはどういう点であつたのですか。
  57. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 少いから遺憾でないということじやなしに、出したことに対して遺憾であつた、こう申し上げておるのであります。
  58. 河野謙三

    河野(謙)委員 出したことについて遺憾であつたということは、手続が遺憾であつたということで、量そのものが遺憾であつたということを意味しない。私はどこまでも量そのものについても責任を感じておるということは、肥料の需給関係からいつて、出すべき事態でないのに出したそのことが遺憾であつた、こういうふうに解されるのですが、その点は率直にお答え願いたい。私は言葉は荒いのですが、気はいいのでございますから、もう少し肩を楽にして御答弁願いたい。
  59. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 先刻申し上げました二万トン近くの公団の手持がございますので、それで補うことができるという考えでありましたから、逼迫という点においてはそう深く考えなかつたのであります。しかしながら先ほど申し上げましたように、少く出したから手続が間違つていいか、よけい出したから手続が間違つたのは遺憾であつたというように、手続には数字関係を加味しないということを御了承願います。
  60. 河野謙三

    河野(謙)委員 どうも明瞭でありませんが、公団の手持もあるから、その程度のものだつたらよかつた、数量の程度においても大して支障はなかつたという御答弁のようでありますが、なぜそれならば、二万数千トン穴を明けた。それで十月、十一月において、他の産業の電力までももぎとつて増産計画をあなたたちは立てられたか。あなたたちがこの問題が起つたあとに、二万数千トンのものを他の産業の電力までももぎとつて、増産計画を立てられたということは、少いものをやみ輸出してしまつて、まことに申訳ないからさつそく埋合せをする、こういうことです。これはとりも直さず、通産省は口ではどう言つても、行為の上において、少いものを出してしまつて申訳ないから、すぐその埋合せをするということをやつておるのではないか。この点についてもう一ぺん御答弁願いたい。
  61. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 今のお話の量を補給したということは、これは多少にかかわらず、出したことが皆さんに御迷惑になつてはいかぬから、あとからすぐ出したくらいのものを補給したいという意味において、増産を要望したのであります。
  62. 河野謙三

    河野(謙)委員 それは少し詭弁です。何も迷惑はかからないのです。あなたのおつしやるように、数量が、とにかく公団の手持があつて、二万数千トンのものはどこにも支障がないというならば、何も他の産業まで圧迫して、肥料の増産計画を立てる必要はない。どこかに迷惑をかけてまでやるということは、とりもなおさず、私が今申し上げますように、少いものを出してしまつたからということを、あなた方の行為の上において示されておる。私はそう思いますが、そうじやありませんか。
  63. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 先刻から申し上げますように、私はそうは考えないのであります。
  64. 河野謙三

    河野(謙)委員 しからば時間の関係があるから、遺憾ながら後日に譲りまして次に移りますが、この二万数千トンのものは、あなたも御商売人でよく御承知のはずであるが、二万数千トンで終つていない。これが日本の農村の肥料市価に影響するところは、二万数千トンが二十万トンになり、四十万トンの数量に影響しておる。と申し上げますことは、通産省が輸出の態勢をとつた、あなたの部下がぽんぽんと許可証に判を押すということは、業者は單に二万トンだけ輸出が許可になつて、あとは許可にならないということは考えていなかつた。それが証拠には、こまかいことでありますけれども、民間のメーカーはどういう態勢をとつたか、輸出が今後ますます盛んになるというので、容器の麻袋を買いあさつた。この輸出の麻袋を肥料会社が買上げをするために、市価が一枚で実に五十円も上つておる。この事実は、二万トンが二万トンに終つていないということなのです。これはあなたは御商売でよくわかるはずです。こういうふうな大きな影響があつたのであります。でありますから、私はその意味において、あなたは責任を痛感されておる、こういうふうに考えるのですが、そこまでお気づきになつておりませんか。
  65. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの麻袋の話でありますが、私は麻袋の上つたのは、肥料もありましようけれども、特需のために上つたように聞いておりましたので、その点はあなたの今おつしやつたようにまで深く痛感はしていなかつたのであります。あるいは私のあやまつた観察であつたかもしれませんが、さように御了承願います。
  66. 河野謙三

    河野(謙)委員 私は麻袋のことは一つの例なのです。話が出たから言いますけれども、麻袋が特需で上つたのは間違いまりません。それは一箇月ほど前です。その後において肥料の需要で上つた。肥料で上つた分が五十円である。その前に上つておる。私はこの二万トンのものが非常に大きく、二十万トンになり、四十万トンの数量となつて働いて、内地の肥料の需給関係を逼迫させて、市価を上げた、こういうことになつておると思うのですが、こういう事実はお認めにならぬかどうか。
  67. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 価格の問題は、はつきり私はわからなかつたのですが、今聞きますと安くなつているような模様であります。
  68. 河野謙三

    河野(謙)委員 大臣は少くとも毎日朝の新聞は必ずお読みになると思う。きようの朝日新聞に、老眼鏡をかけなくともはつきりわかるように、大きく秋肥の市価は強調という題で出ておる。その理由として何と書いてあるか。肥料の輸送が困難であることが第一。第二には日台協定の二十五万トンの硫安の輸出がやや確実性があるということによつて、肥料は七百円まで下つたものが、七百十五円まで上つた、こういう記事がある。要するにこの輸出の問題は、政府が今後の態度について明確でないために市価は上つておる。下つたという事実があれば、私は上つたという事実をここでお見せします。新聞が責任を持てないというならば、私は上つたという事実をお見せします。そういう秋肥を控えて、たださえ肥料が高くて農民が困つている。その際に上るとは何事であるか。どういうわけで上つたか。政府の態度が悪いから上つた。肥料は決して自由販売でない。輸出貿易管理令によつて輸出に制限を與える権利がある。一方公団は八十数万トンの肥料を持つている。これで一箇年の数量は需給調整ができる。公団の八十万トンの肥料と、輸出貿易管理令による制限、これによつて、いかに、形式は自由販売になつておりましても、向う一箇年は政府の責任において需給調節、価格の調整はできる。しかも権力を持つておる政府が、権力の行使がまずいために、この秋肥の最盛期に肥料が上つておる。しかも七百十五円というものは、あなた方とわれわれと責任をわかち合つておる自由党の主張ではありません。この機会に私は申し上げますけれども、党と政府の間は一体であります。党と政府は今までいかなる主張をしたか。肥料の統制を撤廃した後においては、五割ないし五割五分というところに肥料の市価を安定させる。しかもこれは單なる目見当のものでない。合理的にそこに行き得るということで肥料の統制撤廃をした。これは政府も党も共同責任です。しかも今の七百円がすでに六割近くになつておる。まだ五割台になつていない。それがまた逆に七百十五円になつたということは、政府の施策が悪いからである。これについて一体通産大臣はどうお考えになりますか。
  69. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 今日の新聞について私はよく存じませんでしたが、先刻聞きましたのは、その当時の価格でなかつたかと思いますので、これは私は訂正いたします。  それから秋肥に対する今のお話でありますが、これは先刻から申し上げますように、内需の不足しないように生産も増強させ、御迷惑をかけないようにしてやつて行きたいという考えでありますから、さよう御了承願います。
  70. 河野謙三

    河野(謙)委員 秋の肥料は、あと半月で大体勝負がきまつてしまう。今に今にといつているうちに死んじやつたものがあるから、死なないうちにやつてもらわないと困る。今の秋肥の最盛期において、これこそ政府があらゆる施策を講じて、肥料価格を安定させるときであります。私は手続の違反の問題を決してどうでもよいとは言いません。これも重大でありますけれども、これを契機として、政府の肥料に対する態度をはつきりしなければいかぬ、こういうことを私は特に強調しているわけです。一体七百十五円というような価格が妥当であるどかうかという政府の御見解を伺いたい。同時にこの七百十五円というものは、国内の肥料の需給関係から生まれた数字であります。相場というものは、需給の関係から生まれることは、御存じの通りです。七百十五円が高い。それをもつと下げるためにはどうしたらよいか。まず第一に輸出を抑制しなければいかぬという結論になると思いますが、輸出の問題の是非を伺う前に、七百十五円という相場が、一体通産大臣として適当であるかどうかということを伺いたいと思います。
  71. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの価格の問題であります。これは私は現在において適当であるか適当でないかという判断は、実は苦んでおるのであります。
  72. 河野謙三

    河野(謙)委員 肥料行政を担当して、しかも先ほど申し上げますように、政府がこれを管理するだけの実力を持つておりながら、実力を持つている人が、いかなる価格が妥当であるかというそのものさしを持たないで、はたして肥料行政を担当する資格があるかないかということを、私は非常に疑問に思う。疑問どころではなく、資格はない。もう少しこの際御勉強をいただきたいと思う。このごろの競輪の問題とか、日発の問題とか、そういうことで御多忙のことはお察しております。しかしあなたが担当しておられる行政部門の中で、肥料部門というものは決して小さいものでない。化学局の中に肥料部というものが独立してある。この組織そのものを見ても、肥料が重大であるということはよくわかつておるはずである。しかもどうも伺つておりますと、大体肥料行政を握らなければいかぬというような主張をされておる通産省が、値段がどの辺が妥当であるか知らないで、どうして肥料行政ができるか。この機会に肥料行政について、もう少し大臣は深い関心を持つてもらいたい。そういうような関心を持たれないから、部下がああいうやみ輸出をやる。私はこの点は将来について十分嚴重なる関心を持つていただきたいということを希望します。  最後に肥料行政の問題ですが、先ほど他の委員の御質問に対するお答えによりますと、一つのところでやつておる方がよいから、今のままがよい、こう言う。一つのものなら、生産と配給と——今は配給じやありませんけれども、これを一つにするのが一番いい。これを別々にしておく必要はないのです。あなたの理想の一箇所でやるのがいいということは、肥料行政を一元化することだ。これについてどうお考えになるか。
  73. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私は生産を一箇所で指導して行くことがいいと申し上げたので、一貫ということを申し上げたのでないということを御了承願いたい。
  74. 河野謙三

    河野(謙)委員 生産だけを一貫して配給の方を別にしておくということがいいとおつしやるのですか。生産も配給も一緒にした方がなおいいのじやないか。その点を伺いたい。
  75. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 私は配給は別にいたしましても、生産行政を一貫しておいた方がいいという考えを持つております。
  76. 河野謙三

    河野(謙)委員 それでは私は申し上げますけれども、やはり自由党におられたら、少し自由党の過去の歴史を調べてもらいたいと思う。第二次吉田内閣のときに、閣議で肥料行政を一元化するということを決定した事実を私は聞いております。第二次吉田内閣ですよ。芦田さんや片山さんの内閣ではないのですよ。第二次吉田内閣のときに、そういうことを決定したという事実を私は聞いておる。そのときに閣議の決定の事実がどうしてくつがえつたかと申しますと、当時の通産省の肥料課長でしたか、またその下の事務官がある力にすがつてこれをくつがえしたという事実がある。今の吉田さんと第二次吉田内閣の吉田さんとは同じ人なんだ。この吉田内閣のもとにおいて、そういうふうに私はいろいろとかわるはずはないと思う。ほかの党派なら知りませんけれども、吉田さんの内閣、また自由党にはそういう歴史があるのです。これが今ここでただちにお答えをいただけなければ、よくその過去のこともお調べになつて、肥料行政の問題はあなたがたまたま通産省におられるから、通産省から話せない。肥料行政についてそういうけちくさいことを大臣が言つていてはだめです。先ほど申し上げますように、これは議論じなない。二元行政の問題は是か非かというのは議論じやない。この二元行政の結果がこういう手続違反になり、やみ輸出が起り、また肥料価格についてもこういう不明確な問題が起り、ひいては農民に迷惑を與えている。こういう結果になつている。この弊害たるや実にこれは数知れないほど出ている。今までの肥料行政が二元化されて以来の歴史をひとつお調べになつたらわかる。通産省の人は何をしたか。これは立場上やむを得なかつたかもしれませんけれども、統制時代においても、一にも二にもメーカーとくつついて、肥料の値上げを画策いたしたほかに何もないではありませんか。こういう事実をよくお調べになつて、肥料行政の問題については、通産省とか農林省とかいう立場を離れてひとつ勉強してもらいたいと思う。私たちはたまたま農林委員会におりますけれども、農民に安い肥料さえやればいいという、そんなけちなことは考えていない。将来肥料産業を輸出工業にまで育成しなければならぬ、そういう国策を立てなければいかぬくらいはよく承知している。しばしば農林委員会もその意見を発表しておる。私初めほかの委員も、農民に安い肥料さえやれば肥料工業はどうなつてもいいというような議論を吐いた人は一人もいない。もう少し通産省の方も、大きな気持で肥料行政を考えてもらわなければ困ると思う。この点について、今のままがいいとおつしやいましたけれども、私が今申し上げた経過から見て、そうであつたならその方がいいかなということになつたら、もう一度お考えの結果を御答弁願いたい。
  77. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 今いろいろ歴史その他のことを伺いましてありがとうございます。よく私もその点を調べましてどういうふうになつておるかを見てみたいと思います。
  78. 河野謙三

    河野(謙)委員 それから大臣は初めてお見えになつたのですが、今まで当委員会において、今度の手続違反の問題についていろいろ書類を要求いたし、また当委員会においていろいろ御説明をいただきましたが、きわめてあいまいであるのです。また日によつて御答弁が違うというようなことで、遺憾ながら、この農林委員会におきますところの輸出肥料の小委員会は継続することになつておりまするが、今後部下を十分監督されて、正直に、誤りのない資料を御提出願いたいと思います。たとえば先ほど五十一條の問題について話があつたと思いますけれども、なるほど国際間の取引でありますから、国際信用の問題から取消すことが困難であつたかもしれません。私もそれはある程度了解します。しかしその輸出の契約たるや、もしインチキの契約だつたらどうするのですか。私は聞いておる。思或輸出が相当あるという。あなたの方に輸出の許可を持つて行く場合に、書類が完備してない。その書類は必ず外国の商社との取引の内容、内地のメーカーとの取引の内容、これを添えて輸出許可をとるわけです。正直にそういうふうにやつている人もあるかと思うと、いきなり顔で行つて、あなたの方の今度の事件の人の所に行つて、書類の完備しないものを、思惑的に先に判をもらつた。こういうのがあるのです。そういう思惑のものはあなたの方で調べたらすぐわかる。これは労せずして取消しができる。あなたがそういうものをもし取消しができないで、あの問題が起つて以来出ていたとしたらどうするか。こういう問題をもし発見したとしたらどうするか。この場合には大臣はどうされますか。同時に今この席で、そういう問題は今まで調査したところ絶対ありません、こういうふうにおつしやいますか。その点のところはどうでありますか。
  79. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいまの、調査書類が不完備であつたということでありますが、よく調べまして、現に明後日ですか、調査書類をこちらから出すようになつておるのがありますから、それと関連いたしまして、誤りないものを差上げることにいたしたいと思います。
  80. 河野謙三

    河野(謙)委員 今度こそ最後ですが、今まで統制を、撤廃した以後の経過を見ますと、たとえば自由の市場におきましては、品物が工場にありながら消費地に届かない。また時期的に数量の調節ができない、いろいろな問題が起つております。そこで私はこのわずかな自由になりました過去二箇月半くらいの経過から見て、肥料は、一般の物資と違いまして、米の価格の中に一割七分も二割も影響するようなものでありますから、特にこれは政府みずから今後において需給調整法的なものをつくつてやらなければならぬ、かように思いますが、政府においてさようなことをお考えになつておるか。またさような準備があるか。もし準備がなくてもお考えだけはさようなことを必要とされる、こういうふうなお考えであるか、これを伺いたいと思います。
  81. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 ただいま需給調整の考えがあるかと言われたが、ただいまのところはありません。またよく需給のことに対しましては、農林省とも相談いたしましてやつて行きたいと思うのであります。ただいまのお話のように、各所に肥料の届かない所があるようでありますので、よく調べまして、そういうことのないように努力したいと思います。
  82. 河野謙三

    河野(謙)委員 大臣よりも私の方が党の方はちよつと先輩でございますが、自由党としては、肥料は統制撤廃後におきましては、あらためて需給調整法を制定して、これによつてやるという党の方針が決定しております。でありますから、党と責任をともにするところの大臣におかれましても、さような今後研究するというのではなくて、党人としての大臣意見を同じくしなければへんであります。でありますから、この点をひとつつけ加えておきたい。これで質問を終ります。
  83. 横尾龍

    ○横尾国務大臣 肥料問題に関しましては手続の誤りでありまして、そしていろいろと御迷惑をかけたことに対して、重ねて陳謝をいたしておきます。
  84. 松浦東介

    松浦委員長代理 横尾通産大臣に対しての肥料問題に対する質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  85. 松浦東介

    松浦委員長代理 次に農業関係公共事業に関する件を議題といたします。  まず来年度の公共事業費の問題等について質疑を行います。井上良二君。
  86. 井上良二

    井上(良)委員 大蔵大臣が来ておりませんから、主計局長に伺うのですが、二十六年度一般公共事業費のうちに占めます農業公共事業費の予算につきまして、本委員会といたしましては特に公共事業小委員会なるものを設けまして、政府が朝鮮動乱をめぐる国際情勢の変化にかんがみまして、明るい食生活を立てるために、また日本国民経済全体を確立いたしますために、今後少くとも農林公共事業費予算は、他のあらゆるものを犠牲にいたしましても、この際政府においては特に考慮を拂つて、相当額の増額を行う必要のあることを認め、特に本年農林公共事業予算として一千六十六億円を必要とすることを本委員会は決定いたしております。ところが最近経済安定本部並びに大蔵省の関係において、いろいろ検討を加えております内容を伺いますと、一般公共事業費の六百四十億のうちで農林公共事業費の占むる分はわずかに百二十五億、これを昨年度の公共事業費に比較いたしますと、昨年度は全体との割合は二〇・八%でありましたものが、今年このままもしきまるということになりますならば、一九・六%ということで、昨年よりもはるかに下まわつた金額になるのであります。これでは農林省考えております食糧増産、また国際情勢をめぐりますところのわが国食糧自給態勢、こういうもろもろの見地から考えまして、とうていかくのごとき少額の公共事業予算では、満足な事業は遂行できないという事態に立ち至つておるのでありますが、大蔵当局といたしましては、一体農林関係公共事業費の計上について、どういう方針をお持ちになつておりますか、この際事務当局の責任者である主計局長に伺いたいと思います。
  87. 河野一之

    河野説明員 公共事業費の明年度予算でありますが、五千九百八十億の予算を組んでおります。その中、営繕その他の分も含めて、広い意味の公共事業費が千二百億円ありますが、治山治水とか、今井上さんのおつしやるような農林土木費というものは千六十六億であります。でありまして、この内容をどういうふうにきめるか、農林関係あるいは河川その他の関係をどういうふうにするか、これは目下安定本部を中心といたしましていろいろ協議しておるわけでありまして、まだ確定的なものではございませんので、どういう内容を持つたものかということを申し上げる段階にないことを御了承願います。
  88. 井上良二

    井上(良)委員 もちろん公共事業費の按分については、経済安定本部が中心になつて行うのでありますが、ところが経済安定本部が一応案を策定いたしました分を、さらに大蔵省において査定をいたしまして、そこで経済安定本部の策定いたしました分よりも多くなればいいけれども、ことごとくこれが削減をされてる実情でありまして、この点から考えまして、單にあなたは、経済安定本部が按分をきめるから、今この際この数字がどうなるということについては申し上げられない。こういうのでありますが、ところがさきにも申します通り、本年、担当各省から要求いたしておりまする要求額に経済安定本部が査定をいたします。その査定についてさらに大蔵省としては、それぞれまた大蔵省独自の査定を別にいたしておる実情であります。従つて大蔵省が農林省所管の農林関係公共事業費に対してどういう考え方を持つておるかということを、一応説明してもらわないと、われわれとしては、大蔵省が財布のひもを握つておりますから、経済安定本部がいかに、この公共事業が重要なる事業であるからと査定をいたしましても、大蔵省がそういうことは認められぬ、こういうことになつたならば、ただちにひつくり返るのでありまして、そこであなた自身予算の元締めでありますから、そこで農林関係公共事業費について、一体どういう考え方を持つておるか、特に農林省として要求しておりまする案に対して、どういう考え方を持つておるかということを、この際伺つておきたいと思います。
  89. 河野一之

    河野説明員 各省は公共事業費については三千五百七十億くらいの要求ではないかと思いますが、これは安本に出されております。それから安本から千三百億ばかりの数字で御要求があつたのでありますが、財政全体の状況から考えまして、千六十数億という金になつたわけであります。もちろん千六十六億という数字の基礎になるようなものにつきましては、予算の編成の当局としては、一応考え方はきめております。これは編成上の考え方でありまして、また閣議において協議して最終的にきまるわけであります。ただ大蔵省として、どういうふうなつもりでやつたかという事務的なこととしてお話申し上げますれば、まず災害の対策に重点を置きたい。これは災害と申しましても河川、砂防等もございますが、農林災害についても相当従来から被害が多いのでありまして、これに重点を置く。それから造林ということも災害の副次対策というようなものでありまして、最近の状況におきましては、たしか末造林地が十七万何千町歩かあつたと思います。これを五年くらいで急速にやつて行くというふうなことを考えております。  その次は開拓関係でありますが、この問題につきましては、従来これには国営のものもありますし、代行のものもあるわけでありますが、至るところに手をつけて、そうして予算が足りなくて中途半端になつてしまう、あるいは休廃しておるものもあります。たとえば代行地区で申しますれば、百七十地区の三分の一ぐらい休廃しておるような状態であります。原則として、今手をつけておるものを早急に完成して行くということを重点にしてやつて行く。場所もいろいろございますけれども、中には戰後における急速な緊急開拓というようなことで、国土保全の上から言つてどうであろうかというような開拓も、相当あつたわけでありますから、そういうところは徹底的に整理する。しかし進めるべきものは急速にこれをやりたいということで、開拓、開墾に相当力をいたしておるのであります。できるだけ新規はとらぬつもりでありますが、現在の計画だけは進めて行きたいと思つております。  それから土地改良でありますが、土地改良は非常に効果がありますので——灌漑、排水をも含めての土地改良であります。これは積極的にやつて行く。特に北海道における土地改良というものは、これは特殊なものでありまして、酸性土壌の改良であるとか、あるいは客土であるとか、そういつたものについて前年より相当ふやして考えております。  それからなお公共事業に関連しまして、農林漁業金融公庫というものを設けまして、これは土地改良でありますとか、あるいは開拓でありますとか、補助でやる工事につきましては、その分の地方の借入金を低利に融通してやる、そういうことで公共事業の促進をはかつて行くという考え方で進んでおるわけであります。大体事務的には以上の通りであります。
  90. 井上良二

    井上(良)委員 もう一点……。非常に重要な点について関心を拂つていただいておるのは喜ばしいことでありまするが、しかし今お話になりました開墾あるいは干拓の関係を見ましても、もし今お話のような農林関係公共事業費でございますと、開墾も干拓もまつたく問題にならぬような状態でないかと思うのです。特にこの干拓事業のごときは至急に完成を期せないと、実際今まで入れた金が全然台なしになつてしまう。その上に災害とかそり他のことがありました場合は、一層その工事がやつかいなことになる。しかも完成をせなければならない二十六年度のものが、たしか五十地区くらいに上つておるじやないかと思う。それをさらに予算の削減をするというようなことになつて来ると、ほとんど干拓も問題にならぬことになりはせぬかと思う。また土地改良その他におきましても、いろいろ考慮を願つておりまするけれども、ほとんど新規地区として新しく土地改良をやり得ない。今まで継続でやつておるものがどうにかやれるくらいのものであつて、新しくほとんど認められておらぬ。また耕地整理の助成金が一応認められただけであつて、他の暗渠排水、客土、これらに対する経費というものはほとんど認められておらない。こういうことで閣議決定食糧一割増産というものは、ほとんど空文になつてしまう。これはあなたも御存じの通り、莫大な輸入補給金を出して、外国から食糧を入れておる実情、さらに国際情勢の緊迫化ということを考えますと、これはどうしてもひとつ河野さん、この際この方面に、うんと大蔵省としても一はだ脱いでもらうて、国内自給態勢確立に全力をあげておかなければ、これはたいへんなことになりますよ。ほかのものは多少がまんできても、食べることはがまんできませんから、この面にはひとつあなた思い切つて金を入れるようにがんばつてもらわなければ、一方安易に外国から輸入をするものには何百億もの補給金を出して、国内の食糧増産の方面について必要な経費は削られるということをされたのでは、これは実際困ります。そこでその面をひとつ、十分あなた方事務当局におられる方は、お考えの上でやられておると思いますけれども、何としてもここで自給態勢を確立するというこの線を、ひとつ強くがんばつてもらわなければならぬ。去年よりも農林関係公共事業費が少くなるということは、これはわれわれとしてはがまんできませんよ。一千十六億も要求しておいて、その十分の一にもならないというようなことでは、これは話になりませんよ。そこはどうですか、食糧増産はやる必要はない、補給金を出しても外国で買つたらいい、こんなつもりじやないでしよう、そこをひとつ腹を聞かしてください。
  91. 河野一之

    河野説明員 食糧増産は特に重要なことだということは、私もそうだと思います。農林関係の公共事業の重点の問題でありますが、灌漑、排水、土地改良、いろいろあると思いますけれども、河川あるいは砂防、そういつたような建設省関係の災害防止の対策で、消極的な、減産を食いとめるということは、今度は相当あろうかと思つております。農林省プロパーのものといたしましては、先ほどは開拓の問題でありますが、灌漑あるいは排水というようなことも、私どもの予算を積算いたしました基礎には考えておつたわけであります。  開拓の問題、開墾の問題でありますが、これはできるだけ新規をとらないで、現在ほとんど食い散らかしているというと誤弊がありますけれども、予算関係でほとんど見るべき状態になつていない、進行してないというような点を急速に完成しよう、少くとも五年ぐらいの間にやつてしまいたいというふうに考えております。  それから入植の方でございますが、これは六千七百戸程度考えております。その他金融の道がつきますれば、積極的に、あるいは国の補助がない場合でもできるものがあるのではないだろうか。現在開拓、おもに干拓の場合でありますが、干拓なんかずいぶん金がかかるわけであります。増産の効果から申しますと、土地改良が第一位であり、開墾がその次、干拓が第三位というようなことでありまして、現在国でやつております干拓工事というものは、反当り十二、三万かかるわけであります。これは今までは農地の価格がございまして、反当り千円くらいのものもあつたわけでありますから、不経済とは申しませんけれども、当面の経済効果からいうと、非常に金がかかるというので、なかなか一般の民間ではできないと思いますので、公共事業としてやつてつたわけでありますが、そのほかに非常に小規模のものであつて、金融の道さえつければ自発的にできるといつたような所が相当あるかと思うのであります。そういうことも考えまして、今回農林省漁業金融公庫というものを思い切つてつくるということで、一般会計から三十億繰入れまして、少くとも預金部資金及び見返資金を入れまして、百五十億くらいの資金で、積極的にその方面を推進して参りたい。これが食糧増産の第一歩であろうと思つております。そのほか一般会計から食糧増産の経費は、三十億程度を目下編成中であります予算の中に入れることを考えております。
  92. 平野三郎

    ○平野委員 主計局長がお急ぎのようでありますから簡單にお伺いいたします。ただいま社会党の井上君からるるお尋ねになりましたことで大体盡きておりますが、これは單に社会党だけでなく、本農林委員会として全会一致をもつて、本年度の農林関係の公共事業費については、一千億を下つてはならぬ、こういう申入れをいたしたのであつて、その点大蔵省の方でも、この申入れに対しましては御承知のことと思います。これはよくここに要望を加えてお尋ねするのでありますが、最近の朝鮮事変その他の関係から考えて、どうしても日本食糧の自給態勢を確立する必要がある。それには何としてもこれだけの予算が必要だ、こういうことから、まつたくこれこそ超党派的に要望いたしておるのであります。これはあだやおろそかでなしに、ほんとうにかけ引とか何とかでなしに、国会の意思として要求いたしておるのでありますから、特にその点は御認識を願つて査定をしていただかなければならぬのでありますが、しかるにただいまの井上委員からの御指摘のように、そうした客観的情勢というものは十分わかつておるのだという抽象的なお話でありながら、仄聞するところによると、現在の安本案なるものが、農業の占める割合が、公共事業費におきまして、昨年度よりもそのパーセンテージが下まわつておる。しかもさらに聞くところによれば、このわずかな農業予算をさらに災害の方へまわして、わく全体を広げることなしに、その内輪においてさらにこれを減らすというようなことを主張する大臣があつて、本日の閣議でもそういう議論が行われるのではないかということさえも聞いて、実に憂慮にたえぬのでありますが、このわずかな百二十五億という予算で、このうち特に土地改良については、ただいま主計局長もたいへん御理解のあるようなお話であつたが、私ちよつと聞き漏らしましたけれども、今回の土地改良の残事業のうちに、耕地整理等については、実に各府県ともいろいろ要求しておるが、きわめてわずかしか助成金を認めていないのであつて、暗渠排水、客土の面については、全然皆無というふうに聞いておるのであります。これはまだ国会に予算案も提出されていないので、われわれ推測でお尋ねするのでありますが、今主計局長お話によると、ある点そういう方面にも認めておる。これは北海道の分でありますが、おそらく内地についてはないのじやないかというふうに聞いておりますが、その点はどうなつておりますか。
  93. 河野一之

    河野説明員 先ほど冒頭にも申し上げましたように、内容はこれからきめることに実はなつておるのでありまして、ただ私どもが予算を編成する上において、わくでもつて予算をつくるわけに参りませんので、各公共事業の状況を見まして、その予算を編成するにあたつての基礎みたいな考え方がございます。そのときのことを申されるのかと存ずるのでありますけれども、小規模の土地改良なり、あるいは灌漑排水というものは、先ほど申し上げました農林漁業金融公庫こういうことでやつてはどうだろうか、というふうなことを実は考えておつたわけであります。その後閣議におきまして、金額もふえましたので、当初の大蔵省原案と申しますか、そういうものに対しての異同はあるわけでありますが、またそういうおつしやいました点につきましては、十分御趣旨をくみまして、今後の内容決定する上において、十分善処したいと考えております。ただいまのところは、農林幾ら、河川幾らというようなふうに大ざつぱなわけ方でありまして前年度に対しての何割増だとかなんとかいろいろありますけれども、問題は、そういう割合も割合でありますけれども、やはり中を、どういうふうに重点的に、どの事業を、どの箇所をやるというふうに積み上げて来ないと、ほんとうではないと思うのであります。そういう点について十分御意見の点を尊重して体し参りたいと考えております。
  94. 平野三郎

    ○平野委員 今の農林漁業金融公庫というやつでありますが、これは実に私はくせものであるとにらんでおるのであつて、この点は事務当局についてもひとつお尋ねしておきたいのでありまするが、これはたいへん失礼な言いぐさかもしれませんが、大蔵省の事務当局は端倪すべからざる査定技術を持つておられて、百姓相手の農林省などは、この大蔵省の手練手管にかかつては、とても太刀打ちできぬというふうに聞いておるのでありますが、この農林漁業金融公庫はこうした今のお話のような団体のものであるか。あるいは暗渠排水、客土といつたようなものを、まあ突き飛ばす一つのテクニツクとして、きわめてスムースに金融公庫の百五十億円案なるものを出されたいというふうに見る人もあるのですが、そういうことは私なかろうとは思いますが、はたして農林漁業金融公庫というものは、ドツジ公使が来られて、これを承認せられるかどうか。これは多分にそこでひつかかることになるというようなことをあらかじめ想定して、この方についてはばかに気前よくお認めになつたのだ、こういうようなふうにも邪推をする人もあるのだから、もしそういうことが起れば、やはり結果的に見て大蔵省が手続手管を用いたのだという批判も受けぬとも限らぬ。だから特にドツジ公使が来られれば、この点についての折衝については、一段と力を盡していただかなければならぬということを、特にこの際念を押して要望しておきますが、この金融機関、これは実際ありがたいような話であるが、農村においては決して喜んでいないのです。問題はこれの利子の問題でありまするが、これはどういうふうにお考えになつておるか、その点ひとつお伺いしておきます。
  95. 河野一之

    河野説明員 私は農林漁業公庫はどうしても通したいという考えでおります。最近特殊の財政支出による金融機関が出るのでありますが、やはり日本の現状からしまするならば、現在、金利が相当高い時代におきましては、農業というものはとうていやつて行けないのじやないか。それから造林でもそうでありまするし、今回まず造林のこういう公庫をつくりますが、造林の補助金の補助割合も増加しよう、それでありませんと、造林なんかについてもペイいたしません。そういうふうな実際の実情がわが国の農林業についてはあるわけでありまして、おつしやるような蹴飛ばす手段というわけで考えておるのでは決してない次第でありますことを、御了解願いたいと思います。この金利でありますが、これは結局見返り資金をどうこれにつぎ込みますか、預金部資金をどういうふうに使いますかに関連するわけでありますが、一般会計から入れております三十億の金は、一応資本金に、無利子でありますから、幾らで貸してもいいわけでありますが、預金部から借入れます分は、資金コストは大体五分五厘程度になつております。もしこれに見返り資金が加わることになりますと、資金全体としてのコストは安くなります。それで普通の場合は大体五分程度、それからものによつていろいろございますが、最高一割という程度考えております。その農林、漁業の中には、できれば塩業も入れて行きたい。ああいつた一つの企業めいたものは大体一割になりますが、普通の土地改良でありますとか、そういつた傾向のものは大体五分程度というふうに考えております。
  96. 平野三郎

    ○平野委員 この問題につきましても、予算委員会で質疑をすることになると思いますが、ただその事前にいろいろのことを折衝されますので、ここに要望いたしておきますことは、どうしてもわれわれ直接司令部折衝いたしませんので隔靴掻痒の感があるのでありますが、何とか日本農業というものについて、アメリカの農業と混同して考えられておるようなふうに思うのであります。今の利息の点も、最高一割というお話があつたのですが、一割なんということで成立つような日本農業なんというものはありません。もしそういう高い金利のものであれば、おそらくいくらそういうものを出しても借り手がないということになるのは必至である。これはもう主計局長よく御承知と思うけれども、やはりあなた方はいろいろな日本の産業全体を見ておられますので、農業というものをわれわれほどには御認識になつてないのじやないかと、失礼ながら考えます。特にこの際私のお願いするのは、アメリカの農業とは全然違うのだ。まつた日本の悲惨なる零細農業は、国家の援助なくしては成立たない。国がこれを援護するところに初めて日本農業が成立つ。また今日米価というものも、国が統制して押えているのでありますから、そこをひとつかみわけて、一般の産業と比較することなく、特に農業については考えられたい。三十億も一般会計から出されるならば、これを全部利子補給にまわして無利子でやるというくらいにしなければ、補助と同じ状態にしなければいかぬということを考えておるわけでありますので、特に今後の御折衝については、日本農業の特殊性ということを十分に強調していただくことをお願いいたしまして、質疑を打切ります。
  97. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 ちよつと一言お尋ねをいたします。これはぼくはわきの方から聞いた話だが、今の金庫の三十億の関係ですが、これに対して大蔵省は、畜産なんかこの金を使わなくてもいいじやないかということを言われたということを聞いておるのだが、それは大蔵省がそういう主張をなされておるのか。そうでなくても、畜産に対する予算を、あなた方はいろいろなことでこねくりまわして、しろうとのくせにくろうとの言うことを聞かないで、こんなものはどうでもいいという、その弊害が今日どう出て来ておるかと言えば、畜産の衛生問題、馬の伝貧に対しても毎年削つてしまつて、こんなもの、衛生なんかどうでもいいじやないかといつてつて、今試験する学者なんか、感染しないモルモツトで伝貧の研究をせよというので、馬が買われないからモルモツトでやつておる。それが影響して馬がどれほど犠牲になつたか、ごらんなさい。牛はどうだ、感冒にかかつておる。衛生費を削つてしまうから、ことしは牛がどれほど犠牲になつたか、大騒動している。牛馬がなければ畜産はどうなりますか。あなたの着ている服も畜産だ、あなたのはいているくつだつて畜産、かぶつておる帽子も畜産じやないか。いろいろな食糧解決のために、山のてつぺんまで開拓したつて日本食糧が解決つきますか。やはり牛乳を自由に飲んだり、あるいは鶏卵でも、あるいは肉でも、それらの問題を全部解決しなければ、解決がつかぬ。ことに農民が豚を二束三文で売り飛ばして、みんな屠場がないために閉口している。それを畜産局が簡易屠場をやつて、簡易に屠殺して、豚の脂肪食糧を食わして、そうして米麦というものの食糧をこういうところで経済するというような方法で、ほんとうにカロリーで行つて日本も文化の生活をして、農村関係も、労働者も、これによつて解決しようというふうに努めておるのに、ああいうふうに簡易屠場なかいらないといつてつてしまつて、今度は金を貸すのに、三十億でも、畜産なんかどうでもいいじやないかという空気が、あなたの方であるとするならば、食糧問題の解決はどうなさるつもりか。一体しろうとのくせに、とにかく大蔵省というところは、主計局長といつたら、大臣といえどもあなたのところでは弱いんだ。あなたぐらいいばつてる者は世の中にありはしない。ことにあなたの部下のところに行つて、朝の三時というのに寝ないで行つて、ぺこぺこみなへたばつている、降参している。あなただつて一生主計局長でもあるまい。あなたは大蔵省のああいう習慣を打破して、ほんとうにくろうとの話をしつかりとのみ込んで、国家のために、ほんとうに予算の分配をするような制度に改めないと、これがための弊害が非常に恐ろしい。いつまでもあなたが大蔵省で日本の金の元締めをしているんじやないから、もう少し緩めて、国家の全体をにらみ合せてやるように、大蔵省の空気をつくり直さないと、これは重大な弊害があると思つているが、はたしてあなた方は畜産に対する能力なく、畜産を軽視するくせがある。ことに三十億の金庫ができるという前提のもとに、畜産なんか必要はないという考えをお持ちになつておるかどうか、その点をはつきりさしておきたい。
  98. 河野一之

    河野説明員 農林漁業金融公庫にそういう話があることは私は存じません。畜産をボイコツトするというようなことを申し上げたこともありませんし、私も今小笠原さんから初めて聞いたのであります。畜産の問題が重要なことは、私どもしろうとではございますが、よくわかるのでございます。明年度予算につきましても、農林省と十分協議して例年に比較いたしまして相当増加することができるというふうに思つております。ただ財政不如意の折柄、御希望に沿いますように増額がなかなかできない事情にありますことも、あわせて御了承を願いたいと思います。
  99. 小笠原八十美

    ○小笠原委員 とにかく主計局長にそういう空気がなければそれでいいし、あなたは畜産を重要視しておるけれども、従来の畜産局長ぐらい予算をとることの下手な者はない。みな負けておる。隣に局長が来ておるが、とにかく負けいくさだ。だからこつけいな話で、今の局長は夜ふかしの訓練になれておるから、この方だけへたばらないで、くつついたというこつけいな話さえある。そういうことでとにかくあなた方は畜産に対して軽視をしない、重要視するとおつしやつておるけれども、畜産問題は、さつき申し上げた通り、衛生問題その他の問題が遅れておるために、こういう関係は非常に大きな影響を持つておるのですから、金融問題に対しては、特に畜産に対しては、あなたも十分お考え願わなくてはならぬが、とにかくそういうことがないということなら、ないで承つておきますが、どうか将来とも畜産に対して十分の認識あることを望みます。よろしくお願いします。     —————————————
  100. 松浦東介

    松浦委員長代理 次に食糧庁長官が見えておりますので、先ほどの主要食糧の問題を再び議題といたします。これも時間を切つてははなはだ恐縮でありますが、三時までに完結するということでございますので、せいぜい二十分くらいのところでお願いします。
  101. 井上良二

    井上(良)委員 私はごく簡單に要点だけを伺いたい。これは非常に大切なことでございますが、政府は最近主要食糧配給機構を一部省令によつて改正をした。それからまたさらに最近油糧配給公団の取扱い物資中、その重要な油糧の一部を撤廃しようとしておる。これいずれもそれぞれ主要食糧においては食糧管理法、あるいはまた片つ方においてもそれぞれ本法がありまして、それに基いてそれぞれ省令が出ております。主要食糧配給機構を全面的にかえるというような、大きな機構の変革を行います場合には、少くとも法律の改正なり、あるいは法律の改正をやらなくても、省令で行きます場合においても、重大な国民の食生活に影響のある問題でありますから、一応国会の了解を得るという手続をふむのが当然ではないかと思つております。またいま一つ、油糧の重要な取扱い物資を最近はずすということに方針をきめて、省令を準備しておるという話でございますが、今度はずしますところの菜種あるいは大豆等を考えましても、これが国民生活と一般工業に及ぼす影響は非常に大きい。しかも一方大豆の輸入補給金を全面的に二十六年度からは打切るということになりました場合は、これが当然わが国のみそ、しようゆ等の調味料に影響し、さらにまた油糧全般の価格の値上りを来すことも明らかであります。そういう重大なる国民の食生活に影響あり、わが国工業全般に重大な関係のありますものを、一々省令の変更にたよろうという、こういうことは、一体そういう処置でいいと食管長官は考えておいでですか。私は、少くとも法律條文をかえるような大きな機構の変革でありますから、一応省令において暫定的にやるということにしましても、一応国会の了解を得るという手続をとるのが、当然ではないかと思いますが、その点はどうでございますか。
  102. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 食糧の配給制度の改編については、公団を来年の三月末でやめるということで、ただいまはつきりとした記憶はございませんけれども、この前かその前の国会で相当論議された問題ではなかつたかと思います。それでその方面の御意見も、大体そういうところにおまとまりになつて、公団は廃止という基本方針が、もちろん内閣としてもきまつたわけでありますが、国会の方にもその連絡はあつたように私は記憶しております。その形式がどういう手続でやつたかということは記憶いたしませんが、その連絡は十分とれておるというふうに思つております。従つて三月末日で公団を廃止するその措置といたしまして、末端機構をだんだんくずすというような措置をとつて来ておるわけであります。  それから油糧の関係でございますが、大豆の問題につきましては、油脂源としまして非常に重要なものでございますし、将来における日本の国内の蛋白資源としても相当貴重なものでありますので、その取扱いをどうするかということについて、ただいまのところいろいろ苦慮いたしまして、各方面とも折衝いたしておるのであります。来年度以降におきましては、やはりほかの雑穀と同じように、大豆は自由にいたそうというような考え方をいたしております。もちろんこれは本ぎまりではありません。そうした手続の問題で、国会に十分御連絡をしておらぬということで、御注意なり御疑問なりがあつたようでありますが、やはり政府といたしましては、大体の方針をきめまして、いろいろお諮りをいたすということがいいのじやないかと思つております。大豆については、この前の委員会においても、来年度以降こんなふうにしたいというようなことを申し上げておつたのであります。その後各方面との連絡上、なかなかその実現も困難であつて、まだ最後的なきまりにはなつておらぬということをつけ加えて申し上げておきます。いろいろ統制をはずすにつきまして、基本的な方向は大体はずして行くのだ、油糧等も公団方式をやめるわけでありますが、公団方式をやめますと、どうしてもそうしたものをはずして行くよりほか方法はないわけであります。いろいろな雑品の、亜麻でありますとか、ごまでありますとか、そういうものまでも食糧管理特別会計で扱うかどうかという問題になると、これは大体扱うに適しないし、扱い得ない、扱うにしましても法律改正を必要としたのでありますが、そういう処置も講じておらないのであります。結局公団の廃止に伴いまして、この辺のものははずして行くという処置を講ぜざるを得ないというような考えで、その方の作業を進めているような次第でございます。
  103. 井上良二

    井上(良)委員 時間がないですから要点だけ申し上げますが、本年の産米価格について農林省では限界生産費計算方式を採用して、一応安本、物価庁あるいは大蔵省と、いろいろ折衝いたしました結果、やはり物価庁の主張するバリテイー方式にかわつた。ところがそのバリテイー方式に別に特別加算額を加えまして基本米価をきめよう、こういうやり方をとつております。ところが私ども、いろいろ政治的に考えます点から判断いたしますと、おそらく今政府がきめております原案なるものは、御存じのドツジ氏が参りまして、明年度予算の検討を加えます場合は、ただちに否定されやしないかという危險を持つております。もし特別加算額を加えたパリテイー計算基本米価算定方式が否定された場合、一体政府はどういう算定によつてやろうとするか、特に農林省では限界生産米価というものを出しておりますが、これをあくまで主張されたらどうか、こう考えますが、この点どうお考えになりますか、これが一点。それから次に、米価審議会なるものを農林大臣の権限においてつくつておりますが、この米価審議会一体いつ米価審議についての会議を開きますか、その米価審議会に対して、政府一体いかなる原案をもつて臨みますか、そうして米価審議会がかりに決定いたしました場合は、その米価審議会決定政府は採用する意思があるかどうか、これが第二点。  その次には、本年度産米の補正問題であります。御存じの通り、本年六月以降数次にわたつて台風が本土を襲い、また地方的には病虫害が発生いたしておりますし、いろいろな関係から相当の補正をいたさなければなりませんので、この補正の予想数字、それから補正する時期、この点について明らかにしていただきたいのであります。以上三点を伺いたいと思います。
  104. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 米価の算出方法については、農林省としましては、やはり生産費を基調としたやり方が適当じやないかという考え方をいたしております。これが一両年来私どもがそういう線で痛切に考えて来ている点でありますが、従来パリテイー計算方式をやつておりますので、急にこれをかえることも困難な事情にある。実は今年あたりから計算方式をかえた方がよくはないかという相談もいたしたのでありますが、しかし麦価をきめます際の経過、それから非常に時期が切迫しております関係、それから農林省で一応試算をいたしました限界生産費というものを議論いたしますれば、まだ若干の批判の余地もありますので、この際それを来年度の問題に残してパリテイー計算方式プラス・アルフアーの方式で行こうということに政府内部においてきまつたわけであります。プラス・アルフアーをきめることについては、いろいろ議論があると思うのであります。御承知通り去年の米価審議会におきましては、やはりパリテイー方式ではじいたものに超過供出奨励金の三倍を二倍にしてその財源をプラス・アルフアとして加えて、一般米価を上げようというような米価審議会決定もあつたのであります。その線に沿つていろいろ努力をいたしたのでありますが、昨年は三倍は二倍にされ、基準米価にその財源を繰入れることを拒否されて、実は非常に参つたのでありますが、そういう危險性もありまするので、麦価をきめます際に、相当その点についての話合いもいたしまして、それで大体今年は農村の窮乏の事情も了解して、そうした方向で行こうというような実際の話合いが済んでおりますので、その点からもパリテイー方式にプラス・エツクスという形で行こうということに実はきまつたのであります。農林省としてはこの生産的要素を十分に入れて参るのが適当であろうと考えますので、別途生産費に関しまする資料等を関係方面に提出をいたしまして、背景としましてはこういうものがあるのだということを十分向うに了承をさしておりますので、本年はきまりました方式でもつて交渉いたしたいと考えております。ドツジ氏が来ました場合にどうなるかという問題でありますが麦価をきめます在来からのひとつの固まつた方向で実は来ておりまするので、その方はまず大丈夫ではなかろうかというふうに考えております。  それから米価審議会でありますが、これは大臣も御出張になられますので、大体二十日前後にやりたいというふうに思つております。米価審議会に昨年は政府原案というものを出さなかつたのでありますが、今年はこれから相談をいたして、みたいと思いますけれども、やはり政府原案を出して御審議をいただいて、それに基いていろいろ御意見がありましたならば、その結論を得まして、それで再び関係筋とも交渉するというような取運びにするのが適当じやないかと思いまして、これは安本の方ともよく打合せをしてみたいと思つております。  それから補正の問題でありますが、大体時期は今月の末あるいは来月の始めと思つております。十月の二十五日になりますと、第一回收穫予想高が発表になるので、この收穫予想高を見まして、それに基く検討も加えまして補正措置を講ずる、従つて日取りといたしましては、どうしても十月の末か十一月の初めだというふうに見当をつけております。
  105. 吉川久衛

    ○吉川委員 時間がないようでありますから、ごく要領だけをお伺いいたします。先日井上委員が御質問になりました油脂の統制廃止の問題でありますが、その際原料の豆の統制も近くはずされるように伺つたのですが、もし本年度内にはずされることになりますと、これは食糧生産計画のうちに入つているはずでありますので、その総合性が少し一部に欠けることになるのではないかと思いますが、そういつた問題をどういうふうにお考えになつておいでですか。
  106. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 大豆は代替供出として、しかも特に重要なものでありますので、別途代替の予定数量を指示してあるわけであります。これを今から自由にいたしますと、結局補正につきましては——補正ではありませんけれども、供出量を変更しなくてはならぬ事情も出て来ると思います。それで私どもといたしましては、いろいろな本年は混乱を起さないで、約束したこともありますので、本年度はこのままで進みたい。本年度は割当量は買うという方向で行きたいということで、今交渉いたしているわけであります。従つて簡單に申しますと、本年度は既定方針通りで行く、ただ完了いたしました後において自由にするという線が出て来るわけでございます。
  107. 吉川久衛

    ○吉川委員 そこで原料の豆の統制まではずされるということになりますと、輸入の豆については、何か特別な機関でも設けられて措置をされるのかどうか。
  108. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 そこの点が実は私これから行こうという問題もそれなんですが、国内のものをそういう措置を講じた場合には、外国から入る大豆はもう自由でいいのじやないかという議論が相当あるのであります。大豆生産の安定性から申しますと、それははなはだ困るということで、主として農業政策という見地からそういう議論をしております。そういう点は今はつきりきまつておりません。
  109. 吉川久衛

    ○吉川委員 それでは麦のことをちよつとお伺いしたいのですが、従来の超過供出農家の任意であつたのですけれども、今回の麦の超過供出は、非常に強いその要請がされているのですけれども、その理由をお伺いしておきたいと思います。それからただいまの供出が非常にひどいので、農家では最近裸供出をしているところが相当ある、竹村議員からも奈良県の実情が報告されたのでありますが、さようなことが各地にございます。この際五等麦の還元配給を認められるかどうか、この二点についてお伺いいたします。
  110. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 麦の超過供出については目標を指示しまして、それに基いてぜひやつていただきたい。基本的な方針としては事前割当数量だけはぜひ確保するという線が一本出ておるのであります。本年の作報の数字から申しましても、それができるはずだ。それから世界の食糧事情というものも、相当手放しで楽観ができないのだから、日本としてはできるだけ国内自給度を高めるべきである、供出の面においてもそうすべきであるという点が強く指摘されまして、しかも作報の数字がそれを出し得る十分の数字根拠があるということで、事前割当数量分は国といたしまして確保するという数字になつておるのであります。その際にもちろん超過供出につきましては、ポツ勅による超過供出の法制的措置も講ずべきであるとの議論も相当強かつたのでありますが、大臣等もいろいろ御心配を願いまして、そこは日本政府にひとつまかしてもらおうということで、法制的措置は講じないけれども、そういう背景があるのだということで、供出についての御盡力を願つておるわけであります。相当各方面において補正の遅れました関係もあつて、いろいろ混乱を来し、また非常にただいまお話のありましたような苦しい事情にあることもございます。従つてこの善後措置につきましては、実は五等麦をもつて還元をいたしたいといういふうに考えて、ただいま措置をいたしておる次第であります。
  111. 深澤義守

    深澤委員 簡單に御質問申し上げたいと思うのですが、今年の追加割当が天然資源局長の覚書もあり、各県の県知事に対しては民事部の督励要請もあり、また末端ではこれを占領軍の命令という形で受取つておる向きが相当あるわけであります。しかし私どもは、もちろんそういう強い要請はあつたにいたしましても、実際において供出行政を行う場合においては、食確法を基礎として行うべきであるという主張をしているのですが、これが各県の当局では往々にして、これは命令だ、食確法に優先する処置であるというような傾向がある。これは非常に間違つておると考えるのですが、念のためひとつ食糧庁長官から食確法が無視されていいのか、食確法に準拠してやるべきであるか、その点をひとつ明確にお聞きしたいのであります。
  112. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 やはり食糧確保臨時措置法に基く割当、並びに供出でありまして、それが運用上地方々々において若干ゆがめられておると思いますが、根本はそういうことに了解しております。
  113. 深澤義守

    深澤委員 それから本年の追加供出は、長官は作報の数字が事前割当の数量を確保し得る調査ができておるということでありますが、個々末端へ参りますと、なかなか困難であります。それで相当問題が起きておるのです。昨日作報が出しました被害調査を見ますと、本年の減收量は米換算の百九十七万石というぐあいに出ております。ところが補正は百三十四万石です。そうすると、ここに相当食い違いがあるわけです。実際に作報が出しましたこの被害調査とそれから補正との間に、もちろん期間の差はありますが、開きがあるわけです。そうすると、これから見て行つても、末端において供出が相当困難な事態が出て来ると思う。従つて知事会議の場合においても要請されましたが、免責措置の問題を真劍に行つていただかなければ、また強権発動の対象になるというような農民も私は出て来ると思う。従つてこの最近作報が発表いたしました減收と補正の額との差額は、当然免責措置として考えられるべき問題だと思うのでありますが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  114. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 その差額をそのままというわけにも参らないと思いますが、その間の調整については善処したいと思います。先ほどお話がありました五等麦の還元等もその線から処理して行きたいと思つております。いろいろの事情から相当食い込みましても、出しておるところもありますので、ただちに免責というわけにも参らぬと思います。やはり還元が主になろうかと思います。そうした措置を講じて善処したいと思います。
  115. 河口陽一

    ○河口委員 それぞれ御質問になつたので、重ねてお尋ねをする必要もないですが、米価がまだきまつておりませんが、早出し地帶の東北、北海道の單作地帶はすでに供出になつているのです。これに対しては仮拂いが行われておりますが、これは農民としてすみやかに米価決定してもらいたいという希望が強いのです。大体いつごろおきめになるか、お見込みでもよろしいですが、この際明らかにしていただきたいと思います。
  116. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 先ほど申し上げましたように、十月の二十日前後に米価審議会を開きますから、そこでどの程度御審議を願いますか。まあ大見当といたしまして十月の末あるいは十一月の初めにはきまるかと思います。少くとも補正会議をするまでには、やはり米価はきまらなければいかぬじやないかというような見当をつけております。
  117. 河口陽一

    ○河口委員 昨年も、早出し地帶が米を出して仮拂いをしてもらつて、その後に米価がきまつておりますから、その価格の支払いまでに相当期間がずれて混乱を来したのですが、本年度はそういう点を十分に考慮してもらい、さらに昨年は供出したものを仮拂いしておりますが、一俵千七百円とか聞いております。そこに当然差額があるのですが、これはその間の金利等も考慮していただかなければならぬと思います。これはあとの問題ですが、米価決定したらすみやかに拂うようにしてもらいたいという希望が強いということ、それから超過供出に対する倍率の問題ですが、これは現在農林省はいかようにお考えになつているか、御発表願いたいと思います。
  118. 安孫子藤吉

    ○安孫子説明員 超過供出の倍率はいろいろ経過はありましたけれども、大体一・二五倍でやむを得ないじやないかというふうに結論として考えております。これは非常に露骨な話ですが……。
  119. 松浦東介

    松浦委員長代理 次回の委員会はおつて公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時三十五分散会