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1950-08-26 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月二十六日(土曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 野村專太郎君    理事 龍野喜一郎君 理事 藤田 義光君    理事 門司  亮君       大泉 寛三君    川本 末治君       清水 逸平君    吉田吉太郎君       床次 徳二君    大矢 省三君       久保田鶴松君    高田 富之君  出席国務大臣         国 務 大 臣 岡野 清豪君  委員外出席者         国家消防庁長官 新井 茂司君         国家消防庁管理         局長      瀧野 好曉君         国家消防庁総務         課長      横山 和夫君         地方財政委員会         事務局財務部長 武岡 憲一君         地方財政委員会         事務局税務部長 後藤  博君         地方自治庁財政         課長      奧野 誠亮君         地方自治庁行政         課長      長野 士郎君         経済安定本部事         務官      石田 政夫君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君 八月二十六日  委員林百郎君辞任につき、その補欠として高田  富之君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 これより会議を開きます。  本日ここにお見えなつておる政府側の方は、地方自治庁岡野国務大臣、それから財政課長の奥野君、行政課長長野君、それから地方財政委員会では財務部長武岡君、税務部長後藤君、それから国家消防庁より長官新井君、管理局長瀧野君、総務課長横山君がお見えなつております。  まず昨日に引続きまして地方財政に関する件を議題といたします。
  3. 藤田義光

    藤田委員 昨日大臣が御出席できなかつたので、答弁を得ていない点をお伺いしたいと思います。  第一点は、現在来朝中のシヤウプ博士結論というものは、各方面から非常に注目されております。来朝以来自治庁長官として折衝されました経過にかんがみまして、幾多の懸案のうち、何か見通しがついたものがありますかどうか、簡單にお伺いいたしたい。目下東北旅行中でございます。帰られましたならば各党代表とも会う予定がございますので、いろいろと参考にしたいと思いますので、お答えを願います。
  4. 岡野清豪

    岡野国務大臣 藤田委員の御質問に御答弁申し上げます。シヤウプ博士がお着きになりますと、即刻私はお目にかかりましたが、その時間が非常に少うございまして、すべてのことを詳細に説明することはできませんでした。まず要約いたしまして、この地方税法案がこの前通らなかつた経過、並びに今回通りましたが、前国会並びに今回の国会におきまして、いかなる議論が闘わされたか、同時に一般国会の気分としてこういうことがあつた、ああいうことがあつたということをごくかいつまみまして報告しておきました。それにつきまして、シヤウプ博士はいろいろ意見もあるだろう、論議もあるだろう、自分もこれから各地方を行脚して実情調査したいと思う。それで自治庁長官として、そういう論議対象にし、どういう意見があるかということを書いたものにして出してくれ、こういう話でございました。私の方では書いたものはできるだけ早く準備し、同時にシヤウプ博士に聞いていただかなければならぬこともあるだろうと思いますから、よろしくお願いしますということでわかれて、そしてただいままでまだその後お目にかかつておりません。お目にかかつておりませんということは、あまりに問題が広汎にわたりまして、これを整理するのに、ただいま事務当局が毎日努力しておるような次第でございます。その收集とそれからこれを摘録にしまして、そしてぜひこの線だけは何とかお考えを願いたいという結論を出そうと思つて、今勉強最中でございます。ただ勉強しておりますのは、シヤウプ博士が来月の二日ごろにこちらへお帰りになるそうでありますから、それまでにひとつ完全な意見書をつくりまして、もしできるならばシヤウプ博士日本に御滞在中に、何とか適当な御返事をいただけるように、こういうような努力をしたいと思いますから、出します意見としても非常に愼重を期して勉強をしておる次第でございます。経過といたしましてはこういうふうになつておりますから、御了承願いたいと思います。
  5. 藤田義光

    藤田委員 岡野大臣旅行中の談話の中で、災害復旧全額国庫負担はあくまで持続したいという所信を披瀝されました。まつたくわれわれと同意見でございますが、それと符節を合わせるがごとく、シヤウプ博士が数日前、仙台におきまして新聞記者団との会見におきまして、災害復旧全額国庫補助は恒久的なものであるということを、新聞報道ではありますが確言されております。ところが本朝の新聞を見ますと、各新聞が大体符節を合わせておりますので、おそらくこれは大蔵省指導記事のように想像いたしますが、それによりますと、災害復旧全額国庫負担というものに対して、非常に否定的でございます。この点に関しまして何かシヤウプ博士に直接会われたときの感想なり、あるいは事務当局で会われたときの印象から、この制度は持続できるという見通しが立つておりますかどうか。簡單に伺います。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私先般西下いたしまして、いろいろな方面から意見が出まして、災害復旧に関して全額国庫負担ということは、ぜひ持続してもらいたいということを、一般地方団体並びに識者から注文されました。われわれもこの前にも申し上げました通り災害復旧全額国庫負担がよいという考えを私持つております。でございますから、ただいま私自身といたしましては、その通り考えでその意見はかわつておりません。新聞紙上で拜見しますと、シヤウプ博士も、——あれはどう出ておりましたか知りませんけれども、ただ二十五年度だけの問題じやないというような口ぶりが、新聞を通じて私の耳に入つているような情勢でございます。でございますからその新聞記事が事実であるといたしますれば、シヤウプ博士も同じ考えでおられると思うのでありますが、しかしシヤウプ博士考えシヤウプ勧告に書いてございます通り、あれに二十五年度だけそうやるとは書いてございません。災害復旧全額国庫負担にすべきものだという勧告なつておりますから、私はこれを手放しに受取りますれば、二十五年度だけが例外であつて、将来もあの勧告を遵奉する以上は、全額国庫負担にすべきものだと考える。同時に今地方財政情勢を見ますと、やはり全額国庫負担にした方がいいのだという私の考えなのでございます。でございますから、その点においては私は少しも考えをかえておりません。と同時にできるだけそうしたいという考えをもつて将来に当るつもりでおります。御了承願います。
  7. 藤田義光

    藤田委員 実はわれわれもちよつとシヤウプさんにお会いしましたが、そのとき劈頭地方財政は非常に冗費が多い、宴会費その他の冗費が多いということを言われた。その情報をつかまれた根源を、私なりに調べてみますと、どうも池田大蔵大臣シヤウプ博士に対する話の中に、それが非常に強調されたようでございます。従いましてこの初印象というものが終始一貫シヤウプさんの在日中、頭の中に残るというようなかつこうになつておるようでございます。災害復旧全額国庫負担に関しましても、おそらく従来の常識から見ますれば、大蔵省が反対するのではないかというような——想像でございますが、危險があります。二十八日には全国の各公共団体代表が東京にわざわざ集まりまして、この問題に対しまして強力な決議をしようといたしております。ぜひともこの輿論を背景にされまして、ただいま岡野さんが言われた線で、強力に関係方面に押してもらいたいということを、私お願いする次第であります。  次にお伺いしたいのは、これは新聞報道でございますが、国鉄、その他の課税の問題で、国鉄加賀山総裁等が非常に狼狽しておるというようなことを拜見しております。これは岡野国務大臣の個人的な意見でありますが、われわれもまつたくこれと同様な意見を飜訳して関係方面に出しておるのではありますが、多少この線が実現する成算があつてお話なつたかどうか、新聞報道の正否ははつきりしませんが、簡單にお尋ねしたいと思います。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。国鉄とか專売公社に対して税金をかけるかかけぬかという問題は、皆様承知通り国会相当議論のあつたところでございます。あの当時皆様の御議論を伺いまして、なるほど肯綮に当る御議論だということを私ども感じました。また地方にも参りまして、地方私鉄業者などから意見を聞きますと、私が皆さんから承りました意見を裏づけるような力強い感じがしました。私としましては、純理論といたしますれば、もし私鉄にかけるならば、やはり国鉄にもかけた方がよいのではないかというような、いわゆる私的の意見なつております。それをよそに話したことが新聞にも出たということでございます。それならそれに対して見通しはどうかという御質問でありますが、これはちよつとまだ見通しのところまで参りませんけれども、私は皆様方の御意見があつて、同時に一般輿論がそういうふうになつておる。これは私自身もそれに説得されたような心持になつておりますから、何とかして国鉄に対し、また專売公社に対してやはり税金をかけて、公平な立場において、私企業、すなわち公企業であるけれども私的の仕事である、経済的観念だけをもつてやるべき企業であるというようなものに対しては、公平に課税をした方がいいのではないかという考えを持つておりまして、その研究を今進めつつある次第でございます。でありますから、見通しの点はつきませんけれども、私の考え方向といたしましては、やはり世論に従つてそういう方向に進んで行きたいという感じを持つておることを了承願います。
  9. 藤田義光

    藤田委員 次にお伺いしたいのは起債の問題でございますが、今年度起債総額シヤウプさんの勧告は四百二十億ということになつておりますが、実際には三百七十億、現在最後の公共事業起債の査定が終る段階にあると想像しますが、この三百七十億という数字に対しまして、関係方面で三百億という意見がいまだに消えないというようなことも聞いておりますが、七十億減額になりますと、地方財政に非常に大きなひびが入るだろうと思いますが、この点に関してごく最近の情報をひとつお知らせ願いたいと思います。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。この点についてはまだ実は事務的の折衝を続けておるはずでございます。けれども私自身といたしましては三百億では足りない、また三百七十億を希望しておるけれども、それがはつきりと固まつていない。しかしながらシヤウプ勧告では四百二十億になつております。御承知通り各省が査定いたしました起債額として千二百三十七億くらい——ちよつとはつきり記憶しませんが、そのくらい各省が査定して何とかしなければならぬということがあるにかかわらず、三百億ではむろん足りないことはきまつております。けれどもそれかと言つてふんだんに一般公募ができる時代ならよろしいけれども、どうせ預金部資金を出さなければならぬという関係にあるのでありますから、そういうわりふりになりまして、手放しに無限に起債わくをふやすということもできまい。しかしながら最低限度シヤウプ勧告にあるだけの四百二十億は、やはり許してもらわなければならぬという考えを持つておりますので、その点事務当局におきまして、できるだけの努力をして折衝を続けつつあるという情勢でありまして、その点についてまだ的確なる手ごたえも私のところには参つておりません。これをもつて御了承願いたい。
  11. 藤田義光

    藤田委員 次にお伺いしたいのは公共事業の問題でございます。政府側責任者見えておりますが、この公共事業というものに対しまして、われわれ非常な疑問を持つております。御存じの通りアメリカのパブリツク・ワークスというのは国家自体が取上げなくちや、どうにも実施できないというような電源開発その他の大事業のみに限られておりますが、日本におきましては刑務所の建設から学校の建設その他小さい問題に至るまで、公共事業費に入れております。この公共事業費に伴いまして、いわゆる補助金という制度があり、これが地方自治体の主体性と申しますか、自主独立を非常に阻害しております。地方自治体はこの補助金を確保するために寧日ないというのが現状なつておりまして、将来の方策としてはどうしてもこの補助金制度を大幅に整理しまして、大きな、すつきりしたもののみを公共事業費にするという行き方が、日本自治体の振興をはかるために正しい行き方ではないかと思いますが、しかし現在ではなかなかこの問題は処理できないようでございます。現状のままに推移するとなれば、当然消防施設のごときはまつたく公的性質のものでございます。その被害額厖大であること、地方財政現状その他を考えますと、どうしても消防施設等国家財政力において一部その責を果す。いわゆる現在の公共事業費わく内に入れなくてはならぬということは常識ではないかと思いますが、公共事業というものに対する自治庁長官のお考え、それから消防施設をとりあえず公共事業に入れるという一般の声が輿論化しつつありますが、こういう点に対するお考えを拜聽したい。
  12. 岡野清豪

    岡野国務大臣 藤田委員の御質問にお答え申し上げますが、藤田委員のお説しごくごもつともでございまして、またこれから地方自治行政を確立さして行き、同時にそういうようないろいろな災害とか何とか——教育もそうでございましようが、そんな点について国家が相当乗り出して行かなければならぬ、こういうようにごく常識的な考えを持つております。しかしこれにはいろいろの過去のいきさつもありますし、因縁もありますし、またかかわり合いもございますので、今までの情勢がどうなつておるかということについては、私まだよく研究しておりません。でありますから、政府委員から実情を御答弁申し上げまして、その結果においてまたいろいろ御意見を拜聽しなければなりません。政府委員に御説明いたさせます。
  13. 石田政夫

    石田説明員 本日建設交通局長はやむを得ない用事で、また次長もちよつと病気で私がかわつて参りましたのでお答え申し上げます。この前に自治体消防に対する公共事業内における来年度以降の補助の御要望を承つておりますが、来年度の公共事業全体の問題について実は各省から厖大な御要望がございましたので、連日徹夜作業内容検討中でございます。まだ今ここではつきり検討内容について結論が出ておりませんので申し上げかねると思います。もうしばらくいたしますと、検討内容がいろいろな見地から考えてまとまることと思いますが、現在はまだ結論を申し上げかねる段階でございます。実は私が参ります前に次長並びに課長から詳細の内容についていろいろな連絡がありましたが、その結論は上の方でも検討中でございます。
  14. 藤田義光

    藤田委員 安本事務官に重ねてお聞きしますが、現在の公共事業のデフイニシヨンから行けば、消防施設は当然公共事業わく内に入るべきじやないかという私の質問でございます。これに対して安本はどういう考え方をしておるか、現在の公共事業制度を持続するという前提のもとならば、当然消防施設——これはきのうも質問いたしましたが、土地改良のごときは、あるいは受益者が限定されておるというようなことで問題がちよつと違いますが、当然公共事業わく内に消防施設は入らなければいかぬのじやないかということですが、この点責任者見えておらなくても、担当の事務官としての所見を伺いたい。
  15. 石田政夫

    石田説明員 実は公共事業の定義につきましては、いろいろの見地からいろいろ考えられるのでございますけれども、自治体消防につきまして、客観的な、性格上妥当な結論にまだわれわれといたしまして至つておらないのでございます。と申しますのは、自治体消防各種器材の問題は、これは消防個有事務であるという点が第一点なのでございます。これと先ほどお話のように現在土地改良とかその他いわゆる公共性の乏しいものに比べますと、自治体消防各種の問題は、非常に公共性が強いのだという見地から申し上げますれば、公共事業としての、一応公共性見地からいたしますところの対象としての要素が考えられます。その両者のいずれをとるか、こういう問題は今現実的に検討中でございます。その内容につきましては、ほかの各種公共事業につきまして、こういう新しい費目に疑義のある点が非常に多いのでございますので、詳細は検討中でございます。
  16. 藤田義光

    藤田委員 その点の問題、委任事務固有事務とわけられての説明でございますが、たとえば地方町村が独自の見解で計画し、補助金をとつてつくつております診療所のごときも、考え方によればその町村固有仕事でもあります。ここは認定の問題でありまして、私が申し上げたいのは消防施設をいま少しく国家財政力におすがりして強化拡充すれば、年々、おそらく去年あたり一千億を越える厖大災害が、その何百分の一かの国費によつて相当程度減額されるのじやないか、被害が少くなるのじやないか。これを大局的に検討されて、ぜひともこの際国家予算、きゆうくつなときではありますが、ほかに不急なものもあるだろうし、何とかその財源を捻出してしかるべきではないかという意見でございます。大体安本が現在研究段階にあるという点をお聞きいたしましたので、いずれ来月の委員会でも、その結論責任者からはつきりお伺いしたいと思いますが、当委員会一員といたしまして、あくまでこれは公共事業にすべしという地方行政委員会一員意見であるという点を、強く伝達していただきたいと思います。
  17. 河原伊三郎

    河原委員 ただいま藤田委員から消防施設に関しまして、これを公共事業としての取扱いをすべきものだという意見質問があつたのでありますが、藤田委員も申されましたごとく、昨年度、二十四年の火災損額は一千八十億に上るということであります。ところが一面同じ災害でありましても、風水害の方におきましては、国家が直接これを取上げておりまする関係上、非常にはつきりとした問題となつておりますが、風水害とともに大きな災害である火災方面におきましては、これが個人の負担において処理される関係上、閑却されておるきらいがあるのであります。しかしながら一年間一千八十億に上る損害は、その性質のいかんにかかわらず、国家として大いに重視しなければならない問題と考えます。そこでただいまの御答弁にもあつたのでございますが、消防施設国家一般的な公共事業として扱うことについては、形式的な問題、あるいはこれを單なる地方自治団体の問題とするか、国の問題とするかといつたふうな御見解があるようでありますけれども、何としましても全国的な大問題であり、一千億を越える大損害、しかもこれをやり方によりましては非常に少い限度においてとどめ得る可能性が多い、こういう点におきまして、国が真劍にこれと取組み、取上げるべき問題と存ずるのであります。つきましては消防施設を全体的に国においてまかなうことになり、もしくは全体にわたつて補助対象とすることにつきましては、あるいは相当議論の余地もあるかと思いますが、消防施設中における基幹的な費用、そうしてそれが恒久的な費用といつたふうな面、一例をあげますれば、通信施設のごとき、または貯水池貯水槽のごとき、かような恒久的基幹的な問題で、しかも一時に費用を要するが、のちには要しない、しかもそれらの機能から申しますれば、火災は最初の五分間と言われるのでありまするけれども、現在におきましては、五分間と言わず実に分秒を争うのでありまして、その早く知れるか知れないか、または早急にそれの対策が講ぜられるか講ぜられないかは、大火災にわたらしめるのと、ほんのボヤに終らせるのとわかれるところであります。これらの点よりいたしましても、少くともこの火災報知機のごとき通信施設の問題と、火災防止根源であるところの水利、水槽、または貯水池のごとき、かような問題は公共事業補助対象として取扱わるべきものと存ずるのであります。かような点につきまして、あるいはまだ全体の御意見がきまつていないという御答弁があるかもしれませんが、どうかさいぜん藤田委員も申されましたごとく、この地方委員会におきましてはそういつた面において強い要望があるということをよくお考えなつて、まだおきめになつておらないのであれば一層好都合でありまするから、ぜひともその方向におきめくださるよう強く要望する次第であります。
  18. 藤田義光

    藤田委員 岡野国務大臣にあと二点ばかり簡單にお尋ねいたします。第一点は新地方税法が実施されまして、現在地方公共団体におきましては、準則の整備その他に非常に忙殺されておるようであります。府県税收入におきまして、大分全国的にでこぼこができる。特に事業税原始産業非課税ということから、この現象がようやく深刻になつておりますが、この府県税の税収の、何と申しますか従来よりも相当かわつて来ることによりまして、各府県におきましては法定外独立税の復活、あるいは新設ということを計画することが濃厚になつておりますが、この法定外独立税の要求に対しまして、地方財政委員会の所管ではございまするが、自治庁長官としてはどういう方式で法定外独立税の採否をきめられる御方針であるかお伺いしておきたい。  第二点は事務の再配分の問題でございますが、先般は神戸博士以下渡米されまして、相当詳細な調査をされたのでありまするが、爾来数箇月を経過しましても当委員会には何らの音さたもございません。向うの地方行政調査委員会の幹部の言動によりますると、おそらく近い将来に国会に対する勧告もあるようでございますが、当委員会としましては、事前にその審議の経過等を知つておく必要があることはもちろんでございますので、この事務の再配分に関しまして、地方行政調査委員会議で、何か現在までのところ結論を得られておりますかどうか、いまだに五里夢中の状況であるかどうかをお伺いしたいと思います。  都道府県配合あるいは市町村配合を見越しまして、すでに全国的には相当活発に特に市町村配合に関する会合が開催されております。この点に関しまして、こういう機会に自治庁長官としての御報告をお願いできると非常に自治体理事者参考になるのではないかというふうに考えますので、お伺いいたします。
  19. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。第一点といたしまして、府県が今度の新税法によりまして、非常に財政的に困るとか何とかいうような陳情も受けましたし、また府県知事が出て来られて、自分の県はこれでは立つて行かんぞ、というようなことも言われた一、二の知事もあるようでございます。しかしながら私の考え方といたしましては、新地方税法が通過しました以上は、一応はあの法案通りにやつていただきたいという希望を持つております。でございますから、地方税法の中には、これを財政委員会が審査しまして、許可すれば法定外の税も設置できるような規定にはなつておりますけれども、原則としましてはできるだけ、今税を整備した場合でありますから、なるべく法定外の税を設置しないようにして——それでは府県財政が困るじやないかという結論が当然出て参りますが、その点は平衡交付金の割振りを適当に調整いたしまして、やつて行きたい、こう考えております。  それから第二の点の事務の再配分の問題でございますが、これはただいま調査委員会議でせつかく勉強して、まだ詳しいこと並びにこんな案が骨子になつて出るのだということは伺つておりませんけれども、非常に勉強されて、ほぼ固まりつつあるというようなことを伺つております。おそらくシヤウプ博士が御滯在中にこまかい点までは行きませんけれども、大綱だけは報告ができるというようなことを目標にして、そうして今研究しつつある、こういうことを承つておりまして、まだこれがどういうふうにきまつて行くかということについては、向うでも私に報告するまでになつておらぬ、こうなつておりますから、御了承願いたいと思います。
  20. 藤田義光

    藤田委員 質問は終つたのですが、ただいまの法定外税の問題に関連しまして、補足質問をします。  平衡交付金の概算交付で六百十八億出ておりますが、そのほかに特別配付税がきのうの財務部長の御答弁では来年の一、二月に配分する。残るところ三百三十億ばかりでございますが、これを第三、第四・四半期に数字的にどういうふうな配分をされる予定でございますか。これは地方自治体で非常に注目しております。第三・四半期によけいもらえるのか、あるいは第三・四半期と第四・四半期とを折半して配分されますか。その点の御方針がきまつておればお伺いしたいと思います。
  21. 岡野清豪

    岡野国務大臣 それでは政府委員から御答弁させます。
  22. 武岡憲一

    武岡説明員 昨日もお尋ねがあつたのでありますが、残つております三百億の交付金の配分につきましては、きのう申し上げましたように、ただいま交付金の正確なる算定につきまして準備中でございまして、近く決定を見る見込みでございます。それに伴いまして配分が行われるわけでございますが、あと残つております時期に、大体半々くらいやつて行きたいという見込みでございます。もちろんきのう申し上げましたように、出て来た結果によりまして還付を生ずるところもございます。それから大幅にきめなければならぬところもございますので、それらのところはそれぞれの団体の財政状況ともにらみ合せて実施いたしたいと考えております。
  23. 床次徳二

    ○床次委員 今日国の予算の編成がだんだん進んでいるようでありますが、最近の国家予算は、相当の部分において地方財政に大きな影響を及ぼしておるのであります。しかし従来の例から言いますと、結局国の予算が先にきまつてしまつて、そのあとの始末が地方財政にしわ寄せされてしまうということがここ最近数年間の傾向であつたと思うのであります。今年は地方税法の確立を見ましたので、できるだけ地方財政に国の予算編成方針がしわ寄せされることを避けたいというのが、私の考え方であります。特にこの点におきまして大臣に御努力をお願いしたいと思うのでありますが、たとえば平衡交付金の問題、新聞で見ますると依然として千五十億がそのまま計上され、あるいは減税問題等におきましても、七百億あるいは六百億の減税を目標としながら、これが所得税において主として減税される、あるいは国税の方において減税されて、地方の財源の充実にはあまり向かないようにも考えられるのです。私どもはこの予算編成は單に国の予算の編成だけでなしに、同時にこれは地方財政関係することが多いという意味において、特に岡野国務大臣の御努力をお願いしたいと考えているのであります。以下関連して数点御質問申し上げたいと思います。  来年度の地方歳出を大体どのくらいに見込んでおられるか、これは事務配分その他がありました場合には、多少異動がありまするが、具体的なものがまだきまつておらないとすれば、大体昨年度と同じような事務分担をやつて参りますれば、四百五十億というものがふえると考えておられるか、もつとこれを節約したいと考えておられるかを、まず第一にお伺いしたい。地方歳出を見て参りますると、冗費を相当節約してこれを使い得る面もあるように考えておりますが、なお地方において支出しなければならないものもたくさんあると思います。教育費の問題、消防の問題、その他の問題も残つておりますが、大体大臣地方歳出の額がふえなければならぬとお考えになるかどうか、まず第一に伺いたい。
  24. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私のただいまの見通しといたしましては、大体において歳出はかわらない、こう考えております。しかしながらまだ事務の再配分がきまりませんものですから、はつきりした見通しはついておりません。事務の再配分がつきまして、いろいろ地方自治団体がどういう仕事をやつて行くことになるか、そうしてそういう仕事をやることになりまして、同時に新地方税法がそれに適用されまして、もしそれで足りないということになれば、当然平衡交付金というようなものに頼つて、そうして地方財政をやつて行く、こういうような考えでおります。しかしながらただいまのところでは、まだ事務配分、その事務配分もおそらく先ほども藤田委員に申し上げましたように、ごく最近に出るだろうという見通しを持つておりますから、その上で考えたいと存じますが、ほかにかわつたところがなければ、ただいまのところでは本年度と同じような方針で行きたいものと考えております。
  25. 床次徳二

    ○床次委員 明年度におきましては、各自治体の首長並びに議員の選挙があるわけでありますが、予算編成がこの改選前にあります関係上、往々にして予算の膨脹を来すのではないかというような意見も聞いておるのであります。  なお明年度におきまして、健全なる予算を組むと申しますか、もつと実質に即した予算を編成せしめるという意味において、新しく選挙せられました理事者並びに議員の手によつて予算を編成するということも、やはり一つの理由として考えられておりますが、この点におきまして、選挙期日を繰上げたらどうかという議論も出ておるのでありますが、この点に対しまして大臣のお考えはいかようでありますか。
  26. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。床次委員の御心配の点は、ちようど私が心配しているのと同じような点を御心配くださつて、しごく同感でございます。御承知通り、来年三月、四月と選挙があります。しかもそれは予算の編成期でございます。そういたしますと、ほんとうに自分が二十六年度の予算を遂行してやつて行こうという理事者になるかならぬか、もしくはほかの人が出て来るかというようなこともありますし、またそういうことがありますと同時に——私はこういうことはないと思いますけれども、選挙というものに対して、あるいはずさんな予算の組み方なんかしぱなつしにしやせぬか。これは俗説をそのまま私が受入れておるのでありますから、地方の責任ある理事者が全部が全部そうとは思いませんけれども、選挙があるたびに、人気取りのためにどうするとか、こうするということを、われわれの耳にどんどん入れてくれる人があるものですから、あるいはそういうことがあるのかもしれないと私はこう考えております。いずれにいたしましても、選挙というものは、本人並びに地方民が相当な関心を持つ行事でございます。そういう時期に予算を組まなければならぬということになりますれば、事実上ずさんな予算ができやせぬかと考えられるのは当然だと思います。その点におきまして、やはり選挙期日を何とか考えてみたいという考えを、私は持つております。それにつきましては、事前にやるか、もしくは事後にやるかということも考えるのでありますが、まだその点につきましては、私はつきりした結論を持つておりませんし、同時に選挙管理委員会という、その選挙の方を担当しておる独立の機関がございますから、そういう方面の意向をただし、並びにそういう方面にわれわれの意見も具申したい、こう考えております。まだ何ら具体的の話もしておりませんし、また具体的の結論も得ておりませんけれども、床次委員の御心配の通りの心配を私も持つておりまして、選挙期日には一応の考慮をすみやかに拂わなければならぬ、こう考えておりますことを御了承願います。
  27. 床次徳二

    ○床次委員 地方の歳出が一応今年と同じくらいの歳出になるのではないかという御意見でありますが、かりに同額といたしました場合を考えてみますと、明年度におきましては、実は今年度の地方税の徴收が非常に遅れております関係上、相当この徴税関係が圧迫を加えるのではないか、今年でさえなかなか十分な納入ができない、滯納になつておるのが、さらに来年はよけい加わつて参るわけであります。現在地方理事者が申しますのには、地方税がなかなか予定通りとれないということを言つておるのであります。来年度におきましては、ある程度まで地方税を軽くする。たとい歳出が同額でありましても、地方税の方はある程度までこれを軽くせざるを得ない状態に入つて来るのではないかと思うのであります。この点におきまして、今度国家において減税をなしまする場合は、私は国税をあるいは所得税において軽減するよりも、できる限り地方税においてこれを軽減するという考え方をする必要があるのではないかと思うのです。大蔵大臣意見として新聞紙上に発表せられたところによりますと、どうも地方税が軽視せられて国税中心に扱われておるように考えられるのであります。なおこの減税の問題は、平衡交付金の額の問題にも同時に関連があるわけでありますが、地方財政ということに対しまして、もう少し国の予算編成の場合において考慮してもらいたい。これは最初に申し上げたことになるのでありますが、この点大臣はどのように考えておられるか、御就任当時非常に地方税に対して御理解のあるお話をわれわれ承つたのですが、この機会においてひとつ大臣のお考えを実現していただきたいということを、お願いしたいのであります。
  28. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。地方市町村並びに知事各位のいろいろのお話によりましても、今床次委員のおつしやつたように、滯納もたくさんあるし、今後徴税には困難を感ずるであろうというようなことは承つております。ところがまた中央政府の徴收します国税の方面におきましても、非常に滯納が大きくて、将来徴税方面において非常な困難がある。これは要するに国の経済力がまだ十分税をうまく納めるまでに至つていないのではないかと思いますが、もしそうだとすれば、減税に向わなければならないと思います。そこでその減税を中央政府の徴税の点においてするか、地方財政の点においてするかということも、これは床次委員がおつしやつた通りに関連しておることでありますが、しかしいずれにいたしましても、やはり納税者は同じ国民でありますから、どちらになりましても私はよかろうと思いますが、しかし私どもといたしましては、一番最初に申し上げました通りに、今後自治行政を確立するためには、やはり自主独立地方はやつて行く、そのためには自分のことは自分でやるという意味におきまして、しかしでき得るならば、これは床次委員のお考えと少し逆行するかとも思いますが、同じ出すなら国税で出して地方へ配付してもらうという建前よりは、やはり地方自治団体自分でとつて自分で使うという方向に行くのが、理想的ではないかと思います。しかしながら先ほど来おつしやつたように、非常に滯納も多いし、税金を納めることに困つておる、徴税がむずかしいだろうということがありますから、できるだけ減税の方向に進んで行かなければならない。その減税を国税でするか地方税でするかということについては、今のところはまだよくはつきりしておりませんが、先般来予算編成について、刻々大蔵大臣と協議しておりまして、できるだけ地方民の税負担が軽くなるようにして行きたい、こういう方向に持つて行くべく、話をしつつある次第であります。でございますから、中央政府の方の国税だけを減税して、地方の方をうつちやらかしておくという方向にはなつて行かないだろうと思います。しかしまだその点までは深く突き進んで話をしておりませんから、いずれまたそのうちに具体的にいろいろ折衝をいたしましたら、その点は御報告申し上げたいと思います。
  29. 床次徳二

    ○床次委員 趣旨は大臣の御答弁で了解したのですが、地方財政の理想といたしまして、地方で必要なものは地方でとる、この方針で進むことについては私ども異存はないのであります。その方向に向わせなければならないと存ずるのでありますが、今年の地方税法におきまして、相当の地方の徴税能力あるいはまた納税の方の能力におきましても、影響を受けておることは事実であります。国税の実体から見ますと、国税の滯納その他の状況も増加の傾向はありますが、しかし国税の方はだんだんと軽減の傾向を受けておることと比べますと、地方の方は非常に苦しいのであります。理想に進むのに一挙に理想に進むということについては、相当御考慮をいただかなければならないと思うのであります。どうも実情から見ますると、予算の審議におきまして、地方税の納税者の立場はつんぼさじきに追い込まれて、結局負担がしわ寄せられるということが、今までの結果から見てあつたような気がするのでありまして、私はこの点におきまして、特に大臣に対して今後の御努力要望いたしたいと思うのであります。  次に平衡交付金の問題について申し上げたいのですが、今年度の千五十億という平衡交付金の総額は、どうも平衡交付金法そのものによる本来の計算方法によつて出した金額ではなく、頭割りで出した数字である。千五十億から逆算して地方の標準歳出をお出しになつたような傾向が強いと思います。現在来年度の平衡交付金の金額については、それぞれ調査をしておられると思いますが、新聞紙上で見ますると、予算はすでに大体千五十億を目標として申請せられておるかに見えるのです。実際の平衡交付金責任者がそろばんを当つてみて参りましたならば、私は千五十億では收まらないのではないか、相当多額になりつつあるのではないかと思うのです。今日結論には達していないでしようが、その中間の経過がどのような数字をたどつているか、私は必ずや相当多額の要望が出て来るのではないかと思つております。平衡交付金の総額の計算ができ上るのと、予算の編成期とには多少ずれがありますから、今日あるいは明瞭な数字にならぬと思いますが、大体の傾向はおわかりと思う。私はある程度の平衡交付金の増額を必要とするのではないか。あるいは地方税を減額するか、どちらかの操作が必要ではないかと思うのでありますが、その意味においてお尋ねするわけであります。
  30. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。平衡交付金は、たとえて申しますれば、公務員の給與ベースがかわるとか何とかいうことが、まだきまつておりませんが、そんなことでも出て来ますれば、動きがあると存じますが、しかし大体においてわれわれは昨年度と同じようにやつて行けるのじやないかという考えでおります。しかし新聞に出ておりましたことを私存じませんが、千五十億で来年度の平衡交付金をきちんときめてしまうんだということは、私は責任者としてまだ承つておりませんし、またそんな話も聞いておりません。要するに平衡交付金は、今度は地方財政状態によつて、今度の税法で取つたその財政收入と財政需要とを勘案しまして、それに不足する点を補給して行く、こういう立場でございますから、中央でそう早くきめられるべきものではなかろうと思います。ただいま地方財政委員会で極力急いで資料を集めております。地方団体財政需要というものと財政歳入というものを突き合せまして、その上で勘案すべきものと考えております。
  31. 床次徳二

    ○床次委員 少しこまかくなつて恐縮でございますが、平衡交付金の標準歳出の計数ですか、これは本年度は一応数字が出ておると思いますが、来年度におきまして、従来本年度において使いました計数そのものにおきまして相当増額修正する必要があるのではないかと思います。標準歳出がふえるべきではないかということを私は考えておりますものですから、先ほど申しましたような質問をいたしたわけでありますが、この点は今の委員会でもつて事務的に調査しておられる経過から見まして、どのような結果になつておるか。大体ことしと同じような標準歳出の数字になつておるか、あるいは相当上まわつておるかどうか、私は他分上まわつておる結論なつているのじやないかと思うものですから、それをお尋ねしたわけであります。
  32. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私、地方財政委員会でいろいろな資料を整えて、研究しつつあるということだけは伺つておりますけれども、その計数がどうなつておるかということはよく存じませんから、説明員からお答えします。
  33. 武岡憲一

    武岡説明員 平衡交付金の算定に用います補正計数でございますか、あるいは單位標準の問題につきましては、昨日申し上げましたように、現在各地方団体からの資料その他によりまして、目下検討中でございます。最終的な結論には到達しておりませんので、一応全体のにらみ合せでもつて、的確なところを出してみませんと、そのまま現在の地方財政に一番適当な数字であるかどうかということについての、確実な判定はいたしかねる状態でございます。しかしながら仕事の方はだんだん運んでおりますので、近く大体の見通しがつきますから、それによりまして、さらに愼重に検討いたしまして、その上で正式な決定をいたしたい、かように考えております。
  34. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 この際私はまず大臣に対しまして、地方財政に対する根本的な考え方についてお伺いいたしたいと思います。それは地方財政が、むろん府県市町村とでは違いますけれども、その財源を地方税金と、国庫の交付金及びその自治体の行うところの事業收入、並びに起債をもつてまかなつておることは御承知通りであります。これが戰争前でありますれば、ある程度の均衡をもつて地方自治体を運営いたしておつたのであります。たとえば府県を例にいたしますれば、その割合は大体において地方税が全体の三割程度、国庫収入が同じく三割程度、事業その他の收入が二割、起債が二割という程度じやなかつたかと存ずるのでありますが、終戰後地方税で自主性ある、しかも彈力性ある財源を求めて、国家依存の風を断ち切るということは、地方行政確立の上からも一大進展でなければならぬと存ずるのでありますが、今後地方税の行き方としまして、私の考え方をもつてすれば、この地方税をますます育成助長して、同時に国庫依存の風を断ち切る。国庫より交付するのは、その地方自治体の行うところのサービスでありまするか、義務でありまするか、そういうものに対する報償であるという程度にとどめ、国家補助金として恩惠を與えるような行き方は、これを断ち切らなければ、どうしても完全なる自治体の育成はできなかろうと存ずるのであります。この問題は別といたしまして、国庫交付金以外の事業收入について、大臣の御考えを承りたいと存ずるのであります。最近財源枯渇のあまり、各市等においては争つて競輪をやつておるようであります。この競輪のもたらすところの財源は相当なものでありまして、各市ともこれに対しましては非常な魅力を感じ、とうてい今日の状態においては、これを廃止するということには賛成しなかろうと存ずるのであります。しかしながらこの競輪の国民に與えるところの各方面の悪影響は、今日相当顯著になつておるようであります。ことにこれが国民に対する勤勉心を失わしめるという根本問題もありまするが、さらにこの競輪場における各種の騒擾事件が、ひとたび性質をかえまして、あるいはまた利用されまして、いかなる不可測の騒擾にまでも発展せんともはかられないということを、われわれは考えなければなりませんが、大臣は根本的に考えまして、地方財政は今後税並びに税外收入並びに起債との関係はいかなる比率をもつて行うのが、最も健全なあり方であるとお考えになるか。特にこのうち税外收入であるところの競輪については、今後どういうふうにこれを持つて行かれる考えであるか、ひとつお考えをお伺いしたいと思うのであります。
  35. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。私はこう考えております。地方税法通りまして実施に移されました以上は、経営の支出については地方税でまかなうべきものである。しかしながら一時に多額の金がいる。かりに申しますれば、大きな施設をするとか、もしくは長年の間に利用される施設をするので、一時にその金を出せないというようなものは、起債等に仰ぐべきものと考えております。その割合がいかになるかは、そのときの情勢によりまして、あるいは三年度も五年度もかからなければ税收入では償えぬようなお金は、起債に仰ぐこともないとも限りませぬが、それはそのときの情勢によります。  ただ最後の競輪の問題であります。私これは民間におりましたときから考えておるのでございますが、昔勧業債券がございまして、割増金がつく、これも一つの賭博と申しますか、そういうような投機行為であると考えておつたのであります。商売と申しますものは、安いものを買つて高く売る、これも一種の投機でございます。ただその投機が社会一般に大して悪い影響を與えない、こういう点において許されておる。勧業債券の割増金も社会に大した悪い影響を與えないという意味において、過去において許されておつたのであります。何を申しましても、戰後あちらでもこちらでも財政収入が足りないと同時に、もう一つああいうような賭博的なものに宝くじというようなものが、国家の施設として許されるようになつたということは、これはインフレーシヨンの影響がございまして、浮動購買力を急速に吸收するというような経済的観念もあり、また財政的必要もあつて許されたものと存じますが、しかしただいまの情勢でございますと、もう浮動購買力を吸收して、何とかしなければならぬというような意味もだんだん薄らいで来ておりますし、それからもう一つは、あの競輪なんかになりますと、お説の通りの混乱が起きまして、そして社会道義上非常に唾棄すべきものである、こう私は考えております。ああいうもので財政收入をして行くということも、はなはだ好ましくない。それから同時に、ああいうことを放置しておきますならば、社会一般に道義観念もなくなり、また国民はその賭博の結果、非常に困つた人がたくさん出て来るというようなことも出て来るのでありますから、行く行くは私は当然制限もされ、抑制もされるような時期に立ち至ることと、こう考えております。でございますから、先般も宇都宮の競輪を閉鎖したというようなこともございます。私は極端なる社会混乱を起すようなことがあれば、たとい財政收入として非常な強力な原因になつておりましても、社会風教上私は禁止すべきものと考えております。しかし何を申しましても、過去の因縁並びに行きがかりというものがございまして、せつかく投資して、その投資を原価も償却していないうちに、またそれを急にやめて、收入もはいらない、また今までの投資がふいになるというようなことになつて、地方公共団体が非常に困るようなことになりましても困りますから、できるだけ社会的に不道徳な感じを瀰漫させない、また社会に混乱を起させないようによく制限しまして、そして当分は続けて行つてもよいと思いますけれども、行く行くは、私は競輪なんかというものはやめて行くべきものだということを、私的に考えております。しかしこれは公的にまだ処置するところまでは参つておりません。これをもつて答弁にかえます。
  36. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 次に地方財政の重要なる財源である起債の問題について、大臣のお考えを承りたいと存ずるのであります。起債の全体のわくが現実の経済財政の全面的な立場からきめられるのは、当然であろうと存ずるのでありますが、しかしながらわれわれの考えをもつてすれば、今日の財政計画として、起債に対する考えはあまりにきゆうくつではないか、すでにわれわれの考えをもつてすれば、経済も安定のコースに入つておるということになりますれば、その財源はすべて今日住んでおる国民のふところからまかなわなければならぬというような考え方も、相当緩和するのではなかろうかと存ずるのであります。ことに事業の種類によりましては、たとえば学校の建設あるいは道路、橋梁の建設というようなものは、これは現在生活を営んでいる国民だけの負担すべき問題ではなくて、将来のわれわれの子孫までがこの利益を享受し負担をするのは当然であろうと存ずるのでありますが、特に金融財政の権威者でありますところの岡野国務大臣は、起債というものに対して、いかなる考えを持つておられますか、お考えを承りました上で、さらに次の質問をいたしたいと思います。
  37. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。起債のことでございますが、もし府県債とか市債とかいうようなものが、一般に公募されまして、国民個々のふところからその応募者が出てやつて行けますならば、非常にけつこうなことでございますから、地方財政としているだけの起債は、どんどんやつてつていいものと、こう考えますが、しかし遺憾ながらただいま市債を発行しましても、府県債を発行しましても、一般の公募はできない情勢でございます。従つてその起債をいたします場合には、どうしてもやはり預金部資金のごときもしくは見返り資金あたりからすれば、それもけつこうと存じますが、いずれにいたしましても、中央政府が握つているところの国家資金というものを利用するよりほかにないのでございます。国家資金を利用するということになりますと、自然そこに制約がございまして、中央の財政金融政策から、各地方がこれだけいると言いましても、その供給の源泉から申しまして、ある程度の制約を受けて、そして起債額というもののわくがつくられるということになつておるのであります。それが結局三百億とか四百二十億とかいうことに議論がなりまして、思う存分起債ができない今日の情ない状態になつていることを御了承願いたいと存じます。
  38. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 次に安本の方にお伺いいたしたいと存ずるのでありますが、国庫から補助を受けてやつておりますところの道路、橋梁補修費の地方費の総額に対して、起債を許可される意思があるかどうかという問題についてであります。その地方負担する総額のごときは、ここに表を持つておりますから、御説明申し上げてもよろしゆうございますが、煩を避けるために省略いたしますが、相当大きな額になつておるのであります。おそらく今までの取扱いとして、これらのものに対して起債を許可しない根本的な理由は、これらはまことに少額な工事の集まりである、たとえば体にいたしますればできものみたいなものだ、従つてそれは自分のふところからやるべきものであつて、借金をしてまでもやるべきものではないというようなお考えのもとに、これらに対しての起債を許可せられなかつたのだろうと存ずるのであります。しかしながら、これは戰争後の日本の国土の状況を御承知ないからだと存ずるのでありまして、今日の国土は御承知通り、全身的に栄養不良になつている。できものは單にできもののために生ずるのでなくて、全身栄養不良のためにそういうようなできものができておるのでありまして、従つてその修繕に要するところの金額も、相当の金額に達し、とうてい地方の公共団体のふところでもつてまかない得られないというような実情なつておるのであります。ことに、これは今までの国の方針でありまするが、起債を許可するという場合には、それが国庫から補助を受けておるか受けていないかということが、起債許可の先決要件であつたように、われわれは存じておるのであります。事業の種類あるいはこれが公共事業であるかどうかというような理論闘争は別にいたしまして、いやしくも国から補助金を得て仕事をやつておるというものに対しましては、国庫はこれに対してその仕事を完成させるために、同時に起債のせわまでしたというようなことが、従来の方針であつたように存ずるのであります。しかるに一方においてはその必要を認めて、国から補助金を出しておりながら、その事業を完遂するために要する多額のこれらの修繕、補修費は、自分のふところから出せということは、政策として一貫性を欠いておるのではないかというふうにも存ぜられるのであります。ことに私が申し上げますところの道路、橋梁補修費の問題は、これは一昨年の十一月その筋より日本政府に対し覚書を発して、道路維持、修繕五箇年計画を立てるように指示があり、その指示に基いてやつておるようなことでありまして、いわばその地方公共団体が任意にやつておる仕事とは解せられないのであります。にもかかわらず、これはいかにも金額が小さいから、そういうことは自分のふところでやるべきであるというような従来の考え方から、これらに対して起債の許可をしないということは、いかにも首尾一貫しない、地方実情を無視し、あるいは現在の国土の荒廃状態を無視せられたような御方針ではないかと存ずるのでありますが、これに対する御意見を伺いたいと存ずるのであります。
  39. 石田政夫

    石田説明員 道路の補修並びに橋梁のかけかえにつきましての、公共事業の国費に見合う地方負担分の起債の問題につきましては、お説のように、この問題は例のマツカーサー司令部より五箇年計画の指示もございまして、非常に重要な問題でございます。安本といたしましては、この公共事業の国費に見合います地方負担分につきまして、地方自治庁に連絡をとりまして、たえず密接な連絡をとつております。ただいまお話を伺いますと、道路の補修につきましての地方起債も全部起債対象として落した、こういうふうにお話を承りましたが、実は私、自治庁との連絡で聞いております点では、特に普通の維持、補修と違いまして、道路の維持補修については、事業内容が非常に重要性を帶びておりますので、取扱いを別にして考えておるはずであります。たとえば一例をとりますと、横浜市にも実はその問題の話がございまして、あとですぐそれを訂正いたしました。これは自治庁の方の取扱いの範囲でありますが、自治庁の関係課長と相談いたしまして、それを訂正したような次第でございます。何か全部切つたというようなお話に承りましたが、そうではないのでございます。ただそのトータルがどの程度になつておりますか、これはまだしめ上げておりませんので、監理課の方ではまだはつきりわからないと思います。
  40. 武岡憲一

    武岡説明員 道路、橋梁等の補修費に対する起債承認の問題についてのお尋ねでありますが、補修費につきましても、建設費それから改良工事に要しまする経費とまつたく区別をして、全然見ておらぬというわけではないのであります。ただいま安本の方からも御説明申し上げましたように、私の方で起債の承認をいたしまする際の基準額となりまする、地方公共事業費地方負担分の中には、補修費も入れて計算をいたしております。ただりくつを申し上げますと、この補修費がまだ軽視されておると申しますか、起債対象としては見ないというような傾向があることにつきましては、御指摘のように金額が非常に小さいものが原則としては多いということも、一つの理由ではございましようが、さらにりくつを申し上げますと、地方財政法の第五條の規定によりますると、起債対象となりまする事業は、道路それから港湾、橋梁等の公共施設の建設事業費の財源とする場合、こういう字句があるわけであります。そこで單なる補修は、どうも建設事業という解釈には当らぬじやないかというようなりくつもあるわけでありまするので、特に補修費に対する起債としては、今まで取扱つてはおらぬかと思います。しかしながら実際問題といたしましては、これらの公共事業に対する地方負担分に見合うべき起債が、どうせ全額は行きわたらないのが実情でございまして、大体現状におきましても、負担額の三〇%ないし三四、五%というのが実情でございます。その計算の基礎としては、地方財政委員会といたしましては、補修費の額もとにかくその中に含めて計算だけはいたしておるというような実情であります。御了承願います。
  41. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 最後にちよつと方面がかわりまするが、お伺いいたしたいと存ずるのであります。昨今の新聞に、国家の公務員として不適格なる者を、公職より追放するというような記事が出ておるのでありますが、同じく地方の公務員に対しても、こういうような措置を講ぜられるであろうというようなふうに見えるのであります。私もこれはまことに双手をあげて賛成でありまするが、ただ今日の法治国におきましては、ただ不適当であるから、これを放逐するということは許されないのであります。何らか法的根拠に準拠しなければならないし、もしもそれがなければ、新たに立法的措置によらなければならないと思うのでありますが、地方公務員に対しては、一体これを国家公務員と同じように不適当と思われる者を追放される意思があるかどうか。またされるとすれば、いかなる根拠においてこれを行われるか、それについておさしつかえなければ——おさしつかえれば御説明願わなくてもけつこうでありますが、お答え願いたいと思います。
  42. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま龍野さんの御質問でございますが、新聞等でいろいろ中央の公務員を追放するとか、あるいは地方の公務員を追放するとかいうことが伝えられておりますけれども、私の関知する限りにおいては、龍野さんの御説の通り日本国民が公務に従事しておろうと一般企業に従事しておろうと、これが法的根拠なくしては排除することができないことは当然であります。でありますから、私どもといたしましては、法治国の原則を遵奉いたしまして、そうして法治国の公務員がそれに適しないというような原因がありますならば、法的根拠によつて何とかしなければならぬということは、当然原則として出て来ると思います。しかし何ら具体的にまだ私は関知しておりませんことを御了承願います。
  43. 大泉寛三

    ○大泉委員 二、三の点について簡單にお伺いいたしたいと思います。  今、各地方自治体は、市町村税について盛んにやつておりますが、住民税の標準外の課税に対して、地方財政委員会はどんな考えを持つておられるか。例をあげてみますと、たとえば一般個人の住民税に対しては規定通りでありますが、とかく法人に対する立場は、地方議会の抵抗力がきわめて弱いものでありますから、標準外にかけやすい。私どもの地方の浦和市では、法人に対する課税は三千六百円であるというようなことを聞いております。これも新聞記事でありますけれども、そうなると、あそこは人口十万ですから、標準は千八百円、標準外は三千円ということになるのです。各地方団体がこうした例外の手段をとられた場合、地方財政委員会としてはどういう処置をとられるか。
  44. 後藤博

    後藤説明員 市町村民税中、住民税の制限外課税の、法人の均等割の問題だと思いますが、たしか浦和は千八百円、三千円が最高限度だと思いますから、三千円を越すことができないことになつておると思います。何か新聞の間違いではないかと思います。
  45. 大泉寛三

    ○大泉委員 そうやつているから、それに対して地方財政委員会としてどういう処置があるか。
  46. 後藤博

    後藤説明員 もしそういうことがありますれば、違法でありますから訂正をいたしたいと思います。
  47. 大泉寛三

    ○大泉委員 それはお調べを願つて、ひとつ処置をとつていただきます。  次に、きのうも藤田委員から青森のりんごの問題について発言がありましたが、果実に対して今度附加価値税として、あるいは今までの事業税としてかけられないということになつておりますが、これはひとり青森県ばかりでなく、各地方に果実の業者がたくさんあります。また果実ばかりでなく、植木とか盆栽とかその他ずいぶん農業にひとしいような業務がたくさんあると思います。これに対して当局が、單なる一地方の陳情要望によつて、これをとり上げるということはおそらくないと思いますけれども、これを広い立場に立つて考えおき願いたいというのが、一つの要望であります。これはだれが考えても納得の行く一つの立場であつたならば、これはわれわれとしても反対するものではありませんけれども、こうした問題は当行政委員会においてもそうでありまするが、自治庁としても十分念を入れて御考慮を願いたい、こう思います。またどんな考えをもつておられるか、この際伺つておきたいと思います。それを伺つてから次にまたお願いします。
  48. 後藤博

    後藤説明員 県税の法定外普通税の新設の問題だと思いますが、それはその県の財政事情がどういうふうになつておりますか、それを詳しく聞きまして個々に決定いたしたいと考えるのであります。もしも非常に困つておるようでしたら、賦課しなければならないということになると思います。
  49. 大泉寛三

    ○大泉委員 どうせこういう一つの事業は普通農業よりも所得も利益も相当あるでしようから、国税としては相当収入があるものでしようが、こうした部面は国税とにらみ合して除外になつておる。土地から收益が上るのであるから、これは国税の收入とにらみ合せて、いわゆる交付金において是正すべきじやないか、こう思うのであります。こうしたことはもう少し深く考えて見なくちやなりませんけれども、先ほど申し上げた通りこれを個々の県の財政状況を考えてという考え方でなく、やはり国家全体の立場から考慮すべきであると私は思うのであります。この点どうもちよつと意見が違うのでありまするが、今ただちにこれを御答弁願わなくとも、業界のためにもまた県の財政面も、もちろん両方面から考えてみなくちやなりませんけれども、まず納める立場の方を重く考えていただきたい。  それから先ほど国鉄の問題もありましたが、国鉄に対する課税は、固定資産税のほかは当然であるべきだ。地方鉄道においても国鉄と何ら公共性はかわらないと思う。ここで国鉄ばかりが公共性に重い、また国民の財産であるからというような立場に立つて考えられるけれども、地方鉄道は国民の要望によつて、またその地方住民の利益を国鉄と何らかわりなく行つておるという建前からいつたならば、どうしてもこれは国鉄と同じ一つの待遇をもつて地方鉄道に臨まなければならぬのじやないか、こう思います。  今日国家に奉職している官吏あるいは地方公務員でも、みんなお互いに源泉課税を出しておる。俸給をもらう者は税金を国に拂うということは、やはり一般国民と同じような立場に立つて課税を受けるという考え方で、納税しているものと私は思います。どうせ初めから国費で支弁されるのだから、税なんということを考えずに、歳出も歳入も両方ともこれを抹殺して計算したならば、たいへん手数が省けるけれども、やはり官吏も一般の国民と同じように、とにかく源泉課税をむずかしい計算をして拂つておるというような状態であるから、これは国鉄であろうとあるいは地方鉄道であろうと、同じ立場に立つて私は研究してもらいたい。こうしてこそ健全な経営が成立つものだと私は思います。国鉄だから国税外に置くということは、かえつて経営の合理化を妨げるものである、こういうふうに私は考えます。この点において先ほど大臣から、そういう方針で進まれるというお考えのことを承りましたが、新聞で承ると山崎運輸大臣課税すべきじやないというような発表もされておるのでありますから、この点は大いにわれわれのお考えを受入れて御奮闘になつていただきたい、こういうふうに要望しておきます。  それから私方々地方をまわつてみますると、どうも国税は安くなつてありがたいけれども、地方税がきわめて高くなつた、こんなべらぼうの話はないということを地方民から聞きますが、これに対して一々答えておりますけれども、今日の地方税は高くなつたとか、安くなつたとかいう問題でなく、むしろ高ければ住民の努力によつて下げたらいいじやないかと言つておりますけれども、こうしたことはやはり納税する立場から見ますと、国税であろうと地方税であろうと同じであるという考え方で、地方の自治性ということを深く考えずに、納めることのみに感情が走つて行くのであります。これに対して地方自治庁なり、あるいは地方財政委員会なりが、もう少し地方民に対する徹底した一つの考え方をいたすべきではなかろうか、こう思うのであります。これに対して議会でこういうふうにきめたんだから、こういうふうになるのだということでなく、各地方団体においてもそうでありますけれども、特に地方団体の代表機関である地方財政委員会方面では、特に地方自治の確立のために、あるいは地方の自治の発展のために、各地方住民の努力をもつてこれに当らなければならぬということを、大いに徹底せしめる必要があるのではないかと思う。これに対して地方財政委員会のお考えを伺いたいと思います。
  50. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私からお答えを申し上げます。大泉さんの御説しごくごもつともでございます。同時にわれわれといたしましても、いろいろ地方から苦情なり、不満なりを承つておるのでございます。同時に大泉さんの御説の通り、われわれはこれから地方民に対して自治ということの精神を高揚するために、あらゆる手段を盡して国民を啓蒙して行きたい、こういう考えを持つております。それについては自治庁においても、財政委員会においても、行政委員会におきましても、いろいろ方策を考えておる次第でございますから、いずれ御期待に沿うような運動も起す考えでございます。そういうことでございますので御了承を願います。
  51. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 門司亮君。
  52. 門司亮

    ○門司委員 大臣にきわめて簡單なこと、事務的なことだけをお聞きしておきたいと思います。  今おいでになつておりまするシヤウプ博士が先日仙台かどこかで語られた言葉を新聞を通じてみますと、地方税は改正になつた、これは恒久的なものであるというような意思の発表が新聞を通じて伝えられておりますが、しかしわれわれから考えてみますと、この地方税はかなり大きな欠陷を持つておると同時に、いろいろ考えさせられることがあるのでありまして、ただちにこれを恒久的なものとしていいかどうかということについては、私どもはかなり異論を持つているわけであります。当局はこれを一体どういうふうにお考えなつておりますか、シヤウプ博士と同じような考えで今おいでになりますか。
  53. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。シヤウプ博士がおつしやつたことは、おそらく新聞で御承知のことと思います。私新聞も見ておりません。それから同時にシヤウプ博士にそういう点はまだはかつておりません。しかしながらシヤウプ博士の御勧告を一応われわれは受入れまして、あの地方税をつくつたのでございますけれども、この前の国会でも相当御議論がございましたし、私が受持ちました第八国会におきましても、皆さんからいろいろの御議論を承つておるのであります。同時にあの勧告というものは、シヤウプ博士が御勧告なつたので、日本の国情が十分徹底的にシヤウプ博士に反映していたかどうかということについても、私は検討しなければならぬ、こう考えるのでございます。でございますから、私は前々国会並びに先般の国会におきましても、いろいろ御議論のあつた点、並びに一般輿論として起つておるあの地方税に対する批評というものを取り上げまして、そうして、それについて、これは日本の国情にこうしたらぴつたり合うのじやないかという意見が出ますならば、その意見を申達して、そうしてだんだんと完備したものにしたい。私はこういう考えを持つておることを御了承願いたいと思います。
  54. 門司亮

    ○門司委員 こまかい税制のことは別にいたしまして、今もしこの税制が改革されない、恒久的なものであるというような考え方がなされるといたしますと、次に起つて来る問題は、府県財政上の問題でありますが、御承知のように今度の税制改革は、県民全体が県税を納めることがないようになつておるのであります。ことに農業県に参りますと、農業の事業税も廃止されておりますし、附加価値税においてはことさらであります。そこでここに税の負担の均衡の上において、県財政という点から気持の上で、商業都市、あるいは商工業都市と、農村地帶との関係において、県の施設を行うにいたしましても、かなり精神的の穴みたいなものができやしないかということを考えておる。従つてこのままの税制で参りますと、やはり県の行政の上にある種のトラブルが起つて来やしないか。従つてこれが従来非常にわれわれが長い間かかつて改正して参りました三部制のようなものが、再びできる危險性がありはしないか。おそらく三部制にすることはないと思いますが、そういう危險性を持つて来ることがありはしないか。かりに三部制はできないにしても、農村の負担は軽くなつておるのであります。財政の需要は何といつても都道府県が力を持つておる。都市よりもむしろ農村関係に主力を注がなければならない。ことに治山治水の関係から、河川の改修その他についてはことさらに費用を多くする必要ができて来ておる。その場合にその方面負担が県の財政の上において、きわめて軽微であるということになつて参りますと、県の行政上にかなり大きなトラブルを持つて来る危險性を持つておると私は考えるが、これに対して大臣の方ではどういうふうに調整して行くお考えであるか。  さらについででありますから伺つておきますが、そういうことを考えて行きますと、今度の税制改革は、かつて委員会においても総理大臣に私ちよつとお伺いしたのでありますが、どうしても日本府県の廃合を行わない限りにおいては、この税制ではそういう問題は解消できないというふうに考えておるのでありますが、これに対して大臣はどういうふうにお考えなつておりますか。
  55. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。ただいま門司委員の御質問ですが、私もそういう欠点と申しますか、非常ないわゆるトラブルがあつて、農村ばかりを主にしておる県が財政上非常に苦しくなつて来るのじやないか。また大阪とか、東京のような都市と比べて、その府県行政というものの行き方が違つて来るのではないか。いろいろのことが考えられるのでございますが、一応税法といたしましては、大体これで地方自治団体財政を確立するという目的だけは達しられます。  それからなお考えなければならないことは、今御承知通り調査委員会議地方公共団体事務の再配分をよく考えております。そしてその再配分の目的といたしますところは、市町村に自治行政の優先権を與えること、こういう方向で進んでおります。そういうものが出て来ますと、今度はお説の通り府県というものの廃合とかなんとかいうものが問題になつて来ると思います。私はただいまのところではそういうことが出て来るのじやないかということを考えております。そういたしますと、市町村が主体になつ地方行政が行われて行く。そうしてその府県財政的にも非常に困るし、府県のする仕事においても、配分の結果府県の存在価値においても、われわれが考えを及ぼさなければならぬということが出て参りますから、府県の廃合とか、あるいはまだほかにそういうことを処置することが出て来ると思います。そういうことはおそらく近い将来に起きて来ることと思います。いずれにいたしましても、調査委員会議事務配分は、市町村を主体としてやつて行くという結果が出ました上で、一応考えを及ぼして行かなければならぬと考えます。そういたしますと、この府県財政ということは二の次になりまして、府県の存在というものに対して考慮をして、その後に財政の問題を考える、こうなつて来やせぬかと考えます。これが私のただいまの考え方でございます。
  56. 門司亮

    ○門司委員 そういたしますと、その調査委員会議結論がいつごろ出るという見通しがついておりますか、おわかりだつたらお話願つておきたいと思います。
  57. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは先ほど藤田委員から御質問がございましたが、近い将来において出て来ることになつております。それはどういうふうに成案ができつつあるかと申しますと、詳しいことは事務的にも固まつておらぬ。しかしながら大体固まりかけた情勢なつておる。そうして出す時期と申しますと、シヤウプ博士旅行からお帰りになつたころには出るのではないか。しかしはつきりしたことは、調査委員会議の内部の事務的の進行状態だけでございまして、結論といたしましてこういうふうになるんだということは、私はまだ報告を受けておりませんし、まだ報告する時期でないと、向うで申しております。御了承願います。
  58. 門司亮

    ○門司委員 その次に事務的なことで申し上げておきたいことは、法の第三百八十八條のことであります。この第三百八十八條は、固定資産の評価に対する地方財政委員会の権限の事項になつておるのであります。これは大体すでに発表されておると思いますが、評価その他についての地方財政委員会のまとまつた案が、もうなければならないはずだと思つております。地方に指示されておりますので、従つてまとまつたものがございますれば、この際お示しを願いたい。
  59. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私それについて存じませんから、説明員からお答えいたさせます。
  60. 後藤博

    後藤説明員 法の三百八十八條、地方財政委員会の固定資産にかかる任務の規定の問題だと思いますが、地方財政委員会は地籍図その他の固定資産税の評価に関する資料の標準様式を定めて、市町村に指示しなければならないことになつておりますが、これは現在のところ研究しておりまして、それぞれの專門家に当つて、標準の規定についての意見を求めておりますから、まだ決定したものを出しておりません。できるだけ早く出したいと思つております。
  61. 門司亮

    ○門司委員 これは非常に重大な問題でありまして、固定資産税の評価をいたします権限を、非常に大きく地方財政委員会が握つております関係から、はつきりした数字が出て参りませんと、おそらく固定資産税の徴税に非常に困難を来すと思います。これが今のお話のように、まだはつきりしてないということになつて参りますと、法はすでに施行されておるにもかかわらず、いまだ基本となるべきものすらできていないということになるので、地方自治体はこれをどうして取上げて行くべきかわからない。こういうことがもしありといたしますならば、できるだけ早くこういうものを指示していただき、そうして親切にしていただきませんと、御承知のように——先ほど平衡交付金の話もありました。やはり財政需要とのアンバランスだけを、大体平衡交付金で支給しようという考え方で、配付税がああいうふうに直された。その基礎になるべき税額を決定するにあたつて課税客体はつかんでおるが、課税額というものがはつきりきまらないというようなことになつて参りますと、市町村ではどうにもしようがないと思う。ことに大きな固定資産を持つ市町村においてそれを徴收いたしました場合に、これを近隣の市町村に分配をしなければならない。その率もやはり地方財政委員会がきめるということになつておる。一体こういう問題が起つて来てどういうことになるか。それがきまらなければ、その村では財政計画が立たぬ。税金はこれだけとるが、どう配分してよいかわからぬということになつて参りますと、財政計画の立てようがない。もし今きまつてないとすれば、いつごろ決定して、いつごろ徹底されるつもりであるか。この問題は非常に重大な問題でありまして、ことに政府の資料の面から見ますと、償却資産の捕捉率というものが非常にあいまいになつておる。一体第七国会に出されたものと、第八国会に出されたものと非常に大きな開きを持つておる。こういうずさんな資料が出されております。一体正確な課税額を捕捉できるかどうか。それにもかかわらず、いまだにその基本となるものが決定していないなどということは——私はとつくにこれは指示されておつたと考えておるのでありますが、今なおきまつていないということは、言語道断だと思う。一体地方自治体をどうするお考えであるか。
  62. 後藤博

    後藤説明員 三百八十八條の規定は、固定資産税の来年度行います評価に関する地方財政委員会の任務の規定でありまして、本年度は大体賃貸価格を標準にしてやりますので、本年度すぐいるわけではありません。来年度の評価の際に用いる標準様式を定めるという規定でありますので、今すぐ決定しなければならぬというふうには考えておりません。
  63. 門司亮

    ○門司委員 それでは私は條文にとらわれないでもう少しお尋ねいたしますが、先ほど私が申し上げておりますように、償却資産に対する地方財政委員会の権限であります。これはどういうふうになつておるか。なおそういう條文で一々御返答があるというなら、私も一々この條文で御質問いたします。三百八十八條以下に規定してあります。これをひとつお答え願いたい。
  64. 後藤博

    後藤説明員 償却資産に関する評価の問題でありますが、これは相当問題がございますので、現在やはりこれも各方面意見を聞いて、急いで償却資産に対する価格の標準を決定したいと考えております。しかしながらこれは非常にむずかしい問題でありまして、簡單に決定することは困難かと思いますので、專門家の意見を聞きまして、急いできめたいと思います。
  65. 門司亮

    ○門司委員 非常にむずかしい問題だから簡單にきめられないと言われますが、地方財政委員会が権限を握つておいて、簡單にきめられないということになると、権限を持たない市町村は何でやるか。市町村は生きておりますので、やはり税制を決定いたします。すでに当局からこういう條例の案が出ておりまして、大体遅くても今月一ぱいには各市町村には條例ができると思う。ただ九月から徴收することになつておるのでありますが、市町村は非常に迷つておりまして、実際は十月でなければ市民税すら徴收が困難ではないかという状態にまで追い込まれておる。そうなつて参りますと、当然九月に徴收すべきものが十月に追い込まれるというような事態になつて来ると、財政上のやり繰りが非常にむずかしくなつて来る。その上にこの固定資産税の基準となるべきものが、まだはつきりできておらないということになつて参りますると、一体地方財政委員会は何をおやりになつておるか。私どもが各地方をまわつて心配をいたしておりますのは、非常に期限の短い間に本年度の税收を完結しなければならないという市町村の苦労であります。同時にそれがなされなければ市町村の運営というものは満足に行かない。これの基礎になるべきものがいまだできていないということになりますと、実際上の問題として地方財政の破綻になりはしないかと考えておる。口では地方財政の充実によつて地方自治権の確立だなんと言つておりますけれども、実際の運営の上においてそういうことができなくなりはしないか。これはきわめて重大な問題だと私は思います。できていないものをここで深く追究いたしましてもやむを得ぬことだと思いますが、できるだけ早く、権限に属しておりますものを指示していただいて、そうして市町村が償却資産の価格を決定いたします場合に間違いのないように、おそらくこの償却資産にいたしましても、はつきりするのは——資産の再評価の問題がこれに絡んで参つておりますので、あるいは時価といい、あるいは帳簿価格というようなものがございますが、それらのいずれを採用するにいたしましても、それだけでは市町村では割り切れない。先ほど私が申し上げましたような、他の隣接の市町村にわけてやらなければならないようなものが必ず出て参りますので、そういうものに対する指示だけでもやはり早くしてもらわぬと、いずれの角度からこれを徴收するにいたしましても、非常に困難だと私は思います。もとよりこの問題は非常にむずかしい問題でありまして、陳腐化の問題をどうするとか、幾多の問題が出て来ると思います。しかし第七国会以来の、しかもそれ以前から大体こういう税法が考えられて、それと並行しておそらく事務当局としては、これが審査をなされていなければならぬはずだと私は考えております。地方財政委員会のできましたのも第七国会であつたと考えておりますが、相当の日数があつたのであります。できるだけすみやかにこれを決定していただきまして、そうして地方公共団体財政上の観点から混乱を免れるように、ぜひしていただきたいということを申し上げておきたいのであります。
  66. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 久保田鶴松君。
  67. 久保田鶴松

    ○久保田委員 私お伺いしたいと思います点は、いろいろ地方で問題になつておりますこの地方税法でございますが、これはわれわれが議会で審議いたしました折も、政府の出されておる資料が間違つておるのだ。二十四年度、二十五年度の国民所得の数字がもう根本的に間違つていた。政府の出された資料は私は信用ができぬということを申し上げておいたのでありますが、そういうような点で残された問題といたしましては、地方が困つておるこの問題を解決いたしますのには、これは平衡交付金等の問題になると思うのであります。そこで平衡交付金地方税制と密接な関係があるのでありまして、今後各府県あるいは市町村條例のあり方によりまして、当然大きな影響を及ぼして来ると私は思うのです。従つて平衡交付金について問題になりますこの総額を確保するための保障であります。これは昭和二十五年度におきまして、シヤウプさんの勧告に基いて平衡交付金額は千五十億計上されました。しかしそのうち国庫補助金の振替分を含んでおります財源として八百億程度くらいになると思うのです。そうしますと、二十四年度には地方配付税として、当初予算とその補正予算とを合せますと六百六十七億くらいと思うのです。そうすると百三十億程度しかふえていないというようなことになつて参りますために、こういうことでは、この地方税法で問題になつておる地方が非常に財源等によつてつて来る。今すでに各府県市町村におきましては、この條例をきめますのに、夜通しいたしておる地方議会等もあるようであります。こういうことを大臣はどうお考えなつておられるか、お伺いしたいと思います。
  68. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。今回新税法ができまして、地方府県並びに市町村では非常な困難と、また徴税上の苦痛を味わつておるということをいろいろ陳情を受けまして、また久保田さんのお話の通りの御意見などもあちらこちらから伺いますが、しかしわれわれといたしましては、久保田さんと御心配を同じくしておるものでございますから、明年度地方財政がうまく立ち行くように、また同時に徴税がうまく行きますように、できるだけ努力し、同時に平衡交付金をもつて足らないところを補つて行くという方向に向いましては、国務大臣といたしまして中央財政を預つておる大蔵省当局とよく折衝して、そうしてあなた方のお考え通りに実は進んで行きたい、まつたく同感の次第でございますから、努力だけはいたしますが、あとの結果をごらんくださるようにお願いいたします。
  69. 久保田鶴松

    ○久保田委員 次にお伺いしたいのは、二十六年度分から行われます交付金と、それから二十四年度に計上されることになつておりました地方配付税額の千百四十五億の問題でございますが、これが政府の地方税の改革によりまして、農村県やあるいは町村が、従来よりも税收入が低減する傾向が非常に強くなつて来ております。この意味から各種の国庫補助金がまたこれ大幅に減らされまして、千五十億の平衡交付金ということを昨日からも申されております。これではなかなか先ほど申し上げましたように地方はいけないと思うのであります。その点もつとこの平衡交付金を増額されるように自治庁といたしまして、また大臣といたしまして考えておられるのかどうかということを、一応伺つておきたいと思います。
  70. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは先ほどどなたかの御質問に対してお答え申し上げましたように、まず地方財政委員会財政需要というものを詳しくデーターをとつております。またそれに対しまして、地方財政收入というものを詳しくデーターをとつております。そうしてそれに応じまして、平衡交付金というものを幾らくらい出したら、その自治体が立つて行くかというようなことを研究しまして、そうしてその結果から割り出して、平衡交付金をはめて行く、こういう段階なつておるのでございますが、しかしまだ財政委員会で集めます資料も十分整理もつきませんし、ただいまのところ事実はつきりしておらぬのであります。けれども先ほどすでにお答え申し上げましたように、門司君の御質問通り貧村をかかえておるところの府県というものが、財政的に非常に困難になつて来ておる。府県行政というものの存在の価値に対してどうか、考えなければならぬのじやないかという御説がありまして、私もあるいはそういうことになるかもしれぬと思いますが、しかしそれは第一段の前提として、今調査委員会議事務の再配分をよく研究しておるのであります。その事務研究の結果、その方法は市町村に優先権を與えた事務の再配分でございます。その結果が出ました後に府県というものの行政的立場が、自然明らかになつて来ると思います。そういたしますと、門司君のお説の通り府県というものをどうして行くかということも考え出して行かなければならぬと思います。しかしただいまのところは、何にいたせ前提條件たる市町村事務の再配分というものが確定いたしませんから、はつきりした見通しがつきません。しかしお説はその通り考えられる行き方でございますから、まあできるだけわれわれといたしましては一番初めの地方自治の確立、それは市町村を優先的に強化して行く、そうしてそのあとに残つた府県をどうして行くかというような方法になつて行きます。そういうものがきまりますれば、おのずからまたそれに対する財政的処置も、その場合に立ち至りまして考えなければならぬと考えております。先のことでただいまのところは見通しがつきません。
  71. 久保田鶴松

    ○久保田委員 次いで市町村民税のことについてお伺いしたいと思うのでありますが、市町村民税の改革によりましての所得割中心に改められた点等について、法人と個人との負担の不均衡でございます。これは勤労大衆に対する負担の増加等について、いろいろ問題が残されておるのであります。そのために問題の解決の方法等は、この税の性格からいたしまして市町村財政や、あるいはまた社会的、政治的に大きな影響を及ぼすことも多いと思うのであります。いわゆる均等割と所得割の二本建になりまして、元の資産割というものをとられましたことによつての二本建により、特に勤労大衆に大きな問題といたしまして、今後今申しますように、地方自治体において政治的な問題等になつて、自治体のいわゆる不信任等の問題なども当然起きて来ると思うのですが、そういう点はどうお考えでございましようか。そういう問題は起きないとお思いでしようか、あるいはそういう問題が起きて来るとするなら、そのときはどうこの問題を解決するか。税法をまた改正するというようなお考えはございますかどうか、伺つておきたい。
  72. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。住民税については今までわれわれの耳に入りましたのでも、非常に勤労大衆が困るというようなお話がございますが、一応ひとつこれで実施してもらいまして、あるいはお説のような御心配のことも出て来ぬとも限りませんが、しかしただいまのところでは私まだそこまで考える時期に到達してないと思います。でありますから、どういうふうになりますか、今の現行法を実施した上で、またお教えを乞う必要が起るのではないかと考えております。
  73. 久保田鶴松

    ○久保田委員 考えていないというような大臣のお言葉でございますが、昨日の新聞だつたと思います。大蔵省かあるいは国税庁の方々が、住民税等を拂うことが困難なるために、給與の先借り云々というような記事が出ておりました。こういうことで、地方においても役所関係におられる方々でございますと、今度の改正された地方税に対する勤労者の負担はこうなつて来るんだ、これは拂えないということを申しております。ところがこの税の問題に対する無恥な勤労者におきましては、役所から通知をもらつてからでないとわからないというような人が多いのです。そういうことで、一般に役所から通知がまわつて来たときに起きて来る問題で、今考えていないというような大臣のお言葉でございますが、そういうときになりましては、すでに遅いということであります。ですから、この問題は起きないうちに当然考えておかなければならないところの問題だと私は思う。それを私は伺つておるわけなんでありますが、大臣はまだそこまで考えていないとこう申されましたが、どうでしようか。
  74. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。新聞に出ましたことは私承知しております。しかしあれはひとつ大蔵省に聞いてみようと思つて、まだコンフアームしておりませんが、私の考えるところでは、大蔵省方面ではあれは何か非常に困るからということで、ああいうことになつたのだろうと思うのでありますが、ほかの会社や事業会社でもやはりそんなことがあるのではないかと思いますけれども、しかし何と申しましてもあの税法を通すときには、やはりあれを割当てて住民税を拂つていただくということに実はなつておるのです。そして割当てて一、二の不平があるとか、不満があつて拂えぬというようなことが、ちよつと新聞に出たからといつて、私自身が、せつかく今通つてこの八月一日から実行をしつつあるあの税法をかえるとか何とかいうことは私は考えていない。しかし税法は行政の問題ではなく、政治問題といたしまして、どうしても国民が絶対に拂えないから拂わないということが起きることが、かりに考え方として想像的に考えられるならば、それに対してまた考えなければならぬと思いますけれども、しかし何分八月一日から出したばかりでありまして、そうして納税告知書を今配付しつつある次第でありますから、その結果を見た上でなければ、私は自分自身で何とも申し上げられない、これが私の立場でございます。でありますから、もしこれをほんとうにかえて行かなければならぬならば、あの税法を私は確信ある税法だと申し上げまして、ここに提出するそのときに、考えなければならなかつたことだと思います。提出しましたときは、あれでいいと考えておつたわけでありますが、そのときの考えを今も持つております。しかし将来あれがどんな反響を起しますか、これは相当われわれとしては注視しておる。久保田さんと同じく社会のため、国家のために、これはお説の通り心配もしなければならぬと思います。しかしただいま大蔵省のああいうことが新聞に出たから、社会問題がすぐに起きる。だからお前かえる考えはないかという質問でありますならば、私は今のところはまあ考える余地はない、一応ひとつやつてみて、その結果反響いかんによつては、これは政治的には考えなければならぬと思います。しかし行政的にはやはりあれで一応ずつと実行してみたい、こういうことが私の立場でございます、御了承願います。
  75. 久保田鶴松

    ○久保田委員 いろいろ住民税のことにつきまして意見があるのでありますが、これはまた後日伺うことにしまして、ただ一点だけ伺つておきたいことは、この固定資産税の問題でございます。固定資産税は資産、資本の評価額が課税標準にされますが、その評価の正確を期することはなかなか困難だと私は思う。この評価の正確を期することの困難な問題を、問題にならないようにされまする方法は、いろいろ昨日からお話になりましたが、門司君も先ほどいろいろ話しておりましたが、私は政府から答えられました範囲ではいけまいと思いまするが、どうでございましようか。この困難な評価、課税方法等について、政府はほかに御意見はないのですか。昨日から答えられておられます範囲内ですか、その点もつと進んだ意見があれば伺いたいと思います。
  76. 後藤博

    後藤説明員 先ほど門司さんからの御質問のときにちよつと申し落したのでありますが、償却資産の二十五年度分の見積りにつきましては、四百十一條に詳しく載つておるのであります。ところがその中で非常にむずかしい規定がございます。つまり資産再評価法の規定の準用がございますし、またその資産再評価法に基くところの資産再評価額を、ある程度基準にするということになつておりますが、どうしても償却資産の見積りが困難な場合には、納税義務者が申告した見積り価額ということになつております。この申告した見積り価額をいかに査定をし、それを基礎にしてやるかということは、おそらく一番むずかしい問題ではないかと思います。でその点につきまして私ども実際は苦慮しておるのでございますが、固定資産税の価額決定を来年度行いますときの価額の評定に関するいろいろの基準は、私どもはすぐつくらないで、これからゆつくり研究して基準をつくつて、来年までに考えて行きたいと考えておりますが、差迫つた問題は、その申告した見積り価額をいかに評定するかという問題なのであります。これはいろいろなケースがありまするし、大体業態別その他において、ある程度の基準を設けてやつて行かなければならぬのですが、一応は申告価額を基礎にしてやるということを先ほど申し落しましたので、つけ加えておきます。価額を評定する問題は、非常に大きな問題でありますが、来年までにひとつこの問題については、じつくり取組んで決定して行きたいと考えます。
  77. 久保田鶴松

    ○久保田委員 来年までにゆつくり取組んで研究したいというお言葉でございましたが、世上に、来年のことを言えば鬼が笑うということがあるように、そんなゆつくりした問題ではないと私は思います。そこで私の聞きました範囲で、この資産の再評価等の問題に対しまして、アメリカあたりにおきましても、地方の財産税を賦課するための評価人は、適正な評価をなすまでには、相当長い間の訓練と経験を必要としたということだそうでございます。ところがわが日本におきましては、市町村の税務機構や、あるいは税務吏員の現状考えるときに、この固定資産の適正な評価が行われ得ることが期待できるかどうか。期待できないと私は思うのです。そういうことからしても、もしこの評価が妥当性を欠きまして、不公平な評価を行われまするときにおける市町村課税は、非常に問題となつて来ると思うのです。そういうことになりますと、これまた市町村において社会的、政治的不信任問題等まで起きて来るところの問題だと思うのです。今の御答弁では、ゆつくり来年までひとつ取組んで研究したいというようなことを申しておられますが、来年度になつたらとんでもないことになるのじやないかと思いますので、政府におかれましては、もつと真劍に、来年度なんてのんきなことをおつしやらずに、今申しましたような問題、また評価人の問題に対する研究を願いたいと思うのです。明日からでもそのことは、来年度なんと言わずにやつてもらわなければならぬと思う。それに対するもつと強い意見を私はいただきたいと思いますが、いかがでしようか。
  78. 後藤博

    後藤説明員 先ほど申し上げました昭和二十五年度分の固定資産税につきましては、一応の標準がございますので、それを基礎にしてやつて行きたい。しかし二十六年度分からは仮評価をいたすことになつておりますので、それに際しての標準をしつかりしたものをつくりたいということを申し上げたつもりであつたのであります。今でももちろん私ども研究しております。今それぞれの固定資産の経理の人たちに十分の意見を聞きまして、データーを集めて研究しておるのでありますが。これを急いで現在において決定するということは、実に厖大な償却資産につきまして、一々こまかく決定することは不可能でありますので、逐次にきめまして、全体がきまるのが来年までであろうということを申し上げたのであります。もちろん私どもこの問題は固定資産税の中核をなしておるということをよく存じております。この問題を十分研究し、また真劍にこの標準を決定し、指導して行きたい、かように考えております。別に来年まで私ども問題を投げかけているという意味ではありません。現在でも真劍に研究しておりますから、その点あしからず御了承を願いたいと思います。
  79. 高田富之

    高田(富)委員 一点だけ御質問したいと思います。先ほど與党側の委員からの御質問に答えまして、大臣地方公務員の中からの、いわゆる赤色分子追放については、まだあまり関知しておらぬという御返答でありましたが、この問題は非常に重要でありますので、もう少しこの点明確にお答え願いたい。まず国家公務員については、新聞の報ずるところによると、今月及び来月にわたつて国家公務員法の條章を適用してやることが、確定したということが報ぜられております。それと同時に、地方公務員についても根本方針は決定している、ただ適用すべき法律の問題だというふうに報道されているのでありますが、閣議において、あるいはその他において、政府の態度としまして地方公務員についても同様、いわゆる赤色分子及びその同調者を追放するという方針が決定したのでありますかどうか。
  80. 岡野清豪

    岡野国務大臣 閣議の内容は御答弁申し上げられませんけれども、事実を申し上げますれば、そういうことは何ら話題にも上りませんし、決定もしておりません。
  81. 高田富之

    高田(富)委員 全然話題に上らないといたしますと——どうも新聞報道では確定的なようになつておりまして、非常に大きな動揺を地方自治体の方に與えておると思います。そこでこの機会に、大臣自身の信念として、現在法的に、また特に日本憲法の精神その他からいつて、そういうふうなことは実行できるとお考えなつておるか、できないとお考えなつておるか。もう一つは、すべきであるか、すべきでないか、この点についての御見解を述べていただきたい。
  82. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。一体新聞で報ぜられることを根拠にされておるならば、私が御答弁いたす必要はない。しかしながら赤色分子の追放とか何とかいうことについて、一体お前はどう考えておるのか、こうおつしやれば、私自身は一体赤色分子とは何ぞやと聞きたくなるのであります。私自身としては、先ほどどなたかの委員質問がありましたように、国家公務員としてその職務を怠るとか、もしくは職務をさせて行くのに都合が悪いとか、国家社会全体の治安を乱すとか、あるいは公務員としてどうもこういうことをされておつては困るということがあれば、当然国家並びに地方団体としては、そういう人には仕事をしてもらいたくないと思います。しかし事公務員の進退に関することであります。すなわちこれを追放するとすれば、結局職を離れることになります。そういうことを軽々に考えるべきものでもありません。でありますからそういうことを考えなければならぬ事態が来れば、また考えなければならぬと思いますが、ただいま私はこれからどういう者を追放するとか、どういうものを公務員からやめてもらいたいとか、そういうことは一向考えておりません。そういうことをひとつ御了承願いたい。
  83. 高田富之

    高田(富)委員 その御答弁は大分よくわかりますが、そのまま信用していいかどうかということは非常に疑問で、現に国家公務員について大橋法務総裁の談として発表されておつて、適用條文まできまつている。さらに、やるのは今月及び来月並びに再来月だということまできめられておつて、この精神は当然地方自治体に及ぶことになつている矢先でありますから、この際大臣が、もしただいま申し述べられたように正論を持つておられるとするならば、国家公務員について、そういうことが始まれば当然及んで来るということを考えなければならぬのでありますから、国家公務員についても同様の見地に立つて大臣としてはつきり見解を述べて、そのようなことはなすべきでないということを主張されておらなければならぬはずだと思うのです。従つてここで国家公務員の追放問題はどうなつているのであるかお伺いしておきたい。
  84. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。新聞に出ていることで、あなたがそういう御質問をなさるならば、大橋法務総裁談となれば、それが確かであるかどうかということを大橋法務総裁に直接にお聞きになつてください。私は大橋法務総裁と違うのですから。大橋国務大臣新聞記者に発表したので談という名前で出ている、だから大橋が言つたに違いない。こうおつしやるのでございましようけれども、それをお確かめになつた上で、大橋君が地方公務員に対してもそうやろうという相談を、私にしたかせぬかということまで、お突きとめになつてくださつた方がいいと思います。私自身としては一向あなたの御質問のようなことは、今閣議でも何ら話に出ておりませんし、まつたく白紙でいる次第であります。
  85. 高田富之

    高田(富)委員 それじや問答しても始まりませんから、最後に一言だけお尋ねしたい。赤色分子とは何ぞやと反問したいとあなたはおつしやるのですが、まつたくその通りで、私の方からも反問したいのであります。おそらくこれは常識的に言いましても、また政府の今までのやり口から言いましても、明らかに共産党員及びその同調者ということが言われている。これは非常に重大な問題であつて、共産党員であつても、もちろんこれはポツダム宣言によつて、あるいはその後の新憲法において保障された合法政党である。しかるにさらにそれに同調者ということまでくつつけている。こういうようなことが公然と現在言われ、かつ民間産業その他においては、すでにこういう基準での協約の無視、労働法を無視した馘首までも現実に行われている。こういう状態の中で、いやしくも大臣が真に日本の憲法を守り、ポツダム宣言による正しい民主的な日本建設するという立場に立つて闘われるならば、現在こういうふうに世論を惑わしているような政府の態度——全然関知されないとしても、あいまいなそういう態度から生れて来ている世論であることは明らかである。従つて共産党員及びその同調者というようなことで追放するようなことは絶対にあり得ないことである。現在の日本の憲法において、まだ諸法律においてなし得べきことではない。かようなデマを飛ばすような者があれば、これは世論を惑わすものであるということを強く主張して、これを否定していただかなければならぬ。幸い今日はこういう公式の委員会の席上であります。従つて大臣として少くとも地方公務員については、絶対に責任があるのでありますから、さようなことは絶対にあり得ない、もしそういうようなことが閣議で万一にも問題になれば、断固反対していただきたい。閣議で問題にすべきことではないし、絶対にそういうことは心配すべきことではないということを、はつきりここで言明していただきたい。
  86. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は憲法を尊重して国政を担当して行きたいという信念に間違いございません。しかしながら閣議において出る話題に対して絶対反対しろということには、お答えできません。私は閣議にどういうものが出て来るか、それもわかりません。それを何か架空な前提を置いて、私の国務大臣の地位を縛るような、あなたの御言明に対しては、承服できません。
  87. 高田富之

    高田(富)委員 それでは質問はこれで打切りますが、ただいまの御答弁で大体わかりました。要するに憲法を蹂躙し、ポツダム宣言を蹂躙し、あくまでそのような行動をやる。これはまつたくフアツシヨ的なやり方であつて、昔は同調者の名において結局は共産主義者及び自由主義者まですべて追放された。おそらく全面講和を主張し、中立を主張する者も、同調者とされるときも近いでありましよう。社会党もあるいは労働者農民党も追い込まれて行くかもしれない。これはまつたく共産主義に名をかりまして、一切の人民の自由を彈圧するものである。このような腹をすでに大臣はきめられておる。だからこそ明確な答弁ができないということを、私ははつきりここで確認して質問を終ります。
  88. 岡野清豪

    岡野国務大臣 御答弁申したいと思います。あなたが私の心の中を御想像して、どんな御確信をお持ちになるかは、あなたの御自由でございますから、御承知願います。
  89. 清水逸平

    ○清水委員 この際大臣簡單に伺つておきたいと思いますが、先ほど門司委員に対する御答弁の中で、事務の再配分について市町村に重点を置くというお話があつたと思います。そうした場合において現在の市町村には非常に貧弱なものがあります。たとえば人口が千二、三百で一村をなしておるとかいうような、非常に小さいものがあります。これらの市町村に今後の事務配分の重点を置いてされる場合に、自治体として立つ上において、そういうものであつたならば微弱でやりにくいのではないか、この際大臣はこういう貧弱な町村の合併等について御勧告の意思ありや否や、これをひとつ伺いたい。  それからもう一つは地方税法が実施されて、私がある農村へ参りましたところが、村税は非常に多くなつたし、県税もほとんど下げないから、村民の負担というものはちつともかわらないという先ほど門司委員の御質問のあつたような実情を、私は見て参つたのであります。そうしてそれを今研究中だという大臣のお言葉でございましたが、これはこの税法を実施して行く上において、道州制をしくというようなことが便利ではないかというように私も考えるものであります。この道州制のことについての質問は、すでに本多国務大臣のときも、この委員会で問題になつたことがございます。岡野大臣は、これらのことについての道州制の御研究とか、そういうことについてお考えがありやいなや、この二点だけ簡單にお答えを願います。
  90. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ただいま貧村と申しますか、小さいスケールの村落は、今後あるいはやつて行けなくなるのではないかという御想像でございますが、私も同感でございまして、その通り考えております。先般も申し上げましたように、今の大きな都市を含めて日本で一万四千二百六十一くらいある市町村の平均人口は、六千七百三十七人だと思います。そうしますと、平均人口以下の小さい町村がたくさんあるわけです。ところがそういうような小さいところでは、ほんとうの自治行政はやつて行けないのではないか、せめて最下部の自治団体は人口一万内外のものに持つて行かなければいけないのではないだろうかと私考えております。むろん自治を維持してやつてもらいたいという意味におきまして、中央政府の方からこうしろとか、ああしろとかいうように強制的な命令はできませんが、しかしあなた方の自治行政を完全にやつて行かれるのには、こうした方がよいのではないかというアドバイスはむろんできると思いますから、そういう意味におきまして私は今までの小さな村とか町とかいうものは、財政並びに自治の確立ができる程度のスケールに合併をさせたらよいであろう、こういうことについて勧告を発しようと考えております。ことに最近すでに問題になつて、合併の話も進みつつあるところもございますから、そういう点におきましては、われわれとしてはできるだけ早く実現するように援助も勧告もしよう、こう考えております。  それから第二の点の道州制の問題でございますが、これはちよつと第七国会でも議論なつたことと伺つております。御承知通り先ほども申し上げましたように市町村を優先的に地方公共団体の單位として行くということになりますれば、先ほど門司委員からもお説がありましたし、久保田委員からもお説がありましたように、やはり府県というものの存在を再検討しなければならない時期が来るであろうと思います。そうしますと今度は府県を廃合するか、もしくはその上に道州制を置くか、もし府県の上に道州制を置くということになれば、これは屋上屋を架することであるからのけて、数府県を合せて一つの道とか、州とかいうようにするということが、ただいまのところ理論的に想像されるのでありますが、これも先ほど申し上げましたように、まず第一に市町村仕事の再配分が確定いたしまして、その後に起きて来る情勢によつて府県の立場を考えなければならないけれども、私自身考えといたしましては、現在の府県をそのままにして道州制をその上に置くということは反対でございます。これは屋上屋を架することになります。でございますから、結局道州制というものが、名前はどうありましようとも、そういうものが出て来なければならないとすれば、数府県が合併されて道とか、州とかいうものになるのではないかと思いますので、これは結局事務配分はつきりきまりました上で、その地方府県情勢によつて、そういうことが具体的問題になつて来るかと想像されます。しかしただいまのところでは、府県をどうやつて行くかということは出ておりませんし、調査委員会結論も出ておりませんから、わからない状態にあります。これはごく正直なところを申し上げたのであります。いずれ調査委員会にかかつた市町村事務配分ができますれば、市町村というものの地位がどういうことになつて行くと、こうなつて来るから、こういうようにならなければならないということは、第二段の結果として考えなければならない一つの問題となつて来ることは確かであると思います。それだけでもつて御了承願いたいと思います。
  91. 門司亮

    ○門司委員 ちよつと委員長にお願いしたいのですが、先ほど質問申し上げた——たとえば地方財政委員会との関係もあります。従つて地方財政委員会の規則ができておりまするならば、至急配付を願いたいと思います。それからもう一つは起債問題にきわめて重要な関係を持つておりまするのと、先ほど来道路の補修の問題等にも議論がありましたが、これらと密接な関係を持つており、地方財政需要の基礎をなしております財政需要額の計数の問題であります。これは一応われわれの手もとには項目だけは配付を受けておりまするが、計数がはつきりいたしておりませんので、この計数がきまつておりまするならば、至急これの御配付を願いたいと考えておりますので、ひとつ当局に御要求願いたいと思います。
  92. 前尾繁三郎

    ○前尾委員長 さようとりはからいます。ほかに御質問はありませんか——それでは散会後、理事会を開いて次回の委員会の議題をお諮りいたしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十分散会