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1950-08-25 第8回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年八月二十五日(金曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員   委員長 前尾繁三郎君    理事 河原伊三郎君 理事 龍野喜一郎君    理事 藤田 義光君 理事 門司  亮君       池見 茂隆君    大泉 寛三君       清水 逸平君    中島 守利君       吉田吉太郎君    床次 徳二君       大矢 省三君    久保田鶴松君  出席国務大臣         国 務 大 臣 大橋 武夫君  委員外出席者         国家消防庁長官 新井 茂司君         国家消防庁管理         局長      瀧野 好曉君         国家消防庁総務         課長      横山 和夫君         地方財政委員会         事務局財務部長 武岡 憲一君         地方財政委員会         事務局税務部長 後藤  博君         地方自治庁財政         課長      奧野 誠亮君         地方自治庁行政         課長      長野 士郎君         法務法制意見         第二局長    林  修三君         專  門  員 有松  昇君         專  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 七月三十一日  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察及び消防に関する件  選挙に関する件  競犬法案起草の件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  地方財政に関する件  警察に関する件     —————————————
  2. 前尾繁三郎

    前尾委員長 これより会議を開きます。  この際御報告申し上げておきたいのは、今月の四日本委員会としてシヤウプ博士にお目にかかる機会を得たのでありますが、人数が制限されておりましたので、理事の方に限つて出席していただきまして、そうして今までに出ておりましたところの各党からの修正意見を中心といたしまして、視察をしていただきますにつきましても、十分御留意を願いたいという意味合いお話を申し上げました。予定は一時間でありましたが、一時間四十分にわたりまして、熱心に聞いてもらつたようなわけであります。その要旨はただいま皆さんにお配りいたしたいと思つておるのでありますが、この機会に御報告を申し上げておきます。  それから委員派遣の件でありまするが、非常に遺憾ではありましたが、各委員会八名ということにきまりましたので、最初御希望に沿うようにというので出しました人数を制限された次第であります。あるいは御不満の点もあろうかと思いますが、この点も御了承を得たいと思つておる次第であります。  なおまた本日は常任委員会でありまするので、一箇月一回は少くとも打合せという意味を兼ねまして、お集り願うということを考えておりますので、特にどの問題というようなことは限つておりません。ただいまお見えなつております政府側の方は、地方自治庁行政課長長野士郎君、地方財政委員会事務局財務部長武岡憲一君、地方財政委員会事務局税務部長後藤博君、法務府の法制意見第二局長林修三君、それから消防長官管理局長がお見えなつておりますから、皆さんからいろいろそういう方々に対する御質問があれば、特に何々の議題と制限せずにいろいろお打合せなり、あるいは経過を聞いていただくというような意味合いで、御質問願いたいと思います。
  3. 藤田義光

    藤田委員 質問の前に議事進行に関してお願いしたいと思います。当面の非常に大きな問題であります予備隊結成状況、これに伴う予算措置政令関係に関しまして、大橋法務総裁に詳細お伺いする機会をつくつていただきたいことが第一。  第二は、ただいま明年度予算編成のさ中にありますが、予算編成を通じて見たる地方財政との関連、これは非常に大きな問題であります。やや具体化したやに、われわれ想像いたしておりますので、これは明日でよいと思いますが、安本長官あるいは安本の政務次官をお呼び出し願いたいと思います。委員長も御承知と思いますが、かねてから非常に各地方自治体から熱望されておりました消防施設に対する補助公共事業としての採用、これが非常に大きい問題になつております。安本等においても積極的に検討を開始したように拜聽いたしておりますが、この点に関しまして、ただいま予算編成の最中でありまして、いい機会でありますから、安本責任者からとくと御意見を拜聽し、当委員会としての意見を述べる機会をつくつてもらいたい、これが第二点でございます。  第三点はシヤウプ博士が参りまして以来、地方財政委員会あるいは自治庁等において相当頻繁なる接触がシヤウプ博士とあつたと思います。その折衝状況を承ることは、非常に有力な参考になりますので、詳細拜聽する機会をいただきたいというふうに考えております。以上三点を明日までに予定されておる本委員会において、十分論議いたしまして、当委員会の審議の重要な参考に資したいと考えております。何とぞ委員長の御配慮を願いたいと思います。
  4. 前尾繁三郎

    前尾委員長 ただいまお話の点は、できるだけ御希望に沿うようにいたしたいと思つております。
  5. 藤田義光

    藤田委員 次に御質問申し上げたいと思いますが、岡野国務大臣見えておりませんので、出席政府委員から簡單にお伺いいたしたいと思います。新地方税法が八月一日に実施されまして以来、約一箇月近くになつておりますが、この法律施行に伴う地方條例その他の準備状況に関しまして、何か概括的な資料がありましたならば御報告願いたいと思います。特に法律が予想せざる事態等の惹起によりまして、何か條例編成上問題が起きておるようなところはないか、こういう点に関しまして、まずお伺いいたしたいと思います。
  6. 後藤博

    後藤説明員 地方税制施行伴つて財政委員会としての準備終つて、それぞれの施行規則通達等は大体終つておるのであります。地方自治団体におきまして、それぞれ現在條例制定に当つておりまして、その概括的な報告は、私どものところには断片的に集まつております。個々にその條例疑義等についての質問はございますが、概括的な報告はまだ集まつておりません。これは今月末か来月の上旬あたりを期して集めてみたいと思つております。今のところ大した支障なく條例そのもの制定が行われておるのではないかと考えております。ただ問題は、税源に関する跛行的な状況が非常に露呈して参りますので、それに関する問題の方がむしろ條例そのものよりも問題になつておるのではないかというふうに私は考えております。ですから法制的な問題よりも、むしろ内容の問題が漸次賦課徴收の具体的な問題にからんで出て来るのではないかというふうに私ども思つております。これに関してはシヤウプさんがおいでになつておりますので、その方面にもそれぞれの実情お話しておりますし、また現地の実情を現在視察しておりますので、何か御意見があるだろうと私ども期待しておるわけであります。
  7. 藤田義光

    藤田委員 新税法府県税市町村税体系は、税種が非常に少くなりまして、截然と区別されて参りましたが、再び法定外独立税を設置したいという自治体が非常に多い状態を示しておる。たとえば青森県のごときは、りんご税を当然廃止になつたわけでございますが、これを復活しないと、県税たる事業税原始産業非課税によつて税收が非常に減つて来た。これを裏づけすべき平衡交付金は、知事の要望通りとても交付されない。従つてこの歳入欠陷を補填するためには、どうしても従来確認されておつた法定外税を復活したくてはやつて行けぬというようなことが言われておりますが、財政委員会として、法定外独立税要求がありました場合、何かそれに対する許可限界政令等できめられておりますかどうか、あるいは今後きめる予定がありますかどうか。せつかく税の体系が一応整備しましたところで、法定外税からまた体系が破壊されて行くという危險もあるのでないかと思いますので、お伺いしたいのであります。
  8. 後藤博

    後藤説明員 法定外独立税に関する御質問でございますが、これは大体二百種類ぐらいの法定外独立税があつたのであります。過般存置するものと、廃止するものときめまして、二百のうちの百三十ばかりを廃止し、七十ばかりを存置しておるのであります。しかしながら廃止したものの中にも、相当額財源自治団体に寄與しておるものがございますので、個々のものにつきまして内容を検討して、許可をきめて行ぎたいと考えております。現在では許可限界に関するはつきりした方針を持つておるわけではございません。その地方実情をよく聞きまして、具体的に、個々にきめて行きたいと考えております。
  9. 藤田義光

    藤田委員 法定外独立税の整理があることは当然ですが、その際において、法定外独立税を廃止したことによつて生じた税收減、すなわち歳入欠陷というものは、平衡交付金で全面的に見れる自信が財政的にありますかどうか。概算計算でもされたことがありますか。たとえば熊本県等の事業税減收に伴う県の歳入欠陷は、ほかに税目が減つた関係もありますが、六億七千万円くらいになつております。財政委員会としては、大体三億程度を認めようという科学的でない判定が下されるだろうという観測がきれております。今平衡交付金交付途上にありまして、まだ年度全体の集計をすることは困難ではございますが、現在の一千五十億の平衡交付金わく内で、それだけの歳入欠陷をまかなえるかどうかをお伺いいたしたいと思います。それからついでに、法定されましたる特別平衡交付金百五億円というものの交付時期は、大体いつごろに予定されておるか、こういう点をお伺いしたいのであります。
  10. 武岡憲一

    武岡説明員 平衡交付金配付につきましては、ただいま資料を集めまして、いろいろ計算を立てておる途上でございまして、まだ正確な結論が出ておりません。そこでこの計数が遅くも来月の早々には、大体の見通しがつくのではないかという目標で、今進めております。その概数でも出て参りますと、およその目安を申し上げる程度に至るかと思いますが、ただいまの段階で、今お尋ね法定外独立税をかりに認めなかつた場合に、それだけの歳入欠陷を、これで十分まかなえるかということにつきましては、ただいま私としては正確なお答えを申し上げかねろのであります。なお特別交付金配付時期に関しましては、極力一般交付金の方の配分も進めて参つておりますけれども、時期的な関係がございまして、大体来年の一月から二月ごろになるのではないかという見通しでおります。
  11. 藤田義光

    藤田委員 武岡部長に重ねてお伺いしますが、千五十億の平衡交付金わくから、百五億の特別交付金を差引きますと、九百四十五億、そのうちすでに概算交付されたのが六百十八億ございますが、残るところ三百余億ございます。これを第三・四半期、第四・四半期にどういうような比率で配分されますか。実は地方自治団体におきましては、予算の実行中でございますが、今回の税制改正関連して、新しい税收とにらみ合せまして、残つた三百余億の一般平衡交付金配付額及び配付時期というもの、これはもちろん法律で一応きまつておりますが、折半して、第三・四半期と第四・四半期に出すのか、あるいは第三・四半期に少しよけい出して、第四・四半期はその残りを出すという方式をとられますか。この点に対しまして、財政委員会として何かきめられたことがありますかどうか、お伺いいたしたい。
  12. 武岡憲一

    武岡説明員 ただいまのお尋ねの点は、一般交付金配分額がきまつて参りますと、これまでにすでに概算交付をいたしました関係から、地方自治体によりましては、還付しなければならぬところも出て参ります。それから多くのところでは支給しなければならぬわけであります。その関係等も見なければならぬと思いますので、残りの三百億を一回で出すか、あるいはどの程度に折半して出すかということにつきましては、まだはつきりした見通しは立つておりません。一般交付金交付額が大体きまりました上で、さらに地方地方税法施行に伴う徴税の成績等もにらみ合せまして、なるべく地方の困らぬような時期に、できるだけ早目に交付するようにいたしたいと心がけております。
  13. 藤田義光

    藤田委員 地方自治庁長官に大綱は伺いたいと思いますが、明年度予算において、大体大蔵省に対しましてどのくらいの平衡交付金わく要求されておりますか。その点に関しましては、当委員会としても非常に重大な関心があります。法律で一定のわくというのがきめられておりませんので、これはときの国家財政の都合によつて平衡交付金わくというものが増減されると、非常に危險でございますが、現在おそらく大蔵省折衝中とは思いますが、二十六年度平衡交付金総額は、大体どのくらいを予想されておるか。
  14. 武岡憲一

    武岡説明員 お尋ねの問題はただいま進行中でございますが、これは行政事務配分の問題と関連して来ると思います。これによつて出て参ります結論によつて相当事務地方庁に委譲になつて行くことになりますれば、当然それに伴う地方負担額がふえますので、財源もふえなければならぬという問題が起つて参ります。ただいまとしてはその方の正確な結論が出ておりませんので、地方財政需要といたしましては、大体前年通り一千五十億程度を一応の目標として折衝を続けておる状態であります。なお今後の情勢によりまして、事務配分等につきまして新しい決定が行われるということになりますれば、あるいは追加予算要求しなければならぬ、従つてまた明年度予算につきまして、それに応じた要求をしなければならぬ。かように考えております。
  15. 藤田義光

    藤田委員 大体本年度と同じわくを一応予定されておるようでございますが、これは国の予算総額がたとえば昨年の一割減というようなことになりました際におきましては、平衡交付金わくも、それにならうというような危險があるのではないか。今年の六千五百億が明年五千九百億になれば、結局それに正比例して平衡交付金わく減つて来はしないかという懸念も出て来るわけでございます。この点はただいままで大蔵省主計当局折衝された印象では、予算総額のいかんを問わず、大体本年通りくらいのわくを確保できそうでございますかどうか。これは折衝の途中でございますから、一応の見通しを拜聽いたしまして、情勢によつては当委員会としても大蔵省当局意見を直接拜聽してみたいと思つております。
  16. 武岡憲一

    武岡説明員 この問題はおつしやる通りただいま折衝中でございますので、これは国の全体の予算額との関係もございまして、なかなか正確な見通しは立てにくい。ただ私ただいま申し上げました二十五年度において、千五十億と決定せられたものを一応の目安として、明年度もその程度要求しておると申し上げたのでありますが、これはもちろん前がそれだけだつたから、これでいいのだということじやありませんので、一応目安として要求しております。私どもといたしましては、平衡交付金予算要求をいたしますには、もちろんその理論的な裏づげが必要なわけであります。現在の地方財政実情から申しますれば、少くともこの程度のものは最小限度必要じやないか。かように考えておるような次第であります。なおこの折衝につきましては、いろいろまた関係方面のお力添えをいただきたい、かように思つております
  17. 藤田義光

    藤田委員 次に起債の問題をお伺いしたいのですが、この起債の根源であります大蔵省預金部資金が、関係各省に再配分される。たとえば郵便年金郵政省の方に返つてしまいまして、大蔵省預金部わくから離れるというようなことが昨年の国会全会一致決議なつております。大蔵大臣はこれをぜひともこの際具体化したいという非常な熱意をもつて、みずから大蔵省わくを減らすという態度に出ておられますが、その後この預金部資金の再配分に関しまして、どういう情勢なつておりますか。財政委員会情報が入つておりましたならば拜聽いたしたいと考えます。実は再配分になりますと、現在御存じ通り起債調達官庁幾つにもわかれておりまして、地方自治体の不便は想像に絶するものがありますが、さらに関係各省、たとえば郵便年金郵政省、あるいは厚生年金は厚生省と、起債をします場合に幾つもの省に連絡しなくてはならないということでは、自治体の不便はさらに深刻になるわけであります。この点に関しましては地方公共団体でも非常な関心を持つておりますので、その後の状況を、前国会においては大体拜聽しておりましたが、何か起債の問題で、つまり大蔵省預金部資金と、地方公共団体関連において変化がありましたならば、お知らせ願いたいと思います。
  18. 武岡憲一

    武岡説明員 この問題は私ただいまのところ詳細な資料を持ち合せておりませんので、後刻取調べまして、明日でもお知らせしたいと思います。
  19. 藤田義光

    藤田委員 実は郵便年金郵政省に返すという問題に関しましては、大蔵大臣が非常な熱意を示しております。国会決議を尊重しようという非常な熱意を示しておる。ところがこれに対しまして、大蔵省事務当局がそつぽを向いておる。大臣方針をのみたくない。せつかく長年かかつて大蔵省預金部資金という一本建てにしたのにもかかわらず、この長年の苦労をこの際御破算にするということは、非常に苦しいという悲痛な声が大蔵省内に強く起きております。この点に関しまして、もし預金部資金の再配分があるということになりました際におきましては一地方財政委員会としてどういう態度をとるべきか。この点財務部長は專門家でありまするが、一応地方財政委員会のとるであろう態度についてお聞かせ願いたいと思います。
  20. 武岡憲一

    武岡説明員 問題がまだ確定しておらぬ問題についての仮定のことでございますが、起債の問題につきましては、御指摘通り現在の段階におきましても、すでにこの手続が非常に煩瑣である。それから地方財政委員会と、大蔵省だけの関係におきましても、窓口二つあるじやないかという非難がありまして、かつ自治団体の方で非常に迷惑しておられるという事情もよく承知しておるのであります。私たち意見といたしましては、なるべくこれは窓口を一本にいたしまして、地方財政総体を担当いたしております地方財政委員会が全体の責任をとつて、一切の起債事務をやつて行くように持つて行きたいということで、関係方面ともいろいろ打合せをいたしているのでございますが、御指摘のようにもし預金部資金の再配分が行われまして、各省がそれぞれの立場でもつて起債を取扱うということになりますと、地方といたしましては相当混乱が予想されますので、私たちといたしましてはさような事態にならないように持つて行きたい。万一またその資金関係でもつて、そういうふうなことが免れないようなことになるといたしましても、起債事務に関する限りは、地方団体との関係におきましては、財政委員会総体的な統括をやつて行けるというような制度を考えてみたい、かように考えております。
  21. 藤田義光

    藤田委員 起債の所轄の問題に関しましては、私もただいまの意見とまつたく同じでございますが、でき得れば一本の法律をつくりまして、新たに発足した地方財政委員会の專管にするということが、最も正しい合理的な行き方であるということで、われわれの立場からシヤウプ博士に強く要望いたしております。近い将来に臨時国会等でもあれば、委員会の提出としてぜひともこの地方自治体——御存じ通り六・三割によりましてほとんど起債というものは、全国津々浦々の町村まで負担いたしておりますので、これを法文化し、これが手続、それから最も地方財政をよく知つている中央官庁である地方財政委員会の一本建にするという方向に持つて行きたいというふうに考えております。  次に起債の点でお伺いしたいのは、新聞にも報道されましたが、本年度地方公共団体起債わくは、四百二十億にすべしということが、昨年のシヤウプさんの勧告一つの大きな重点なつております。にもかかわらず、大体三百七十億というふうにわれわれは了解いたしております。この点に関しましてもシヤウプさんに、あなたの勧告一つ重点がすでに傷ついておる。これでは災害復旧全額国庫負担新税法、あるいは平衡交付金制度とともに、新しい地方財政の四本の柱の一つがぐらついておるから、これをぜひとも博士勧告通りの額を確保するように、この際盡力してほしいということはお願いいたしましたが、一部で伝えられるところによりますと、関係方面で三百七十億という約束をしたことはない。三百億であるというような情報も拜聽しているのでございますが、この点に関する関係方面財政委員会、ないしは大蔵省預金部とのお話合いは、三百七十億にまとまりましたでしようか、どうでしようか。地方公共団体として大きな問題でございますから、簡單にお聞きしたいと思います。
  22. 武岡憲一

    武岡説明員 本年度起債わくの問題につきましては、御指摘通り三百七十億ということで、私たち事務的に扱つておるのでございますが、一部において三百億だというふうな考えを持つておられる方があることも、私ども聞いております。その点はいろいろその間に誤解等もあるいはあるやに聞いておりまして、地方財政委員会といたしましては、関係方面にその後いろいろお話合いを続けております。この点につきまして、今はつきり三百七十億にするという明瞭な言明を得たということではございませんけれども、大体その後関係方面との折衝経過に徴しますると、私たちの今見ておりますところでは大体御了解いただけるのではないかというふうに見ております。またそういうふうにぜひひとつ認めていただくように努力したい、かように考えております。
  23. 藤田義光

    藤田委員 ただいま公共事業費起債査定がほとんど終つておりますが、これによりますと、農村にとつて最も大きな問題であります土地改良に対する起債は、ほとんど全面的に認められないということになつております。災害復旧に関しては、起債が大幅に認められております。これは認識の問題でございまして、それぞれの論はあると思いますが、建設的な、しかも貧乏農村が自力でやれない、将来大きな成果をあげる土地改良というものに起債わくがございません。これは原則なつておるようではありますが、この際その規則か何かあるだろうと思いますが、その原則を大幅に修正されまして、例外としての土地改良に対する補助というものは、地方公共団体実情をよく見られて、ひとつ幅を広げてもいいのではないかというふうに考えております。  もう一つ公共事業起債査定を、われわれが見まして感じました点は、これは長年ともに地方行政のために因縁浅からぬ、たとえば年々歳々千億の災害を受けております、いわゆる災害復旧よりも、その前の災害防止の重大な施設であります消防等に対する起債、これがやや過去の因縁を無視したごとく非常に少額になつております。もちろん公共事業ではございません。補助の対象ではございませんが、近い将来に、先ほども申しました通りこれは公共事業にすべきであります。と同時に公共事業になる前の過渡的な措置としては、單独事業起債相当大幅に認めまして、年々千億を越すような大きな火災に対する強力な予防措置をとることが、日本の国情からして特に必要ではないかというふうに感じておりますが、新財務部長の抱負を、この際お聞きしておきたいと思います。
  24. 武岡憲一

    武岡説明員 土地改良に対する起債あるいは消防施設等に関する経費に対する起債、これをもつと拡張して認めてはどうかという御意見でございますが、まことにごもつともだと存ずるのであります。問題は、起債総体わくの問題に関連して来ると思うのでありまして、現在の起債の各地方団体からの要求状況と、それから私どもに與えられておりますわく関係から申しますと、御承知通りその間に開きがございまして、地方団体要望を全面的においれするわけに参らぬような状態でございます。そのためにいろいろな考え方から制限をいたしまして、特に今までのところ原則的に重点だと考えられますところから逐次その幅を認めて参つておるわけでございますが、その考え方についてはさらに土木関係だけでなく、土地改良を入れたらどうだ、あるいは消防、また同じ土木事業にいたしましても特に認めてもらつているものと、それから遠慮してもらつているものとあるわけでありますが、これらについても、特にこの際拡張して認めるようにという御意見は、ほかからもいろいろその都度伺つております。私どもといたしましても従来からのやり方をそのまま踏襲するつもりはございませんので、十分ひとつ時勢の動きと、それから各団体の必要性ということをにらみ合せまして、許可方針等につきましては十分検討を続けて参りたいと思つております。
  25. 藤田義光

    藤田委員 ほかに質問があるようでございますから、この辺で打切りたいと思いますが、ただいまの土地改良起債原則として認めないという、一つの大きい理由としてあげられておりますのは、土地改良には受益者がある。受益者が負担すべきであるという理由でございます。ところがこれはほかの起債の対象になつておりますものと比較いたしまして、直接、間接の差もあり、あるいは大小の差はあるかもしれませんが、現在の日本の大部分を占めております農村の現実からいたしまして、やや架空の論ではないかというような気がいたしますので、この点、今後の財政部長の執行の途上におきまして、十分ひとつ善処していただきたいと思います。  自治庁長官もおられませんので、大橋法務総裁がただいまお見えになりましたならば、質問を継続させていただくということで、私の質問を打切ります。
  26. 床次徳二

    ○床次委員 委員長からシヤウプ博士に対する要望の要旨を報告いただきましたが、大体博士がどういうふうな意向を持つておられるか、委員長要望に対する態度を、おわかりのことだけ伺いたいと思います。
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員長 シヤウプ博士は、昨年もそうでありましたが、全然意見を言われません。非常に熱心に聞いてそうして検討されて、最後の結論まではほとんど自分の意見というものを言われないので、今回も同様に、さつぱり自分の意見というものは言われなかつた。でその点はちよつと御報告申し上げる材料がありません。
  28. 床次徳二

    ○床次委員 自治庁としては、シヤウプ博士にどういうふうな要望をされたか、要望した要点だけ、ひとつ御披露願いたい。
  29. 武岡憲一

    武岡説明員 地方自治庁それから地方財政委員会におきまして、それぞれ博士にお目にかかりまして、いろいろお願いをしております。その項目はいろいろこまかい問題がございましたが、ただいま資料をとりまとめておりませんし、博士との折衝等は局長が直接やつておりまして、私担当しておりませんので、資料を整えまして明日でもひとつ報告申し上げます。
  30. 大矢省三

    ○大矢委員 私ごく簡單に二、三をお伺いしたいと思います。地方税法案が成立して、第三條に基いて現に市町村並びに各府県会ではその條例の審議の途上にあり、すでに決定された所もあるそうであります。私どももいろいろ審議の内容を聞いてみますると、相当地方ではこの解釈に困難をしているよりであります。その第一は、第三條に基いて地方自治体が、今度の税法の標準率に対して、それを軽減することの幅において、解釈が自治体相当に尊重する、いわゆる自主性を認めての法案であるというのと、これは原則としてゆがめられないのだ、さらにもし法定外の課税なりあるいは税率を特に変更する場合には、第六條に基く公益等に関するものだけは別であるが、ほかのものはかえられぬのだという解釈を強くしておられるようであります。それで審議中にもしばしば問題になりましたように、いろいろ解釈の点については地方財政委員会規則によつてこれを定める。その規則がもうできていると思うのですが、いまだわれわれの方に来ない。その規則が現にできておるかどうか、こういうことをまず伺います。
  31. 後藤博

    後藤説明員 規則という意味は、條例の準則でございますか。
  32. 大矢省三

    ○大矢委員 條例の準則であります。
  33. 後藤博

    後藤説明員 できております。
  34. 大矢省三

    ○大矢委員 それをひとつ全員にいただきたいと思います。  それから私どもせんだつて地方に査察に参りましたときに、こういうことを聞いたのであります。これが地方財政委員会で認められるかどうか。ということは、今度の市町村民税の中に接客税がある。これは非常に人頭税でよろしくない。しかも非常に捕捉するのに困難だし、大した金でもないから、むしろこういう人頭税を廃して、従来あつたいわゆる財産を守り、盗難予防のために犬を飼つておる者が相当多いし、また狂犬病予防の一つの対策にもなるから犬税を課したらよかろうというので、現に犬税を課して、接客人税を廃しておる所もある。こういう場合には、法定外の税でありますから、一応地方財政委員会の承認を得て、初めて條例による努力も発するのか、そうでなく、地方自治体できめて、あとからそれの承認を求めるという程度で行くのか。それはいずれが先か、効力の問題でこれはいろいろ問題になると思う。そういうことと、それからいま一つは遊興税であります。遊興税は実際上なかなか徴收に困難であります。現に業者との談合でやつておるようでありますが、御承知の九州の福岡ですか、あそこは今日決定しておるところの税率の半分しか従来とつておらない。もしこの税率をゆがめられないものだ、これはもう原則だということでありまするならば、それまで高めなければならぬ。これはしばしば陳情に来たときに聞いたというのでありますが、私どもはそういうことは多少行き過ぎではないかと思いますがもしこの税率一ぱいとらない場合には平衡交付金で押える、あるいは起債を許さない、こういうことを役人はすぐ言うそうです。はたしてこういうことができるものかどうか。従つて簡單に申しますと、税率一ぱいまでとらなければ結局平衡交付金並びに起債の面にどういう影響があるのか、それの法的根拠はどこにあるのかということを、この機会に聞かせていただきたいと思います。そうでないと、今度の地方條例を決定する上に、非常に迷つておるよりであります。その点をこの機会にお伺いいたします。
  35. 後藤博

    後藤説明員 お尋ねの点は三つあつたと思いますが、まず第一に接客人税の廃止の問題であります。私どもとしても、こういう税は何とかして廃止できないものかという研究をいたしております。御趣旨は私どもの考えておりますることと、大体同じような考えでありますが、これは私どもだけで決定するものでありませんので、検討した結果決定したいと思つております。  それから次に法定外の独立税の問題でありますが、これは一部存置するもの以外を廃止いたしまして、新しくこれから法定外独立税を存置するもの以外に設ける場合には、そういうものをそれぞれ検討いたしまして、許可いたしたいと考えておる次第であります。それから第三の遊興飲食税の税率と起債平衡交付金との関係の問題でありますが、これは標準税率を下まわつた場合には、起債ができないというふうな方針なつております。地方税法でそういうふうになつておりますので、そちらの方で影響があるわけであります。
  36. 大矢省三

    ○大矢委員 それから今度の勤労者に対する市町村の住民税は、二十四年度の所得税額に対する一八%ということになつておりますが、特に源泉課税は非常に嚴重なものであります。総合所得税もそういうことであります。もう今度は総合所得税はないのですが、二十四年度はあつた。それに対する一八%というのは、勤労者に対して非常に酷である。それで一般の所得税割にしても、特に源泉課税、総合所得税の税率に対しては考慮する必要があるのではないかということが、各市町村会で細則をつくる上において、しばしば問題になつておるが、もしそれを税率を下げるということになると、起債その他に関係があるということで、非常なジレンマに陥つているということであります。この点も私どもは、そういう特別な勤労者の多いところ、しかもそれが計画通り予算になれば、多少そういうことが斟酌されるのではないかと考えている。もしそれでなければ、自治ということは名前だけで、ほとんど中央集権的なこういう規則でしばつておいて、ただ單に徴收手続のみを規定するというような條例では、この法律の法文には適合して来ないと思う。この第三條によると、現に税率並びに課税標準、課税客体、税目というものを地方自治体條例によつてきめるというのだから、私はある程度の伸縮性はあるものだと思う。それがあつて始めて地方自治の本質を認めたものだということができる。従来の内務省の考え方、あるいは地方自治庁の考え方では、いつまでも地方を拘束しなければならない。大体の線さえ引けば、その中での特殊事情というものは認めていいのじやないかと思う。  それからいま一つ一番問題になつているのは、例の市町村税の中の固定資産税並びに電気ガス税であります。一体郊外電鉄の電気料に対して一割というものが課税されるのですが、電気はずつと流れておるので、どの町村になんぼ使つたということは明らかにならない。この電気料金をどういうふうに配分するのか。これまた地方自治体への配分は、地方財政委員会規則によつて決定されるとなつております。それから船のことが問題になりましたが、車両はたいていは本社のある所、あるいはまたその近くの所に車両の倉庫があるのですが、車両というものは、各町村を通じて絶えず動いているのだから、これもまた固定資産としてどこがとるのか。車庫の所在地でとるのか。あるいはこれをまた一つにとつて、どこかの市町村に配分することを地方財政委員会が指令するのか。これは予算にも影響する問題でありますが、どつちでとつていいのか、ちつとも明瞭でないが、その点は何か規則があつて、こういう方法でやる、こういうことをやりたいということを、もし地方財政委員会その他自治庁の方で考えていられるならば、この機会に明らかにしてもらいたい。
  37. 後藤博

    後藤説明員 車両とか船舶とか、軌道等の固定資産税につきましては、非常にむずかしい問題があるのでありまして、何を基準にして市町村に価格を分配するかという問題は、非常にむずかしいのであります。現在、それぞれ会社ないしはそれぞれの業態の団体がございますので、それぞれ相談いたしますし、また関係の各官庁に相談いたしまして、大体こういう標準で行つたらどうかということで、現在折衝を続けております。たとえば軌道で申しますと一車両を含めた固定資産を出しまして、それを軌道の距離で割つて行く。そのほか電気関係でありますと、鉄柱ないしは電柱で割つて行くとか、そういう数が明確なもの、量が明確なものは、大体その量ないし数をとらえて、それを標準にして価格の分配をいたしたいと考えております。
  38. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど地方公債と平衡交付金の問題で、税率一ぱいとらなければ、手心を加えるということでありましたが、もしそういうことでありますならば、自治体はたいへんなことになる。
  39. 後藤博

    後藤説明員 平衡交付金配分につきましては、御承知通り基準財政收入額と基準財政需要額を算定いたしまして、それによつて出て来るわけでございます。その場合に、基準財政收入額の基本となりまする基準税率は、法律によりまして標準税率の百分の七十、つまり七割で計算することにいたしておりまするから、標準税率通り一〇〇%とつたかとらないかということは、平衡交付金の算定には関係がないわけであります。  それからいま一つ起債の問題につきましては、この前の地方税法の附則で、地方財政法が改正になりまして、標準税率を下まわつている場合には起債を認めないということは明文があるわけであります。そのことを説明したのだと思います。
  40. 大矢省三

    ○大矢委員 それは何條にありますか。標準税率をとらない場合には起債は許さないのですか。それでは九州のごときは一厘も起債を許さないのですか。
  41. 武岡憲一

    武岡説明員 地方税法の附則の第六項で「地方財政法の一部を次のように改正する。」ということで、地方財政法の第五條第一項が改正されておるわけであります。それによりまして、標準税率を下まわつた場合には起債は認めないことになつております。
  42. 吉田吉太郎

    ○吉田(吉)委員 ちよつと関連しまして、ただいまの地方財政法の問題でありますが、平衡交付金の場合は標準税率が下まわつてもさしつかえない。これは平衡交付金法にあるわけでありますが、今の起債の面であります。現在の市町村の地方税法の実施状況を見てみますと、住民税が勤労階級に非常に多額であるという見地から、勤労階級の多い都市等におきますと、今の財政法によりまして、標準税率を下げては起債ができないという見地から、課税標準、つまり所得税額そのものに免税点を設けるとか、あるいは一定の所得税に対しては幾らかそれに対する免税あるいは控除を認める、こういうようなことで課税標準にすでに段階をつけて、実際の標準税額はかわらないのですが、所得税そのものを幾らか控除しておる、つまり課税標準そのものも幾らか控除しておる。こういう場合には財政法の精神から言つて起債をやはり考慮されるかどうか。こういう点をちよつとお聞きしたい。
  43. 後藤博

    後藤説明員 法律の適用の関係から申しまするならば、法律は標準税率以上とございまするので、税率が標準税率になつておりますれば、対象となりまする課税基準額と申しますか、所得額をどう算定するかという問題じやないかと思います。
  44. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは大橋国務大臣見えておりまするから、先般の国会中にいろいろ報告がありましたその後の経過について、御報告願いたいと思います。
  45. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察予備隊につきまして、その後の経過を御報告申し上げます。警察予備隊の設置に関しましては、前国会の会期中には準備の完了ができませんでしたために、遂に国会後に持ち越すに至りましたが、去る十日、関係方面との了解を得ましたので、ポ政令によりまして警察予備隊令を制定いたした次第でございます。この内容といたしましては、第一には警察予備隊の目的を明らかにいたしておりまするが、すなわち「わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察警察力を補う。」これが警察予備隊の目的と相なつております。私どもといたしましては、この警察予備隊の目的を明らかにすることによりまして、現在の警察制度との関連を明確にいたしますると同時に、この警察予備隊に対するいわゆる再軍備ではないかというような懸念を、一掃するに努めた次第であります。  この警察予備隊は総理府の機関として設けられておりまするので、従いまして内閣総理大臣の命を受けて行動をいたすことと相なつておるのであります。いかなる場合において行動をするかということにつきましては、ポツダム政令自体においては、格別の制限を設けておりません。あるいは公安委員会が今日普通警察の運営をいたしておりまするから、この公安委員会の請求を待つて出動をすべきじやないかというような考え方もあつたのでございましたが、しかしながら、いろいろ事態を想定いたしますると、公安委員会がその機能を喪失したというような場合において、むしろこの警察予備隊の発動を要請される場合が多かろうと考えまして、この発動につきましては法規上一切の拘束を設けず、総理大臣の命令によつて出動するということにいたしたのであります。しかしもとよりこれが運営に当りましては、現在の自治体警察あるいは国家地方警察との無用な摩擦を避けるように注意することは、もとより言うまでもないのでございます。これが運用に当りましては十分これらの点に注意しなければならない、かように考えておる次第であります。もとより警察予備隊は、これはいわゆる軍隊ではないのでありまして、あくまでも警察力でございまするから、この活動の範囲は、警察の任務の範囲に限らるべきはもちろんでありまして、いやしくも日本国憲法の保障いたしまする個人の自由及び権利の干渉にわたるというような、その権能の濫用は嚴に戒めなければならないので、この点もポツダム政令に明らかにいたしておるのであります。なお警察予備隊の定員は、マッカーサー元帥の書簡により七万五千と定められたのでありますが、これが管理に当りまする機構を警察隊員以外のものによつて構成せしむる必要がありまするので、この定員は百名というきわめて少数にして能率的なる官庁機構を設けることによつて運用いたして参りたい、こういう趣旨と相なつております。この警察予備隊の機構は、まず中央に本部が設けられております。この本部は警察予備隊を運用するための本部でありまして、予備隊自体とは別箇になつております。従いましてこの予備隊に勤務いたしまする者は警察官たる身分を持たない人々でありまして、いわばセビロを来た人たちである。これが百名から構成せられまして、本部をつくつているわけであります。この本部には長官及び次長のほかに五名の局長を置くことに相なつているわけであります。この本部に隷属いたしまする警察予備隊の本隊は、どういう機構になるかと申しますと、まず中央に全体の指揮に当るべき運用本部というようなものに相当するものができるわけでありまして、これは先ほど申し上げましたるセビロの人たちからできまする本部は行政の本部であり、ただいま申し上げました予備隊自体の本部というものは、この予備隊の運用についての行動を指揮するところの本部になる、こういうわけであります。この本部の要員は、およそ五百名ぐらいと考えられておりまするが、大体これは予備隊全体の総司令部的機能を営むことになろうかと存ずるのであります。この予備隊をかりに運用本部と名づけまするならば、この運用本部に隷属いたしまする部隊といたしましては、一個の補給部隊、それから四つの相当な規模を持つた部隊ができまするが、この部隊はいずれも約一万五千ぐらいの隊員を持つことになろうと思います。従いまして補給部隊は、一万三千あるいはその程度ということにならうと思います。これらが各地に置かれることに相なりまするが、この部隊の隊員をどこにどれだけ置くかということにつきましては、ただいま言明をする段階に至つておりません。ただ北は北海道から、南は九州まで参ります。さらにその配置される箇所は、全国におきまして約三十数箇所と相なつております。従いまして府県といたしましても、さしあたり部隊の置かれない府県が多くなつておるのであります。しかしこれはあるいは将来変更があるかもしれませんが、ただいまのところでは、さような次第に相なつております。これらの警察予備隊の要員は、全部特別職ということに相なつておるのでありまして、これらの給與等につきましても、一般公務員とは別個の規定を設けることにいたしておりまするし、また階級、任免、昇任給與、服制その他人事に関しましては、別の政令を定めることにいたしておるのであります。  なおこの予備隊に要しまする経費といたしましては、二百億円を限りまして昭和二十五年度におきましては、国債償還費のうちから移用いたすことと相なりまして、これもまたポツダム政令にその旨を規定いたした次第でありまして、この規定によりまして現行予算から移用の手続によつて必要なる経費を支弁いたして参ることに相なつておるのであります。なおこのポツダム政令施行に必要なる施行令といたしましては、八月二十四日に職員の任命方法、それから職員の種類また予備隊警察官の階級、これは十三の階級にわかれております。それから職員の採用方法、また警察官の任用期間、これは一応は二箇年ということに相なつております。それから職員の昇任、あるいは欠格條項その他人事に関するものを規定いたしますると同時に、特にこの警察隊員が実施することを認められておりまする司法警察官としての職務についても規定をいたしてございまするが、司法警察官といたしまして予備隊警察官が職務を行いまする場合は、第一には警察予備隊の部内の秩序を維持するために、警察官の一部が内部の警察を行うのでございます。これはちようどかつて軍隊におきまして、憲兵が軍隊内の司法警察事務を行つたと同様でございます。これはきわめて少数の秩序保持に当る特別の警察官を任命いたしまして、これらの者によつて部隊内の犯罪あるいは部隊に関する犯罪につきまして、搜査その他司法警察官としての職務を行わしめることに相なつております。警察予備隊の一般国民に対しまする司法警察権といたしましては、ただいま申し上げましたる部隊に対する犯罪以外におきましては、通常の場合にはこれを行わないことが例でございます。ただ特別の例外といたしまして、警察予備隊が出動いたしましたる場合に、その出動中に検挙いたしましたる犯罪に対して、引続き搜査をする。しかしこれも出動箇所より引揚げまする際は、でき得る限りすみやかにこの犯人を当該の自治体警察あるいは国家地方警察に引渡しまして、そして引揚げて来るのが建前でございますが、いろいろな事情のために引渡すことのできない場合に限りましては、引続き搜査取調べ等を行うことを認めておる。かような次第でございまして、この警察予備隊は通常の場合におきましては、司法警察権を行わない建前と相なつておるのであります。従いましてこれがいわゆる特高精神あるいは憲兵精神その他今日のわが国を警察化するというような懸念に対しましては、私どもといたしましても万全の注意を拂いまして、これらの規定を定めたる次第であるということを御了承願いたいと存ずるのでございます。  なおこの職員の採用の状況を申し上げますると、ポツダム政令制定に引続きまして、長官及び次長を任命をいたしております。しかしその他の幹部につきましては、いまなお選考中に相なつております。一方警察予備隊の主力をなしまする警察官の一般採用、これにつきましては去る十三日より全国的に募集を開始いたしております。そして急速に全国各府県におきまして試験をいたしまして、採用を決定いたしておるのでございますが、去る二十三日には全国六箇所の警察管区学校に第一次採用のものを召集いたしております。すなわち一昨日約七千名を全国におきまして召集いたしまして、これを部隊に編成をいたした次第であります。これらの隊員は従来の警察に比べまして、すこぶる優秀なる者も相当つておるのでありまして、これら一般募集の隊員の年齢は、三十五歳から下は二十歳までと相なつておりまするが、これら優秀なるものは今後数箇月の訓練によりまして、その能力に応じて幹部に採用する予定と相なつておるのであります。かくして警察管区学校に集合いたしましたるこれらの隊員は、明日、明後日あたりから、それぞれ勤務地に向つて出発をいたします。そして引続き二十八日には第二回の募集をいたしまして、ここでまた新しく編成をしてこれを送つて行く。大体九月中には募集が完了するものと思つておるのであります。今日この任用にあたりまして、私どもの最も苦慮いたしておりまするのは、この警察隊の幹部要員たるべき者をいかにして任用するかという点でございます。これらの点につきましては、私どもといたしましては大部隊の指揮に当るというその職務の性質から考えまして、かつて陸軍あるいは海軍の部隊において相当なる地位を持つてつた人々が適当ではないかということも考えたのでございますが、不幸にいたしまして、これらの人々は多く追放になつておりまするので、これが追放の解除というような問題も考慮いたした次第でございます。しかしながら今日の段階におきまして、追放の解除によつてこの警察予備隊の幹部要員を採用いたすということは好ましくないという結論に到達いたしました。一切これらの追放者を幹部に用いるという企図を捨てる、かような方針によつて追放者以外の者によつて全部の幹部をとるということにいたした次第であります。幸いにいたしまして一般応募者の中では相当優秀な人たちがございまして、これらをその能力において幹部に任用いたすことも必要でありまするが、先に申し上げましたる通り、ただいま募集中のこれらの人々は年齢が三十五歳と限定をしてございまするので、高級の幹部等につきましては、その年齢をいま少し上げなければむりではないか、ことに一万、二万というような大部隊の指揮に当るべき幹部、あるいはこの警察予備隊七万五千の全体の指揮に当るべき幹部、こういうような人につきましては、別途の採用の方法を考えなければならないし、また年齢においても別なわくを考えなければならぬという考えのもとに、ただいまなお関係方面折衝しつつ研究をいたしておる次第でございます。一応御報告をこの程度にいたしまして、なお御質問によつて申し上げるようにいたしたいと存じます。
  46. 前尾繁三郎

    前尾委員長 藤田義光君。
  47. 藤田義光

    藤田委員 まずお伺いしたいのですが、ただいま法務総裁の御説明にもありました点でございますが、追放軍人は全然この部隊には使わぬということになつて、ある方面においても意見相当対立しておつたやに拜聽いたしておりますが、ただいま法務総裁が申されました通り、大部隊の指揮、運用ということは相当の体験が必要ではないかと思います。七万五千のわく内ではないが、たとい追放されておつて予備隊の運用上ぜひとも必要な人は、たとえば顧問というような名目において、アドバイスを求めるというような方法は考えておられませんかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  48. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この運用につきまして、公職より追放せられておりまする人たちのアドバイスを求めるということは私ども考えておりません。
  49. 藤田義光

    藤田委員 この機構に関連した人事の問題ですが、ポツダム政令によりますと、簡單にほかの政令で定めるというようになつておりますが、現在のところでは幹部の人選その他に関する人事の権限というものは、認証されました増原氏が持つておりますか、あるいは法務総裁が人事の権限を持つておられますか。この点ポツダム政令だけでははつきりいたしませんので、お伺いいたします。
  50. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ポツダム政令に引続きまして、去る二十四日警察予備隊施行令が制定せられました。その第一條におきまして、警察予備隊職員は警察予備隊本部長官が任命するということを、明らかに規定いたしております。
  51. 藤田義光

    藤田委員 非常に漠然とした質問でありますが、たとえば地方にできまする四つの部隊の総指揮に当る人は、たとえばどんな人物を選ばれる予定でございますか、お伺いいたしたいと思います。大橋法務総裁の意中の人に関しましても、ちまたのうわさでは拜聽いたしておりますが、なかなか御答弁しにくいかもしれませんが、一応こういう経歴の人ならば、どうかと思うというような御意見がありましたら拜聽したいと思います。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 先ほど申し述べました通り警察予備隊の幹部のことにつきましては、年齢のわくがまだ決定いたしておりません。またもう一つその選考の方法が決定いたしておらないのであります。現在警察予備隊員の年齢は一応三十五歳までということに相なつておりまするが、しかしこれではすべての幹部をこの範囲内でまかなうということは至難でございまするので、この年齢を相当程度上げなければならない。これを四十歳にするか、あるいはもつと上まで持つて行くか、それによつてわくがかわつて参ります。この点が一つであります。もう一つ、選任の方法につきまして二つの方法が考えられておるのであります。一つは最高首脳部その他最も高級な幹部については個々の人を初めからその地位を予定して採用するか、それとも一般隊員、あるいは一般幹部要員として採用せられたる者の中から漸次実績その他に徴して、能力に応じて上げて行くかという、この方法の問題が一つ、この二つの点が未定でございますので、目下のところこれ以上詳しい條件を考え得ないというような状態でございます。
  53. 藤田義光

    藤田委員 年齢の問題、あるいは選考の方法等が大体いつごろになりましたら、はつきり見通しがつきますか。全国には三十五歳以上の該当者で志願せんとする人も相当あるようでございます。
  54. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さしあたり中級幹部職員の一般募集を、近く開始すると思います。これによりますと年齢四十歳ぐらいまでの人ということに相なると存じます。これはおそくも来週早々くらいには、そういう募集が始まるというふうに聞いております。しかし大部隊の指揮に当るべき最高首脳部につきましては、なおそれ以上の年齢の人を考えなければむずかしいではないかという問題がございまして、この点については、ただいま調査、研究をいたしております。
  55. 藤田義光

    藤田委員 地方の部隊本部と申しますか、その下に所属する分駐地でございますが、この決定は長官がもつぱらやつておりますか、あるいはこのポツダム政令の中に協力すると明示してあります国家警察関係、たとえばそれを担当されている大橋法務総裁等も関與できますかどうか、けさの新聞だつたと記憶いたしますが、分駐地を報道しているのがございまして、それによりますと、先ほども法務総裁の御説明の中にもちよつとございましたが、非常に偏在している。現在地方にありまする優秀な施設あるいはこの警察隊の目的に沿うような地区等が無視されまして、中央本位のきめ方をされたんじやないかという印象を與えるようなところが、たとえば九州地区等では見出されたのでございますが、分駐地はもう確定いたしておりますかどうか、確定するについては長官の独断でやられますか、あるいは国家警察が協力されますかどうか、その点お伺いいたしたい。
  56. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この警察予備隊の設置せられまする場所が、どこになるかということにつきましては、これは政府として決定をいたしたわけでありまして、むろんこれが決定につきましては、関係の長官その他の者が関與いたしているわけであります。ただいまは現在決定したと伝えられているところの三十数箇所の場所が偏在しているではないかという御批評もちようだいいたしましたが、実は急速に充員をいたしまするために、現在ほとんど手を加えずにただちに使える建物、こういうことが主眼になつて一応きめられたわけでございます。これは必ずしもこれによつて長くこの通り行くというふうには考えておりません。今後いろいろな事情を参酌いたしまして、状況に応じて変更される場合もあり得る、かように考えております。
  57. 藤田義光

    藤田委員 ポツダム政令の附則に、二十五年度に限りまして、二百億というわくができておりますが、このわくが余つた場合のことに関しましては、その第三にはつきり書いてあります。もし二百億が足らない場合はどういうふうな方法をとられますか。大体二百億で余りはしても不足することはないという見通しでございますか。この点国会予算審議の問題とも関連いたしますのでお伺いしたい。
  58. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備その他費用の支出の原因となるべき重要なる問題で、今後において決定されるべき部分が非常に多いために、確たる見通しを申し上げるということはすこぶる困難でございます。しかし二百億というこの額が一旦決定いたしました以上は、できるだけ本年度内におきましては、この範囲で支弁いたすようにして参りたいと考えております。
  59. 藤田義光

    藤田委員 今回の予備隊の経費の内訳に関しましては、われわれは知る機会がございませんが、この経費の中に、あるいは装備費、衣料費、建設費、厚生施設費、通信費、受入施設費、募集費等もあると思いますが、こういうものをかりに一旦政府で大体この費用に幾ら使うということをきめられました場合に、将来予備隊の拡充と逆行いたしまして、各費用のきめられた内訳が相当大幅に変更されることがありますかどうか。これはもつぱら執行面でやられることではありますが、参考のためにお伺いしておきたい。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま政府といたしましてはこの費目について正式に決定をいたしておりません。ただ事務当局といたしまして一応の目安を立てる程度のものはあると思うのでありますが、しかしその内容については当初の予定通り行くかどうかは、少しく実施の状況を見ませんと、はつきりしたことは申し上げかねると思います。
  61. 藤田義光

    藤田委員 私が今お伺いしたのは、実は明年度からおそらく一般予算に入つて来ると思います。そうすると款項目等がはつきりいたしますので、その際の前例になりますので、この各費目の区分に関しましては、よほど愼重にやられた方がいいのじやないか。ある費目は非常に苦しくなつて、ある費目は余剰が出るというようなことになりますと、明年度予算編成にあたりましても、それにならうという危險も出て来るのじやないかという考えから、御質問したようなわけでございます。  もう一つお伺いしたいのは先ほどの御説明で補給部隊が一つできるということを言われましたが、これの所在地と内容を何か漠然とでもお聞きできればいいと思います。  それからそれにも関連しておりますが、このポツダム政令の第四條に警察予備験の要員の定員は七万五千百名としという規定がございますが、そのうち七万五千人を警察予備隊警察官とするというようなことになつております。ところがいわゆる行政本部の機構を見ますと、相当警察官にあらざればなし得ないような警務局等の仕事がございます。この百名は全然官服を着れない制服部隊にあらざるものをもつて当てるということは、将来も全然動かない予定でございますかどうか、この点を……。
  62. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察官と行政管理をいたします予備隊本部とは、截然たる区別をつける。従いまして警察官は一名も本部には入れない。こういう方針は今後続くものと考えております。  それから補給部隊の所在地という御質問でございましたが、四つできます大きな部隊の指揮をいたします本部と申しますべきものは札幌、仙台、大阪、福岡にございます。そうして東京には補給部隊の本部ができるわけです。しかしこの補給部隊は警察予備隊に対しまする一切の補給をいたしますから、主力は東京附近に置かれると思います。しかしその一部は方々に配置するということになろうと思います。
  63. 藤田義光

    藤田委員 最後にもう一点お伺いいたします。中級幹部その他のことは大体わかりました。最上級幹部たるたとえば地方の部隊長級、この職制で申し上げますと、警察監、警察監補、この二つの階級ぐらいの人が決定いたしますのは、大体いつごろになりますか、お伺いいたします。
  64. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま申し上げましたわくの問題等も考慮いたしまして、できるだけ早くきめなければならぬと思つておりますが、しかしその方法のいかんによりましては、相当先になる場合も予想しなければならぬかと思います。
  65. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 ただいまの御質問によつてわかつた点もありますが、なお二、三の点についてお伺いしたいと思います。先ほど大臣お話によりますと、予備隊自体に対するところの司法警察官として憲兵みたいなものが置かれるという御説明であつたのでありますがこの点に関しましてお伺いしたいと思いますが、従来日本の軍人に対する警察権を持つておりました憲兵と、一般司法警察官との間に、非常に摩擦があつたことは大臣もよく御承知と思いますが、この場合予備隊員自体の行いました犯罪、たとえば交通規則違反とかその他の犯罪に対するところの司法警察権は、依然として普通一般の司法警察官が所管するのであるか。あるいはこの特別設置されるところの憲兵に相当するものが持つのであるか。その点をまずお伺いしたい。
  66. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの法制といたしましては、この警察予備隊に属する警察官の犯した犯罪につきましては、警察予備隊の特にそのために設けられた人々が、司法警察権を行いますが、しかし一般の自治体警察あるいは国家地方警察の司法警察権を否定したものではございません。
  67. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 そうすると、もとのように軍人がつまり統帥権の管下にあつて一般司法警察権も及ばぬというような、そういうはつきりしたものはない、隊員に関する限りは一般司法警察官と統合するというように解してよろしうございますか。
  68. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お話通りでございます。
  69. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 それからさらにお伺いしたいのは、地方分駐の所在地の決定の問題でありますが、これは先ほどお話がございましたし、われわれも新聞等によつてほぼ了承いたしておりますが、先ほどの藤田委員の御質問の御答弁によりますれば、これは一応きめるが、都合によつてはさらに変更するかもしれぬというお話でございます。これはなるほど机の上で考えれば簡單に移動できるようにも考えられまするが、しかし千名なり千五百名なり、あるいはそれ以上のものが一時そこに駐在いたしますれば、それに対するところの主食の補給というものが、どうしても地元との関係を生ずるのであります。従いましてこの問題は非常に地方関心を持つておるところでございまして、一旦できましたいろいろな補給関係、現地調達の関係等、できましたものをすぐ都合が悪いからといつて、その後いろいろ変更するということになりますれば、非常な摩擦を生ずるのではないか、地方に無用の刺激を與えるのじやないかというふうに考えるのでありまして、これは私から申し上げるまでもないことでありまするが、かりに置いてみるというような意味ではなくて、やはり置く以上は将来よほどの重大なる事情の変化、たとえば予備隊設置の目的に反するというような事情の変化のない限りは、軽々に動かすべきものじやなかろうというふうに存じまするが、この点に対するところの大臣のお考えを承りたいと存ずるのであります。
  70. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま置かれた場所につきましては、さきにも申し上げましたる通り、さしあたり宿舍設備その他との関係上すぐに入れられるというところを主眼として決定せられております。従いましてこれが警察予備隊の全体の運用の上からいつて、はたして適切であるかどうかということは、今後あらゆる機会に十分に検討せられまして、そうして新しく必要を生じましたる場合は、当然それに伴う措置が必要となることはやむを得ない、かように考えます。しかしながら龍野委員も言われましたる通り、現在ある相当大きな部隊がほかに移動して行くということは、これはいろいろ地方にも重大なる影響がございますので、おそらく将来移動があるような場合におきましても、その全部が移動するというようなことは、まずなかろうかと思つております。
  71. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 その次に隊員の採用についてお伺いしたいのでありますが、警察予備隊のような大部隊、大機構になりますれば、どうしても一時的と申しますか、そういうようなものと、職業的と申しますか、二通りにわかれることは必然だろうと思いますが、先ほどからの大臣お話によりますれば、幹部という言葉をしきりにお用いになつておりますが、一体幹部というのは、どの階級から以上のものをさすのであるか、従つて幹部は一般的の言葉で言えば職業的のものであるか、あるいは一般隊員と同じように年限が限られておるものであるかどうか、その辺のことをひとつお伺いいたしておきます。
  72. 大橋武夫

    大橋国務大臣 警察官の階級は十三階級にわかれておりますが、この一般隊員と申しますると警査長以下の三階級を大体一般隊員と考えております。それから下級の幹部といたしましては、一等警察士補、二等警察士補、三等警察士補、これが下級の幹部に相当いたします。それから二等警察士以上は、これは軍隊といたしますれば将校に相当する階級、かように考えております。これらのうち一等警察士補以下が二年間の任用期間をもつて任用されるものでございます。これは一般隊員としてこのたび募集をいたした範囲に属するのであります。
  73. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 御説明によりましてわかつたのでありますが、先般募集されました実情を見てみますと、その大部分はいわゆる一般隊員に属するものもあるようであります。しかし中には当然これはいわゆる幹部として採用しなければならぬような経歴の人もあるようであります。しかるに幹部として採用されるというような場合を考えてみますと、今年満三十五歳以下ということになりますれば、非常に不適当な場合が多いように見受けるのであります。と申しますのは、いつも政府において御説明になります通りに、軍人だからといつて、追放になつていなければ、特別の優遇もしなければ、特別の冷遇もしない。一般国民としての待遇をするのだというような見解から申しますと、これも当然のりくつでありますが、しかしかくのごとき大部隊を動かすということになりますれば、ことに当初創設の際におきましては、よほどしつかりした秩序の維持が必要ではないかと思うのであります。そういう見地から申しますれば、部隊を訓練した経験のある者が、下級幹部かそれ以上の幹部に入つていなければ、なかなかうまく行かないのではないかということが懸念されるのであります。そういうことを考えますれば、終戰になりましたのは五年前くらい、その際に当時三十歳、三十一歳くらいの者で中尉、大尉に相当するものはごく少かつたのではないか、おそらくその時分にほんとうに部隊を動かすくらいの経験と指導能力のある者の追放になつていない軍人を見ますれば、今日の年齡は大体三十五歳以上ではないかと思われます。これがまた実際志願者もそういう気持でおるのでありますが、今度募集されましたのを見ますと、地方では三十五歳以下ということに限定されますために、いかに適任者といえども採用できない。一つの例を申し上げますれば、つまり職業軍人でない軍人で、いろいろ有能なために教導隊、あるいは教導隊あたりの教官をしておつたというようなものが、今後部隊訓練をする上にぜひ必要ではないか、一種の技術者として採用すべきではないかと思います。それが今度の採用では全然オミツトされておる。年齡三十五歳以上であるがゆえにオミツトされておるようであります。年齡を今度制限されたというのは、おそらく予備隊の性質上独身であることが最も望ましく、体力が相当必要であるという意味で、年齡を制限されたのであろうと思いますが、これは一般隊員についてはそういうことは言えましようが、先ほど御説明になりました幹部というものは、少くともこれは年齡にそうこだわるべきものではなかろう。もちろん五十歳以上では困りますが、大体四十歳未満の程度が適当じやないかと思います。それが今度の第一回採用におきましては、いわゆる玉石混淆と申しまするか、非常に錯雑しておるのでありまして、せつかく有能な者がありましても採用にならない。また一般隊員としてしかるべきでない者でも、三十五歳未満であるからというので、採用するというふうなぐあいで、私はこの際採用方針は一般隊員については、やはり年齡二十五歳以下という程度が適当じやないかとも考えまするし、いわゆる政府の方で幹部と称せられるものにつきましては、採用方針を新たにして、これを四十歳以下という程度において考えるのが穏当ではないか、それが今日の実情に合致しておるのではないかというふうに考えまするが、ただいま御採用になりました隊員のうちから、さらに幹部と一般隊員とにわけられるつもりであるか、あるいは下級幹部でも、幹部である以上は別途の方針をもつて募集なされるのであるか、そこをもう一度お伺いいたしたいと思います。
  74. 大橋武夫

    大橋国務大臣 一般募集といたしまして、ただいま募集をいたしておりますのは、三十五歳までの者でございます。この一般募集によつて採用いたしましたる者は、今後その能力に応じまして短期間の間に幹部に任用される者がある、かように考えております。なお近く三十五歳以上四十歳程度までの者を別途に募集いたします。これは一般隊員は含まず、特に幹部要員のみを目的として募集をいたすのであります。しかしながら三十五歳以上四十歳の者を別に幹部要員として募集するということは、決して三十五歳までの者、すなわち現在募集して入つて来ておる人たちが、幹部に任用されないという意味ではございません。ただ年齡だけの関係上、三十五歳以上の者は幹部以外には採用しない、こういう意味においてこれを幹部募集、こう言つたわけであります。これは一般隊員が三十五歳以下の場合には、一般募集によつて入るわけであります。これらの者がその経歴なり能力に応じて相当なる幹部になるということは、これは当然並行的に考えております。
  75. 龍野喜一郎

    ○龍野委員 最後にもう一点お伺いしますが、これほどの部隊になりますれば、訓練の組織が必要ではないかと存じます。昔軍隊があつたときでも、あるいは幼年学校とか士官学校とかいろいろあつたようでありますが、やはりどうしても再教育の訓練機関が必要であるということは疑いないところであろうと思いますが、この再教育の訓練機関として、どういうふうなことをお考えになつておるのでありまするか。さらにその再教育訓練機関の職員は、警察官であるか、あるいはその他の者であるか、もしもその一般訓練のための教育機関を設けられるとすれば、これはどういうふうにお考えになつておるか、お伺いしたいと思います。
  76. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま全国六管区学校におきまして第一回の招集をいたしましたが、これらの者のうち、一部はただちに特別の訓練をいたすために、別に編成をいたすことになります。その他の者はそれぞれ勤務地へ行つて訓練をいたすということになつております。
  77. 大泉寛三

    ○大泉委員 装備の点はどういうふうな内容を持つておりますか。将来は別として、さしあたりどんな装備であるか、またどういう事態のときに保持しているところの武器を使用するか、具体的にはちよつとわからぬでしようけれども、どういう事態が発生した場合にはその武器を使用するか。それからあらゆる交通機関とか、その他交通機材等を徴発されるようなことがあるかどうか。
  78. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備としてただいま予想されておりまするものは、さしあたりは小型の小銃であるということになつております。そうしてこれらの使用につきましては、警察官等職務執行法の規定によつてやることになるのでありまするから、普通警察官が武器を使い得る場合にのみ武器を使う、それ以外の場合に使うということはないのであります。なお出動する場合でございまするが、たしか御質問の趣旨は、交通機関の一齊罷業その他の場合に、警察予備隊が出動できるかどうかという趣旨だつたと思うのですが、さような場合もあり得ると思います。
  79. 大泉寛三

    ○大泉委員 警察予備隊の目的は大体先ほどのお話でわかりましたが、要は国内の不安を除去するのにあることと思いますので、事態が発生してから事に当るよりも、むしろ事態の発生を未然に防止する、そのためには不安をかもすような団体行動をする、あるいは暴力行為をなさんとするようなものに対し、あらかじめこれを除去する手段を私は考えておく必要があると思うが、その対策はあるか。現在わが国においては、とにかく朝鮮のように南北両断されておるようなことはないので、ほとんど四辺海をもつて遮断されておるから、海外から侵される場合には、飛行機あるいは落下傘等によつて急襲される場合もございましようけれども、まずこの警察予備隊の目的としては、国内に対する騒擾その他の暴力行為に対する対策であるということであれば、やはり自然その暴力を発生する素質をこの際大いに探索して、これを未然に防止する策が一番良策である、こういうふうに考えますが、これに対するお考えは万全であるかどうかを承りたいと思います。
  80. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まつたくお説の通りであると存じまするが、警察予備隊といたしましては、未然の防遏ということでなく、事故の発生したときに出動するということに相なろうと思います。でき得る限り未然のうちに防遏するということは、警察上根本的な問題でございまするが、これは主として考え方といたしましては、自治警察並びに国家地方警察が常時これを鎮圧すべきものである、警察予備隊はいよいよそれがある程度の事故となりまして、これらの普通警察の手に余るという場合に至つて、初めて出動するという性質のものと考えます。
  81. 清水逸平

    ○清水委員 先ほど来の各委員の御質問において、一番困難であろうと思われる幹部の任用、また教育について御苦心なさつておることはよくわかりました。私は装備につきまして、今度の予備隊は主として部隊行動をとる予備隊だと思いますが、いたずらに今までの警察の装備というようなことをお考えなさらずに、特別にこの装備について——もちろんこれについてはマ元帥の書簡の範囲内におきまして、これについて御研究なさる用意があるか、つまりそれは部隊行動をとるのに都合のよい装備、それには前の軍人でなくて、技師とかそういう面において、相当の権威者で追放になつていない人がまだ残つておる。それらの者を御採用になつて、この予備隊の装備について万全を期して行かれることがよろしいのではないか、こういうようなお考えがございますかどうかお伺いしたい。
  82. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備といたしまして特に考えておりますものは、先ほども申し上げました通り、武器としてはさしあたり小型小銃の程度であります。それ以上の装備はさしあたり許されないわけであります。しかしながらこれはひとり武器ばかりでなく、装備といたしまして特に機動力のある活動を可能ならしめますために車両の必要もありますし、またこれは部隊として移動いたして参るものでありますから、従つて無線によるところの通信施設というような点は、万全を期さなければならぬものと思うのであります。これらの点につきましては、できるだけ権威ある專門家を入れて、その手腕を発揮していただくことが適切であると考えます。
  83. 清水逸平

    ○清水委員 私の申し上げたのは武器のみでなしに、そのほかの通信、自動車または隊員の服装等についても、今までの警察官吏と相当に違つたものがあるのじやないか、同じ外套一枚つくるにしても、おのずから部隊行動をとる上における便宜のために違つたものがあるのじやないか、これらの点の御研究があつてしかるべきではないか、こういうふうな私の考えであります。  もう一つ伺いたいことは、今までの警察法であります。こういう大変革のとき、また社会情勢の非常にかわつて来ておるとき、私どもの考えとしては、現在の警察法をもう少し機動力のある、運営面において、もう少し実力を発揮することができるようなものに当然かえなければならぬのではないかという考えを私どもつております。その筋との御関係もあり、なかなかこれは大臣としてもむずかしいことだろうとも思いますけれども、早急に従来の警察法の御改正の御意思があるかどうか、またできることでございましようか、その点についてお伺いいたしたいのであります。
  84. 大橋武夫

    大橋国務大臣 服装あるいは車両、通信その他の装備について、特別な研究が必要であるという御意見には、まつたく同感でございます。今後これらの点は警察予備隊の本部ばかりでなく、かような装備を担当いたしまする專門の部局も、予備隊の中にできまするし、また補給部隊等も協力して、これらについては今後その研究を進めて行くように指導をいたしたいと思つております。それから警察制度の全面的の改正ということについて、急速にこれを実行する考えがあるかどうかという御質問でございますが、この点につきましては、ただいま私といたしましては、公安委員会に対して十分なる調査を要望いたしておるような次第でございます。
  85. 池見茂隆

    ○池見委員 私は三点だけお伺いしたいのですが、第一に今回の警察予備隊にいわゆる学生を入隊せしめるということを新聞紙上で見たのであります。しかもその合格率は五〇%を占めておる。時局関係で学生アルバイトが非常に多くて、しかもその学資の捻出ということに彼らが非常に困つておることは、私ども非常に同情すべき点があると心得ておるのであります。この意味からして、單に学資の捻出ということのみにとらわれて、学生を警察予備隊に受験せしむる、しこうしてまた勤務せしむるということは、これは法務総裁その他文教方面とも相当に研究せられたものと心得ておるのであります。この意味において、学生がこの警察予備隊の隊員として将来永久にこういつた状態を続け得るものであるか、こういつた点について法務総裁としての御所信をお伺いしたいと思います。
  86. 大橋武夫

    大橋国務大臣 学生がアルバイトとして警察予備隊に入隊を志願し、また合格しておるという新聞記事は私も拝見いたしております。しかしながら私どもといたしましては、特に学生を優先的に採用しておるという方針は立てておりません。もしかような学生が入つておるといたしますならば、それは他の者と同じ資格において合格をして入つた者と思うのであります。これらの学生が実際入隊した上において、隊員としていかなる成績を收め得るかということは、今後十分に研究を要する問題であると存じますが、この入隊はまず半年の間は仮採用ということにいたしておりまして、この期間においてでき得る限り不適格と認めるような人は排除して行く、そうして淘汰に淘汰を重ねまして、でき得る限りの精鋭をそろえて行くということが、この部隊の隊員の採用に関連いたしまする方針と相なつておるわけであります。     〔委員長退席、川原委員長代理着席〕 今後の実情によりまして、十分かようなる措置を講じまして、これらの学生によつて、かりに隊全体の空気に対して支障があるような場合には、これはやめてもらうことも考えなければなりません。また非常に好成績であるということならば、できるだけ長くおつてもらうように勧奨するなり、その他の措置を講ずるなりいたしたいと思つております。いずれにいたしましても、私どもが採用いたしましたものは、それらの学生をアルバイトさせてやろうという親心で採用しておるのではありません。これは隊として必要なる人物となり得る見込みがあるという考えのもとに、採用をいたしておるわけであります。
  87. 池見茂隆

    ○池見委員 私の言葉が足りなかつたかもしれませんが、單に現在のアルバイト学生を救済するということではなくて、私がお伺いしたのは、結局そういつた学生の入隊者を特別に扱われたかどうか、またそういつた学生を特別に扱うということになれば、これは勢い文部省方面との御関係も生じて来る、こういつた面において尋ねたのでありまして、決して一部そういつたアルバイトを優遇し、またアルバイトを助けるという意味合いのもとにお伺いしたのではないということを申し上げておきます。  それからさらにさつき分駐問題が出ましたが、東京に本部を置き、札幌、仙台、大阪、福岡、この四箇所の本部と申しますか、そういつたところには相当数の部隊が駐在されることと思うのであります。こういつた場合におきまして、東京の本部に、いわゆる行政管理庁といつたものに百名の要員がおつて、これを管理するという形態になつておりますが、そういつた四箇所の支部においても、いわゆる出先機関と申しますか、行政管理的な一つの役所が、これに付随するものであるかどうかということをお尋ねしておきます。
  88. 大橋武夫

    大橋国務大臣 東京におきましては百名の行政本部ができまするほかに、七万五千の全体の警察官を指揮いたしまするところの、最高の本部ができるわけであります。そしてその下に、東京には補給部隊の本部ができるわけであります。それから他の四つの箇所には、それぞれの部隊全体を指揮すべき本部が置かれることはもちろんであります。
  89. 池見茂隆

    ○池見委員 その指揮と申しますが、たとえば現在のように、通産省で言うならば九州通産局というものができております。それが警察予備隊について申し上げましたならば、そこに本部というものがあつて、その管理するものが、さつきからのお話の管理庁でありますが、このいわゆる管理庁が、やつぱり並行的に部隊と一緒にできるものでしようかということをお尋ねいたします。いわゆる折襟の役人の人がそこに置かれるかどうか。
  90. 大橋武夫

    大橋国務大臣 行政管理の部局百名は東京のみであります。他の四つの地区におきましては、警察官が部員になつておりまする部隊の指揮に当るところの運用本部というものが置かれまして、それぞれの所属部隊を指揮して行くわけであります。
  91. 池見茂隆

    ○池見委員 わかりました。
  92. 床次徳二

    ○床次委員 大体予備隊の輪郭が明らかになつて参りましたが、今後予備隊が所要の目的を達成するためには、国民の十分なる協力がなければ、いざというときに、ほんとうの効果はあげ得ないのではないかということをおそれるのであります。従来の警察におきましても、国民の協力がなければ、十分なる活動ができないということは当然でありますが、今度の予備隊におきましてはなおさらそういうことが必要だと思います。このためには国民に予備隊の性格を十分理解してもらわなければならぬ。ことに今度各部隊が分駐して参りますと、一般国民と接する機会が非常に多くなる。この点で十分予備隊の訓練につきまして遺憾なきを期していただきたいということを特に要望いたしたい。  なおこれに関連してお尋ねいたしたいのは、今回ポツダム政令によつて予備隊を設置された。これは手続上やむを得ないことと考えておるのであります。時期におきまして政令によらざるを得なかつたというのは当然であります。しかしながら今後においてでき得る限り、この警察予備隊なるものが国民の警察予備隊であり、しかも現在の憲法によつて認められたところの予備隊であり、われわれの生活上これが不可分のものであるという観念を十分に国民に理解してもらうために、やはり早い機会において、これを法律の形式において国民の承認を求めるというか、あるいは国民の手によつてこれをつくり出すという形におかえになることが、ほんとうの予備隊の使命を達成せしめる上に重要ではないか。形だけできたのでは予備隊のほんとうの効果をあげ得ない。魂を入れて、国民とのつながりにおいてその使命を達成し、国民も予備隊の使命を尊重してこれに深甚の協力をするということによつて、初めて予備隊の持つがごとき特殊使命が達成できるのだと思います。この点について大臣の御意見を伺いたい。
  93. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま床次君の述べられました、予備隊のごときものは、その性質上国民の全面的な支持がなければ効果をあげ得ないではないかという御説には、まつたく同感でございます。従いまして今後これらの関係につきましては、あらゆる機会に国民にその性格、また内容を明らかにいたして、国民の協力と、また場合によりましては批判を仰ぐということが、当然必要だと考えております。
  94. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの大臣の御答弁の趣旨はよく了解いたしました。従つて手続上におきましても、これを法律化するということが必要ではないか。すでに政令があるので、これでかまわぬという議論にもなりますが、ほんとうに国民の生活に即し、また国民として予備隊を築き上げるという考えから申しますと、やはりもう一回法律による手続があつた方がいいじやないか。でき得る限りすみやかな時期において、法律の形式において予備隊を設置されることが、私は望ましいと思うのでありますが、政府にその御意思があるかどうかを伺いたい。
  95. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ポツダム政令はすでに法律と同じ効力を生じております。法理的に申しまして、もはやこれは法律化する必要はないと私は考えております。従いまして今後制度の全面的な改正その他の場合の扱いは別といたしまして、近い機会において同じ内容を持つたところのものを法律として出して、ポツダム政令を廃止して法律にするという必要はないと思つております。
  96. 床次徳二

    ○床次委員 重ねて恐縮でありますが、法律上の効果につきましては、御説の通りどもも別に他を考えておるわけではありませんが、しかしあらためて法律をもつて出すということに、やはり精神的な裏づけがより強くなるのではないか。その方が国民にぴつたりするものがあるのではないかと思うのであります。今後の日本の恒久的な一つのもつとしてこれが成立つ以上は、ポツダム政令という形から生れますよりも、やはり法律という形を通して、そういうものを発生させる方がいいのではないか。單なる形式論ではありますが、そういうことがよりよく将来のために反映するのではないかということを、私ども老婆心かもしれませんが考えるのであります。政府においてそれをお考えいただけばけつこうであるし、また考うべきではないかと私は思うが、いかがですか。
  97. 大橋武夫

    大橋国務大臣 床次君の御趣旨にはまつたく私も共鳴いたすわけであります。しかし取扱いといたしましては、すでにポツダム政令によつて制定せられたるものを、法律によつて内容を改めるならば別でありますが、このものをそのまま法律としてあらためて提案するということは必要ないと考え、またすべきではないと考えております。     〔川原委員長代理退席委員長着席〕
  98. 大矢省三

    ○大矢委員 私は重複を避けて二、三お伺いしますが、先ほどの説明、答弁によつて、今度の予備隊が司法権を持たないということはよくわかりました。しかし内部に、人数はわかりませんが、いわゆる予備隊の取締りというか、何かのために少数のそうしたものを置く、前で言うと憲兵、今現に国家警察自治体警察にはそういうものはない。同じ警察予備隊でこういうものを特に設けられる必要がどういうところにあるか。それからこれは法を制定し企画したときには、そういうことを考えぬけれども、やはり長い間にしばしば弊害が生れて来る。たとえばもしこういうものができますと、どのくらいできるか知りませんが、また数もお聞きしたいが、かりに予備隊の中に思想的にこういうものがある。それを調べて行つて部隊外に及んだ場合に、一体そういうことはその人だけで打切るのか、それを調べた結果、処分するには司法権がないのでありますから、一般裁判所に持つて行く。前のように軍隊内における軍法会議というものはないのでありますから一般裁判所に持つて行く。そうすれば先ほどお尋ねしたように自治体警察、国家警察に司法権があつて、発動できるのだということになれば、何を好んでこのような二重的なものを、特に置かなければならぬ必要があるのか、この点特に和解しかねるのであります。そのことが一つ。  それから装備の点であります。前にもしばしば出ましたが、小銃くらいだとか、軽機関銃くらい持たすとか、はつきりしていなかつた。ところが今度は予算が伴うのですから、二百億円の予算の中に装備費が幾らくらい予定されておるか。実際問題としてどんなものをやろうとしておるか。これはまたどこから入れるのか知りませんが、大体装備の内容、その二百億円に含まれた経費の割合をお聞きしたいのです。
  99. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大矢さんにお答えいたしますが、特に部内の秩序維持に当る特殊任務を有するところの警察官をなぜ指定するか。いわゆる昔ならば憲兵と申しますか、今日ならMPというようなものをなぜ置くかという理由でございます。この警察予備隊一つの部隊をなしております。またこれは一つの実力部隊でございます。しかも部隊には部隊内の規律ということも考えて参らなければならぬのでございます。これが部隊内において、いろいろな一般的な犯罪がございました場合においては、その部隊全体の秩序という特殊な観点から、捜査を進める必要もあろうと存じますし、また部隊外に対しましては、漏洩することの許されない機密の事項もたくさんございます。かれこれ考えまして、普通警察よりも、部隊内に特別の警察を持つことが適当であろう、かように考えておるわけでございます。しかしながらさしつかえない範囲におきまして、外部の警察が入るということも、これを妨げないわけであります。決して他の一般の司法警察を入れないというわけではありません。しかし内部にかような特別の警察を置く以上は、自然これらの者が主力をなすに至るだろうと思います。しかしながらこれはあくまで部隊に対してなされた犯罪に限るわけでございます。また隊内にあつて犯された犯罪に限るわけでございます。これに関連して他のまつたく部隊外の犯罪にまで、捜査を及ぼすということはなすべきものではない、かように考えております。  それからこの特殊警察官の数でございますが、これは七万五千の総員中、数百名程度と御承知願いたいのでございます。  それから装備についてどういうものであるか。これは武器といたしましては先に申し上げました通り、さしあたり小型の小銃でございます。そしてこれの予算といたしましては、ただいま見積つておりません。これは連合国より貸與されるものと考えております。
  100. 大矢省三

    ○大矢委員 それから今度の警察予備隊配分というか、配置が、特に重要な都市をねらつて置いてあるのは当然でありますが、今までの九万五千の自治体警察が都市の治安上重要な所に重点的に配置されておつたのは御承知通りであります。そこでこの委員会でもしばしば問題になつておりましたのでこの機会お尋ねしたいのですが、戰災復興あるいはその他経済事情の回復によりまして、特に大都市に農村から流れる人口の増加あるいは思想問題、その他に処して、都市の治安ということが重要なために、自治体警察は非常な数を大都市に集中されておる。そこで最近特に再配分要求し、衛星都市にもその増員をはかるようにという陳情がしばしばあつて、ここで全体の数をふやすか現在の九万五千の自治体警察をさらに再配分するか。あるいはまた小都市の三万以下の自治体警察を廃止するかというようなことが、いろいろ問題になつております。そこでこの七万五千の予備隊制定するにあたつて、その配分は大都市の治安上重要な点に重点的に配置したということは、今までその重点に置いておつた自治体警察関係、これが足らぬからふやしたのだから、それはいらう必要はないという形式的な一応の考え方もできるかもしれませんが、しかしこれだけ重点的に、大都市にそういう本部を置いて目的を達しようというのでありますから、現に非常に少い、要望しておるところの衛星都市、その他において、大都市の、今まで予備隊警察がなかつた当時の数を持つておる自治体警察を、さらに再配分して検討する必要があるのではないか。これは所管が違うかもしれませんが、七万五千を制定する時分に、必ずや自治体警察の将来をどうするかという話があつたと思います。ここに所管大臣がおれば両方に聞いたら一番わかるのでありますが、そういう話があつたか。そういうことが考慮に入れられたか。今現にそういうことは何ら考えておらないか。大都市にそうした本部が四つ設けられて、これが治安は十分だから再配分を何らか考慮するというのか。その点を現にお考えになつておるか。話があつたかなかつたか。この機会にお伺いしたいと思います。
  101. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まず現在きまりました警察予備隊が、なぜそういう所に置かれるかということを申し上げますと、この警察予備隊の任務は、駐在いたしておりますその地方々々を、それぞれが守備するというようなものではございません。この警察予備隊は全体として、国のすべての地域における治安を守るということを目的といたしております。従いまして最も大きな機動力を持たしめられることになつております。現にただいま與えられておりまする予算中におきましても、自動車三千台を装備いたしまして、全員の自動車輸送をなし得るような施設を持たされることに相なつておるような状況であります。従いましてこれが本部を札幌、仙台、東京、大阪、福岡等に置くことになつたのでありますが、これは宿舎の関係、あるいは交通、通信等の関係上、全国的に機動力ある活動をさせるのに適当だという、一応の判定のもとに設けられたものであります。従つてこれらの地方に、これらの部隊の本部が置かれたからといつて、これらの地方におきまする普通警察力を、それだけ減らしてよろしいということにはならないと思うのであります。なぜかと申しますと、この警察予備隊は、普通警察の通常の業務の執行に対しては、何ら助けにならないのであります。非常の場合におきまして、昔の軍隊にかわるような活動をするというわけであります。これができたから平生の警察官の数をそれだけ減してよろしい、こういうふうには私ども考えておりません。従いましてこの配置の場所、数等をにらみ合せて、大都市の警察官の数を減らすというようなことは、さしあたりは考えておらないのであります。しかしながら大矢さんも御指摘になりました通り警察官の配置が現在において必ずしも適切ではないではないかという意見には、傾聽すべき部分がすこぶる多いと存じますので、この問題はなお公安委員会におきまして、今後とも十分に調査、研究を重ねまして、できる限り現在の実情に沿い得るような配置にかえて行きたい、かように考えております。
  102. 大矢省三

    ○大矢委員 先ほど尋ねました装備並びに二百億円の中の比率ですが、費用の割合をまだ聞いておりません。それはあとからでけつこうであります。  この機会に、ちよつと話は警察隊とは違いますが、めつた大臣は来られませんから伺つてよろしゆうございますか。
  103. 前尾繁三郎

    前尾委員長 どうぞ。
  104. 大矢省三

    ○大矢委員 近く来年の四月に地方選挙が行われますが、御承知の公職選挙法の中に、現に参議院、衆議院並びに教育委員については、いろいろな制限規定がある。ところが市町村の選挙の場合には法文上から行くと明らかになつていないのですが、しかし法の精神からいえば当然そうなければならぬ。たとえば自動車の制限であるとか、あるいは拡声機の制限であるとか、演説会場その他いろいろの規定がありますが、それが法文の中には、市町村の選挙にはそれを守らなければならぬというふうにも考えていない。あるいは国の衆議院なり参議院なりの選挙を行うのだから、当然これを地方選挙にも適用すべきだとも考えられる。そこでその選挙法の精神に基き、また法の命ずるところによつて地方自治体の府県会議会なり、あるいは市町村会議において條例をつくつたらいい。それはかなりそれに背反したことではないか。その選挙法に準じて、たとえば具体的に言うならば、何台使うということを届け出る。そうすることによつて費用のごときも明らかになりますから、何台という制限をしなくても、それを届け出るということにすればいい。あるいは虚勢を張るということはどういうことかといえば、これこれのことだというふうに大体明らかにして、そうして明朗な選挙にしたい。それから選挙費用のごときも、法文化しなくてもそれを明らかに計算できるようにしたい。むしろ公職選挙法を徹底させた意味における條例をつくつてやろう、こういう地方での声がある。それがこの選挙法でどういうふうに扱われるか。そこまでは地方の議会は行き過ぎだ。いや、その範囲できめることはむしろ喜ばしいことだ。できるならばむしろ国会において明らかにこれを地方選挙にも適用するということを、法文に明らかにしていただければなおけつこうですが、来年の地方選挙を目睫に控えて、各地方ではその声が多いようであります。この調子ではとてもやれない、あるいは非常に混乱するであろうということが言われておりますので、この機会大臣から直接お聞きしたいと思う。
  105. 林修三

    ○林説明員 ただいまの問題は、私法制意見第二局におりまして、全国選挙管理委員会の方からも、実はこの解釈問題につきまして打合せを受けております。御承知のように公職選挙法は、市町村の選挙につきましては、この選挙運動の制限について除外しております。ほかの府県の選挙、国会の選挙あるいは教育委員会の選挙とは多少違つた規定の体裁をいたしております。立法の精神をどう解釈すべきかということにつきましては、解釈上相当問題があることでございまして、私どもの方も全国選挙管理委員会あるいはこの立案の草案をつくられました衆議院、参議院双方とも打合せまして、今解釈を研究しているところであります。なかなかむずかしい問題でございまして、実はまだきめてないのであります。特に今おつしやいましたように、選挙運動を市町村の條例で制限して、それに違反した場合に、どういう効果を発生するかというようなことになりますと、なかなかむずかしい問題だと思います。いましばらくわれわれも研究いたしてみたい。場合によつてはあるいは立法的措置ができるのではないか、かように考えております。
  106. 大矢省三

    ○大矢委員 それから今の装備、費用の点は……。
  107. 大橋武夫

    大橋国務大臣 装備の費用は、さきに申し上げました通り掲げておりません。貸與されるものと考えております。
  108. 大矢省三

    ○大矢委員 内容はどういうものですか。機関銃ぐらいのものですか。
  109. 大橋武夫

    大橋国務大臣 内容は、さきに申し上げました通り小型小銃を少々與えられます。
  110. 大矢省三

    ○大矢委員 ピストルというわけですか。
  111. 大橋武夫

    大橋国務大臣 カービンと英語で表現されておりますが、普通の歩兵の銃よりは長さが短かく、半分ぐらいでありまして、皮で背中につるすようになつております。しかしこれは自動的なものではありません。一発ずつ撃つやつであります。
  112. 大矢省三

    ○大矢委員 わかりました。
  113. 前尾繁三郎

    前尾委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、明二十六日午前十時より開会いたします。  ただいま全国道路利用者会議の代表の方がお見えなつて陳情いたしたい、こういうお話でありますので、散会後に聽取することにいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後一時四十六分散会