○河野(謙)
委員 肥料の
政府在庫買入れに関する
調査の結果について、簡單に御
報告いたします。
井上、
平野並びに不肖河野各
委員、岩隈
專門員の
調査班一行は、九月二十八日より十月一日まで四日間、三重、
愛知、
岐阜三
県下の肥料工場並びに
名古屋肥料
公団の蔵置倉庫等について、肥料の
生産、出荷、
輸送状況並びに
政府在庫買入品の保管
状況等を
調査して参つたのであります。
すでに御存じのごとく、
政府は七月中に肥料メーカーの金融難を緩和するために、硫安二万六千五百トン、五億二千五百万円、石灰窒素二万四千九百トン、五億七千二百万円、過燐酸石灰二万七千九百トン、二億八千二百万円、その他塩安、溶性燐肥等の在庫買入れを行つたのでありますが、これの保管管理について過般の
農林委員会において、肥料の在庫買入に伴う弊害防止に関する件を決議し、これを
政府に申し入れて、
政府の善処方を
要望してあつたのであります。
本件について
調査班は、
農林委員会の決議事項がはたして完全に履行されているかどうかを詳細に
調査したのであります。そこで各
調査工場につままして、
調査結果の概要を
報告いたしますと、まず三重県東海硫安四日市工場の在庫買入数量は、硫安三百九十トン、金額七百万円でありまして、保管数量も確実、保管
状況はきわめて良好であります。
同じく石原産業四日市工場は、買入数量の過燐酸石灰千百八十八トン、金額千二百四十万円でありますが、本工場は
政府買入分と自社在庫分との仕訳不十分でありまして、委託保管品の確認とまた従
つて不完全な状態であります。
次に
愛知県の東亜合成
名古屋工場は、買入数量硫安千二百十九トン、金額二千百九十六万円でありますが、本工場の保管
状況はきわめて不良であります。すなわち金庫にバラ積みのまま集積されており、もちろん自社在庫分との区別も不明瞭であ
つて、
公団との契約内容はまつたく無視されております。当然数量の確認はできていないというありさまであ
つて、われわれの懸念していた通り、国有財産に対する大蔵省並びに農林省の
監督はきわめて不十分でありました。
調査班は一応十月四日までに包装を完了し、委託保等分を自社分と区別して蔵置するよう要求して参つたのであります。
次に日産化学
名古屋工場は買入数量過燐酸石灰四百二十一トン、金額四百四十万円でありまして、その保管
状況はおおむね良好でありました。
次に
岐阜県
揖斐川電気大垣工場は、買入数量石灰窒素三百九十九トン、金額八百六十万円でありまして、日通と契約してその倉庫に保管せしめており、その保管
状況は概して良好ではありますが、七月末に買入れたものが、入庫は九月二十日以後に行われているような状態であります。
次に肥料
公団の蔵置肥料を
名古屋日通の笹島倉庫について
調査したのであります。ここには石灰窒素一万七千七百七十七袋が保管されていますが、相当多量のものが膨満して乱袋を生じていたのであります。
以上を要するに、
政府の在庫買入肥料は、その保管
状況の良好なものと、著しく不良なものとがあり、これを全国的に見ますと、不良工場は相当の数に上るものと想像されるのであります。
政府は全国の状態についてすみやかに再確認の処置を講じ、その結果について十月二十日までに当
委員会に
報告を提出せられるよう
委員会においてとりはからわれたいのであります。
公団の保管する石灰窒素で乱袋の生じているものについては、工場側との契約書の内容に従
つて敏速にさしかえを行い、国の損害を未然に防止することが必要であります。
次に工場在庫買入品は、保管の現状にかんがみ、可及的すみやかに消費地保管にきりかえる要があると思われるのであります。
最後に、最近肥料の
輸送状況が窮迫状態にあ
つて、工場在庫がふえる一方、このままの状態では秋肥の供給に重大な支障があると思われるのであります。この窮状打破のため、
政府は格段の努力をいたされたいのであります。
なお本件に関し、
委員会より
政府に対し適当の
措置を講ぜられるよう
委員長にお願いいたしまして、私の
報告を終ります。
なおこの機会に運輸省の方に
輸送の問題についてお願いしたいと思いますが、ただいまの
報告の中にもありますように、秋肥におきましては御存じの通り、あとここ十日なり十五日のうちに
輸送が完了しなければ、適期に施肥ができないのであります。ところが現状におきましては、七月以降工場の在庫は
輸送難のためにふえる一方であります。数字をあげますれば、硫安においては七月末の在庫が三万五千九百トンであつたものが、八月末には六万二千七百トンにふえております。なおつまびらかでありませんが、九月末におきましてはおよそ十万トン近くに
なつておると想像されます。石灰窒素においては、七月末五千八百トンであつたものが、八月末には一万八千トンに
なつております。これまた九月末には相当量の在庫に
なつておると思います。過燐酸、石炭においては、七月末五万トンのものが八月末には八万トンふえております。これもおそらく九月末においては十万トンを超えた在庫数量になると思います。これは
輸送の問題から起
つておる在庫数量の増加であります。これをすべて運輸省の責任に帰するわけには参りませんが、少くとも今月、すなわち十月の
輸送におきましては、格別の御
措置をお願いいたしまして、肥料を最優先的に
輸送されるようにいたされたい。かねて農林省の方からも、本月に限
つて計画輸送的なことをや
つて、秋の肥料は適期に間に合せないということで、御連絡がついておると聞いておりますが、本
委員会といたしましても、過日の
調査等の結果によりまして、現実にこの問題をとらえて来たのでありまして、この機会に肥料の
輸送について運輸省の方からのいろいろの御
説明を伺いたいと思います。
つけ加えますが、われわれ
委員会といたしましては、非公式の場合においても、
政府に向いましてすでに八月のうちから、十月の初めまでにすべての
輸送計画が立たないと、秋の肥料に間に会わないということで、たびたび警告しておるのであります。その警告が運輸省に横の連絡がついておつたかどうかしりませんが、少くとも肥料の行政の
監督をしておる農林省なり安本なり通産省なりには、このことはあらかじめ嚴重な警告はしておるのであります。しかるにその
措置がとられていたい。一方せつかく
政府が買い上げて持
つております
公団の在庫品は、
政府の
措置よろしきを得ないために未だに開放の
措置がとられていない。開放の肥料の手続が済んでいない、
輸送の方は少しもできていない、こういうことで、肥料はありながら、まつたくこの秋の肥料につきましては、農民といたしましては手に入らない
状況であります。これが肥料の市価に影響し、これが一割
増産の問題にまで波及して来ることは当然であります。でありますので、運輸省においてはこの際特段の御協力をいただきまして、十月における秋肥の
輸送につきましては万全を期していただきたい。なお御参考までに申し上げますが、私が承知しておる範囲では十月の
輸送料は、硫安については十四万トン、石灰窒素については三万トン、過燐酸石灰については十一万トン、これだけのものはどうしても十月の月に送
つていただきたい。さらにこのほかに
政府手持ちのものを十数万トン開放するということによ
つて初めて秋肥が間に合うのでありまして、この開放が間に合わないということになれば、さらに要
輸送量はふえるのでありますけれ
ども、この開放の問題につきましては、運輸省に関係なく通産省並びに農林省、安本において善処されることと思いますので、運輸省におきましては、少くとも今私が申し上げた数量につきましては、責任を持
つて今月中に、特に上旬中旬におきまして、より一層のたくさんの数量を送
つていただくように御努力いただきたい。この点につきましての御
説明をいただきたいと思います。