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廣川国務大臣 農村における
蛋白給源のことですが、これはまつたく私はあなたと同じ
考え方をいたしておるのであります。
日本の
食生活を見ますと、二千何百年間の
経験からいたしまして、その季節々々にいわゆる
脂肪をとるような
食生活が、
現実として行われておるのであります。それの一番端的な例を申し上げると、一番あぶらを好まない節に、土用のうしの日にうなぎを食うというように、節季々々を通じてこういうようなあぶらをとるように教えておるのであります。それからまた
野菜の一番少い、
野菜を食べなく
ちやならぬときに、正月の七草ですが、かゆに青い草を入れて食べるあの
慣習、これがいわゆる
日本の長い
文化生活から得た
一つの体験から実を結んでおるのでありますが、こういうような
経験からいたしまして、
農村で
蛋白給源あるいはまた
脂肪の
給源を非常に苦労してや
つてお
つたのでありますが、それが
戦争直前あたりから非常に混乱いたして来ておるのであります。これを元にもどさなければならぬと思
つております。特に私が一番感じておることは、各所にダムをつくり、あるいはまた用水をつくりいたしまして、あの
魚梯をつくることを忘れておるのであります。
魚梯をつくらぬがために魚が上
つて行かない。それがために上の
農村、山村の
人たちが潤いがなくなる、こういうようなことが非常に
農村生活をひからびさしておるのでありますが、こういうようなことも十分私は
考えたいと思
つております。
それから油の面でありますが、現在私が聞いておるところによりますと、
バターはアメリカから現在
輸入されんとするものは、
日本の市価の半額で入れたい、こう言
つて来ておるのであります。こういうようなこともわれわれは非常に
考えさせられるのでありまして、
酪農をみんなが奨励いたしておるようでありますが、この点に関しても技術的に十分われわれは
検討しなければならぬと思う。それからスエーデン、ノールウエーあの辺の
酪農が
英国市場を圧倒して、あれによ
つて生活していることはすでにあなた方は
御存じだろうと思いますが、われわれといたしましてはいわゆる
バターや何かの製造において
南方地域をまかなう、これくらいまでの構想を持
つてや
つていいのじやないかと
考えるのでありまして、いわゆる
油脂の
方面の
生活については、まつたくこれは
考えなければならぬのであります。特に
東北地方のごとく
単作地帯で貧農が多い場所は、一番忙しい田植えの時期においては、一番
脂肪と
蛋白分の多いにしんを北海道から入れておるのであります。それに最も安い
ヨード分を含んでおるわかめ、こんぶを入れて、かろうじて
食生活を補
つておるのでありまして、こういうような広い
観点から
食生活を
考えて行かなければならぬことは、あなたの今おつしやる
通りであります。こういうような面については、特に
畜産物等においては、こういうような
方面を十分私は
研究してもらうように今後いたしたいと思う次第であります。
それから
畜産の問題でありますが、それに関連いたしまして
畜産部の
予算の少いことは、きのう私実際
委員会で申し上げた
通り、非常に
伝染病が猛威を振
つておる。
伝貧あるいは牛疫、その他にわとりの
白痢、いろいろな
伝染病がどんどん繁殖いたしておるのでありますが、これに対応する
対策がないのであります。こういつたことにつきましても、私たちは皆さん方と相談いたしまして、十分
対策を講じて
畜産方面において
一つの
時代を画するくらいな
考えをも
つて、皆さんとともに進んで行きたいと
考えております。
それから
競馬の問題でありますが、
競馬を民営にするか官営にするか、いろいろ説があるようでありますが、一旦ここで官営に
なつた以上は、それで收益された金は、特に
法律もあることでありますから、でき得る限り、これを
畜産の方に向けなければならぬのでありますが、最近は競輪などに圧迫されて大分收入が少くな
つておるようであります。しかしこれを何か專門家から聞けば改善の方途が私はありはしないかと
考えておりますが、これから出たものは
畜産奨励の方にまわして、
日本の
畜産をほんとうに
発達せしめたい、こう
考えておるのであります。
それから今度の
朝鮮事件を
契機といたしまして、非常に
やみ相場が上
つておる。これはまつたく事実その
通りであります。例が端的でありますが、大阪は今までもさようでありましたが、華僑と同様に、非常に国際市場に直結しておるのでありまして、これが鋭敏にその
方面に感覚を働かして、
食糧保有というか、あるいは保持というか、米を非常に買いあさ
つておるようであります。これに対しましては、あなたのをつしやるように、適当に六大都市等に限
つて、
勤労大衆のために緩和剤を投入したならばどうかということは、まつたくあなたの御意見の
通りだろうと思いますので、これは
食糧管理局長官と申しましようか、私その名は知りませんが、安孫子君だろうと思います。相談して安孫子君がいいというなら私はやりたいと思
つてをります。そこはどうぞおまかせ願います。
それから今会期において
予算を提出しないのはけしからぬじやないかというのは、まつたくその
通りであります。これはけしからぬ話であります。私が党におつた場合に、報奨物資の話が出たのでありますが、これはもう十六億から八億になり、八億から五億になり、この間いろいろな苦労をいたしたのでありますが、とうとうあの頑迷な大蔵省を納得させて五億出すということで、きのうもこの
委員会でお話があ
つたので、けさ実はここへ来る前に池田君のところへ
行つて来たのでありますが、お前けしからぬ、ぜひこれはやれ。それで
法律案は今度の火曜日に出す予定であります。
予算が伴わないということがあ
つては断じてならぬということで、預金部資金を中金に預託する。そうしてそれを出す。それから利子の問題はお
つて考える。こういうようなことで池田君と私は意思統一いたしておりますから、それははつきり申し上げます。
これと関連いたしまして、まだ
政府部内でははつきりきま
つておりませんが、どうしても私は
予算を出さなければならぬと思うことは、米軍の演習地の
農村、漁村に対する損害であります。これはどうしても私は出したいと思います。この
国会に出すつもりでや
つてお
つたのでありますがなかなかそういうことができませんので、苦労いたしておりますが、出したい。今
国会には出さないというように大体きま
つておりますから、この次の
国会にはどうしても出したいと私は
考えております。
それから
農協の問題でありますが、これはたびたび
藤田君からも強く教えられておりますし、
現実に党におつたときから、
農協の代表者諸君から盛んに聞かされておるのでありまして、実際に
農村を今後守
つて行くためには
農協を育て上げなければなりませんので、あらゆる角度から
検討いたしまして、資金面あるいはその他の技術面、あらゆる
方面からこれをや
つて行きたいと思
つております。
最後に私はあなたの
質問に対して、すべてを総合して
農民に生きる明日の希望を与えることが大事だろうと思います。この
農民の希望から
国民の希望が私は生れて来ると
考えております。アンビシヤスと申しましようか、何というか知らぬが、
農民に大きな希望を与えることが政治であると
考えておるのでありまして、何かわれわれには報いられるのである。われわれが働くことによ
つて日本民族が救われて行くのである。しかもまた救われることによ
つて農村が潤うのである
農村の子孫が繁栄するのである、こういつたようなひ
とつ大きなアンビシヤスをお互いに持たせることが、本
委員会の一番大事な使命だと思うのでありまして、あえて農林官僚だけを責めずに、あなた方
自身もぜひ責めていただきたいと
考える次第であります。