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徳永説明員 ただいまの
お尋ねにお答えいたします。第一点の
ベントナイトあるいは
酸性白土、同じく
鉱物であるものを
鉱業法の七種の中に加えないで、
採石法に入れたということの
理由はどういう
理由であるかという
お尋ねでございますが、昨日もお答えいたしましたごとく、
鉱業法の
適用を受けます場合には、俗に申しまして必ずしもよいことばかりではございませんで、手続その他監督も
鉱業法の
鉱物になりますと、ずいぶんめんどうに相なりまするし、たとえば
鉱山保安法という非常に專門
技術的な、
責任の重い法規の
適用を受けるというような点もあるわけでございまして、私
どもとしましては、根本的にはこの
鉱物の、
日本の
国民経済上におきまする有用度と申しますか、
重要度と申しますか、そういう点と、それから
事業そのものの
日本の現状における
発展の状況、俗に言いますれば
鉱山らしい
段階に来ておるかどうかというようなこと、第二の今申しました
鉱山らしい
段階に来ておるかどうかということが、
保安法を
適用するというような点から彼此考慮されなければならない問題であると思われるのでありますが、さような点をいろいろと考慮いたしまして、今回の
改正の際には全部
鉱物と認められるものを一々どの
扱いにすることが適当であろうかというぐあいに、
鉱業法改正審議会で詳細にわたりまして御検討いただいたのでありますが、ただいま申しました
国民経済上のウエイト、あるいは
日本におけるその
鉱物の
発展の
技術的あるいは操業の経営の
段階というような点から行きまして、ただいまのところとしてはひとまず
新法に織り込みました七つの
鉱種に限定することが、むしろ適当ではなかろうかというような
結論に到達いたしたわけでございます。
それから第二の沼地における
鉱業権の
鉱区の
設定の際に、
一つの沼を
二つの
鉱区になるようなやり方はまぎれが起りやすいので、むしろ
一つにした方がよいではないかという
お尋ねでございますが、この点は私今一概に申しかねるのではないかと思われるのであります。と申しますのほ
鉱物は
沼そのものを
採掘の
対象にするわけではございませんで、沼の下にございます
鉱床中の
鉱物を掘採するということでございますし、その
境界線そのものにつきましては、沼の中に
三角地点を求めるというわけには参りませんが、附近の
三角地点から正確に測量いたしますならば、どの
地点とどの
地点を結ぶ線が境であるかということは、地形及び
図面において明確に表示し得るのではないかというぐあいに
考えるわけであります。従いまして
鉱床の
関係等もございまして、沼全体が一帶になることもございましようが、
鉱床の
関係から必ずしも
沼全面を一
鉱区にするということにいたさないことにいたしましても、
現実問題としてその
限界点を探り出すということは必ずしも不可能ではないのではなかろうかというぐあいに
考えておるわけでございます。
新法におきましても
鉱区の
境界は、
原則といたしまして
直線をも
つて定めるというような仕組みにしてございまして、これは同時に測量の
関係から明確に
鉱業権の
鉱区の
境界線というものは
図面にも表示し得るし、
現地においても表示し得るという前提でできておるわけであります。ただ
現実問題といたしまして、縮図の何千分の一か何百分の一か、あるいは何万分の一に表示してありまする地図と、
現実の
実地につきましての
境界というものが
紛争の
対象になることは、沼に限らずままあることでございまして、たとえば広い平野のたんぼが
鉱区に
設定されております場合に、その
境界線がどこであるかというようなことはまま
紛争が起る事項でございますが、その際にはそれぞれの
通産局の
鉱山部の
保安関係の者が
実地に参りまして、
現地につきましてこの点とこの点を結ぶ
直線が
境界であるということを定めることによりまして、
紛争を解決いたして参
つておるようなわけでございまして、沼の場合には、場合によりまして
紛争が起ることも予想されますが、さような従来のあり方によりまして、十分に具体的には解決可能ではなかろうかというぐあいに
考えておるわけであります。
それから第三点の
水質汚濁防止法というものが
政府において
考えられており、もしそれが実現する場合には、
鉱業に対して、重大な
影響を及ぼし、場合によ
つては
鉱業そのものの
存立基礎を脅かすおそれがあるが、その
法案についてどう
考えているかという
お尋ねでございます。実はこの問題につきましては、ただいまのところではまだ
法案ができる
段階には至
つておりません。しかし今
高橋委員から御
指摘がございましたごとく、
水質汚濁防止法というものをつくろうという議は
政府部内に出ておるのでありまして、私
ども鉱山行政を担当いたしておる者としましては、その
内容と
鉱業に及ぼしまする
影響から、その案の
内容を詳細に検討いたしておるわけであります。私
どもの関知いたしております
段階を御参考までに申し上げますると、現在立案されておりまする
内容というものは、一口に申しますならば、
鉱業に伴いまする坑内の
廃水処理その他につきまして、非常に嚴格にそれを清めることを要求しておるものでありまして、現在の
技術の
段階から申しますならば、ほとんど不可能に近いことを要求しておるような案が現在つくられておるわけであります。従いまして私
どもとしましては、こういう
法案がかりに実施される場合には、
鉱業そのものの
存立がほとんど大
鉱山においても不可能であり、ましてや
中小鉱山におきましては、
山そのものを締めざるを得ないというような
影響が生ずるというふうに
考えておりまして、
水質汚濁防止という
趣旨はまことにけつこうでありますけれ
ども、しかし
日本の
鉱業がつぶれて、ただ水が清く
空気がきれいにな
つたとしましても、
国民生活というものは安定するわけじやございませんので、その
程度というものは、
鉱業の
国民経済上の
重要度と、それから水を清め
空気を澄ますことによる効果とを彼此勘案し、
かたがた技術の進歩の
段階に応じてほどほどになさるべきものではないかというような観点から、現在といたしましては、
原案通りの
法案のできることは絶対に賛成いたしがたいということで、私
どももさような
意見をしかるところに申し述べておりますし、また業界からも猛烈なる陳情及び
実情の披瀝が行われておるわけでおりまして、私
ども、今用意されております
原案通り実施されることは、万々ないものだというぐあいに
考えておるわけでございます。ただこの
法案の
趣旨は必ずしも排斥すべきことではございませんので、私
どもとしましては、現在の
段階は、少くとも、そういう
目的に到達するのに
技術的にどういうふうにやれば
経済的な
負担が少くて済むかということを研究し、その結果が出た場合に、それを各
事業者に対して実施することを求めるというのが事の順序ではなかろうかというようなことも、あわせて
意見を出しておるようなわけであります。さらに
鉱山につきましては御承知の
通り鉱山保安法というものがございまして、公益と
鉱業との
調整につきまして、現在の科学と
経済の
段階というものを照し合せながら、ほどほどのところを嚴重に監督いたしておるわけでありまして、その面からも、
水質汚濁防止法というものが
鉱山に
適用になることは若干の疑問があるということも申し述べておるわけであります。繰返して申しますが、ただいま
高橋委員から御心配のありました
水質汚濁防止は、小くとも現在私
どもの賛成いたしかねる
内容のまま、
法案として成立することは万々ないものと私
ども確信をいたしておりますし、また今後その
努力を続けたいと思
つておりますことをお答えいたしたいと思います。
〔
委員長退席、
中村(幸)
委員長代理着席〕
それから第四番目の
お尋ねにございました
——お尋ねと申しますか、
希望としてお出しになりました
試掘権の
期間が、
原案の年限というのが短か過ぎるということにつきましては、昨日も
中村委員その他からこもごも御
指摘に相なりましたことでございまするし、また私自身、この
通産委員会あるいは参議院の
通産委員会で
現地につきましていろいろとヤリングをやられました結果に照らし合せましても、再検討することが適当ではなかろうかというぐあいに
考えておるところでございまして、ただその
期間をどの
程度にしたらよろしいかということににつきましては、この
委員会としましての御
結論も聞かせていただきまして、私
どもとして今の
鉱業の
実情に会わないものをむりに強行するという執拗な意思は持
つていないことをこの際申し上げておきたいと思います。
それから第五にございました、きのうも出ておりました
出願中の
権利の
移転の問題でございまするが、
原案は、御
指摘ございましたごとく、
出願中の
権利そのものが非常に不安定なものであるからという
趣旨のもとに、
現行法と異な
つた扱いを
考えておるわけであります。しかしただいまなりあるいは昨日御
指摘がございましたように、
出願中の
権利の
移転というものが、第三者に大した不利益なり危險を與えることなく平穏に
移転され、またそのことによ
つて、この奥深い山をみずから目と足によりまして探し求められる
鉱物の
発見者の目に見えない縁の下の力持の御
努力に報いる唯一の
方法であるというような
お話もあ
つたのでありますが、それも確かにその
通りでございまして、私
ども鉱業法をつくりますゆえんのものは、
鉱業の
合理的発展のためによりよき
法律をつくるということを念願いたしておるわけでございまして、その点につきましてもこの
委員会としてのまとま
つた御議論も聞かせていただきまして、私
どもとしても十分の再検討をさせていただきたいというぐあいに
考えておる次第であります。