○
鵜澤説明員 この
地方行政調査委員
会議の今実際や
つております問題につきましては、まだ具体的に決定ができておりませんが、大体標準をなるべく
地方自治という
ようなところに置きまして、
調査は具体的の資料に基いてや
つておるのであります。そこで
政府の方に勧告をすることになるのでありますが、これも重要な問題が決定できましたならば、なるべく早く勧告をいたしたい、あるいは十月中にも勧告ができるのではないか、こういうことで
調査を進めておるのであります。
それでこの
地方行政調査委員会の設置がシヤウプの勧告に基いてできましたこと、それから
委員につきましても
国会の承認を得ておるという
ようなことでありますが、そうい
つた問題はあるいは略した方がいいかも存じませんが、昨年の十二月二十四日に両議院の同意を経まして任命されました者が五人でございます。高橋誠一郎君、杉村章三郎君、これは
政府の推薦の
ようであります。それから
全国都道府県知事の連合組織の代表者の推薦いたしましたものが渡邊銕藏君、
全国市長の連合組織の代表者の推薦いたしましたものが神戸正雄君、それから町村長の連合組織の代表者の推薦になりましたものが不肖でございます。このうち渡邊
委員は五月二日の参議院
議員立候補のために辞職をいたしましたので、七月二十四日に後任として湯河元威氏が任命されております。それから
会議の規定によりまして、五人の
委員の中から互選して
議長を定めるということで、ただいま神戸正雄君が
議長に
なつておるわけでございます。当時
議長の代理として渡邊銕藏君が互選されましたが、
辞任の結果ただいまは杉村章三郎君が
議長代理、五人の
会議員のうち四人出席いたしますれば決議ができる。四人が欠けては決議ができない、こういう規則に
なつております。それから專門
調査員が現在まで十七人の任命を見ておるのでありますが、なお二、三名の任命がほしいと思
つておるのであります。それから事務職員につきましては一月の十九日に大野連治氏が事務局長になりまして、その他の職員につきましては初め
定員がわずかに五人でございました。二十五年度から事務局長以下二十五人に
増加されたのでございます。しかしこれではまだ足りませんので、他の
方面から、つまり
関係各省から兼官の派遣を求めてお
つて、現にそういう方から
調査をしてもら
つておることもあるのであります。事務局長のもとに書記室及び
調査第一課、
調査第二課、この二つが置かれております。それから連絡職員につきましては、
関係行政
機関の職員から二十五名、
地方公共団体の職員から十数名が今まで
指名されております。
現在までの仕事の経過の概要でありますが、本年の一月七日から五月の三十一日までの間の概要を申し上げますと、一月の七日に第一回の
会議が開かれました時に、先ほど申しました
議長、副
議長の互選が行われ、それでただちに
会議を進めて行
つたのでございます。一月の三十日には全
委員が神奈川県庁及び藤沢市におもむきまして、実地に
地方自治の問題点を視察いたしましたが、二月と三月中は主として
関係行政
機関の局部長から行政事務再
配分に当
つて特に問題となるべき
事項についての
説明を聽取いたしました。三月の十六日に神戸、杉村及び私の三
委員に事務
関係者を加えまして、一行八名がアメリカの
地方行政の実情視察に出発いたしまして、五月の二十七日に帰国いたしたのであります。この間に渡米しない高橋誠一郎、渡邊銕藏の二人の
委員、それから專門
調査員及び事務局の行う準備
調査を指導いたしまして、またみずから
関係行政
機関の責任者からも
説明を聞いておりまして、休んでお
つたわけではないのであります。
それから
委員会の
調査研究と並行いたしまして、專門
調査員には專門の
事項について
調査を依頼しまして、また
関係行政
機関の連絡職員にはそれぞれ所管
事項につきまして
関係法令、事務
配分、補助金等に関する資料の提出を求めたのであります。事務局におきましては特に府県市町村における行政の実情把握を目的といたしまして、千葉県、兵庫県及び神奈川県の厚木町等につきまして、実態
調査を行いました。これが五月三十一日までの
事項でございます。この厚木町の実態
調査のことなどは、この間シヤウプ
委員に対しましても一々各町村を視察されるのはめんどうであろうからというので、詳しく書いたものを参考に送
つたのであります。
それから六月以降から現在まで渡米
委員の帰国後
委員会は定例会を一週二回、今では三回や
つております。そうして本格的な
調査研究にとりかか
つたのでございます。そこでアメリカに参りましてはシカゴにパブリツク・アドミニストレーシヨン・クリアリング・ハウスと申しますか、公行政精算所とでもいう
ような一般の自治行政に対する
研究が、まことによくそろ
つておる役所があります。そこで大体このシカゴなりニユーヨークなり大きなところ、またロジエスターとかシラキユースという
ような小さいところでも、実際の行政のことを見るという大体の方針を立てることができました。それでシカゴ、ニユーヨークでは、このシヤウプ勧告からできたものでありますから、コロンビア大学にシヤウプ博士を尋ねまして、ここで二、三日
意見を聞いたり見学をいたし、その以外の十日ほどはニユーヨークの市庁あるいは市会その他につきまして、相当に
研究することができたのであります。それからシラキユースの方は大体やはり市の仕事と州の仕事の
関係を見るということが主でありました。そういうところを見まして、それからテネシ一・バレー、つまり発電所やダムのありますあの場所を見学して、ニユーオルレアンスの方へ行きました。それからロサンゼルスを経てサンフランシスコに帰りました。この辺では各市役所あるいは州庁の
説明をいろいろ聞いて、五十日の間、ほとんど一日も休む時間なく、また老人ぞろいでありましたが、もつとも杉村君は若いのでありますが、われわれの
ような八十近い老人が健康でアメリカ人がびつくりする
ような丈夫さで、
研究ができて帰
つて参
つたのであります。
そこで六月以後でございますが、まず
会議では、神戸視察団視察報告書、これをつくりまして、アメリカ視察の
印象をとりまとめて、今後の
研究の基礎といたしまして、次いで行政事務再
配分の基本方針についての検討を行いまして、七月の十七日その第一次試案を決定いたしたのでございます。ところが、これはま
つたく一応の試案でございまして、今後個々の事務について検討を加えた結果、さらに修正して行くべき性質のものであります。で現在この試案を参考といたしまして、河川、道路、社会福祉等の各個別的な事務につきまして、再
配分案の
研究を進めておるわけでございます。
それから行政事務の再
配分の
研究と並行いたしまして、国庫補助金に関する
研究も行
つております。三百七、八十の種類に上る国庫補助金の整理につきましては、昭和二十五年度
予算の編成にあたりまして、その三分の一
程度の整理がなされたのでございますが、同二十六年度の
予算におきましては、さらにシヤウプ勧告の趣旨を徹底いたしまして、その整理がなされまする
ように具体的方針を検討しておる次第でありまして、近く成案が得られると思われるのであります。
なお、災害復旧費の負担、起債の制限の撤廃、平衡交付金の運用をどうするかという問題から、行政事務再
配分に伴う
地方財源の
増加の問題に至るまで、一連の
財政問題につきましても、逐次
研究を急いで進めて行く予定でございます。それで御
承知のごとく、
委員の五名は
国会の同意を得て任命されたという
ようなことであ
つて、今日わが国の
地方自治の根本的の
研究と画定をやりたい。従
つて政府にも政党政派にも、もとより
関係がなく、ま
つたく
日本の自治制度ということを問題として
研究を進めたい。この間に試案のある部分につきましては、司令部の方へもシヤウプ
委員にも
お話をしたのであります。しかしアメリカに行くときにも、
委員の
考えから出た正しい方針を基本にして、
日本の自治のために十分
研究をしてもらいたい、こういう
ようなことでありまして、いずれからも制肘を受けるとか、注文を受けるとかいうことはない
調査会議でございますから、その点は御了承願いたいのであります。ただ、ただいままでのところ、やはり再
配分の試案は実際はできておりますが、これはまだ確定ではございませんから、ここで私から御報告を申し上げることはできないのでございます。いずれこの十月にいよいよ勧告案を出すという前になりましたならば、また御
要求によりまして、あるいは
お話を申し上げることができるかとも存じます。まことに簡單でございまするが、これをも
つて御報告といたします。