○岡田
説明員 ただいま政務次官より御
質問に対してお答えいたしたのでありますが、私からも若干補足させていただきたいと思います。
宇部地区におきまして水による
災害が頻発いたしておりますことは御指摘の
通りでございます。従いまして
保安法といたしましては、海の底を掘る
炭鉱に対しましては、特別に
危險予防の必要があることを
考え、單なる普通の
炭鉱におきましても、いかなる
方法で掘るかということにつきまして施業案というものを出させておるのでありますけれ
ども、海の底を掘る
炭鉱につきましては、特に特別掘採契約というものを出させまして、さらに詳細なる検討を加えることにしておるわけであります。
海底からどのくらいのところまでは掘
つてはならぬとか、あるいはもう少し種々雑多な特別な規定が設けられているわけであります。
それから海の底を掘る
炭鉱でない
炭鉱でありまして、
宇部特有の
事例、先ほどの御
質問で御指摘がございました桜山
炭鉱と申しますものは、海の底を掘
つている
炭鉱ではないのでございますが、陸上の
炭鉱でありながら、その
炭層が何枚もあります。すでに上の
炭層は掘りまして、さらにその下の部分を掘
つておるのであります。そうすると水を頭の上に置いて掘
つておりますので、やや
海底炭鉱に似ているのでありますけれ
ども、これはいわゆる
古洞の関係の
炭鉱になりまして、これは従来の規定から申しますれば、
先進ボーリングをやることによ
つて被害の防止をするをいうことが唯一の規定の
ようにな
つていると思うのであります。その
海底の
炭鉱と
——海底という今度の場合も
海底炭鉱でございますけれ
ども、被害は
海底炭鉱のゆえにできたのではありませんので、
古洞から水が出たという意味から申しますれば、か
つての桜山
炭鉱の
災害とやや似ている申してよいと思うのであります。従いまして、私の
考えから申しますれば、
古洞による水の
災害ということが、
ちようど現在の
保安法に基きまする
保安規則の盲点じやないかと思
つておるのでありますが、海の底の
炭鉱はやや万全の態勢ができております。
沖ノ山炭鉱がか
つて水を出しまして、人命には被害はございません、でしたけれ
ども、国家の宝ということからいいますれば莫大な損害を出したのでございますが、この方に対する諸規定を、
古洞の
炭鉱に対しましてさらにどの
程度に適用できるか、また根本としてどこに
古洞があるかを
調査する点につきましては、すでに
保安局長から御答弁いたした
通りであります。それらの点をにらみ合せまして、法規的にも整備すべき点があるのじやないかと
考えておりますので、特に
保安法におきましては鉱山
保安の審議会がございまして、各界の專門家がおられるわけであります。この方面と十分に連絡いたしまして、最も早き機会にこの点についての法制を完備いたしたいと思うのであります。
それから、
保安法の施行上、これがちやんと法律にきめてある
通りに
保安が行われているかどうか、もし行われておらぬとするならば、何がこれをじやましておるのかという御
質問がお
つたと思うのでありますが、この
保安法は、従来の鉱業警察規則から申しますならば非常にレベルの高いことを規定いたしておるということが第一点。次に第二点といたしましては、戰争中特攻的な
採掘を各
炭鉱、鉱山に命じておりましたために、その山の状態は非常な荒廃を出してお
つた。従
つてこれを急速に回復するためには、どうしても職員を含めまして中において働く労働者の方々みなの人命を安全にすると同時に、国家の公利を失わない
ようにしなくちやならぬという
ような
観点から、この鉱山
保安法をつく
つて参つたのでありますが、何しろそこに現状と法規のねらいとの間に大きなギヤツプがあるわけでありますので、法律ができましたその日からただちに法規の要求しまする
通りに強行いたしますることは、山の経済、山の資力、またひいては国家的に
考えましても、かえ
つて逆効果を来すこともあり得ると
考えられましたので、一定の施行期間を置きまして、その間もつぱら法規の精神の宣伝なり普及なりに努めてお
つたわけでありまして、現在で
ようやく一年た
つたわけであります。大体は緒についておると存ずるりでありますが、ただ
ガスが中にございまする
炭鉱に例をと
つてみまして、その切羽並びに切羽に関連しまする区域における一切の
機械を、
保安法にきめておりまする
通りに全部耐爆型に直せということを強行いたすといたしますなば、こなは現在の山の資力の点からい
つて非常にむりでありまするし、また受けるメーカーの方でつくりきなぬという問題もございまするので、これらの点につきましても、切羽において最も
危險なところにおきまする
機械は、どうしても短期間に直せ。それよりやや
危險度の少いところにおきましては、今の検定規則からいえば多少不十分であるけな
ども、まずまず耐爆的にできておるものなら、しんぼうしてやろうという
ようなぐあいに、大体の経済の
状況とにらめ合わしながら、最短時間に所期の目的に持
つて行こうと努力しておるわけであります。お聞き及びと存じますけれ
ども、目下鉄と
石炭に関連いたしまして、
石炭の合理化をやろうということから、合理化資金を山の方へ出したいということで、着々と準備を進めておるわけでございます。これがもし実現することに相なりまするならば、この
炭鉱の合理化資金というものの中には、
保安に必要なる施設の改善費は不可分に含まれておりまするので、この経済上の問題も、これができますれば、あるいは一挙に解決し得るということも期待されるわけであります。従いまして、
保安法施行後大体一年有余を経たということと、漸次緩急に応じて施設の改善を命じておるという点と、今私
どもの方で各方面の御盡力を得まして進めておりまする合理化資金が実現いたしまするならば、さらに
保安法の設備上の問題は完璧になり得る
ようになるのではないか。残る問題は労働者の教育の問題でありまして、これは一朝一夕には参りませんけれ
ども、
保安法に基きまして
保安職員の講習会等もいたしておりまするので、これも日ならずして成果を見るだろうと
考えておるわけであります。
〔
中村(幸)
委員長代理退席、
委員長着席〕