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1950-07-28 第8回国会 衆議院 内閣委員会 第3号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十五年七月二十八日(金曜日) 午後一時四十五分
開議
出席委員
委員長
木村
公平君
理事
江花
靜君
理事
坂田 英一君
理事
土倉
宗明
君
理事
船田 享二君
理事
鈴木
義男
君 青木 正君 井上 知治君
大内
一郎
君
山口喜久一郎
君 松岡 駒吉君 河田 賢治君 寺崎 覺君
出席国務大臣
国 務 大 臣
大橋
武夫君
出席政府委員
内閣官房長官
岡崎 勝男君
行政管理庁次長
大野木克彦
君
法制意見長官
佐藤 達夫君
林野庁長官
横川 信夫君
海上保安庁長官
大久保武雄
君
運輸省観光部長
間嶋大治郎君
委員外
の
出席者
議 員
岡田
春夫
君
総理府事務官
(
恩給局審査課
長)
城谷
千尋君
農林事務官
(林野府
林政課
長)
奧原日出男
君
建設事務官
(
官房文書課
長)
小林與三次
君 專 門 員
龜卦
川 浩君 專 門 員 小關 紹夫君 ――
―――――――――――
七月二十六日
恩給法
の一部
改正
に関する
請願
(
大石ヨシエ
君
紹介
)(第六五三号) 元
軍人老齢者
の
恩給復活
に関する
請願
(田万廣 文君
紹介
)(第七二八号)
国警予備隊設置反対等
に関する
請願外
一件(岡
田春夫
君
紹介
)(第七八一号) の
審査
を本
委員会
に付託された。 同月二十七日
科学技術
を総合する
主管官庁設置
の
陳情書
(第二二八号) を本
委員会
に送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した
事件
小
委員長
の
選任
閉会中
審査
に関する件
委員派遣承認申請
に関する件
行政機構
に関する件 請 願 一 傷い
恩給改正
に関する
請願
(
大内一郎
君紹 介)(第二二七号) 二 元
軍人老齢者
の
恩給復活
に関する
請願
(村
上勇
君
紹介
)(第四六九号) 三
国立大学附属学校教員
の
恩給増額
に関する
請願
(
若林義孝
君
紹介
)(第五二〇号) 四
恩給法
の一部
改正
に関する
請願
(
大石ヨシ
エ君
紹介
)(第五五三号) 五 元
軍人老齢者
の
恩給復活
に関する
請願
(田 万
廣文
君
紹介
)(第七二八号) 六
国警予備隊設置反対等
に関する
請願外
一件 (
岡田春夫
君
紹介
)(第七八一号)
陳情書
一 国勢
調査
に伴う
人口公示
の時期繰上げに関 する
陳情書
(第六〇号) 二
観光庁設置
の
陳情書
(第一二六号)
日程追加
一
科学技術
を総合する
主管庁設置
の
陳情書
(第二二 八号) ――
―――――――――――
木村公平
1
○
木村委員長
これより
会議
を開きます。本日の
日程
に入ります前に、先日の
委員会
において
設置
せられました
行政機構改革
に関する小
委員会
の小
委員長
を
選任
いたしたいと存じますが、小
委員長
の
選任
は
委員長
において御指名いたすのに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕 ————◇———————
木村公平
2
○
木村委員長
御
異議
なければ
土倉宗明
君を小
委員長
に御指名いたします。 なおただいま
海上保安庁長官大久保武雄
君が
出席
いたしておりますから、
大久保
君から
所管事項
について御
説明
を得たいと思います。
大久保武雄
3
○
大久保政府委員
海上保安庁
の最近の
状況
について御
説明
申し上げたいと思います。
海上保安庁
は先般
内閣委員会
におきまして、
海上保安庁
の
機構
の
改革
につきまして御
審議
をいただいたのでありまして、
海上保安庁
の
機構改革
は去る六月一日をも
つて
出発をいたしておる次第であります。この点
内閣委員
の
皆様
に厚く御礼を申し上げる次第であります。
海上保安庁
はその際
機構改革
の
法案
の御提出を申し上げましたときに御
説明
申し上げました
通り
、将来の
海上
の
警備
、
救難
に関しまして、すみやかに必要なる
態勢
をとることが必要である。かように認めまして
改正法案
の御提案をいたし、また
皆様
によりまして御
審議
をいただいた次第でございますが、これが今回の場合におきましても非常に有効に活動し得るわけでありまして、この点私
ども
といたしましてまことに感謝にたえないと存じておる次第であります。
海上保安庁
は
海上保安庁法
にも規定してありますように、
海上
における
治安
の維持と航海の安全を守るという
二つ
の
目的
に対しまして、常に
準備
並びに実施をいたして参つた次第でありますが、去る六月下旬における
朝鮮事変
以来ひとしおその任務の重要さを加重されて参つたものと存じ、ただちに所要の手配をとりました次第でございます。すなわち
事変
当日、
海上保安庁
は全国の
管区本部
に指令をいたしまして、
海上
の
警戒
を
嚴重
にするように通達いたした次第でございます。これに基きまして
九州方面
を担当いたしております第七
管区
、山陰、
舞鶴方面
を統轄しております第八
管区
、
能登半島
から
新潟方面
を管轄しております第九
管区
は、それぞれ管下の
船舶
並びに
基地
に対しまして、
海上保安庁
の定めておりまする
非常配備態勢
に何どきでも入り得るような
準備
を下令いたしておる次第でございます。すなわち燃料、真水を満載いたしまして、
緊急出動
に備えまするほか、欠員その他
勤務態勢
を充実いたしまして、常に
応急
の
措置
がとれ得る
態勢
をと
つて
おる次第でございます。その後さらに
事変
の推移にかんがみまして、北海道の稚内から鹿児島に至る
日本海方面
の
哨戒
を
強化
する必要ありと
考え
まして、
日本海方面哨戒警備態勢
の
緊急強化
に関する件という
閣議決定
をいただきまして、さらに
哨戒
の
強化
を企図いたしたのであります。すなわち
海上保安庁
は約三十五隻の
木造巡視船
を持
つて
おりますが、これは御
承知
の
通り
非常に老朽した
船舶
でありまして、
海上保安庁
が新しく新造しまする
新鋭船
と引きかえといたしまして、この古い木船を繋船するということに
予算
上
措置
して
参つて
お
つたの
であります。すなわち
昭和
二十五年度におきましては、この
木造船
のうち二十隻はこれを使用いたしませんで、これを繋船することにいたしてお
つたの
であります。しかしながら
事変
以来
哨戒強化
のためには、一隻でも
船艇
がほしい際でございますので、この繋船しておりました二十隻の
木造船
を全面的に
稼動状態
に置くことにいたした次第でございまして、ただちに
配備
につけました次第でございます。現在この二十隻を加えまして、六十二隻の
巡視船
が
海上
に
行動
いたしておることに相な
つて
おる次第でございます。その直後
マツカーサー書簡
を受取りまして、
海上保安庁
は新たに八千人の
職員
を増加するように指示をいただいたのであります。そこで
海上保安庁
は八千人の増員を実施しますにつきまして、種々考究すべき案件があるのでございますが、その
一つ
は
機構
問題であります。
海上保安庁
は先ほど申し上げました
通り
、
皆様
の御協賛によりまして、すでに
海上保安庁法
の
改正
に伴い、
海上保安庁
の大幅な
機構改革
をすでに去る
国会
において通過いたされておりますために、私は現在におきまして大幅な
機構改正
は必要ではない、かように
考え
ておりますけれ
ども
、
人員
の増強に伴いまする若干の
改正
は、ある程度必要になりはせぬか、かように
考え
ておる次第でございます。 次にこの八千人の
職員
は当然
船舶
に配乗いたさなければならないのであります。しかしながら
日本
にはその
適船
がないのであります。現在ある漁船あるいは商船のうち適当な船を撰択いたしますか、あるいは新船を建造いたしますか、道はそれしかないのでございます。
海上保安庁
の
適船
を得ますためには、これはどうしても新造をいたさなければなりませんが、それにはおのずから若干の時日を必要とするわけでございまして、ただちに
応急
の要に応ずるわけには参らない次第でございます。そこでこれらの点を勘案いたしまして、
海上保安庁
は目下
関係方面
とこの八千人を配乗せしむべく
船舶
について協議いたしておりまする過程にある次第でございます。 次に
人員
につきましては、
海上保安庁
は八千人の
職員
ということにな
つて
おりまして、その時期はなはだ明確を欠いておるわけであります。そこで
職員
とはいかなる
範囲
であるかということについて検討をいたさなければならぬ次第でありますので、私
ども
はこの八千人の
職員
とは
海上保安官
並びに
船舶乗組員
であ
つて
、
巡視警戒
の任に任ずるものである、かように解釈いたしたいと
考え
た次第であります。すなわちこれは
警察法
におきまして、
警察官
の制限を
警察官
何名というふうに制限せられておりますのと均衡をとりまして、
司法警察権
を付与しておる
海上保安官
を主体とする。但し
船舶乗組員
はこれは
海上保安官
と一体とな
つて
同一
船舶
において
行動
をいたしますので、この
船舶乗組員
の
範囲
は、これは八千人の
範囲
につけ加えなければならないであろう、かように
考え
まして、
関係方面
とも打合せました結果、私
ども
の
考え
に御同意をいただいておる次第でございます。さような次第でございますから、
海上保安官
以外の
事務職員
というものは、八千人以外に要すれば若干の増加はあり得るものと
考え
ておる次第でございます。 次に
装備
の点でございまするが、
海上保安庁
はただいままで苦しい
国家財政
のもとにおきまして、何よりも早く
船舶
を充実しなければならない、かような
考え
のもとに、そのほかの
装備
を相当犠牲にいたして参
つた関係
上、
通信設備等
がはなはだ不備の
状態
でございます。現在
海上保安庁
の前線の
基地
の中で、約八○%のものが
無線施設
を持
つて
おらない
状態
でございまして、はなはだ緊急の
機動力
を欠いておる次第でございますから、これらはすみやかにこの際充実いたさなければならない、かように
考え
ておる次第でございます。なおまた
武器
の点につきましては、
海上保安庁法
によ
つて
、
海上保安官
は
武器
を携帯することができるということに規定いたされておりまして、
携帯武器
は許可されておる次第でございます。ただこの
携帯武器
すら昨年の秋までは持ち得なか
つたの
でありますけれ
ども
、昨年の秋以来
海上保安官
はすべて
携帯武器
を持つことに相な
つて
おる次第でございます。 以上の
状況
によりまして、
目下マツカーサー書簡
に関する具体的な
計画
には
研究努力
を重ねまして、一日もすみやかに
成案
を得たいと
考え
まして、日夜
努力
をいたしておりまする次第であります。
事変
以来の
海上治安関係
の
状況
を御報告申し上げますと、
事変
直後
南鮮側
におきましても
朝鮮海峡
の
北岸南鮮一帯
にわたりまして
嚴重
な
海上警戒
の線をしいております。またわが国といたしましても、
海上保安庁
は
朝鮮海峡対馬
の線に一線、北九州から
日本海
にかけて第二線をしいております
関係
上、
朝鮮海峡
をめぐる
水域
は相当
嚴重
な
警戒線
のもとにある。かように
考え
てよろしいかと
考え
る次第であります。かような
関係
から、
朝鮮方面
からも
日本方面
からもなかなか
船舶
の出入は困難にな
つて
おります
関係
上、幸いにいたしまして現在までのところ
密航
、
密輸
ともきわめて少数のものに減
つて
おりまして、しかも今回の
事件関係
のものはまだ見当
つて
いないような
状態
にありまして、これは非常に喜ばしいことであると
考え
まするけれ
ども
、今後の事態に関しましてはなお
警戒
を要するもの大なるものがございますので、
海上保安庁
といたしましては依然
嚴重
な
警戒
を続けておる次第でございます。
海上保安庁
の
船舶
の
警備力
から申しますと、ただいま六十二隻の
巡視船
を
配備
いたしておるとは申しましても、これらの
船艇
は相当古い船を加えておりまするために、大体その五○%ぐらいが
稼動状態
にある次第でございます。すなわち
日本
の一万海里に及ぶ
沿岸水域
を三十隻余の
巡視船
で守ることは、一隻の
哨戒水域
が三百海里にも及ぶということでありまして、これは
通常
考え
られる
巡視船
の
哨戒率
の十倍にも達すると
考え
てさしつかえないものと存ずる次第でありまして、現在の
巡視船
の
状況
は実に苦しい
警備状況
を続けておる次第であります。さような
関係
でありまして、
職員
の労苦もひとしお大なるもがありますために、現在できるならば幾らかでもさき得る
方面
から新しく
必要性
を感ずる方に機動的に
船艇
の
配置
がえをいたしたい、かように
考え
まして、
太平洋方面
の
水域
から若干の隻数をさきまして、
日本海
、
九州方面
に
配置
がえをいたしておるような次第でございます。しかしながら、
太平洋方面
の
船艇
の
必要性
は依然として消滅上ておらない次第であります。
西南諸島方面
からの
密貿易
は依然としてあとを絶たず、五月、六月の二箇月だけでも、昨年度検挙いたしました
密貿易金額
の八割を占めるといつたような
状態
でございまして、依然として
太平洋水域
からの
船舶
はなかなかさきがたいといつたような
状態
でございます。
海上保安庁
は、これらの
治安関係
の任に当りまするほか、これらの
水域
における
船舶
あるいは
飛行機
の
救難
を続けておりまして、すでに
事変
以来数回にわたりまして
連合軍飛行機
を救助いたしまして、
関係方面
から
賞讃
を受けておりまするような次第でございます。 以上のような
状況
で、
事変
以来の
朝鮮海峡
をめぐる一帯の
水域
の
密航
、
密輸
は、幸いにして減少いたしておりますけれ
ども
、私
ども
は今後におきましてなお十分な
警戒
を嚴にいたしますとともに、一日も早く
マツカーサー書簡
の具体的な
成案
を得まして、
海上哨戒
に遺憾なきを期したいと
考え
ておる次第であります。さような次第でありまして、とりあえず現在の
職員
の非常なる
不足状態
を救済いたしますために、すみやかに約一千五百名の
職員
を増強いたしたい。かように
考え
まして、目下その
募集計画
をつくり、
関係方面
とも打合せをいたしておりまする次第でございます。 以上、簡単ながら最近の
状況
並びに経過を御報告申し上げる次第であります。
木村公平
4
○
木村委員長
海上保安庁長官
の
説明
に対しましては、
質疑等
もおありかと思いますが、幸い
法務総裁
が
出席
いたしておりますので、この際
警察予備隊
に関する
質疑
に入りますが、
官房長官
も間もなく
出席
いたすと思いますので、さよう御
承知おき
を願いたいのであります。 なお
鈴木義男
君から
総理大臣
に対する
出席要求
がありましたが、
総理
は所用のために
出席
ができないとのことでありまするから、さよう御了承を願いたいのであります。 それではこれよりまず
法務総裁
に対して
江花靜
君より
質疑通告
がありますから、これを許可いたします。
江花靜
君。
江花靜
5
○
江花委員
法務総裁
がおいでにな
つて
おりますから、今度
設置
されます
警察予備隊
について、二、三お尋ね申し上げたいと思います。
警察予備隊
は
ポツダム政令
によ
つて
その
設置
を見るわけでありますが、そうしますと、この
警察予備隊
の身分というものは、
日本
には今
軍人
というものはもちろんないわけでありますから、やはり普通の
国家公務員
である、こういうふうに
考え
られます。そうしますと、この
国家公務員法
との
関係
がどうなるか。もちろん
ポツダム政令
によ
つて警察予備隊
をつくり、
予備隊員
に対して
公務員
の
資格
を与えることは、
国家公務員法
に優越したところの力を持つた
ポツダム政令
でありますから、
設置
に対して違法とかそういう問題は起りませんけれ
ども
、そうしますと、将来
警察予備隊
に関する
事項
は、いろいろ
人員
でも給与もそういう一切の法制的な
扱い
は、やはり
ポツダム政令
あるいはものによ
つて
は
覚書
とかいうものによ
つて
ずつと貫かれるつもりであるか、あるいは
設置
は
ポツダム政令
によ
つて
やつたが、やはりほかの法令に吸收して、そうして
公務員
としての
通常
の法制的な
扱い
をなされるように将来されるつもりであるか、この点についてお尋ねしたいと思います。
大橋武夫
6
○
大橋国務大臣
ただいま
江花
君から御
質問
のございました
警察予備隊
に属する
職員
についての
公務員法
の
適用
の問題でございますが、この問題につきましては、ただいま
政府
といたしましては
調査
中でございます。しかしながら、その大体についてただいま予想できる
範囲
でお答えを申し上げますなはば、この
警察予備隊
の
目的
並びに
性格等
から見まして、
公務員法
のあらゆる
部分
をそのまま
適用
することが不適当ではないかと認められる
部分
も相当あるのではないかと予想いたしております。従いまして、もとより
国家公務員
であることは当然でございますから、原則的には
公務員法
を
適用
すべきものと思いますが、かような現在の
公務員法
の規定によ
つて
は不適当であるという
部分
につきましては、これが
適用
を排除し得るような例外的な
措置
も必要である。そうしてこの例外的な
措置
は、この
警察予備隊
が
ポツダム政令
によ
つて
制定される場合におきましては、その
政令
中にその
除外
の
根拠
を備えるというような形式に相なると思うのであります。
江花靜
7
○
江花委員
そうしますと、いわばか
つて
の
統帥権
に基く
日本
の
軍隊
の制度を
設置
する、あるいは命令する、そういう軍令というようなものと同様なものになるわけでありますが、しかしこれは
国家公務員
でありまして、ただ
ポツダム政令
に基く
国家公務員
と、それから
国家公務員法
による
国家公務員
、この
二つ
の
系統
が新たに
日本
で初めて設けられるわけでありまして、
機構
として相当大きな変革であると思いますが、やはり私
ども
としてはできる限りは
一般
の
国家
の
法制体系
の中に入れてやられた方がよろしいという
意見
でありまして、今
法務総裁
の
お話
を伺いますと、例外的な
扱い
をするのには、やはり
ポツダム政令
を
根拠
として
除外例
を設けるようにしたいという
お話
でありましたから、大体そういうことでよろしいと思います。そのほか
定員法
とか
財政法
との
関係
がありますが、これは
法務総裁
にお伺いするのはどうかと思いますが、
財政
でも、今度のは
国債償還
の費目からこれを出せという
覚書
が来ているのでありまして、これも違法とかそういうことはないわけでありますが、将来やはりこういうふうにすべて
覚書
のようなものによ
つて
おやりになるつもりであるか、あるいは正常な
予算
の手続を経て、普通の方法でおやりになるつもりであるか。
大橋武夫
8
○
大橋国務大臣
マツカーサー元帥
の
書簡
中に、
警察予備隊
の
機構拡充
に要する
経費
は、
国家予算一般会計公債償還費
の中から計上される、こううた
つて
ございますが、私
ども
はこの
書簡
の
趣旨
は、今年度に限る臨機の
措置
であ
つて
、
明年度
以降におきましては当然これら
関係
の諸
経費
は当初
予算
中に計上せられまして、
国会
の
審議
を経べきものである、かように解釈をいたしております。
江花靜
9
○
江花委員
そこで大体この
根拠
となるべき法制的なことは、大ざつぱでありますが了承いたしました。
警察予備隊
ができ上りまして、そうして承るところによりますと、大体訓練を主とするということで、普通の
警察
と称するには、今までのわれわれの
行政法
上の
警察
というのとは
大分観念
が
違つて
、多分に従来の
軍隊
的な
性格
を帯びたように
考え
られますが、その
職務
の
執行
の場合に、
外敵
と言うと少し大げさでありますが、
外敵
の
侵攻
を防ぐというような場合、これはごく少いと思いますが、そういう場合と、
国内治安
で多
衆運動
その他の場合に
一般
の
治安
がはなはだしく乱れる。こういうような場合等にこの
警察予備隊
というものの実際の
職務執行
が
考え
られるのであります。その場合に
警察予備隊
は
内閣総理大臣
に直属しておりますし、それから
国家警察
、
自治体警察
、それはそれぞれの
公安委員会
の
指揮命令
に属しているように
考え
ております。もちろん
自治体警察
も、非常の場合は確かに
総理大臣
が
指揮権
を掌握する。こういうふうに記憶しております。それでその場合に、今申しましたような
外敵
の
侵攻
があるような場合に
出動
する場合、あるいは
国内
の多
衆運動
その他の
状態
が悪化いたしまして、どうしても
通常
の
警察
の鎭圧ではその効を奏しがたいと思われるような場合、いろいろなケースがあると思いますが、それが
出動
するという場合には、大体の建前から申しますと、
公安委員
の
指揮系統
を離れて
内閣総理大臣
が全部掌握する。こういうふうになるのが筋道のように
考え
られますが、
法務総裁
の御
意見
はいかがでございますか。
大橋武夫
10
○
大橋国務大臣
私
ども
は、
警察予備隊
の
目的
はあくまでも
国内
の平和と秩序とを維持し、公共の福祉を保障するに必要な限度内で、
国家地方警察
並びに
自治体警察
の
警察力
を補う、こういう
目的
をも
つて
創設されるものである、こういう
考え
を持
つて
おります。そうしてこれが運用にあたりましては、ただいま
江花
君から仰せられました
通り
、
内閣総理大臣
の直接の
指揮
のもとに運営される。こういうふうに
考え
ております。
江花靜
11
○
江花委員
その場合に
警察予備隊
の方は、これは当然
内閣総理大臣
の
指揮下
にあるのでありますが、その場合に参加しまして
協力態勢
に入りました
国家警察
とか、あるいは
自治体警察
の
警察官
というものは、これはその場合には
公安委員
の
指揮下
を離れて、やはり
総理大臣
の
指揮下
に属するものというふうに
考え
られますが、今の御答弁をそういう御
趣旨
に解釈してよろしゆうございますか。
大橋武夫
12
○
大橋国務大臣
警察予備隊
が
出動
をいたしました場合において、この
予備隊
の
行動
に対して
協力
するところの
国家地方警察
並びに
自治体警察
が、固有の
公安委員会
の
管理
を離れて
総理大臣
の
指揮下
に入るのかどうかという御
質問
でございまするが、この点につきましては、私
ども
はさしあたりの
措置
といたしましては、この間の調整の問題は後日に残したい。さしあたりは
警察予備隊
の
指揮
を
内閣総理大臣
がやる。また
内閣総理大臣
の
指揮
のもとに
警察予備隊
が
行動
いたします場合におきましても、これに
協力
する他の
警察
は、それぞれの
公安委員
の
管理
、運営のもとにおいて
協力
する。かような
態勢
で参りたいと思
つて
おります。
江花靜
13
○
江花委員
御
趣旨
は大体了承いたしましたが、何分この
予備隊
の
出動
する場合には相当
軍隊
的な
行動
をとる必要があると思われますので、大体においてそういう場面に
出動
する場合には、
一つ
の
命令指揮系統
のもとで働かなければ非常に能率的でない、こういうことが言われる場合があると思います。しかしこれは
内閣総理大臣
が必ずしもいつも
指揮
掌握しておらなくても、その
指揮命令
を
国家警察
の
長官
に委任するとか、あるいは
公安委員
にこれを委任するとかいうようなことも
考え
られるだろうと思いますが、こういうことに関しましても、やはり設立の当初においてはつきりした御方針をおきめに
なつ
た方がよいような気がいたします。この点は希望になりますけれ
ども
、申し上げておきます。 それからこの
予備隊
の
隊員
の
資格
といいますか、そういう問題についてちよつとお伺いしたいのですが、伝えるところによりますと、二十歳前後の者で思想的に堅実な者というような
條件
が特に強調されておるようであります。これは主として
農村あたり
の方からよけいにとられるような結果にもなると思いますが、七万五千を三年間の
期間
で訓練しますと、いつも七万五千おるようにして三年間の
期間
だとすると、毎年二万五千ずつの
募集
があるわけでありますが、二十歳前後と局限して、それではたして十分にその人を得られるかどうか、この点についてらよつとお伺いしたいと思います。
大橋武夫
14
○
大橋国務大臣
江花
君の御
質問
の点は、ただいま当局として
関係方面
と
協力
のもとに、
せつかく調査
中の問題でございます。もちろん
募集
にあたりましては、
警察予備隊
を
設置
する
目的
から
考え
まして、
体力強壮
で、しかもでき得る限り思想堅固な
人たち
によ
つて隊員
を充足するということが適当でありまするので、その点からいろいろな
採用資格
を
考え
ることに相なりまするが、何分にも
相当数
の
人員
でございまするから、はたして
募集
し得るかどうかという点も考慮に入れながら、この
資格
も
考え
て行くというふうなことに相なろうかと
考え
ます。
江花靜
15
○
江花委員
宇垣内閣
のときに軍縮がございました直後は、大体
兵隊
の
常備軍
の
定員数
は——決してこれはこの
予備隊
を
軍隊
だという意味で申し上げるのではありません。ただ
構成員
を
募集
する、獲得する場合の難易の問題を問題にしているのでありますが、あの当時で、一年もあり、二年もあり、一年半で
帰つた者
もある、あるいは三年で
帰つた者
もございましようが、大体普通の
兵隊
にとられた者は、やはり一箇年四、五万であつたと思います。この四、五万は御
承知
の
通り
だれもかれも網羅的に画一的にみな集めたのであります。それでもやはり相当
兵隊
にとられたわけであります。今度も二万五千というと、簡単のようでありますが、なかなか年齢に制限があり、思想その他においても制限がある。もちろん身体も丈夫でなければならないというように、いろいろな点に制限があります。またいろいろな
装備
を運用して行く上におきまして、相当の知能あるいは技術についての可能性を持つた者を採用するということになりますと、なかなか困難になるのではないか。これが待遇その他の問題で、みんなが喜んで来るようになれば、その点はそれで救われましようが、現在の
警察官
程度の待遇でありますと、なかなか
警察官
の方でもいい人がほしいでありましようし、こちらの方でもなおいい人がほしいというので、相当困難を感ずると思いますが、こういう点も、あまり四十も五十にも
なつ
た人を、とるというわけには参りませんが、相当幅を持
つて
やるようにお
考え
願つた方がよろしいのではないかと思います。 なお隊の中には幹部がいると思います。主として教養あるいは訓練あるいは規律を保つ幹部がいると思います。これは承るところによりますと、現在の
警察官
の中からも参ると思いますが、私一個の
考え
としましては、この
予備隊
の性質は、
国内治安
を保つ場合に、普通の
警察
事務ではやれない、すなわち
軍隊
的な
一つ
の実力を行使するための制度でありまするから、やはり幹部はしつかりした者を求めなければならぬ。単に捜査が上手だからそのまま持
つて
行
つて
教官にすえるということにも参らぬ。そうしますと、この幹部は、いはゆる
軍隊
にしますと、下士官というようなものもあれば、将校というようなものもありますが、そういうような者をどういうふうにして獲得されるおつもりであるか、ほんのお
考え
だけでよろしゆうございますが、お伺いしたいと思います。二万五千の
隊員
が入りますと、これもいろいろ
装備
の
関係
その他によ
つて
違いまするが、教官は百人について一割くらいの者はいると思います。最高幹部まで入れたら一、二割のしつかりした者がいると思います。この幹部の獲得ということについてはどんなふうに
考え
ているか。今までの
軍人
を、
軍人
なるがゆえに悪いという意味で、
一つ
もそういう経歴を持つた者を採用されない——追放にな
つて
いる者や、特別な者は別であるとしても、そうなりますと、どういうふうにして獲得されるか。普通の
警察
事務とも違つた問題だけに、いささかその点憂慮にたえないのでありますが、どういうふうにお
考え
でありますか。
大橋武夫
16
○
大橋国務大臣
幹部といたしましては、お示しの
通り
、
通常
の
警察官
と運用上活動の場合が多少違いまするから、単なる
警察
経歴の持主をかき集めるというだけでは、とうてい適当でない。従いまして場合によりましては、か
つて
軍隊
において経験を持つたというような人も採用しなければならぬと思うのでありますが、しかしもとより今日追放令というものがございまするから、このわく内において処置いたしたいというふうに
考え
ております。
江花靜
17
○
江花委員
これも今のうらからお聞きするのは、少し先走
つて
いるかもしれませんが、この
警察予備隊
の訓練を主とした隊の組織運営は、普通の
警察官
ともまた異なりまして、相当内部の規律とかいうものが、今日の民主主義の感覚のもとにつくられた
公務員
のいろいろな規律とは、多少違つたものがあると思います。と申しまして、私は従来の
統帥権
に基く絶対服従ということが望ましいということでは絶対ありませんけれ
ども
、何かそこに
政府
でお
考え
にな
つて
いることがあるかどうか。これをちよつと伺いたいと思います。
大橋武夫
18
○
大橋国務大臣
この点は、ただいまのところ、特にこれと
考え
ておるわけでもございませんが、しかしながら、仰せのごとく、部隊として
行動
することを使命といたしましたる
予備隊
の性質から
考え
まして、部隊の規律を保持するということのためには、でき得る限りの
努力
をして、所期の
目的
を達成し得るようにいたさなければならぬ、かように存じております。
江花靜
19
○
江花委員
なおいま
二つ
ばかり伺いますが、
予備隊
の
設置
につきまして、先ほどのお言葉がありましたが、
ポツダム政令
で設けられまして、そしていろいろな法制をこれからしつかりとおつくりになると思いますが、その場合に、何か
関係
法令あるいは
関係
機関について、
人員
なり
予算
なり、あるいは法制なりについて、特に改める必要があると思うようなところがあれば、お知らせを願いたいと思います。
大橋武夫
20
○
大橋国務大臣
特別
警察
隊の
管理
をつかさどりますために、本部と申しますか、かような新しい
管理
機構
をつくる必要があると
考え
ております。そしてこの
警察
隊本部は、私
ども
の構想といたしましては、でき得べくんば、
総理
府内の外局的なものといたして参りたい。そして急速に全国にいろいろとわかれておりまする各部隊を統一的に
指揮
いたす、こういうふうにいたしたいと
考え
ております。
木村公平
21
○
木村委員長
江花
君、実は
法務総裁
は、各
委員会
から盛んに
出席要求
がありますから、簡単にお願いいたします。
江花靜
22
○
江花委員
最後に私は、昔の
軍隊
的なものとの比較を用いまして、何か
警察予備隊
が昔の
軍隊
であるというふうに
考え
られるような
質問
を申し上げますが、決してそういう意味ではないのであります。ただ
一つ
の組織体として動くのに、
考え
方を
軍隊
の例によ
つて
お伺いしただけであります。それでこの問題は、
ポツダム政令
によ
つて
できたという点から見ましても、また独立して訓練だけをや
つて
おる、そうして相当
装備
を持
つて
いるというような点からもちまして、今日国民に、何となくアメリカの
軍隊
の補助部隊ではなないかというような印象も与えられないこともないようでありますから、こういう点につきましては、
質問
というよりは希望でありますが、なるべく
国会
あたりとの関連を常に密接にされまして、そういう疑いのないように、どこまでもわれわれ国民の機関であり、そして国民の福祉のため、あるいは安寧のために運用をするのだというふうに、ひとつ制度を御制定の上御指導を願いたい。こういうふうに
考え
ております。これをも
つて
終ります。
木村公平
23
○
木村委員長
質疑
の通告がありませんので、
法務総裁
に対する
質疑
は終了いたしたと認めます。 —————————————
木村公平
24
○
木村委員長
なおこの際
法務総裁
が御
出席
でありますので、本日の
日程
の第六、
国警予備隊設置反対等
に関する
請願
の
紹介
説明
を願いたいと思いますが、その前に、この
請願
を採択するかせないかの本
委員会
の態度は、いまだ未決定でありますので、これに対して、
法務総裁
から特別の御答弁等は不必要と認めますことを、あらかじめ申し上げ、
岡田春夫
君から
請願
の
説明
を求めます。
岡田春夫
25
○
岡田
(春)委員
委員長
から特別に
説明
だけという限定がありましたけれ
ども
、先ほど
江花
君と
大橋
総裁との論議においても、
江花
君が誤解のないようにと再三言われておるにもかかわらず、
質疑
をされている内容は、事実において従来の
警察
とは違う、
軍隊
的なものであるというような
質問
においても、自由党の諸君の
考え
方に、そういう点がはつきり出ているのじやないかと私は思います。要するに今度の
国家警察
の
予備隊
というのは、
軍隊
の復活であるという点は、今の
質疑
応答を通じても非常にはつきりして来ておるのじやないかと思います。特に
大橋
法務総裁
がこの点について、
軍隊
的なものではないということを明確にされない点でも、そういう点はだんだんはつきりしておるのじやないかと思うのであります。そういうようにな
つて
参りますと、これはポツダム宣言の違反であるということが非常にはつきりして参りますから、
日本
の再武装あるいは特高
警察
の再現の危険性が非常にあると思うのであります。そこで私たちここで
紹介
議員として
紹介
いたします
請願
書の提出者は、全
日本
印刷並びに全
日本
新聞両労働組合でありますが、ただいま申し上げたような意味でポツダム宣言の点からも違反しておる。それから、もしこのような
予備隊
がどうしても実現しなければならない場合においても、
ポツダム政令
によ
つて
行うということは、明らかに
国内
法として違法であるとわれわれは
考え
ております。従
つて
当然これは法律案で提出されるべきであるということは、従来の
国内
法の
考え
方から行きましても当然なことであると思います。 また先ほどの
質疑
応答を聞いておりますと、この
国家
警察予備隊
に必要なる
経費
は、マツク
書簡
の債務償還費の中からこれを流用するということを、ただ単に
大橋
総裁は言
つて
おりますが、この流用の場合においても、当然流用が必要にな
つて
参りますならば、補正
予算
その他の
予算
的
措置
が
財政法
第三十三條によ
つて
行われなければならないというのがわれわれの
考え
方であり、こういう意味においても、この際
国家
警察予備隊
設置
をもしどうしても実現をしなければならない場合においては、法律的な
措置
によ
つて
予算
の
措置
も同様に行われなければならないとわれわれは
考え
ているわけであります。そこで首題に申しましたような
国警予備隊設置反対等
に関する
請願
書を提出いたしたわけであります。以上、簡単でありますが、理由を
説明
いたしました。御採択を願います。
木村公平
26
○
木村委員長
ただいま
岡田春夫
君から
紹介
されましたる
国警予備隊設置反対等
に関する
請願
の件につきまして、これの採択かいなかを決定いたしたいと思います。
岡田春夫
君、御苦労さんでした。 続いて
請願
の
審査
を行いますが、
請願
の
審査
は、
紹介
議員及び
政府
委員が来られておりまして、
請願
の
説明
を希望せられる場合には、
政府
委員の
説明
を許可する方針でおりますから、御
説明
あ
つて
けつこうであります。これにより順次
請願
紹介
議員の見えられておるものから御
説明
願いたいと思います。 —————————————
木村公平
27
○
木村委員長
日程
第一、傷い
恩給改正
に関する
請願
を議題といたします。
紹介
議員より
説明
を求めます。
大内一郎
君。
大内一郎
28
○
大内
委員 現在の国民の生況
状況
また物価の
状況
から見て、これら恩給給与者が非常に困
つて
おるということは、私が
説明
申し上げるまでもなく明白な事実であると
考え
ます。従
つて
財政
の許す限り、かようなものに対して適当なる増額をすることが、今日最も緊要のことであると信じまして、この
請願
を
紹介
したような次第であります。どうぞ御賛成を願います。
木村公平
29
○
木村委員長
大内
委員からの
説明
に対して、
政府
側の御
意見
がおありでありましたならば、御
意見
を発表願いたいと思います。
城谷千尋
30
○
城谷
説明
員 ただいま御
紹介
がございました
軍人
軍属の傷痍恩給の問題につきましては、われわれとしましてもいろいろと配慮いたしておるのでございます。何分にもこの問題につきましては、御
承知
の
通り
連合国最高司令官からの
覚書
がありまして、その
覚書
の
趣旨
によりますと、非軍事的な原因に基いて生じた同程度の傷痍者に対する補償金の最低割合を越えることができないので、こういうことにな
つて
おります。現在の恩給額は厚生年金額等を標準として定められておるのであります。そういうわけで厚生年金額が増額にならない限り恩給の方を急に増額するというふうなことは、現在のところ困難じやないかと
考え
ておるわけであります。この
請願
書にあります
通り
に、一定の
條件
を無視しまして、ただ俸給月額を五百円一本に改め恩給額を算出するということにすると、いろいろ波及した問題が起きますので、特に慎重に考慮すべき問題のように
考え
ております。さよう御了承願いたいと思います。 —————————————
木村公平
31
○
木村委員長
次に
日程
第二及び第五、元
軍人老齢者
の
恩給復活
に関する
請願
は同一
趣旨
でありまするから、一括して議題といたします。
紹介
議員がお見えにならないようでありますので、便宜上文書表の朗読によ
つて
審査
を進めたいと思います。文書表の朗読を願います。 〔朗読〕 本
請願
の要旨は、今回の大戦に
関係
のない元
軍人
で、七十歳以上の老人の恩給は、戦後元
軍人
の恩給の廃止とともに中止となり、彼らは老齢で体力衰え、生活の道なく、栄養不足のため、次々と死亡し、残存者も就床中の者が多いという悲惨な現状である。ついては、元
軍人老齢者
の恩給を復活されたいというのである。
木村公平
32
○
木村委員長
政府
の御
意見
を求めます。
城谷千尋
33
○
城谷
説明
員 ただいま御
紹介
になりました元
軍人
の恩給につきましても、前に申し上げました
覚書
との
関係
がありますので、今のところこれを給するということはちよつと困難のように
考え
ております。この問題につきましては、
昭和
二十年の十一月四日に
覚書
が発せられましたときに、われわれとしましては当時いろいろ案つくりまして、
関係方面
との折衝をしたこともあるのでありますが、それがいろいろな理由で実行されずに、現在に至
つて
おるわけであります。これをただちに給するように
措置
することは、ちよつと困難ではないかと
考え
ております。さよう御了承を願いたいと思います。
木村公平
34
○
木村委員長
ただいま岡崎
官房長官
が
出席
いたしましたので、この際岡崎
官房長官
から、委員側より御希望でありまする
警察予備隊
に関する
政府
のお
考え
の一
部分
の御
説明
を得たいと思います。岡崎
官房長官
。
岡崎勝男
35
○岡崎
政府
委員 この
警察予備隊
と申しますか、これは仮の名前でありますが、この問題につきましては、
マツカーサー元帥
の
書簡
に基きまして、指令として処理しております。ただいまこの組織等につきましては、司令部側と共同作業で
準備
を進めておりますが、司令部側との間の話合いは、先方にも外国通信社がたくさん参り、いろいろ聞くけれ
ども
、何にも結論が出ていないうちに何かしやべるということは、かえ
つて
誤解を招くから向う側は一切しやべ
つて
おらない、
日本
側においても一切これについては、結論が出るまでは、新聞等の発表もしくは公式の発言等は差控えた方がいいと思うということで、われわれの方もそれはその
通り
だと思いまして、ただいままだ何ら発表等をいたしておりません。新聞その他いろいろ出ておりまするが、これはおそらく
マツカーサー元帥
の
書簡
を丁寧に読みまして、常識的の判断を下せば、ある程度こういうものになりそうだということは
考え
得るのでありまして、そういう意味の推測記事等に違いないと
考え
ております。現にわれわれが今研究中の点と少し違うような
部分
もたくさんあるのでありまして、決して
政府
側から内密に漏らしたようなことに基いたものとは
考え
ておりません。なおここで申し得ることは、この
警察
は
国内
の
治安
維持に当るものでありまして、その他の意味は全然ないのであります。従いましてややもすれば疑われるのではないかと思
つて
われわれが心配しておりますような、たとえばこれが将来
軍隊
の基礎になるのではないか、あるいは将来
日本
がまた再び
警察
国家
となるのではないか、もしくはこれが特高のようなものを復活することになるのではないかというようなこともあろうと思いまするが、この点だけは、私ははつきり申し上げられると思うのですが、そういうことは全然ないのでありまして、もつぱら現在の
警察
——というのは
国家地方警察
及び
自治体警察
でありますが、この両方の
警察
の足らざる場合を
考え
まして、そのときの
治安
維持に当る
警察力
、従いまして名前はまだはつきりきま
つて
おりませんが、
マツカーサー元帥
の手紙の中にも、これをポリス・リザーブというふうに呼んでおりまして、予備といいますか何といいますか、要するにリザーブであるということを明らかにしておる次第であります。
木村公平
36
○
木村委員長
官房長官
に対しまして、
鈴木
君より
質疑
の通告がありますから、これを許可いたします。
鈴木義男
君。
鈴木義男
37
○
鈴木
(義)委員 ただいまの
お話
では、まだ発表する段階でないということでありますが、しかし新聞等が盛んに伝えており、ある程度まで事実であろうと思われるものも少くないのでありますから、議会の開会中でございまするし、さしつかえない限度において内容を明らかにして、
国会
の批判にまつ
部分
もあ
つて
さしつかえなかろうと思いますので、一応二、三の点をお伺いしたいと思います。 すでに
政府
の中には、この
警察予備隊
設置
に関する
準備
委員ともいうべきものもあるやに見受けるのでありますが、そういうものがありますか。
岡崎勝男
38
○岡崎
政府
委員
準備
はしておることはむろんでありまするが、
準備
委員というようないかめしいものはまだございません。
鈴木義男
39
○
鈴木
(義)委員 何か
官房長官
と
法務総裁
が、主として議会なんかでは
説明
に当
つて
おられるようでありますが、これは何か
根拠
があ
つて
や
つて
おるわけですか。
岡崎勝男
40
○岡崎
政府
委員 これは
政府
の、何と申しますか、言葉は違うかもしれませんが直属といいますか、
政府
のもとにある
警察
であります。従いまして
総理大臣
が一番の責任者になるのは当然でありまするが、
総理大臣
みずからやる時間もない場合が多くありまするから、その意味で
官房長官
がこれに当
つて
おるわけであります。なお
法務総裁
は、
国家警察
の方の連絡に当
つて
おりまするし、また
法務総裁
として検察事務その他について通曉をしておられますので、
総理
から
準備
の知惠をかりておる、こういう点で、今度の問題にも、主として
法務総裁
と
官房長官
において
準備
を進めておるわけでありますが、これは非公式のものであります。
鈴木義男
41
○
鈴木
(義)委員 われわれの内閣の時代に、
警察
を編成するための五人の
準備
委員を、閣議において決定してや
つて
おりましたから、そういうことがあるかと思
つて
お尋ねをいたしました。それならば、この
警察予備隊
編成については、何か
警察法
改正法案
のようなものをお出しになる予定でありますか、または補正
予算
等をお出しになる予定でありましようか。
岡崎勝男
42
○岡崎
政府
委員 ただいまのところ
警察法
改正
というようなことは
考え
ておりません。もし何か将来ありとすれば、これが全然別個の問題として、
警察法
自体の問題として起るなら別でありますが、この問題について
警察法
をとやかく言うことは
考え
ておりません。なお補正
予算
云々の
お話
がありましたが、この点はまだお答えするの立場にないのであります。
鈴木義男
43
○
鈴木
(義)委員 先ほど
江花
議員から
法務総裁
に御
質問
がありまして、当然
ポツダム政令
であるというふうに予定して問答が行われておるのですが、その点はいかがですか。
岡崎勝男
44
○岡崎
政府
委員 私は
法務総裁
の申したことは聞いておりませんが、もし今おつしやつたようなことが
法務総裁
の発言でありましたならば、私もさよう
考え
ております。
鈴木義男
45
○
鈴木
(義)委員 数百億の
予算
を組み、七個師団に相当するような厖大な
警察予備隊
をつくるのでありますから、これは
国家
の政治としてはこれ以上重大な政治問題はなかろうと思います。たとい
マツカーサー元帥
の指令でありましても、今行われておる
警察
、これも編成をいたしますときには、
マツカーサー元帥
の指令であ
つたの
であります。にもかかわらず、われわれは
法案
をつくり、議会の議に付して十分御
審議
を煩わして決定したことは、御
承知
の
通り
であります。今回の指令にも別に
ポツダム政令
でやれというようなことはうた
つて
いないように思うのであります。その点なぜわれわれがやつたように民主的におやりにならないのでありますか、承りたいと思います。
岡崎勝男
46
○岡崎
政府
委員 今回の
警察
の問題につきましては、いろいろ司令部と打合せをしておることは事実でありますが、その打合せの内容についてはただいま申し上げる自由を持
つて
おりません。しかしながら
政府
といたしましては、今回の
警察
についてはポ
政令
で行うのが至当である、こういう
考え
を持
つて
おることについては、先ほど
法務総裁
が言われたということを聞きましたが、その
通り
であります。
鈴木義男
47
○
鈴木
(義)委員 そうすると、
予算
も相当厖大なものだろうと思うのでありますが、これもやはり議会の議に付せずに、
財政法
上やれるというふうな御見解でありますか。
岡崎勝男
48
○岡崎
政府
委員 ただいままだその点は発言する自由を持
つて
おりません。
鈴木義男
49
○
鈴木
(義)委員 これからだんだんこまかいことでお尋ねをしたいと思
つて
お
つたの
でありますが、この大きな問題でもその程度では、とてもお答え願えないと思いますので、他の機会に讓りまして
質問
を打切りますけれ
ども
、私はこれは非常に重大な問題で、できるだけ
関係方面
とも了解を得て国民の納得の行くようにこの重大問題を取扱
つて
行くという
政府
の御
努力
が願いたいのであります。 それから
委員会
の中では
内閣委員会
が、この
警察
問題は
内閣総理大臣
の直属に属すると言いますから、一番権限を持
つて
おる
委員会
であると思います。
内閣委員会
において、
法務総裁
も
質問
しようと思
つて
おるうちに退却されてしま
つたの
でありまして、どうかできるだけ
内閣委員会
においてこの問題を
審議
するという地位にあることを、
委員長
におかれましても、
政府
におかれましてもお認めおき願いたいと思います。
木村公平
50
○
木村委員長
官房長官
に対する
質疑
の通告は
鈴木義男
君一人であり、さらに
質疑
は通告することによ
つて
これを許可するのが当
委員長
の方針でありますので、今後もその線に沿うて
委員長
は運営をいたして行きたいと思います。
官房長官
に対する
質疑
の通告はすでに終りましたので、これをも
つて
質疑
を終了いたします。 —————————————
木村公平
51
○
木村委員長
なお本
日本
委員会
に送付されました
科学技術
を総合する
主管官庁設置
の
陳情書
に関し、
官房長官
に
意見
を求めたいと存じます。まず文書表の朗読を願います。 〔朗読〕
科学技術
を総合する
主管官庁設置
の陳情(第二二八号) 陳情者
日本
科学技術
連盟会長石川
一郎
わが国産業経済を復興し自立経済を達成するには、その基礎を
科学技術
の振興に求めなければならないが、これに対応する施設等においても、画期的方策を樹立実施する必要があるから、科学振興のため
科学技術
の総合的運営を図る主管官庁をすみやかに
設置
せられたい。
木村公平
52
○
木村委員長
御
意見
がありますか。
岡崎勝男
53
○岡崎
政府
委員 ただいまの
陳情書
の御
趣旨
はまことにもつともだろうと
考え
ております。但し
政府
としてはできるだけ
経費
を節減いたしまして、国民の重い税の負担を軽減したいというふうに
考え
ておりますので、こういう点も考慮しまして、特別の官庁をつくるかどうかということは、これはさらに研究を要する問題と思いますが、
科学技術
を振興したいという気持におきましては、まことにただいまの陳情の
通り
であります。 —————————————
木村公平
54
○
木村委員長
次に
日程
第四、
恩給法
の一部
改正
に関する
請願
を議題といたし、文書表の朗読を願います。 〔朗読〕 本
請願
の要旨は、今回恩給が増額されたことは恩給受給者にと
つて
感謝にたえないが、その際決定された年令による制限は不合理であるから、規定の年令に達しなくても全部支給し得るよう
恩給法
の一部を
改正
されたいというのである。
木村公平
55
○
木村委員長
政府
の
意見
を求めます。
城谷千尋
56
○
城谷
説明
員 現在
恩給法
で五十歳以下の者につきまして恩給の一部を停止しておる次第なのでありますが、恩給というものは老齢にな
つて
やめた場合に給せられる
趣旨
から、そういうふうにな
つて
おるのではないかと
考え
ております。若くて退職いたしました者は、それ相当の活動能力もあるのですから、かかる者について恩給を停止するのは、
一般
的には適当な
措置
ではないかと
考え
ておるのでありますが、本
請願
のように多数の子供があるというような場合、これに対して全額を給するのがいいか悪いかということになりますと、これはよほど慎重に考慮すべき問題のように
考え
ております。 —————————————
木村公平
57
○
木村委員長
次に、順序が違いましたが、
日程
第三、
国立大学附属学校教員
の
恩給復活
に関する
請願
を議題といたし、
紹介
議員の
説明
を求めます。——
紹介
議員御欠席のようありますので、
政府
の
意見
を求めます。
城谷千尋
58
○
城谷
説明
員 現在
恩給法
が準用されておりますところの地方の小、中学校の先生とか、あるいは高等学校の先生でありまして、十七年以上も勤続しておるような先生につきましては、十七年を越える一年につきまして一定率の加給をしておるのであります。しかしながらこの制度は国立大学の附属学校の方には
適用
にな
つて
おらないのであります。こういうふうな地方の学校の先生につきまして特別な
措置
を講じたのは、ずつとこれは昔のことなのでございますが、この制度をつくりました当時には、それ相当の理由があつただろうと思うのでございますが、その当時と現在とは相当事情に差異を来しておるような
状況
でありまして、この地方の学校の先生についての加給というふうな制度につきましても、再検討をしなければならぬように
考え
ておるのであります。そうしますと、従来なかつたところの国立大学の附属学校の先生につきまして新たにこの制度を設けるということについては、なお一層研究しなければならぬのではないかというふうに
考え
ております。
木村公平
59
○
木村委員長
本日の
日程
中の第一、第三、第四はこれを採択し、議院において採択の上は内閣に送付すべきものといたし、残余の
日程
につきましてはその決定を延期いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木村公平
60
○
木村委員長
御
異議
なければさよう決定いたします。 —————————————
木村公平
61
○
木村委員長
次に
陳情書
の
審査
を行います。
陳情書
日程
第一、国勢
調査
に伴う
人口公示
の時期繰上げに関する陳情を議題といたします。文書表の朗読を願います。 〔朗読〕 国勢
調査
に伴う
人口公示
の時期繰上げに関する陳情(第六〇号) 陳情者 大阪市大阪市
会議
長田村敬太郎外四名
政府
は、本年十月一日を期し、終戦後第二回目の国勢
調査
を実施し、わが国国勢の把握を企図するとともに、これが確定の公示を明年六月ごろ発表されるとのことであるが、地方自治法第二百五十四條に示すごとく「自治法上の人口は官報に公示された最近の人口による。」と規定されている、ために明年四月改選の市
会議
員の定数算定の基礎となる人口数は、右国勢
調査
によらないこととなるから、これでは現実に沿わない一昨年
調査
の常任人口数に基いて算出される結果となる。従
つて
本年の国勢
調査
につき、明年六月の官報公示は、これを繰上げ、おそくとも二月末日までに公示せられるとともに、確定人口の集計が、右の時期までに事務上不可能なときは、少くとも五大都市だけを切り離して繰上げ公示されたい。 —————————————
木村公平
62
○
木村委員長
次に
観光庁設置
の陳情を議題といたし、文書表の朗読を願います。 〔朗読〕
観光庁設置
の陳情(第一二六号) 陳情者 鳥取県庁商務課内第六回中国五県観光連絡協議
会議
長鳥取県観光連盟会長各務武雄 観光事業の進展は、国際間相互の理解と親交を厚くし、外貨の獲得を促進して、わが国経済再建に寄与するところが大きいから、これが施策実施機関たる運輸省官房観光部を
強化
拡充して観光庁となし、中央よりする一貫した
協力
な観光事業の推進をはかられたい。
木村公平
63
○
木村委員長
政府
の
意見
を求めます。
間嶋大治郎
64
○間嶋
政府
委員 現在運輸省におきましては、観光行政といたしまして、対外宣伝、また外客の接遇並びに運輸、交通施設、こういうふうな面につきまして、大体観光事業のプロパーの行政を担当いたしております。しかし観光事業は非常に多面多岐にわた
つて
おりますので、観光に
関係
のある行政というふうに
考え
ますと、非常に広く各省にまたが
つて
おります。たとえば、道路問題につきましては、建設省の主管でございますし、国立公園は厚生省の主管であります。また観光の対象になります天然記念物、あるいはまた名勝というようなものは文部省の主管にな
つて
おるというふうに、たくさんの省にまたが
つて
おるのであります。これをできるだけ統合した方がいいということは、かねがね私
ども
も
考え
ております。本年の四月に内閣に置かれました行政制度
審議
会で、観光行政を統合するという意味で、
総理
府の外局として観光庁を
設置
し運輸省観光部及び厚生省の国立公園部をこれに吸收する、こういう案ができまして、
政府
に答申せられておるのであります。こういう答申が出ましたし、また実際問題といたしまして、できるだけ統合した方がいいとも
考え
られますので、現在せつかく研究中でございます。しかし観光庁というふうなものを
総理
府につくるのがいいか、あるいはまた諸外国にみまするように、最も
関係
の深い省にできるだけ仕事を集めるというふうな行き方がいいかということは、一長一短がございますので、慎重に研究をしなければならないと
考え
ております。いずれにいたしましても、現在よりも観光行政をさらに数歩進めるというふうな意味で、統合を
考え
たいと
考え
ておる次第であります。
木村公平
65
○
木村委員長
本日の
陳情書
は、いずれもこれを
委員会
において了承いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木村公平
66
○
木村委員長
御
異議
がなければさよう決定いたします。 —————————————
木村公平
67
○
木村委員長
次に閉会中
審査
の件を議題といたします。 第八
国会
も今月三十一日をも
つて
終了となる見込でありますから、今会期は短時日であり、十分なる
調査
もできなか
つたの
で、閉会中も
行政機構
に関しまして、その
調査
を継続いたしたいと存じますが、その旨議長に申し出るに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木村公平
68
○
木村委員長
御
異議
がなければ、さよう取
扱い
ます。 なお閉会中の
審査
事件
が付託されましたならば、現在存在いたしまする小
委員会
も継続いたすことにいたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木村公平
69
○
木村委員長
御
異議
がなければさよう決定いたします。 また閉会中における
調査
のための委員派遣の件に関しましては、閉会中の
審査
が付託されました場合に、
委員長
においてしかるべくとりはからいたいと存じまするから、派遣地、委員、
期間
等に関しましては、
委員長
並びに
理事
に御一任願いたいと存じまするが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
木村公平
70
○
木村委員長
御
異議
なければ、さよう決定いたします。 以上をも
つて
議事
日程
は終了いたしましたので、これにて散会いたします。 午後三時五分散会 ————◇—————